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中東情勢(その7)(米国のシリア攻撃)(シリア攻撃はトランプ「迷走」の始まりか、北の核開発への影響は?、米国がシリアを攻撃した3つの理由) [世界情勢]

中東情勢については、昨年9月3日に取上げたが、今日は、(その7)(米国のシリア攻撃)(シリア攻撃はトランプ「迷走」の始まりか、北の核開発への影響は?、米国がシリアを攻撃した3つの理由) である。

先ずは、元外交官で平和外交研究所代表の美根 慶樹氏が4月11日付け東洋経済オンラインに寄稿した「シリア攻撃はトランプ「迷走」の始まりか 安保理は未承認、ロシアとは対立、ISも野放し」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米国は4月6日夜(日本時間7日午前)、シリアのシュアイラート空軍基地に対して、59発の巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃を行った。戦闘機や格納庫、レーダー、弾薬庫、給油所、対空防衛システムなどの破壊が狙いであったと言われている。
・おりしも、米国のトランプ大統領と中国の習近平・国家主席の初の会談で、挑発的な行動を繰り返す北朝鮮の問題が話し合われていた最中である。またシリアは北朝鮮と関係が深い。そんなことから、「今回の攻撃は北朝鮮も念頭に置いたものだった」という見方がある。だが、米国がシリアを攻撃したのは、シリアの政府軍が化学兵器を使用したことが理由だ。トランプ氏はシリア攻撃の理由を明確に説明している。
・シリア政府軍による化学兵器が使用されたのは、4月4日、シリア北西部のイドリブ県における空爆中のことであり、民間人多数を含む100人以上が死亡した。現地で医療活動に従事している、国際医療団体「シリア医療救援組織連合(UOSSM)」によると、サリンなど、化学兵器が使用された症状が多数見られるという。
▽化学兵器使用はあったか、なかったのか
・この事件に国際社会は激しく反発した。トランプ氏は同日中に声明を出し、「アサド政権による憎むべき行為だ。女性や子どもを含む、無実の人々を狙った化学兵器による攻撃を、文明世界は無視できない。私にとっての多くの一線を越えた。昨日起きたことを私は受け入れられない。大きな衝撃だった」などとシリアを批判した。
・一方、シリア政府軍は国営メディアを通じて、関与を否定した。また、シリア政府の側に立つロシアは、「反体制派の倉庫をシリア軍が爆撃し、毒ガスが流出した」とする見解を示したとも言われている。 どちらを信じてよいのか。公表されていることだけでは断定困難だが、米国は国際医療団体による発表以外にも独自の情報網を持っており、それらを併せて下した判断だったと思われる。
・国際政治において、当事者の主張がまったく異なることは、少なくない。特に紛争では、事実関係の確認は困難な場合があり、混乱状態を隠れ蓑にして虚偽の主張が行われるのは、遺憾ながら事実だ。 しかし、情報の量と質は近年、飛躍的に向上している。時間をかけ、かつ、双方の主張を子細に比較していけば、真実が明らかになってくることを筆者は体験している。今回の化学兵器使用についても、いずれ真相が見えてくるだろう。
・いずれにせよ、今回の米国によるシリアへのミサイル攻撃によって、米国のシリア政策や世界の政治情勢は大きく変わり始めた。 現在のシリアでは、政府、反政府勢力および過激派組織ISが三つ巴状態にあり、それに米欧やロシアが絡んできた。 
▽米欧はアサド政権打倒、ロシアは支援
・この3つの勢力の区別は重要なので、簡単に経緯を振り返っておきたい。 シリアで政府と反政府勢力の対立が生じたのは、2011年、アラブの民主化革命(いわゆるジャスミン革命)の波がシリアに及んできたからである。シリア政府と反政府勢力との戦いは今日も継続している。この間、シリア政府でも反政府勢力でもない第3の勢力、いわゆる「IS」(イスラム国)が、シリアとイラクにまたがる地域でイスラム国家の建設を標榜して立ち上がった。シリア政府、反政府勢力、ISの三つ巴の戦いだ。
・それに外国勢力が加わり、米欧は民主化を求める反政府勢力を支援し、化学兵器の使用をいとわないシリアのアサド大統領退陣を要求してきた。それと同時に、米欧はこれと並行して、ISに対して空爆を実施してきたが、十分な効果を得られていない。
・一方、ロシアは、伝統的にシリア政府と友好関係にある。米欧によるアサド政権打倒の動きには反対しつつ、シリア政府軍によるISとの戦いを支援し、一定の効果を上げている。
・そうした中、トランプ氏は当初、「ISを壊滅させるにはロシアとの協力が必要」との考えだった。そのため、オバマ前大統領時代の方針を変えて、ロシアおよびシリアと協力し、アサド大統領の退陣は要求しないこととした。が、その新方針を打ち出して3カ月もたたないうちに、シリア政府軍による化学兵器の使用問題が起こった結果、シリアの攻撃に踏み切ったというわけだ。
・そうなると米国政府としては、シリア政府と協力することは不可能となる。いずれ民主化を求める反政府勢力を支援することになるだろう。つまり、三つ巴状態のシリアにおいて、トランプ政権は化学兵器の使用問題を契機に、表面はともかく、実質的には、オバマ前政権時代に戻り始めたのである。
・「オバマ氏は優柔不断だったが、トランプ氏は行動する」という見方があるが、オバマ氏がシリア攻撃に慎重だったのは、後で述べるように、別の理由からだ。 ただ、トランプ氏は、ロシアと協力する方針を決定的に変えたのではなく、今回の攻撃でもロシア人には被害が生じないよう、攻撃の2時間前に攻撃予定を”通報”したと言われている。しかし、ロシアはそのような事前通報を受けただけでは、ミサイル攻撃を認めることはできない。ロシアにとって、シリアとの友好関係は今後も重要であり、米国のシリア攻撃に味方するわけにはいかないからである。
・実際、ロシアではプーチン大統領以下、メドベージェフ首相、ラブロフ外相が口々に米国を非難。プーチン氏は「ミサイル攻撃は、主権国家に対する侵略であり、国際法違反だ」との考えである、とロシア大統領報道官が説明している。
・米国で大統領就任以降、トランプ氏がプーチン氏を積極的に評価し、米ロ関係を改善する意思を示したので、世界は注目していた。ところが、シリア攻撃を機に、米ロ関係は再び悪化し始めてしまった。こうなるとトランプ政権はますますオバマ前政権に似てくる。
・片や、トランプ政権の誕生以来、ロシアに対する融和的な姿勢を警戒してきた欧州としては、トランプ氏が今回のシリア攻撃によって、ロシアとの協力よりも、化学兵器使用を憎み防止することを重視するようになったので、安心しただろう。米国が同じ価値観であることを確認した、英、仏、独など主要国は、こぞって米国の判断を支持する声明を発表している。
▽イラクもアフガニスタンも混迷が続く
・もっとも、トランプ氏は今回のミサイル攻撃後も、依然としてオバマ氏との違いを強調し、「もっと前に危機を解決する好機があった」「(オバマ氏の)こけおどしが事態を後退させた」と述べている。 トランプ氏が言っているのは、2013年、やはりシリア政府軍による化学兵器の使用が指摘された際、オバマ氏が軍事行動に出なかったことを指している。
・しかし、シリアをミサイル攻撃したかどうかだけで比較しても、表面的なことしかわからない。オバマ氏がシリアを攻撃しなかったのは、米国議会との関係が理由だったからだ。 当時、米議会は化学兵器の使用を非難し、さらなる被害の拡大を防止しなければならないという考えが弱かったわけではないが、シリア問題にどこまで介入するかについては、慎重な意見が強かった。イラクとアフガニスタンで6000人以上の米兵が死んでおり、厭戦気分が今より強かったことが原因の一つだった。しかも、米議会では共和党が多数であり、オバマ氏としては、議会の承認を得られるという見通しがなかった。
・オバマ氏の場合、法的には議会に諮らずにシリア攻撃を決定できるという考えだったが、大統領権限の解釈については意見が分かれており、やはり議会の承認を求めるべきだという考えを優先した。いやトランプ氏自身も、「当然議会に承認を求めるべきだ。それをしないのは大きな間違いになる」と言っていた(CNN、2017年4月7日)。つまり、トランプ氏も当時、軍事行動には慎重であるべき、ともとれる姿勢だったのだ。  結局、オバマ氏は議会の承認を求めたが、それが得られないうちに、ロシアの仲介によってシリアが化学兵器禁止条約に加入し、化学兵器使用問題はひとまず収束。議会はオバマ氏に承認を与える必要がなくなったという経緯がある。
・当然ながら米国では、このいきさつは忘れられていない。トランプ氏が今回のミサイル攻撃について、習氏が同席している米中首脳会談の場で発表したとき、ある記者は「議会の承認を求めるか」とトランプ氏の一貫性に疑問を呈する質問を行った。が、トランプ氏は、何も答えなかった。現在、米国内では、今回のミサイル攻撃に対して、議会の承認問題も含め、合法性を問題視する言論が噴出している。
▽実は”オバマ化”しているトランプ政権?
・化学兵器を使用したことについて、改めてトランプ氏とオバマ氏を比較してみる。オバマ氏はミサイル攻撃をしなかったが、アサド大統領の退陣を求めた。トランプ氏はミサイル攻撃をしたが、アサド大統領の退陣を少なくとも今のところ求めていない。どちらが厳しい姿勢なのか、わからなくなっている。
・かくして、化学兵器使用問題と対ロ政策で、トランプ政権はオバマ前政権に似てきた。皮肉にもトランプ氏の”オバマ化”が始まっているのかもしれない。
・米国は、複雑な国際情勢の中、できるだけ一貫した姿勢で、公平な解決を求めなければ、各国からそっぽを向かれる。強烈な言動で世界の耳目を集めたトランプ氏だが、オバマ時代に戻るのは、ある意味で必然的と思われる。シリア攻撃に踏み切ることについては、国連安全保障理事会の承認のない行動は問題になりうること、ロシアとの関係が悪化すること、IS攻撃の力が弱まること、米議会との関係が微妙になることなど、もろもろのリスクを検討したはずだ。何よりも今後、トランプ政権の一貫性が問われ、信頼性に影響が出てくるだろう。
http://toyokeizai.net/articles/-/167092

次に、4月11日付け日経ビジネスオンライン「米国のミサイル攻撃、北の核開発への影響は? 米シンクタンクCNAS・リチャード・フォンテーヌ会長に聞く」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問、+は回答内の段落)。
――米軍がシリアの飛行場にミサイル攻撃を敢行した。これをどう評価する?
・リチャード・フォンテーヌ氏(以下、フォンテーヌ):今回のミサイル攻撃は、化学兵器を利用したアサド政権に対する対応として適切だった。シリアに対する米国のアプローチという点だけでなく、ロシアに対するアプローチという点でもターニングポイントになるだろう。結果として、ロシアに対してより重大な意味を持つかもしれない。
+アサド政権の空軍力に攻撃を加えることには反対論もあった。シリアの防空システムの攻撃対象に、米国の戦闘機が含まれるようになる可能性があるからだ。 シリアとロシアは洗練された防空システムをシリア上空に配備しているが、これまでのところ米軍機は対象にしていない。今後、アサド政権が米軍機をターゲットに加える可能性がある。事実、ミサイル攻撃以来、米国は飛行任務の数を削減、使用する航空機も最も先進的なF22(ラプター)に制限している。今後、ダマスカスの反応を見ることになろう。
▽シリアには制裁強化が必要だ
・フォンテーヌ:問題として残るのは、今回の攻撃が1回限りの懲罰的なものなのか、アサド大統領を排除することを目指した幅広い取り組みの第一歩なのかということだ。 私はシリアの政権移行に関する議論をリスタートすべきだと思っている。それは地上部隊のバランスを変えなければ達成できない。トランプ政権は武器の供与などでアサド政権に対抗している反体制派を強化し、安全地帯を設定するなどもう一段の措置を執る必要がある。
+論拠はISISの脅威だ。トランプ政権はこれまでのところ、アサド政権の蛮行が、ISISやヌスラ戦線によるテロリストのリクルートに繋がっていることを認めていない。だが、1つの問題は別の問題を引き起こす。そうなれば、シリアとISISの両方に対処しなければならない。内戦によって国内の不安定さが増せばテログループの聖域を作ることにつながる。 もちろん、それはトランプ政権にとって大きな変化だろう。だが今週に見たこと、つまりミサイル攻撃に比べれば何ということもない。
――米中首脳会談はどう見たか?
・フォンテーヌ:今回の首脳会談の具体的成果はあまりない。会談そのものはミサイル攻撃によって影が薄くなった。様々なイシューで対話の枠組みを作ることが決まったが、具体的な成果や合意事項はほとんどないように思う。目的の大半はお互いをよく知ることにあったようだね。
▽中国に強い印象を与えた
――米中それぞれの目的は達成できたと思うか?
・フォンテーヌ:トランプ大統領は北朝鮮問題と、米中貿易について議論しようとしていた。一方、習近平国家主席は世界のトップリーダーとして米国大統領に招かれることを望んでいた。今回の首脳会談で何かが具体的に前進したとは思わないが、近い将来に何かしらの前進を見るのではないだろうか。
+米中首脳会談の背景にあるのは北朝鮮のミサイル実験だ。今回のトランプ大統領の決断は習近平国家主席に新たな決意を示した可能性がある。それは結果として、中国が北朝鮮のことを真剣に考えることにつながる。
+中国がトランプ大統領をどう評価しているかということを語るのは難しいが、首脳会談中のミサイル攻撃によって、トランプ大統領が素早く行動に移す果断さと意思を持っているということを示した。中国に強い印象を与えたのではないか。
――ティラーソン国務長官は米国の北朝鮮政策は失敗していると述べた。北朝鮮のミサイルと核開発にどう対処すべきだろうか。
・フォンテーヌ:短期的に言えば、米国と中国は北朝鮮に関する制裁を拡大すべきだ。ミサイル開発と核開発を凍結させるために、制裁の領域でできることはまだ多くある。ただ、今回のシリアへのミサイル攻撃が、北朝鮮の核開発に直接影響を与えるとは思っていない。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041000657/?P=1

第三に、政治評論家田原総一郎氏が4月14日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「米国がシリアを攻撃した3つの理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・4月6日と7日、米国のトランプ大統領と中国の習近平主席による初の米中首脳会談が開かれた。最も重要なのは、その首脳会談の最中に、米国がシリアに向けて59発のミサイルを発射したことだ。 トランプ大統領は会談の途中で、習近平主席にその事実を伝えた。これはどういうことなのか。
・ミサイルを撃ち込んだ理由は3つある。 1つ目は、トランプ大統領が「自分はオバマ氏とは違う」と示したかったこと。2013年にアサド政権が反体制派に対して化学兵器とみられる爆弾を使用した時、米政府は兵器の使用を断定し、オバマ大統領はこれを「レッドライン(超えてはならない一線)」として、シリアへ軍事攻撃しようとした。 しかし、オバマ氏は「攻撃する」と言いながらも実現できず、結局、ロシアのプーチン大統領に主導権を握られてしまった。その点で、トランプ氏はシリアを実際に攻撃することでオバマ氏との違いを示したかったのだろう。
・2つ目は、トランプ氏が大統領に就任してから、内政が全くうまくいっていないことだ。特に、「オバマケア」の改廃に失敗したことは、トランプ政権にとって打撃だった。与党の支持を集められなかったことはトランプ氏の求心力低下に繋がり、今後の政権運営に悪影響が出る可能性もある。 このように内政がうまくいっていない時には、外交、特に戦闘行為を行うのは常套手段だ。
・しかし、何よりも大事なことは、ミサイル攻撃が米中首脳会談の最中だったことだ。これは何を意味するのか。 この答えは、3つ目の理由である中国へのメッセージだ。米国は、北朝鮮に対してもミサイル攻撃を行う準備があることを示し、中国に「北朝鮮への攻撃が嫌なら、中国は北朝鮮に対してもっと圧力をかけ、ミサイル発射や核実験を止めさせろ」と伝えたかったのだと思う。もし、中国がそれをやらなければ、米国が独自で攻撃をするというメッセージだ。
▽米国の思惑について二通りの見方がある(米国のメッセージが非常にリアルになってきたのは、4月15日に金日成生誕105周年記念日が控えているからだ。 北朝鮮は5年ごとに大がかりな祝賀イベントを開催しているが、5年前の4月13日未明には弾道ミサイル「テポドン」を発射した。これは失敗に終わったが、今年の生誕記念日にも何らかの実験をやるのではないかと言われている。
・具体的には、「今回は核実験をやるのではないか」という話を情報筋からよく聞く。もし本当に北朝鮮が核実験に踏み切れば、米国はシリアにミサイル攻撃をしたように、北朝鮮にも報復を行う可能性がある。外務省筋もそういう見方が多勢を占めている。 4月8日、米太平洋軍のハリス司令官が、シンガポールから豪州に向かう予定だった空母カール・ビンソンを中心とする艦隊に対し、北朝鮮付近の西太平洋に向かうよう指示した。北朝鮮に対する強烈な牽制である。
・その一方で、こんな話もある。もし米国が武力攻撃をした場合、北朝鮮はどう出るのか。下手をすると、北朝鮮の反撃によって韓国や日本が有事になる可能性もある――。 例えば先日、北朝鮮が4発のミサイルを同時に発射したが、それは在日米軍基地を狙ったのではないかと言われている。もしかすると北朝鮮は、報復としてこれをやる可能性がある。
・米国は、北朝鮮の核実験をできるだけ回避したいと考えている。だから、原子力空母の展開などといった大仰なことをやって、圧力をかけていると考えられる。 米国の一連の動きは、核実験の報復行為への準備か。あるいは、核実験を避けるための圧力か。外務省筋も、この二つの見方に割れている。いずれにしても、今週末から来週には具体的な話が見えてくるだろう。
▽アメリカに理解を示した中国と、強く非難したロシア
・米国のシリア攻撃について、各国の反応はそれぞれ異なる。微妙な立場にあるのは、中国とロシアだ。  シリアへのミサイル攻撃について、ティラーソン米国務長官は、「習近平主席は理解を示した」と述べた。これは、先にも述べたように「北朝鮮にも単独で攻撃をする準備がある」というメッセージが含まれている。習近平主席もそのメッセージを理解しているだろう。その点で、習近平氏は表面的に反発しなかっただけかもしれない。
・一方、ロシアのプーチン大統領は、アメリカに対し「シリアへのミサイル攻撃は侵略行為だ」と強く非難した。しかし、これも難しい問題だ。2013年にシリアが化学兵器を使用したと米国が認定した際、プーチン大統領は報復に踏み切れなかったオバマ氏に代わってアサド大統領と交渉し、「化学兵器を廃棄し、二度と使わない」と約束させた。 つまり、アサド政権がその約束の後に化学兵器を使用したならば、プーチン大統領の顔に泥を塗ったことになる。プーチン大統領の本音としては、アサド大統領に腹を立てているのかもしれない。
・来たる4月15日の金日成生誕105周年記念日に向けて、米国と中国が北朝鮮に核実験をさせないように押さえ込めるのか。当面はここが焦点となる。 ただし、本コラムの記事「問題は『ストレスの塊』である金正恩の判断力」でも述べたが、金正恩氏は今、正常な判断力を失っている懸念がある。
・これまで200人近くの側近たちを粛清した金正恩氏には、相談する相手が誰もいない。ストレスの塊で、正常な精神状態ではないだろう。ここ数日、金正恩の発言が一切報道されていない点も謎だ。各国が緊張感を持って北朝鮮の動向を見つめているのは明らかだ。
▽米中、中身の議論は避けたものの友好関係は維持
・今回の米中会談は、北朝鮮の核ミサイル問題において、「危険なレベルに達している」という認識を共有したが、それ以外の問題には互いに深く踏み込まなかった。経済問題についても、貿易の不均衡を是正するために「100日計画」を策定することで一致したものの、具体的な中身については詰めなかった。 もし具体的なところまで踏みこめば、両国の間で摩擦が起きる。互いにそれを避けて、友好関係を優先させたということだ。
・何を評価するかは難しいが、緊迫する北朝鮮問題を前に米中関係を悪化させなかったという点は、一つの成果ではないか。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/041300016/?P=1

美根氏の記事で、『オバマ氏がシリアを攻撃しなかったのは・・・トランプ氏自身も、「当然議会に承認を求めるべきだ。それをしないのは大きな間違いになる」と言っていた(CNN、2017年4月7日)。つまり、トランプ氏も当時、軍事行動には慎重であるべき、ともとれる姿勢だったのだ。 結局、オバマ氏は議会の承認を求めたが、それが得られないうちに、ロシアの仲介によってシリアが化学兵器禁止条約に加入し、化学兵器使用問題はひとまず収束。議会はオバマ氏に承認を与える必要がなくなったという経緯がある』、つまりオバマが攻撃をしなかったのは、その必要がなくなったためとの指摘は、忘れていた記憶を呼び覚ましてくれた。 『実は”オバマ化”しているトランプ政権』、というのも面白い指摘だ。
リチャード・フォンテーヌ氏が 『シリアとロシアは洗練された防空システムをシリア上空に配備しているが、これまでのところ米軍機は対象にしていない。今後、アサド政権が米軍機をターゲットに加える可能性がある』との指摘はもっともだ。 『米中首脳会談の背景にあるのは北朝鮮のミサイル実験だ。今回のトランプ大統領の決断は習近平国家主席に新たな決意を示した可能性がある。それは結果として、中国が北朝鮮のことを真剣に考えることにつながる』、との指摘には大いに期待したいところだ。
田原氏の記事で、 『米国の一連の動きは、核実験の報復行為への準備か。あるいは、核実験を避けるための圧力か。外務省筋も、この二つの見方に割れている。いずれにしても、今週末から来週には具体的な話が見えてくるだろう』、との外務省筋も二つの見方に割れているとの指摘には、いささか驚いた。外務省筋ですら、この段階では把握し切れなかったというのは、いささか頼りない印象だ。もっとも、最近の報道では、後者の「圧力」説が有力になってきたようだが、まだ一安心というのは早計だろう。ただ、『これまで200人近くの側近たちを粛清した金正恩氏には、相談する相手が誰もいない。ストレスの塊で、正常な精神状態ではないだろう』、というのは大きな懸念材料だ。
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