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トランプ新大統領(その16)(いざとなったらプーチンに脅かされるに違いないトランプ、トランプは悪性の人格障害!?、米国の貿易政策の愚行にどう対処するか) [世界情勢]

トランプ新大統領については、4月14日に取上げた。今日は、(その16)(いざとなったらプーチンに脅かされるに違いないトランプ、トランプは悪性の人格障害!?、米国の貿易政策の愚行にどう対処するか) である。

先ずは、元レバノン大使の天木直人氏が4月14日の同氏ブログに掲載した「いざとなったらプーチンに脅かされるに違いないトランプ」を紹介しよう。
・初の米ロ外相会談は平行線のまま終わったらしい。 トランプ大統領もそれを認め、米ロ関係はこれまでの米ロ関係の中で最低のレベルにある事を認めた。 しかし、トランプはこれ以上ロシアとの関係を悪化させるわけにはいかないし、そうしないだろう。 ロシアとの関係をこれ以上悪化させれば、米国の外交もまた不利益を受けるからだ。
・そして、そのような外交関係の利害得失からくる理由のほかに、トランプにはこれ以上プーチンを怒らせるわけにはいかない個人的理由がある。 トランプはプーチンに決定的な弱みを握られているのだ。 それは、選挙中に流された女絡みの醜聞だけではない。 フリンを更迭せざるを得なかった事からも明らかなように、ロシアとの不適切な関係こそがトランプの対ロ外交のアキレス腱なのだ。
・すなわち、政権に就く前からロシア側と密通していた、米大統領選に関与させていた、サイバー攻撃に協力していた、という疑惑だ。 この問題の真偽をめぐって、いまトランプは政治生命をかけて共和党と戦っている。 ティラーソン今度の訪ロの際にプーチン大統領と会談したと報じられている。 しかし、そこで何を離(「話」の誤り?)されたかメディアは報じていない。
・もしそこでプーチンがティラーソンにこう言っていたとしたらどうか。 よくトランプに伝えておけ、これ以上ロシアを非難するようならただでは済まない。女性スキャンダルはもとより、ロシアとの内通をばらせばトランプは即座に大統領から引きずり降ろされるぞ、と。 私がプーチンだったら、この切り札を、もっとも効果的な時に使う。 トランプはプーチンとの関係をこれ以上悪化さるわけにはいかないのである(了)
http://kenpo9.com/archives/1272

次に、4月17日付けダイヤモンド・オンライン「トランプは悪性の人格障害!?米で精神科医らが解任求める」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・トランプ大統領は6日、化学兵器の使用が疑われるシリアのアサド政権に対する攻撃を命じた。軍事作戦をためらったオバマ前大統領と違い、決断力と実行力があると誇示したかったのかもしれないが、はたしてこの「即断」は正しかったのか。国連決議や国際社会の支持を得ることなく、主権国家攻撃の根拠もシリア内戦終結の戦略も示さないまま、単独で武力行使に踏み切るのはかなりの危うさをはらんでいる。
・また、トランプ大統領は北朝鮮の核や弾道ミサイル開発をめぐり、中国の対応によっては米国が北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性をほのめかしている。もし米国が攻撃すれば、北朝鮮の報復によって韓国が火の海になるだけでなく、日本も甚大な被害を受ける可能性がある。そのリスクが大きすぎるために、米国の歴代政権は北朝鮮への軍事攻撃に踏み切らなかった。問題は気まぐれで衝動的なトランプ大統領が大惨事のリスクをすべて考慮に入れて、軍事的選択肢をテーブルの上に載せているのかということだ。
・実は米国ではいま、トランプ大統領の自己制御がきかない衝動性や精神不安定性に対する懸念が高まっている。きっかけは2月半ばに35人の精神科医らが連名でニューヨーク・タイムズ紙に送った、「トランプ氏は重大な精神不安定性を抱えており、大統領職を安全に務めるのは不可能だ」とする内容の投書だった。
・米国精神医学会(APA)は「精神科医が自ら診察していない公的人物の精神状態について意見を述べるのは非倫理的だ」とする規定を設けている。しかし、この投書の後、「危険性について認識しながら、沈黙しているのは逆に倫理に反する」として多くの精神医療の専門家(精神科医、臨床心理学者、ソーシャルワーカーなどを含む)が立ち上がり、トランプ大統領の解任を求める運動に加わっている。彼らが口を揃えて指摘するのは、「現実と空想の区別がつかない妄想症で、サイコパス(反社会性人格障害)の人物が核のボタンを握っていることの怖さ」である。
▽現実と空想の区別がつかない「妄想症」
・トランプ大統領は就任後も選挙戦中と同様、根拠のない発言を繰り返している。たとえば、就任式の参加者数がオバマ前大統領の時より少なかったと報じたマスコミを「嘘つきだ!」と非難し、「過去最大規模の人出だった」と主張した。CNNテレビなどが流した両者の就任式の映像を比べればトランプ氏の方が少ないことは明らかなのに、また、就任式当日のワシントンの地下鉄の乗降者数でもトランプ氏の方が少なかったことが報道されたにもかかわらず、トランプ氏は主張を変えなかった。
・選挙結果にしても、トランプ氏は選挙人数で民主党のヒラリー・クリントン候補を上回ったが、総得票数ではクリントン氏より約300万票少なかった。この事実を受け入れられなかったのか、トランプ氏は何の根拠も示さずに「得票数で負けたのは300万~500万人の不法移民が不正に投票したからだ」などと突拍子もないことを言い出した。
・ジョンズ・ホプキンス医科大学での精神療法を含め、35年以上の実績と経験を持つジョン・ガートナー精神科医はトランプ氏の一連の言動をこう分析する。 「自分はベストで偉大だと思い込む誇大妄想の傾向が強いので、そこそこの勝利では我慢できないのだと思います。普通なら、“選挙に勝って大統領になったのだから十分だ”と考えるだろうが、彼の場合は“選挙人数でも得票数でも勝っていた”と主張しないと気がすまないのでしょう。就任式の参加者数でも同じことが言えます。トランプ氏は自分に都合の悪い現実を受け入れることができない。本当に危険なのは、彼が事実をねじ曲げ、自分の空想と一致するような“もう1つの事実”(嘘)を作り上げてしまうことです」
・トランプ氏は選挙戦中からずっと事実と異なる発言(嘘)を繰り返してきたが、目的を遂げるためなら平気で嘘をつき、それに対して自責の念を感じることも謝罪することもないというのが多くの専門家の意見だ。実際「トランプ氏の選挙戦中の発言のうち、77%は嘘だった」(『ポリティファクト』)との調査結果もある。
・そして、ロシアによる米大統領選介入にトランプ陣営が関わっていたのではないかとするFBI調査で追い詰められる中、トランプ氏は国民やメディアの関心をそらそうとしたのか、新たな暴言を吐いた。3月4日の朝、「なんということだ。オバマが投票日直前、トランプタワーを盗聴していたことがわかった。何も見つからなかったが、これはマッカーシズム(赤狩り)だ」とツイッターでつぶやいた。さらにこの後、「神聖な選挙戦の最中、私の電話を盗聴するとはオバマはどこまで落ちたのか。ニクソンのウォーターゲートと同じ悪い奴だ」などと立て続けに3回書き込みをした。
・結局、トランプ大統領からは何の証拠も示されず、FBIのジェームズ・コミー長官は「盗聴は起きていません」と議会で証言し、「トランプ大統領が言う盗聴を裏づける証拠はない」と明言した。
▽超ナルシストの「自己愛性人格障害」
・カリフォルニア州ロサンゼルスで精神科クリニックを約25年開業しているリン・メイヤー医師(臨床心理学博士)は最近、トランプ大統領の「精神障害」について他の医師と話す機会が多いが、ほとんどの人は「自己愛性人格障害」(NPD=Narcissistic Personality Disorder)を疑っているという。
・NPDは誇大妄想症、過剰な賞賛欲求、共感性の欠如などによって特徴づけられる人格障害である。米国精神医学会(APA)の「NPDの定義」によれば、多くの人は「自己愛性」の特徴を持っているが、そのうちNPDと診断される人は1%程度。次の9項目のうち5項目以上があてはまると、相当するという。
 1.自分の実績や才能を誇張する。
 2.無限の成功、権力、才能などの空想にとらわれている。
 3.自分は「特別」であると信じている。
 4.過剰な賞賛を求める。
 5.特権意識をもち、特別な取り計らいを期待する、
 6.対人関係で相手を不当に利用する。
 7.共感性の欠如。
 8.よく他人を妬み、または他人が自分を嫉妬していると思い込む。
 9.傲慢で横柄な行動や態度を示す。
・メイヤー医師は、「トランプ氏の場合、9項目すべてが当てはまるように思う。学校の成績でいえば“オールA”です」と話す。 「就任式の参加者数のことでメディアを批判したのは、どれだけ多くの人が自分を賞賛しているかを示す意味で重要だからです。一方、自分を批判する人に対して激しく攻撃するのは、批判を受け入れられないからです。褒めてほしい欲求が強すぎて批判に耐えられない、これもNPDの兆候です」
・さらにメイヤー医師はNPDを疑われる人物が核のボタンを握っていることについて警告する。 「最も注意しなければならないのは、結果をよく考えずに行動してしまう衝動性です。外国の指導者から否定的なことを言われたり、批判されたりした時に激しい怒りを抑えられず、行動に移す可能性があります。このような人物が核のボタンを握っているのは米国にとっても世界にとっても非常に危険だと思います」 たしかにトランプ大統領が真夜中の執務室で核のボタンとツイッターを前にしている姿を想像するとぞっとする。世界最強の軍事力を誇る米国は7000個以上の核弾頭を所有するが、それを使用するかどうかは大統領の決定にかかっているのだ。
▽「世界でも最も危険な指導者になる」
・前出のガートナー医師も同様の懸念を示す。 「現実と空想の区別ができない妄想症のため、相手が攻撃を仕掛けてくると勝手に思い込み(現実は違うのに)、“想像上の敵”に向かって攻撃するかもしれない。このような人物に核のボタンを握らせるべきではないと思います」
・さらにトランプ氏の怖さはそれだけではない。豊富な診療経験を持つベテラン精神科医で心理学者のガートナー医師は、トランプ氏は非常に稀で深刻な「悪性の自己愛性人格障害(MNPD=Malignant Narcissistic Personality Disorder)」ではないかと推測する。MNPDは主にナルシシズム(自己愛性)、パラノイア(偏執病)、反社会性、サディズム(他人を傷つけて喜ぶ)の4つの要素を持ち、治療はほぼ不可能だという。
・「パラノイアは移民やマイノリティへの侮蔑発言やメディアへの敵視などに現れ、反社会性は人々の権利を侵害したり、嘘をついても自責の念がまったくない所に現れています」 MNPDという病名を最初に使ったのはナチスドイツの迫害から逃れた心理学者のエリック・フロム博士で、1964年にヒトラーなどファシズム指導者の精神構造を解明するために考え出した。そのため、MNPDは「ヒトラー型の人格障害」とも呼ばれているそうだ。
・ガートナー医師はこう続ける。 「これまで多くの人格障害患者を診てきたが、トランプ氏のケースは“最悪の最悪”と言ってよいでしょう。普通のNPDなら、問題はあってもなんとか大統領として4年の任期を全うできるかもしれません。でも、彼は悪性のNPDですから、それよりはるかに病的です。パラノイドで反社会的で妄想的で、現実と空想の区別ができない。精神医学の見地から言っても非常に危険です。たとえば、精神医学の研究所で“世界で最も危険な指導者をつくる実験”をしたとしても、彼以上の危険な“人格”をつくり出すのは難しいでしょう。彼は意図的に混乱をつくり出し、人を傷つけることに喜びを感じているのですから」
▽「トランプ解任」を求める動き
・にもかかわらず、トランプ大統領は今でも40%前後の支持率(4月11日のギャラップ調査で41%)を維持している。それについてガートナー医師は、「全ての人を常に騙すことはできないが、一部の人を騙すことはできる」というリンカーン大統領の言葉を引用しながら、「だからこそ、彼の危険性についてより多くの人々に知ってもらわなければならない。それを行うのは私たち精神科医の責任だと思っています」と話す。
・ガートナー医師は2月半ば、他の精神医療の専門家と一緒に「警告義務の会」(DTW)を結成した。DTWはトランプ大統領の人格障害や危険性についての情報をメディアや政治家に提供したり、憲法修正第25条を適用して職務不能を理由に解任を求める署名運動を行ったりしている。3月末の時点で3万人を超える精神医療の専門家が署名したという。
・第25条には「職務不能を理由に大統領を解任し、副大統領を代理に据えることができる」と規定されている。具体的には、「副大統領と閣僚の過半数が“大統領は職務上の権限と義務を遂行できない”と判断した場合、副大統領が直ちに職務を遂行する」というものだ。
・精神医療の専門家に連動するかのように、議会でも大統領の解任に向けた動きが出ている。野党・民主党のアール・ブルメンナウアー下院議員は2月半ばに憲法修正第25条の適用に備える会を立ち上げ、「妄想症で偏執病の大統領には本条項が適用される可能性はあると思います」との声明を発表した。
・また、医療助手として働いた経験を持つカレン・バース下院議員は、「トランプ氏の衝動性と自己抑制の欠如、精神不安定性は米国にとって非常に危険である」として、「トランプ大統領に精神科医の診断を求める」署名運動をchange.orgで始めた。「ダイアグノス・トランプ(DiagnoseTrump)」と呼ばれるページには、4月14日の時点で3万6882人の精神医療の専門家が署名している。
・前述の「警告義務の会」と合わせて6万6000人以上の専門家が(一部は重複しているかもしれない)、トランプ大統領の「精神障害」を懸念し、職務能力に疑問を持ち、政府や議会に適切な対応を求めているのである。
・憲法修正第25条はこれまで一度も適用されたことはなく、しかも副大統領や閣僚が「大統領にノーを突きつける」というハードルの高さを考えると、現実的には難しいかもしれない。しかし、トランプ大統領は他に自らのビジネスとの利益相反問題や選挙中のロシアとの不適切な関係など、弾劾訴追の大きな火種をかかえており、憲法第2条(弾劾規定)の適用を受けて解任される可能性はある。
・ロシア関連の調査は現在、FBIと上下両院の情報委員会で進められており、疑惑はどんどん膨らんでいる。そのため、トランプ大統領がシリア攻撃に踏み切ったのは、ロシア疑惑から国民の関心をそらす目的もあったのではないかとの指摘も出ている。
・「公共政策世論調査」(PPP)が3月30日に発表した調査では、ロシア疑惑について国民の44%は「米国大統領選の介入でロシア政府とトランプ陣営は“共謀”したと思う」と答え、「そう思わない」(42%)を上回った。そして、「もし証拠が出たら、トランプ大統領は辞任すべきだ」と答えた人は53%にのぼった。
・与党・共和党が議会両院の多数を握っている現状では、普通に考えればトランプ大統領の弾劾は難しいかもしれない。しかし、ロシア疑惑の調査や「利益相反裁判」(トランプ氏は政治倫理監視団体から訴えられている)の行方次第では、世論が一気に高まる可能性はある。そうなれば、共和党の議員たちも「トランプ弾劾」に向けて動かざるを得なくなるだろう。そうしなければ、共和党は2018年11月の中間選挙で惨敗し、代わって多数を握った民主党が弾劾に向けて動きだす可能性が高いからである。
・ガートナー医師は最後に、「民主党が過半数を握ればトランプ大統領の弾劾訴追を行うでしょう。こちらの方が第25条より可能性は大きいと思います」と話した。
http://diamond.jp/articles/-/124974

第三に、4月25日付けJBPressが英ファイナンシャル・タイムズ紙から転載した「米国の貿易政策の愚行にどう対処するか トランプ政権の政策で赤字が減らなければ、責められるのは外国」を紹介しよう。
・米国の政策立案者に理屈の通らない話をされたら、その貿易相手国はどう対応するべきなのか。欧州諸国、日本、そして韓国は今、まさにそうした状況に置かれている。 ドナルド・トランプ米大統領が貿易政策で最も信頼しているウィルバー・ロス米商務長官の発言を聞いていると、ちょうど生理学を理解していなくてもスポーツ選手になれるように、経済の仕組みを理解していなくても億万長者になれるのだということが分かる。
・国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が発した貿易保護主義への警告に反発したロス氏は、本紙(フィナンシャル・タイムズ)に次のように語った。 「我々米国は、主要な地域の中では最も保護主義色が薄い。欧州よりもはるかに保護主義的でない。日本よりもはるかに保護主義的でない。中国よりもはるかに保護主義的でない」 
・さらにこう付け加えた。 「米国は、これら3つの国・地域すべてに対して貿易赤字を計上している。だから先方は自由貿易を主張している。だが実際のところ、先方がやっているのは保護主義だ。それに、我々が自衛策を講じれば、それが先方のささいな責務に対するものであっても、先方は必ず保護主義だと騒ぎ立てる。全くばかげた話だ」
・ばかげているのはロス氏の見解の方だ。貿易赤字は、その国が貿易に対して開かれていることを証明するものではない。その国が所得以上に消費しているか、貯蓄以上に投資していることを示す証拠だ。これは理論から導かれることであるうえ、確固たる裏付けも存在する。
・ほかならぬ米ヘリテージ財団が毎年、「貿易の自由度」を含めた経済自由度指数を発表している。ヘリテージ財団と言えば、トランプ政権に影響力があることを誇りにしているシンクタンクだ。同財団は1国の「貿易の自由度」を関税率の加重平均と非関税障壁に関するデータから算出している。これを見る限り、米国が最も自由な貿易政策を採用しているとはとても言えない。
・また、この「貿易の自由度」を横軸に、経常収支(経済規模について調整を施したもの)を縦軸に取るグラフ(散布図)を作り、各国がどこに位置するかを見てみる(なおこのベースでは、米国の経常赤字は177カ国中98位の大きさとなる)。すると理論から予想される通り、貿易の自由度と経常赤字との間には統計的に有意な関係が見られないことが分かる。 また、有意な関係が見られる部分に限ってみても、浮かび上がってくるのはロス氏の主張とは正反対の相関関係だ。すなわち、貿易の自由度が高い国ほど大きな経常黒字を計上するという弱い傾向が見受けられるのだ。
・保護貿易を行えば貿易赤字が縮小する――。直観的には正しいように聞こえるが、これは間違いだ。なぜなら、経済は孤立した市場でできているわけではなく、何もかもがほかの何かとかかわり合っているからだ。 例えば、輸入品に課税すれば、輸出品にも課税することになる。輸入品について保護貿易策を導入すれば、輸出品に投じられる資源が減らされる。言い換えれば、輸出とは輸入を供給する手段の1つにすぎない。もし、保護貿易策を採用したためにある国の輸入が減る場合、ほかの条件が変わらなければ、その国では輸出品の製造を促すインセンティブ(誘因)も弱くなる。
・米国の場合、それが生じそうなメカニズムは、輸入品の需要減少に伴う米ドルレートの上昇だろう。従って、保護貿易策は貿易赤字ではなく、貿易額の対国内総生産(GDP)比を引き下げる(つまり、その国の経済を閉鎖的な方向にシフトさせる)のだ。
・次に、高所得国の貯蓄率を横軸に、経常収支(上と同じく対GDP比)を縦軸に取った散布図を作ってみる。するとこちらは大方の予想通り、国全体でみた貯蓄率の違いから経常収支がおおむね正確に予測できることが分かる。これらの高所得国に限るなら、米国はどう見ても例外的とは言えない。米国は貯蓄率が比較的低い国であり、ほぼその結果、経常赤字を恒常的に計上している。
・経常収支を赤字にしているからこそ、米国は貯蓄を上回る規模の投資を行うことができている。もし対外赤字を減らしたいのであれば、投資を減らすか(明らかにこれは悪いアイデアだ)、貯蓄を増やすかのどちらかを実行しなければならない。後者を選択したいなら、その手始めとなる施策が計画されている減税ではなく、その反対の増税になることは明らかだろう。
・ロス氏が貿易の経済学を誤解していることは、無害な愚行どころの騒ぎではない。トランプ政権の財政政策では、米国の対外赤字の拡大は間違いないように思われるし、実際にそうなれば批判の矛先は外国に向かうことになるだろう。同政権の貿易政策では米国の貿易赤字は縮小されないだろうし、そこでも批判の矛先は外国に向かうだろう。
・そして米国は、商業そのものが多国間で行われているこの世界で、2国間貿易の収支均衡を目指すというばかばかしい提案をしてくるだろう。これも同様に失敗し、米国はその失敗も外国のせいだと主張するだろう。つまり現政権は、単に無知であるがために、開かれた貿易体制を破壊しかねないわけだ。
・現在の貿易体制は、第2次世界大戦後の繁栄の礎となってきた。第2次大戦後と言えば、人類が史上最も繁栄した時期である。IMFと世界銀行、そして世界貿易機関(WTO)が先日公表した優れた論文には、いま危険にさらされているのは何か、貿易の恩恵が今よりも広く享受されるようにするには何をしなければならないのかの両方が明確に論じられている。
・この論文では特に、悪影響を受ける労働者や共同体のためにセーフティーネット(安全網)を構築し、変化に伴う調整を支援する政策と組み合わせて運用するのが効果的だと説かれている。 しかしそのセーフティーネットは、共和党が弱体化させるつもりでいるものにほかならない。嘆かわしいことだが、そのせいで、輸入をはじめとする経済の変化から悪影響を受けている人々に共和党が提示する政策は、保護主義策だけになってしまっている。
・トランプ政権の貿易政策で最も恐ろしいのは、無意味であるうえに悪影響を及ぼす政策になっていることだ。世界経済全体における投資と貯蓄の不均衡に着目するなら、それは意味のある政策だと言えよう。経済の変化(この面においては、貿易は比較的小さな問題だ)に対する必要な調整、貿易の恩恵が広く享受されるようにする施策、そして上述の調整への支援拡大を組み合わせることは、有用な政策だと言えるだろう。
・そうした政策が取られる場合には、貿易が経済にダイナミズムをもたらすエンジンの1つであることが認識されるはずだ。貿易について今日最も懸念されるのは、その成長が減速していることだ。世界銀行が示唆しているように、この減速は生産性が伸び悩んでいる理由の1つかもしれない。
・では、米国の貿易相手国は、米国の要求にどう対応すべきだろうか。 まず、マクロ経済の不均衡が重大問題であることを受け入れる必要がある。世界経済にダメージを与えない範囲で、貿易を拡大するために譲歩をする必要もある。多国間の貿易自由化の意義を説く必要もある。そして、強者と弱者の両方を拘束する貿易ルールの原理を守るために、可能な限りあらゆる手段を講じる必要があるだろう。 とりわけ重要なのは、忍耐強く対応することだ。何が危険にさらされているかをこれほど理解できていない人々が、米国を永遠に統治するはずはないのだから。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49825(2頁目以降は有料会員限定)

天木氏が指摘するように、 『トランプはプーチンとの関係をこれ以上悪化さるわけにはいかないのである』、はその通りだ。現在、問題化しているコミーFBI長官解任も背景には、ロシアとの関係が噂されており、トランプの大きな弱点のようだ。
第二の記事にある 『「現実と空想の区別がつかない妄想症で、サイコパス(反社会性人格障害)の人物が核のボタンを握っていることの怖さ」』、というのは確かに恐ろしい話だ。 『超ナルシストの「自己愛性人格障害」』、 『「これまで多くの人格障害患者を診てきたが、トランプ氏のケースは“最悪の最悪”と言ってよいでしょう。普通のNPDなら、問題はあってもなんとか大統領として4年の任期を全うできるかもしれません。でも、彼は悪性のNPDですから、それよりはるかに病的です。パラノイドで反社会的で妄想的で、現実と空想の区別ができない。精神医学の見地から言っても非常に危険です』、などの見立ては、確かにトランプの奇怪な行動と面白いように符合している。 『「警告義務の会」(DTW)』、などによる 『「トランプ解任」を求める動き』、がさらに勢いを増してくれることに期待するほかなさそうだ。
第三の、英ファイナンシャル・タイムズ紙が、 『ウィルバー・ロス米商務長官の発言を聞いていると、ちょうど生理学を理解していなくてもスポーツ選手になれるように、経済の仕組みを理解していなくても億万長者になれるのだということが分かる』、との最大限の皮肉は、その通りだ。米国には超一流の経済学者を多く抱えながら、トランプやロスの暴論がまかり通るというのは、全く不思議だ。もっとも、80年代の日米貿易摩擦でも、経済学者の多くは沈黙していたことから、経済学の限界を示しているのかも知れない。 『とりわけ重要なのは、忍耐強く対応することだ。何が危険にさらされているかをこれほど理解できていない人々が、米国を永遠に統治するはずはないのだから』、との希望的観測にすがるほかなさそうだ。
明日は、FBI長官解任騒動を取上げる予定である。
タグ:トランプ新大統領 (その16)(いざとなったらプーチンに脅かされるに違いないトランプ、トランプは悪性の人格障害!?、米国の貿易政策の愚行にどう対処するか) 天木直人 いざとなったらプーチンに脅かされるに違いないトランプ 米ロ外相会談 トランプにはこれ以上プーチンを怒らせるわけにはいかない個人的理由がある。 トランプはプーチンに決定的な弱みを握られているのだ それは、選挙中に流された女絡みの醜聞だけではない。 フリンを更迭せざるを得なかった事からも明らかなように、ロシアとの不適切な関係こそがトランプの対ロ外交のアキレス腱なのだ 政権に就く前からロシア側と密通していた、米大統領選に関与させていた、サイバー攻撃に協力していた、という疑惑 ダイヤモンド・オンライン トランプは悪性の人格障害!?米で精神科医らが解任求める シリアのアサド政権に対する攻撃 国連決議や国際社会の支持を得ることなく、主権国家攻撃の根拠もシリア内戦終結の戦略も示さないまま、単独で武力行使に踏み切るのはかなりの危うさをはらんでいる もし米国が攻撃すれば、北朝鮮の報復によって韓国が火の海になるだけでなく、日本も甚大な被害を受ける可能性がある。そのリスクが大きすぎるために、米国の歴代政権は北朝鮮への軍事攻撃に踏み切らなかった。問題は気まぐれで衝動的なトランプ大統領が大惨事のリスクをすべて考慮に入れて、軍事的選択肢をテーブルの上に載せているのかということだ トランプ大統領の自己制御がきかない衝動性や精神不安定性に対する懸念が高まっている 35人の精神科医らが連名でニューヨーク・タイムズ紙に送った、「トランプ氏は重大な精神不安定性を抱えており、大統領職を安全に務めるのは不可能だ」とする内容の投書 、「危険性について認識しながら、沈黙しているのは逆に倫理に反する」として多くの精神医療の専門家(精神科医、臨床心理学者、ソーシャルワーカーなどを含む)が立ち上がり、トランプ大統領の解任を求める運動に加わっている 、「現実と空想の区別がつかない妄想症で、サイコパス(反社会性人格障害)の人物が核のボタンを握っていることの怖さ」 現実と空想の区別がつかない「妄想症」 トランプ氏は自分に都合の悪い現実を受け入れることができない。本当に危険なのは、彼が事実をねじ曲げ、自分の空想と一致するような“もう1つの事実”(嘘)を作り上げてしまうことです トランプ氏の選挙戦中の発言のうち、77%は嘘だった オバマが投票日直前、トランプタワーを盗聴 超ナルシストの「自己愛性人格障害」 「自己愛性人格障害」(NPD 次の9項目のうち5項目以上があてはまると、相当 トランプ氏の場合、9項目すべてが当てはまるように思う。 最も注意しなければならないのは、結果をよく考えずに行動してしまう衝動性です。外国の指導者から否定的なことを言われたり、批判されたりした時に激しい怒りを抑えられず、行動に移す可能性があります。このような人物が核のボタンを握っているのは米国にとっても世界にとっても非常に危険だと思います 世界でも最も危険な指導者になる 悪性の自己愛性人格障害(MNPD MNPDは主にナルシシズム(自己愛性)、パラノイア(偏執病)、反社会性、サディズム(他人を傷つけて喜ぶ)の4つの要素を持ち、治療はほぼ不可能 パラノイアは移民やマイノリティへの侮蔑発言やメディアへの敵視などに現れ、反社会性は人々の権利を侵害したり、嘘をついても自責の念がまったくない所に現れています ヒトラー型の人格障害 これまで多くの人格障害患者を診てきたが、トランプ氏のケースは“最悪の最悪”と言ってよいでしょう。普通のNPDなら、問題はあってもなんとか大統領として4年の任期を全うできるかもしれません。でも、彼は悪性のNPDですから、それよりはるかに病的です。パラノイドで反社会的で妄想的で、現実と空想の区別ができない。精神医学の見地から言っても非常に危険です 「トランプ解任」を求める動き 「警告義務の会」(DTW)を結成 3月末の時点で3万人を超える精神医療の専門家が署名 憲法修正第25条を適用して職務不能を理由に解任を求める署名運動 。「ダイアグノス・トランプ(DiagnoseTrump)」と呼ばれるページには、4月14日の時点で3万6882人の精神医療の専門家が署名 憲法第2条(弾劾規定)の適用を受けて解任される可能性はある ロシア疑惑の調査や「利益相反裁判」( 世論が一気に高まる可能性はある。そうなれば、共和党の議員たちも「トランプ弾劾」に向けて動かざるを得なくなるだろう JBPRESS 英ファイナンシャル・タイムズ紙から転載 米国の貿易政策の愚行にどう対処するか トランプ政権の政策で赤字が減らなければ、責められるのは外国 ウィルバー・ロス米商務長官の発言を聞いていると、ちょうど生理学を理解していなくてもスポーツ選手になれるように、経済の仕組みを理解していなくても億万長者になれるのだということが分かる 貿易赤字は、その国が貿易に対して開かれていることを証明するものではない。その国が所得以上に消費しているか、貯蓄以上に投資していることを示す証拠だ。これは理論から導かれることであるうえ、確固たる裏付けも存在 ヘリテージ財団 経済自由度指数 米国が最も自由な貿易政策を採用しているとはとても言えない。 貿易の自由度と経常赤字との間には統計的に有意な関係が見られないことが分かる 貿易の自由度が高い国ほど大きな経常黒字を計上するという弱い傾向が見受けられるのだ 米国は貯蓄率が比較的低い国であり、ほぼその結果、経常赤字を恒常的に計上 批判の矛先は外国に向かうだろう 2国間貿易の収支均衡を目指すというばかばかしい提案 現政権は、単に無知であるがために、開かれた貿易体制を破壊しかねないわけだ 世界貿易機関(WTO)が先日公表した優れた論文 悪影響を受ける労働者や共同体のためにセーフティーネット(安全網)を構築し、変化に伴う調整を支援する政策と組み合わせて運用するのが効果的 しかしそのセーフティーネットは、共和党が弱体化させるつもりでいるものにほかならない ・トランプ政権の貿易政策で最も恐ろしいのは、無意味であるうえに悪影響を及ぼす政策になっていることだ 米国の貿易相手国 マクロ経済の不均衡が重大問題であることを受け入れる必要 強者と弱者の両方を拘束する貿易ルールの原理を守るために、可能な限りあらゆる手段を講じる必要があるだろう とりわけ重要なのは、忍耐強く対応することだ。何が危険にさらされているかをこれほど理解できていない人々が、米国を永遠に統治するはずはないのだから
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