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小売業(百貨店)(その1)(三越伊勢丹(大西洋氏「突然クビ」の全内幕、「恐怖の追い出し部屋」でいま起きていること、「1億かけて1銭の利益も出ない催事」が象徴する苦境)) [企業経営]

今日は、小売業(百貨店)(その1)(三越伊勢丹(大西洋氏「突然クビ」の全内幕、「恐怖の追い出し部屋」でいま起きていること、「1億かけて1銭の利益も出ない催事」が象徴する苦境)) を取上げよう。

先ずは、3月29日付け現代ビジネス「三越伊勢丹HD社長・大西洋氏「突然クビ」の全内幕 辞任の3日前、 本人が語った「悔恨」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・カリスマ社長が、突然辞任を迫られた。業績の不調、構造改革による混乱、その責任が問われたとされる。しかし、その裏には、社内に渦巻く三越派と伊勢丹派の対立があった。「百貨店の雄」の深層レポート。
▽決定打となった「失言」
・「私が記者会見で、会社について『構造改革を進めている』と言うと、途端に『じゃあ、お店を閉めるということか』と反応されてしまう。これは……うーん、どうなんでしょうか……。 それで私が、『いえ、構造改革というのはこういう内容です』と具体的なことを説明しても、結局メディアの方は、スピードと見出しのインパクトを重視した取り上げ方しかしてくれない。本来メディアというのは、もっと本質論に踏み込むべきだと思うのです。
・日本百貨店協会も月に一度、(売上高などの)数字をリリースで出しますが、『この分野の調子が良かった、悪かった』と書くだけ。 本当は、『今後どのようにマーケットがシュリンクするのか』『どう対策すべきなのか』といった点についてもっと分析すべきです。協会に出向している専務理事にもそう言っていますが、そうした内容が載ることはありません」
・三越伊勢丹HDの大西洋社長は、辞任を迫られる3日前の3月1日、本誌にこう語っていた。 普段は快活な大西氏が慎重に言葉を選び、自らの改革プランをネガティブに取り上げるメディアに不満を漏らす。時折うつむくその表情からは、構造改革がうまくいかず、「自分の真意を誰もわかってくれない」という焦りと無力感が窺われた。
・結果として見れば、この苦渋と悔恨に満ちた告白は、大西氏の社長としての「遺言」になったと言える。 3月4日の午後、三越伊勢丹HD本社の一室で、大西氏は同社の石塚邦雄会長から、 「構造改革の混乱の責任をとって、社長を辞めてもらいたい」と告げられ、辞表を突きつけられた。 7日には取締役会が開かれ、大西氏の辞任と、杉江俊彦取締役専務執行役員の社長就任があっさりと決まった。辞任という形を取ってはいるが、事実上の「解任」、クビである。
・経済部の記者が言う。 「三越伊勢丹の内部では、かなり前から大西氏への不満が高まっていました。こうした『反大西派』がクーデターを決意するきっかけとなったのは、昨年11月の決算会見です。 ここで大西さんは、記者の問いに答えて『伊勢丹松戸店、広島三越など4店舗は構造改革の対象となる』と話してしまった。これにほかの役員たちは驚き、一部の人は激怒しました。
・大西さんはあくまで大まかな方針を示しただけだったかもしれませんが、それを言ってしまうと、実際に店舗で働いている従業員や取引先からすれば、『閉店するのか』と騒ぎになるのは当たり前のこと。会見で思いつきのように口にすべき話ではありません。 以前からこうした大西氏の勇み足が原因で、『俺たちが知らないうちに物事が既定路線になっていく』と不満が高まっていましたが、これが決定打となり、『大西降ろし』への動きが本格化したのです」
▽銀座三越免税フロアの悲劇
・大西氏は「カリスマ社長」として知られる業界の有名人である。前出の記者が解説する。 「大西社長は伊勢丹出身。紳士服のバイヤーとして活躍し、『伊勢丹メンズ館』を成功に導いた立て役者です。'12年に56歳で三越伊勢丹HDの社長に就任しました。婦人服の担当者が出世しやすい同社にあって、異例の抜擢でした。
・社長就任後は、洗練されたファッションや商品へのこだわりを語る姿が人気を博し、雑誌やテレビに頻繁に登場するようになります。記者への対応も非常に丁寧で、出演を断らないのでメディアからの評判はよかった。 一方で、社内では、あまりにメディア露出が多いので、『外面がいいだけ』という評価もあった。『テレビに出る暇があったら仕事をしてくれ』と言われていたのです」
・三越伊勢丹の経営については、百貨店という伝統や文化を大切にする方針を貫いていた。ファッションジャーナリストの南充浩氏が言う。 「ご本人にインタビューをしましたが、百貨店への愛が非常に深い方です。ほかの大手が、百貨店の売上比率を減らし、『貸しビル業』の割合を増やしていく中、三越伊勢丹はいまだに百貨店の比率が90%を超えている。
・その分、危機意識も非常に強く、『このままではダメだ』と言うのを何度も耳にしました。自社のオリジナル製品を増やしたり、意識改革のため、社員をベンチャー企業、IT企業などに出向させたりしていました」 しかし、ネット通販が爆発的に拡大し、リアル店舗でもユニクロや家電量販店といった専門店が全国各地にあふれる中、百貨店には強い逆風が吹いている。大西氏の施策はなかなか実を結ばず、特にこの1年は売り上げを落としてきた。
・「'17年3月期の営業利益予想は、240億円と前年比で3割減です。大西さんは、中小規模の店舗を地方に積極出店するなどいろいろ策は打っていましたが、いまのところ、どれもそれほど奏功していません。 '13~'15年は、中国人観光客の『爆買い』で売り上げが立っていましたが、ブームが去ると、一気に業績が低迷し、むしろ以前よりも状況が悪化していることが明らかになりました」(前出・記者)
・本誌は3月初旬の平日昼、銀座三越を訪れた。'16年1月に「爆買い客向け」としてオープンした8階の免税店フロア「Japan Duty Free GINZA」では、ヴァレンティノ、グッチなどの売り場がまぶしく輝くが、客はゼロ。ほかのフロアにも、日本人の客はほとんど見当たらず、アジア圏からの旅行客が数人歩いているだけだ。
▽社内の不満分子が…
・働いている従業員は社長辞任について、「突然のことで、我々もみんなびっくりしています。ただ、社長が替わったとしても2年先まで基本的な商品のラインナップは決まっている。しばらくは特にリニューアルがあるとも思えません」 と淡々と語った。 この免税店フロアを積極的に推進したのは大西氏だが、三越銀座店の売上高は、昨年に比べて5%以上低下している。責任を問う声が社内から出てくるのは必然だった。
・さらに、三越伊勢丹の場合、社内に三越派と伊勢丹派の強い対立がある。同社の三越出身の中堅社員によれば、「昨年、ようやく三越の賞与体系が伊勢丹と同じになったばかりで、いまだに社員同士がいがみ合っている」といい、この内紛が、伊勢丹出身の大西氏への反発の声をさらに強めていた。同社員が言う。「三越銀座店の売り上げが下がっているのは、大西さんが爆買い客への対応に注力するあまり、日本人客の接客をおろそかにしたからだとの批判が、特に三越系の社員から出ていました。お客さんからは、『中国人スタッフが増え、接客のレベルが下がった』といった声が上がっています。
・三越は伝統的に、良質な富裕層の顧客という『財産』を大事にしてきましたが、伊勢丹出身の大西社長が、爆買いに気を取られるあまり、その財産を捨ててしまった。三越出身者は、自分たちの伝統を壊されたと感じています」
・こうした対立によって、「構造改革」のかじ取りも難しくなっていた。前出の記者が言う。「三越と伊勢丹、どちらかの店舗が閉店されると、それぞれの出身者のモチベーションはどうしても落ちる。今年3月には三越千葉店、同多摩センター店が閉店する予定ですが、これは三越出身者にとっては許しがたいこと。 なぜ自分たちの城ばかりが削られていくのか、と。こうした中で構造改革を進めるには、ずば抜けた経営センスやリーダーシップが必要ですが、大西さんにはそこまでのものはなかった」
・業績の不調を挽回すべく、大西氏は百貨店の変革と同時に、新規事業で売り上げを立てる道も模索してきた。合弁でブライダルや飲食の新会社を設立した。 しかし、この新事業に対しても、現場から反発の声があがった。三越伊勢丹の幹部社員が不満を漏らす。
・「ただでさえ現場に人が少なくて、課長クラスの人間が顧客のクレーム電話に対応するなんてこともある。新店舗ができる時にも人が増えるわけじゃないから、『人員増なき新店舗』なんて言われています。そんな状況で、社内イントラには次から次に『新会社設立のお知らせ』が届く。『で、誰がやるの?』という感想しか浮かびません」
・だが、こうした新規事業をめぐる混乱は、大西氏だけの責任とは言い切れない。「伝統とプライド」に固執し、変化を嫌う三越伊勢丹の企業風土も関係しているのではないか。そう指摘するのは、前出の南氏だ。  「基本的に三越伊勢丹というのは、伝統を大切にする企業。新たな事業に対しては消極的な人が少なくないと思う。そうした土壌では、大西さんが行っていたような矢継ぎ早の改革に違和感を持つ社員が出るのはうなずけますし、間接的には、それが今回の辞任につながったという見方もできる。
・しかし一方で、大西さんがやろうとしたのは、ジリ貧の部門をカバーするために新しい事業に進出すること。『百貨店を残す』ことを選び、会社の生き残りを図るためには必要なことだとも思います」
▽「優等生」新社長の手腕
・大西氏は、様々な面で新しいビジネスにチャレンジしようとした。本来ならこうした挑戦をする場合、社内の重要な人物を押さえ、「根回し」や「政治」をすることが重要になってくる。しかし、大西氏がそうしたことを苦手としていたことも、今回の辞任劇につながった可能性がある。前出の幹部社員も言う。  「大西さんは、本人も『自分は社長になろうと思わなかった』と認めるとおり、社内政治で味方を増やしてのし上がってきたタイプではない。むしろそういった政治が苦手。
・それに、大抜擢で社長になったため、長年連れ添った参謀、右腕といった存在がいなかったようです。時折、都内店舗の店長をしている同期入社の社員らに相談をしていたようですが、役員の中にはあまり腹を割って話せる人はいなかったのではないでしょうか。基本的には社内の権力基盤は弱かった」
・賛否はありつつも「カリスマ」として注目されてきた社長を失った三越伊勢丹。では、新しく社長になる杉江氏はどんな人物なのか。前出の社員が言う。 「もともと経営戦略畑が長く、40代の時に伊勢丹新宿店の食品フロアの改革を成功させ、社内で広く評価されました。自己紹介の時に『僕は入社以来、一度も上司に怒られたことがない』と言うことがあるんですが、実際ものすごく頭が切れ、それに嫌味も全然ない。
・しかし一方で、よくも悪くも非常に『優等生的』な人物。社内でも、『杉江さんが就任らしい』という話題が出ても、『どんなことをしてくれるんだろう』といったわくわくした感じはありません」 前出の南氏も言う。「新社長は『事業の多角化よりも本業の立て直しに力を入れる』と宣言していますが、百貨店一本では難しいからこそ、中身についての賛否はどうあれ大西さんは新事業に力を入れてきたわけです。それを『百貨店一本足』に戻すことには疑問を抱かざるを得ません。どういう戦略を練ってくるのか注目したい」
・逆風吹きすさぶ百貨店業界。新社長は大西氏との違いを見せることができるのか。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51244

次に、4月19日付け現代ビジネス「三越伊勢丹「恐怖の追い出し部屋」でいま起きていること 前社長派は戦々恐々… 」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・狭い部屋に50人以上の社員が押し込められる。デスクもないし、パソコンは共用。中には部長クラスの社員もいて、屈辱以外の何物でもないだろう。「百貨店の雄」の迷走はまだまだ続く。 
▽座る椅子もない
・「まさかウチの会社に『追い出し部屋』ができるなんて、夢にも思っていませんでした。まったく別の業界の話だとばかり思っていた。 持ち株会社の人事部付で『サポートチーム』という部署ができ、4月1日付の人事で、50人以上の社員が各々バラバラの部署からこのチームへ異動させられたんです。 部長クラスが数人、課長・係長クラスが20人以上、定年間近の人から30代の人まで様々なようです。 降格させられる社員が多く、当然給与も減ります。部長クラスは管理職を外され、年収が100万円超下がるとも言われています」(三越伊勢丹の中堅社員)
・役員たちのクーデターにより、前社長の大西洋氏が突然クビに追い込まれるという「お家騒動」に揺れた三越伊勢丹。 4月1日から杉江俊彦社長率いる新体制が本格的にスタートしたが、始まったのは人員の「大粛清」だった。名門百貨店が、不要な社員の「在庫一掃セール」を始めたのだ。
・本誌は、人事部長が同チームに異動する社員に送ったメールを独自に入手した。そこには、社員に対する会社側の非情で無慈悲な仕打ちが示されている。 サポートチームの50人超が押し込まれる「拠点」は、三越日本橋本店の近くにある賃貸ビルの4階の部屋。三越伊勢丹が間借りしているフロアのこの一室は、椅子が20~30脚程度しか並べられないという。
・この部屋についてはさらに、〈取り急ぎ、PCは4台配備しました。1台は事務担当者専用とし、残り3台は共有とします〉 と50人超に対して、たったの3台しかPCが与えられていないことが告げられ、さらに、〈(この場所は)あくまで私物置場機能と、みなさんとの連絡中継点機能程度です〉 〈私物についてですが、上記記載の通り、『キャビネ1棚分』のスペースは確保できますが、まずは4/3(編集部註・最初の出社日)当日に現地をご覧いただいた上での持込みをお願いします〉 とされている。
・サポートチームのメンバーには、個人のための席すら用意されていない。服装は、〈店頭への応援に準じた服装〉とある。なぜか。 「サポートチームに課された仕事は、旗艦店3店舗(伊勢丹新宿本店、三越銀座店、三越日本橋本店)での『販売応援』なんです。お客様の整列や、棚の整理など誰でもできる業務。学生バイトにやらせるような仕事です」(前出・中堅社員)
・メールでは、今後の会社人生について考えるよう促す「面談」にも言及されている。 〈個別面談 4/初旬から早速、お一人ずつとの個別面談を予定しています。事前に頂いたご事情なども確認しつつ、今後の仕事などについて個別説明およびご相談を受けたいと思います〉
▽「なんで俺なんだよ」
・「これまでは、降格などの可能性がある場合、事前に『警告』が発され、業務が改善するかどうかの経過観察が行われたうえで、どうしようもなければ降格させられていました。それがいきなりこんなことになって……。
・サポートチームに追いやられた私の同僚は、4月3日、日本橋のオフィスへ出社した後、午前中にごく簡単なオリエンテーションを受け、さっそく三越日本橋本店の売り場の『お手伝い』をさせられたようです。 それまでお得意様の営業をやっていた奴が、新入社員がやるような棚の整理なんかをやらされる。『なんで俺なんだよ。もっとほかに来るべき奴がいるだろ』と嘆いていました」(前出・中堅社員)
・同社を取材すると、コーポレートコミュニケーションの担当者は、「サポートチームは、各部署への適正な要員配置と生産性向上のため導入したもの。後方部門の社員が、繁忙期に店頭営業の応援に入る機会が増えており、これを抑制したり、外部委託を止めて営業周辺業務を専任化・内製化したりするためです。従業員の雇用確保を大原則としています」 と「追い出し部屋」を否定した。
・突然降格を告げられ、閑職に回される――この状況に、社員であれば誰もが不安を抱くだろうが、中でもとくに戦々恐々としているのが、大西前社長と親しくしていた社員たちだという。 3月の中旬に発表された役員以上の幹部人事では、大西氏と近かった幹部が露骨に会社の中枢から遠ざけられ、大粛清の様相を呈していた。伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店の店長が交代させられるなど、オセロの黒と白が裏返るように、大西色が排除されていった。
・「幹部の粛清人事は本当に露骨でえげつない。こうした人事の後で、『追い出し部屋』の件が持ち上がったので、社内では『大西派』の社員がそこに行かされているのではないか、という見方も出ています。 三越伊勢丹の部長職は、一般的な会社と同様、役員のすぐ下に位置する役職で、同期入社のうち1割ほどしかなれません。そんな出世コースを歩んでいた社員が、いきなり管理職の身分を奪われ、販売応援をする部署に飛ばされるんですから、『どんな役職の人間も容赦はしない』というメッセージにも受け取れます。
・せっかく出世しても、ついていた上司を間違えただけで左遷かと思うと、やるせないですよ」(同社の幹部社員) コストカットが加速することは、クーデターの時点で不可避だったと言える。そもそも大西氏はなかなか人員削減をできないタイプだった。
・大西氏に複数回インタビュー経験がある、ファッションジャーナリストの南充浩氏が言う。 「大西さんは、三越と伊勢丹の合併時にバックオフィスの人間が増えすぎてしまったことはよく認識しており、減らさなければならないと考えていました。しかし温厚なタイプの大西さんは結局、人員削減には踏み切れずにいた。 むしろ、旅行会社を買うなど新規事業に力を入れることで、百貨店の売り上げをカバーしようとする意識が強かったのです」
▽社内は大混乱
・その大西氏を追い落とした杉江社長は、3月に行った就任会見の際、大西社長との違いをこう強調していた。 「大西社長は、第一に成長投資を進めて、その上で構造改革を進めようとしてきました。私は構造改革を優先し、その成果を原資にして成長分野に投資するつもりです」 つまり、構造改革=人員削減・コストカットこそが、新体制の最重要課題。人を減らさなければ、新体制に変わった意味がない。その意味で、杉江社長は、公約通りに経営を進めている。
・だが、当然のことながら、社内では急激なリストラ策に対して不満の声が漏れている。 「伊勢丹の新宿本店の近くには、『事務館』と言われる賃貸のオフィスが点在していますが、コストカットのためにこのオフィスの一部を返すことになった。だから、どの部署も人数がキャパシティを超えていて、会議室なんてギュウギュウのすし詰め状態です。
・しかも、社長の交代騒ぎのせいで、人事異動が混乱し、仕事を誰がやるか決まっていない。『この仕事を誰がやるのか』という本来なら不要な会議を、延々と2時間もやっている光景が会社の各所で見られる。社長交代は混乱を増しただけとの声も上がっています」(前出・中堅社員)
・4月1日、杉江社長は、各部署に設置されたモニターを通じて、恒例となっている新年度の社長あいさつを行い、「お客様のニーズにこたえるべく、社内の風通しよく、頑張りましょう」と述べた。 だが、当然ながら、「社員の士気はまったくあがらなかった」(前出・中堅社員)という。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51449

第三に、5月15日付けダイヤモンド・オンライン「三越伊勢丹HD「1億かけて1銭の利益も出ない催事」が象徴する苦境」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「お話しするのも恥ずかしいが、1億円のコストをかけて、1銭の利益も出ない催事を一生懸命やっていた」――。 大西洋前社長が3月に突如辞任し、混乱が続く百貨店業界の雄・三越伊勢丹ホールディングス(HD)。後任の杉江俊彦社長は5月10日、2017年3月期決算の発表記者会見で、基幹店である伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店と銀座店の3店について「コストコントロールが全くできていなかった」と指摘。冒頭の発言は、その一例をあけすけに説明したものだ。
・自嘲的な発言が口をついて出てしまうのも無理はない。中国人観光客の“爆買い”需要が去り、同社の17年3月期の連結売上高は2.6%減の1兆2534億円、純利益は43.5%減の149億円となったからだ。 一方で、大丸・松坂屋を擁するJ・フロントリテイリングは、17年2月期決算で減収となったものの純利益は増益に、高島屋も減益ながら純損益のマイナス幅は12.4%減にとどまるなど、三越伊勢丹HDの不振ぶりが際立つ。
・こうした決算を受けて杉江社長は、14~16年度の中期経営計画の目標値がほとんど全て未達に終わった「大西路線」を全否定し、大きな転換を図ると明言した。 在庫リスクを自ら抱えて独自商品を開発したり、メーカーと共同開発して販売し利益率を高める「仕入れ構造改革」。顧客との接点を増やすとして進めた中小型店「エムアイプラザ」「イセタンサローネ」の展開…。大西前社長が華々しく打ち出した新機軸は、たびたびメディアを賑わせてきた。
・だが杉江社長は、仕入れ構造改革について「利益貢献額は目標値を上回ったが、改革に要したコストを含めればマイナスの可能性がある」と負の側面を挙げ、中小型店の展開については「ビジネスモデルを確立する前に店舗数を拡大してしまった」として見直す方針を強調。特にエムアイプラザについては、新規出店の原則凍結を打ち出すなど、大胆に見直す考えだ。
・加えて、大西前社長が、顧客離れが止まらない百貨店事業に代わる成長事業として進出を決めたエステや旅行、外食事業については、「百貨店補完ビジネス」という位置付けに後退させたほか、早期退職の退職金割増額をさらに増やし、業界内で割高と言われる人件費を圧縮する考えを示した。 こうした方針転換について杉江社長は、「従業員とひざ詰めで話し合った」と述べ、まずメディアに方針を語って既成事実化してから社内に通達するトップダウン型の大西前社長との違いを何度も強調して見せた。
▽もはや周回遅れ?
・ただ、今回、未達に終わった中期経営計画は、杉江社長が当時、経営戦略本部長として大西前社長とともに策定したもの。社長就任時の記者会見でも「計画の立案には私も携わった」と明言している。 杉江社長は、不採算事業の見直しを後回しにして成長事業を優先していた大西前社長に対し、「自分はコストカットに最優先に取り組むべきだと訴えていたと」主張するが、「なぜ計画策定時ではなく、今になって全否定するのか疑問は残る」と指摘する百貨店関係者は少なくない。
・また、リストラと、基幹3店舗を始めとする本業である百貨店事業の収益力強化を打ち出した杉江社長だが、その前途は多難と言わざるを得ない。 リストラについては、大西前社長もコストカットに手をつけなかったわけではない。それなりに進めようとはしてきたが、労働組合や、社内の抵抗勢力が反対してきたといわれる。3月に三越の千葉店と多摩センター店、そして高崎店を閉店したものの、今後さらなる不採算店舗の閉鎖は不可欠。しかし、店舗閉鎖には抵抗が強く、その実現には相当の困難が予想される。
・また、百貨店事業の収益力強化の道筋も見えない。同業他社はここ数年、不振の本業をカバーするため、さまざまな工夫に乗り出している。 たとえばJ・フロントは、4月に「GINZA6」をオープンさせたように、テナントを入れて賃料を稼ぐ「不動産業」に力を注ぎ、景気や消費動向に左右されず、収支が安定しやすいビジネスモデルへの転換を図っている。また高島屋は、ショッピングセンターなどの店舗開発で稼ぐ関連会社を育てて収益をカバーしている。
・対する三越伊勢丹HDは、競合他社と比べて“周回遅れ”の感は否めない。その対策として、大西前社長は旅行やエステなどの会社を買収し、収益源の多角化を図ろうとしてきたのだ。 もっとも中計の達成度や業績を見れば、大西路線の成果には確かに疑問符が付く。杉江体制に入り、その問題点の洗い出しがようやく始まったわけだが、かといって明確な成長戦略があるわけでもない。立て直しに残された時間は、決して多くはない。
http://diamond.jp/articles/-/127814

第一の記事で、大西前社長が日本百貨店協会の発表ものに改善要望した内容なるものは、経営者として知りたいのは理解できるが、誰がやっても不可能な「ないものねだり」でしかない。「殿ご乱心」というほかない。リストラ対象店を根回しなしに公言したというのにも、驚かされた。 『社内では、あまりにメディア露出が多いので、『外面がいいだけ』という評価もあった。『テレビに出る暇があったら仕事をしてくれ』と言われていたのです」』、ということであれば、『カリスマ社長』とのマスコミなどの評価も随分いいかげんなものだ。 『ほかの大手が、百貨店の売上比率を減らし、『貸しビル業』の割合を増やしていく中、三越伊勢丹はいまだに百貨店の比率が90%を超えている』、ことから、改革は待ったなしだ。新社長は、『『僕は入社以来、一度も上司に怒られたことがない』と言うことがあるんですが、・・・よくも悪くも非常に『優等生的』な人物』、ということであれば、真の改革はあまり期待できそうもなさそうだ。
第二の記事は、「追い出し部屋」としては他社並みなのかも知れないが、やり過ぎれば、モラルダウンが激化し、百貨店としては致命傷になりかねないと思われる。
第三の記事で、 『もはや周回遅れ?』、『今回、未達に終わった中期経営計画は、杉江社長が当時、経営戦略本部長として大西前社長とともに策定したもの。・・・「なぜ計画策定時ではなく、今になって全否定するのか疑問は残る」と指摘する百貨店関係者は少なくない』、などの指摘からみると、前述の「真の改革はあまり期待できそうもなさそうだ」との思いを一層強くした。
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