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自衛隊が抱える問題(防衛問題)(その4)(「ミサイル防衛」という壮大な虚構、「Jアラート」の警報は北朝鮮ミサイル落下に間に合わない、米国の対北朝鮮政策に全面協力で日本はカモに?) [国内政治]

自衛隊が抱える問題(防衛問題)については、3月10日に取上げた。今日は、(その4)(「ミサイル防衛」という壮大な虚構、「Jアラート」の警報は北朝鮮ミサイル落下に間に合わない、米国の対北朝鮮政策に全面協力で日本はカモに?) である。

先ずは、選択2017年4月号「「ミサイル防衛」という壮大な虚構 米国製「破れ傘」に消える税金と安全」のポイントを紹介しよう(▽は小見出し)。
・ミサイル防衛(MD)は北朝鮮に対する抑止力として導入。完全な迎撃は不可能なのに、これを追求してMD網を増強していけば、予算は無限大に膨らむ。それを回避するのは、敵基地攻撃能力を備えるしか対処の手段はないが、政府は及び腰で、米国の打撃力に身を任せる。トランプ政権始動で、米朝関係が緊迫化し、MDに内在する陥穽も浮上。
・日本のMD網は二段構えで、まず日本全域をカバーするイージス艦搭載の「SM3」が大気圏外で弾道ミサイルを撃ち落とす。残した場合、地上配備型のパトリオット(PAC3)が高度15-20キロで迎撃。もっともらしいが、日本のイージス艦は4隻だけ、1隻が同時に撃ち落とせる弾道ミサイルは数発止まり。北朝鮮が弾道ミサイルを乱れ撃ちしてきたら、ひとたまりもない。PAC3は十カ所余りに配備されているが射程は20キロ、日本の面積比では殆どカバーされてないに等しい。政府は、三層構造とするために、SM3などを地上に配備する「イージス・オンショア」と「終末高高度防衛(THAAD)ミサイルを検討中。だが、どんなにMD網を強化しても完全な迎撃などあり得ない。弾道ミサイルの乱射や多弾頭化で、一発でも撃ち漏らせば、壊滅的な被害を受ける。
▽「斬首作戦」に怯える日本
・谷内国家安全保障局長は、2月28日、マクマスター大統領補佐官と会談、行間の趣旨は慎重な対処を要望。軍事行動に出る場合には、事前に相談してほしいと申入れ(駐米大使も)。トランプが「北朝鮮の報復攻撃で米国が被弾する可能性はない。やるなら今のうちだ」と判断し、中距離弾道ミサイルに怯える日本をよそに「斬首作戦」にゴーサインを出しかねないと日本政府関係者は懸念。防衛省・自衛隊で極秘情報が漏れまくっている現状に、米銀関係者はいら立っており、事前通告するかは疑問。
▽敵基地攻撃能力の副作用
・MD網強化よりはるかに安上がりだが、政府が攻撃能力保有に慎重だったのは、世論の批判への警戒感だけが理由ではない。北朝鮮の核・ミサイル開発は、米国から体制保証を求める外交カードだったが、日本が攻撃能力を持てば、今にも増して日本を標的にする恐れが強まりかねないからだ。中国や韓国も猛反発、米国も両国との関係を考慮すれば、諸手を挙げて賛成する保証はない

次に、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が5月11日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「Jアラート」の警報は北朝鮮ミサイル落下に間に合わない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・政府は4月21日、北朝鮮の弾道ミサイルに対する住民避難訓練を早期に実施するよう都道府県に求めた。このため各市町村だけでなく、企業、業界団体、学校などでも、ミサイル飛来時の対策が検討され、学童、保護者への通知なども行われている。これらは弾道ミサイル発射の警報が落下の4分前に出ることを前提としている。
・だが現実には、これまで警報を出せたのは北朝鮮が事前に発射を通告していた人工衛星打ち上げの際の2回だけだ。北朝鮮は予告なしに北海道沖、秋田沖などの日本海に向けて次々と弾道ミサイルを発射し、実験や戦力の誇示をしてきたが、それに対しては陸地で警報が出なかったのはもちろん、船舶に対する注意報が出たのもミサイルが落下した後だった。
・菅官房長官はその度に「事前通告なしに発射されると、どこに飛ぶか事前に察知することは極めて難しい」と弁解してきた。実戦で弾道ミサイル攻撃をする場合に相手が事前通告をしてくれるはずがない。ミサイルの落下前に警報を出すことが至難であることを知りながら、あたかもそれが可能であるかの如き想定で対策を示し、訓練をさせるのは国民に対して不遜の極みだ。
▽地下鉄の運転見合わせ、発射30分後 Jアラートは情報流さず
・4月29日午前5時30分頃、北朝鮮西部の平安南道(ピョンアンナムド)、北倉(プクチャン)付近から弾道ミサイル1発が発射されたが、約50キロ飛んで高度71キロに達したところで爆発、実験は失敗に終わった。  この際、東京メトロは同6時7分頃から約10分間運転を見合わせ、北陸新幹線も6時8分頃から11分間、金沢駅と上越妙高駅間で運転を見合わせた。
・これは全く間の抜けた話だ。北朝鮮から発射された弾道ミサイルは7、8分、長くても10分以内に日本に達するから、発射後30分以上も過ぎて電車を停めても意味がない。まるで踏切を列車が通過した後に遮断機を下したような恰好だ。
・午前6時頃のテレビの速報を見て決めたようだが、発射から報道までに早くて数分、さらに停車の指示にも数分掛かるから、弾道ミサイル対策に列車の運転停止が役に立つことは無さそうだ。 この経験から東京メトロとJR西日本では今後は政府の「Jアラート」(全国瞬時警報システム)による緊急情報により運転見合わせを決める、とした。だが4月29日にはJアラートは「ミサイル発射」の情報を流していなかった。
▽機能した過去2回は北朝鮮の事前通告があった
・これまでJアラートが「ミサイル発射情報」を発したのは僅か2回、2012年12月12日と2016年2月7日、「テポドン2」による人工衛星打ち上げの際だけだ。 この場合には北朝鮮が発射の計画をロンドンの国際海事機関に通告し、発射の日時(幅がある)や場所、第1段、第2段ロケットの落下予定海面も分かっていた。
・このため日本はイージス艦を出動させ、長距離レーダー、情報収集衛星などで必死に監視していた。米軍、韓国軍も厳重な見張りを行っていた。2012年12月には発射の6分後にJアラートがミサイル発射を伝え、2016年2月には発射の4分後にJアラートが作動した。
・だが、昨2016年8月3日午前7時53分頃、「ノドン」と思われる弾道ミサイル2発が発射され、1発は空中爆発、1発は秋田県男鹿半島沖約250キロの排他的経済水域内に落ちた際には、防衛省がそれを発表したのは発射から1時間15分後の9時8分で、防衛省はどこに落下したかもすぐに把握できていなかった。人工衛星打ち上げの場合と違い、防衛省は発射を知った時間などの詳細を公表しなかった。「手の内を知られるから」と言うが実は不手際を知られたくなかったのだろう。
・同年9月5日午後0時13分頃には「スカッドER(射程延伸型)」とみられる弾道ミサイル3発が発射され、9分後の同22分頃北海道奥尻島沖約200キロの排他的経済水域内に落下した。この際海上保安庁が防衛省や内閣官房の危機管理センターからの情報により、船舶に航行警報を出したのは0時31分で、落下の9分後だった。
・今年3月6日午前7時34分頃には、北朝鮮は「スカッドER」らしいミサイル4発を同時に発射、秋田沖と能登半島沖の排他的経済水域内に落下、北朝鮮は「在日米軍基地攻撃訓練だった」と翌日発表した。この際にも船舶に対する注意喚起が出されたのは発射から13分後の7時47分で、またも落下の後だった。
・海上保安庁は危機管理センターなどから来た情報を直ちに船舶に伝えるから、航行警報が出たのがミサイルの落下より後だったことは、もしJアラートで市町村などに警報を出すとしても、サイレンが鳴るのはミサイル落下後になることを示している。
▽どこに向かうかすぐには分からず 警報出しても、間に合わず
・度重なる秋田、北海道方面への弾道ミサイル発射に対して、これまでJアラートの警報が出されない理由について、内閣官房の危機管理担当官は「Jアラートのミサイル発射情報は、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性があると判断した場合に出す。領海外に落下すると判断すれば警報は出さない」と言う。
・だが、弾道ミサイルは発射後しばらく、ほぼ垂直に上昇し、その後、徐々に向きを変える。ミサイルが「スカッドER」か「ノドン」か、「ムスダン」かによって射程は大きく異なるが、それもすぐには分からないから、日本の方向に飛ぶミサイルが日本海に落ちるか、陸上の目標に向かうかは発射を知ってから、さらに後でないと判断できない。内閣官房のJアラートについての資料ではまず「ミサイル発射情報」を出し、「その後日本の領土、領海に落下する可能性があると判断した場合には続報として屋内避難を呼びかける」と述べている。これまでほとんどJアラートが使われていないのは「日本に落下しない」と判断したからではなく、落下地点を予測してから警報を出しても間に合わないのが実態だろう。
・政府(内閣官房と消防庁)は4月21日に都道府県の危機管理担当者約70名を招集し、市町村でも住民避難訓練を早期に行うよう要請した。 その際2016年2月の北朝鮮の「人工衛星打ち上げと称するミサイル発射」の際には「発射後4分で警報が出た」ことが強調された。 だがこれは事前に北朝鮮から通告があり、待ち構えていた場合の話で、実戦とは程遠い状況だったことを忘れてはならない。
・北朝鮮の人工衛星打ち上げを「人工衛星打ち上げと称するミサイル発射」と防衛省が言い続け、メディアもよく分からずにそれを繰り返すから、ミサイル発射は4分程で分かると思い込むのだろう。だが、2012年と2016年の「テポドン2」の発射で北朝鮮は重さ200キログラム程の小型人工衛星を周回軌道に乗せることに2回成功した。これは、米国戦略軍統合宇宙運用センターが認めている。
・ただ人工衛星は2回とも故障し、電波が出ていないことを理由に防衛省はなお「人工衛星としての機能はない」と主張する。だが「テポドン2」が高度約500キロで水平に加速して衛星を放出、それが地球を南北方向に周回していることは事実で、放物線を描いて飛ぶ弾道ミサイルとは全く異なる軌跡だ。
・「テポドン2」は全長30メートル、重量90トンもの大型で、海に面して丸見えの高さ67メートルもの巨大な固定発射機の側で2週間程かけて組み立て、液体燃料を注入して発射する。こんな物は航空機などの先制攻撃で簡単に壊されるから軍用ミサイルには全く不適で、日本の人工衛星用のH2Aなどと似た性格のロケットだ。
・これに対して軍用の弾道ミサイルは自走発射機に乗せて移動したり、潜水艦内に立てて積めるようにしたりするために、極力小型にし、発射準備時間を短くしようとする。例えば「ムスダン」(射程3000キロ以上)は全長12.5メートル、重さ12トン、10分で発射可能とされる。
・「弾道ミサイルも人工衛星用ロケットも基本的には同じ」と言う人が多いが、それは1950年代に、ICBM(大陸間弾道弾)と人工衛星が誕生した当時の話だ。その後の60年間で、弾道ミサイルと、人工衛星用ロケットは別々の方向に進化した。それを知らないこの説は「旅客機も爆撃機も基本的技術は同一」と言うような粗雑な論だ。テレビで人工衛星打ち上げの画像をながめて、「ミサイル発射とはこんな物」とのイメージを抱くのはまちがいの元だ。
・「2016年のテポドン2発射の際にはその4分後に警報が出た」と政府が言うのは事前通告があったことを言わない点で誇大広告じみており、対ミサイル防衛に関し「イージス艦のSM3ミサイルはハワイ沖の実験で4隻が1発ずつ発射し、3回命中したから75%の命中率だ」との宣伝と類似する。
・ハワイのカウアイ島沖でのイージス艦の実験では、標的となる模擬弾道ミサイルの性能、発射地点、落下する海面、発射時間などのデータが分かっていて、それを入力して待ち構えるのだから当たらない方が不思議な位だ。野球の練習で「センターフライ、行くぞ」と叫んで取らせる「シートノック」同然だ。実戦ではありえない最良の条件の下での成績を基準に防衛戦略や住民避難を考えるのは児戯に類する。
▽湾岸戦争でも ミサイル警報、空振りに
・1991年の湾岸戦争中、私はサウジアラビアの首都リヤドに居てイラクによる弾道ミサイル「アル・フセイン」(スカッド改)の攻撃を体験した。イラクは88発を発射、うちリヤドには13発が落下した。 ミサイル発射の際に出る大量の赤外線(熱)を、赤道上空約3万6000キロの高度で周回する米国の「早期警戒衛星」が感知すると、米本土の北米航空宇宙防衛司令部をへて情報が現地の米軍に伝わり、リヤドの市街でサイレンが響き、ホテルの火災報知ベルが鳴った。
・ロビーでコーヒーを飲んだりしているテレビカメラマンや、米中央軍の士官達、ペンタゴン担当記者らと共に一斉に階段を屋上に駆け上り飛来するミサイルを見ようとするのだが、何分待っても来ない。がっかりして部屋に戻ってテレビをつけるとイスラエルのテルアビブとか、ペルシャ湾岸のサウジアラビアの港町ダーラン(多国籍軍の補給拠点)など、他の地点に落ちたことが分かることが多かった。
・弾道ミサイルは発射後しばらく垂直に上昇するからどこに向かうか分からない。このため目標になりそうな地点すべてに警報を出したから空振りが多いのは当然だった。
▽確実な対策は離れた場所に一時避難しかない
・Jアラートは落下地点が予測できたのちに屋内避難を呼び掛けることにしているが、それまでに数分間の時間を失えば避難はますます非現実的となる。 一方、ミサイルが発射されるたび、日本全国、あるいは目標になりそうな基地周辺と大都市に警報を出せば国民は警報慣れし、避難をおこたることになる。湾岸戦争の停戦3日前の1991年2月25日、ダーランの米軍兵舎にミサイルが命中、28人が死亡、97人が負傷した。ミサイル発射警報は出ていたが米兵達も慣れて「めったに当たらない」と軽視して昼食中、偶然食堂にミサイルが飛び込んだのだ。
・北朝鮮が実用化している核弾頭は多分プルトニウムを使う初期型原爆で、長崎に投下されたものと同等と考えられる。その効果は、爆心地から熱線が半径約3キロ(第2度火傷を起こす)、爆風が同約2キロ(大部分の家屋が倒壊)、放射線(1ヵ月以内に死亡)が同約1.8キロに及ぶ。巻き上げられた土砂は強い放射能を帯び、風下50ないし100キロで致死的な放射線量を出す。「サリン」などの化学兵器は2、300メートルの範囲を汚染するが、原爆の被害の及ぶ範囲はまったく違う。
・地下に避難すれば熱、爆風は免れるし、湿った土は中性子、ガンマ線を減衰させるから生存率は高まる。だが、現実には警報を聞いてから核爆発までの間に地下に入れる人は少ない、と考えざるをえない。 もっとも確実な対策は、朝鮮半島で戦争が起こりそうになれば標的になりそうな場所(軍事基地や大都市中心部)から、ミサイルの誤差(左右よりも前後方向の誤差が大きい)も考え、飛来するコース(関東地方なら西北西から来る)から横方向に5キロ以上離れた場所に、一時的に疎開し、爆発後は風上に逃れることだろう、と考えざるをえない。
http://diamond.jp/articles/-/127402

第三に、戦争平和社会学者の北村 淳氏が5月18日付けJBPressに寄稿した「米国の対北朝鮮政策に全面協力で日本はカモに? “日本第一”ではなく“アメリカ第一”の日本政府」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・北朝鮮による核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成がいよいよ現実的になってきたため、トランプ政権は軍事攻撃というオプションをちらつかせながら本腰を入れて北朝鮮に強力な圧力をかけ始めた。  日本政府も、北朝鮮のICBM開発の進捗状況は日本にとって「新たな脅威レベル」であると認識し、アメリカの北朝鮮への軍事的威嚇に協力する動きを見せている。
▽アメリカに貢献する日本
・具体的には、北朝鮮威嚇のために出動してきたアメリカ海軍カール・ビンソン空母打撃群が日本近海に近づくと、日本政府は海自駆逐艦を派遣して護衛に当たらせた(下の写真)。アメリカ海軍にとって、空母打撃群の護衛を海自駆逐艦によって増強してもらうことは、大いなる戦力の節約になる。
・また日本国防当局には、「新たな脅威レベル」である北朝鮮弾道ミサイルを迎撃するという名目で、弾道ミサイル防衛システム(BMD)の増強を加速させようという動きが表立ってきている。THAADあるいはイージス・アショアといった超高額兵器システムである。それらのBMDはアメリカ製であるため、日本がBMDを調達すればアメリカ防衛産業は大いに潤うことになる。
・日本がアメリカ海軍の戦力の節約に寄与し、アメリカ防衛産業の懐を肥えさせれば、たしかに日米同盟の強化にプラスになると言えなくはない。「アメリカの国益からは大変ありがたいのだが、日本の防衛という視点から見ると、昨今の日本政府の姿勢に疑問を呈せざるをえない」とする米軍関係戦略家は少なくない。つまり「日本政府は日本国民よりもアメリカを向いているとしか思えない」というのだ。
▽アメリカの軍事攻撃が日本への反撃を引き起こす
・日本政府は地方自治体などに対して、北朝鮮の弾道ミサイルが着弾した際の対処方針を広報するよう指示を発した。北朝鮮のミサイルの脅威が現実のものとして迫っていると受け止めた人は多いだろう。だが、これこそが、日本政府が日本国民の生命財産の保護を最優先させるのではなく「アメリカの都合第一」という姿勢を取っていることを如実に物語っている。
・そもそも北朝鮮には、日本に弾道ミサイルを撃ち込んで先制攻撃する理由など存在しない。 日本と北朝鮮の間には拉致問題という深刻な問題が横たわっているが、拉致問題を巡って日本と北朝鮮の間に武力衝突が発生するのは、日本側が日本国民奪還のために軍事行動を起こした場合に限られる。ただし、拉致問題解決のために日本政府が軍事行動を発動することは、当面のところ絶対にあり得ない。
・ところが、日本が北朝鮮を軍事攻撃しなくても、日本に対して北朝鮮の弾道ミサイルが撃ち込まれる可能性がある。それは、アメリカが北朝鮮を軍事攻撃した場合である。 本コラムでも述べたように(本コラム3月30日「」、4月13日「」など)、アメリカが北朝鮮に軍事攻撃を仕掛けた場合、間髪を入れずに韓国・ソウル周辺は北朝鮮軍の猛烈な砲撃により火の海と化すことはほぼ確実である。そして極めて高い確率で日本に対しても50~100発程度の弾道ミサイルが撃ち込まれるものと考えられている。
・要するに、日本に北朝鮮弾道ミサイルが撃ち込まれるのは、アメリカによる北朝鮮に対する軍事攻撃が実施された場合だけと言っても過言ではない。
▽自国民が犠牲になってもアメリカを支える日本政府
・トランプ政権が北朝鮮に対して軍事攻撃を実施するそぶりを見ると、日本政府はただちにアメリカ政府を支持する方針を公言した。だが、それは日本の国土が反撃を受けることを日本政府が受け入れたということにも等しい。 「日本国民を守るつもりならば、『日本や韓国を犠牲にしてまでも軍事攻撃を実施するのか?』とトランプ政権に対して不信を表明すべきであった。不信を表明しなかったのは、独立国の政府としてははなはだ不思議な態度である」と上記の戦略家たちは首をかしげる。
・それどころか、日本国民に対して「弾道ミサイルが着弾した場合の行動指針」という訳のわからない内容の注意喚起まで行っている。このような政府広報を発するということは、アメリカによる北朝鮮に対する軍事攻撃を日本政府は容認していた何よりもの証拠である。 つまり「日本政府は、日本国民の生命財産を危険にさらしても、アメリカ政府の方針に全面的に追従するという、独立国としては理解に苦しむ態度を取った」ということになる。
▽北朝鮮の脅威を言い立ててBMDを売り込め
・また、北朝鮮の弾道ミサイルが飛来しかねないということで、弾道ミサイル防衛システムの強化をさらに推進しようという動きも活発になってきているが、これも「アメリカの都合第一」に依って立つ姿勢と言わざるを得ない。 なぜならば、北朝鮮の弾道ミサイルが日本に飛来する原因をつくり出すのは、アメリカによる北朝鮮に対する軍事攻撃だけだからだ。その結果として日本に飛来してくるであろう北朝鮮軍の弾道ミサイルを迎撃するためのBMDを、アメリカが日本に売り込もうとしているというわけである。
・アメリカが主導して開発を進めているBMDプログラムは、アメリカ(厳密にはアメリカ本土48州)をICBM攻撃から守るために開発されており、5~7段階の防御ラインから構築されている。その中からイージスBMD艦とPAC-3だけを取り出して日本に配備しているのが日本のBMDプログラムである。
・要するに、アメリカを守るために開発されているBMDプログラムの最初と最後のBMDだけを配備しているのが日本の弾道ミサイル防衛プログラムなのだ。アメリカのようには迎撃効果が期待できないのは当然といえる。
・それにもかかわらず、アメリカ政府が北朝鮮のICBM(そもそもICBMは日本攻撃には用いられることはない)開発を「新たなレベルの脅威」と呼んだことをそのまま日本に適用し、超高額兵器であるBMDを増強しようとしている日本政府は、まさにアメリカにとっては“かけがえのない協力者”(すなわち“単なるお人好し”)ということになる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50018

選択が、 『「ミサイル防衛」という壮大な虚構 米国製「破れ傘」に消える税金と安全』、との指摘は正論である。 『敵基地攻撃能力』についても、記事にある副作用以前の問題として、そもそも敵が日本を攻撃してくると確実に判断できるのか、憲法との兼ね合い、といった根本的問題があり、対応策としては、余りに非現実的だ。
田岡氏が、『北朝鮮の弾道ミサイルに対する住民避難訓練を早期に実施するよう都道府県に求めた』、『地下鉄の運転見合わせ、発射30分後 Jアラートは情報流さず』、などの政府の大時代的な対応を批判しているのは、その通りだ。 『「2016年のテポドン2発射の際にはその4分後に警報が出た」と政府が言うのは事前通告があったことを言わない点で誇大広告じみており、対ミサイル防衛に関し「イージス艦のSM3ミサイルはハワイ沖の実験で4隻が1発ずつ発射し、3回命中したから75%の命中率だ」との宣伝と類似する』、との指摘のように、政府もよくぞ恥ずかしげもなく「誇大広告」を繰り返せるものだ。
北村氏の記事にある (日本政府の対応は)『「アメリカの国益からは大変ありがたいのだが、日本の防衛という視点から見ると、昨今の日本政府の姿勢に疑問を呈せざるをえない」とする米軍関係戦略家は少なくない。つまり「日本政府は日本国民よりもアメリカを向いているとしか思えない」というのだ』、との指摘は安部政権の姿勢を端的に示している。 『日本に北朝鮮弾道ミサイルが撃ち込まれるのは、アメリカによる北朝鮮に対する軍事攻撃が実施された場合だけと言っても過言ではない』、 『自国民が犠牲になってもアメリカを支える日本政府』、『北朝鮮の脅威を言い立ててBMDを売り込め』、 『日本政府は、まさにアメリカにとっては“かけがえのない協力者”(すなわち“単なるお人好し”)ということになる』、などの指摘はその通りだ。しかし、日本のメディアも政府発表をタレ流すだけで、批判しようとしないのは、民主主義の守護神の役割放棄だ。
タグ:が抱える問題 自衛隊 (防衛問題) )(その4)(「ミサイル防衛」という壮大な虚構、「Jアラート」の警報は北朝鮮ミサイル落下に間に合わない、米国の対北朝鮮政策に全面協力で日本はカモに?) 選択2017年4月号 「「ミサイル防衛」という壮大な虚構 米国製「破れ傘」に消える税金と安全」 ミサイル防衛(MD) 北朝鮮が弾道ミサイルを乱れ撃ちしてきたら、ひとたまりもない イージス・オンショア 終末高高度防衛(THAAD)ミサイル どんなにMD網を強化しても完全な迎撃などあり得ない。弾道ミサイルの乱射や多弾頭化で、一発でも撃ち漏らせば、壊滅的な被害を受ける 「斬首作戦」に怯える日本 敵基地攻撃能力の副作用 田岡俊次 ダイヤモンド・オンライン 「「Jアラート」の警報は北朝鮮ミサイル落下に間に合わない」 弾道ミサイル発射の警報が落下の4分前に出ることを前提 警報を出せたのは北朝鮮が事前に発射を通告していた人工衛星打ち上げの際の2回だけだ ミサイルの落下前に警報を出すことが至難であることを知りながら、あたかもそれが可能であるかの如き想定で対策を示し、訓練をさせるのは国民に対して不遜の極みだ 地下鉄の運転見合わせ、発射30分後 Jアラートは情報流さず 機能した過去2回は北朝鮮の事前通告があった どこに向かうかすぐには分からず 警報出しても、間に合わず 都道府県の危機管理担当者約70名を招集し、市町村でも住民避難訓練を早期に行うよう要請 発射後4分で警報が出た」ことが強調 2016年のテポドン2発射の際にはその4分後に警報が出た」と政府が言うのは事前通告があったことを言わない点で誇大広告じみており、対ミサイル防衛に関し「イージス艦のSM3ミサイルはハワイ沖の実験で4隻が1発ずつ発射し、3回命中したから75%の命中率だ」との宣伝と類似する 北村 淳 JBPRESS 米国の対北朝鮮政策に全面協力で日本はカモに? “日本第一”ではなく“アメリカ第一”の日本政府 カール・ビンソン空母打撃群が日本近海に近づくと、日本政府は海自駆逐艦を派遣して護衛 弾道ミサイル防衛システム(BMD)の増強を加速させようという動きが表立ってきている アメリカの国益からは大変ありがたいのだが、日本の防衛という視点から見ると、昨今の日本政府の姿勢に疑問を呈せざるをえない」とする米軍関係戦略家は少なくない。つまり「日本政府は日本国民よりもアメリカを向いているとしか思えない 日本に北朝鮮弾道ミサイルが撃ち込まれるのは、アメリカによる北朝鮮に対する軍事攻撃が実施された場合だけと言っても過言ではない 自国民が犠牲になってもアメリカを支える日本政府 「日本国民を守るつもりならば、『日本や韓国を犠牲にしてまでも軍事攻撃を実施するのか?』とトランプ政権に対して不信を表明すべきであった。不信を表明しなかったのは、独立国の政府としてははなはだ不思議な態度である」と上記の戦略家たちは首をかしげる 日本国民の生命財産を危険にさらしても、アメリカ政府の方針に全面的に追従するという、独立国としては理解に苦しむ態度を取った」 北朝鮮の脅威を言い立ててBMDを売り込め アメリカ政府が北朝鮮のICBM(そもそもICBMは日本攻撃には用いられることはない)開発を「新たなレベルの脅威」と呼んだことをそのまま日本に適用し、超高額兵器であるBMDを増強しようとしている日本政府は、まさにアメリカにとっては“かけがえのない協力者”(すなわち“単なるお人好し”)ということになる
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