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日本郵政(その11)上場後の動向3(日本郵政4000億損失 元凶はまたも元東芝・西室泰三氏、日本郵政「M&A蟻地獄」 お荷物の郵便抱えた民営化の末路、日本郵政と野村不動産) [企業経営]

日本郵政については、昨年9月4日に取上げた。今日は、(その11)上場後の動向3(日本郵政4000億損失 元凶はまたも元東芝・西室泰三氏、日本郵政「M&A蟻地獄」 お荷物の郵便抱えた民営化の末路、日本郵政と野村不動産) である。

先ずは、デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が4月27日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本郵政4000億損失、元凶はまたも元東芝・西室泰三氏」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日本郵政は豪州の物流会社トール・ホールディングの資産を洗い直し、4003億円の損失(減損処理)を明らかにした。鳴り物入りの「戦略的買収」は、わずか2年で財務を揺るがす「お荷物」と化し、日本郵政の2017年3月期決算は赤字に転落する。
・「疑惑の買収」を主導したのは当時社長だった西室泰三氏。東芝を泥沼に引き込んだ米国の原発メーカー・ウエスティングハウス(WH)の買収を画策した人物だ。 法外な値で海外企業を買い、やがて損失が露呈し、カネを外国に吸い取られる。そんな経営者が財界の顔役となり、老いてなお巨大企業を渡り歩く。日本の産業界は一体どうなっているのか。
▽構図、巨額さ、役者までもが既視感のある日本郵政の減損
・25日記者会見した日本郵政の長門貢社長は、「買収した時の価格がちょっと高過ぎた。リスクの把握が楽観的だった」と語った。 買収価格は6600億円。当時から「高い買い物」と言われた。現時点の資産価値は2600億円ほどで買収価格との差、約4000億円が「のれん代」として計上されている。
・のれん代とは、トールを買収すれば将来これだけの利益をもたらすだろう、と「取らぬタヌキの皮算用」を金額にしたものだ。 アジアに展開するトールのネットワークと日本郵政の潤沢な資金が融合すれば、4000億円ぐらい取り戻せる、と日本郵政は説明していたが、「絵に描いたモチ」だったことが明らかになった。 トールは金の卵を産むアヒルではなく、従業員2000人の削減を迫られるメタボ体質の企業でしかなかった。
・2015年に決めた買収は、「ほとんど西室社長が一人で決めた買収だった」と日本郵政の関係者はいう。この年の秋に郵政3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の上場が予定されていた。 「政府の保有株を段階的に放出するため、株価を上げるためのお化粧が必要だった」 日本郵政のOBは指摘する。政府の収入を増やしたい財務省の意向を踏まえ、郵政グループを実態より大きく見せる「化粧道具」にトール買収が使われたというのだ。
・郵政グループは利益の80%以上を郵便貯金が稼ぐ。郵貯は昔のような優遇措置がなくなった。規模は年々減っている。上場に弾みをつけるため、国際物流進出という大風呂敷を広げ、買収で売り上げと利益を膨らませたのである。
・目先の「打ち上げ花火」に6000億円が使われたということだ。描いてみせたシナリオは、 「国内の郵便事業は頭打ち。成長を求めれば海外しかない。郵便で得た知見を国境を超える物流に生かせば国際企業になれる」 どこかで聞いたセリフではないか。 「国内の原発には限界がある。世界市場に打って出るしかない」 東芝が米国でウエスティングハウスを買った時のうたい文句とそっくりだ。
▽カネさえあればの安易な買収 実効支配できず損失だけが残った
・東芝はWHを6400億円で買った。ライバルの三菱重工が「企業価値の3倍の値段だ」と驚くほど気前のいい買収だった。決断したのは当時の西田厚總社長だが、西田を社長に据え、背後で操っていたのが西室だった。相談役でありながら実権を握り、経産省や米国政界と通じ、裏で買収を画策した。
・考えれば分かることだが、東芝にはウエスティングハウス(WH)を支配する力はない。日本の原子力産業は米国の技術で育った。原子力は軍事技術であり、WHは原子力空母や潜水艦などを抱える機密情報の塊だ。米国が日本の自由にさせるわけはない。 資本関係は親会社であっても、実際には「弟会社」。東芝は「口出しできない株主」でしかなく、アメリカ人経営者のやりたい放題を許し、巨額の損失だけを押し付けられた。
・カネさえあれば買収は可能だ。しかし経営の実効支配はたやすいことではない。 西室は日本郵政で過ちを繰り返した。トールの買収を決めた2015年2月は、東芝の不正会計はまだ表面化していなかったが、社内では社長・会長が号令を掛け、決算の粉飾が常態化していた。経営陣を追い込んだのは無理して買ったWHだった。「絵に描いたモチ」は食えず、ひた隠しする損失が財務の重荷になっていた。西室はその事実を知る立場にあった。
・東芝の原子力部門は、「原子力ムラ」でもたれ合い、リスク感覚は希薄で、海外ビジネスの怖さが分からない。気が付くと、甚大な損害が発生していた。
・トールも同じ。国内の郵便事業で育った日本郵政は国際物流など分からない。「現地のことは現地で」という西室流の甘い経営がトールを弛緩させ、損失を膨らませた。 「半径10キロ内の配送業でしかない郵便事業と、船やジェット機で国境を超える国際物流は別物。言語も文化もの違う大企業を、国内しか知らない素人が支配するなどできるわけはない」と関係者は言う。
▽海外M&Aの裏に内部留保あり その原資は従業員の汗と涙
・富士フイルムは、このほど3月期決算の延期を発表した。海外子会社で会計の不正処理が発覚し、その調査が終わらず決算ができないという。東芝がWHの足を取られているのと同じことが富士フイルムでも起きている。
・ゴキブリ1匹、裏に100匹というが、海外M&Aが活発化する裏で、不正会計やガバナンスの欠如が日常化しているのではないか。 第一三共はインドで製薬会社を買ったが4500億円の損害を出した。キリンはブラジルで1100億円、LIXIL(リクシル)はドイツで660億円を失った。日本企業は外資金融のカモにされている、と金融界で言われている。
・「手っ取り早く国際市場に打って出るには合併・買収しかありません」とけしかけられ、その気になる。同業他社が皆やっているので、やらないと不安になるらしい。 内部留保を抱えこみ、使い道に悩むキャッシュリッチの企業がM&Aでカネを毟られているのだ。
・そんな経営者が必ず言う言葉がある。「時間を買った」。生き残るために技術革新が必要だ。人を育て開発体制が強化する時間はもうない。手っ取り早く技術やノウハウを得るには会社ごと買うしかない――。 なまじカネがあるから、その気になる。年間利益の10倍を超える買収さえ珍しくなくなった。結果は、死屍累々である。
・金持ち企業の失敗、と他人事のように、笑っている場合ではない。M&Aブームは企業のリストラや社員の非正規化など、企業の現場で起きている様々な問題と裏表の関係にあるのだ。 バブル崩壊でペシャンコになった企業は、1990年代からリストラに励んだ。手を付けたのが人減らし、給与カット、従業員の非正規化である。 実質賃金は90年代半ばから下がり始めた。従業員の取り分を示す労働分配率はこのころから急速に下降した。会社の取り分である内部留保はどんどん膨らむ。バブル崩壊や銀行の貸し渋りに懲りた経営者は、企業の貯金を殖やすことで安心感を買った。
・おかげで日本企業の内部留保は370兆円(2016年)と空前の規模に膨らんだ。ところが副作用が目立つようになった。競争力の低下である。人員削減でベテランが居なくなり、現場は荒れ、従業員の士気は低下した。新技術や新製品を産み出す力が衰えた。肥料も水もやらず収穫ばかり急いだ結果、現場は干からびてしまった。
▽近視眼の経営者と「親米財界人」の罪深さ
・そこを金融外資が狙う。「カネはあるがチエがない」という弱みが企業にあった。 本来なら国内の労働環境を改善し、研究開発体制を再建するのが経営者の役割だろう。そんな悠長なことをする時間がない、次の決算で頭がいっぱい、という短期業績主義が産業界の主流になった。
・内部留保370兆円のかなりの部分は従業員の犠牲の産物だ。汗と涙が企業の貯金を殖やした。そのカネが外国企業の買収に充てられる。汗と涙の結晶は海外に流出する。その投資で利益を稼ぐ、というならまだ許せる。6000億円投資して4000億円損した。背徳行為ではないのか。
・日本郵政は国内で商売している。津々浦々の郵便局が、職員を減らし非正規に代え、預金を集め、郵便を届け、ツメに火を灯すようにして稼いだカネである。国内の儲けは国内に還元するのが好循環経済の原則ではないのか。 国内のカネを海外で使えば、国内消費を減らし、外国の消費を増やすことになる。M&Aブームは労働現場の疲弊によって生まれ、その失敗は国富を流出させる。
・東芝を見れば分かるだろう。米国原子力業界の不始末を東芝が引き受け、宝物である半導体部門を外資に売る。その失敗が日本郵政で繰り返された。 西室泰三は「親米財界人」として評判が高い。経済摩擦や通商交渉の裏で動いた人物として知られている。
・「日米同盟」と呼ばれる今日の日本とアメリカの関係は「同盟」と呼ぶような「対等な関係」でないことは読者諸兄もご存じだろう。その関係は、経済にも投影する。親米財界人は、米国に都合のいい人物であることが多い。 長かった米国勤務をバネに東芝で社長・会長として君臨した西室は、日米財界人会議の日本側の座長を務めた。やがて東京証券取引所の会長になり、民営化される日本郵政の社長に収まった。
・「老害経営者」ともささやかれるほどの人物を、そこまで押し上げた力は何か。西室は、誰のために、何をしたのか。その航跡は改めて書く。
http://diamond.jp/articles/-/126285

次に、上記の続きである5月25日付けの「日本郵政「M&A蟻地獄」、お荷物の郵便抱えた民営化の末路」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・民営化し株式を売り出した時、赤字転落を誰が予想しただろう。豪州の物流会社トールの買収に失敗し、4003億円を減損処理した日本郵政。「損失は一括処理で解消された」と長門貢社長は言う。本当だろうか。
・日本最大の金融機関・ゆうちょ銀行を抱え全国2万4000の郵便局を擁する巨大組織は、今もって確かな未来を描けないままだ。「全国一律の郵便事業」というユニバーサルサービスを担いながら、市場競争に晒される。二兎を追う苦し紛れが「M&A依存」を招いた。競争原理と縁遠いお役所企業が、異業種を買収して経営するのは至難の業である。
▽貯金で儲けて郵便を支える明治以来の郵政の姿
・日本郵政グループの稼ぎ頭は、今も昔も「郵貯」である。世界8位、日本では3メガバンクを尻目に207兆円の資金を抱える巨大銀行だ。潤沢な資金が生む利ザヤによって、郵便事業という公共インフラを担ってきた。それが明治以来の姿だった。
・その構造をもう少し詳しく説明しよう。 統一国家を実現した明治政府は情報インフラの整備に向けて郵便事業を始め、津々浦々に郵便局を設けた。同時に庶民の零細預金を集め国家事業に振り向ける貯金を奨励する。富国強兵を支え、戦後は高度成長の中で郵貯は国家の財源となり「第二の予算・財政投融資」の原資となった。資金は大蔵省(現財務省)が一括管理し、鉄道・港湾など産業基盤の整備に投じられた。庶民の貯蓄は日本列島に循環する成長資金となった。
・政府は郵貯を優遇した。民間の金融機関では扱えない有利な貯蓄商品や税金への配慮がなされ、郵貯は庶民に支持されたが、やがて銀行から目の敵にされる。高度成長が終わると、郵貯を振り向けた先に「不良債権」が発生した。穴埋めに税金が投入される。
・庶民の貯蓄を自分のカネのように使う傲慢な官僚への批判も重なり、「郵貯を市場原理に」との声が高まり、郵政民営化が叫ばれるようになる。石油ショックを経て成長の鈍化が目立った1980年代からである。  郵貯だけを見ると「民業圧迫」と言われても仕方がない。だが郵貯は郵便事業の赤字を埋める、という役割を担ってきた。
・郵便は日本の近代化や情報化に貢献してきた。やがて通信の主軸は手紙から電話へと移り、電気通信は一足先にNTTとして独立。民営化に向かない紙の郵便は取り残された。地域に根付く郵便局は、独立も撤退もできない。ソロバン勘定には合わなくても地域の拠り所としての役割を負った。
▽はがき値上げで300億増収も焼け石に水 非効率抱え人件費上昇に脅かされる
・この構造を反映したのが事業3社の違いである。郵政民営化は紆余曲折の末、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵便の3社体制になり、3社を日本郵政がホールディングカンパニー(持ち株会社)として統括する。つまり4社体制である。
・民営化というと「上場=株放出」が思い浮かぶが、上場されたのはゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵政の3社だけである。日本郵便は外された。「投資に値する企業」と世の中を納得させるストーリーを描けない。  そんな日本郵便は、持ち株会社の日本郵政が抱え込むことで「おまけ」として民営化に加わったのである。この「おまけ」が4000億円の減損処理の原因をつくった。
・インターネットの普及で、はがきに代表される郵便の市場は縮小の一途だ。日本郵便は非上場だが、非正規も含め社員40万人を抱えグループの骨格をなす会社だ。この会社が元気にならなければ郵政民営化は成就しない。 ところが2017年3月期の決算を見ると、日本郵便の営業利益は190億円だが、そのうち120億円は金融窓口事業。つまり郵貯や簡保を売った手数料である。本来の事業である郵便・物流事業は20億円しか稼いでいない。
・郵便事業がどれだけの赤字になっているかは公表されていないが、日本郵政は「赤字解消」を理由に6月から郵便料金を値上げする。はがきを10円上げて62円にすることで、300億円の増収になると見ている。  ところが2018年3月期の決算予想では、日本郵便の純利益は130億円。値上げで300億円も売り上げを嵩上げしながら130億円しか収益が上がらない。それもほとんどが金融商品を売る手数料による稼ぎだ。
・郵便事業は「ユニバーサルサービス」の担い手だ。過疎地や離島にも拠点を置き、全国一律のサービスが郵政の社会的責任となっている。事業改善のため人件費が切り詰められた。2万4000ヵ所の郵便局は、かつてほとんどが正規の郵政職員だったが、今では約半数が非正規だという。最近の「人手不足」で非正規の給与を上げざるを得なくなっている。ユニバーサルサービスは、人手に負うところが大きい。40万人を擁する郵便事業は人件費の上昇に脅かされている。
・郵便料金の値上げは24年ぶりという。だが値上げで非効率を食い止めることはできない。料金値上げが利用者離れを誘ったのがかつての国鉄だった。分割民営化で命脈を保ちたが、都市を結ぶJR東海は大儲けしたが、へき地を抱えるJR北海道や四国は惨憺たる有り様。全国一律の郵便事業は北海道や四国を切り離すことはできない。 民営化で郵貯も簡保も収益性を求められ、郵便の赤字を補填する余地はない。持ち株会社にぶら下がる日本郵便の経営悪化は、日本郵政の株価に影響を与える。
▽似て非なる「郵便」と「国際物流 絵に描いたようなM&A失敗
・郵便の未来は暗いと見た日本郵政が打ち出したのが、「国際物流への進出」だった。この分野ではドイツのブンデスポストが欧州市場で成功している。例に習ってアジア進出の足掛かりにしようとしたのがオーストラリアのトールだった。
・「高値つかみだった」と長門社長が言うように、絵に描いたようなM&Aの失敗である。2006年に東芝が買収したウエスティングハウスが2016年に弾けたように、買収の失敗は10年ほどして顕在化することが多い。トールの場合、2年で誰の目にも明らかになった。「高値つかみ」どころか、企業価値の査定がきちんとなされていなかったのではないのか。買収を仲介したみずほ証券にいくら手数料を支払ったかは公開されていないが、6200億円の買収なら仲介業者は100億円を超える手数料を取るのがこの業界の常識だ。
・トールの買収は2015年、株式上場に向けて行われたものだ。関係者の間では「エクイティーストーリーが必要だった」と言われている。エクイティーストーリーとは「投資家向け物語」。株の売り出しには、投資家をわくわくさせる魅力的なストーリーが欠かせない。日本郵政は面白いことをやりそうだ、という期待感を煽って株を買わせる。証券会社と組んで発行会社がやる手法である。
・日本郵政は投資家を胡麻化しただけでなく、自分も騙されたのではないか。トールは決算を良く見せようと目いっぱいお化粧し、売却後の業績は急激に悪化した。日本郵政が強調した「シナジー効果」、すなわちトールの物流拠点と日本郵政が培った宅配技術が結合すれば、アジアに日本主導のネットワークが広がる…。
・「地域を知り尽くし半径10キロで育った郵便と、国境や言語の違いを超える国際物流は似て非なるもの」。関係者は今になって言う。 買収の失敗を認めながら、日本郵政はトールを売却して処理する考えはないそうだ。リストラして再建するという。しかし、持ち続けるリスクをどう考えているのだろう。
・トールは買収・合併を続けて大きくなった会社である。事業や組織に重複がある。業績がいい時は、それぞれが競い合って事業を拡大するが、逆風になると仕事の取り合いや責任の押し付け合いなど問題が起こりがちだ。
・アングロサクソンのビジネス風土は会社への忠誠は薄い。仲間でチームを作り会社を渡り歩く。業績が悪化すると、さっさと辞めてしまう。事情が分からない日本人が経営者としてやって来てあれこれ言えば、「人材がいなくなる」というのがこの世界だ。M&A業界の言葉で「ドンガラを買う」と言う。大きな会社を買ったつもりが、従業員がどんどん辞め、結果として図体だけ大きい非効率な会社を買う結果になる。トールはいまリストラを進めているが「ドンガラ化」する恐れはないのか。4000億円の減損処理で終わり、といえるほど事態は甘くはない。
▽郵政株売り出しに新たな「物語」が必要 野村不動産買収は苦肉の策か
・トールの失敗で郵政グループの株価は、売り出し価格を割り込んだ。裏切られた思いの投資家は少なくないだろう。財務省も頭を抱えている。政府保有株の売却で1.4兆円を稼ごうと期待していたからだ。新たなエクイティーストーリーが必要になった。
・野村不動産の買収という情報が漏れ伝わっている。日本郵便には局舎や従業員宿舎などがたくさんある。「プラウド」のブランドでマンションの分譲を手掛ける野村不動産をグループに取り込めば新たなビジネスに乗り出せる、というのだ。 野村不動産の筆頭株主は野村證券。郵政株の売り出しの主幹事を務める証券会社だ。身内で作った苦肉の策とも思えるが、常に新しい「物語」を出し続けないと日本郵政は株価を維持できないのかもしれない。
・金融事業と一体となって郵便事業の損を埋める、という構造が民営化で壊れた。市場原理とは別の世界にあるユニバーサルサービスを抱えたまま株価を気にするビジネスに突入した咎めである。 では、独立事業となった郵貯は日本最大の金融機関としてメガバンクを蹴散らすことはできるだろうか。これも無理としかいいようがない。郵便貯金は大蔵省の下請けとして資金を集めていた貯蓄機関でしかなかった。集めたカネを自分で運用した経験がなかった。
・民営化され独自運用が始まったが、企業への融資などできない。審査能力がなく、融資判断ができない。結局、国債を買う機関にとどまっている。 今の低金利が郵貯の息の根を止めかねない事態となった。利子を付けて貯金を集める郵貯にとって、マイナス金利は死活問題だ。国債中心の運用が壁にぶつかっている。やむなくアメリカ国債など外国債券へと運用を増やしているが、為替リスクを背負うことになった。今では207兆円の運用資産の25%が外国証券である。
▽始まりは銀行とアメリカの都合 誰のための郵政民営化だったのか
・思えば郵政民営化は、事業主体である日本郵政や郵政省が望んで始めたことではない。「民業圧迫」を批判する銀行業界が「同等の競争条件で」と言い出した。それに政治家が乗った。背後には自民党への政治献金や融資があった。
・「民営化」の圧力は米国からもやって来た。日本市場の閉鎖性や、政府を後ろ盾とする郵貯・簡保は「アンフェアだ」と批判した。アメリカの狙いは、郵貯に溜まる膨大な資金をウォール街が取り込むこと。国際収支が万年赤字の米国は、世界から資金を集め再分配することで金融資本に活躍の場を設けてきた。貯蓄大国日本のカネは垂涎の的だった。さらに日本の金融市場で商売するには営業拠点が欠かせない。郵貯のネットワークを手中に収めれば怖いものなしだ。
・銀行とアメリカの都合で始まった郵政民営化で郵貯が躍進するとは思えない。 困り果てたゆうちょ銀行が、いま力を入れているのは投資信託の販売である。金利がないも同然の貯金には魅力はない。「有利な運用ですよ」と元本保証のない投資信託を売っている。売る側にとっておいしい商売である。
・どこの銀行もそうだが、売る側は顧客の金融資産を知っている。口座に1000万円預金があれば、「500万円ほど投信に乗り換えたらいかがですか」と誘う。スズメの涙ほどの利息にウンザリしている預金者は「では投信でも買ってみるか」という気になる。 500万円で投信を買った途端、5万~10万円の販売手数料が銀行側に落ちる。低金利の今日、10年分の金利に等しい。 右のポケットから左のポケットに預金者の資産を動かしただけでガッポリ手数料を抜く、というのがいまの投信ブームだ。
・ゆうちょ銀行も「手数料収入に経営に軸を移す」という。少額貯蓄が民営化の食い物にされている。 ホールディングカンパニーである日本郵政は、M&Aのカモにされ、郵貯の現場では長年の顧客を投信のカモにする。 誰のための郵政民営化だったのか。
http://diamond.jp/articles/-/129319

第三に、闇株新聞が5月24日付けで掲載した「日本郵政と野村不動産」を紹介しよう。
・やや時間がたってしまいましたが先々週末(5月12日)の夕方遅く、日本郵政が野村不動産ホールディングス(以下、野村不動産)を買収する検討に入ったと、主要メディアが一斉に報じました。 本誌はその週明けの5月15日にメルマガ「闇株新聞 プレミアム」で取り上げていましたが、最新状況も加えて解説します。
・日本郵政は2015年に6200億円で買収したオーストラリアの物流会社が、早くも4000億円の減損処理となり、2017年3月期決算は民営後初めてとなる289億円の純損失となりました。 これは「何でそんな高値で買収したのか?」 より以前の問題として、典型的な官製国策会社であり日本国民のために良質なサービスを提供することが(無理ですが)義務であるはずの日本郵政が、何でわざわざ日本国民に全くメリットのないオーストラリアの物流会社などを買収したのかは、もう永久に理解不能です。
・この問題の買収は当時の西室社長が主導されたもので、また西室氏は2005年まで東芝の会長でもありウェスティングハウス買収も主導されていたはずで、どうも海外の問題企業を高値で買収することがお好きなようです。
・そこで7月にも予定されている日本郵政株の追加売り出しを、国民のために少しでも有利に進めるために「必死で考えた結果」が野村不動産の買収であるなら、まだわからないでもありませんが、もちろん違います。 日本郵政の社長は西室氏が2016年3月に病気で退任したため、ゆうちょ銀行社長だった長門正貢氏が「タナボタ」で昇格していました。長門氏は日本興業銀行の出身ですが、2006年に富士重工副社長に転出していた「傍系」です。
・そこで長門社長は何とか巨額損失の火の粉が降りかからないよう画策し、さらにそれすら利用して総務省出身の高橋亨・日本郵便会長の代表権をはく奪し、(あまり巨額損失と関係のない)石井雅美・かんぽ生命社長らを解任し、しっかりと焼け太ってしまいました。
・野村不動産の買収も、そんな流れの中で出てきたはずです。野村不動産は1957年に野村證券から分離・独立したマンション分譲事業、戸建て分譲事業、法人仲介事業、投資・開発事業を手掛ける不動産会社で、2006年10月に東証1部に上場しています。
・また2017年3月期決算は、売り上げが5696億円、営業利益が772億円、純利益が470億円となかなか好調でした。また日本郵便による買収のニュースが流れる直前の5月12日終値は2028円で、そこで計算した予想ベースのPERは8.8倍、PBRは0.8倍、配当利回りが3.45%と、確かに買収対象とすれば申し分ありません。
・しかし野村不動産とすれば、わざわざ買収される必要は全くありません。ましてやその相手が官製国策会社の日本郵政となれば社風も価値観も全く違い、せっかくの営業力が大きく削がれてしまうためプラスがありません。
・そこで問題の5月12日夕方遅くの報道ですが、これは日本郵政側のリークだったはずです。一般的には報道機関が流すニュースは会社側の正式発表ではないため、インサイダー情報とはなりません。その代わりに報道された会社は「本日の一部報道について」とのIRで「当社が決定したものではない」と公表するもので、確かに日本郵政は当日夜遅くIRしていますが、野村不動産は本日に至るまで無視したままです。
・たぶん日本郵政は野村不動産に買収を持ち掛けたものの、ほとんど相手にされていなかったと考えます。そこで買収を既成事実化するためのリークだったはずです。
・さらに野村不動産の株式は、野村證券グループが3分の1超を保有しています。これは野村證券グループさえ説得すれば経営の主導権を握れるため、7月の日本郵政株の追加売り出しに際して主幹事の座を提供すれば(拒否すれば平幹事にも入れない)、何とかなるだろうということなのでしょう。
・本日(5月23日)の野村不動産の株価は2430円と、5月12日の終値(2028円)から2割近く高止まったままです。ただここのところ新しいニュースが全く出てこず、依然として何の進展もないようです。 要するに日本郵政による典型的な「勝手買収」であり、普通であればそのまま立ち消えになりますが、そこは強大な官製国策会社の日本郵政であるため、「あっと」驚くような結果となるかもしれません。
・まあ野村證券グループなど野村不動産の株主も、日本郵政がお得意の「高値掴み」をしてくれるなら、それはそれで「あり」なのかもしれませんね。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2013.html

第一の記事で、日本郵政によるトール買収、東芝によるWH買収、いずれもこれを推進したのは、元東芝の西室氏だったとは、日本の経営者、財界人の限界を象徴しているようだ。 山田氏が指摘する  『東芝にはウエスティングハウス(WH)を支配する力はない。日本の原子力産業は米国の技術で育った。原子力は軍事技術であり、WHは原子力空母や潜水艦などを抱える機密情報の塊だ。米国が日本の自由にさせるわけはない。 資本関係は親会社であっても、実際には「弟会社」。東芝は「口出しできない株主」でしかなく、アメリカ人経営者のやりたい放題を許し、巨額の損失だけを押し付けられた・・・・トールも同じ。国内の郵便事業で育った日本郵政は国際物流など分からない。「現地のことは現地で」という西室流の甘い経営がトールを弛緩させ、損失を膨らませた。「半径10キロ内の配送業でしかない郵便事業と、船やジェット機で国境を超える国際物流は別物。言語も文化もの違う大企業を、国内しか知らない素人が支配するなどできるわけはない」と関係者は言う』、はその通りだ。
第二の記事で、 『郵便事業は「ユニバーサルサービス」の担い手だ。・・・ユニバーサルサービスは、人手に負うところが大きい。40万人を擁する郵便事業は人件費の上昇に脅かされている』、 『株式上場に向けて・・・「エクイティーストーリーが必要だった」』、 『日本郵政は投資家を胡麻化しただけでなく、自分も騙されたのではないか』、などの指摘は説得的だ。
闇株新聞が言うように、野村不動産は今もって買収提案を無視し続けている。『日本郵政は野村不動産に買収を持ち掛けたものの、ほとんど相手にされていなかったと考えます。そこで買収を既成事実化するためのリークだったはずです』、との指摘はその通りなのだろう。日本郵政にとって、遊休不動産を有効活用するのであれば、本来は、様々な不動産会社にその都度、発注すればいい話で、子会社化する必要は全くない筈だ。野村不動産にしても、『官製国策会社の日本郵政となれば社風も価値観も全く違い、せっかくの営業力が大きく削がれてしまうためプラスがありません』、というのは的確な指摘だ。 『7月の日本郵政株の追加売り出しに際して主幹事の座を提供すれば(拒否すれば平幹事にも入れない)、何とかなるだろう』との郵政側の観測は、甘い可能性がある。魅力がなくなった日本郵政株の追加売り出しでは、野村證券を外せば、ますます苦戦することが必至。高く売りたい財務省が外すような行動を許す訳がないからだ。 最後の 『野村不動産の株主も、日本郵政がお得意の「高値掴み」をしてくれるなら、それはそれで「あり」なのかもしれませんね』、との皮肉たっぷりな指摘は、膝を叩きたくなるような上出来な表現だ。
タグ:日本郵政 ダイヤモンド・オンライン 西室泰三 山田厚史 闇株新聞 (その11)上場後の動向3(日本郵政4000億損失 元凶はまたも元東芝・西室泰三氏、日本郵政「M&A蟻地獄」 お荷物の郵便抱えた民営化の末路、日本郵政と野村不動産) 日本郵政4000億損失、元凶はまたも元東芝・西室泰三氏 トール・ホールディング 4003億円の損失(減損処理) 法外な値で海外企業を買い、やがて損失が露呈し、カネを外国に吸い取られる。そんな経営者が財界の顔役となり、老いてなお巨大企業を渡り歩く。日本の産業界は一体どうなっているのか 構図、巨額さ、役者までもが既視感のある日本郵政の減損 当時から「高い買い物」と言われた トールは金の卵を産むアヒルではなく、従業員2000人の削減を迫られるメタボ体質の企業でしかなかった ほとんど西室社長が一人で決めた買収 株価を上げるためのお化粧が必要 政グループを実態より大きく見せる「化粧道具」にトール買収が使われたというのだ 成長を求めれば海外しかない。郵便で得た知見を国境を超える物流に生かせば国際企業になれる 「国内の原発には限界がある。世界市場に打って出るしかない」 東芝が米国でウエスティングハウスを買った時のうたい文句とそっくりだ カネさえあればの安易な買収 実効支配できず損失だけが残った 東芝にはウエスティングハウス(WH)を支配する力はない。日本の原子力産業は米国の技術で育った。原子力は軍事技術であり、WHは原子力空母や潜水艦などを抱える機密情報の塊だ。米国が日本の自由にさせるわけはない。 資本関係は親会社であっても、実際には「弟会社」。東芝は「口出しできない株主」でしかなく、アメリカ人経営者のやりたい放題を許し、巨額の損失だけを押し付けられた トールも同じ。国内の郵便事業で育った日本郵政は国際物流など分からない。「現地のことは現地で」という西室流の甘い経営がトールを弛緩させ、損失を膨らませた 海外M&Aの裏に内部留保あり その原資は従業員の汗と涙 近視眼の経営者と「親米財界人」の罪深さ 日本郵政「M&A蟻地獄」、お荷物の郵便抱えた民営化の末路 貯金で儲けて郵便を支える明治以来の郵政の姿 日本郵便は、持ち株会社の日本郵政が抱え込むことで「おまけ」として民営化に加わったのである。この「おまけ」が4000億円の減損処理の原因をつくった 日本郵便は非上場だが、非正規も含め社員40万人を抱えグループの骨格をなす会社だ 本来の事業である郵便・物流事業は20億円しか稼いでいない 郵便事業は「ユニバーサルサービス」の担い手だ。過疎地や離島にも拠点を置き、全国一律のサービスが郵政の社会的責任となっている 最近の「人手不足」で非正規の給与を上げざるを得なくなっている。ユニバーサルサービスは、人手に負うところが大きい。40万人を擁する郵便事業は人件費の上昇に脅かされている 民営化で郵貯も簡保も収益性を求められ、郵便の赤字を補填する余地はない 似て非なる「郵便」と「国際物流 絵に描いたようなM&A失敗 買収を仲介したみずほ証券 エクイティーストーリーが必要だった」 日本郵政は投資家を胡麻化しただけでなく、自分も騙されたのではないか 地域を知り尽くし半径10キロで育った郵便と、国境や言語の違いを超える国際物流は似て非なるもの 日本郵政と野村不動産 7月にも予定されている日本郵政株の追加売り出し 長門社長は何とか巨額損失の火の粉が降りかからないよう画策 さらにそれすら利用して総務省出身の高橋亨・日本郵便会長の代表権をはく奪し、(あまり巨額損失と関係のない)石井雅美・かんぽ生命社長らを解任し、しっかりと焼け太ってしまいました 野村不動産の買収 野村不動産とすれば、わざわざ買収される必要は全くありません 社風も価値観も全く違い、せっかくの営業力が大きく削がれてしまうためプラスがありません 報道ですが、これは日本郵政側のリークだったはずです 野村不動産は本日に至るまで無視したままです 日本郵政は野村不動産に買収を持ち掛けたものの、ほとんど相手にされていなかったと考えます。そこで買収を既成事実化するためのリークだったはずです 主幹事の座を提供すれば(拒否すれば平幹事にも入れない)、何とかなるだろうということなのでしょう 日本郵政による典型的な「勝手買収」 野村證券グループなど野村不動産の株主も、日本郵政がお得意の「高値掴み」をしてくれるなら、それはそれで「あり」なのかもしれませんね
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