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トランプ新大統領(その18)(CIAがトランプ氏「解任工作」 米憲法発動で「ペンス副大統領を大統領に」、トランプ大統領を待ち受ける「恐怖の1週間」、大統領罷免の可能性を考える) [世界情勢]

トランプ新大統領については、5月15日に取上げたが、その後の事態の急展開を受けた今日は、(その18)(CIAがトランプ氏「解任工作」 米憲法発動で「ペンス副大統領を大統領に」、トランプ大統領を待ち受ける「恐怖の1週間」、大統領罷免の可能性を考える) である。

先ずは、ジャーナリスト 加賀孝英氏が5月25日付けZAKZAKに寄稿した「【スクープ最前線】CIAがトランプ氏「解任工作」 米憲法発動で「ペンス副大統領を大統領に」」を紹介しよう。
・ドナルド・トランプ米大統領による「司法妨害」の疑いが、さらに強まった。一連の「ロシアゲート」疑惑に絡み、トランプ氏が「情報機関幹部に圧力をかけていた」と、米紙ワシントン・ポスト(電子版)が報じたのだ。トランプ氏は現在、中東・欧州5カ国を歴訪しているが、その足元は大きくグラついてきた。こうしたなか、ワシントンで、トランプ氏を引きずり降ろし、マイク・ペンス副大統領を昇格させる「秘密工作」が進んでいるという。日本の外交・安全保障にも直結しかねない衝撃情報について、ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。
・「『ロシアゲート』は前代未聞の疑惑だ。政治家、情報機関、安全保障関係、軍、全員が激怒して、あきれている」 旧知の米情報当局関係者はこう吐き捨て、続けた。 「今年2月以降、CIA(中央情報局)に近いグループが、トランプ氏を大統領の座から引きずり降ろす『秘密工作』を進めている。いま、多くの賛同者が続々と集結しているという」
・冒頭のワシントン・ポストの報道(22日)は、賛同者を増やす可能性がある。 同紙によると、トランプ氏は今年3月、ダン・コーツ国家情報長官と、マイケル・ロジャース国家安全保障局(NSA)局長に対し、自身の陣営とロシア側が共謀していないと表明するよう要請したが、2人が拒否したというのだ。事実なら、司法妨害の疑いが一層強まる。
・こうした動きを把握したのか、世界的内部告発サイト「ウィキリークス」代表のジュリアン・アサンジ容疑者は3月14日、ツイッターで、以下のように警告していた。 《(米国で)ペンス副大統領を大統領にする計画が進行中だ》
・米国が、大混乱に陥(おちい)っている。トランプ氏が、「ウォーターゲート事件」で辞任に追い込まれたリチャード・ニクソン元大統領に続く、大統領失脚の危機に立たされているからだ。 直近の問題は2つある。
・(1)トランプ氏は9日、FBI(連邦捜査局)前長官のジェームズ・コミー長官を突然解任した。背景には、ロシアが昨年の米大統領選にサイバー攻撃などで干渉したことに、トランプ陣営の関係者が関与していたか否かという疑惑がある。捜査対象には、マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が浮上し、トランプ氏は捜査をやめるようコミー氏に求めたという。
・この解任に、米議会は「司法妨害だ」と激怒した。司法省は17日、ロバート・モラー元FBI長官を特別検察官に任命し、徹底捜査を開始した。コミー氏は公聴会証言を受諾し、議会はトランプ氏の弾劾・罷免に向けて一気に動きだした。
・(2)ワシントン・ポスト(電子版)が15日、複数の政府高官の証言をもとに驚愕情報を暴露した。トランプ氏が10日、ホワイトハウスで、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相らと会談した際、イスラエルの情報機関モサドから提供された、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に関する最高機密情報をペラペラと話したというのだ。
・漏らした情報は、ノートパソコンなどの電子機器に爆弾を仕込んで航空機に持ち込む手法や、ロシアへのテロ計画、IS支配地域でイスラエルが脅威とみている都市名など。この情報漏洩(ろうえい)で、モサドの情報収集の拠点が暴かれ、工作員が特定、殺される危険が発生した。
・これに対し、トランプ氏は「これは米国史上最大の魔女狩りだ」「『フェイクニュース』(偽ニュース)」などと全否定した。 だが、ワシントンの誰1人、納得していない。騒動の裏側で、何があったのか。以下、複数の米情報当局関係者から入手した極秘情報だ。 「モサドの工作員は、戦死したIS兵の携帯電話などを回収し、そこからISの仲間や司令塔を突き止め、命がけで潜入する。トランプ氏は彼らを危険にさらした。モサドは激怒している。シャブタイ・シャビト元モサド長官は17日、『トランプ氏を懲罰すべきだ』と地元紙で発言した」
・情報は続く。 「退陣間際のオバマ政権は今年1月、『ロシアのサイバー攻撃はヒラリー・クリントン元国務長官の当選を阻止するために、プーチン大統領が命令した』という情報当局の報告書を公表した。捜査の過程で、ロシア側と接触をした複数のトランプ氏側近の名前が確認できている」
・その中の1人、フリン氏は2月に更迭された。彼は一時、刑事免責を受けられるなら議会で証言すると表明して、トランプ陣営を震え上がらせた。ただ、疑惑を調べている上院情報特別委員会に対し、22日、関連資料の提出を拒否する意向を伝えたという。
・極秘情報はさらに続く。 「トランプ氏の弾劾・罷免手続きに入っても、本人が居座れば、数年はかかる。そこで、『ペンス副大統領を大統領にする』ことが計画された。米合衆国憲法修正第25条第4節の発動だ」 第4節は概略、以下のように規定している。 《副大統領および全閣僚の過半数が、上院の臨時議長または下院議長に対して、『大統領がその職務の権限と義務を遂行できない』という文書による申し立てを送付するときには、副大統領はただちに大統領代理として、大統領の権限と義務を遂行する》
・日本にとって、最大の同盟国たる米国の混乱は、最大の警戒事項である。さらに、驚くべき情報がある。  日本の防衛当局関係者は「トランプ政権は『核・ミサイル開発』で暴走する北朝鮮を懲らしめ、完全放棄させるために、中国の圧力に頼りきっている。かつては『アンチ・チャイナ』(反中国)だったが、今では習氏を絶賛し、中国の要求をのみ続けている。危険だ」といい、こう続けた。
・「中国の南シナ海での軍事的覇権を断固阻止する『航行の自由作戦』を、トランプ氏は実は拒否している。さらにオバマ氏が全否定した、中国の世界覇権に向けた経済圏構想『一帯一路』を、トランプ政権は歓迎した。中国は増長して、対中強硬姿勢のハリー・ハリス米太平洋軍司令官の解任まで要求している。中国がトランプ氏に『沖縄県・尖閣諸島への上陸を認めろと、要求する』動きがある」
・ふざけるな、だ。尖閣諸島はわが国固有の領土である。断じて許すわけにはいかない。 ただ、「トランプ氏は、安倍晋三首相以上に、習氏と秘密電話会談を行っている」(中国政府関係者)という情報もある。 安倍首相に申し上げたい。日本は、米国の危機的現状を、冷静に分析する必要がある。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20170525/plt1705251100001-n1.htm

次に、みずほ総合研究所 欧米調査部長 安井 明彦氏が5月29日付け東洋経済オンラインに寄稿した「トランプ大統領を待ち受ける「恐怖の1週間」 米議会休会が逆風になりかねないワケ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ドナルド・トランプ大統領にとって恐怖の1週間が始まる。 5月29日は、メモリアルデー(戦没者追悼記念日)と呼ばれる米国の祝日である。その祝日に合わせ、米国議会は1週間の休会に入った。ロシア疑惑の渦中にあるトランプ大統領にとっては、その命運を左右しかねない「恐怖の1週間」の始まりである。
・ロシア疑惑に揺れる米国で、トランプ大統領の命運を左右するのは、上下両院で多数を占める共和党議員の動向だ。どこまでトランプ大統領を支えるべきなのか――。来年11月に中間選挙を控える議員たちには悩ましい問題だ。
▽地元の反応にさらされる議員たち
・休会中は議員に責め立てられることもなく、トランプ大統領は安心して過ごせるかといえば、決してそうではない。議会の休会は、トランプ大統領に対する議員の態度が激変する機会になりうる。議会が休会に入ると、議員たちは一斉に地元に帰る。そうした議員たちは、どこまで地元でトランプ大統領に対する批判が高まっているのかを、身をもって感じることになるからだ。
・ロシア疑惑がトランプ大統領に与えるダメージを測るには、休会明けの首都ワシントンは格好の機会となる。来年中間選挙を控える議員たちは、2020年まで任期のあるトランプ大統領より先に有権者の審判を仰がなければならない。自らの将来がかかった選挙を前にしているだけに、地元の反応は究極の判断基準である。
・いまだに選出された地元がトランプ大統領に好意的な議員は、大統領批判を強める必要はない。しかし、地元でトランプ大統領への批判をさんざん聞かされた議員は、休会明けには大統領への批判に転じるだろう。そうした議員が共和党の多くを占めるようであれば、トランプ大統領は窮地に追い込まれる。 ロシア疑惑によって「弾劾」に追い込まれる可能性がないわけではないし、弾劾ほど深刻な事態に発展しなくとも減税などの公約実現に関しては、疑惑の高まりが逆風になるとの見方が一般的だ。
・もっとも、実際にそうした展開に発展するかどうかは、ひとえに共和党議員の決断にかかっている。たとえば、多くの共和党議員がトランプ大統領に反旗を翻さなければ、弾劾の手続きは進まない。 米国では、弾劾の手続きは議会で行われる。弾劾によって大統領を罷免するには、下院の過半数に加え、上院で3分の2の賛成が必要だ。共和党は上下両院で多数を占めている。党としての団結を保つことができさえすれば、弾劾は阻止できる。
・議会のスケジュールを決めるのが、多数党の役割であることも見逃せない。ポール・ライアン下院議長などの共和党指導部は、党内から多少の造反が出たとしても、弾劾手続きの開始を妨害できる立場にある。実際に、過去に米国議会が弾劾の審議に進んだ際には、最初に手続きを始める下院において、いずれも大統領とは異なる政党が多数党の座にあった。
▽トランプ大統領と「決別」するのは容易ではない
・トランプ大統領が公約を実現できるかどうかも、最後は共和党議員の判断に左右される。懸案である減税やオバマケアの廃止・修正に関する法律は、多数党に許された特権を最大限に利用すれば、共和党議員の賛成だけで可決できる。上院で60票の賛成がなければ少数党による議事進行妨害を阻止できない通常の法律と違い、税制や医療保険に関する法律は上院の過半数で審議を進められる特例があるからだ。
・選挙の観点では、共和党議員はトランプ大統領と一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にある。いくら状況が悪化しても、トランプ大統領と決別する決断を下すのは容易ではない。 米国では、支持政党の二分化が進んでいる。大統領選挙で共和党の候補を支持する有権者は、議会選挙でも共和党の支持者に投票するのが一般的である。実際に、2016年の下院議員選挙では、全米で435ある選挙区のうち、大統領選挙で多数を獲得した政党の候補が落選した選挙区は、わずかに35を数えるだけだった。
・かつての米国は、こうではなかった。1970年代や1980年代には、200近い下院の選挙区で、大統領選挙とは異なる政党の候補者が、議会選挙の勝者となることもあった。「米国の有権者は、大統領選挙と議会選挙で支持政党を変えて、バランスを取っている」とも言われていたが、その面影はすっかり消え去った。
・多くの共和党議員にとって、トランプ大統領の支持者は、自らの支持者でもある。言い換えれば、来年の議会選挙でトランプ大統領の支持者が投票してくれなければ、自らの再選が危うくなる。地元で支持者の反応を体感してみるまでは、うかつに大統領批判に転じるわけにはいかない。
・これまで波乱が多かったトランプ大統領の政権運営でも、共和党議員の多くが大統領に忠実に従ってきた。政治分析サイトのFiveThirtyEightは、議員の投票行動を分析し、どの程度の割合でトランプ大統領の方針に同調してきたかを分析している。それによれば、下院では100人以上の共和党議員が、100%トランプ大統領の方針と同じ投票を行っている。すべての共和党下院議員を平均しても、トランプ大統領の方針に賛成した割合は、97%にまでしか下がらないという。
▽世論調査が示す「気になる兆候」
・共和党議員にとっての最大の関心は、どこまでコアなトランプ支持者が大統領についていくかだ。 世論調査には、気になる兆候がある。「トランプ大統領を強く支持する」と答える割合が、低下傾向にあることだ。今年2月に30%前後の割合だった「強く支持する」との回答は、最近では20%強にまで低下している。  FiveThirtyEightの分析によれば、これは予備選挙の段階でトランプ大統領が得ていた支持者の割合とほぼ一致する。ほかの共和党候補から乗り換えてきた支持者が剝落する一方で、予備選当時からの支持者だけが、いまだにトランプ大統領を熱烈に支持している様子がうかがえる。
・もちろん、有権者の反応は、疑惑捜査の進展次第である。米議会では、5月24日に予定されていたジェームズ・コミー前米FBI長官の下院委員会での証言が、2日前になってメモリアルデー休会明けに延期された。休会前に悪材料が出かねない場が設けられなかったことで、議員が地元で反乱を体感するリスクは小さくなったのかもしれない。
・休会を終えた議会は、6月5日に再開される。その次に議会が休会に入るのは、7月4日の独立記念日を含む7月の第1週だ。1カ月の疑惑の進展をみたうえで、議員は再び地元に帰る。来年の議会選挙が終わるまで、地元の反応を探りながら、トランプ大統領との距離を測る日々が続くことになる。
http://toyokeizai.net/articles/-/173543

第三に、在米作家の冷泉彰彦氏が5月27日付けメールマガジンJMMに寄稿した「JMM951Sa]「特別検察官任命を受けて、大統領罷免の可能性を考える」from911/USAレポート」を紹介しよう。
・トランプ陣営に関する「ロシア疑惑=ロシア・ゲート」については、当面の政治的な駆け引きとして「特別検察官を任命するかどうか?」が焦点となっていました。アメリカにおける検察機能を担っているのは司法省で、そのトップである司法長官というのは、法務大臣であり、政権の法律代理人であると同時に検事総長の機能を担います。
・ですが、大統領とその周辺が関与した犯罪を捜査する場合に、大統領の任命した閣僚である司法長官が捜査を行うのでは「利害相反」になって、公正な捜査をすることはできません。そこで、大統領から独立した「独立検察官」が任命されて捜査の指揮を行うという制度があります。ちなみに、その任命権は司法長官にあります。
・前回、大統領に対する捜査を目的として、この特別検察官が任命されたのは、クリントン政権末期に「モニカ疑惑」と並んで取り沙汰された「ホワイトウォーター疑惑」を捜査する目的で、ケネス・スターという特別検察官が任命されたケースです。この時は、結果的に不起訴となってクリントンは8年の任期を全うしています。
・一方で、2003年にはチェイニー副大統領の側近が、CIA工作員の身分を漏洩したという容疑で捜査対象となった際に、パトリック・フィッツジェラルドという特別検察官が捜査指揮をして、結果的にその側近が有罪となったというケースもありました。ちなみに、このフィッツジェラルド氏を指名したのは、当時司法副長官であったジェームズ・コミー氏(トランプが解任したFBI長官)だという因縁めいた話もあります。
・それはともかく、特別検察官制度といえば、その前のウォーター・ゲート事件(1972年~74年)の事例が思い起こされるわけで、仮に任命されたとすると、それだけで政権には痛手になるだろう、野党民主党の側にはそうした思惑があったわけです。ですから、「特別検察官を任命しないと、FBIの次期長官(コミー氏が解任されて現在は空席)の任命人事について議会承認を妨害する」ということを言っていたわけでした。
・ところが、ここへ来て急転直下、その特別検察官が任命され、事態は急展開を見せました。5月17日にロバート・ミュラー元FBI長官が特別検察官に任命されたのです。その経緯ですが、まず司法長官のジェフ・セッションズは「自分は選挙戦の早期からトランプ陣営を支援しており、疑惑の当事者に近いことから利害相反がある」ということで「従って特別検察官人事を行う権限を放棄する」ということになったのです。
・そこで、その次席であるロッド・ローゼンスタイン司法副長官が「特別検察官の設置と、ミュラー氏への任命」を行ったのでした。このローゼンスタイン副長官ですが、その直前にトランプ大統領がコミー前FBI長官を解任した際には「長官の解雇を進言する意見書」を提出した人物です。ですから、表面的には「トランプ対司法当局」の戦いの「双方に就くこと」でヌエ的な人物にも見えますし、反対に見方によっては「司法の独立」を守ろうとしているとも言えるわけです。
・いずれにしても、このローゼンスタイン氏の動向というのは、注目に値するわけですが、ではトランプ大統領の周辺はその動きにショックを受けているのかというと、必ずしもそうではなく、「真実がしっかり捜査されるのは良いこと」だという言い方をしているという報道もあり、とにかく政権として「特別検察官設置阻止」ということは、やらなかったことになります。
・そこで気になるのが、ロバート・ミュラー氏という人物です。3点指摘しておきたいと思います。 1点目は、FBIの歴史の中で名長官という評価があることです。FBIを事実上現在のような組織として確立したJ・エドガー・フーバー長官が事実上終身長官となって、過剰な権力を行使したことへの反省から、FBI長官については「任期10年」というのが慣習法として確立していました。ところが、前任のルイス・フリー長官は、任期8年目の時点で様々なスキャンダルが出て辞任、その後を受けての就任となっています。 指名を行ったのはジョージ・W・ブッシュ大統領でしたが、結果的に10年の任期を全うしたばかりか、満10年の時点で当時のボスであったオバマ大統領から懇願され、与野党からの広範な支持もあって任期を延長、結果的に12年間その地位に留まったのです。従って、米国の警察機構における存在感、そして超党派による支持というのは強いものがあります。
・2点目は、対テロ戦争という点で非常に苦労し、特にプライバシーと国民監視という問題について、常に難しい判断の渦中にいたという点です。就任したのが、2001年9月4日で、就任の1週間後に911のテロ事件が起きています。この911に関しては、ブッシュ政権は「FBIなど平時組織における捜査」よりも「軍事裁判と軍事力行使」による抑え込みへと傾斜して行きました。 憲法による法秩序が、有事の緊急的な判断によって上書きされるような事態に対して、様々な抵抗を行いつつ、テロ抑止における国内での施策に動いた非常に難しい位置を取り続けた長官だと言えるでしょう。例えば、ブッシュ政権のアシュクロフト、ゴンザレスという2代の司法長官が、戦時の法的措置へと走るのに対しては、身体を張ってバランスを取ったエピソードなどもあります。
・3点目は、ロシア問題に関する独自の見解を持って「いそう」だという点です。ミュラー氏の12年にわたるFBI長官のキャリアは、911に始まった一方で、その最後の年にあたる2013年には、4月にボストン・マラソンを襲撃した爆弾テロ事件が発生しています。この時に、チェチェン独立派の影響を受けたと言われる実行犯兄弟の背後関係について、オバマ大統領は非常に危険視して徹底捜査を命じています。
・そこで、モスクワに捜査官を派遣してロシア側の捜査当局との情報交換を行ったのですが、当時の報道によればミュラーFBI長官自身がモスクワに乗り込んでいるのです。ここからは、一つの推測ですが、オバマは「チェチェン独立派というのは、基本的にアメリカの国策としては善玉扱いしていた」という経緯から、「チェチェン独立派を名乗ってアメリカでテロを起こすことで喜ぶのはチェチェン人ではなく、彼らと厳しく敵対してきたプーチン」だという問題意識を持っていた可能性があります。
・そこで、FBI長官自身をモスクワに派遣したというのは、「当方は真相を疑っている」という暗黙の示唆をしながら、恐らくは「現時点では表沙汰にはしない」、だが「絶対に二度目はやってくれるな、泳がせや見逃しも次回は許さない」というプレッシャーをかけるためだった、という解説が可能です。オバマの悪いところは、そうした「現実的な措置」について、話が込み入ってくると一切ダンマリを決め込む秘密主義にありますが、この一件もそんなわけで一切何も表には出てきていません。
・ですが、衝撃的なテロ事件であるにしても、ボストンの一件に関するロシア側との捜査情報のすり合わせに、他でもないFBI長官自身を派遣したというのは、相当なことです。結果として、ミュラーからオバマへは一対一の口頭報告がされたのでしょうが、その内容については本人たち以外は知るべくもありません。 この件について、仮に推理を進めるのであれば、オバマ=ミュラーというコンビは、プーチンとの間で、高度な情報戦を戦っていたということが考えられます。ウクライナの一件しかり、スノーデンの経緯しかり、勿論、アサド政権の第一次サリン事件の際には、ロシアに主導させる形での化学兵器廃棄措置という妥協もしていますが、一貫してロシアという相手には、「気を許すことはしない」ということで来たのではないかと思われます。
・仮にそうであれば、そのロシアが他でもないアメリカの大統領選挙に「手を突っ込んできた」というのは、国の根幹に関わる問題だという理解をしているはずです。もっと言えば、トランプが素人で脇が甘いから「ロシアの魔手が伸びている」という理解ではなく、そもそもロシアがアメリカの政治を混乱させることを目的として、工作のツールとしてトランプ一派というのを「仕掛けてきた」という認識をしているかもしれません。
・勿論、推測の話ですが、このロバート・ミュラーという人が、相当に厳しい姿勢で捜査を指揮するであろうということは、かなりの程度で予想ができると思います。そして、ブッシュ、オバマの両政権に仕えた12年間に蓄積した政界における存在感と、信用というのはそれを可能にするということです。
・ところが、そこに一つの問題と言いますか懸念を感じないでもありません。 ミュラー氏が真剣に捜査に取り組む一方で、FBIもロシア疑惑の捜査を継続しています。その連携も取れているようです。ですが、仮に疑惑が相当に深刻だということになると、最終的には「弾劾プロセス」ということになります。勿論、特別検察官というのはそれをゴールにして仕事をしているわけですが、立場上そういうことになります。
・ですが、仮に弾劾ということになると、これは大変な時間を要する話になります。1年とか、2年という時間を要するのです。例えばですが、2018年11月の中間選挙というのは、問題が深刻化して大統領の求心力が落ちた中で戦われる可能性があるわけです。
・仮にそうなれば、余計に選挙では民主党が有利になるし、共和党にしても「トランプ政権に距離を置く」ような態度で選挙戦を戦うことになるでしょう。結果的に2019年1月に招集される新議会では、現状以上に「弾劾が可決される」可能性が高まっていくと思われます。
・ここからは仮の話ですが、2019年のどこかで弾劾が最終局面になって、最後は辞任という格好になるかもしれないわけですが、ドナルド・トランプが退場する、そうするとペンス副大統領が大統領になります。仮に2019年1月20日以降にペンス大統領が昇任するとなると、興味深いことに憲法の規定による「大統領在任10年」が可能になるわけです。任期途中での昇任で、前任者から引き継ぐ任期が2年未満の場合は、更に2回の再選が可能だからです。
・それはともかく、2019年の時点でのペンス氏の政策としては、
 1)何としても2020年に再選を目指す。
 2)そのためには、フォードの失敗を繰り返さないためにトランプへの恩赦をしないかもしれない。
 3)一方で、ペンスとしての超保守政策(銃規制、同性婚、妊娠中絶などに関する時代逆行政策)を無理にでも遂行しようとする。
という可能性があります。そうは言っても、様々なしがらみの中で「トランプ恩赦」を「しない」という冷酷な判断ができなかった場合は、求心力は弱くなることも考えられます。にも関わらず3)のような政策を強行するようでは、与野党は正面衝突モードとなって政治は混迷するに違いありません。仮に2019年にペンス氏が昇任するとしても、そのような混乱は不可避となるわけです。
・そう考えると、そのように延々と時間をかけるというのは、共和党全体としては得策ではないわけです。一方で、新世代リーダーの登場がなかなか実現しない民主党にしても、さすがに「トランプ弾劾へ」という動き、あるいはトランプが辞任した場合に「ペンスがトランプに恩赦を与えてしまう」ような事態となれば、党勢も挽回が可能で、その頃までには大統領選を戦えるリーダーを擁することができているかもしれません。
・そうした混乱を続けることは、民主党に有利であり、共和党には不利となると考えられます。そこで、もう一つ別のシナリオが出てきます。それは、副大統領と過半数の閣僚が「憲法修正25条4項」という条項を使って「大統領の職務停止」を行うという規定です。実際の発動には様々な困難が伴うと思いますが、この条項をチラつかせながら大統領に辞任を迫るという局面が出てくる、それが一番現実的なように思います。
・後継となるペンス氏としても、弾劾裁判で思い切り民主党が攻勢に出た後で就任するよりも、自分が決起して政権を奪取した方が、求心力を獲得できるという可能性もあります。また、弾劾裁判が進行する前であれば、トランプ氏の「犯罪」の全貌が明らかになった上でそれに恩赦を与えるという「政治的コスト」も圧縮できるかもしれません。
・ペンス氏がそのように「決起」するのであれば、それは早いほうが良いわけで、具体的には2018年の中間選挙を「トランプの共和党」ではなく「ペンスの共和党」として戦いたいというのは、多くの共和党議員の偽らざるホンネなのではないかと思います。その場合は、憲法の規定によりペンス氏としては、最長10年ではなく、任期の残りの3年前後に加えて一回の再選しかできませんが、そんなことを言っている場合ではないでしょう。
・いずれにしても、今回の特別検察官任命という「事件」は、弾劾プロセスが制度的に動き出した中で、弾劾ということでは長期戦になる可能性を持っていますが、政治的にはトランプ政権の終焉の可能性ということでは、一気に加速したという見方もできるように思います。 

加賀氏の記事にある 『『ペンス副大統領を大統領にする』ことが計画された。米合衆国憲法修正第25条第4節の発動だ」』、というのは、冷泉氏も後半で指摘しており、あり得えそうなシナリオだ。 『トランプ氏が10日、ホワイトハウスで、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相らと会談した際、イスラエルの情報機関モサドから提供された、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に関する最高機密情報をペラペラと話したというのだ』、というのは親イスラエルなので気が緩んだのか、或いは最高機密情報の扱いに慣れていないのか、真相は不明だが、いずれにしろ大統領の適格性を疑わせる材料だ。なお、『航行の自由作戦』については、5月26日付け日経新聞によれば、再開したとのことだ。
安井氏が指摘する 『トランプ大統領を待ち受ける「恐怖の1週間」 米議会休会が逆風になりかねないワケ』、というのはなるほどと納得した。ただ、世論調査では、『ほかの共和党候補から乗り換えてきた支持者が剝落する一方で、予備選当時からの支持者だけが、いまだにトランプ大統領を熱烈に支持している様子がうかがえる』、という支持の強固さには驚かされた。もっとも、ロシアゲートや司法妨害が具体的に明らかにされるにつれ、コア支持層も崩れていくのかも知れない。
冷泉氏の記事にある 『司法長官のジェフ・セッションズは「自分は選挙戦の早期からトランプ陣営を支援しており、疑惑の当事者に近いことから利害相反がある」ということで「従って特別検察官人事を行う権限を放棄する」・・・そこで、その次席であるロッド・ローゼンスタイン司法副長官が「特別検察官の設置と、ミュラー氏への任命」を行った』、というのはアメリカの司法制度の公正さを示している。日本では、検察と政権は密着しており、最終的には「指揮権発動」まで可能というのとは、大違いだ。ペンスが大統領になった場合、通商政策がどうなるのか、知りたいところだが、まだ時期尚早でしばらくはトランプ劇場を我慢して見守る必要があるのだろう。
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