SSブログ

ネットビジネス(その2)(「アマゾン1円詐欺」の巧妙で抜け目ない実態、ウォルマート、アマゾン対抗の秘策、アマゾンがリアル小売りへ進撃する真の意図) [企業経営]

ネットビジネスについては、昨年4月19日に取上げた。今日は、(その2)(「アマゾン1円詐欺」の巧妙で抜け目ない実態、ウォルマート、アマゾン対抗の秘策、アマゾンがリアル小売りへ進撃する真の意図) である。

先ずは、5月4日付け東洋経済オンライン「「アマゾン1円詐欺」の巧妙で抜け目ない実態 購入者の個人情報と嗜好が盗まれている」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・アマゾンの「1円出品」「激安出品」が実は詐欺なのかもしれない――。そんな話を聞いた読者は「そもそも1円で出品されている商品があるのか」と驚いたかもしれない。 「アマゾン1円詐欺」とも呼ばれる、傍目には摩訶不思議な、しかしその背景を探ってみると実に巧妙な、電子商取引サイトの仕組みを活用した新種の詐欺とはどのようなものなのだろうか。
▽販売業者はアマゾンと「セラー」に分かれる
・アマゾンを普段からお使いの方はご存じだろうが、アマゾンを通じて商品を販売している業者は大きく2つに分けることができる。ひとつはアマゾン自身のリテール部門で、「この商品は、Amazon.co.jp が販売、発送します」と書かれている場合、それはアマゾンのリテール部門が仕入れ、販売している商品である。
・それ以外は“セラー”と呼ばれ、アマゾンに販売業者として登録し、アマゾンの決済システムを利用して商品を販売する「アマゾンマーケットプレイス」という仕組みを用いる。リテールとセラーは競合する間柄と言える。セラーが販売する商品でも「お急ぎ便」が無料で使えるなど「アマゾンプライム」に対応しているものもある。
・もっとも、アマゾンを頻繁に利用している方ならば、ひとことでセラーと言っても、製造メーカーや輸入代理店が自社管理のECサイト代わりにアマゾンのシステムを活用しているケースもあれば、セレクトショップのネット版のような会社が、アマゾンのシステムを間借りして営業するケースなどさまざまであることは、なんとなく感じているのではないだろうか。 そうした中に、本を1円で販売している店が多くあることにお気づきの方もいるだろう。ただし、1円で古本を販売している業者は以前から存在しており、脱法性があるわけではない。
・彼らは書籍をメール便(送料100~160円程度)で安価に配送できることに対し、アマゾンの書籍配送料が257円固定であることなどを活用し、アマゾンの販売手数料を差し引いても残る差額で利益を上げているのだ。
・しかし、今回の場合は話が異なる。在庫管理をアマゾンが行っていない場合、発送先をセラーに通知する必要がある。つまり、購入者の個人情報がセラーに渡されることになるわけで、「アマゾン1円詐欺」の背景には個人情報収集がある。 実際にどこまで紐付けているかはわからないが、売買契約が成立した相手はどの商品を購入したかも知っているわけで、「どのような商品をほしがっている人物か」といった嗜好属性と個人情報のセットを入手できる。 ここでは「アマゾン1円詐欺」と書いているが、実際には必ずしも1円で出品されているわけではない。圧倒的に低価格で、アマゾンのランキング上位に位置する商品で行われることが多い。
▽あの手この手で「到着遅れ」を正当化
・安さで釣って購入契約をさせるものの発送する商品は存在しないため、アマゾンから実際に入金があるまでは、あの手この手で商品到着の遅れを正当化するメールを送り続ける。たとえば海外発送であることを理由に“遅くなる”と通知しておき、ギリギリのタイミングで今度は荷物の追跡番号を送って安心させる(実際には荷物は送っておらず、追跡番号もデタラメ)。
・業者はアマゾンからの入金を確認した段階でセラー契約を解約してしまう。実に腹立たしいと感じるかもしれないが、消費者に対してはアマゾンが返金を保証するため被害は及ばない。 しかし、こうしたことを繰り返していれば、アマゾン側も対策を練ってくる。そこで詐欺業者は上記の取引で得た、善意の第三者の個人情報を用いて再度セラー登録を行う。こうすることで、(おそらくは海外に在住する)詐欺業者は、実際に日本に在住している人の個人情報を用いて詐欺を働けるのだ。そして、そこで新しい顧客の情報を得たならば、その情報を用いて新たなセラーとして登録。これを繰り返すことで被害を拡大する。
・アマゾンマーケットプレイスのセラーからの購入においては、セラーの評価システムもあるため、極端に悪い点数がついているセラーから購入しなければよいと思うかもしれない。しかし、彼らはセラー登録を何度も繰り返し、途中までは正当な理由を振りかざして問題発覚の先延ばしをしている。詐欺業者であることが明らかになったときには、別のIDに乗り換える頃合いだ。
・悪質業者の狙いは個人情報の収集ではないかと書いた。ではまったく利益が得られないかと言えば、そうではない。たとえ1円、あるいは対象商品の標準価格として圧倒的に安価であったとしても、そもそも発送する商品がないのだから、振り込まれた売り上げはまるまる利益になる。
・ここで問題なのは、詐欺に遭った購入者の支払分は返金が保証されるものの、個人情報の流出と、それに伴う被害(自分の個人情報を詐欺業者のデータとして使われるなど)に関してはまったくフォローされていないことだ。 もちろん、返金を負担し消費者の損害を相殺するアマゾンも被害者としての側面がある。悪質業者が入っていることによって得られるメリットなど何ひとつない。
・しかし、アマゾンにも加害者としての側面はある。アマゾンのシステムを用いて商品を購入した結果、個人情報が漏れたり、詐欺の片棒を担いだような形になってしまっている利用者からすれば、「アマゾンの対策が行き届いていないからだ」と矛先を向けたくなるだろう。 一方、利用者の自己責任という言い方もできる。販売者のプロフィールや評判をきちんと確認せずに購入手続きを行った利用者にも責任の一端はあるというわけだ。確かに「1円」などのありえない価格を信じた結果による被害と考えれば、そうした意見にも説得力はある。しかし、中古書籍などでは1円販売が現実に存在しているため「ついつい」買ってしまう人が後を絶たないのかもしれない。
▽極端に低価格な商品は警戒すべき
・こうした問題を解決するためなのか、アマゾンはマーケットプレイスへのセラー登録に関して審査のハードルを上げているようだ。それは今回のような詐欺案件が横行しているのに加え、コピー商品をあたかもオリジナル商品のように販売する業者もいるからだ。
・利用者側としては、今回紹介したような業者がいることを念頭に、極端に低価格な商品に対しては「ありえない価格だからおかしい」と警戒するほかない。安価な商品には理由があるはずだ。その理由が明らかにされていない場合、もしくは納得できない場合には手を出すべきではない。
・このような詐欺業者が今後も横行し続ければ、プラットフォーマーとしてのアマゾンに疑問符を投げかけざるをえない。現在は盤石の体制を誇るアマゾンだが、よりよい解を見つけられないようであれば、ユーザーはもちろん、アマゾンマーケットプレイスに参加する企業からの信頼を失うことになる。
http://toyokeizai.net/articles/-/170459

次に、6月9日付け日経ビジネスオンライン「ウォルマート、アマゾン対抗の秘策 ネット通販ベンチャー出身の部門トップが仕掛けるラストバトル」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米アマゾン・ドット・コムの攻勢にさらされている米ウォルマート・ストアーズ。ここに来て、ようやく反転攻勢に向けた体制を整えつつあるようだ。 「われわれの会社は正しい方向に進んでいる」 6月2日、米南部アーカンソー州フェイエットビルで開催された年次株主総会の冒頭、ウォルマートの取締役会長を務めるグレッグ・ペナーは力強く宣言した。同社の株主総会は世界28カ国、1万5000人の従業員が集まる年に一度の一大イベントである。 ペナーが拳を握りしめたのも理解できる。
▽eコマースの売上高は63%増に
・2017年度の連結売上高は4858億ドル(約53兆4000億円)と前年比で0.8%増加した。米国の既存店売上高も、直近の2018年第1四半期を含め11四半期連続の前年同期比プラスだ。何よりeコマースの売上高が直近の四半期で前年同期比63%と大幅な伸びを見せた。 アマゾンに比べてウォルマートのeコマースは伸びが見劣りしていただけに、60%超という成長は経営陣を安堵させたに違いない。「ウォルマートのeコマースは本当によくなっている」。サンフォード・C・バーンスタインのシニアアナリスト、ブランドン・フレッチャーは評価する。
・ここ数年、アマゾンとウォルマートについてはeコマースの王者と攻勢にさらされるリアルの巨人という構図で語られることが増えていた。 アマゾンは従来の書籍や雑貨、家電などから食品や飲料、アパレルなど全方位で戦線を拡大している。米国の小売売上高に占めるeコマースの比率は8.5%に過ぎず拡大余地は大きい。その中でも、今後の伸びしろが期待されているのはウォルマートのような大手スーパーが強みとしている食品や飲料だ。
・売上高で比較すればアマゾンはウォルマートの3割弱だが、時価総額で大きく水をあけているのは、今後の伸びが期待されるeコマースの市場拡大の中で恩恵を最も受けると見られているためだ。 eコマースの大幅な改善――。それは昨年8月に買収したネット通販ベンチャー、ジェット・ドット・コムと、同社のCEO(最高経営責任者)から米国eコマース部門の会長兼CEOに横滑りしたマーク・ロアの存在が大きい。
・「高すぎる」という声が市場から上がったように、ジェットの買収金額は33億ドル(約3600億円)と創業1年あまりの新興ベンチャーに投じる資金としては桁外れに高い。しかも、スタートアップのCEOにウォルマートという巨大企業のeコマース事業を任せるのも思い切った決断だ。今回の買収には小売業界やウォール街からは驚きの声が上がったが、それだけの高値を払っても、ジェットのテクノロジーとロアの才能を求めたということだ。 2016年9月以降、eコマースの責任者に就任したロアが進めているのは、テクノロジーを駆使したeコマース版の「エブリデイ・ロー・プライス(EDLP)」の実現である。
▽配送料含め消費者ごとのコストをガラス張りに
・買収前、ジェットが投資家から高く評価されていたのは独自のプライシングシステムを持っていたためだ。「スマート・カート」と呼ばれる仕組みで、商品を買い物かごに入れるたびに、買い物の中身や量、商品が保管されている倉庫、支払い方法などを勘案して合計金額が変わる。 考えてみれば当然だが、同じ配送センターにある商品であれば、同じ箱に詰めて配送できるのでその分配送料は抑えられる。また、支払いをクレジットカードではなくデビットカードにすれば、手数料の分だけ合計金額を引き下げることが可能だ。買収前、ロアは米CNBCで「本当の限界コストを反映させる」と語った。まさに、配送コストなど消費者ごとに異なる商品のコストをガラス張りにしようとする試みである。
・これは「99ドルの年会費で2日以内無料配送」というアプローチを取るアマゾンとは対極に位置している。  アマゾンの場合、プライムメンバーになると消費者は買えば買うほど配送料がお得になる。どれだけ注文しようとも、年会費以上には配送料がかからないからだ。見方を変えれば、年会費というシステムを取ることで、消費者が一つひとつの送料を考える心配をなくしたということでもある。
・物流に占めるコストの70~80%は配送センターから消費者の家までの「ラストマイル」といわれる。その部分のコストを年会費で解決したという点で、アマゾン・プライムはeコマースの分野に革命を起こした。一方でジェットは一つひとつの注文に関わるコストによりこだわり、そのコストを極限まで引き下げる仕組みを作りあげた。だからこそ、業界に衝撃を与えたわけだ。 「価格の透明性」にこだわるジェットの哲学、これはEDLPというウォルマートの哲学に合致する。
・ウォルマートを創業したサム・ウォルトンは経費を極限まで切り詰めることで、他社が採算が取れないと判断した地域に進出した。その後も店舗の大規模化やドミナント戦略、IT(情報技術)を用いたサプライチェーンの効率化などに多額の投資を進め、一つひとつの商品のコストを切り下げた。その結果がEDLPであり、”Saving Money(節約)”という価値の提供である。
▽EDLPをeコマースで実現
・もっとも、店舗に決まった商品を大量に配送するのと不特定多数の個人に異なる商品を配送するのが根本的に異なるように、EDLPをeコマースで実現するには既存のリソースや従来の方法論だけでは限界がある。そこで、似たような哲学とウォルマートにはないテクノロジーを持つジェットの買収に踏み切った。「ロアを引き入れたということは買い物かごを作るということ」。米カンター・リテールのディレクター、ローラ・ケネディはこう指摘する。
・まだジェットのスマート・カートはウォルマートのネット通販サービス「ウォルマート・ドット・コム」に適用されていないが、商品ごとのコストを透明化するというコンセプトは取り入れられている。 例えば、4月に発表したピックアップディスカウントがそうだ。これはオンラインで購入した商品を最寄りの店舗まで取りに行けば、その分をディスカウントするというサービスだ。配送コストのかなりの部分を占めるラストマイルを顧客が代行すれば、その分のコストは大きく下がる。それを消費者に還元していく。
・6月1日には、アーカンソー州やニュージャージー州など3カ所で“Associate Delivery”の実験を始めると発表した。これは店舗で働く従業員に配送させるというアイデアだ。 ウォルマートの従業員は大半がクルマで通勤している。彼らの近所にはウォルマート・ドット・コムのユーザーも多くいる。そこで従業員に専用のアプリを配り、帰宅時にウォルマート・ドット・コムやジェットで購入した消費者の家まで届けてもらえば、ラストマイルのコストが下がるーーと考えたわけだ。
・同社が開発したアプリに従業員の住所を打ち込むと、その帰り道の最も近い配送先が提示される。配送をお願いするのはあくまでも希望者で、デリバリーに対しては配送料を払う。配車サービスを手がけるウーバー・テクノロジーズのようにドライバーと荷物をマッチングさせる方式を採る場合、運転手は配送先に直接向かうが、今回の仕組みは従業員がそもそも帰るところに行く。「これはラストマイルで極めて大きな時間の節約になる」とロアは期待を寄せる。
・ウォルマートはここ数年、店舗や専用拠点でのピックアップサービスの拡充に力を入れてきた。 同社は全米におよそ4500の店舗を持ち、米国の人口の90%が店舗から10マイル(16km)に住んでいる。日本のようにラストマイルの配送網が充実していない米国では、消費者に店舗に取りに来てもらうというアプローチは全米に張り巡らした店舗網を最大限に生かすという意味で理にかなっている。今回、発表した従業員による配送も全米で160万人という人的資産を生かす動きの一環だ。
・ロアがもたらした変化はそれ以外にもある。 アマゾンへの対抗で始めた年会費49ドルのウォルマート版のアマゾン・プライム、シッピングパスは廃止した。その代わりに導入したのは、ジェットで導入していた35ドル以上の購入で2日間の無料配送を提供するプログラムだ。もちろん、年会費は取らない。
▽専門EC相次ぎ買収、商品点数は1000万から5000万に
・1月以降、ウォルマートはオンライン靴販売を手がけるShoebuy、女性向けビンテージ衣料のModCloth、アウトドア専門のMoosejaw、家具のHayneedleといった中小の専門ECサイトを買収した。こういった専門ECを買収し、それぞれの会社のCEOを各カテゴリーのリーダーに据えたのは、貧弱だったウォルマート・ドット・コムの品揃えを強化するためだ。この1年で、eコマースの商品点数は1000万から5000万まで拡大した。
・さらに、「リーダーを変えるということは、他のやり方を許可するという意味もある」とサンフォード・C・バーンスタインのフレッチャーが語るように、ロアの就任後、サイト内の検索機能などこれまで疎かにされてきた機能向上が進められるようになった。システムの安定性を重視して頻繁な変更を嫌うカルチャーも変わり始めた。前年同期比63%という大幅な成長はそういうことの積み重ねだ。 実店舗とeコマースの融合を進め、買い物の際の消費者のストレスを軽減する「シームレス・ショッピング」の取り組みも引き続き進んでいる。
▽決済アプリも普及
・店舗以外のピックアップポイントは昨年末の600カ所から今年の終わりには1000カ所になる見込みだ。レジでの精算の手間を大幅に省く決済アプリ「ウォルマート・ペイ」もクレジットカードやデビットカードに次ぐ支払い手段になっている。ウォルマート・ペイは、買い物の際にレシートのQRコードを携帯のカメラで読み取れば、その場で決済が終了するというアプリである。
・5月には「Easy Reorder」というサービスも始めた。これはピックアップサービスの一種で、購入頻度の高い商品についてアプリ上で再注文すると、店舗で事前に商品を確保してもらえる。ウォルマートのスーパーセンターは巨大なため店内を歩き回るだけでもかなりの時間がかかる。定期的に購入する商品を買い物かごに入れる手間が省ければ、忙しい主婦の時間は大きく節約できる。
・「所有するすべての経営資源を利用して勝つというのがわれわれの計画だ」。ウォルマートCEOのダグ・マクミロンは総会後の質疑応答でこう述べた。実店舗の既存店売上高とeコマースの両方が伸びているということは、ウォルマートが進めるシームレス・ショッピングが奏功しているという証左。ロアというピースを得たことで、ようやく目指すべき方向が固まったように見える。
・裏を返せば、ここで実店舗とeコマースを融合させた新たな成功モデルを作らなければ、グロッサリーなど既存スーパーの領域を侵食し続けるアマゾンとの戦いには勝てないだろう。アマゾンは彼らのやり方でラストマイルの配送を効率化しようとしており、ウォルマートに残された時間は恐らくそれほど多くない。その間にどこまで先に進めるか。最後の戦いが始まろうとしている。(敬称略)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/060700692/?P=1

第三に、6月20日付け東洋経済オンライン「アマゾンがリアル小売りへ進撃する真の意図 ホールフーズ買収は一例にすぎない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米小売り大手のホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1.5兆円)で買収――。 6月16日に駆け巡ったアマゾンの発表にアメリカの株式市場は大きく反応した。クローガー、ターゲット、コストコ、ウォルグリーン、CVSヘルス、そしてウォルマート。アマゾンがリアル店舗の領域へ本格的に踏み出したことから、今後アマゾンと競争を強いられることになる小売り関連の銘柄は、買収の発表後に軒並み株価が下落したと報じられている。
▽リアルへの侵食は今に始まったことではない
・アマゾンにとって今回の買収は過去最大の規模となる。それまで最も大きい買収は2014年のゲーム実況配信企業・ツイッチで、金額は9.7億ドル(約1450億円)だった。ホールフーズは1978年にテキサス州オースティンで設立された自然・有機食品専門のスーパーマーケットだ。16年度時点で年間160億ドル(約1.8兆円)の売上高があり、店舗数は米国、カナダ、英国で計460を数える。
・アマゾンがリアルの消費を取り込もうとしているのは今に始まったことではない。先がけは2014年に投入した家庭用の音声認識端末「アマゾン・エコー」だ。「アレクサ」と呼ばれるAI(人工知能)を内蔵し、生活空間の御用聞きとして米国で大ヒットしている。 米国みずほ証券では、2018年にエコーを経由したeコマースの消費額が、エコーの端末販売額を追い抜くと予測する。パソコンやスマートフォンではなくエコーに向けて「アレクサ、~を注文して」と呼び掛ける消費行動が、米国では当たり前のように行われ始めているのだ。ポスト・スマホとして有望視されるこの分野では、グーグルやアップルも巻き返しに動いている。
・リアル店舗の開発にも乗り出している。一つ目は2015年にオープンした専用書店の「アマゾン・ブックス」、二つ目は2016年に存在が明らかになった無人コンビニ「アマゾン・ゴー」だ。アマゾン・ブックスは現在米国に8店舗あり、追加で5店舗のオープンが予定されている。店内にはアマゾンのサイト上でユーザーの評価が高い本を重点的に陳列したり、お急ぎ便や動画視聴の使い放題サービス「アマゾン・プライム」の会員なら安く買える仕組みがあったりするなど「リアルとネットの融合」が巧みに行われている。
・アマゾン・ゴーは現在、シアトル市の本社1階部分のみに存在し、まだアマゾンの社員しか利用できない。ただ、レジを通らずに商品を購入し持ち出せる画期的な仕組みは小売り関係者の間で注目の的となっている。将来的にアマゾン・ゴーの機能が今回買収したホールフーズに導入されることがあるかもしれない。
・またもう一つ、今年に入ってから「アマゾン・フレッシュ・ピックアップ」というドライブスルー型の商品受け取り専用店舗が始まった。 これは日本でも今年4月から始まった生鮮食品の販売・配送サービス「アマゾン・フレッシュ」と連動した店舗だ(ピックアップの展開は現在米国のみ)。利用者はフレッシュで注文した商品を専用店舗で直接受け取ることができる。スーパーマーケットの店内を回遊せずとも事前にオンライン上で注文を済ますことができるため、ユーザーが買い物にかける手間は大幅に減る。これもホールフーズとの将来的な連携が期待される。
・4月下旬に行われた2017年度第1四半期(1~3月期)の決算説明会でアマゾンのブライアン・オルザブスキCFOは「リアル店舗の開発はわれわれにとって顧客にリーチするもう一つの手法だ。リアルの顧客がどう共鳴(resonate)してくれるかをテストしている」と語っている。eコマースで断トツのシェアを誇るアマゾンとはいえ、小売り全体に占めるeコマースの消費額は米国でも10%未満とされている。リアルを取り込むことはまさに必然の流れであり、ホールフーズの買収はその一環に位置付けられる。
▽増築続けるアマゾンのシアトル本社に潜入
・6月24日号の週刊東洋経済では「アマゾン膨張」を特集。アメリカ西海岸の最北部にあるワシントン州シアトルの本社に潜入し、2016年度にグローバルで1360億ドル(約15兆円)の売上高を記録した流通王国の全貌に迫った。広大な本社群周辺の様子からは、世界で膨張を続けるアマゾンのイメージとは別の側面も見えてくる。 シアトルはアマゾン以外にもマイクロソフト、フェイスブックなどの大手IT企業が拠点を置いている街だ。全世界的にカフェチェーンを展開するスターバックス発祥の地としても知られている。約70万人の人口に対し、シアトルに勤めるアマゾン社員は約4%に当たる3万人。同社は市内に30もの社屋を構えており、現在も周辺地域で複数の社屋を建設中だ。
・本社には、IT企業らしい発想の自由さが見られる。「DAY1」(2016年11月)、「DOPPLER」(2015年12月)など、各社屋につけられたユニークな名前は、すべてアマゾンの理念や成長の歴史と縁の深いフレーズだ。ちなみに「DAY1」は、創業者・ジェフ・ベゾスCEOが掲げる経営理念「(インターネットは)まだ1日目」から取られたもの、DOPPLER」はAI搭載スピーカー「アマゾン・エコー」の、開発段階における愛称から取られたものである。
・一方で本社群を見て回ると、普通のIT企業とは違うアマゾンならではの特徴にも気づく。まず、各社屋の外観に「amazon」という社名やロゴの表示がほとんどないことだ。建物に入り、受け付けに行けばさすがにロゴが目に入るが、それ以外の部分では露出が控えめだ。シアトルという都市とアマゾンという企業が混ざり合い、溶け合っているような印象を受ける。
・社員数が増える中で、アマゾンが新しい本社群づくりのテーマに設定したのは「Great neighborhood(よき隣人)」だ。社員以外にも振舞われる無料のバナナスタンドを設置しているほか、飼い犬を遊ばせることができるスペースや、建物1階部分にある休憩スペースを誰でも利用できるようにしている。 よき隣人――。それは膨張を続ける日本市場にとっても当てはまるテーマになりそうだ。2016年度は日本の売上高が108億ドル(約1.2兆円)、社員数は4400人までになったアマゾン ジャパンは、ヤマト運輸との配送料の価格交渉など難しい局面に立たされている。
・書籍事業では商品の納期短縮を進めるため、卸(取次)最大手の日本出版販売との取引を一部打ち切るなど、大胆な策にも打って出ている。よき隣人としていかに顧客と共鳴できるか。巨人・アマゾンがこれから向き合わなければならない課題である
http://toyokeizai.net/articles/-/176999

「アマゾン1円詐欺」については、この記事のほかには、4月28日付け読売新聞「Amazonマーケットプレイス詐欺が大量発生」程度しかなく、その後の展開も不明であるが、一応、注意喚起の意味で紹介した。 『問題なのは、詐欺に遭った購入者の支払分は返金が保証されるものの、個人情報の流出と、それに伴う被害(自分の個人情報を詐欺業者のデータとして使われるなど)に関してはまったくフォローされていないことだ』、というのは、確かに被害者はたまったものではないだろう。
『ウォルマート、アマゾン対抗の秘策』にある  『ジェットの買収金額は33億ドル(約3600億円)と創業1年あまりの新興ベンチャーに投じる資金としては桁外れに高い。しかも、スタートアップのCEOにウォルマートという巨大企業のeコマース事業を任せるのも思い切った決断だ』、それが 『eコマースの売上高は63%増』、という成果につながったのだろう。 『配送料含め消費者ごとのコストをガラス張りに』、 『専門EC相次ぎ買収、商品点数は1000万から5000万に』、などウォルマートが今後、どこまでアマゾンに対抗してゆけるのかは、大いに注目される。日本のセブン&アイなども注視している筈だ。
第三の記事にある ホールフーズ・マーケット買収以外にも、『専用書店の「アマゾン・ブックス」、・・・無人コンビニ「アマゾン・ゴー」』、などの開発など、アマゾン側からの『「リアルとネットの融合」』、も着実に進展しつつあるようだ。
タグ:「「アマゾン1円詐欺」の巧妙で抜け目ない実態 購入者の個人情報と嗜好が盗まれている 東洋経済オンライン (その2)(「アマゾン1円詐欺」の巧妙で抜け目ない実態、ウォルマート、アマゾン対抗の秘策、アマゾンがリアル小売りへ進撃する真の意図) ネットビジネス アマゾンの「1円出品」 “セラー”と呼ばれ、アマゾンに販売業者として登録し、アマゾンの決済システムを利用して商品を販売する「アマゾンマーケットプレイス」という仕組みを用いる 1円で古本を販売している業者は以前から存在しており、脱法性があるわけではない 書籍をメール便(送料100~160円程度)で安価に配送できることに対し、アマゾンの書籍配送料が257円固定であることなどを活用し、アマゾンの販売手数料を差し引いても残る差額で利益を上げているのだ あの手この手で「到着遅れ」を正当化 悪質業者の狙いは個人情報の収集ではないかと書いた。ではまったく利益が得られないかと言えば、そうではない。たとえ1円、あるいは対象商品の標準価格として圧倒的に安価であったとしても、そもそも発送する商品がないのだから、振り込まれた売り上げはまるまる利益になる 問題なのは、詐欺に遭った購入者の支払分は返金が保証されるものの、個人情報の流出と、それに伴う被害(自分の個人情報を詐欺業者のデータとして使われるなど)に関してはまったくフォローされていないことだ 日経ビジネスオンライン ウォルマート、アマゾン対抗の秘策 ネット通販ベンチャー出身の部門トップが仕掛けるラストバトル ようやく反転攻勢に向けた体制を整えつつあるようだ eコマースの売上高は63%増に ジェットの買収金額は33億ドル(約3600億円)と創業1年あまりの新興ベンチャーに投じる資金としては桁外れに高い。しかも、スタートアップのCEOにウォルマートという巨大企業のeコマース事業を任せるのも思い切った決断 eコマース版の「エブリデイ・ロー・プライス(EDLP)」の実現 独自のプライシングシステム 配送料含め消費者ごとのコストをガラス張りに ・物流に占めるコストの70~80%は配送センターから消費者の家までの「ラストマイル」といわれる。その部分のコストを年会費で解決したという点で、アマゾン・プライムはeコマースの分野に革命を起こした ジェットは一つひとつの注文に関わるコストによりこだわり、そのコストを極限まで引き下げる仕組みを作りあげた EDLPをeコマースで実現 3カ所で“Associate Delivery”の実験を始めると発表した。これは店舗で働く従業員に配送させるというアイデアだ 専門EC相次ぎ買収、商品点数は1000万から5000万に 決済アプリも普及 アマゾンがリアル小売りへ進撃する真の意図 ホールフーズ買収は一例にすぎない ホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1.5兆円)で買収 リアルへの侵食は今に始まったことではない 専用書店の「アマゾン・ブックス」、 2016年に存在が明らかになった無人コンビニ「アマゾン・ゴー」 アマゾン・フレッシュ・ピックアップ ドライブスルー型の商品受け取り専用店舗 アマゾンが新しい本社群づくりのテーマに設定したのは「Great neighborhood
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0