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加計学園問題(その7)(古巣 読売の前川報道を批判する、「1月知った」は酷すぎる 閉会中審査によって疑惑はかえって深まった、”危険な賭け”に出たことで「詰将棋」に陥った安倍首相) [国内政治]

加計学園問題については、7月10日に取上げた。衆参両院での閉会中審査が過ぎた今日は、(その7)(古巣 読売の前川報道を批判する、「1月知った」は酷すぎる 閉会中審査によって疑惑はかえって深まった、”危険な賭け”に出たことで「詰将棋」に陥った安倍首相) である。

先ずは、元読売編集委員で教育ジャーナリストの中西 茂氏が文芸春秋2017年8月号の「特集 日本の底が抜けてゆく」の中に寄稿した「古巣 読売の前川報道を批判する」のポイントを紹介しよう(▽は小見出し)。
・あの記事は社内のルールを無視して掲載された
(前半省略▽読売報道の不可解
・前川氏の言い分を取材できてないばかりか、買春を疑わせるような書き方をしながら、買春の相手をした女性の証言もない。あるのは、店に出入りする女性の証言ぐらい。
・調査報道や独自取材などによる重要な記事は、掲載前に適正報道委員会で、複数のベテラン記者だ第三者的立場から事前にチェックするルールになっているのに、かけず。
・週刊文春6/8は出会い系バーで30回以上も前川氏に会っていた女性の証言。売春相手ではなく、繰り返し相談に乗っていただけ。
・教育報道重視が読売なら、前川氏の人となりは何人もの記者が良く知っていた筈

次に、7月25日付け東洋経済オンライン「加計問題、安倍首相の「1月知った」は酷すぎる 閉会中審査によって疑惑はかえって深まった」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・メディア各社の世論調査で内閣支持率が軒並み大幅に低下しているせいか、それとも歴史的な惨敗だった都議選に続いて前日の仙台市長選で、与党側が敗退したせいなのか――。
・7月24日に開かれた衆議院予算委員会閉会中審査において、安倍晋三首相は慎重に言葉を選び、始終低姿勢を貫いていた。 「李下に冠を正さずという言葉がある。私の友人が関わることだから、国民の皆様から疑念の目が向けられることはもっともなことだ。思い返すと、私の今までの答弁においてその観点が欠けていた、足らざる点があったことは率直に認めなくてはならないと思う。常に国民目線に立ち、丁寧な上にも丁寧に説明を重ねる努力を続けていきたい。改めてその思いを胸に刻み、今この場に立っている」  冒頭で安倍首相は、ひとことひとこと噛みしめるようにこう語っている。
▽多くの国民が政府の説明に納得していない
・しかし質問に立った与党自民党の小野寺五典衆議院議員も「その総理の言葉だけでは信じられない多くの国民がいることも事実」と発言している通り、国民の多数は丁寧な言葉に納得しているわけではないだろう。共同通信が6月17日と18日に行った世論調査によると、政府の説明に「納得できない」と回答したのは73.8%。日経新聞が電子版読者に対して行った調査では、「納得できない」は81.4%にも上っている。
・疑惑の中心は安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長との関係だ。安倍首相は一貫して「政治家になるずっと以前からの友人」「彼が私に対して、私の地位や立場を利用して何かをなしとげようとしたことは一度もない」「獣医学部の新設について、働きかけや依頼は全くなかった」と主張している。
・だが民進党の大串博志政調会長が指摘したように、第2次安倍政権成立以降、公にされているケースだけでも、安倍首相と加計氏は合計14回食事やゴルフで接触している。そのうち獣医学部が具体的に大きく動きだした昨年7月以降は6回と、なぜか頻度が一段と増した。 こうした客観的状況がありながら、加計学園にとっての一大事業である獣医学部新設の話が出た可能性を完全否定することは難しいのではないか。
▽加計氏は「関係業者」に該当する
・そもそも会食について、安倍首相は「私が奢る時もあれば、加計さんが払うこともあった」と述べたが、これは2001年1月6日に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」に抵触する恐れがある。  同規範は「国務大臣、副大臣及び大臣政務官の服務等」で、関係業者との接触等について「倫理の保持に万全を期するため」として、「①関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、職務に関連して贈り物や便宜供与を受けること等であって国民の疑惑を招くような行為をしてはならない」と規定しているのだ。加計氏が獣医学部の新設を申請するのは、安倍首相が議長を務める国家戦略特別区諮問会議であり、加計氏は「関係業者」に該当するといえる。
・もっとも国家戦略特区制度を利用した加計学園の獣医学部新設について、安倍首相は「知り得る立場にあったが、具体的に説明がなかった」と答弁。そして加計学園が獣医学部新設を申請している事実を知った時期について尋ねられると、「(今年)1月20日に正式に決定した」 「この時に知るに至った」と答えている。
・しかしながら2016年11月9日に開かれた第25回国家戦略特別区域諮問会議で、安倍首相自身が「獣医学部の設置」を決定した。また2017年5月8日の衆議院予算委員会で民進党の宮崎岳志衆議院議員の質問に対して、「第2次安倍政権発足後も、内閣総理大臣が本部長である構造改革特区本部においてこの提案に対する政府の対応方針を決定しており、他の多くの案件と同様、本件についても知り得る立場にあった」と自ら述べている。
・これで「加計学園が獣医学部の新設を申請していることを1月20日まで知らなかった」と主張するのは、全く苦しい言い逃れといえるだろう。多くの国民が論理的にも破たんしていると考えるのではないだろうか。
▽さまざまなところで綻び
・疑惑を深める矛盾はまだある。獣医学部の設置が正式に決定した前日の11月8日、文科省は「加計学園への伝達事項」なる文書を作成し、高等教育局専門教育課の担当者から設置室、私学部関係者宛てに送付した。 その内容は、翌日の正式決定に沿うように文科省が加計学園に「指導」するもので、その指導内容に過不足がないか省内で事前確認したものだ。
・「まさに加計ありきで文科省が動いていた証拠といえる。これは試験前に試験官が受験生に問題の範囲を教えるようなものだ」 民進党の予算委員会次席理事の大西健介衆議院議員はこう批判した。
・実はこの文書は文科省の追加調査の中で出てきたもので、7月24日の閉会中審査で玉木雄一郎衆議院議員がパネルで使おうとしていたものだったが、与党の理事らが「正当性に疑義がある」として反対していた。ところが予算委員会では一転して松野一博文科大臣が「本物だ」と認めてしまった。
・「これには与党の予算委員会理事たちも委員会の後に、首をひねっていた」と大西氏は話す。 さまざまなところで綻びを見せる加計学園問題だが、それを解明するためにはやはり加計孝太郎理事長自身が説明することが必要だろう。安倍首相は冒頭で「常に国民目線に立ち、丁寧な上にも丁寧に説明を重ねる努力を続けていきたい」と述べたが、その言葉が本意から出たものなら、加計氏にも振りかかる疑惑を払拭するために、その心友に国会に出向くように説得してもよいのではないだろうか。
http://toyokeizai.net/articles/-/181792

第三に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が7月25日付けの同氏のブログに掲載した「”危険な賭け”に出たことで「詰将棋」に陥った安倍首相」を紹介しよう。
・安倍晋三首相は、昨日(7月24日)の衆議院予算委員会での閉会中審査で、加計学園の特区への申請を知った時期について質問され、「1月20日に申請が正式決定した時点」と明言した。「腹心の友」の関係にある加計孝太郎氏と、頻繁に、ゴルフ、会食などを繰り返していた安倍首相が、加計学園が今治市の特区で獣医学部新設の申請をしていることを、最終的に加計学園が事業者に決定された今年の1月20日まで知らなかったというのは、常識では考えられないことであり、昨日の国会での安倍首相の答弁の中で特に注目されている。
・昨年10月以降、獣医学部新設を認める条件として、「広域的に獣医学部が存在しない」「平成30年4月設置」などが設定され、「加計ありき」であった強い疑念が生じていることを受け、それらが安倍首相自身の「加計学園への有利な取り計らい」であったことを否定することが目的なのであろう。
・なぜなら、昨年9月9日の国家戦略特区諮問会議の時点で、安倍首相が、加計学園の特区申請を認識していたとすると、そこでの議長の安倍首相の指示が、加計学園の獣医学部新設に便宜を図ったものであることを、事実上認めざるを得なくなるからだ。
・7月8日の【激論!クロスファイア】で高橋洋一氏の「挙証責任」「議論終了」論をめぐって議論した際にも、昨年9月9日の諮問会議での安倍首相の指示のことを指摘した。(【加計問題での”防衛線”「挙証責任」「議論終了」論の崩壊】)
・民間議員を代表して八田達夫氏が 獣医学部の新設は、人畜共通の病気が問題になっていることから見て極めて重要ですが、岩盤が立ちはだかっています。 と発言したことを受けて、安倍首相は、会議の最後に 本日提案いただいた「残された岩盤規制」や、特区での成果の「全国展開」についても、実現に向けた検討を、これまで以上に加速的・集中的にお願いしたい。 と発言している。そして、それを受けて、獣医学部新設の問題を本格的に議論するために開かれた9月16日のWGの冒頭で、藤原豊次長(内閣府地方創生推進事務局審議官)が、 先週金曜日に国家戦略特区の諮問会議が行われまして、まさに八田議員から民間議員ペーパーを御説明いただきましたが、その中で重点的に議論していく項目の1つとしてこの課題が挙がり、総理からもそういった提案課題について検討を深めようというお話もいただいております。 と発言している。つまり、実質的にこの日のWGから始まっている獣医学部新設に関する議論は、「9月9日の諮問会議での安倍首相の指示」によるものであることを、藤原氏が明言しているのである。
・この時点で、安倍首相が、加計学園が特区申請をしていることを認識していたとすれば、その指示によって加計学園に便宜を図ったことが否定できなくなる。 「広域的に獣医学部が存在しない」「平成30年4月設置」などの条件については、担当大臣の山本幸三氏が、「安倍首相の指示・意向は一切なく、自分が決定した」と言い続け、徹底して安倍首相を守り抜く姿勢をとり続けている。そういう意味では、一応、ディフェンスが存在している。しかし、9月9日諮問会議での安倍首相発言と、それを受けての9月16日のWGでの藤原氏の発言は、八田氏などが強調する「議事録などに残された透明なプロセス」の中でのことなので、ディフェンスのしようがないのである。
・安倍首相側では、昨日の閉会中審査に出席するに当たって、どのような答弁をするかを十分に検討したはずだが、そこで「9月9日諮問会議での安倍首相指示」のことが意識されたのかもしれない。 しかし、常識的に考えても、構造改革特区で何度も獣医学部新設の申請をしていることを知っていたのに、それを国家戦略特区では申請していたことを知らなかったということは考えられない。
・しかも、安倍首相は、加計氏と、新たな学部への「挑戦」の話をしたことは認めているのであり、「その学部は何か」ということを親しい間柄で、話さないということは考えられない。安倍首相は「相談も依頼も受けたことはない」としきりに強調しているが、ここで問題となっているのは、加計学園が今治市で獣医学部を新設しようとしていることを認識していたか否かなのである。
・国会で、そのような常識では考えられない内容の答弁をしたことは、安倍首相にとって「危険な賭け」だったと言わざるを得ない。 私個人としては、規制緩和における「挙証責任」論や国家戦略特区の在り方に関する議論が取り上げられることを期待していただけに、若干残念であるが、安倍首相側が、防衛線を敢えて「1月20日」に設定した以上、そこが当面の最大の攻防の焦点になることは避けがたいであろう。
・今日の参議院での閉会中審査では、この点は野党側からの追及のポイントになるであろうし、仮に、それを耐えしのいだとしても、その不合理性は明らかであって、どう考えても、「加計学園の特区申請は今年1月20日に知った」という話が維持できるとは考えられない。 安倍首相にとって将棋の盤面は、「詰将棋」の状況に入ったと言わざるを得ないだろう。
https://nobuogohara.com/2017/07/25/%E5%8D%B1%E9%99%BA%E3%81%AA%E8%B3%AD%E3%81%91%E3%81%AB%E5%87%BA%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%80%8C%E8%A9%B0%E5%B0%86%E6%A3%8B%E3%80%8D%E3%81%AB%E9%99%A5%E3%81%A3%E3%81%9F/

第一の記事は、読売新聞が政府の手先となって前川前次官の「出会い系バー出入り」を報道したことに対し、OBが批判したものである。確かに、 『適正報道委員会にかけず』、 『30回以上も前川氏に会っていた女性の証言。売春相手ではなく、繰り返し相談に乗っていただけ』、 『前川氏の人となりは何人もの記者が良く知っていた筈』、というのでは、報道姿勢の不自然さが目立っただけである。
第二の記事で、 『第2次安倍政権成立以降、公にされているケースだけでも、安倍首相と加計氏は合計14回食事やゴルフで接触している。そのうち獣医学部が具体的に大きく動きだした昨年7月以降は6回と、なぜか頻度が一段と増した。 こうした客観的状況がありながら、加計学園にとっての一大事業である獣医学部新設の話が出た可能性を完全否定することは難しいのではないか』、 『さまざまなところで綻び』、などの指摘は正論である。
郷原氏が、 『昨年9月9日の国家戦略特区諮問会議の時点で、安倍首相が、加計学園の特区申請を認識していたとすると、そこでの議長の安倍首相の指示が、加計学園の獣医学部新設に便宜を図ったものであることを、事実上認めざるを得なくなるからだ』、 『9月9日諮問会議での安倍首相発言と、それを受けての9月16日のWGでの藤原氏の発言は、八田氏などが強調する「議事録などに残された透明なプロセス」の中でのことなので、ディフェンスのしようがないのである』、 『どう考えても、「加計学園の特区申請は今年1月20日に知った」という話が維持できるとは考えられない。安倍首相にとって将棋の盤面は、「詰将棋」の状況に入ったと言わざるを得ないだろう』、などと指摘しているのは、その通りだ。ただ、追及の先頭に立つべき民進党が、突然の党首辞任でゴタゴタしている。これが追及の矛先を鈍らせなければいいのだが・・・。
タグ:加計学園問題 (その7)(古巣 読売の前川報道を批判する、「1月知った」は酷すぎる 閉会中審査によって疑惑はかえって深まった、”危険な賭け”に出たことで「詰将棋」に陥った安倍首相) 中西 茂 文芸春秋2017年8月号 特集 日本の底が抜けてゆく 古巣 読売の前川報道を批判する 適正報道委員会にかけず 週刊文春6/8は出会い系バーで30回以上も前川氏に会っていた女性の証言。売春相手ではなく、繰り返し相談に乗っていただけ 前川氏の人となりは何人もの記者が良く知っていた筈 東洋経済オンライン 加計問題、安倍首相の「1月知った」は酷すぎる 閉会中審査によって疑惑はかえって深まった 閉会中審査 安倍晋三首相は慎重に言葉を選び、始終低姿勢を貫いていた 国民の多数は丁寧な言葉に納得しているわけではないだろう。共同通信が6月17日と18日に行った世論調査によると、政府の説明に「納得できない」と回答したのは73.8%。日経新聞が電子版読者に対して行った調査では、「納得できない」は81.4%にも上っている 第2次安倍政権成立以降、公にされているケースだけでも、安倍首相と加計氏は合計14回食事やゴルフで接触している。そのうち獣医学部が具体的に大きく動きだした昨年7月以降は6回と、なぜか頻度が一段と増した こうした客観的状況がありながら、加計学園にとっての一大事業である獣医学部新設の話が出た可能性を完全否定することは難しいのではないか 加計氏は「関係業者」に該当する さまざまなところで綻び 獣医学部の設置が正式に決定した前日の11月8日、文科省は「加計学園への伝達事項」なる文書を作成し、高等教育局専門教育課の担当者から設置室、私学部関係者宛てに送付した 郷原信郎 同氏のブログ 「”危険な賭け”に出たことで「詰将棋」に陥った安倍首相 加計学園が今治市の特区で獣医学部新設の申請をしていることを、最終的に加計学園が事業者に決定された今年の1月20日まで知らなかったというのは、常識では考えられないことであり、昨日の国会での安倍首相の答弁の中で特に注目 、「加計ありき」であった強い疑念が生じていることを受け、それらが安倍首相自身の「加計学園への有利な取り計らい」であったことを否定することが目的 昨年9月9日の国家戦略特区諮問会議の時点で、安倍首相が、加計学園の特区申請を認識していたとすると、そこでの議長の安倍首相の指示が、加計学園の獣医学部新設に便宜を図ったものであることを、事実上認めざるを得なくなるからだ 実質的にこの日のWGから始まっている獣医学部新設に関する議論は、「9月9日の諮問会議での安倍首相の指示」によるものであることを、藤原氏が明言しているのである 9月9日諮問会議での安倍首相発言と、それを受けての9月16日のWGでの藤原氏の発言は、八田氏などが強調する「議事録などに残された透明なプロセス」の中でのことなので、ディフェンスのしようがないのである 常識では考えられない内容の答弁をしたことは、安倍首相にとって「危険な賭け」だったと言わざるを得ない どう考えても、「加計学園の特区申請は今年1月20日に知った」という話が維持できるとは考えられない。 安倍首相にとって将棋の盤面は、「詰将棋」の状況に入ったと言わざるを得ないだろう。
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