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自動運転(その1)(VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?、自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由、電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?) [科学技術]

今日は、自動運転(その1)(VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?、自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由、電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?) を取上げよう。

先ずは、4月7日付けダイヤモンド・オンラインがCAR and DRIVER[総合自動車情報誌]を転載した「VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽完全自動運転を実現したVWの“セドリック”
・自動運転車の早期実用化を目指して、各メーカーが開発競争を繰り広げている。そんな中、今年3月のジュネーブ・ショーにおいて、VW(フォルクスワーゲン)が斬新な自動運転コンセプトカーを発表し、話題を集めた。 その車名は、セドリック。懐かしい日産車を思い浮かべるユーザーが多いだろうが、VWのセドリック(SEDRIC)は、セルフ・ドライビング・カーの略である。
・このセドリック、いわゆる“レベル5”の自動運転車という点が最大の特徴。レベル1~4と異なり、完全な自動運転車として開発された。つまり、ドライバーの運転操作は不要で、すべてクルマ任せで目的地まで行ける未来カーだ。 ドライバーが運転を行わないとなると、従来のクルマの概念はこのセドリックには当てはまらない。スタイリングは、トラムのような洗練されたワンボックスデザインが斬新だ。電気モーター(最高出力130ps以上)で走行し、航続距離は約400㎞。ボディサイズの詳細と、発売時期などは未公表である。
・セドリックは、ユーザーを認識して開くドアを設定。両開きのドアの開口部は十分に広く、荷物を持ったままでも乗降は楽。車体の中央から大きく開くドアから室内に乗り込むと、未来的な空間(2+2シート)が待ち受けている。 目を引くのは、ステアリングホイール、ペダル、ダッシュボードがない点。乗員は対面シートに座る。フロントウィンドウは、OLED(有機EL)ディスプレイになっており、各種情報などが表示される。ワイドな室内は、乗員の荷物とスーツケースを置くスペースがある。
・セドリックはカーシェアリングでの使用を前提にしている。たとえばセドリックを必要するユーザーが指定する場所まで無人走行で迎えに行き、ユーザーを学校に送ったり会社まで送ったりした後は、自律走行で駐車スペースを探し、注文した商品を受け取り、駅に到着した来客を出迎える、といった使い方ができる。
▽ボタン、ボイス、スマホで動く 夢のトランスポーター
・VWによると、一連の動きはすべて、ボタン操作、ボイスコントロール、またはスマートフォンアプリを使用して、完全に自動的、確実かつ安全に行えるという。クルマに話しかけるだけで、目的地までのルートをセドリックが判断し、乗員を安全に運んでくれるのだ。実用化までは時間がかかるだろうが、まさに夢のトランスポーターである。
・セドリックはコミュニケーション能力を備えている。乗員がセドリックに話しかけると、応えてくれる。目的地へのアクセス方法、走行時間、交通状況などの情報に関して、まるでユーザーのアシスタントのように回答してくれるのだ。 VWは完全自動運転車について、「大人、子供、年配者、体の不自由な方々、クルマや運転免許を持っていない都市生活者と旅行者など、すべての人々の用途に合ったモビリティを提供することになる」とコメントしている。 VWが自動運転車の開発競争で、頭角を現した。 
http://diamond.jp/articles/-/123723

次に、ジャーナリストの桃田健史氏が7月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・アメリカの自動運転に関する動きに急ブレーキがかかった。 そうした、日本にとって“ヤバい雰囲気”を7月10日の週にサンフランシスコで強く感じた。トランプ政権の下、自動運転バブルはこのまま崩壊してしまうのだろうか?
▽注目の国際協議の場だったのだが…
・アメリカの運輸交通委員会(TRB)及びDOT(運輸省)が関与する、自動運転や自動飛行に関する産学官連携での協議体である無人移動体国際協会(AUVSI) が主催する、AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム2017(7月11日~13日、於:ヒルトンサンフランシスコ・ユニオンスクエア)を取材した。
・自動運転に関する国際協議は、国連の欧州経済委員会における自動車基準調和世界フォーラム(WP29)や、道路交通法等の整備に関する委員会(WP1)、また高度交通システム(ITS)の世界会議などが主体である。 だが、グーグルやアップル、そしてインテルやエヌビディアなど、人工知能を活用した自動運転技術の研究開発を進め、デファクトスタンダードを狙う大手IT産業、及び自動運転を活用した新しい移動体サービス事業(MaaS :モビリティ・アズ・ア・サービス)の拡大を狙うウーバーやリフト等のライドシェアリング大手を抱えるアメリカが、法整備においても自動運転の世界をリードしているのが実情だ。
・筆者は直近の2ヵ月間、世界各国で自動運転に関する取材を立て続けてに行っている。具体的には、米サンノゼ市でのインテルの自動運転ワークショップと、エヌビディアの開発者会議GTC、仏ストラスブール市でのITS EU会議、また日本国内では経済産業省によるラストマイル自動走行実証に関する取材で福井県永平寺町、石川県輪島市、そして沖縄県北谷町。この他、日系及び欧州系の自動車メーカーが主催した各種の技術フォーラムで自動運転技術開発の担当者らと直接、意見交換している。 その上で、AUVSIの自動運転シンポジウムに対して期待を持って参加したのだ。
▽行政の色がまったくない
・毎年1回のペースで開催され、今年で6回目となる同シンポジウムをすべて取材してきた筆者にとって、今年の講演内容は筆者自身の想定を遥かに下回るショボいものだった。 なにせ、自動運転の法整備を行う政府機関である、連邦高速道路交通安全局(NHTSA:発音はニッツァ)による講演がゼロだったのだから。
・昨年7月の同シンポジウムには、NHTSA長官の他、NHTSAを所管するDOTの長官も講演し、自動運転に関するガイドラインについて意見を述べた。本来、同ガイドラインは昨年7月頃には公開される予定だった。しかし同年2月にフロリダ州内で、テスラ・モデルSの自動運転技術を使ったオートパイロットの誤作動による死亡事故が発生し、自動運転に関する社会の関心が高まったため、米連邦政府として自動運転の法整備について再協議を行っていた。 同年9月には、同ガイドラインが発表され、それに続いて自動車と道路インフラ(V2I)や、自動車と自動車(V2V)、そして自動車と歩行者(V2P)などの総称である、V2Xに関する規制法案についてもNHTSAが公表に踏み切った。 そうした流れは明らかに、政権交代前の“駆け込み”だった。そして今、その反動を食らっているのだ。
▽オバマの決定は何でも反対!?
・今回のシンポジウム開催時点で、NHTSA長官は未任命のままだ。今年1月に就任したDOTのイエーン・チャオ長官は、昨年の自動運転ガイドラインを発表の1年程度後に改訂することを示唆しているのだが、具体的な動きはまったく見えてこない。また、DOTの肝いりとして企画された、自動運転を活用した未来型の街づくり政策『スマートシティ』についても、今年9月からオハイオ州コロンバス市での実施が決まっているものの、具体案については未だに公開されていない状況だ。
・また、アメリカにおける自動運転の法整備はこれまで、公道での走行実験を許可してきたネバダ州、カリフォルニア州、オハイオ州、テキサス州など、州政府の意向が強く反映されおり、それをNHTSAがどのように連邦法として取りまとめるかの段階にある。その中で、昨年までのAUVSIシンポジウムでは、州政府担当者も講演し、それぞれの地域における自動運転の社会受容性について議論を進めてきたが、今回は全体講演で州政府の発表はゼロだった。
・トランプ政権は「反オバマ政策」を唱えるイメージが根強い。自動運転に関する政策も、パリ協定からの脱却に見られるような大胆な方針転回で、葬り去るようなことはないと信じたい。だが、今回のシンポジウムで日米欧の各自動車メーカー関係者などと意見交換するなかで、全員の共通認識は「これからどうなるか、さっぱり分からない」だった。
・そのうえで、結局は自動車メーカーが90年代から徐々に進めてきた、高度運転支援システム(ADAS)が徐々に発展し、2030年頃には高度な自動運転に「なるのかもしれない?」という、自動車メーカーの商品企画として“夢物語”へと、自動運転の議論が逆戻りしてしまうような感覚を抱いた自動車メーカー関係者が多かった。
▽自動運転バブル崩壊の予感
・ちなみに、今回の全体講演に自動車メーカーとして登壇したのはトヨタと日産のみ。ホンダが日本政府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を代表して講演した他は、トラックの縦列自動走行のパネルディスカッションでボルボが登場しただけ。コンチネンタル、ボッシュ、デルファイなど大手自動車部品メーカーの全体講演もゼロだった。これでは、米連邦政府の動きが見えないなか、自動運転の開発動向について積極的にはしゃべりたくない、と思われても仕方がない。
・もう1点付け加えると、自動車メーカー主導ではなく、いわゆるロボットタクシーのような公共交通に近いかたちの自動シャトルサービスが、2020年頃には世界各地で実用化されるという“青写真”がある。 この分野では、グーグルからスピンアウトしたWaymo (ウェイモ)がある他、欧州では仏Navyaなどが各地で実証試験を行っている。だが、6月開催のITS EU会議での各種協議を見聞きし、またEU(欧州委員会)の担当者や欧州の自動運転シャトル事業関係者らと直接話してみたが、「現状での実証試験は、実施の各自治体の警察が個別に判断しており、EUとして総括的な法整備を行うのは、かなり先になる」という意見が多かった。
・こうした世界各地での“生の声”と接する中で、筆者が感じるのは、自動運転バブルの崩壊だ。 自動運転、自動運転と、自動車産業界やメディアが大騒ぎし始めたのは、いまから4年前の2013年頃。その起点は、グーグルカーの量産計画に対する“噂”だった。 そしていま、先行き不透明なトランプ政権の意思決定プロセスによって、自動運転という次世代の技術開発や、そこに対する投資がスローダウンしてしまう危険性がある。
・そうしたなかで、日本にとって最も大きな問題は、日系自動車メーカー関係者らが今回のシンポジウムの現場で実際に話していたような「元の鞘に収まるのだから、まあ、のんびりやろう」という、“心の隙間”ができてしまうことだ。 その隙に、世界各地では水面下で、新たな動きが着々と進む。自動車産業界ではティア2(二次下請け)である半導体メーカーらのサプライチェーン改革。世界最大の自動車市場・中国では、燃料電池車の本格普及を想定し、その前段階としての電気自動車の普及政策と自動運転政策が融合する。
・日系自動車業界関係者におかれては、いまこそ、しっかりと、気を引き締めていただきたい。
・追記:本稿作成後、米下院のエネルギー商業委員会が、自動運転の販売や使用を緩和する法案を可決した。こうした議会の動きについては、今回取材した現場でも、参加者らは米自動車大手メディアのAutomotive News等を通じて承知していた。それにもかかわらず、現場の空気感はトランプ政権による自動運転の今後について、不透明感が拭えていなかったのが大きな問題だ。
http://diamond.jp/articles/-/135829

第三に、本田技研出身、前サムスンSDI常務で名古屋大学客員教授/エスペック上席顧問の佐藤 登氏が7月27日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・自動車と交通文化のパラダイムシフトが急速に進んでいる。図に示すように、その両輪は電動化と自動運転にある。電動化に関しての発端は、1990年9月に米国カリフォルニア(CA)州にて発効したゼロエミッション自動車(ZEV)法規にまで遡るが、その当時から関わった筆者にしてみると、この27年間の歴史には、いろいろなことを考えさせられた。
▽自動車の電動化に関する政策と開発動向
・電動化に関する内容についてはこれまでの本コラムで幾度となく執筆してきたので、最近のトピックに関して紹介したい。本年6月下旬にサンフランシスコで開催された電動車用先進電池に関する国際会議「AABC(Advanced Automotive Battery Conference)2017」では、注目すべき点がいくつかあった。
・まずトランプ政権の意向で、米国エネルギー省(DOE)の2017年度の車載用電池研究に対する予算は75%減になると発表されたが、どこまで具体化されるかは今後の注目すべきところである。
・一方、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの米国の離脱宣言もある中、ZEV法規を提言したCA州大気資源局(CARB)の幹部が講演した。CA州としては現在の大気環境改善と二酸化炭素削減につながるZEV規制の緩和修正については全く考えていないとのメッセージで、今後も計画的に継続していくことを力強く発したことが印象的であった。米国における州法の強さが伝わる意見であった。
・更に、CARBとしては2025年に電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、および燃料電池車(FCV)の普及台数を400~450万台と展望していると言う。それ以降のCARBの政策は、50年方針として、EV、PHV、FCVの割合を100%にする予定とのこと。26年以降のCARBの政策方針は現在検討を開始し、ボードメンバーは今後3~4年以内に提言すると発した。
▽中国市場における動き
・台湾の研究機関によれば、2016年の全世界におけるエコカー(PHV、EV、FCV)販売は50万7299台で、前年比で53.2%増となったと言う。とりわけ、中国市場がけん引したとのこと。17年には更に約20%増の61万600台と展望。他方、「中国の政策方針は毎月変わるので、鵜呑みにしてはいけない。常に動向を把握しておく必要有り」と明言した。なるほどという感が漂った。
・そんな中で、中国のエコカーライセンスに異変が生じている。現在、中国政府の国家発展改革委員会は暫定的に認めた新規参入企業15社にエコカー生産ライセンスを与えているが(計画では20社まで)、資格を取り消される企業が出る可能性が有るとのことなのだ。 
・正式なエコカー生産ライセンスを得るには、中国政府の工業情報化部による「乗用車生産企業および製品参入管理規則」の審査通過を経て、最終的には「道路机道車両生産企業・産品公告」で公示されなくてはならず、ここで初めてエコカーの販売ができるようになる。ただし、この必要な審査をすべて通過したのは現在15社中、北京汽車グループの北汽新能源汽車(BAIC BJEV)1社とのこと。このような状況を勘案して、中国政府の工業情報化部は、新規参入企業を多くても10社程度に削減する可能性があるという。
・BYDや上海汽車(SAIC Motor)等の既存自動車メーカーは規制対象にはならないとのことが明らかになると共に、つい最近では、独フォルクスワーゲン(VW)と中国江准汽車の合弁会社である江淮大衆汽車(JAC-VW)も認可された。初めて、中国ローカル系以外の外資系が認可されたことは、他の外資系自動車メーカーにも大きな指針となる。
・BYDは2016年にEVとPHVで10万台以上を販売したが、日米欧韓の外資系メーカーも18年に発効する中国NEV(New Energy Vehicle)規制に対応するため、中国でのエコカー生産を開始する。そうなれば、エコカーの歴史が浅く、ブランド力が小さいBYDにとっては、ブランド力の大きな自動車各社に対抗して、エコカーをどこまで伸ばせるかが課題となる。
▽電池業界、部材業界、試験業界のマーケット
・米ブルームバーグの市場調査によると、2030年に全世界規模で必要とされる電池容量は700GWh/年(自動車各社の計画を集計)と予測されている。16年の中国の電池生産容量比率は54%に到達し、17年には同比率で中国が76%を占有するとの見通しだ。一方、16年時点でのリチウムイオン電池(LIB)価格は、273$/kWhと推察した。
・一方、「多くの中国メーカーのLIBは、安全性や信頼性の観点で国際標準に達していない」という、AABCの主催者であるPh.D. Anderman氏の見解は筆者も納得するところである。中国市場ではある程度許容されているとのことだが、今後の展開を考えれば安全性・信頼性の向上は業界をあげて不可欠の課題である。そういう状況に対しては、筆者が在籍するエスペックは大きな貢献ができると考えている。
・中国政府は、消費者がエコカー補助金を受ける際の条件として、搭載されるLIBメーカーを限定している。「バッテリー模範基準」においてLIBのガイドラインが設定されていて、認証を受けた「ホワイトリスト」のLIBメーカーは、2017年5月時点で57社に及ぶ。しかし、中国系企業のみで日韓等の外資メーカーはホワイトリストに入っていない。3GWh/年以上の中国系メーカーはCATLを筆頭に、BYD、天津力神電池、万向集団A123、BAKなど12社が名を連ねる。中でもCATLの性能、品質や生産能力は中国メーカーの中では高い評価を受けている。
・一方、大連にLIB生産工場を建設したパナソニックは、2017年内に稼働するものの、ホワイトリストの申請は未実施のまま。自動車メーカー(ホンダやトヨタ自動車?)からはホワイトリストの早期取得の要請があるので対応を検討中とのことだが、本格稼働後に申請するとのこと。遅すぎではないか?
・CATLは、2020年に50GWh/年の生産容量を目標としている。BYDの現在の生産容量は12GW/年、19年には26GWh/年を計画しているが、20年頃にはCATLが圧倒的に上回る見込み。CATLは現在、上海汽車や北汽新能源、吉利汽車などへLIBを供給している一方、海外勢のBMWにも供給、SUV「X1」のPHVや合弁ブランドのZINOROのEVやPHVにも搭載されている。VWや現代自動車への供給契約も交わすなど、昨今、特に勢いづいている。
・韓国SKイノベーションも電池事業を拡大している。1996年にLIB開発を開始、99年に製品化、車載用LIBは2006年に開発開始、10年に車載用LIBを実用化。現在の自動車カスタマーに対しては11車種のモデルに供給中で、PHVとEV用では5万台以上の規模に相当する。20年までに14GWh/年まで拡大する予定と言う。製造拠点は韓国の他、欧州、中国に展開中であり、韓国勢としてはサムスンSDIとLG化学の2強体制から、3強体制を構築中と勢いがある。
・いずれにしても電動化の流れは留まることはなく、自動車業界、電池業界、素材・部材業界、試験機器業界、政府筋、大学・研究機関、調査会社やコンサル業界を巻き込んだグローバルビジネスという位置づけにある。
▽自動運転の開発加速が続く
・昨年中旬にメルセデス・ベンツがフルモデルチェンジした「Eクラス」は、自動運転のレベル2.5程度であることを本年6月8日のコラムに執筆した。その後、7月に入り、独アウディがレベル3(完全自動運転ではないが、条件付きで自動車主体の自動運転)を実現した「A8」を今秋に発売するとの発表があり、著しい進展があることにいささか驚いた。
・ではなぜ、ドイツ勢がかくも自動運転を積極的に進めているのだろうか。筆者には、その理由として以下の3点があるように思える。①電動車開発で日本勢に負けていること、②交通文化はドイツが発祥、③究極の自動車はドイツからというプライド――これらを紐解く前に、そもそも自動運転の意義について考えてみたい。
・自動運転がもたらす効果は絶大である。カーシェアリング、買い物弱者へのサポート、高齢者への運転支援対応、交通事故の低減、産業界における物流時間と効率の向上、物流コストの低減、動くオフィス、動く快適なサロン、動くホテル等々。その恩恵ははかり知れない。
・中でも社会的には交通死亡事故の減少に大いなる期待がある。日本における交通事故による死者数は、モータリゼーションと共に、1948年から70年にかけて4000人から4倍の1万6000人までに急増した。年間の自殺者を大きく上回る数値となってしまった。 その後、自動車業界は交通事故防止の一環として、いかに死者数を減らすかの開発に取り組んだ。その結果、2000年頃には1万人程度まで死者数が減少した。ここでようやく、自殺者と数値的には等価となった。しかし、自動車業界としてみれば、まだまだ大きな数値である。  その後は、シートベルト、エアバッグ、アンチロックブレーキなどの実用化と普及に至り、直近の2016年には4000人を割るレベルにまで効果を発揮した。
・そして今後、更に交通事故を減らすことに期待がかかるのが自動運転である。快適な交通文化を支えることは極めて革新的なことであり、社会に大きな恩恵をもたらすものである。 ではなぜ、ドイツ勢がこれほどまでに先導するのであろうか。歴史を振り返れば、1930年代のドイツのアウトバーン計画が背景にあると思える。
・1929年に起こった世界恐慌の影響で、ドイツで600万人が失業したとされている。そんな中、1932~33年の選挙キャンペーンで、ナチ党のアドルフ・ヒトラーが、「国民に職とパンを与える」と約束したことからアウトバーン計画は始まっている。33年からアウトバーン建設がスタート、最初の区間が35年に完成された。この計画において雇用も大きく増え、結果として39年には失業者が35万人まで減少するほどの成果を出したといわれる。 特に感心するのは、時間とコストがかかっても耐久性に優れるコンクリート舗装を実行したこと、そして大きな文化を築いたきっかけとなった自然景観と調和する建設設計基準を導入したことにある。
・そういう崇高な自動車交通文化があったからこそ、ドイツでは自動車の先進技術が開発され世界をリードしてきたのであろう。速度無制限(部分的には制限有)がもたらすアウトバーンは、高度な交通文化に耐え得る自動車を開発するという使命を負わせた。正に工業国としてのドイツらしい文化である。
・思い起こせば、1982年に半年ばかり欧州に長期出張していた際に、ホンダのアコード(当時ではホンダの最高級車)に乗ってアウトバーンを自ら運転し走行した。アクセル全開でも160km/h、そして170km/hが出たと思いきや下り坂だったことで、それが同車の限界だと知らされた。追い越し車線を、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどが、ものすごいスピード(200km/h以上)で駆け抜けていく姿を横目に見て、次元の違いを実感させられた。
・そういう文化が根付いているからこそ、自動運転の開発には自信をもっていることだろう。そこにドイツの気概が感じられる。そのような背景を抱えながら、自動運転が普及すればドライバーのストレスが軽減され、事故も未然に防げるという大きな効果が期待できる。
・ただし、自動運転に関わるルール作りも容易なことではない。責任の所在、保険システム等々、解決すべき課題も多い。日本勢としても、そのようなガイドラインや国際標準化でリードすることが求められるが、ドイツ勢とどのように伍していけるか、これから正念場を迎える。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/246040/072400054/?P=1

第一の記事で、VWが発表した自動運転コンセプトカー、セドリックは、 『クルマに話しかけるだけで、目的地までのルートをセドリックが判断し、乗員を安全に運んでくれるのだ。実用化までは時間がかかるだろうが、まさに夢のトランスポーターである』、らしいが、ハンドルもないのであれば、自分で運転するようなモード切り替えはないようだ。運転が趣味の私にとっては保有したいとは思わない。
第二の記事で、 『今回のシンポジウム開催時点で、NHTSA長官は未任命のままだ』、だったようだが、 『トランプ政権は「反オバマ政策」を唱えるイメージが根強い。自動運転に関する政策も、パリ協定からの脱却に見られるような大胆な方針転回で、葬り去るようなことはないと信じたい。だが、今回のシンポジウムで日米欧の各自動車メーカー関係者などと意見交換するなかで、全員の共通認識は「これからどうなるか、さっぱり分からない」だった』、というのは困ったことだ。 『自動運転バブル崩壊の予感』、については、『追記』を読む限り、表現がややオーバーという気がする。
第三の記事で、 『中国のエコカーライセンス・・・独フォルクスワーゲン(VW)と中国江准汽車の合弁会社である江淮大衆汽車(JAC-VW)も認可された。初めて、中国ローカル系以外の外資系が認可されたことは、他の外資系自動車メーカーにも大きな指針となる』、とのことだが、日本のメーカーは置いてけぼりを喰らわなければいいが・・・。  『7月に入り、独アウディがレベル3(完全自動運転ではないが、条件付きで自動車主体の自動運転)を実現した「A8」を今秋に発売するとの発表があり、著しい進展があることにいささか驚いた』、 (ドイツには崇高な自動車交通文化)『そういう文化が根付いているからこそ、自動運転の開発には自信をもっていることだろう。そこにドイツの気概が感じられる』、ということでは、ここでも日本のメーカーの頑張りを期待しなければならないようだ。
タグ:CA州としては現在の大気環境改善と二酸化炭素削減につながるZEV規制の緩和修正については全く考えていないとのメッセージで、今後も計画的に継続していくことを力強く発したことが印象的であった。米国における州法の強さが伝わる意見であった 中国のエコカーライセンス 中国市場における動き 米下院のエネルギー商業委員会が、自動運転の販売や使用を緩和する法案を可決した 新規参入企業を多くても10社程度に削減する可能性 独フォルクスワーゲン(VW)と中国江准汽車の合弁会社である江淮大衆汽車(JAC-VW)も認可された。初めて、中国ローカル系以外の外資系が認可されたことは、他の外資系自動車メーカーにも大きな指針となる そういう文化が根付いているからこそ、自動運転の開発には自信をもっていることだろう。そこにドイツの気概が感じられる 崇高な自動車交通文化があったからこそ、ドイツでは自動車の先進技術が開発され世界をリードしてきたのであろう 自動運転に関わるルール作りも容易なことではない。責任の所在、保険システム等々、解決すべき課題も多い。日本勢としても、そのようなガイドラインや国際標準化でリードすることが求められるが、ドイツ勢とどのように伍していけるか、これから正念場を迎える 電動車開発で日本勢に負けていること ドイツ勢がかくも自動運転を積極的に進めているのだろうか。筆者には、その理由として以下の3点 7月に入り、独アウディがレベル3(完全自動運転ではないが、条件付きで自動車主体の自動運転)を実現した「A8」を今秋に発売するとの発表 交通文化はドイツが発祥 1930年代のドイツのアウトバーン計画が背景にあると 究極の自動車はドイツからというプライド 先行き不透明なトランプ政権の意思決定プロセスによって、自動運転という次世代の技術開発や、そこに対する投資がスローダウンしてしまう危険性がある 電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは? 日系自動車業界関係者におかれては、いまこそ、しっかりと、気を引き締めていただきたい 自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由 AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム2017 ・トランプ政権は「反オバマ政策」を唱えるイメージが根強い 自動運転の法整備はこれまで、公道での走行実験を許可してきたネバダ州、カリフォルニア州、オハイオ州、テキサス州など、州政府の意向が強く反映 今回のシンポジウム開催時点で、NHTSA長官は未任命のままだ 連邦高速道路交通安全局(NHTSA:発音はニッツァ)による講演がゼロだったのだから 今年の講演内容は筆者自身の想定を遥かに下回るショボいものだった セドリック セルフ・ドライビング・カーの略 “レベル5”の自動運転車 ドライバーの運転操作は不要 、一連の動きはすべて、ボタン操作、ボイスコントロール、またはスマートフォンアプリを使用して、完全に自動的、確実かつ安全に行えるという 桃田健史 カーシェアリングでの使用を前提 ステアリングホイール、ペダル、ダッシュボードがない VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か? CAR and DRIVER ジュネーブ・ショー 斬新な自動運転コンセプトカーを発表 日経ビジネスオンライン 自動運転バブル崩壊の予感 佐藤 登 ダイヤモンド・オンライン (その1)(VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?、自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由、電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?) 自動運転
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