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不動産(その1)(「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来、「賃貸住宅市場が危ない」 日銀が異例の警鐘、2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾) [経済政策]

今日は、不動産(その1)(「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来、「賃貸住宅市場が危ない」 日銀が異例の警鐘、2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾) を取上げよう。

先ずは、ベストセラー『里山資本主義』の著者・藻谷浩介さんと、『老いる家 崩れる街』の著者・野澤千絵さんが3月10日付け現代ビジネスで対談した「「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来〜首都圏でさえこの惨状…無計画な開発の果てに」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・いまの日本を滅ぼしかねない大問題は、「空き家」の激増だ。それは、人口が減少するのに住宅はつくられ続けるという不可解な現実に由来する。なぜこんなことになっているのか? ベストセラー『里山資本主義』の著者・藻谷浩介さんと、『老いる家 崩れる街』の著者・野澤千絵さんのおふたりが明かす日本の惨状――。
▽誰も言い出さなかった
・藻谷 いま日本中に空き家が激増しています。その数は今後も伸び続け、15年後には3戸に1戸が空き家になる計算です。戸建てもマンションもすべてひっくるめて空き家になるという、世界でも類を見ない「空き家大国」になるのです。 この問題を真正面から取り上げ、その原因を解き明かした野澤さんの『老いる家 崩れる街』が大反響を呼んでいますが、この中で空き家が大量に生み出される最大の要因として指摘されているのが、都市計画の欠陥です。 長年、この問題を関係者の誰ひとり言い出さなくて、誰が最初にスイッチを押すだろうと思っていましたが、ついに出たのが野澤さんだった。よくぞ、書いてくださいました。
・野澤 ありがとうございます(笑)。日本の都市計画と住宅政策が、どんどん空き家を生み出すと言っても過言ではありません。
・藻谷 全国各地の自治体に足を運んでいる経験から言わせてもらえば、都市計画はどこでもほぼ一律なので、まちづくりに問題を抱えていないまちは皆無です。つまり、日本全国で住宅が常に供給過剰になっているのです。
・野澤 そうなんです。日本の都市計画は1968年にできた都市計画法にそって行われてきましたが、これは住宅を造ることを前提にした高度経済成長期仕様の法律です。
・藻谷 1968年と言えば、田中角栄時代の前夜。すでに列島改造ブームの下地が整っていて、そこに敷かれたのが都市計画法というレールだった。つまりこれは宅地開発をコントロールする法律ではなく、開発を容易にする法律だったと。
・野澤 そうです。ただそれでも、市街化を促進する「市街化区域」と、市街化を抑制する「市街化調整区域」を分けるという線引き制度と開発許可制度を導入していたので、当初はある程度は開発をコントロールできていました。 その区別が時代とともに、政治的な圧力などによって「緩和、緩和」の大合唱によってうやむやになり、農地の中にポツンポツンと住宅や賃貸アパートが建つようになってしまった。 そういう市街化調整区域に家を買って住んでいる人はたいてい、「うちにも下水道を引いてくれ」と言う。ところが、住宅がまばらな地域に都市インフラを整備することは自治体財政には大きな負担です。
・藻谷 調整区域の本来の主旨は開発の抑制なのですから、そこに下水道なんて引いている場合じゃないんですけどね。
▽住民の加齢という大問題
・野澤 藻谷さんが全国各地を見て回られて、特に「これは問題だ」と思われたまちはありますか?
・藻谷 無数にありますが……中でも極端な例は北海道の夕張市です。石炭産業が衰え、10万人以上いた人口が3万人ほどに減った時点でもなお、市営の集合住宅の建設を続けていました。  いまは夕張の人口は9000人弱。「過疎だから家が余るんだ」と言う人がいますけど、それは間違い。そもそも10万人以上が住んでいた土地に、容積率を利用して20万人分くらいの住宅を供給していれば、家が余るのは当然です。  北海道には、人口が減っている平成以降に、元の市街地の4~5倍の規模で郊外開発をしている例が多いのです。
・野澤 帯広都市圏もそうですよね。郊外の調整区域を市街化区域に編入する区画整理を行った結果、JR帯広駅を中心とするまちなかは駐車場と空き家だらけのスカスカ状態になってしまいました。 税金を投入してインフラを整備してきた中心部がスポンジ状態になる一方で、郊外での宅地化が続けられ、居住地が薄く広がってしまったのです。
・藻谷 苫小牧もその問題が顕著です。2010年代に入って市の東側(沼ノ端地区)の大区画整理をし、イオンの大型ショッピングモールを誘致して市街地を広げたんですが、駅前に4つあった大型店は全部潰れてしまっています。
・野澤 問題の根っこは無計画な都市計画にあります。 人口減少社会において、「ウチのまちだけは人口を増やしたい」という市町村が、新しい住民を呼び込むために、本来は市街化を抑制すべき市街化調整区域の開発規制を過度に緩和して、新規の宅地開発にゴーサインを出している。 で、結局は、近隣自治体同士での人口奪い合い合戦となる。
・藻谷 山梨県に昭和町という町があります。ここは農地の住宅地化を積極的に進めた結果、全国有数の人口増加率を誇っています。バイパス通りに高速道路のインターチェンジも、工業団地もできた。ところが、車で15分ほどで甲府に着くはずなのに、いつも渋滞しているから30分でも着かない。 一方、甲府から電車で20分程度の甲州市は、人口減少が急速です。比べてみれば、昭和町のほうが素晴らしいように見えますよね。が、人口増加の中身をつぶさに見てみると、昭和町のほうがまずい状況なのです。
・野澤 将来的にどんな問題があるんですか?
・藻谷 いや、すでにもうヤバイ。昭和町ではこの5年間で、0~14歳の子供人口が150人増え、生産年齢人口(15~64歳)も750人増えています。それぞれ5%増と6・4%増で、全国有数です。「だったらいいじゃない、現役世代が増えて住民税収も増えるじゃない?」って思うでしょう。
・野澤 そうですね。
・藻谷 ところが、昭和町の総人口は1850人増えているんです。0~14歳が150人、15~64歳が750人の増加ですから、差し引き65歳以上が950人増えているのです。
・野澤 つまり、高齢者だけが異常に増えているんですね。
・藻谷 子供が5%増、現役世代が6%増、それに対し高齢者は32%増です。福祉関係の費用増はとても深刻でしょう。 なぜこうなったのかと言えば、40年前から乱開発をせっせとやってきた結果。当時30代前後で昭和町に流れ込んできた人たちが、いま続々と65歳を超える高齢者になっているのです。 人口を増やそうとして若い世代を呼び込むと、数十年後には高齢者の大激増に見舞われる。総人口だけを見て増えていると安心するのは大間違い。住民の加齢をまったく考えていない都市計画の先に待つのは、財政破綻です。
▽想像を絶する「家余り時代」に
・野澤 東京圏でも人口を増やすために、自治体があの手この手で都市計画規制を緩和し、郊外の農地エリアの開発や、都心のタワーマンション建設を許容していますが、これも同じ状況を生むことになりますね。
・藻谷 首都圏の苦境は昭和町どころではありません。いわゆる世間の常識とは逆ですが。確かに「若者の流入が加速する東京」とも言われるように、東京・埼玉・千葉・神奈川の首都圏一都三県の人口は最近5年間に51万人増えました。うち42万人が、首都圏外から流れ込んできた現役世代です。 ですが総人口はどうでもいい。生産年齢人口は増えているか、高齢者は増えていないのかが、経済や財政には重要なのです。  最近5年間の首都圏には生産年齢人口42万人が流れ込んできたと言いましたが、それではこの間に首都圏の生産年齢人口は、結局何人増えたでしょうか?
・野澤 45万人増くらいですか。
・藻谷 答えは75万人の減少です。
・野澤 えっ。減っているんですか?
・藻谷 そうです。その一方で首都圏一都三県では、この5年間に、65歳以上の住民が134万人も増えたのです。
・野澤 134万人……。
・藻谷 さらに、そのうち80歳以上だけを取り出すと52万人の増加です。この5年間で総人口が51万人増、うち80歳以上が52万人増ですから、つまり増えたのは80歳以上だけで、79歳以下は減っている。高度成長期以前に上京した若者が加齢した結果ですが、昭和町よりもはるかに激しい高齢化です。
・野澤 これも目先の人口増加ばかりを追って都市開発を無計画に行ったことのツケですね。現役世代が減って高齢者が増えると、税収が減る一方で社会保障関連のコストがどんどん膨らむことになる。自治体にとっては深刻な危機です。
・藻谷 空き家も大量に発生します。3年半前の総務省の調査では、一都三県には空き家が203万戸もあります。全国の空き家の4分の1が首都圏にあるのです。一戸に2名住むとして人口が400万人増えないと埋まらない。でも過去5年間の増加は51万人で、しかも80歳以上しか増えていない。 以前、知り合いの新聞記者に「お台場の現在の人口構成と40年前の高島平の人口構成を調べたら面白いよ」と言ったところ、真面目に調べてきたんです。そうしたら2つの人口ピラミッドがぴったり重なっていた。 つまり、お台場の高層マンション群も、40年後には現在の高島平のような高齢化が進んだまちになる。 密集して建てられたお台場の超高層マンション群の多くは分譲ですから、住人が入れ替わりにくく、ローンを抱えたままそこで年を取っていく人々が続出する。 これが首都圏の現実です。
・野澤 やがて首都圏にいる865万人もの高齢者も亡くなってゆく。そのときに、住んでいる家を誰かがうまく相続して住んでくれればいいんですが……。
・藻谷 今の乳幼児は団塊世代の半分なので、相続人も足りない。日本は想像を絶する「家余り時代」に突入するのです。
・野澤 ここで不思議なのは、こういう時代でもなお家を購入する人がいるということです。 私の地元・関西でも、大阪の中心部まで40~50分も電車でかかるようなところで、いまだに新築住宅が売れています。「3000万円台なら安い」と思って買っているのかもしれませんが、長期的に見ると資産になるとは思えないし、将来子供たちが相続した時に売ろうとしても、完全に住宅過剰の時代になっていて売れない。 固定資産税や管理コストを負担し続けなければならない「負動産」になるのは目に見えているのに。
・藻谷 東京圏では、都心まで40~50分かかるような場所では新築住宅は売れなくなってきています。例えば埼玉県の春日部。市を縦断する東武伊勢崎線は地下鉄日比谷線や半蔵門線とも直通運転しているので、通勤するのにそれほど悪い場所ではありません。 国道4号や16号も走っているし東北自動車道へのアクセスもいいし、お隣の越谷にはイオンレイクタウンという巨大ショッピングモールもあるけれど、春日部は人口減少が進んでいて、新規の団地開発もない。 一方、関西だと、大阪府北部や神戸市などではいまも盛んに新規の住宅供給があって、都心から40分の駅からさらにバスで20分もかかるようなところの家がまだ売れている。
・野澤 そうなんです。それが不思議でならないんです。
・藻谷 そんなところに家を建てる業者が後を絶たないのは、買う人がいるからです。これは都市計画の制度がおかしいということの他に、マーケットに問題が、つまるところ買う人のマインドに問題があるのです。
・野澤 確かに住宅業界の人に「なぜ将来資産価値を失うような場所に家を造るのか?」と聞くと、「だって買う人がいるんですよ。われわれはニーズをコントロールすることはできません。需要があるんだから、そこに水を差すようなことは言わないでほしい」と反論されるんです。経済学者の人からも同じように批判されます。
・藻谷 目先の業績を追う業者はともかく、長い目でものを見るべき経済学者までそういうことを言い出すとは。 歴史を少しでも勉強すれば、多数が支持したことが後々考えても正しかったということは、例外的だと分かります。「市場経済における多数派が常に正しい。今人気のあるものがいいものなんだ」と言うなら、経営者は要らない。実際には、需要の多くは、長く続かないバブルなのです。
・野澤 資産価値という点から住宅を見れば、希少性が重視されるはずなんですが、実態はそうなっていませんよね。
・藻谷 戦後の日本の住宅業界は、「供給を増やせば市場価値も上がる」という、市場経済原理とは真逆の、謎の信念によって支えられてきたのです。原理的には、供給を増やせば値段は下がるのが当然なのですが。 今から20年以上も前、日本開発銀行で地域振興の調査をしていた時分に、大阪の街づくりコンサルタントと話をしていて、初めてそのことに気づきました。 私が「容積率を上げると供給が過剰になってテナントの家賃も下がるし、地価も下落しますから、やめたほうがいいですよね」と言ったら、「はぁ? 容積率を上げないと地価が上がらないだろうが!」と激怒されたんです。 私は「供給を増やすと値段が上がる」と大真面目な顔で言う人がいることにひどく驚いたんですが、それ以来出会った不動産業界、住宅業界の人はみな同じ考えだったんです。
・野澤 たしかに、同じ広さの土地を開発する場合、容積率を上げればより多くの住戸が作れますから、その土地の価値は上がりますが……。
・藻谷 これは典型的な「合成の誤謬」です。その土地だけみれば確かにその時には価値は上がるのですが、そうなると隣の土地でも同じことを始めます。つまり、エリア全体で見ればあっという間に供給過剰になって地価が下がるんです。 湯沢町(新潟県)が典型ですね。都市計画もないスキー場エリアで、バブルの頃に林立した超高層のリゾートマンションの部屋が、今は超格安で売りに出ています。
・野澤 そうですね。あのリゾートマンションはいまや100万円でも売れない状態でしょう。結局、持ち主にしてみれば資産価値は暴落しても、古くなった家電製品のようにどこかに廃棄することもできない。 所有権がある以上、固定資産税や管理費・修繕積立金という支出だけは負担しなければならない。ものすごい重荷になっているはずです。
・藻谷 湯沢のいくつかのマンションでは、水回りが老朽化しているために、蛇口から出る水道水も飲用には堪えず、住民はペットボトルの水を買っていると聞きます。
・野澤 えーっ!
▽住宅業界の人が買わない物件
・藻谷 実際には開発業者はそんな超高層住宅の末路は知っているのです。でも「買う奴がいるのだから、今売れればいい」という「売り逃げの論理」で突っ走っているんです。 東京都心に急増している分譲タワーマンションの多くは、近い将来、高齢者が詰まった「新・山村」になって、その処理は大きな社会問題になります。その頃になって製造物責任を問われるのは、売り逃げを図った不動産会社ですよ。
・野澤 だから、建築や住宅業界の人はほとんど、タワーマンションを買ってないですよね。
・藻谷 そう、住宅業界の人は超高層物件を買わない。私も家は買っていない。首都圏の家を買うリスクは大きすぎます。
・野澤 タワーマンションは修繕コストも膨大になります。大規模修繕や建て替えの際に住民の意見をまとめなくてはならないけれど、何百世帯もの合意を得るのは非常に難しい。
・藻谷 消防車の梯子が届かないような高さの建物の修繕はかなり技術的にハードルが高い。湯沢町のように、十分な修繕ができない「立ち腐れ超高層」が激増するでしょう。そして、劣悪な状態になったマンションであっても、居住者は税金や管理費・修繕積立金を負担し続けなければならない……。
・野澤 戸建てもタワーマンションも大量に余る時代になってきているのは予想ではなく現実です。こうなった以上、今すでにある空き家を中古住宅として流通できる建物にして売買・賃貸したり、古い空き家は解体・除却することが一般化するような仕組みを整えつつ、都市計画を厳格にし、規制を強化すべきだと思います。
・藻谷 高さ制限の厳格な国立市(東京都)では、高層マンションを建設した業者に、住民が訴訟を起こし、一審では20メートルを超える部分の撤去を命じた。地元の不動産業者が「不当な判決だ。これで国立の地価は暴落する」と言っていましたが、現実には国立の地価は今でも上がっている。
・野澤 「地区計画」という都市計画制度による規制で、実質的に住宅の供給が一定程度制限されているからですね。住宅過剰時代には、自分の家があるまち自体の資産価値を上げるよう、ひとりひとりが行政に働きかけることが、ますます必要となってくるのでしょう
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51118

次に、7月21日付け東洋経済オンライン「「賃貸住宅市場が危ない」、日銀が異例の警鐘 金融緩和による住宅過剰、物価を下押し?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「非常に珍しいことではないか」 賃貸住宅市場に詳しい農林中金総合研究所の古江晋也・主任研究員はそう話す。 古江氏が珍しいと驚くのは、日本銀行が今年1月に公表した「地域経済報告」の記述だ。この中で日銀は「多くの地主等が短期間のうちに貸家経営に乗り出した結果、貸家市場全体でみると、需給が緩みつつあるとの声が聞かれている」「実際、賃貸物件の仲介業者等からは、郊外の築古物件など相対的に魅力の乏しい物件を中心に、空室率の上昇や家賃の下落が見られるとの声が聞かれている」などと、賃貸住宅市場の現状に警鐘を鳴らしている。
▽バブル期を超える不動産業への新規融資
・確かに、賃貸住宅市場は供給過剰の懸念が高まっている。特に、2015年1月に施行された改正相続税法により、相続税の節税対策として多くの貸家が建設されてきた。超低金利政策が長期化し、マイナス金利政策の導入でもう一段、金利が低下したこともこれを後押ししている。「不動産業への新規貸し出しは2009年以降、国内銀行、信用金庫ともに拡大を続け、銀行の新規融資は2015年は10.7兆円、2016年は12.3兆円と2年連続で(バブル期の)1989年の10.4兆円を超えた」(古江氏)。日銀の懸念はもっともであると言える。
・ただ、サブリース方式で賃貸住宅を供給する大手各社の決算を見るかぎり、今のところ市場に変調は出ていない。 たとえば、業界最大手である大東建託は2017年3月期の決算発表で、アパート入居率への懸念に対し、「当社グループが管理している賃貸建物の入居率にまったく懸念はありません」と答えている。同社の居住用賃貸建物の入居率は96.9%で、健全水準とされる96%を上回っているという。今後も入居者ニーズに応じたハード・ソフト両面のサービスを提供することにより、入居率が急激に悪化することはない、と説明している。
・だが、マクロ指標を都道府県別に見ると、少し違った賃貸住宅市場の姿が浮き彫りになる。トヨタ自動車などが出資する不動産評価・情報提供会社「タス」は、首都圏や関西圏の空室率を毎月、集計・公表している。その空室率インデックスで見ると、首都圏では東京都心部はさほどでもないが、埼玉や神奈川、千葉の各県で特に2015年後半以降、空室率が急上昇している。 同社の藤井和之・新事業開発部長は「賃貸住宅の着工数はリーマンショック前の水準に戻っただけでまだバブルではない。しかし、この状態が2~3年続くとバブルとなるかもしれない」と指摘する。
▽賃貸住宅の市況はさらに悪化しそう
・同社はデータユーザー向けに不動産市況のアンケート調査を行ってD.I.(景況指数、50が中立)を作成しているが、これによると、賃貸市場の現況D.I.は50を下回り、市況は相変わらず厳しい。将来D.I.もすべての地域で現況D.I.を下回っており、将来の市況はさらに悪化するとの懸念が高まっている。
・また、首都圏でも特定の地域に集中して賃貸住宅が建設されている実態がある。藤井氏は「たとえば横浜。広さ20平方メートル以下のワンルームなど単身者向けの賃貸住宅が、集中的に大量供給されている」と話す。単身者向けが建設されるのは、人口構成上、単身者世帯が増加しているうえ、単身者向け住宅のほうが面積当たりの賃料が高く、採算が取りやすいからだという。
・一方、今年2月には愛知県のオーナーが業界大手のレオパレス21を提訴し、家賃減額分の支払いを求めて争っており、業界内で大きな注目を集めている。大東建託やレオパレス21など、右肩上がりで成長してきたサブリース業界にとって、曲がり角の事件となるかもしれない。
▽2030年代は本格的な空き家時代に
・今後、賃貸住宅市場はどのように推移していくのか。野村総合研究所はこのほど、2030年度までの住宅市場の長期予測を公表した。 それによると、2016年度に97万戸あった住宅供給戸数は30年度には4割減の55万戸まで減少。とくに貸家の供給は43万戸から25万戸まで減少すると予測している。同時に、2033年の空き家数は約2166万戸、空き家率は3割超と、本格的な空き家時代が到来すると見込まれている。
・予測を担当した同社グローバルインフラコンサルティング部の榊原渉部長は「景気に左右される分譲住宅、ライフステージに応じて建て替えなどが決定される持ち家と比べ、いちばん予測しづらいのが貸家の需要。今後は単身世帯が増えて持ち家率が下がり、持ち家にこだわらない層の賃貸アパート、賃貸マンション需要が増えていくことも考えうる」と指摘する。
・住宅投資は名目GDP(国内総生産)の3%程度を占めるにすぎないが、裾野が広いだけに、その減速の影響は大きい。また、賃貸住宅の過剰供給は、消費者物価指数の構成比の2割弱を占める家賃の下押し圧力となり、デフレの一因となっている。皮肉なことに、極端な金融緩和が金融機関の不動産融資を後押しし、供給過剰から2%の物価目標が遠のくという形で日銀に跳ね返るというブーメラン現象が生じている。
http://toyokeizai.net/articles/-/180975

第三に、不動産コンサルタントの長嶋 修氏が7月30日付け東洋経済オンラインに寄稿した「2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾 対策していない自治体の土地を買ってはダメ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・東京オリンピックが開催される2020年以降に、大都市の土地に対する需給バランスが大きく崩れるのではないかと予想されていることをご存じだろうか。 2022年に、いわゆる「生産緑地」の多くが、マンションや一戸建てなどの住宅用地として順次放出される可能性が出ているのだ。放出候補となる土地の面積は、実に東京ドーム2875個分という広大なものだ。
▽空き家増加に歯止めがかからなくなる
・2017年現在、全国の空き家数はおそらく1000万戸を突破しているものとみられるが、このままでは空き家増加に歯止めがかからなくなる。不動産の価格は言うまでもなく「需要」と「供給」で決まるが、大都市圏の住宅価格には非常に大きな下落圧力がかかるだろう。 この件は不動産市場の「2022年問題」といわれ、大量の住宅用地放出を、ハウスメーカーやマンションデベロッパー、アパート建設会社などがビジネスチャンスととらえ、虎視眈々と商機をうかがっている。
・放出可能性のある地域は東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市、その他整備法に規定する一部地域など。「平成27年都市計画現況調査」(国土交通省)によれば、2013年3月時点の生産緑地は全国で1万3442ヘクタール(約4066万坪)。東京都に3296ヘクタール(997万坪)ある生産緑地がすべて宅地化された場合、約25万戸の一戸建ての建設が可能だ。2016年における東京都での新築一戸建て着工戸数は13万戸強にすぎない。マンションやアパート用地に変貌した場合には、戸数は飛躍的に増大する。
・生産緑地法をめぐる動きを、時系列に沿って整理してみよう。1974年に公布された生産緑地法では、市街化区域内の農地の宅地化を促す目的で、大都市圏の一部自治体では農地の「宅地並み課税」が行われ、これにより都市近郊の農地はその多くが宅地化されることになった。当時は深刻な住宅不足が問題になっていたため、これの解消が狙われたのだ。
・そして、1992年の同法改正によって、市街化区域内の農地は、農地として保全する「生産緑地」と、宅地などに転用される農地に分けられた。生産緑地に指定されると固定資産税は農地並みに軽減され、相続税の納税猶予を受けることも可能だ。生産緑地の所有者はこうした優遇措置を受ける代わりに、建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められた。
・「生産緑地」とは原則としてすべて、住宅建設可能な市街化区域内にあることがポイントだ。同法の適用は1992年からで、期限は30年後。つまり2022年以降、生産緑地の多くが宅地化する可能性が高いのだ。  この期限を迎えたとき、所有者が病気などで農業に従事できなくなった、あるいは死亡などの場合に、所有者は市区町村の農業委員会に土地の買い取り申し出を行える。この買取り申し出に対し自治体は、特別の事情がないかぎり時価で買い取るものとされているが、市区町村が買い取らなかったり、生産緑地として他に買う者がいない場合には、この生産緑地指定が解除される。これまでの実績では、予算不足などの理由から、自治体による買い取りの実績はほとんどみられない。
・そうなると、優遇された固定資産税が数百倍にハネ上がるため、所有者は土地を持ち続けられず、売却するしかなくなるだろう。こういったまとまった土地を仕入れるメインプレーヤーは、一戸建てを建設する大手ハウスメーカーや、ローコスト住宅を建設するパワービルダーと呼ばれる企業群だ。立地がよければマンションデベロッパーが触手を伸ばすだろう。
▽国の対策は限定的にしか機能しない
・立地に難のある土地ではアパート建設が進む可能性が高い。土地の上にアパートなどの住宅を建てれば固定資産税や相続税評価額が下がることから、2015年の相続増税以降、とりわけ首都圏ではアパート建設が飛躍的に増大、空室率が格段に高まっているのは周知のとおりだ。
・むろん国もこのことは承知しており、生産緑地の指定期限が切れた30年後も、10年毎の延長を可能とする「改正都市緑地法」の施行を6月に行った。しかしすでに30年経過し、土地所有者も高齢化が進んでいる。実際に延長ができるのは、所有者が農地を維持できる体力があるか、後継者がいる場合に限られるだろう。また、同法では、単に農地として維持するのではなく、農産物の直売所や農家レストラン等の設置も可能としたが、これらを適用できる所有者も同様に限定的だ。
・これからマイホーム購入を検討する向き、不動産売却を検討する向きには非常に悩ましい問題だ。圧倒的な土地放出の前では、不動産価格は下落するしかない。「売るなら今」「買うなら2022年以降」と判断できるケースもあるだろう。ただし悩ましいのは、住宅ローンの金利水準の動向だ。現在は日銀の金融緩和方針もあり、歴史的な低金利下にあるが、この状態が2022年以降も続く可能性は不透明だ。金利が上昇すれば、同じ支払額で借りられる住宅ローン額が減少するため不動産価格には下落圧力が働く。一方で、現行水準で住宅ローンをFIXしておけば総支払額は抑えられる。
・本格的な人口減少、少子化・高齢化はこれから始まる。不動産は1にも2にも3にも、立地が大事だ。不動産を購入する場合は、生産緑地のことも頭に入れて、将来的に価値が落ちない、落ちづらい立地をよくよく吟味する必要があるだろう。まずは、周辺に生産緑地がどの程度あるか、自治体に尋ねるなどして把握してみよう。その際には自治体における、とりわけ生産緑地の扱いをめぐる施策検討の有無も確認したい。大量の生産緑地を抱え、かつ自治体で何ら方策も検討されていない場合は要注意だ。
http://toyokeizai.net/articles/-/181979

第一の記事の 藻谷さんと野澤さんの対談は、歴史的・経済学的視点も織り込まれた読む価値のある読み物だ。 『空き家が大量に生み出される最大の要因として指摘されているのが、都市計画の欠陥です。 長年、この問題を関係者の誰ひとり言い出さなくて、誰が最初にスイッチを押すだろうと思っていましたが、ついに出たのが野澤さんだった』、というのは大したものだ。 『そういう市街化調整区域に家を買って住んでいる人はたいてい、「うちにも下水道を引いてくれ」と言う。ところが、住宅がまばらな地域に都市インフラを整備することは自治体財政には大きな負担です』、 『極端な例は北海道の夕張市です。石炭産業が衰え、10万人以上いた人口が3万人ほどに減った時点でもなお、市営の集合住宅の建設を続けていました』、などもとんでもない話だ。 『容積率を上げれば・・・その土地の価値は上がります・・・これは典型的な「合成の誤謬」です』、というミクロとマクロを混同した議論もいまだに横行しているのも困ったことだ。 『人口を増やそうとして若い世代を呼び込むと、数十年後には高齢者の大激増に見舞われる。総人口だけを見て増えていると安心するのは大間違い。住民の加齢をまったく考えていない都市計画の先に待つのは、財政破綻です』、確かに目先だけを狙った都市計画は、問題が多いが、果たして長期的視点に立った都市計画を立案できる政治家や官僚はいるのだろうか。選挙民も同様であろう。長期的視点に立った都市計画の必要性を、もっと大々的に世論に訴えていくべきだろう。
第二の賃貸住宅市場バブルも、持続性がないことを皆が分かっていながら、市場参加者はとりあえず波に乗ることだけを考えているようだが、崩壊は時間の問題だろう。
第三の『「生産緑地」という時限爆弾』、も考えると、賃貸住宅市場バブルの底は極めて深く深刻なものになりそうだ。やれやれ・・・。
タグ:不動産 日本銀行 東洋経済オンライン 藻谷浩介 里山資本主義 (その1)(「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来、「賃貸住宅市場が危ない」 日銀が異例の警鐘、2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾) 老いる家 崩れる街 野澤千絵 現代ビジネスで対談 「「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来〜首都圏でさえこの惨状…無計画な開発の果てに」 いまの日本を滅ぼしかねない大問題は、「空き家」の激増だ。それは、人口が減少するのに住宅はつくられ続けるという不可解な現実に由来 日本中に空き家が激増 世界でも類を見ない「空き家大国」になるのです 空き家が大量に生み出される最大の要因として指摘されているのが、都市計画の欠陥 長年、この問題を関係者の誰ひとり言い出さなくて、誰が最初にスイッチを押すだろうと思っていましたが、ついに出たのが野澤さんだった。よくぞ、書いてくださいました 都市計画法にそって行われてきましたが、これは住宅を造ることを前提にした高度経済成長期仕様の法律 市街化区域」と、市街化を抑制する「市街化調整区域」を分けるという線引き制度と開発許可制度を導入していたので、当初はある程度は開発をコントロールできていました その区別が時代とともに、政治的な圧力などによって「緩和、緩和」の大合唱によってうやむやになり、農地の中にポツンポツンと住宅や賃貸アパートが建つようになってしまった そういう市街化調整区域に家を買って住んでいる人はたいてい、「うちにも下水道を引いてくれ」と言う。ところが、住宅がまばらな地域に都市インフラを整備することは自治体財政には大きな負担です 極端な例は北海道の夕張市です。石炭産業が衰え、10万人以上いた人口が3万人ほどに減った時点でもなお、市営の集合住宅の建設を続けていました 北海道には、人口が減っている平成以降に、元の市街地の4~5倍の規模で郊外開発をしている例が多いのです。 問題の根っこは無計画な都市計画にあります 本来は市街化を抑制すべき市街化調整区域の開発規制を過度に緩和して、新規の宅地開発にゴーサインを出している。 で、結局は、近隣自治体同士での人口奪い合い合戦となる 山梨県に昭和町 ここは農地の住宅地化を積極的に進めた結果、全国有数の人口増加率を誇っています 子供が5%増、現役世代が6%増、それに対し高齢者は32%増です。福祉関係の費用増はとても深刻でしょう 40年前から乱開発をせっせとやってきた結果。当時30代前後で昭和町に流れ込んできた人たちが、いま続々と65歳を超える高齢者になっているのです。 人口を増やそうとして若い世代を呼び込むと、数十年後には高齢者の大激増に見舞われる。総人口だけを見て増えていると安心するのは大間違い。住民の加齢をまったく考えていない都市計画の先に待つのは、財政破綻です 首都圏一都三県では、この5年間に、65歳以上の住民が134万人も増えたのです。 そのうち80歳以上だけを取り出すと52万人の増加です。この5年間で総人口が51万人増、うち80歳以上が52万人増ですから、つまり増えたのは80歳以上だけで、79歳以下は減っている 空き家も大量に発生 お台場の現在の人口構成 40年前の高島平の人口構成 2つの人口ピラミッドがぴったり重なっていた お台場の高層マンション群も、40年後には現在の高島平のような高齢化が進んだまちになる 今の乳幼児は団塊世代の半分なので、相続人も足りない。日本は想像を絶する「家余り時代」に突入するのです。 戦後の日本の住宅業界は、「供給を増やせば市場価値も上がる」という、市場経済原理とは真逆の、謎の信念によって支えられてきたのです。原理的には、供給を増やせば値段は下がるのが当然なのですが 容積率を上げればより多くの住戸が作れますから、その土地の価値は上がりますが……。 湯沢町(新潟県)が典型 あのリゾートマンションはいまや100万円でも売れない状態でしょう 建築や住宅業界の人はほとんど、タワーマンションを買ってないですよね タワーマンションは修繕コストも膨大になります。大規模修繕や建て替えの際に住民の意見をまとめなくてはならないけれど、何百世帯もの合意を得るのは非常に難しい 高さ制限の厳格な国立市(東京都)では 高層マンションを建設した業者に、住民が訴訟を起こし、一審では20メートルを超える部分の撤去を命じた。地元の不動産業者が「不当な判決だ。これで国立の地価は暴落する」と言っていましたが、現実には国立の地価は今でも上がっている 住宅過剰時代には、自分の家があるまち自体の資産価値を上げるよう、ひとりひとりが行政に働きかけることが、ますます必要となってくるのでしょう 賃貸住宅市場が危ない」、日銀が異例の警鐘 金融緩和による住宅過剰、物価を下押し? 賃貸住宅市場の現状に警鐘を鳴らしている 改正相続税法により、相続税の節税対策として多くの貸家が建設 埼玉や神奈川、千葉の各県で特に2015年後半以降、空室率が急上昇 賃貸住宅の市況はさらに悪化しそう 2030年代は本格的な空き家時代に 長嶋 修 2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾 対策していない自治体の土地を買ってはダメ 2022年に、いわゆる「生産緑地」の多くが、マンションや一戸建てなどの住宅用地として順次放出される可能性が出ているのだ 生産緑地は全国で1万3442ヘクタール(約4066万坪)。東京都に3296ヘクタール(997万坪)ある生産緑地がすべて宅地化された場合、約25万戸の一戸建ての建設が可能だ 期限は30年後。つまり2022年以降、生産緑地の多くが宅地化する可能性が高いのだ 立地がよければマンションデベロッパーが触手を伸ばすだろう
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