SSブログ

ソフトバンクの経営(その5)(英アームCEOが語る、孫社長からの“要求”、闇株新聞:ソフトバンクは大丈夫なのか?) [企業経営]

ソフトバンクの経営については、昨年12月22日に取上げた。今日は、(その5)(英アームCEOが語る、孫社長からの“要求”、闇株新聞:ソフトバンクは大丈夫なのか?) である。

先ずは、7月31日付けダイヤモンド・オンライン「ソフトバンク傘下の英アームCEOが語る、孫社長からの“要求” サイモン・シガース(ARM CEO(最高経営責任者))特別インタビュー」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aはシガース氏の回答、+は回答内の段落)。
・ソフトバンクグループが半導体設計大手、英ARMを約3.3兆円で買収することを発表してから約1年。2016年に出荷された半導体177億個にその技術が使われるARMはどう変わったのか。サイモン・シガースCEO(最高経営責任者)を直撃した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
Q:ソフトバンクグループによる買収発表から約1年。ARMにどんな変化がありましたか。
A:買収完了は昨年9月ですが、それ以降、われわれは自らのビジネスにずっと集中できていて、長期的な視点での投資が増えました。 それまでの株式公開企業の状態では、投資の際も売上高や営業利益を意識する必要がありましたが、ソフトバンク傘下になったことで、自由度が高まりました。将来を見据えた投資に対する制約が減り、積極投資が増えたのです。
Q:ARMの従業員数が増えているのもソフトバンク効果ですか。
A:そうです、それも投資です。われわれは半導体の技術(IP)を提供する企業で、工場を持ちません。成長エンジンは人なのです。 長期的な成長に向けて、開発者の他にも、次世代のニーズを探るマーケティング担当などを採用しています。もちろん買収されなくても人を雇っていたと思いますが、ここまで多くなかったでしょう。 また、昨年9月以降、ARMも5社を買収していて、その人員増もあります。これまでも企業買収はしてきましたが、ソフトバンク傘下になって加速しています。
Q:企業買収の自由度も高まったということですか。
A:われわれは戦略に基づき買収を実行しています。単に収益を伸ばすためではなく、IoT(モノのインターネット)端末にはどんな技術が必要かといった、技術ポートフォリオの構築を考慮する買収哲学は変えていません。 ソフトバンク傘下になって変わったのは、戦略を素早く実行できるようになったことです。マサ(孫正義氏)はいつも、「Go Fast, Move Quickly(速く進め、素早く動け)」と言っています。
Q:IPの新規ライセンス数が前年から減っています。ソフトバンクの競合企業との契約に、悪影響が出ることはないのですか。
A:ソフトバンクの競合というと、モバイル通信事業者でしょうか。そうした企業とはもともとライセンス契約を結んでいません。われわれが契約を結ぶのは半導体メーカーであり、そこから端末メーカーへと半導体が供給されます。 モバイル通信事業者とは、次世代通信規格「5G」の方向性などで対話はしますが、ライセンス契約を結んだことはないですし、今後も結ぶことはないでしょう。 新規ライセンス数の変動には、半導体業界の技術サイクルや、半導体メーカーの経営統合の影響もあります。ソフトバンクに起因したものではありません。
Q:半導体1個当たりのロイヤルティー収入は約5.5セント。孫さんから「もっとロイヤルティーを上げろ」と言われないのですか。
A:昨年の時点で、われわれのビジネスモデルは変えないと表明しています。これまでもパートナーにどれだけの価値を提供できるかでロイヤルティーの価格を決めており、その哲学は変わっていません。
Q:孫さんは「今後20年でARMの半導体が1兆個になる」と力説しています。そのときのロイヤルティー収入のイメージは。
A:今より増えるでしょう(笑)。ただ、あまり具体的に考えたことはありません。例えば半導体のマイクロコントローラが1000億個の時代が到来すれば単価も20セント程度になり、1個当たりのロイヤルティー収入は下がりますよね。 とはいえ、IoTは今後あらゆるエレクトロニクス産業で使われるでしょう。1兆個の半導体が膨大な数の端末に搭載されれば、生成されるデータもかなりの量となり、通信ネットワークの拡張も必要ですし、データを保存するデータセンターも増えるでしょう。IoTの副次的な効果で利用される半導体の数が増えるので、成長マーケットだと考えています。
Q:ARMがソフトバンクを変えていることはありますか。
A:無線通信の分野では、ソフトバンクやスプリントと5GやナローバンドIoTなどのネットワーク接続について連携を取っています。
▽SB、スプリントとIoT接続で連携
+例えば昨年、ナローバンドIoTの規格が標準化団体「3GPP」で決まったのですが、サービスを展開していくにはどのような技術が必要か、課題は何かということをソフトバンクやスプリントと話し合っています。問題を見つけ出して解決しておけば、新たな技術を利用する局面で、より大きな成功ができると考えています。  また、グループが買収した他の企業とも、将来の技術について話し合い、そのフィードバックをわれわれの技術のロードマップに落とし込んでいます。
Q:ソフトバンク・ビジョン・ファンドとの連携はありますか。
A:ビジョン・ファンドの投資先は、ファンドの投資委員会が決定します。ただ、われわれがソフトバンクグループの一員になったことで、「ビジョン・ファンドを紹介してくれ」と私に接触してくる企業もあります。同じグループなので、紹介が簡単になりました。
Q:ビジョン・ファンドの投資先企業との連携を期待していますか。
A:もっと多くの企業にARMの技術を使ってほしいですね(笑)。実際にファンドが投資するかどうかは別として、技術に革新を起こす企業との出会いからは、さまざまな機会が生まれます。技術の世界がどう変わるかについて示唆を得て、われわれのロードマップに落とし込むことができます。
Q:実際にARMからファンドに紹介した企業はありますか。
A:そこは、コメントできません。
Q:ARMは未来をどう変えていこうと考えていますか。
A:データを収集して適切に処理することが、人類が直面する問題の解決につながります。日本の高齢化など、世界中で人々を手助けできることは数多くあります。 一例としては農業でしょうか。これは大きなチャレンジで、人々の味覚などが洗練され、食物を作るにも巨大なリソースが必要になってきています。そこにセンサーで集めたデータ処理を活用し、例えば殺虫剤の量を最小化することなども技術で実現できます。
+私もマサも、さらに高度なアルゴリズムを活用して、自動車や農業、医療などのさまざまな分野への理解を深めることで、人間の可能性を広げたいと考えています。
http://diamond.jp/articles/-/136834

次に、闇株新聞が8月9日付けで掲載した「ソフトバンクは大丈夫なのか?」を紹介しよう。
・本誌は以前からソフトバンクについて否定的な意見が多すぎるとのご批判がありましたが、ここ2年ほどは否定的な記事をほとんど書いていないはずです。 むしろ昨年6月の株主総会でアローラ副社長(当時)の首を切ったことや、サウジアラビアのムハンマド副皇太子(当時、現皇太子)を巻き込んで10兆円ファンドをまとめ上げたなどの孫社長の行動力は、素直に賞賛していたはずです。
・そのソフトバンクが8月7日に2017年4~6月期連結決算を発表しました。日本の報道ではその記者会見における孫社長の「スプリントを軸に米携帯再編は合意が近い」との発言をそのまま大きく伝えていますが、実は「その発言」も含めていくつか気になるポイントがあります。 そこで久々に、日本の報道がほとんど指摘していないソフトバンクの問題点を取り上げ、表題の「ソフトバンクは大丈夫なのか?」との記事となります。
・まず孫社長の「その発言」からですが、これは7月4日付け「スプリントが米通信・メディアの再編に組み込まれる?」で書いたように、最大のポイントはスプリントの通信設備を米通信・メディアの勝ち組であるケーブルテレビ最大手のコムキャストと同2位のチャーター・コミュニケーションズの連合に提供し、スプリントがその大規模な通信・メディア再編の中に組み込まれる可能性か出てきたという「大変に夢のある記事」でした。
・実はその独占交渉期間が7月末までだったはずで、実際にスプリントが(孫社長が)チャーター・コミュニケーションズに買収交渉を持ち掛けた形跡もありましたが、結局のところ何の進展もなく白紙に戻ったようです。つまりスプリントを「高値で売却する」あるいはソフトバンクが米通信・メディア再編に「首を突っ込める」ほとんど唯一の可能性が消えてしまったことになります。
・つまり今回の記者会見で孫社長は、再びTモバイルとの経営統合に話を戻しているだけですが、そもそもスプリントは時価総額も契約者数もTモバイルを大きく下回っており、経営統合のイニシアティブが取れるはずがありません。
・また常にソフトバンクに好意的な日本の報道では、今頃になって何とスプリントが(あるいはソフトバンクが)チャーター・コミュニケーションズを買収する可能性まで記事にしていますが、最初からそんな話ではありません。ただスプリントの2017年4~6月期のセグメント利益が1319億円と、前年同期比2.9倍となり、ソフトバンク全体の収益をけん引するようになっているのは「さすが」です。
・さて順序が逆になりましたが2017年4~6月期におけるソフトバンクの連結決算は、売上げが2兆1860億円(前年同期比2.8%増)、営業利益が4792億円(同50%増)となっていますが、最終純利益が55億円(同98%減)しかありません。 それについては前年同期にアリババの売却益を2042億円計上しており、今期は逆に2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失を計上したからとしか説明されていません。ソフトバンクは2016年6月にアーム買収資金をねん出するため保有するアリババ株式を79億ドル(8600億円、アリババ全体の4%に相当)売却しています。
・このうち29億ドルは単純売却で、前年同期に計上した2042憶円の売却益となっています。問題は残る50億ドルで、当時のソフトバンクの説明ではこの50億ドルのアリババ株式を担保に資金を調達し、返済は現金かアリババ株式かのどちらかをソフトバンクが選ぶことになっていました。 アリババ株はそこから上昇していますが、それならソフトバンクは資金を現金で返済して値上がりしたアリババ株式をそのまま保有することになるはずで、契約途中の今期に損失計上となるはずがありません。またソフトバンクはこの関連において最終損益は9億ドル(1000億円)の損失となる(だから今期の損失の大半は戻ってくる)と説明しているようですが、その9億ドルは50億ドルの調達期間(たしか3年)の支払金利のような気がします。ドル建ての仕組債なので年6%くらいの支払金利となるはずだからです。
・要するに今期に発生した2571億円の特別損失の説明になっていませんが、そこを指摘する日本の報道はありません。 さらに「ドル箱」の国内通信事業のセグメント利益が2184億円と、前年同期比8.6%減となっています。これは規制に守られた儲け放題の国内携帯電話事業が、ようやく格安携帯などに侵食されはじめたからですが、ソフトバンクの積極的な海外投資を支えている国内携帯電話事業が稼ぐ豊富なキャッシュフローが減少に転じていることは、気に留めておく必要があります。
・さらに10兆円ファンドが5月20日にスタートしており、さっそく今期から連結対象に組み入れ1068億円の評価益(エヌビディアのようです)を計上しています。これは最初から指摘されているファンド出資者との典型的な利益相反となるはずですが、全く気にせず堂々とソフトバンク本体の連結収益に含めています。
・また3兆3000億円で買収したアーム事業も、今期の売り上げが470億円で69億円のセグメント損失となっています。まあこれから大変に大きくなる事業だそうなので、ここはあまり気にしないことにしますが、それでもいろいろな「気になるポイント」が山盛りとなっているソフトバンクの2017年4~6月期決算でした。 引き続き目が離せなくなりました。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2063.html

英アームCEOが、 『株式公開企業の状態では、投資の際も売上高や営業利益を意識する必要がありましたが、ソフトバンク傘下になったことで、自由度が高まりました。将来を見据えた投資に対する制約が減り、積極投資が増えたのです』、と述べているのには、技術志向の高成長企業といえども、公開企業の状態では思い切った積極投資がやり難かった、という投資家の短期志向を改めて知らされた。ただ、 『モバイル通信事業者とは、次世代通信規格「5G」の方向性などで対話はしますが、ライセンス契約を結んだことはないですし、今後も結ぶことはないでしょう』、というのと、 『SB、スプリントとIoT接続で連携』、というのがどう結び付くのか分かり難かった。 『ビジョン・ファンドの投資先企業との連携を期待していますか』との問いに対し、
『もっと多くの企業にARMの技術を使ってほしいですね』、と回答しているのは、色が着いて利用企業が狭められるより、なるべく広範に多くの企業に利用してもらいたいとの本音だろう。それにしてもアームという素晴らしい企業を抱え込めたものだ。
闇株新聞が、 『スプリントの通信設備を・・・ケーブルテレビ最大手のコムキャストと同2位のチャーター・コミュニケーションズの連合に提供・・・その独占交渉期間が7月末までだったはずで、実際にスプリントが(孫社長が)チャーター・コミュニケーションズに買収交渉を持ち掛けた形跡もありましたが、結局のところ何の進展もなく白紙に戻ったようです。つまりスプリントを「高値で売却する」あるいはソフトバンクが米通信・メディア再編に「首を突っ込める」ほとんど唯一の可能性が消えてしまったことになります』、というのは残念なことだが、一般のマスコミも不都合な事実も伝えて欲しいものだ。 『2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失』を含めた 『今期に発生した2571億円の特別損失』、についても、マスコミはもっと突っ込んだ質問で謎解きをしてほしいものだ。 『積極的な海外投資を支えている国内携帯電話事業が稼ぐ豊富なキャッシュフローが減少に転じていることは、気に留めておく必要があります』、との指摘も今後、注視していきたい。
タグ:モバイル通信事業者とは、次世代通信規格「5G」の方向性などで対話はしますが、ライセンス契約を結んだことはないですし、今後も結ぶことはないでしょう 初から指摘されているファンド出資者との典型的な利益相反となるはずですが、全く気にせず堂々とソフトバンク本体の連結収益に含めています 従業員数が増えているのもソフトバンク効果 株式公開企業の状態では、投資の際も売上高や営業利益を意識する必要がありましたが、ソフトバンク傘下になったことで、自由度が高まりました。将来を見据えた投資に対する制約が減り、積極投資が増えたのです 買収完了は昨年9月ですが、それ以降、われわれは自らのビジネスにずっと集中できていて、長期的な視点での投資が増えました 連結対象に組み入れ1068億円の評価益(エヌビディアのようです)を計上 英ARMを約3.3兆円で買収 ソフトバンク傘下の英アームCEOが語る、孫社長からの“要求” サイモン・シガース(ARM CEO(最高経営責任者))特別インタビュー ダイヤモンド・オンライン (その5)(英アームCEOが語る、孫社長からの“要求”、闇株新聞:ソフトバンクは大丈夫なのか?) 10兆円ファンド ソフトバンクの積極的な海外投資を支えている国内携帯電話事業が稼ぐ豊富なキャッシュフローが減少に転じていることは、気に留めておく必要 そこを指摘する日本の報道はありません 今期に発生した2571億円の特別損失の説明になっていませんが 2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失を計上 再びTモバイルとの経営統合に話を戻しているだけですが、そもそもスプリントは時価総額も契約者数もTモバイルを大きく下回っており、経営統合のイニシアティブが取れるはずがありません 実はその独占交渉期間が7月末までだったはずで、実際にスプリントが(孫社長が)チャーター・コミュニケーションズに買収交渉を持ち掛けた形跡もありましたが、結局のところ何の進展もなく白紙に戻ったようです。つまりスプリントを「高値で売却する」あるいはソフトバンクが米通信・メディア再編に「首を突っ込める」ほとんど唯一の可能性が消えてしまったことになります スプリントの通信設備を米通信・メディアの勝ち組であるケーブルテレビ最大手のコムキャストと同2位のチャーター・コミュニケーションズの連合に提供し、スプリントがその大規模な通信・メディア再編の中に組み込まれる可能性か出てきたという「大変に夢のある記事」 日本の報道がほとんど指摘していないソフトバンクの問題点を取り上げ ソフトバンクは大丈夫なのか? ソフトバンクの経営 闇株新聞 一例としては農業でしょうか。これは大きなチャレンジで、人々の味覚などが洗練され、食物を作るにも巨大なリソースが必要になってきています。そこにセンサーで集めたデータ処理を活用し、例えば殺虫剤の量を最小化することなども技術で実現できます データを収集して適切に処理することが、人類が直面する問題の解決につながります ビジョン・ファンドの投資先企業との連携を期待していますか もっと多くの企業にARMの技術を使ってほしいですね SB、スプリントとIoT接続で連携
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。