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ベンチャー(その1)(最低の起業意欲が何を示唆するか、イスラエルで天才といわれるのはどんな人か、金融ベンチャー叩きで露呈した「新しいモノ潔癖症」という日本の悪弊) [金融]

今日は、ベンチャー(その1)(最低の起業意欲が何を示唆するか、イスラエルで天才といわれるのはどんな人か、金融ベンチャー叩きで露呈した「新しいモノ潔癖症」という日本の悪弊) を取上げよう。

先ずは、ソフトブレーン創業者の宋文洲氏が6月23日付けのメールマガジン宋メールに掲載した「最低の起業意欲が何を示唆するか」を紹介しよう。
・1992年の創業から2006年の引退まで、経営者として14年間しか働いていませんでしたが、これまでの人生で最も勉強と成長ができ、最も楽しい思い出が残った期間でした。
・もともと50歳までに経営者をやめるつもりでしたが、2006年の村上ファンド事件が起き、私の会社は上場企業で唯一彼を社外取締役として選任していたことで世間から逆風にさらされました。村上ファンドと共に堀江氏も世間の批判の的になって、新興ベンチャー全体がイメージの悪化と共に不人気の時代に突入したのです。
・今でも鮮明に覚えていますが、年を取った保守派の重鎮たちが「やっぱり我々じゃないと日本がダメになる」のような態度で全面的に復活を成し遂げ、戦後最大のベンチャーブームに水を差し続けました。その悲しい状況をみて私は10年以内に日本が面白くなくなると思って43歳で日本の経済界から抜けました。
・あれから11年が経ちました。新興企業に対する日本の経営環境はどうなったでしょうか。日本内部にいる人に聞けばそれぞれの個人が持っている情報と体験で語りますが、日本の起業意欲を世界の平均と比較して語る人は少ないのです。
・この11年間、米国も中国も新興企業の成長が国の成長を牽引してきました。 皆さんは米国のことはよくご存じでしょうが、中国の最も価値のある企業をご存知でしょうか。テンセントです。時価総額は3000億ドル(30兆円)を超えています。テンセント自身の成長だけではなく、テンセントのWeChatが中国携帯端末の共通OSになったため、中国の携帯メーカーもアップルに勝つようになったのです。
・HUAWEIやXIAOMIの携帯端末とWeChatの組み合わせでどれほど快適な生活できるかは中国で生活してみないとわかりません。これらの技術革新は全部ベンチャー企業であり、国営企業や古い大手は一つもありません。中国政府の唯一の貢献はベンチャー企業を邪魔しなかっただけです(メディアもベンチャー企業をバッシングしなかった)。
・誤解のないように言いますが、私は中国の起業精神を自慢しているわけではありません。中国人として具体例を通じて体感したからです。 中国の起業レベルはあくまでも世界平均に過ぎないのです。 総合人材サービスのランスタッドの起業に関する調査によると、中国社会における起業意欲のレベルは世界平均とほぼ同じです。問題は日本の起業意欲です。 調査の33カ国の中で最下位です。特に18~24歳の若年層を見ると「より多くの機会を得られるので起業したい」と答えたのはたったのは28.3%でした。 これに対して世界の平均は63.8%です。また、創業初期の企業で働きたいと答えた若年層の日本人は30%でした。世界の平均は60.0%です。
・この数字からわかるように、ここ十年間の日本社会は如何に雰囲気が保守的になったか、如何にチャンレンジ精神を忘れたか、如何に精神的に老けてきたか。この数字は決して偶然ではなく、最近の日本の政治、経済と世論の総合的結果です。
・宋メール読者の多くは現役の時の私のメールも読んでくださっています。 ここ数年は批判文章が多いことに気付いたと思います。一部の方は「宋さんが反日になった」とも言いますが、私はそんなことを気にしません。皆さんはいずれ分かってくださると信じています。 一万回聞かれても同じ答えを言いますが、国の本当の体力は新しい産業を生み出す力です。その力の源泉は起業家精神です。リーダーシップとリスクをとって起業するのも起業精神ですが、それを恰好いいと思って創業初期の企業に加わるのも起業精神です。しかし、起業家精神は「過去に解決口を求める」保守の土壌から生まれませんし、生まれても育ちません。
・社会も経済も政治も周期があって落ち込む時期があって構いませんが、そろそろ日本がこのような老けた保守社会から変わってもいい時期ではないかと思います。
・P.S.  この話題に大変近いのですが、日本では社長になりたくない若者が大変増えているそうです。「週刊文春」編集長の新谷さんがこの傾向を懸念し、昨年から私に寄稿を依頼しました。タイトルは「それでも社長になりたいあなたへ」です。 3月から既に連載は始まっていますが、興味のある方は「週刊文春」をご覧ください。

次に、7月31日付け日経ビジネスオンライン「イスラエルで天才といわれるのはどんな人か サムライインキュベートの榊原健太郎氏に聞く」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問、+は回答内の段落)。
・「いずれは会社を辞めて起業したい」「昔から温めているアイデアをもとに、将来は自分の会社をつくりたい」。 そんな思いを抱いている人はいるだろう。とはいえ、起業家には向き不向きがあるようだ。どんな人が起業家に向いているのだろう。
・「あらゆる問題を楽しんで仕事にできる人が、起業家に向いている」。こう話すのは、洋服のレンタル事業「エアークロゼット」はじめ、130社を超えるスタートアップ起業に投資してきたサムライインキュベートの榊原健太郎氏。IT系ベンチャーが集積し、世界の投資家が注目するイスラエルにも拠点を持つ。榊原氏が起業家に求める資質について聞いた。
――これまでに投資したスタートアップ企業は130社を超えるそうですね。投資判断の際、起業家のどんな能力を重視していますか。
榊原:投資の基準は2つあります。 1つは、どういう人がどんなことに困っていて、それをどう解決するのかを10秒で言えること。課題を解決するのが起業家です。ぼんやりした内容ではダメですよ。 10秒は意外に長い。それでも「どうしてもこれを本気でやりたい」と思っていないと、なかなかシャープに言えないものです。そこで毎月2回くらい、起業志望者を全国から10人限定で集め、発想法を教えたり、僕のアイデアを提供したりしています。
+例えば、洋服のレンタルサービスを手掛けるエアークローゼット(東京・港)のビジネスモデルは、同社の天沼聰CEOと一緒に、うちのメンバーが考えました。毎月、スタイリストが選んだ洋服3着が自宅に届くというサービスです。レギュラープランで月額9800円(税別)。返却期限はなく、飽きたらクリーニングせずに返却していい、という手軽さが受けています。
+これは、どんな人の、どんな悩みを解決することを想定したサービスだと思いますか? 私たちが考えたターゲットは、30代後半から40代の女性。出産などで体型が崩れてしまい、自信がなくてお店に洋服を買いに行けない人に向けたサービスです。本当かと思われるかもしれませんが、実際、想定した通りの人が利用してくれています。
+また、お店で「お似合いですね」とおべんちゃらを言われるのが嫌な人も想定しました。さらに、会社の同僚に着ている洋服を細かくチェックされるのが嫌な人もいるでしょう。そんなとき、このサービスを使えば「エアクローゼットで届いたから着てみたんだけど……」と言ってかわせる。 こういった顧客の小さな悩みにきちんと応えることを想定すると、ビジネスは成功します。
▽相手の立場になる
+今の日本では、相手の立場になって考えることが実は少ないと感じています。当社はイスラエルに支社があるのですが、イスラエルで天才とはどんな人かと問うと、「相手の気持ちが分かる人」だという答えが返ってきます。
――それなら、誰でも天才になれそうですね。
榊原:僕自身も、いろんな方法で相手の立場になる力を鍛えている。お客様の気持ちが分かれば、売れる製品やサービスがつくれます。相手のことを分かろうとする姿勢が何より重要だと思います。ダメな起業家ほど顧客のところに行ってへいこらして、帰ってきて悪口を言う。顧客視点がない証拠です。 ただ、相手の気持ちが分かるようになるのは簡単ではありません。結婚して3年になりますが、いまだに女性の気持ちが分かりませんからね(笑)。どうしたら奥さんの気持ちが分かるかと、日々勉強しています。
▽ストレスに弱い人は起業家に向かない
――もう1つの投資基準は何でしょうか。
榊原:ストレス耐性が高いかどうかです。ここはかなり慎重にチェックしています。ストレス耐性が低いと投資をお断りすることもあります。起業してはいけない人を起業させるのが一番よくないこと。ストレス耐性が低い人は起業家向きではないので、そこはシビアに見ています。
――具体的にどう見極めているのですか。
榊原:分かりやすいのは、メールのレスポンスの早さです。ストレスに弱く、1人で悩んでしまうタイプの人は、こちらが送ったメールの返答に悩んでしまい、いつまでも返してこない。 ストレスに強い人は、「ちょっと不明な点があるので、今週中に調べてお返事します」などと期限を書いて返信してきます。
+また、投資がほぼ決まったときに、事業計画に関する"重め"の宿題を出します。それを期限内に提出できるかを見るのです。 たとえ遅れても、期限前に「もう少し考えたいので、あと1週間ください」と言ってくれればいい。多いのは、期限が過ぎてから「できませんでした」という人。これはアウトです。
+弊社で開催するイベントや懇親会での振る舞いもチェックしています。周りの人と話していればいい。隅に立って、1人でお菓子をボリボリ食べているような人はダメ。初対面の人に話しかけるのは勇気が要りますから、ストレス耐性が弱いということです。
+うちには心理学を学んでいたメンバーがいるので、彼女に専門家の視点でチェックしてもらっています。どうも僕には全員いい人に見えてしまって(笑)。 あとは面談で、過去にどんな苦労をしていて、どう工夫してクリアしてきたかも聞いています。このとき、他人に責任転嫁しない人が起業家向きです。
――やりたいことを10秒で言えること。ストレスをたやすく乗り越えること。この2つをもたらすのは「この事業をどうしてもやりたい。やらなきゃいけない」という強い思いだと思います。
榊原:イスラエルの街を歩いていると、「Enjoy Your Problems, It's Life」という落書きをよく目にします。問題を楽しむことが人生だという意味です。だからこそ楽しんでしまえ、という精神なのでしょう。 イスラエルの政情は不安定で、問題ばかりと言っていいでしょう。でも、問題の多さすらも楽しめるからこそ、イノベーションが生み出されるのです。「自分はユニークな発想ができないから、起業なんて無理」と思うことはありません。
――榊原さんもそうだったのですか。
榊原:私は2008年にサムライインキュベートを設立し、14年にイスラエル支社を開設しました。「なぜイスラエルだったのですか」とよく質問されますが、理由はいくつかあります。「日本発のグローバル企業を生み出したい」と、サムライインキュベートを立ち上げましたが、いくら活動していても、世界が見えてきませんでした。
+世界中の投資家などから話を聞くうち気づいたのが、世界的企業の創業者にはユダヤ系の人が多いということでした。また、ユダヤ人は友達の友達は、友達と言う。ここを押さえれば、世界に人脈が広がるかもしれない。それが世の中を変えるのに、一番手っ取り早い方法だと思ったのです。
+さらに、イスラエルは最近、ハイテクベンチャーが集積する「第2のシリコンバレー」として、世界中の注目を集めています。米国企業を中心としたIT企業が、こぞってイスラエル企業に投資、進出している中、日本企業はほとんど進出していません。僕のために市場を残しておいてくれたのだと思いました。
▽「健はラスト・サムライだ」
――2014年のガザ侵攻の際も、日本に戻らなかった。
榊原:帰ろうとは全く考えませんでした。日本と同じように起業家たちが集まるコワーキングスペースのオープニングパーティーが1週間後に迫っていたし、たくさんの人から応援されて来た手前もあります。おかげで現地の人から「ミサイルが飛んで来ても帰らない。健はラスト・サムライだ」と言われましたよ。
――榊原さんにとって、イスラエルに行ったことは転換点になったわけですね。
榊原:当たり前になっていることを疑ってみないと、思考停止になってしまいます。イスラエルといえば戦争、怖いと短絡的に考えていたら行かなかったでしょう。壁を突破する力が起業家には必要です。 僕はTOEICの点数が365点だったけど、単身イスラエルに乗り込みました。我ながら、何を考えていたのか(笑)。今ではイスラエルオフィスには社員が5人。支援している企業は約30社になります。僕の行動を見て、多くの起業家に「自分にもできる」と思ってもらえたらいいですね。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/269473/072400101/?P=1

第三に、経済評論家の加谷 珪一氏が8月9日付け現代ビジネスに寄稿した「金融ベンチャー叩きで露呈した「新しいモノ潔癖症」という日本の悪弊 批判、批判で潰していいのか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・スマホをベースにした新生代の金融サービスがたびたび物議を醸している。 新しいサービスの登場は利用者に大きなメリットをもたらしてくれる一方、内容が行き過ぎれば社会問題化する可能性も高まってくる。
・このあたりのバランスをどう取るのかが難しいところだが、日本の場合、斬新なサービスが登場すると、社会がヒステリックに反応してしまい、結果的に諸外国に新しいビジネスの覇権を奪われるというパターンが多い。 スマホ時代ならではともいえる一連の新サービスについて、市場メカニズムを通じてどのように取捨選択を行い、優良なサービスを育てていくことができるのか、日本社会の成熟度が問われている。
▽1日で3億円が動いた
・先日、現代版質屋ともいえるアプリ「CASH」が、オープンからわずか1日でサービスをストップするという騒ぎがあった。CASHは、質入れしたい商品をスマホで撮影するだけで、すぐにお金が振り込まれるという驚くべきサービスだったが、オープンと同時に申し込みが殺到。すぐにサービス停止に追い込まれてしまった。
・CASHは設立間もないベンチャー企業が提供しているサービスで、いわゆる質屋のビジネスをアプリ上で運営している。 利用者がブランド品などをスマホで撮影すると、運営企業は査定を実施。すぐに査定額が提示され、お金はアプリ内のウォレットに支払われる。銀行口座を登録すれば、銀行にお金が振り込まれるほか、コンビニでの引き出しにも対応している。
・商品は2ヵ月以内に運営会社に送付すればよく、受け取ったお金は2ヵ月以内であれば返済が可能だ。その場合は商品も返還される。15%の手数料を支払うことで商品を取り戻すことができるが、この15%の手数料が質屋でいうところの金利に相当すると考えてよい。
・ここまで筆者は質屋と述べたが、厳密に言うとCASHが提供しているサービスは、厳密に言えば質屋の業務ではない。 本来の質屋というのは質屋営業法の規制を受けており、都道府県の公安委員会から営業許可を取った上で、金利を明示する必要がある。また、質入れをしただけでは商品の所有権は質屋には移転せず、期限を過ぎてはじめて質屋側に所有権が移転する。
・これに対しCASHの場合には質入れではなく、買い取りという形になるので、質屋が付随的に行っている買い取りサービスの一種と判断してよいだろう。 商品を返してもらう場合には、15%の手数料を払って再度、売買するという形になるわけだが、15%の手数料を金利と考えると、これは事実上の貸金業ではないのかという見方もできる。同社は、質屋でも貸金業でもなく、あくまで古物商という位置づけだが、貸金業とみなされる可能性は高いだろう。
・また同社の経営者も「質屋のようなサービスを提供したい」と発言しているところからも、貸金業のビジネスを強く意識していることは間違いない。 CASHは、6月28日にサービスをスタートさせたが、約16時間の間に申し込みが殺到。商品数で約7万3000個、金額としては約3億7000万円が支払いの対象となってしまったのである。この時、申し込んだ利用者のうち何割が、実質的な消費者金融であると認識していたのかは定かではない。
・運営会社である株式会社バンクのメンバーは社長を含めて5名、資本金は900万円しかなく、これだけの取引を一度に処理する体力はないと考えられる。こうした状況から、翌日にはサービスを停止し、現在に至っている。
▽儲け話にざわつくのは分かるが
・CASHがサービスを停止する一方で、賛否両論がありながらも急成長しているサービスがある。それは、会社ではなく個人を上場させるというまったく新しい概念を打ち出したVALUである。 VALUは今年の5月にサービスを開始した新しい事業で、企業が株式を売り出し、投資家がこれを売買するという株式市場の仕組みを個人に応用したものである(個人が株式を発行することは法律上できないので、あくまで疑似的な株式ということになるが、本稿ではとりあえず株式という言葉で統一する)。
・自身の株式を売り出したい人は、VALUのサイトに登録して、フェイスブックやツイッター、インスタグラムを連携させる。フォロワー数などから、VALU側が自動的にその人の時価総額を算定してくれるので、登録した個人は、その価値に応じた疑似株式を売り出す。 売り出された株式は投資家が自由に売買できるので、一般的な株式と同様、取引価格は常に変動する。価格が上昇すれば、株式を保有している人には利益が転がり込んでくる仕組みだ。
・現在、VALUにはホリエモンこと堀江貴文氏やブロガーのイケダハヤト氏、同じくブロガーのはあちゅう氏、起業家の家入一真氏などが自身の疑似株式を上場している。 ホリエモンを除くと、いわゆるネット上の著名人が株式を売り出しており、ホリエモンには現在、約31億円の、イケダハヤト氏には約44億円の時価総額がついている。イケダ氏は持ち株をごくわずかだけ売却したそうだが、3日間で1000万円が手に入ったと豪語している。
・現実の株式は、配当など利益還元が行われることがほとんどだが、VALUの株式にそうした仕組みはない(売り出した人がお礼をすることは可能だが、利益を確約すると出資法や金融商品取引法などに抵触する可能性があるだろう)。 相手が個人なので、所有権や経営権というものは存在せず、理屈上、VALUの疑似株式を購入した人に対する見返りはゼロということになる。 それでも売買が成立するということは、純粋に相手を応援したいという気持ちが働いているか、もしくは、その人の株式が人気化して価格が上がることを期待した投機目的ということになるだろう。
・その点においてVALUは、株式というよりも、トレーディングカード(トレカ)に近い商品と考えた方がよさそうだ。トレカは基本的に「好き」で買うものだが、中には値上がり益を期待して購入する人もいるので、まさにVALUの概念に近い。
▽不正はつきもの
・この二つのサービスは、批判する気になれば、いくらでも批判できる余地がある。 CASHは、言い方は悪いが、法の間隙を突いた新しい消費者金融とみなしてよいだろう。当然、貸金業は規制対象業種なので、想定されていなかったサービスが出てきた場合には、法律が後追いで対処していくしかない。
・VALUについても、モラルのない人が株式を売り出した場合、いろいろな問題が発生する。すでにそのような傾向が垣間見られるが、著名人が自分の知名度を利用しててっとり早く換金する手段になってしまう可能性は十分にある。話題になった芸能人などが株式を売り出し、大金を手にしておしまいというケースも出てくるだろう。 またVALUの取引所は完全な私設取引所ということになるので、価格形成の透明性は、市場運営者と市場参加者のモラルにかかっている。 株式を売り出して儲けたい個人が、誰か別の投資家と組んで株価をつり上げるといった不正行為は、当局の監視下にある株式市場よりも簡単に実現できてしまうかもしれない。
・だが重要なことは、新しい取り組みには、こうした騒ぎや不正行為はつきものであるという認識を社会全体で共有し、上手に淘汰していくことである。 市場が健全に拡大すれば、不正目的の利用も減ってくる。批判すべき取引や慣行があった場合には厳しく批判すべきだが、最終的にその可否を判断するのは市場参加者であるべきだ。 不正な取引が発生する可能性が存在するからという理由だけで、サービス全般を規制し、ストップさせてしまうといったヒステリックな対応は成熟社会には似合わない。
▽日本だけが取り残される
・日本では特にその傾向が顕著なのだが、新しい技術やサービスが登場してくると、異様なまでにヒステリックな反発が起きる。だが、結果的にその技術やサービスが普及すると、何事もなかったかのように、皆がそのサービスを利用しているというパターンは多い。
・今の若い世代の人には信じられないかもしれないが、2000年前後にネット企業が多数、誕生した時には「こんなものは虚業だ」という批判の嵐だった。 サイバーエージェント創業者の藤田晋氏は、街を歩いているだけで罵声を浴びせられたこともあったというし、ネット・ビジネスが嫌いなあまり、楽天が倒産するという根拠不明の噂を吹聴して歩く証券マンもいた(ネット時代の今なら、SNSで拡散し大問題になっていたかもしれない)。
・最近ではビットコインがそれに近い状況になっているといってよいだろう。マウントゴックスが経営破綻した時の日本国内の反応は極めてヒステリックだった。当時の財務大臣までもが、ビットコインそのものと取引所のトラブルを混同し「こんなものはつぶれると思っていた」という感情的に先走った発言を行っている。
・その結果、日本はいち早くビットコインをただのモノとして認定してしまい、育成する道を放棄してしまった。だが、諸外国はビットコインを準通貨としてうまく管理する方針を打ち出し、主要国では日本だけが取り残される格好となった。 慌てた日本政府はようやく法改正に乗り出したが、ビットコインが準通貨として正式に認められるようになったのは今年の4月になってからである。
・歴史を遡れば一目瞭然だが、どんなにヒステリックになったところで、常に新しい技術は登場してくる。その中で、よい技術は残り、ダメな技術は廃れるだけである。新しいモノやサービスに社会としてどう対応していけば、社会全体としてのメリットを最大化できるのか、まさに日本人の成熟度が問われている。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52536

宋氏が、 『問題は日本の起業意欲です。 調査の33カ国の中で最下位です。特に18~24歳の若年層を見ると「より多くの機会を得られるので起業したい」と答えたのはたったのは28.3%でした。 これに対して世界の平均は63.8%』、 『ここ十年間の日本社会は如何に雰囲気が保守的になったか、如何にチャンレンジ精神を忘れたか、如何に精神的に老けてきたか。この数字は決して偶然ではなく、最近の日本の政治、経済と世論の総合的結果です』、などの指摘は正論である。
第二の記事で、イスラエルの町に書かれている 『「Enjoy Your Problems, It's Life」という落書』、はイスラエルの人々のたくましさを表している気がする。榊原氏が 『僕はTOEICの点数が365点だったけど、単身イスラエルに乗り込みました』、というのは驚いたが、やはり語学力よりも意欲が鍵なのかも知れない。
第三の記事にある2例のうち、「CASH」はサービスを停止しているとのことらしいが、仮に再開し、規模も大きくなってくれば、金融庁が黙ってないだろう。 VALUは説明にもあるように、問題が余りにも多すぎるようだ。
 『批判すべき取引や慣行があった場合には厳しく批判すべきだが、最終的にその可否を判断するのは市場参加者であるべきだ。 不正な取引が発生する可能性が存在するからという理由だけで、サービス全般を規制し、ストップさせてしまうといったヒステリックな対応は成熟社会には似合わない』、との指摘は一面の真実だが、VALUのようにルールが全くない状態よりも、必要最小限のルールが出来た方が、安心して参加できるので、発展するのも事実である。ビットコインもその好例だろう。さらに、企業の株価の場合は、理論的には将来的なフリー・キャッシュフローの現在価値という目安があるが、個人株式の場合は、集めたカネをどう使うかは発行者如何で、理論的な目安は全くない。 加谷氏は、市場原理に任せれば淘汰してくれると楽観的に考えているようだ。しかし、市場原理が働く余地は、人気以外にはなく、価格は不安定で、「無法者の賭場」のようになってしまえば、まともな市場参加者は逃げていくしかない。やはり、安心して参加するためには、最低限のルールは必要なのではあるまいか。
タグ:ストレス耐性が高いかどうかです 中国の起業レベルはあくまでも世界平均に過ぎないのです メディアもベンチャー企業をバッシングしなかった ・商品は2ヵ月以内に運営会社に送付すればよく、受け取ったお金は2ヵ月以内であれば返済が可能 現代ビジネス ビットコインがそれに近い状況 中国政府の唯一の貢献はベンチャー企業を邪魔しなかっただけです テンセントのWeChatが中国携帯端末の共通OSになったため、中国の携帯メーカーもアップルに勝つようになったのです ベンチャー 問題の多さすらも楽しめるからこそ、イノベーションが生み出されるのです 市場が健全に拡大すれば、不正目的の利用も減ってくる 運営会社である株式会社バンク それでも売買が成立するということは、純粋に相手を応援したいという気持ちが働いているか、もしくは、その人の株式が人気化して価格が上がることを期待した投機目的 株式というよりも、トレーディングカード(トレカ)に近い商品と考えた方がよさそうだ 諸外国はビットコインを準通貨としてうまく管理する方針を打ち出し、主要国では日本だけが取り残される格好となった よい技術は残り、ダメな技術は廃れるだけである。新しいモノやサービスに社会としてどう対応していけば、社会全体としてのメリットを最大化できるのか、まさに日本人の成熟度が問われている 慌てた日本政府はようやく法改正に乗り出したが、ビットコインが準通貨として正式に認められるようになったのは今年の4月になってからである 日本では特にその傾向が顕著なのだが、新しい技術やサービスが登場してくると、異様なまでにヒステリックな反発が起きる 日本はいち早くビットコインをただのモノとして認定してしまい、育成する道を放棄 批判すべき取引や慣行があった場合には厳しく批判すべきだが、最終的にその可否を判断するのは市場参加者であるべきだ。 不正な取引が発生する可能性が存在するからという理由だけで、サービス全般を規制し、ストップさせてしまうといったヒステリックな対応は成熟社会には似合わない 新しい取り組みには、こうした騒ぎや不正行為はつきものであるという認識を社会全体で共有し、上手に淘汰していくことである 株式を売り出して儲けたい個人が、誰か別の投資家と組んで株価をつり上げるといった不正行為は、当局の監視下にある株式市場よりも簡単に実現できてしまうかもしれない VALUの取引所は完全な私設取引所ということになるので、価格形成の透明性は、市場運営者と市場参加者のモラルにかかっている VALUについても、モラルのない人が株式を売り出した場合、いろいろな問題が発生する CASHは、言い方は悪いが、法の間隙を突いた新しい消費者金融とみなしてよいだろう 時価総額は3000億ドル 日経ビジネスオンライン テンセント 起業家精神は「過去に解決口を求める」保守の土壌から生まれませんし、生まれても育ちません イスラエルで天才といわれるのはどんな人か サムライインキュベートの榊原健太郎氏に聞く ハイテクベンチャーが集積する「第2のシリコンバレー」として、世界中の注目を集めています 2014年のガザ侵攻の際も、日本に戻らなかった オープンと同時に申し込みが殺到。すぐにサービス停止に追い込まれてしまった この二つのサービスは、批判する気になれば、いくらでも批判できる余地 ホリエモンを除くと、いわゆるネット上の著名人が株式を売り出しており、ホリエモンには現在、約31億円の、イケダハヤト氏には約44億円の時価総額がついている 相手が個人なので、所有権や経営権というものは存在せず、理屈上、VALUの疑似株式を購入した人に対する見返りはゼロということになる 登録した個人は、その価値に応じた疑似株式を売り出す。 売り出された株式は投資家が自由に売買できるので、一般的な株式と同様、取引価格は常に変動する 自身の株式を売り出したい人は、VALUのサイトに登録して、フェイスブックやツイッター、インスタグラムを連携させる。フォロワー数などから、VALU側が自動的にその人の時価総額を算定 株式市場の仕組みを個人に応用したものである(個人が株式を発行することは法律上できないので、あくまで疑似的な株式ということになるが、本稿ではとりあえず株式という言葉で統一 個人を上場させるというまったく新しい概念を打ち出したVALU 賛否両論がありながらも急成長しているサービス 事実上の貸金業ではないのかという見方もできる 15%の手数料を支払うことで商品を取り戻すことができるが、この15%の手数料が質屋でいうところの金利に相当 CASHの場合には質入れではなく、買い取りという形になるので、質屋が付随的に行っている買い取りサービスの一種と判断してよいだろう 国の本当の体力は新しい産業を生み出す力です。その力の源泉は起業家精神です 入れしたい商品をスマホで撮影するだけで、すぐにお金が振り込まれるという驚くべきサービス 現代版質屋ともいえるアプリ「CASH」が、オープンからわずか1日でサービスをストップ ・スマホをベースにした新生代の金融サービスがたびたび物議を醸している 金融ベンチャー叩きで露呈した「新しいモノ潔癖症」という日本の悪弊 批判、批判で潰していいのか 加谷 珪一 中国の最も価値のある企業 米国も中国も新興企業の成長が国の成長を牽引 、「Enjoy Your Problems, It's Life」という落書きをよく目にします イスラエルの街 43歳で日本の経済界から抜けました 弊社で開催するイベントや懇親会での振る舞いもチェック 宋メール 宋文洲 ベンチャー(その1)(最低の起業意欲が何を示唆するか、イスラエルで天才といわれるのはどんな人か、金融ベンチャー叩きで露呈した「新しいモノ潔癖症」という日本の悪弊) メールのレスポンスの早さです。ストレスに弱く、1人で悩んでしまうタイプの人は、こちらが送ったメールの返答に悩んでしまい、いつまでも返してこない。 ストレスに強い人は、「ちょっと不明な点があるので、今週中に調べてお返事します」などと期限を書いて返信してきます 戦後最大のベンチャーブームに水を差し続けました 1つは、どういう人がどんなことに困っていて、それをどう解決するのかを10秒で言えること 投資の基準は2つあります イスラエルにも拠点 130社を超えるスタートアップ起業に投資してきたサムライインキュベートの榊原健太郎氏 問題は日本の起業意欲です。 調査の33カ国の中で最下位です 年を取った保守派の重鎮たちが 村上ファンドと共に堀江氏も世間の批判の的になって、新興ベンチャー全体がイメージの悪化と共に不人気の時代に突入 最低の起業意欲が何を示唆するか ここ十年間の日本社会は如何に雰囲気が保守的になったか、如何にチャンレンジ精神を忘れたか、如何に精神的に老けてきたか。この数字は決して偶然ではなく、最近の日本の政治、経済と世論の総合的結果です 特に18~24歳の若年層を見ると「より多くの機会を得られるので起業したい」と答えたのはたったのは28.3%でした。 これに対して世界の平均は63.8%
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