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個人債務問題(その1)(あなたの知らない「借金大国ニッポン」の現実、高田馬場で「学生ローン」が復活を遂げた理由、カード地獄にハマる人続出の背景、堅実な20~30代女性も) [社会]

今日は、個人債務問題(その1)(あなたの知らない「借金大国ニッポン」の現実、高田馬場で「学生ローン」が復活を遂げた理由、カード地獄にハマる人続出の背景、堅実な20~30代女性も) を取上げよう。

先ずは、7月10日付け東洋経済オンライン「あなたの知らない「借金大国ニッポン」の現実 働き世代を中心に新たな火種がくすぶる」を紹介しよう。
・借金をめぐる問題が、あちらこちらで顕著になっている。 40歳未満の働き盛り層の負債は拡大中だ。総務省の家計調査によると、10年前は1世帯平均768万円だったが昨2016年は1098万円と約300万円増大した。対して貯蓄額はデフレや雇用格差の拡大によって収入が増えず、この10年でむしろ減った。若年層のバランスシートは悪化の一途をたどっている。 2016年は、13年ぶりに自己破産件数が増加に転じた。今年に入ってからもずっと前年同月比での増加が続いている。
・何が起こっているのか。『週刊東洋経済』は7月10日発売号で「新・借金地獄」を特集。さまざまな形で身近になった現代日本人の借金問題を取り上げている。
▽学生の2人に1人が奨学金を利用
・1つは奨学金がある。 親の所得低下と学費高騰を背景に、奨学金の利用率は上昇を続け、大学生の2人に1人が利用するようになっている。だが返済義務のない給付型奨学金を拡充する海外の潮流とは反対に、日本では原則貸し付け、しかもその7割が有利子である。大学生は平均1人343万円、最大で約600万円の負債を抱えて社会に出る。
・「非正規雇用やブラック企業の蔓延、病気や介護離職などで、安定雇用、安定収入を得られる保証は今の日本でもうなくなっている。卒業後も期待していた収入が得られず、奨学金返済に悩んで相談にくる人が後を絶たない」と若年層の労働相談に携わるNPO法人POSSEの今野晴貴代表は言う。同NPOによれば、奨学金返済ができず、自己破産に陥った人が年間600人いるという。
・生涯で最も大きな借金、住宅ローンも挙げられる。 首都圏の住宅価格は上昇傾向だが、今は低金利だからと自分の返済能力以上に大きな金額を借りてしまう。そんな借り手を雇用リスクが直撃する。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の米谷真紀氏は言う。「リストラや転職失敗で収入が減ったり、退職金が期待ほど出なかったりして返済に行き詰まるケースがよくある」。
・任意売却をして住宅を換金すれば債務は減らせる。ただ、ローン残高よりも売却価格が高くなるのはまれだ。任意売却しても十分な返済原資が確保できなければ、結局、自己破産に追いやられることになる。
▽銀行カードローンの貸付高は5.6兆円 「ポストサラ金」も台頭している。
・2006年の改正貸金業法によって貸金業者への規制が強化され、消費者金融の数は激減した。しかし今、それに代わって新たな消費者向け金融が広がっている。その代表格は銀行カードローンだ。いまやその貸付高は5.6兆円と、消費者金融の貸付高を上回っている。
・銀行カードローンが伸びているのは銀行の安心感によってだけではない。改正貸金業法は年収3分の1超の融資を禁じているが、銀行はその対象外である。このため銀行カードローンでは年収600万円のサラリーマンも、たちまち1000万円の借金を作れてしまう。それが買い物依存症や、ギャンブル依存症の人、はては詐欺にひっかかった人が、歯止めなく借りてしまうカネの出どころとなっている現実がある。
・死語となっていたはずの「多重債務」「過剰借り入れ」は、復活しつつある。奨学金、銀行カードローン、住宅ローン――。日本の生活を直撃する新しいタイプの借金苦の姿がそこにある。
http://toyokeizai.net/articles/-/179731

次に、7月16日付け東洋経済オンライン「高田馬場で「学生ローン」が復活を遂げた理由 心理的抵抗が薄れいきなり借りてしまう例も」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・丸の内のIT企業に勤める社会人1年目の柏木裕介(仮名・24)さん。柔和でまじめそうな彼が東京・高田馬場の学生ローンを利用したのは1年ほど前のことだ。東京都内の大学に奨学金を借りて通っていたが、留年をきっかけに奨学金の支給を止められてしまった。 家庭は貧しく、親に頼ることはできない。そこで「学生  借りられる」とネットでローンを検索。ヒットした中の上位の学生ローン会社から学費の一部として20万円を借りた。現在は返済途中だが、この夏のボーナスで完済する予定だという。
▽「ごく普通の学生」の利用が増加傾向
・学生ローンとは、学生証を持っていることを条件に無担保で融資を行う消費者金融の一形態だ。学生は収入が少ないため、1件当たりの融資額は平均して10万〜20万円程度。しかし金利は17%ほどと大手の消費者金融と大差はない。 複数の学生ローン事業関係者は、「昔はいわゆるヤンキー気質の学生がこそこそ借りに来たが、今はまじめそうな学生が堂々と借りに来る」と借り手の変化を分析する。
・資金使途の傾向も変わっているようだ。ある業者によれば「最近では融資を学費の足しにする学生もいる」。ダブルスクールの学費を借りる学生も多くなってきたという。 現在学生ローン業者が最も密集しているのは高田馬場駅周辺である。以前は予備校の多い御茶ノ水や代々木にも学生ローン業者は多かった。顧客になった予備校生らの口コミが、進学した全国各地の大学で広まることが期待されたからだ。実際、現在でも大手業者の新規顧客の半数ほどは友人からの紹介である。
・しかし東京各地に点在していた学生ローン街は、少子化や経営者の高齢化、2006年の貸金業法改正の影響もあって淘汰が進んだ。 ただ、生き残った業者は好況の恩恵に浴している。高田馬場のある大手学生ローン業者の顧客数は、2010年代初めまでは減少傾向にあったが、ここ2〜3年で増加に転じた。早稲田大学のおひざ元だが早大生の顧客比率は徐々に下がっており、今では1%ほどだという。
・顧客層が広がった一方で「カネを借りているという意識が希薄な学生もいる」(業者)。学生自らが稼いだうえで足りない分を借りるのではなく、いきなり借りてしまうのも最近の特徴だという。
▽借金への心理的抵抗が薄れてきている
・早大のある男子学生は、旅行に行くため10万円を借り入れた。サークル内で誰かが学生ローンの話をしていたのが頭に残っていたからだ。アルバイトで稼ぐには時間がかかりすぎ、親にも迷惑をかけたくなかった。「学生ローンはほかのサラ金に比べてイメージがいい。学生ローンで借りたと言ったほうがまともと思われると思った」と話す。
・小口融資でも、一定の収入がないにもかかわらず学生が安易に借り入れを続ければ、債務に苦しむことになる。ある男性利用者(23)は「パチンコで負け続けて学生ローンに頼った。結局、そのローン30万円は親に返済してもらった」と言う。
・『週刊東洋経済』7月15日号(バックナンバー)の特集「新・借金地獄」ではこうした学生ローンだけではなく、若年層の間で借金への心理的抵抗が薄れている現状を取り上げている。ネット上の「ツケ払い」サービスも同様で、若年層の間に急速に浸透している。 ただ、これらは将来に自分が得る収入から前借りしていることに違いはない。借金が身近になった結果、若者たちは正しい金融知識を得るよりも先に借金の喜びを覚えていく。その深刻さはもっと議論されていい。
http://toyokeizai.net/articles/-/180732

第三に、8月24日付けダイヤモンド・オンライン「カード地獄にハマる人続出の背景、堅実な20~30代女性も」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・一昔前まで、クレジットカードで『借金漬け』になるのは浪費癖のある女性、というイメージだったが、気軽にクレジットカードで決済ができるようになった現在、一般的な金銭感覚の女性たちまでもがカードの返済に追われている。多くの女性がカード返済地獄に陥るようになった背景について、専門家に聞いた。(清談社 松原麻依)
▽冠婚葬祭の出費がきっかけで借金を重ねるはめに
・近年増えているのは、堅実な暮らしをしている若い女性がカード支払い地獄に陥るケースだ 海外旅行先やオンライン上ではカード決済が主流となった現在、クレジットカードを持つことはいたって普通のこととなった。また、コンビニや居酒屋、全国チェーンの飲食店など、気軽にカードを使える場が増え、たとえ少額でもクレジットカードで支払いを済ませる人が多くなっているという。
・クレジットカードの制度が“ツケ払い”である以上、今も昔も、自分の経済力に見合わない買い物をして、返済に行き詰まる人は少なくない。だが、クレジットカードを利用するハードルが一昔前よりも低くなったため、「借金の重ね方」の傾向も変わってきているようだ。
・都内に暮らす派遣社員のAさん(28歳・女性)も、月々のカードの返済に追われる一人である。Aさんは特に浪費癖があるわけでなはい。むしろ、都内で家賃6万円のアパートに住むAさんの暮らし向きは堅実なほうだが、頻繁にクレジットカードを利用し、気がつけば「毎月赤字の状態」に陥っていたという。 「友人の結婚式など、冠婚葬祭が重なった月があって、その時からクレジットカードを使うようになりました。御祝儀代がかさみ、その月は完全に赤字。そのため、コンビニやスーパーなどで自分のものを買うときは、カードで済ませるようになったのです」(Aさん)
・Aさんの手取りは月18万ほど。給料日の約10日後には、先月分のカードの支払額が引き落とされる。そうなると、またもやその月の生活費が足りなくなる。 「日々の生活費はクレジットカード頼み、という生活を1年近く続けた結果、今では手取りのほとんどがカードの引き落し日に消えてしまいます。派遣社員なのでボーナスなどはなく、一度に返済することは難しい。今はまだ生活できていますが、もし何らかの理由で休職や退職になった場合を考えると不安です」(Aさん) 来年は派遣の更新のタイミングだというAさん。30歳を目前にして、もし更新を打ち切られてしまったらどのように生活をしたらいいのか、頭を悩ませている。
▽「ブランド物を買い漁って借金」は昔の話? ごく普通の女性も借金地獄に
・実は、アラサー世代の筆者の周りにも、「月々のカード返済に追われている」という同年代の単身女性が多い。湯水の如く金を使うでもなく、通常の生活を送っているはずの女性たちが、なぜクレジットカードで借金を重ねてしまうのか。
・「女性の場合、10年ほど前まではブランド物を買い漁るなど、高額商品の買い物のせいで借金が返せなくなるケースが目立っていました。今でも、買い物依存でローンが返せなくなるのは、年齢を重ねた方のほうが比較的多いですね。一方、近年はコマゴマとした支払いが続いた結果、返済が困難になるパターンが増えています」と、語るのはNPO法人消費者サポートセンターのスタッフ、用山さんだ。
・では、どのような条件の女性がこのような状況に陥るのか。それは主に2つのタイプに分かれるという。  ひとつは、金銭感覚が身についていない10代から20代前半の若い女性に見られるパターンだ。  「これまで自由に使えるお金といえば少額の小遣い程度だったのが、クレジットカードを持つことで、急に何十万単位の買い物ができるようになるわけです。まだ若いので大きな買い物は少ないですが、ちょっとした服やアクセサリーを購入したり、友人との交遊費などでカードを使い続けてしまう子が多いのです」(用山氏、以下同)
・そしてもうひとつが、前述したAさんのように必要経費が収入を上回り、生活のためにカードを使い続けるパターンだ。それも、冠婚葬祭が重なったり、帰省費用がかさんだり、あるいはちょっと見栄を張って海外旅行に行ったりと、一度の予定外の出費のせいで、カードの返済ループから抜け出せなくなる女性が増えているという。
・「当然、休職や退職などで収入が途切れるようなことがあると、結果としてさらに借金を重ねることになります。派遣社員やフリーターなど、収入面で安定していない方が多いのも、単身女性の借金が増えているひとつの背景といえるでしょう」(同)
▽貧困ビジネス化する クレジットカード事業
・こうした単身女性のシビアな経済状況に加え、カード発行会社の制度そのものにも落とし穴があると用山氏は指摘する。 「誰でも簡単にクレジットカードを所有できるようになっているうえに、リボ払いのような、いくら借りても毎月の返済額が一定ですむような制度がまかり通っているため、借金を重ねてもそのマズさに気がつきにくい構造になっているのです」(同) どの程度借り入れているか把握しきれないまま借金を重ね、いざ限度額いっぱいになってカードが使えなくなったとしても、返済はし続けなくてはいけない。生活が立ち行かなくなり、その時になって初めて自分の置かれている状況に気がつくのだという。
・収入の少ない単身女性だけでなく、アルバイトすらしていない大学生でも持つことができるクレジットカード。カード発行会社の中には、明らかにその人の支払い能力を上回るようなショッピング枠を勧めてくるところも多い。 「金融機関は利息の回収で儲けていますからね。住宅ローンの金利が5%も行かない中、リボ払いだと15%の金利が得られるし、カードローンにいたっては18%のところもあります。だからこそ、行けるところまでクレジットカードを利用させようとする。自転車操業に苦しむユーザーこそが、カード発行会社からしてみれば優良顧客なのです」(同)
・クレジットカードを発行するのは、メガバンク系や大手企業が多い。そういったネームバリューに安心し、利用者は抵抗なく勧められるままにクレジットカードを作ってしまう。だが、若年層の収入が目減りしていく中、甘い審査で身の丈以上の借り入れをさせて借金漬けにさせる構造は、かつて大きな社会問題となったサラ金と何ら変わらない。経済的弱者の足元を見た貧困ビジネスに近いのではないだろうか。
http://diamond.jp/articles/-/137579

2006年の貸金業法改正で、個人の過剰債務問題は山を越えた筈だったが、そう上手くはいってないようだ。
第一の記事で、 『(奨学金は)日本では原則貸し付け、しかもその7割が有利子である。大学生は平均1人343万円、最大で約600万円の負債を抱えて社会に出る』、とかなり多いことには改めて驚かされた。この奨学金の問題については、このブログの2016年9月11日に取上げているので、興味のある方はそちらを参照されたい。 『銀行カードローンが伸びているのは銀行の安心感によってだけではない。改正貸金業法は年収3分の1超の融資を禁じているが、銀行はその対象外である』、法改正時には、銀行であれば貸金業者のような無茶な貸し込みはしないだろうとして、年収3分の1超の融資を禁じる「総量規制」の対象外としたが、超低金利の持続で、銀行もキレイ事を言ってられなくなったのだろう。金融庁としては、検査を通じて、行き過ぎた貸し込みをしている銀行には、警告すれば済むと考えているのかも知れない。
第二の記事で、 『高田馬場で「学生ローン」が復活』というのはまだしも、 『借金への心理的抵抗が薄れてきている』、というのは困ったことだ。 まして、『「学生ローンはほかのサラ金に比べてイメージがいい。学生ローンで借りたと言ったほうがまともと思われると思った」と話す』、などという「言い訳」は、これが学生かと首を傾げざるを得ないようなレベルの低さだ。
第三のの記事で、『貧困ビジネス化する クレジットカード事業』、とは嘆かわしいことだ。クレジットカードは1回払いでやっている限り問題はないが、リボ払いは麻薬のような恐ろしさがあるのに、その危険性が全く周知徹底されてないのは、問題だ。 もっとも、薄利のクレジットカード会社にとって貴重な収益源なのだろうが、恐さを知らずに犠牲になる若者を減らすためには、義務教育のなかで取上げるべきだろう。
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