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自衛隊が抱える問題(防衛問題)(その5)(宣伝費に4億円「Jアラート」はやっぱり今日も鳴らなかった、陸自特殊部隊が渋谷・歌舞伎町で行っている極秘訓練、「高齢化」している自衛隊で本当に大丈夫か、防衛省・自衛隊でスキャンダルが繰り返される理由) [国内政治]

自衛隊が抱える問題(防衛問題)については、5月21日に取上げたが、今日は、(その5)(宣伝費に4億円「Jアラート」はやっぱり今日も鳴らなかった、陸自特殊部隊が渋谷・歌舞伎町で行っている極秘訓練、「高齢化」している自衛隊で本当に大丈夫か、防衛省・自衛隊でスキャンダルが繰り返される理由) である。

先ずは、報道ジャーナリストの伊藤 明弘氏が7月4日付け現代ビジネスに寄稿した「宣伝費に4億円「Jアラート」はやっぱり今日も鳴らなかった 発射から5分で通知、は至難の業です」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽<政府から、お知らせします。>(2017年6月23日から7月6日まで、全国瞬時警報システム「Jアラート」のCMがテレビで放送されている。 JアラートのTVCM。そこはかとない危機感は広がったかもしれないが……
・Jアラートは、2007年から政府が展開し、地震や津波をはじめとする大規模自然災害や、テロ等武力攻撃の発生などを対象にした警報システムだ。市民が携帯電話へのエリアメールやスマホのアプリなどでも受信できる他、市町村の防災行政無線等も自動起動し、屋外スピーカーから警報が流れる(テロ等武力攻撃に対する警告の場合は、国民保護法に基づく国民保護体制の一環として「国民保護サイレン」と呼ばれる)。
・内閣官房は、度重なる北朝鮮のミサイル発射問題を受けて、「弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合」にもJアラートを使用する運用を追加したわけだ。それ自体は「前進」と評価できるだろうが、疑問も残る。 今回のJアラートのCMでは、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、<屋外にいる場合>は、<頑丈な建物や地下に避難してください>。<近くに建物がない場合>は、<物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守ってください>……などと説明している。
・これで本当に大丈夫なのか……?これで本当に大丈夫なのか……? だが、Jアラートで伝えられる情報が、どこまで正確な、どのような内容の情報なのかが、このCMだけではまったくわからない。そもそもJアラートは、発射直後に配信されるのか? 落下地点の予測は伝えらえるのか? それはどれくらい正しいのか? 生物化学兵器を搭載したミサイルの開発も懸念される中、ただ隠れたり伏せたりして待つだけで意味があるのか?
・こうした初歩的な疑問への回答がなされ、周知徹底されない限りは、実際にJアラートが鳴っても、混乱が広がるだけではないか。東京オリンピックのような大規模イベントを控えた現状から言えば、そうした会場でJアラートを受け取った人々が起こすパニックのほうが心配だ。 どんなときでも「誤報」も起こり得るわけで、警報に対する国民的なリテラシーを高める努力なしには、せっかくのJアラートも、百害あって一利なしと批判されかねない。
▽韓国、台湾、米国でも…世界の「防空訓練」
・実は、「平和ボケ」と言われて久しい日本の外に目を向けてみると、世界の国民は日々さまざまな「防空訓練」を行っている。 お隣の韓国は、北朝鮮と接するだけに、毎月15日が「民防衛の日」とされ、防空訓練が行われている。ソウル市民は皆、防空壕に避難するので、居合わせた日本人観光客などは驚くようだ。ビルの地下はシェルターとして活用されており、化学兵器対策としてガスマスクも用意されている。
・台湾海峡を挟んで大陸との緊張関係にある台湾でも、市民が参加する防空訓練が存在する。台湾台北市では年に1回、「万安演習」という訓練があり、この訓練にともなう退避避難命令に違反した者には、3万NTD以上15万NTD以下(NTD=ニュー台湾ドル、15万NTDは約55万円)の罰金が科せられるほど厳格だ。
・その他、中国やハンガリーでも多くの国民が参加する防空訓練が存在し、イスラエルでは訓練に加えて、ガスマスクを国民に配布している。 歴史を振り返れば、なんと一度も本土空襲を受けたことのないアメリカでも、キューバ危機の頃までは、ニュー韓国、台湾、米国でも…世界の「防空訓練」
ヨークやシカゴなどの8大都市で避難訓練が実施されていた。
▽検証:Jアラートは本当に間に合うのか
・さて、ここからは在日米軍から取材した情報を交えながら、Jアラートの有効性を検証してみよう。Jアラートが発信され、我々一般国民の目に届くまでに、弾道ミサイルの情報は、どのような道のりを経るのだろうか。
・運よく北朝鮮が弾道ミサイルを発射する地点を確認出来たとしよう。アメリカの軍事衛星が上空から監視しているわけだが、北朝鮮もバカではない。晴天下ではバレる可能性が高いので、曇天を選んで発射してくると想定される。こうなると、軍事衛星からの情報の精度はかなり低くなる。サーモグラフィを使用する方法もあるだろうが、目視よりは検知が難しいのが実情だ。
・そこで、米軍の「Xバンドレーダー」の出番となる。これはマイクロ波の周波数帯域を使用する弾道ミサイル早期警戒レーダーで、米軍は日本に二基配備している。一つは、青森県つがる市にある車力米軍通信所。もう一つが、京都府京丹後市の経ヶ岬米軍通信所だ。 このXバンドレーダーの性能は「極秘」とされているが、在日米軍から独自に取材した情報によると、その精度は「50km先のキャッチボールする球を感知できる」程度だという。キャッチボールをする球が通る高さは、地上2mほどだと考えていいだろう。
・すると、約1600km離れた北朝鮮の発射場で打ち上げられたミサイルを、Xバンドレーダーは上空64mまで上昇した頃に初めて感知することとなる。ミサイルの速度は「2分で高度45kmに達する」とされるので、64mまで上昇するのは、まさに「あっという間」のこと。「発射を瞬時に感知する」と言っても過言ではない。
・Xバンドレーダーがミサイルを検知したあとはどうなるか。実は、データを検証する仕組みが備えられている。詳細な場所は秘密となっているが、太平洋上にもう1基のXバンドレーダー(海上配備Xバンドレーダー。『サンダーバード』の秘密基地のようだ)があり、地上の2基からのデータはまず、ここに送られる。そして、さらに本国にあるアメリカミサイル防衛局に転送され、詳しく分析される。 その上で、「これは本物だ」という確信が持てた段階で、在日米軍にコールバックされるのだ。日本政府への伝達は、ようやくこのあとになる。
・まず、在日米軍が防衛省に連絡。防衛省から政府関係者に送られ、内閣官房から各省庁に伝達が下りる。各省庁はJアラートの発信とともに、市町村に放送の手配を指示する……。 ミサイルが5分~10分で到達するとされる中、このバケツリレーにかかる時間は、いかほどか。ちなみに1998年のテポドン1号の発射に際しては、自治体への通達までには2時間かかったという。当時に比べれば、連絡もかなり早くなったとはいえ、発射から5分以内にJアラートを鳴らして国民に危機を知らせるのは、至難の業であることは想像に難くない。
・日本はこれまで、ミサイル防衛システムに1兆5800億円、Jアラート設備費で92億円の予算を費やしているが、今回のCM放送には4億円をかけたとされる。本当に国民をミサイル攻撃から守る、実効性のある施策を行うためには、日本でも本格的な防空訓練こそが必要とされているのではないか。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52175

次に、同じ筆者が8月10日付け現代ビジネスに掲載した「追跡せよ!陸自特殊部隊が渋谷・歌舞伎町で行っている極秘訓練 「特殊作戦群」の知られざる実態に迫る」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽秘密のヴェールに包まれた陸自特殊部隊
・突然だが、日本に「特殊部隊」がいくつあるか、ご存じだろうか。 もちろん、文字通り「特殊な仕事をする部隊」は全て特殊部隊と呼べるが、ここで注目したいのは、「対テロ」を目的とした武装集団だ。 相手はテロリストであるから、暴力団闘争や殺人事件などの一般刑事事件事案ではなく、政治犯罪のような国家転覆を狙った犯罪行為に対して出動することになる。たとえば、カルト集団による大量殺人計画や、国家犯罪行為が「対テロ」の範疇となるわけだ。テロ(支援)国家・組織として指定されているものの代表がIS、いわゆる「イスラム国」や北朝鮮となる。
・さて冒頭の問いの答えだが、日本の対テロ特殊部隊は、警察に一つ、海上保安庁に一つ、そして自衛隊に二つの、合計4部隊がある。 警察には「特殊急襲部隊SAT」、海上保安庁には「特殊警備隊SST」、そして自衛隊には陸上自衛隊の「特殊作戦群」と海上自衛隊の「特別警備隊SBU」が置かれている。これらの特殊部隊は、各部隊の特徴を活かして連携をとっていると言われている。
・今回は、一般にはあまり知られていない、陸上自衛隊の特殊部隊「特殊作戦群」についてご紹介しよう。  特殊作戦群は、2004年3月、習志野駐屯地に発足した陸上自衛隊唯一の対テロ・対ゲリラ部隊だ。隊員は陸自の中から選抜され、体力はもちろん知力にも優れた、まさにエリート集団と言っていい。だが、部隊の名簿や隊員の顔写真は非公開とされており、その実態は秘密のヴェールに隠されている。
・特殊作戦群の英語表記はSFGp(Special Force Group)とされており、中央即応集団傘下の特殊任務を司っている。米軍と比較してみると、米軍特殊作戦司令部SOCOMの傘下に、グリーンベレーやデルタフォースと同様の位置づけだ。
▽語学、化学、そしてイマジネーション
・特殊作戦群の部隊の規模は、隊員数約300名とされているだけで、詳しい構成も発表されていない。だが筆者の取材によると、その内訳は約200名が戦闘要員であり、組織としては本部管理中隊、第1中隊から第3中隊、そして教育隊に分かれているようだ。
・隊員になるために必要なのは、空挺資格やレンジャー資格はもちろん、体力測定などの素養試験もあり、合格率はたった3%とも噂される。晴れて入隊した後の教育もかなりハードだ。語学では必修の英語はもちろん、朝鮮語、中国語、ロシア語、アラビア語などのコースがあり、それぞれをマスターすることが求められる。隊員によってはプライベートの時間にも、字幕なしの映画を観ているという。
・また、化学テロを想定し、化学記号の暗記はもちろん化学式の勉強もする。もちろん射撃や格闘訓練は、ほぼ毎日だ。 さらに個性的な隊員教育の一つとして、「イマジネーションを豊かにする」訓練があるという。これは、かつて初代群長が軍事専門雑誌『ストライク アンド タクティカルマガジン』(略称:SATマガジン)のインタビューで明かしたエピソードだが、隊員たちに映画『ミッション・インポッシブル』のワンシーンを挙げ、 「もし君が主人公のトム・クルーズだったら、この場面でどうするか?」 と質問したこともあるという。そして、最良のミッションをいかにして遂行すべきか討論するのだそうだ。
・さらに、興味深い「課外授業」がある。 数名の隊員でチームを組み、渋谷や歌舞伎町の繁華街に繰り出す。隊員たちに与えられるのは、1枚の顔写真だ。それだけを頼りに、人混みの中から該当者を探し出すのである。フジテレビ系で放送されている『逃走中』というゲームバラエティ番組にも似た、極秘訓練なのだ。
▽隠密行動を見抜くおばあちゃん
・制限時間は2時間。エリアは限られているとはいえ、範囲は広く、当然ながら人通りは多い。隊員たちはどうするのか。 ある者は、発見確率の高い場所で張り込む戦術をとったという。たとえば渋谷なら、スクランブル交差点のみを見張り、体力の温存をはかる作戦だ。逃走役を指揮する教官は、こうした隊員たちの作戦を逆手にとることもあるといい、駆け引きが続く。 しかし最終的には、ほとんど不可能に思えるこのミッションも、多くのチームがクリアするというから恐れ入る。
・また、ところ変わって真夜中の山中でも、チームで監視訓練を行うという。誰にも知れずに入山し、敵であるテロリスト役の行動を追跡するのだ。 ある隊員は、山中に潜んでいた夜中の2時に、暗視装置越しに向かってくる人影を見て、すわテロリスト役に見つかったかと緊張したという。だが、その正体は近くの里に住んでいるおばあさん。なんと、夜食を持ってきてくれたそうだ。 そして、「今晩は9人だね」と言って、人数分の握り飯を渡してくれたという。隊員たちは隠密裏に行動していたはずだが、おばあさんには、人数まで手に取るように把握されていた。特殊部隊としては笑えない大失態なのだが、「シニア・ソルジャー」もおそるべしだ。
・こうした一見、楽しいゲームのように思える訓練も、厳しい基礎教育・訓練のベースの上に行われている。特殊部隊として欠かすことのできない、臨機応変な対応を可能にする、「柔らかい頭」を育てるためのものなのだ。 そう考えると、陸自特殊部隊の知られざる極秘訓練は、我々一般の社会人にも自分を成長させる方策を示唆してくれているのかもしれない。ルーチンワークに凝り固まることなく、自分の頭を使って、楽しむことが大切だということだろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52518

第三に、慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏が8月21日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「高齢化」している自衛隊で本当に大丈夫か 北朝鮮への脅威で予算は増え続けているが」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・8月10日、北朝鮮の国営放送は、弾道ミサイルを米領グアム島沖に4発発射する準備を今月半ばまでに完了させると報じた。その中でミサイルが「日本の島根、広島、高知各県の上空を飛ぶ」と明言した。 これを受けて北朝鮮情勢はにわかに緊迫の度を高めた。米国のドナルド・トランプ大統領は「グアムに何かすれば世界がかつて見たこともない軍事力を目の当たりにするだろう」と応酬。自衛隊は迎撃ミサイルPAC3の部隊を、島根、広島、愛媛、高知の4県に配備したうえ、高性能レーダーで弾道ミサイルを追尾できるイージス艦を日本海に配置し、24時間態勢で警戒と監視を続けることとした。さらに政府は、中国・四国地方の9つの県を対象に、Jアラート(全国瞬時警報システム)などを用いた緊急情報の送受信訓練を近く行うことを決めたのである。
・ところが、北朝鮮の国営放送が同15日に報じたところによると、金正恩朝鮮労働党委員長は14日に戦略軍司令部を視察。グアム島沖へのミサイル発射計画の報告を受け、「米国が朝鮮半島周辺で危険な妄動を続ければ、重大な決断を下す」としつつ、「米国の行動をもう少し見守る」と述べた、という。この報道を機に、北朝鮮はグアムへのミサイル発射を留保した、との見方が強まった。しかし、米国は21日から行う米韓合同軍事演習を予定どおり実施する、と明言した。これは、金委員長の「危険な妄動」に該当し、留保したミサイル発射を行うかもしれないという懸念もある。
▽5年連続で増えている防衛予算
・依然として北朝鮮のミサイル発射は予断を許さない。8月8日に公表された2017年版「防衛白書」でも、北朝鮮の核・ミサイル開発について「新たな段階の脅威」と位置づけ、わが国を射程に入れる新型弾道ミサイルが新たに配備される可能性について言及した。さらに、北朝鮮が核兵器計画を継続する姿勢を崩していないことを踏まえれば、時間の経過とともに日本が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクは増大する、と危機感をあらわにしている。わが国にとっては、大陸間弾道ミサイル(ICBM)よりもこれらのほうが脅威となる。
・ではわが国の弾道ミサイル防衛はどうなっているのか。確かに防衛予算は、第2次安倍晋三内閣以降5年連続で増えている。とはいえ、北朝鮮の脅威が差し迫ったから、場当たり的に予算を増やして対応しているわけではない。むしろ計画的に防衛力を整備している。 日本の防衛予算は、長期的な戦略に基づきつつ、防衛力を整備する中期的な計画を立て、各年度に必要な経費を計上する形で組まれている。おおむね10年程度の期間を念頭に置いた、外交政策と防衛政策に関する長期的な戦略は「国家安全保障戦略」だ。現在の国家安全保障戦略は2013年12月に策定され、国際協調主義に基づく積極的平和主義をうたっている。
・これを踏まえて防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準を規定する「防衛計画の大綱」(略称、防衛大綱)が策定される。現在の防衛大綱は2013年12月に策定され、弾道ミサイル防衛としてイージス艦を策定前の6隻から8隻に増やすことや、航空自衛隊の作戦用航空機を策定前の約340機から約360機に増やすことを盛り込む一方、陸上自衛隊の戦車を約700両から約300両に減らすなどして、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備することを明示している。
・防衛大綱に合わせて5年間の経費の総額と主要装備の整備数量を明示する「中期防衛力整備計画」(略称、中期防)が策定される。同時期に策定された現在の中期防は、2014~2018年度の自衛隊に関する事業や所要経費などを定めている。これには弾道ミサイル防衛として、能力向上型のPAC3(地対空誘導弾)を2個群配備することも盛り込まれた。このように、防衛予算は国家安全保障戦略から、防衛大綱、中期防とブレークダウンし、各年度予算を組むという流れとなっている。
▽イージス・アショア導入を発表した意味
・8月3日の内閣改造で就任した小野寺五典防衛大臣は、防衛大綱の見直しに着手するよう、安倍首相から指示されたことを明らかにした。その理由として、厳しさを増すわが国の安全保障環境を踏まえ、防衛力を強化し、国民の安全確保に万全を期すことを挙げた。ただ、現在の防衛大綱はおおむね10年程度の期間を念頭に置いているものの、2013年末に策定してまだ5年しか経っていない。目下、各省で、2018年度予算の概算要求を取りまとめている最中である。とはいえ、2019年度以降の防衛予算については、新たに中期防を策定しなければならず、そのタイミングで変化する安全保障環境に対応すべく防衛大綱も見直すものとみられる。
・北朝鮮のグアム攻撃計画が明らかになった最中、8月17日にワシントンで開かれた日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)に合わせ、防衛省は「イージス・アショア」を導入する方針を発表した。イージス・アショアとは、ミサイル防衛システムのイージス艦と同様の能力がある、地上配備型の迎撃ミサイルシステムだ。ちなみにイージスとは、ギリシャ神話の神ゼウスが与えた盾の名に由来する。もちろん、これは現在の中期防に盛り込まれていないから、2018年度中に配備することを想定していない。
・図らずも、2018年度予算の概算要求を固める時期と、北朝鮮が弾道ミサイルの発射技術を進展させている時期が重なったが、2019年度以降の次期中期防に盛り込むことを想定しての方針の発表だろう。防衛省内で、イージス・アショアと、韓国でも配備を予定しているTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)の費用対効果を比較考量したようだが、総額でいくらかけて整備するかを確定できないため、まずはいくらかけるかを調査することから始める。
・自衛隊は、弾道ミサイル防衛での装備の充実、能力向上を図っているが、2017年版「防衛白書」では、自衛官の定員と現員についても公表している。2017年3月末現在、自衛官は22万4422人。予算定員24万7158人に対して、充足率(予算定員に対する現員の割合)は90.8%である。10年前の2007年3月末の自衛官の現員は24万0970人であり、この10年で約1万6500人減っている。特に1年前の2016年3月末の現員は22万7339人だったから、この1年で約3000人減ったことになる。
・特に目立つのは、「士」(自衛隊の階級構成、将官・佐官・尉官・准尉・曹・士の最下位)の充足率だ。士の隊員は、准・曹に従って、最前線中の最前線に赴く。東洋経済オンラインの当連載「日本は『戦争をできる国』にはなれない」で詳述しているが、日本の自衛隊は、このところ少子高齢化の影響を受けている。士の隊員が足らなければ、わが国の防衛も成り立たない。
▽最前線の隊員が少ないという構造問題
・士の充足率は、2007年3月末に93.1%(現員5万8107人)だったのが、2017年3月末では69.5%(現員3万9395人)と70%を割ってしまった。予算面では士の隊員を増やす余地が残っているのだから、財政状況が厳しいから隊員が減らされたのではないことは明らかだ。 もちろん自衛隊は精強性の確保(平たく言えば、若返り)に努めている。が、高齢化はも次期の防衛大綱や中期防でも、引き続き課題といえよう。北朝鮮問題をめぐっては、何よりこの国自身に、悩ましい課題が多い現状から目をそらしてはいけない。
http://toyokeizai.net/articles/-/185031

第四に、8月21日付けダイヤモンド・オンライン「防衛省・自衛隊でスキャンダルが繰り返される理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・『週刊ダイヤモンド』8月26日号の第1特集は「自衛隊・防衛ビジネス 本当の実力」です。北朝鮮のミサイル挑発、中国の海洋進出──。日本の安全保障が脅かされるような緊迫した事態が続いています。にもかかわらず、日本の防衛政策をあずかる防衛省・自衛隊は内輪揉めを繰り返しています。これでは、とても日本の有事を守れる体制にありません。日本の「防衛力」は危機的状況にあるのです。
・長崎県佐世保市──。8月上旬、陸上自衛隊(陸自)の相浦駐屯地の内部では、自衛隊員たちが上を下への大混乱の状況に陥っていた。 日本の自衛隊初となる「水陸機動団」の始動が2018年3月に迫っており、急ピッチで準備作業が進められているのだ。 部隊の主力は、陸自の西部方面普通科連隊(西普連)。西普連といえば、第1空挺団と双璧を成す、陸自きっての精鋭部隊である。実際に、レンジャー資格を持った隊員比率が非常に高い。
・西普連部隊は700人に加えて、全国からえりすぐりのエリート隊員を集めて、将来的には水陸機動団を3000人規模の大部隊とする方針だ。 水陸機動団は、離島が他国に侵攻されたときに、いの一番に駆け付けて最終的に島を奪還することをミッションとしている。
・ウエットスーツに身を包み、足にはフィン(足ヒレ)を装着し、高速ボートに乗って完全武装で敵地へ潜入する──。水陸両用戦を展開することから、“日本版海兵隊”という触れ込みだ。 近年、中国船が尖閣諸島へ接近する挑発行動が頻発していることから、水陸機動団は、対中国を想定した島しょ防衛の要としての役割を期待されている。
・相浦駐屯地の中でも、最も忙しいのが水陸機動団準備室。人材のリクルーティング、武器や資材の調達、作戦・運用のマニュアル作成などが仕事で、装備品の調達一つとっても、何もかもが足りない状況なのだという。寝る間も惜しんで“24時間勤務”で働いている隊員もいるのだとか。 島しょ防衛は、数ある自衛官の仕事の中でも、最も過酷で、強靱な精神力なくしてできない任務だ。現場の隊員たちは、身命を賭す覚悟で任務を全うしているのだ。
▽防衛七族で繰り返される終わりなき権力闘争
・それに比べて、東京・市谷の防衛省・自衛隊で繰り広げられた権力闘争とは何だったのか。 今夏、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題をめぐり、稲田朋美・前防衛相、黒江哲郎・前事務次官、岡部俊哉・前陸上幕僚長の3トップが辞任することで幕引きとなった。
・一連の問題を通じて、日本の防衛政策を預かる防衛省・自衛隊の構造的欠陥が次々と明るみになっていった。文民統制(シビリアンコントロール)の機能不全、陸上自衛隊の隠蔽体質、背広組と制服組との確執、陸・海・空の縄張り意識──。
・なぜ防衛省・自衛隊でスキャンダルが繰り返されるのか。その背景には、根深い権力闘争がある。 防衛七族──。防衛省・自衛隊には、7種類の人間がいる。 すなわち、(1)政治家ポスト(大臣や政務官など)、「背広組」の(2)事務官、(3)技官、(4)教官、そして、「制服組」の(5)陸上自衛官、(6)海上自衛官、(7)航空自衛官の7族である。
・これだけ異なる背景を持った者同士が同じ組織にいればもめ事が起こらないわけがない。 あまり知られていないが、防衛省と自衛隊は同一組織である。行政組織としての意味で「防衛省」、武力を伴う実行組織としての意味で「自衛隊」と、呼び名を区別しているだけのことだ。 防衛省と自衛隊。両者は対等な関係であるにもかかわらず、あたかも防衛省が「本社」、自衛隊が「子会社」と思われがちだ。世間一般の人はもとより、当の防衛省・自衛隊の職員たちがそう認識するようになったのは、ひとえにキャリア官僚への恐れからだ。
・ある防衛省キャリアは、自分たちのことを「警備会社の企画営業職のようなもの」と話す。となれば、制服組はさしずめ「ガードマン」といったところだ。 だが、現場が営業に口を挟まぬ民間の警備会社と違い、防衛省・自衛隊の制服組は、陸・海・空の実行組織、それぞれの思惑から本社の背広組を突き上げることもある。
・3自衛隊の中で唯一、旧軍の正式な伝統継承者を自任する海上自衛隊は、旧海軍同様、政治に口を挟むことをよしとしない。だから防衛省内での覇権争いでは陸・空に比して割を食いがちだ。 対して、戦後発足した航空自衛隊は旧軍とのしがらみがない組織で、何物をも恐れず発言する気風を持つといわれている。これが省内外を巻き込んでのトラブルとなることもしばしばだ。
・他方、戦前の旧陸軍からの伝統継承はないとしながらも、しっかりと旧陸軍のDNAを受け継いでいるのが陸上自衛隊である。旧陸軍ばりの「けんか上手」は、海・空自衛隊のみならず、本省ですらも一目置くくらいだ。 防衛省・自衛隊では、本省と統陸海空の4幕僚監部、防衛装備庁も含めた覇権争いが、日々繰り広げられている。
▽マニア必見!自衛官が厳選する「最強の武器ランキング」
・『週刊ダイヤモンド』8月26日号の第1特集は「自衛隊・防衛ビジネス 本当の実力」です。 連日のように、北朝鮮のミサイル挑発行動が続いています。北朝鮮に抑止を促してくれるはずの中国こそ、軍事力を増強し海洋進出への意欲をむき出しにしています。かつてないほどに、東アジア情勢が緊迫化しています。 しかし、日本はといえば、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題がクーデターまがいの騒動に発展、防衛相・防衛省・陸自トップがトリプル辞任する事態になってしまいました。とても有事に備えができているとはいえません。
・本特集では、スキャンダルを繰り返す25万人組織「防衛省・自衛隊」を徹底的に解剖しつつ、日本の防衛力・防衛産業がどのレベルにあるのか、ビジネスの視点も交えて検証しました。 キラーコンテンツは、「自衛官53人が厳選する「最強の武器ランキング」です。 現役・OB自衛官の皆さん一人一人に、「海外へ売れる武器」「売れない武器」「(日本の自衛隊が)欲しい武器」について聞いて回りました。 足で稼いだ取材結果は、なかなかシビアなものになりました。注目のランキングは誌面に譲るのですが、日本の安全保障と防衛産業の課題を見事にあぶり出した結果になっていたからです。
・戦後、今ほど日本の安全保障が脅かされたことはありません。日本がいかにして安全保障を確立すべきなのか。イデオロギーに偏り過ぎることもなく、戦争という言葉の響きに思考停止することもなく、冷静、かつオープンな議論が必要な時に来ています。
http://diamond.jp/articles/-/139213

第一の記事で取上げている「Jアラート」については、このブログで昨年8月28日、本年2月2日、3月10日、5月21日と度々取上げている。 『今回のJアラートのCMでは、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、・・・<近くに建物がない場合>は、<物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守ってください>……などと説明している』、には笑ってしまった。 『ミサイルが5分~10分で到達するとされる中、このバケツリレーにかかる時間は、いかほどか』、政府としては、警告は出したと責任逃れをするためと、勘繰りたくなる。
第二の記事の 「特殊作戦群」では、 『「イマジネーションを豊かにする」訓練』、があるというのは、個々の隊員のとっさの判断力が求められるためであろうが、いい訓練だ。
第三の記事で、 『最前線の隊員が少ないという構造問題』については、安保法制成立後は、不足の度合が高まっているとの報道もあり、解決は容易ではなさそうだ。
第四の記事で、 『防衛七族』というのは初めて知った。さらに、 『本省と統陸海空の4幕僚監部、防衛装備庁も含めた覇権争いが、日々繰り広げられている』、ような難しい組織を束ねる大臣に、稲田氏を選んだ安部首相も「罪つくり」だ。
タグ:自衛隊 が抱える問題(防衛問題) )(その5)(宣伝費に4億円「Jアラート」はやっぱり今日も鳴らなかった、陸自特殊部隊が渋谷・歌舞伎町で行っている極秘訓練、「高齢化」している自衛隊で本当に大丈夫か、防衛省・自衛隊でスキャンダルが繰り返される理由) 伊藤 明弘 現代ビジネス 宣伝費に4億円「Jアラート」はやっぱり今日も鳴らなかった 発射から5分で通知、は至難の業です JアラートのTVCM 地震や津波をはじめとする大規模自然災害や、テロ等武力攻撃の発生などを対象にした警報システム 弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合」にもJアラートを使用する運用を追加 弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合 <近くに建物がない場合>は、<物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守ってください> 初歩的な疑問への回答がなされ、周知徹底されない限りは、実際にJアラートが鳴っても、混乱が広がるだけではないか 韓国、台湾、米国でも…世界の「防空訓練」 Jアラートは本当に間に合うのか Xバンドレーダー 本国にあるアメリカミサイル防衛局に転送され、詳しく分析 、「これは本物だ」という確信が持てた段階で、在日米軍にコールバックされるのだ。日本政府への伝達は、ようやくこのあとになる ミサイルが5分~10分で到達するとされる中、このバケツリレーにかかる時間は、いかほどか 追跡せよ!陸自特殊部隊が渋谷・歌舞伎町で行っている極秘訓練 「特殊作戦群」の知られざる実態に迫る 特殊部隊 警察に一つ 海上保安庁に一つ 自衛隊に二つの、合計4部隊 陸上自衛隊の「特殊作戦群」と海上自衛隊の「特別警備隊SBU」 「特殊作戦群」 グリーンベレーやデルタフォースと同様の位置づけだ 語学、化学、そしてイマジネーション 合格率はたった3% イマジネーションを豊かにする」訓練 土居 丈朗 東洋経済オンライン 「高齢化」している自衛隊で本当に大丈夫か 北朝鮮への脅威で予算は増え続けているが」 5年連続で増えている防衛予算 時間の経過とともに日本が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクは増大 わが国にとっては、大陸間弾道ミサイル(ICBM)よりもこれらのほうが脅威となる 防衛予算は国家安全保障戦略から、防衛大綱、中期防とブレークダウンし、各年度予算を組むという流れ イージス・アショア導入を発表した意味 予算定員24万7158人に対して、充足率(予算定員に対する現員の割合)は90.8% 特に目立つのは、「士」(自衛隊の階級構成、将官・佐官・尉官・准尉・曹・士の最下位)の充足率だ 最前線の隊員が少ないという構造問題 士の充足率は、2007年3月末に93.1%(現員5万8107人)だったのが、2017年3月末では69.5%(現員3万9395人)と70%を割ってしまった ダイヤモンド・オンライン 防衛省・自衛隊でスキャンダルが繰り返される理由 日本の防衛政策をあずかる防衛省・自衛隊は内輪揉めを繰り返しています 日本の防衛政策を預かる防衛省・自衛隊の構造的欠陥が次々と明るみになっていった 文民統制(シビリアンコントロール)の機能不全、陸上自衛隊の隠蔽体質、背広組と制服組との確執、陸・海・空の縄張り意識 防衛七族 、(1)政治家ポスト(大臣や政務官など)、「背広組」の(2)事務官、(3)技官、(4)教官、そして、「制服組」の(5)陸上自衛官、(6)海上自衛官、(7)航空自衛官の7族 行政組織としての意味で「防衛省」、武力を伴う実行組織としての意味で「自衛隊」と、呼び名を区別しているだけのことだ あたかも防衛省が「本社」、自衛隊が「子会社」と思われがちだ ひとえにキャリア官僚への恐れからだ 防衛省・自衛隊では、本省と統陸海空の4幕僚監部、防衛装備庁も含めた覇権争いが、日々繰り広げられている しっかりと旧陸軍のDNAを受け継いでいるのが陸上自衛隊である。旧陸軍ばりの「けんか上手」は、海・空自衛隊のみならず、本省ですらも一目置くくらいだ
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