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憲法改正問題(その5)(今は改憲を議論できる時ではない、公明党は憲法を改正しないという立場ではない、憲法改正議論、踊る永田町と沈黙する大手町) [国内政治]

憲法改正問題については、6月12日に取上げたが、今日は、(その5)(今は改憲を議論できる時ではない、公明党は憲法を改正しないという立場ではない、憲法改正議論、踊る永田町と沈黙する大手町) である。

先ずは、8月21日付け日経ビジネスオンライン「今は改憲を議論できる時ではない 学習院大学の青井未帆教授に聞く」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問、+は回答内の段落)。
・安倍晋三首相が、憲法9条に「自衛隊の存在を明記する条文を加える改正を目指す」との意向を示したのを受けて、改憲論議がにわかにあわただしくなってきた。果たして、どのように改憲すべきなのか。議論は百家争鳴の様相を呈す。「実力組織である自衛隊をどのように管理・統制すべきかを考えることが重要」と説く、学習院大学の青井未帆教授に聞いた。(聞き手 森 永輔)
――青井さんは憲法9条の改憲についてどうお考えですか。
青井:今は、安倍政権が意図する方向の改憲、すなわち、自衛隊の位置づけを一般の軍隊にさらに近づける改憲を議論できる時とは思えません。近時の例でいえば、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題をめぐって、自衛隊という実力組織を政府や議会が適切に管理・統制できていない実態が明らかになりました。
――陸上自衛隊が「廃棄した」としていたものの、データを保管していたものですね。
青井:はい。「陸自が日報データを保管していたことを稲田朋美防衛相(当時)と黒江哲郎防衛次官(同)に報告した」など、稲田氏が隠蔽に関与していたことをうかがわせるリークが自衛隊内から相次ぎました。リークした自衛官は「国のため」と説明するのでしょうが、国のために何が適切かを判断するのは政治の仕事であり、自衛官が判断すべきことではありません。これは規を超えた行為です。
――日報問題の根本的な原因はどこにあったのでしょう。稲田氏の個人的な資質の問題なのか。自衛隊という組織の問題なのか。法の整備に欠陥があったのか。
青井:私が見る限り、少なくとも稲田氏の資質には問題があると思います。自衛官にリークという行動を取らせる環境を作ってしまった責任は免れ得ません。管理・統制のグリップを利かせることができなかったのです。自衛隊が実力組織である以上、他の省庁の官僚によるリークとは重みが異なります。 自衛隊の最高指揮官であり、稲田氏を任命した安倍晋三首相にも当然責任があります。
+このような状態で、自衛隊を一般的な軍により近づける改憲をしたりするのは適切とは言えません。集団的自衛権の限定行使を容認した2014年7月の閣議決定の前に立ち返って、防衛のあり方を考え直すのが先決ではないでしょうか。
+集団的自衛権を行使できるようにすることで自衛隊は血を流す可能性が高まりました。あの閣議決定の際、国民は、自衛隊員が血を流す事態を真剣に受け止めていたでしょうか。私は、ノーだと思います。
+集団的自衛権を行使できる存立危機事態について、ホルムズ海峡における機雷掃海が例に上ったものの、議論は全般的に抽象的なレベルにとどまりました。リアルな想定がないまま空議論に終始した。この結果、自衛隊も政府も国民も新たな状況に必要なマインドセットを得ることができず、そうしたゆるみが今回のリークにつながったのだと考えます。
+安倍首相が9条改憲の意向を示したとき、河野克俊統合幕僚長が「自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるのは非常にありがたい」という主旨の発言をしました 。これも、とても適切とは言えない発言だったと思います。
▽集団的自衛権の行使を認める新三要件
 1.密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(存立危機事態)。
 2.我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない。
 3.必要最小限度の実力行使にとどまる。
+自衛隊の運用の現場では、米軍の一体化がどんどん進んでいます。それにもかかわらず管理・統制のあり方は2014年閣議決定の前と変わっていないように見える。これは不幸であり危険。絶対に避けなければいけない状況です。
▽憲法9条は自衛隊の行動を厳しく統制してきた
――今が改憲に適切な時期ではないとしても、現行のままでよいものでしょうか。9条の文言は規範力が弱く、さまざまな解釈が乱立しています。現行憲法の草案を国会が審議していた1946年当時、共産党は、9条を「自衛権を放棄して、民族の独立を危うくする」ものと解釈して批判しました。その一方で、安倍政権は集団的自衛権の限定行使まで可能としている。こうした状況を改め、誰が読んでも同じ理解になる条文にするだけでも価値があると思います。
青井:私は、9条に規範性がないとは必ずしも言えないと考えます。自衛隊を一般的な軍隊ではなく、特殊な存在にとどめる力が現実にあったわけですから。特殊な存在であることを是とするか非とするか、その判断は別問題ですが……   例えば一般的な軍隊は国外に展開するのを基本としています。国内にとどまって戦えば、国民に被害が生じますから。しかし、自衛隊の活動は原則として国内にとどまるよう、法制の骨格が作られている。これはある意味で“すごいこと”です。
+自衛隊がこうした特殊な存在であることが、非核三原則や武器輸出三原則、防衛予算のGNP1%枠といった外交政策上の“資産”を生み出しました。参議院議員の猪口邦子氏が軍縮会議で日本政府代表部特命全権大使を務められたことがあります。この時、同氏は日本には「モラル・ハイブランド」にあると発言しました。これは高い道徳心を誇る言葉。日本製の武器が他国の人を殺めていないことを背景にしています。
+最近は、こうした資産が持つ力に限界も見えてきていますが、2014年の時点に議論を戻すのなら、選択肢としてそれでもまだ十分に有効だと思います。
――現行の9条が持つ管理・統制機能は十分なものでしょうか。
青井:そうとは言えないでしょう。憲法が制定された当初は想定していなかった事態に対応する中で、自衛官の安全を十分に守ることができない状況や、国際法を独自解釈するような事態が生まれています。 例えばPKO(国連平和協力)。PKO活動に参加した自衛官は、現地の勢力に拘束された場合、捕虜として扱われるかどうかは定かでありません。
――軍人であれば捕虜として扱われます。しかし、自衛官は国内法的には軍ではなく、防衛行政を執行する機関と位置づけられている(憲法73条) 。したがって自衛官は軍人とは言えないからですね。
青井:はい。それに、2014年閣議決定を受けて成立した安全保障法制は、米艦防護を可能にするに当たって、これを警察権の行使として位置づけました。
――安倍政権は自衛隊法を改め、日本を守るために活動している米国をはじめとする外国軍の武器等を防護するに際して武器の使用を認めました。
青井:そうですね。同盟国軍の部隊などの武器を守る行為は、国際法に従えば、集団的自衛権の行使と指摘されています。
▽米国一辺倒でよいのか
――北朝鮮の核・ミサイルの脅威が高まる一方です。現行の9条のままで、十分な防衛が可能でしょうか。 日本の安全保障は日米同盟が前提になっています。その米国の力が相対的に低下してきている。防衛予算も限られているし、中東での戦闘が続き厭戦気分も高まっているため、東アジアにおけるプレゼンスを低下させる懸念があります。その米国をアジアに引き留めておくため、もしくは、米国のプレゼンスの低下を日本が自力で補うため、9条を改める必要があるとの議論があります。
青井:そうした議論が出てくるのは当然です。安全保障環境の変化を認識し、それに対処するための政策を考え、必要ならば改憲する。こうした手順はもちろん必要でしょう。
+それにしても、2014年閣議決定の前に段階に立ち返り、もっと外交政策上の選択肢を増やして考えるべきではないでしょうか。政策について言えば、安倍政権の安全保障政策は対米追従に見えます。独立心の旺盛な国民の中には、これを外交敗北と見る向きもあるでしょう。
+また、中国の力が相対的に強くなっています。米国との関係を強める政策が本当に適切なのか・・・これについても考える余地があってよいのではないでしょうか。 
+改憲を考えるに当たっては、9条だけを議論しても十分ではありません。明治憲法が定めていた軍事大権(注:統帥権や開戦する権限、講和する権限など)の行方も合わせて議論することが必要です。 
――さきほど触れた憲法73条にも影響が出ますね。
青井:その通りです。ただし、ドラスチックに変更するのは得策とは思えません。安全保障をめぐる環境は刻一刻と変化しています。一方で、憲法は国の根幹を定めるものですから。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071000146/081600008/?P=1

次に、8月24日付け日経ビジネスオンライン「公明党は憲法を改正しないという立場ではない カギを握る公明党、憲法調査会長の北側一雄・衆院議員に聞く」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問、+は回答内の段落)。
・内閣改造でも支持率回復は小幅にとどまる安倍晋三首相。5月以降、強力に進めてきた憲法改正は、トーンダウンしたかのようにも見える。与党の公明党・山口那津男代表の慎重姿勢もそれに拍車をかける。公明党の本音はどこにあるのか。改憲にどう向き合うのか。同党憲法調査会長の北側一雄・衆院議員に聞いた。
――内閣支持率の大幅下落を受け、安倍首相は8月初め、改憲について「私の考えは申し上げた。あとは党に任せる」と言い出しました。改憲の動きは、スローダウンするのでしょうか。
北側:安倍政権、自公政権が一番評価されてきたのは、何より経済だと思うんですね。やっぱり経済を再生し、立て直すことをしっかりとやっていかねばならないと思うんですよね。成長と分配の好循環をつくること、これをしっかりと政権内では最優先で取り組んでいかないといけないと思いますね。 改憲については、スローダウンというようなことではないと考えています。
▽「山口代表の慎重姿勢」は拡大解釈
――公明党の山口那津男代表は東京都議会議員選挙での自民党惨敗の後、改憲について「政権が取り組む課題ではない」という考えを述べ、最近も慎重な姿勢を示されました。公明党自身が改憲には距離を置こうとしているのではありませんか。
北側:山口代表の「政権が取り組む課題うんぬん」というのは、ちょっと意味が拡大解釈されているような気がします。そもそも憲法改正というのは国会で発議するものです。制度的に。内閣が発議をするわけでも何でもない。両院の憲法審査会で論議をし、そして合意形成を図って発議するものです。その後に国民投票にかけるという流れなわけですよ。だから、そういう意味で山口さんは言っているだけです。
――そもそも内閣のやるものじゃない、という制度的なことをおっしゃったということですか。
北側:そうです。「国会で論議をすることが大事なんですよ」ということを言いたかったんじゃないですか。私はそういうふうに理解しています。 また、与党という枠組みでできるかというと、それも違いますからね、これは。国会の3分の2の賛成が必要なわけですから。だからできるだけ多くの政党間で合意形成をしていく。または、それを追求していくことが大事じゃないでしょうかね。憲法改正しなくてもいいなんていうことはあり得ないですよね、そもそも。
――では、公明党の現状の改憲についての考え方を改めてお聞かせ下さい。
北側:我々は憲法を改正してはならないという立場ではありません。必要なところは改憲すべきだという立場です。先ほどの山口さんの「政権の課題うんぬん」も、同じような趣旨のことは、都議選前から言ってきましたから。
――改憲の動きは、安倍首相が5月初めに「2020年に改憲を」と積極発言をして以後、加速しましたが、事前に公明党に相談はなかったのですか。
北側:ありません。そういうものじゃないでしょうか。事前にあっても困りますから。 自民党総裁として党内の議論を加速させようという意図だと思いますよ。実際に今、議論がされているわけだし、それを私たちは見守るという立場です。
▽9条改正、内容によっては「言わないといけない」
――安倍首相は、憲法9条の1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持、交戦権否認)を堅持した上で自衛隊を明記するとの意向です。「加憲」の立場を取ってきた公明党としては、受け入れやすいものですか。
北側:総理のおっしゃっていることは、従来の憲法解釈を変えるわけではありません。だから自衛隊の行動を改憲によって広げようという趣旨ではありません。 ただ、自衛隊を違憲だと言う人たちが、未だに一部の学者にも政党にもいます。その中で、自衛隊の人たちには大変な仕事をしていただいているわけです。だから一部の違憲論を払拭したいという意味で、自衛隊の存在を憲法上明記できないのかというのが総理のご趣旨だと思いますね。それは、私は理解できると思いますよ。
+しかし、その上で自民党内でも論議されていますが、具体的に1項、2項は維持、堅持をした上で、どう自衛隊を書き込むのか。それは、そう簡単な話ではありません。自民党で論議をされていて、いずれ案を出されると思いますけれども、私たちはそれを見守っていきたいと思っています。 内容いかんによっては、やっぱり公明党もいろいろと言わないといけないかもしれませんしね。
――安倍首相は3項を設けて自衛隊の存在を明記する考えのようです。そうするか、9条の2を新たに設けて書き込む考え方もあります。後者は、現状を維持した上で自衛隊の存在を明記することをよりはっきりするためだとも言われます。
北側:法律論ではどっちに書こうと一緒ですね。9条の2だろうが、3項であろうが。ただイメージとしては9条の2という別条文にした方が9条全体を維持しているということで国民には理解しやすいという立場があるのかもしれません。
+重要なことは中身です。9条の下で、自衛の措置がどこまで許されるのか、です。自衛の限界については、2年前の平和安全法制で、散々議論をしてきた。そこでの憲法解釈について、自民党の方も、安倍さんも含めて変えるつもりは毛頭ないと思っております。それが変わるような話なら、我々としてはなかなか了承し難いだろうと思いますね。
――安保法については、野党や有識者の一部から「存立危機事態(注)は定義や認定方法が曖昧だ」といった批判が今もあります。こうした部分について解釈の拡大につながる恐れはないのでしょうか。
注)安保法制では、存立危機事態を「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」と定義している。これに加え、「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと」と「必要最小限の実力行使にとどまること」の要件を満たす場合に、自衛隊の武力行使や防衛出動が可能になる。
北側:私は平和安全法制を作った1人なんですけれども、時がたつにつれて作っていてよかったと思っています。今、ますます日本を巡る安全保障環境は厳しくなっています。具体例を申し上げるまでもないですよね。 そういう中で日本だけで日本の安全を確保できるのかといったら、確保できないわけです。現実には。日米同盟があって、我が国の安全というのが確保されているわけです。
+平和安全法制は、コアのところはまさしく今の自衛の措置の限界の話なんですが、平時から有事に至るまでの全体の中で日米同盟、我が国防衛のための日米同盟を強化するというのが一番の眼目なわけですよ。 それが整理されることによって、コア中のコアが決まってなかったら平時だって決まらないわけですね。コア中のコアを決めることによって、例えば日米間の情報共有や連携という意味でも非常に円滑になっているんです。
▽地球環境問題は改憲の重要なテーマ
――解釈拡大はないと。 
北側:それはないでしょう。先ほども言ったように。ただ、大事なことは、我が国の平和と安全を守るということなんですよね。そこが一番大事なところなんですよ。そのためには日米の連携しか選択肢はないわけですよ。 日本がもっと軍事力を強化して(独自に)なんて、できるわけがないですよね。もちろん外交努力は最重要で、当然やるんですけれども、それだけではだめなわけで、そのためにはあの平和安全法制というのは必要だった。正しい選択だったと、後になればなるほど評価されると思っています。
――9条以外に自民党内では、「教育無償化」「災害時に国会議員の任期を延長する緊急事態条項」「参院選挙区の合区」を改憲の主要な論点としています。教育無償化は外れる可能性がありそうですが、公明党としてはどれを重要項目と考えていますか。
北側:従来、公明党内で議論していたのは、例えば地球環境問題があります。かつて憲法制定時には、そんな事態はなかったのですが、状況は一変しました。地球環境問題という深刻な問題を憲法上、どう位置付け、我が国の在り方をどうすべきかを書くことは、重要なテーマだと思いますよ。すぐに結論が出る話じゃないと思いますけどね。
+それから緊急事態における議員任期の延長問題。例えば東日本大震災では、直後に統一地方選挙がありまして、被災3県は選挙を延ばして、かつ議員任期の延長をしました。そういうことが国会議員についてできるかというと、現憲法ではできないんです。そうするとあのような特別措置は取れない。それで本当にいいのかという議論は、私はあるように思うんです。
+やはりそういう国家の危機時こそ、議会が政府を厳しく監視し、かつ場合によっては政府の役割を補完していくということもやっていかないといけないと思うんですよね。
――教育無償化はやはり財源問題が難題です。
北側:教育を無償にすることに反対する人って少ないでしょう(笑)。でも、やはり財源問題があるわけです。  教育に予算をより重点配分していかないといけないという思いは、おそらく多くの政党が持っているでしょう。でも、例えば大学でいうと今年から給付型奨学金という奨学金制度が始まります。返済不要の奨学金制度です。
+高校の授業料の無償化については、公立の方はできているんですけれども、私立の方はできてないんですね。これについては国の制度として私学に通う高校生の授業料を支援していく制度はあるんですが、まだ十分じゃないんですよ。各都道府県が独自に上乗せをしてやっている。私立高校の授業料ですね。こういうものなんかも、本当はもっと進めていかないといけない。
+さらにいうと幼児教育ですね。幼児教育というのはみんなが通過していくわけじゃないですか、保育園であれ、幼稚園であれ。この幼児教育の無償化なんかは、やっぱり優先すべき話ではないかなとかね。ただ、いずれもすべて財源の問題とぶつかるわけです。
▽参院を地域代表にするなら二院制も見直し必要
――参院の合区については、それだけの問題ではなくて、国会議員は国民の代表なのか、地域代表なのかという議論でもあります。
北側:参議院で選挙区が今、2つ合区されています。1票の価値の問題からです。参議院議員が全国民の代表である以上は1票の価値を平等に、具体的には2倍未満に収めないといけないというのが、最高裁の考え方なわけです。そういう意味で、合区をしないと格差是正につながらなかった。 
+しかし、合区をしてみると、やはりそれは解消して都道府県単位で1人は出させてほしいという声がある。趣旨は理解できるんですが、全国民の代表という地位そのものを維持しながら、1票の価値については例外にさせてくださいというのは容易ではないでしょう。そこを変えるなら参議院を地域代表にして、かつ衆参の役割、つまり二院制を抜本的に見直していかないといけない。それは大幅な憲法改正が必要になりますね。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071000146/082200009/?P=1

第三に、8月25日付け日経ビジネスオンライン「憲法改正議論、踊る永田町と沈黙する大手町 施行から70年でようやく動き出したが…」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・安倍晋三首相は、2020年までに憲法を改正する方針を打ち出した。対象となるのは第9条(戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認)にとどまらない。高等教育の無償化など広く産業界にも影響するが、積極的に発言する経営者は少ない。(日経ビジネス2017年6月19日号より転載)
・「最後は総理の腹一つだけど、我々は『高等教育の無償化』までは言っていない」 こう言って苦笑するのは、小泉進次郎衆院議員と共に「こども保険」のプランを提唱している自由民主党のある若手議員。こども保険とは、公的年金保険料を引き上げて財源を作り、未就学児の幼稚園や保育園の通園費を実質無償化しようという子育て支援案だ。 小泉議員らが今年3月に打ち上げると、党内外から幅広い注目を集めた。子育てを終えた世代にも負担を求める形になっているなど課題は多い。だが、社会保障財源になる消費税引き上げが進まない中、子育て支援を少しでも増やす可能性があるとみられたからだ。
・ところが、これが今、改憲という大きな政治の渦に巻き込まれようとしている。憲法改正の動きは、安倍晋三首相が憲法記念日に、「2020年までの改憲」との考えを表明して以後、一気に速度を上げた。安倍首相はその際、戦争の放棄などを規定する憲法9条に自衛隊の存在の明記を訴え、教育の無償化にも理解を示したことから改憲論議の真ん中に躍り出たのである。
・5月22日には自民党の教育再生実行本部が、大学などを含む教育全般の無償化財源として、こども保険を国債発行などと並ぶ選択肢とする提言を安倍首相に提出。さらに6月5日、党の憲法改正推進本部が教育の無償化を改憲論議の柱の一つにする考えを示した。
▽現行憲法のどこに課題があるのか
●改正の議論が行われている主な論点
・(教育の無償化)幼稚園と高校、大学などすべての教育を無償にする  憲法は26条で「義務教育は無償とする」と規定している。これについては日本維新の会が幼稚園や高校、大学などすべての教育の無償化を憲法改正で実現することを訴え、自民党も改憲項目の一つとして検討するとしている。だが、財源が課題。
・(9条改正)改憲派、護憲派の最大の争点。9条に自衛隊を明記する  9条は1項で「戦争と国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇と行使を放棄」を規定。2項で「戦力を不保持、交戦権は認めない」としている。安倍晋三首相はこれに自衛隊の存在を明記する第3項を加える考えを示している。改正の柱となっている。
・(参院改革)参院の権限や合区した選挙区の見直しを実施する 最終的に衆院議決が優先する予算、条約、首相指名を除き、法案は参院が否決すると衆院の3分の2以上での再可決が必要。かつて「決められない国会」と批判された。また、国会議員を国民代表でなく、地域代表と位置づけ、選挙区を見直す動きも。
・(衆院の解散権明記)首相の「専権事項」とされるが、憲法に明記はない 衆院の解散は首相の「専権事項」とされている。が、憲法には、首相の解散権は明記されておらず、「内閣の助言と承認による天皇の国事行為」としての解散を行っている。明記のない行為を首相が繰り返すことの是非を問う声もあり、議論になっている。
▽重要改正項目の教育無償化
・実を言えば、教育の無償化は日本維新の会の改憲案でもあり、憲法改正のために、維新を取り込みたい安倍首相には見過ごせない項目。自民党文教族にとっても、その立場を強める格好の材料となる。 こども保険の本来の狙いは「子育て支援の強化」だったが、憲法改正の突風で、高等教育の無償化財源へ当て込まれかねなくなっているのだ。冒頭の若手議員は「大人たち(古参議員のこと)の思惑には乗らない」と言うものの、教育無償化が与党の憲法改正案に盛り込まれる可能性は小さくない。こども保険への包囲網は強まるばかりだ。
・今年は1947年に日本国憲法が制定されて70年。その節目の年に安倍首相は、自民党結党(55年)以来の党是である憲法改正を自らの手で実現しようとアクセルを踏む。 この一連の流れを俯瞰して見ると、改憲の動きには“奇妙な”特徴も浮かぶ。その一つは、「我田引水」とも言うべき政治家の影が随所に見え隠れしていることだ。それは、高等教育の無償化だけにとどまらない。
・今回の憲法改正論議の中で主要な検討項目と考えられるのは、「9条」と「教育無償化」のほか、首相の専権事項といわれる「衆院の解散権」、強すぎるとされる「参院のあり方」や、大規模災害などに対応するための「緊急事態条項」などだ。
・このうち、衆院の解散には現在、2つの道筋がある。まず、憲法7条での内閣の助言と承認による天皇の国事行為として行われる解散。実態としては首相の判断で決められる。そして、69条では内閣不信任決議案が可決された場合に10日以内の衆院解散か総辞職を義務づけている。現行憲法下での解散は23回あり、19回が7条解散となっている。民進党はこれを「解散権が首相の恣意で使われる」と批判するが、そこには別の事情もうかがえる。
・「今年末にも解散の可能性がある」。首相官邸に近いある中堅自民党議員は声を潜めてこう明かす。内閣支持率の動向を見て改憲勢力が選挙後も衆参両院の3分の2を維持できそうなら、首相は衆院解散に打って出るかもしれないというのである。同議員は「来年にずれる可能性もある」としながら、今は解散風の方向を見定めようとしているとも話す。
・この解散権を持つ首相側は、当然ながら野党に対して強い立場にある。内閣への支持率が高い時や野党の選挙準備が整わない時期に解散を打てるからだ。民進党など野党にすれば、それが嫌だから「首相の専権」に歯止めをかけたくなるという面もある。
・実際、同党は前身の民主党時代の2005年に「憲法提言」をまとめているものの、そこに盛り込んだのは非常時に限定した首相の解散権の制限だけ。09年から3年間の政権担当時には、これを変えてはいない。「政権を持つと解散権を手放したくなるはずがない」。自民党の菅原一秀・元財務副大臣はそう皮肉る。つまり、自民党側がこれを憲法改正案に盛り込む可能性は低いということだろう。
▽首相発言に驚いた「憲法族」
・「参院のあり方」にも同様の“におい”がする。日本では参院の権限が強く、予算と条約承認、首相指名を除いて、同院が否決すると衆院で3分の2以上の多数による再可決が必要になる。07年の参院選の敗北で、第1次安倍政権は退陣に追い込まれた。衆院では与党が多数でも、参院では少数になる「ねじれ」が原因となった。
・その後の歴代政権もねじれに苦しみ、政治の停滞を招いた。それを思い起こせば「参院の権限を制限し、衆院優位の体制を作ることや、参院を有識者だけの組織にして、議決権は少なくするなど衆院とは性格を変えるといった改革も必要になる」(PHP総研の永久寿夫代表)。
・ただ、自民党内では1票の格差問題に注目する議員が多い。地方で人口減少が止まらず、16年の参院選から鳥取と島根選挙区などを合区としたが、早くもその再分離を唱える声が高まり始めている。 そのために、憲法43条で「全国民の代表」と規定される国会議員を「参議院では都道府県など地域代表にする」などと主張する。地域代表なら人口問題は回避できるという算段だ。
・「地域の声を中央に届かせるため」という考え方は理解できるが、「参院の強い権限」問題については、安倍首相は「参院の議論を待つ」と積極的には動かない構えを見せる。参院側の反発をかわすためだろう。合区解消の声の高まりと合わせてみれば、本質的な参院のあり方論より現実を優先した感が強い。現時点では、本格的な改正につながるとは考えにくい。
▽石破氏「矛盾の固定化を招く懸念がある」
・となれば、改憲案の柱になるのはやはり9条の改正だろう。9条で戦争放棄を規定する1項と戦力の不保持、交戦権の否認をうたう2項をそのまま残し、自衛隊の存在を明記する3項を入れるという安倍首相の意向は意外なほど自民党内で冷静に受け止められた。
・“疑問”を呈したのは、これを長年検討、議論してきた憲法族の一部議員だけと言っていい状態だ。例えば、憲法や防衛問題に詳しい石破茂・前地方創生担当相は「現状の1、2項の状態で3項を入れると矛盾の固定化を招く懸念がある」と主張する。 自衛隊の存在を明記する3項を加えた場合、戦力不保持を定めた2項との整合性が不透明になるというのである。自民党憲法改正推進本部長代行の船田元衆院議員も同様の懸念を漏らすが、党内ではそれ以上の広がりを見せない。
・「12年に党の憲法改正草案を策定した後に当選した若手議員が既に200人に達している。もう一度議論をやり直す必要があるのでは」(平将明・元内閣府副大臣)といった声が精いっぱいだ。 9条改正に慎重な公明党も加憲には乗りやすいとしており、改憲を唱えてきた維新の会には安倍首相は教育無償化で接近している(下の表参照)。主要項目を見る限り、党利党略を交え、安倍首相は憲法改正の実現に向けて動いている格好だ。
・憲法改正の考え方にはかなりの隔たりがある(ここはリンク先の図の方が分かり易い)
●各政党の憲法改正案・考え方  政党 憲法改正案または改正についての主な考え方  
●自民党(2012年の憲法改正草案) ❶自衛権を明記、国防軍保持 ❷首相の解散権を規定 ❸憲法改正提案要件を衆参の各過半数に緩和など
●公明党(憲法改正案はない) ❶平和・人権・民主の3原則堅持。条文を加える「加憲」を主張 ❷9条1、2項堅持。自衛隊の存在の明記などを議論の対象に
●日本維新の会(2016年憲法改正原案) ❶教育無償化 ❷統治機構改革 ❸憲法裁判所設置
●民進党(憲法改正案はない) ❶平和主義を脅かす9条改正に反対 ❷現行憲法の改正の発議の要件には合理性がある
▽「しっぺ返しでも来たら困る」
・今回の憲法改正の動きの2つ目の特徴は、産業界からほとんど声が上がらないことだろう。 安倍首相の発言を受け、日本経済団体連合会の榊原定征会長は5月8日、「経済界も憲法についてしっかりした見解を持ちたい」と述べ、年内にも独自提言をまとめる意向を示した。だが、依然として具体的な方向性などは定まっていない。
・日本商工会議所もほぼ同様。「自衛隊の存在と自衛権の明確化は国際情勢を考えれば変えるべき対象」。三村明夫会頭は5月11日の定例会見でこう述べたが、日商として憲法改正提言をまとめる気はないという。 同じく憲法問題委員会と安全保障委員会の設置を今年4月に決めた経済同友会も動きは鈍い。設置は決めたが、2カ月近くたっても議論は始まらないままだ。
・経済団体には限らない。個々の企業も、まるでタブーのように声を上げようとしないのである。そこにあるのは「憲法について下手なことを言って、政権から思わぬしっぺ返しでも来たら困る」(上場部品メーカー会長)といった本音だろう。
・そうして国民の腰が引けていくほど、政権の前のめりぶりが際立つことになる。このままなら、9条と教育の無償化だけが前に進む可能性も高い。実際には、前述の衆院解散権の明記にしても「内閣と国会という国家機関同士の関係の問題なのに憲法上の明確な規定がないままに解散権が行使されている」(井上武史・九州大学大学院准教授)など、現憲法には“不備”も少なくない。
▽9条の新3項は2項と矛盾しない」(井上武史・九州大学大学院准教授)
・安倍首相が憲法9条を正面から改正点に据えたことは評価すべきだ。9条は、条文と現実の状態が乖離しており、何がルールなのかが分かりにくくなっている。複雑な解釈を通じて、初めて自衛隊の存在を明らかにしている。 9条に3項を加えて自衛隊の存在を明記すると、戦力の不保持などを示す2項と矛盾するとの見方もあるが、それは規定の仕方次第だろう。逆に2項の削除などをすれば、むしろ現状を超えてしまうことになるはずだ。 このほか、憲法には、政治の仕組みを決める手段という意味もある。この点では、首相の解散権が明記されていない、内閣の議案提出権が書かれていないなど、現状には問題が多い。改正が必要な点は少なくないはずだ。(談)
▽米国は三権が憲法の正統性を高めた(同志社大学 特別客員教授 阿川 尚之氏)
・日本では憲法改正の発議に衆参両院の3分の2以上の賛成が必要で、この条項が厳しすぎて改憲がしにくいといわれる。しかし、この基準は世界では珍しくはない。 例えば、米国も上下両院の3分の2以上で可決して憲法改正を提案できることになっている。さらに、その改正案は50州に回され、4分の3以上の州が批准して、ようやく成立となる。 それでも米国は憲法制定以来、27項目の改正を行っている。議会が変えなければ最高裁が判決で実質的に改憲することもあるし、大統領が憲法の規定にないことを判断したケースもあった。 三権がぶつかり合い、補完し合うことで憲法を時代に合わせて変え、正統性を高めてきた。日本でも見習える点だろう。(談)
▽日本の憲法は軽量級だから改正なかった(東京大学 社会科学研究所准教授 ケネス 盛 マッケルウェイン氏)
・比較憲法論の立場から見れば、日本の憲法は“軽量級”だ。英訳すると5000字程度しかない。ドイツの憲法は約2万5000字もある。憲法に書かれていないことがあまりに多いので、法律で規定している部分が多い。問題が生じても法律を改正すれば済んでしまう。それが70年も憲法が改正されてこなかった大きな要因だ。ドイツは既に、60回も憲法を改正している。
・統治機構について記述が少ないのも特徴だ。例えば47条で「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」と書いてある。そうすると1票の格差がこれだけ開いていても、最高裁は「違憲」とは言いにくい。だからこそ国会は「○増△減」のような、つじつま合わせで乗り切ってきた。(談)

・法律などの違憲審査も、最高裁は70年の間にわずか10件しか違憲判決を出していない。「最高裁の判事は内閣の裁量で決められるという他国にない事情が影響している可能性もある」(ある憲法学者)と言われ、憲法裁判所の設置を求める専門家は多い。 制定以来、一度も改正されたことがないという世界でも珍しい日本の憲法は、実際には多くの課題を抱えている。国民が憲法を通じて国家権力を形作るという国民主権を本当に実現するために、我々はこの問題に向き合うべき時期に来ているはずだ。
▽経営者も全力で政治家にぶつかれ(清水 信次ライフコーポレーション 会長兼CEO(最高経営責任者))
・現行の憲法は確かに、米国占領軍、マッカーサー司令官の指示で、昭和天皇の戦争責任と引き替えに日本が承認した。だから生まれたときは必ずしも善とも言えないし、ましてや100点満点じゃない。だが、あの昭和20年の敗戦の状況を考えたら、必ずしも否定はできない。  その憲法が今日の日本国のいいところと悪いところを生んでいる。これをはっきりと見定めて議論しないと。今の憲法改正の議論はそこが抜けて落ちている。 9条で「戦争はやらない」と定めた。そのために「陸海空軍その他の戦力は持たない」とも書いてある。ところが実態は陸軍も海軍も空軍も、しかも世界一優秀な戦車隊がある。それからイージス艦や潜水艦だって持っている。憲法で武力の保有を禁止しているのに、現実はまったく異なる。
・これはやっぱり直さなきゃならない。安倍さんが言うように、自衛隊の存在を憲法で明確にする。家に鍵もかけないで、すっぽんぽんでどうぞいらっしゃい、とうわけにはいかない。戸締まりのために自衛隊は必要だ。ただし、海外派兵は例外規定なしに厳しく禁じる。それに「非同盟」と「永世中立」も宣言しなければならない。だから私は集団的自衛権の行使にも反対だ。
・日本の経営者は自分の会社のことばかり考えて、国全体のことについて意見を言うことはほとんどない。皆無に等しい。ただ、今の経営者にそれを求めるのは酷だね。サラリーマン化した経営者ばかりだし、自分の力でゼロからはい上がってきた人は少なくなってしまった。
・もちろん経営者だって、政治に全力で対峙しなければならないときがある。それは憲法だけの問題ではない。1987年、中曽根内閣は突然、「売上税法案」を国会に提出した。中曽根(康弘)さんとは、兄弟・親子といえる仲だったけど、私は最後まで先頭に立って戦った。信念を持って話をすれば、たとえ意見が異なっても人間関係が壊れることはない。中曽根さんとは、今でもツーカーの仲ですよ。
・昔の経営者はファイトがあったし、政治家と一緒に天下国家を大いに論じた。今ではもう考えられないが東京・赤坂の料亭で、総理や大臣連中とよく一緒に会合を持った。飲み食いというより、お互い言いたいことを言い合った。政治家と経営者が高級料亭で一席を共にすることに批判はあるのは承知している。ただ、お互いが胸襟を開いて言いたいことを言い合う場があったことも事実なんですよ。(談)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278202/082300068/?P=1

第一の記事で、青井教授が、 『「実力組織である自衛隊をどのように管理・統制すべきかを考えることが重要」』で、 『今は改憲を議論できる時ではない』と主張しているが、正論だ。 『集団的自衛権を行使できる存立危機事態について、ホルムズ海峡における機雷掃海が例に上ったものの、議論は全般的に抽象的なレベルにとどまりました。リアルな想定がないまま空議論に終始した。この結果、自衛隊も政府も国民も新たな状況に必要なマインドセットを得ることができず、そうしたゆるみが今回のリークにつながったのだと考えます』、 『一般的な軍隊は国外に展開するのを基本としています。国内にとどまって戦えば、国民に被害が生じますから。しかし、自衛隊の活動は原則として国内にとどまるよう、法制の骨格が作られている。これはある意味で“すごいこと”です』、 『改憲を考えるに当たっては、9条だけを議論しても十分ではありません。明治憲法が定めていた軍事大権(注:統帥権や開戦する権限、講和する権限など)の行方も合わせて議論することが必要』、などの指摘もその通りだ。
第二の記事で、北側一雄氏の主張は、改憲に想像以上に積極的なので、驚いた。公明党の憲法調査会長という立場ならではの部分も、あるのかも知れないが、改憲阻止に公明党は当てにならないことだけははっきりした。
第三の記事で、 『日本の憲法は軽量級だから改正なかった』、とのケネス 盛 マッケルウェイン氏の見方はなるほどと納得させられた。企業経営者の 『「憲法について下手なことを言って、政権から思わぬしっぺ返しでも来たら困る」』との反応は、さらに言えば、憲法改正のように国論が割れる問題には、消費者からの不買運動を危惧して距離を置こうとしているのではなかろうか。 『違憲審査も、最高裁は70年の間にわずか10件しか違憲判決を出していない。「最高裁の判事は内閣の裁量で決められるという他国にない事情が影響している可能性もある」(ある憲法学者)と言われ、憲法裁判所の設置を求める専門家は多い』との指摘にある「憲法裁判所の設置」には大賛成だ(政府の抵抗で潰されるだろうが・・・)。
タグ:憲法改正問題 (その5)(今は改憲を議論できる時ではない、公明党は憲法を改正しないという立場ではない、憲法改正議論、踊る永田町と沈黙する大手町) 日経ビジネスオンライン 今は改憲を議論できる時ではない 学習院大学の青井未帆教授に聞く 自衛隊の位置づけを一般の軍隊にさらに近づける改憲を議論できる時とは思えません。近時の例でいえば、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題をめぐって、自衛隊という実力組織を政府や議会が適切に管理・統制できていない実態が明らかになりました。 +このような状態で、自衛隊を一般的な軍により近づける改憲をしたりするのは適切とは言えません。集団的自衛権の限定行使を容認した2014年7月の閣議決定の前に立ち返って、防衛のあり方を考え直すのが先決 集団的自衛権を行使できる存立危機事態について、ホルムズ海峡における機雷掃海が例に上ったものの、議論は全般的に抽象的なレベルにとどまりました。リアルな想定がないまま空議論に終始した。この結果、自衛隊も政府も国民も新たな状況に必要なマインドセットを得ることができず、そうしたゆるみが今回のリークにつながったのだと考えます 自衛隊の運用の現場では、米軍の一体化がどんどん進んでいます。それにもかかわらず管理・統制のあり方は2014年閣議決定の前と変わっていないように見える。これは不幸であり危険。絶対に避けなければいけない状況です 一般的な軍隊は国外に展開するのを基本としています。国内にとどまって戦えば、国民に被害が生じますから。しかし、自衛隊の活動は原則として国内にとどまるよう、法制の骨格が作られている。これはある意味で“すごいこと”です 自衛隊がこうした特殊な存在であることが、非核三原則や武器輸出三原則、防衛予算のGNP1%枠といった外交政策上の“資産”を生み出しました 安全保障法制は、米艦防護を可能にするに当たって、これを警察権の行使として位置づけました 公明党は憲法を改正しないという立場ではない カギを握る公明党、憲法調査会長の北側一雄・衆院議員に聞く 山口那津男代表 改憲について「政権が取り組む課題ではない」という考えを述べ、最近も慎重な姿勢を示されました そもそも内閣のやるものじゃない、という制度的なことをおっしゃったということですか 必要なところは改憲すべきだという立場です。先ほどの山口さんの「政権の課題うんぬん」も、同じような趣旨のことは、都議選前から言ってきましたから。 憲法改正議論、踊る永田町と沈黙する大手町 施行から70年でようやく動き出したが…」 こども保険」のプランを提唱している自由民主党のある若手議員 自民党の教育再生実行本部が、大学などを含む教育全般の無償化財源として、こども保険を国債発行などと並ぶ選択肢とする提言を安倍首相に提出。さらに6月5日、党の憲法改正推進本部が教育の無償化を改憲論議の柱の一つにする考えを示した 日本維新の会が幼稚園や高校、大学などすべての教育の無償化を憲法改正で実現することを訴え、自民党も改憲項目の一つとして検討するとしている (参院改革)参院の権限や合区した選挙区の見直しを実施する (衆院の解散権明記)首相の「専権事項」とされるが、憲法に明記はない 教育の無償化は日本維新の会の改憲案でもあり、憲法改正のために、維新を取り込みたい安倍首相には見過ごせない項目 、衆院の解散には現在、2つの道筋がある。まず、憲法7条での内閣の助言と承認による天皇の国事行為として行われる解散 69条では内閣不信任決議案が可決された場合に10日以内の衆院解散か総辞職を義務づけている 首相発言に驚いた「憲法族」 石破氏「矛盾の固定化を招く懸念がある」 12年に党の憲法改正草案を策定した後に当選した若手議員が既に200人に達している。もう一度議論をやり直す必要があるのでは」(平将明・元内閣府副大臣)といった声が精いっぱいだ 憲法改正の考え方にはかなりの隔たりがある 産業界からほとんど声が上がらないことだろう 憲法について下手なことを言って、政権から思わぬしっぺ返しでも来たら困る 日本の憲法は軽量級だから改正なかった(東京大学 社会科学研究所准教授 ケネス 盛 マッケルウェイン氏) 日本の憲法は“軽量級”だ。英訳すると5000字程度しかない。ドイツの憲法は約2万5000字もある。憲法に書かれていないことがあまりに多いので、法律で規定している部分が多い。問題が生じても法律を改正すれば済んでしまう。それが70年も憲法が改正されてこなかった大きな要因だ。ドイツは既に、60回も憲法を改正 統治機構について記述が少ないのも特徴 違憲審査も、最高裁は70年の間にわずか10件しか違憲判決を出していない 憲法裁判所の設置を求める専門家は多い
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