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東芝不正会計問題(その33)(半導体事業売却についての闇株新聞の最新の見方2本) [企業経営]

東芝不正会計問題については、8月17日に取上げた。売却先決定がまたも先送りされたことを踏まえた今日は、(その33)(半導体事業売却についての闇株新聞の最新の見方2本) である。

先ずは、8月31日付け闇株新聞「いよいよ半導体事業を売却してしまう東芝(追加記事あり)」を紹介しよう。
・東芝の半導体事業売却については、どうも都合の良いところだけが報道されているようですが、それでも話がまとまりかけていることは事実のようです。 その最新の報道では東芝の半導体事業会社の買収資金として、1兆円前後を出資の形でKKR、産業革新機構、政策投資銀行が主に引き受け、日本勢が議決権ベースの過半数を確保するとなっています。
・またWDは1500億円を拠出するものの、当初は議決権のない転換社債や優先株の引き受けで「調整中」のようで、何と東芝自身も1~2000億円を出資して影響力を残すそうです。 そして7000億円を主力銀行が融資し、総額を2兆円とするようですが、これだけだと「何が何だか」わかりません。そこで少しだけ推測を入れて、この「からくり」を解説します。
・まず東芝は2017年3月末で5529億円の債務超過となっており、これを2018年3月末までに解消しなければ上場廃止となります。ここでは上場廃止を避けるためだけに(パニックとなっている銀行団を鎮めるためだけにも)半導体事業を売却してしまうことの是非は論じないことにします。
・東芝が子会社化した半導体事業の帳簿価格は7000億円であるため、今期の期間損益をゼロとすれば、単純に7000億円を5529億円上回る価格で売却すればいいはずです。しかし8月25日付け「まだまだ波乱がありそうな東芝の半導体事業売却」で懸念した通り、東芝には税務上相殺できる累積赤字がないため、仮に2兆円で売却して1兆3000億円の売却益が出ても5000億円ほどの税金がかかり、自己資本は8000億円増えるだけのようです。
・ここで支払った5000億円の税金は、仮に今期中にウェスティングハウスの法的整理が完了して日本の税務当局が税務上も損失と認めれば相殺できて還付されるような気がしますが、実際問題としては難しく「支払いっぱなし」となってしまうはずです。 だから最初から「2兆円ありき」となっているわけですが、そうするとその2兆円は半導体事業会社の株式購入代金(つまり出資金)として払い込まれなければなりません。
・今回も(たぶん)KKRが主導して買収のための特別目的会社を設立するはずですが、そこから払い込まれる株式購入代金は(本誌の推測を入れて)KKRが4000億円、産業革新機構と政策投資銀行が3000億円ずつ、WDが(優先株であればですが)1500億円、それに東芝が(いったん全株売却してその価格で再取得するしかありませんが)1500億円としても、最大1兆3000億円にしかなりません。
・主力銀行が融資する(といっても半導体事業の売却代金で回収した分を折り返すだけですが)7000億円は、特別目的会社に貸し付けられるため、その7000億円も「誰かの出資分」として合計2兆円を株式購入代金(つまり出資金)として払い込まなければならないはずです。
・何度も書いていることですが、買収が完了するとこの特別目的会社は被買収会社(つまり東芝の半導体事業会社)と合併させるため、半導体事業会社はこれから人件費も設備投資もケチり、自らを買収するために使われた7000億円もの負債を最優先に返済しなければなりません。
・それでは半導体事業を買収するために払い込んだ(出資した)2兆円は(というより近い将来に新規上場した時にもっと増えているはずの株式価値は)、いったい「誰のもの」となるのでしょう?
・先ほど考えた通り、実際の出資のために払い込まれる資金は最大1兆3000億円なので、「誰かが」7000億円の出資分を(実際は近い将来にもっと増えるはずの7000億円分の株式価値を)タダで貰ってしまうことになります。
・「それは出資者全員で案分するのだろう?」 その可能性も1%くらいはありますが、KKRの正体は世界最大のLBOファンドであり、このLはLeverage(レバレッジ)のLです。つまりLBOファンドとは、そもそも自分の出資分をはるかに上回る(レバレッジがかかった)株式価値を確保しないと出資しません。つまりKKRだけが「ぼろ儲け」する構造になっていると考えておくべきです。
・だから日米韓連合にも同じ(格はだいぶ落ちますが)LBOファンドのベインキャピタルが食いついており、今回もWDを抱き込んでもっと「えげつない」KKRが出動してきたわけです。そのKKRが産業革新機構や政策投資銀行と同じ利益率を求めてわざわざ出動するはずがありません。 「日本勢が議決権の過半数を持つのでは?」それはあくまでも当初の議決権だけの話で、KKRも当初は優先株を取り混ぜて議決権を抑えるはずですが、売却時には普通株に転換してしまいます。
・たぶんKKRは、1500億円を出資する(当初は優先株の)WDにもこの「ぼろ儲け」を配分するはずですが、当初の議決権の過半数確保だけでメンツが守られたと喜んでいる日本勢には配分されるはずがありません。
・この辺を頭に入れて今後の報道を読んでください。 繰り返しですが産業革新機構と政策投資銀行がこの予定している3000億円ずつで、東芝本体の第三者割当増資を引き受ければ、半導体事業など売却しなくても債務超過は解消されます。また2017年4~6月期の半導体事業は903億円の営業利益が上がっており、これはこの期間の東芝全体の営業利益の93%に相当しています。
・でも残念ながら東芝の半導体事業売却は、もう止まらないようです。
・(以下、追加記事です) この状態でも東芝は、8月30日になってWDに独占交渉権を与えて9月中に契約締結を目指すことを8月31日の取締役会に諮ると報道されています。銀行団が最もパニックになっているようで(東芝の経営陣はすでに当事者意識を失っています)、どうも銀行団サイドから東芝の背中を押すためのリーク記事のようです。
・主力行はすでに半導体事業会社の株式も担保で確保しているはずなので、下位行だけが騒いでいるのかもしれませんが、それで本日の記事にあるような方法でも「何が何でも」売却してしまおうとしていることになります
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2076.html

次に、 9月1日付け闇株新聞「もう一度だけ繰り返す東芝の半導体事業売却」を紹介しよう。
・最近は東芝の記事が多いので、本日は(北朝鮮とか)別の話題にしようと思っていましたが、やはり状況を見ているとどうしても強調しておきたいところが多いため、もう一度だけ東芝です。 このままだと最悪のシナリオ(後述します)となる恐れもあるからですが、半導体事業売却についてはこれで最後とします。これ以上繰り返しても無駄のような気がするからです。
・まず昨日付け「いよいよ半導体事業を売却してしまう(追加記事あり)」を書いた直後、日米韓連合にアップルも参加するというニュースが飛び込んできました。というのもその時点ではKKR・WD連合に独占交渉権が与えられる寸前であり、そうなると日米韓連合の目は完全に消えるため、連合を取りまとめるベインキャピタルが「とにかく必死に食い止めた」だけです。
・確かにかなり以前にはアップルの名前も出ていましたが、現時点で実際に「アップルが何と言っているのか」は誰にもわかりません。 しかしアップルの名前を聞いた瞬間に東芝の現経営陣が舞い上がり、本日(8月31日)の取締役会で予定していたKKR・WD陣営への独占交渉権付与を見送り、3陣営(KKR・WD連合、日米韓連合、鴻海グループのようです)との交渉を継続するとなりました。 とりあえずベインキャピタルの「乾坤一擲」が効いたわけですが、それでも売却を差し止めているWDを抱え込んでいるKKRの優位は動かないはずです。
・それにしても産業革新機構と政策投資銀行はKKR・WDと日米韓の両連合に首を突っ込んでいるわけですが、各陣営には守秘義務が課せられているはずで「どうするのだろう?」と思ってしまいます。まあそれだけ「都合のよい財布」なので大事にされるのでしょうね。
・ベインキャピタルがそこまで必死になるのは(KKRも同じですが)、何度も書いたようにLBOファンドだけが「とんでもなく儲かるスキームになっている」からです。また決して表には出てきませんが、東芝を含む各陣営には複数のアドバイザーがついており(ほとんど外資系です)、数百億円規模の報酬を「山分け」するはずです。 この報酬は、買い手となる特別目的会社に7000億円を融資する邦銀主力行も「たっぷりと」分け前にあずかります。銀行団が半導体事業の売却を強硬に進める理由には、売却代金で融資を回収する以外、(主力行だけですが)この「たっぷりの」報酬もあるはずです。
・しかし実際問題として、仮に9月中にどこかの陣営と正式に売却契約が締結できたとしても、すでに債務超過を解消しなければならない2018年3月末まで半年しかなく、その間に日本だけでなく世界各国との独占禁止法による審査をクリアしなければなりません。 これくらいの大型案件ともなると6か月で(とくに中国政府の)審査がクリアできることは「すでにほとんど奇跡」となっているはずです。
・しかし(どこかの陣営と)締結してしまった売買契約は取り消せないため(仮に取り消し条項が盛り込まれていたとしても数千億円規模の違約金となります)半導体事業をそのまま手放すことになり、さらに(昨日付け記事に書いたように)5000億円規模の税金を支払い、2018年3月末までに売却が完了せず(独禁法の審査をクリアできず)、東芝は上場廃止となる恐れがあります。
・これが冒頭に書いた「最悪のシナリオ」です。 東芝は2016年3月期に東芝メディカルをキャノンに売却した時、実際に独占禁止法の審査が終了していなかったにもかかわらず強引に売却益を計上しています。この時は計上しなければ上場廃止という瀬戸際ではありませんでしたが(それでも待ったなしとなっていたウェスティングハウスの一部減損ができました)、今回も東証による「お目こぼし」があるかどうかはさすがに微妙です。
・つまり何が何でも半導体事業を売却しようとしている東芝の現経営陣も銀行団も、すでに債務超過回避(上場廃止回避)が間に合わない可能性を十分に認識しているはずですが、それでも強引に売却しようとしているわけです。
・これも書くのは最後としますが、産業革新機構と政策投資銀行が(KKRでもベインキャピタルでも)LBOファンドやアドバイザーや邦銀主力行に大儲けさせるためだけに提供する合計6000億円で東芝の第三者割当増資を引き受ければ、それで少なくとも上場廃止だけは回避できます。 半導体事業を確保しておけば、2018年3月末時点の債務超過は4100億円程度となるようです。確かに東芝に入る現金は少なくなり、銀行の融資が十分に回収できなくなりますが、銀行も慈善事業で東芝に貸し付けたわけではないためリスクはあるものと理解すべきです。それがいやならDES(貸付債権の株式化)もあるはずです。
・繰り返しですが、東芝の半導体事業売却についてはこれで最後とします。これ以上書いても無駄のような気がするからです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2077.html

第一の記事では、 『「誰かが」7000億円の出資分を(実際は近い将来にもっと増えるはずの7000億円分の株式価値を)タダで貰ってしまうことになります・・・KKRだけが「ぼろ儲け」する構造になっていると考えておくべきです』、 『「日本勢が議決権の過半数を持つのでは?」それはあくまでも当初の議決権だけの話で、KKRも当初は優先株を取り混ぜて議決権を抑えるはずですが、売却時には普通株に転換してしまいます』、 『繰り返しですが産業革新機構と政策投資銀行がこの予定している3000億円ずつで、東芝本体の第三者割当増資を引き受ければ、半導体事業など売却しなくても債務超過は解消されます』、などといった解明は闇株新聞ならではの深さで、さすがである。
第二の記事で、 『産業革新機構と政策投資銀行はKKR・WDと日米韓の両連合に首を突っ込んでいるわけですが、各陣営には守秘義務が課せられているはずで「どうするのだろう?」と思ってしまいます。まあそれだけ「都合のよい財布」なので大事にされるのでしょうね』、とは両者に対する最大限の嫌味だ。 『「最悪のシナリオ」です。・・・何でも半導体事業を売却しようとしている東芝の現経営陣も銀行団も、すでに債務超過回避(上場廃止回避)が間に合わない可能性を十分に認識しているはずですが、それでも強引に売却しようとしているわけです』、というのは情けない限りだ。上場廃止を受け入れ、無理な売却は止める路線の戻ることは出来ないのだろうか? その場合、東芝の債務者区分を要注意先から破綻懸念先に引下げざるを得なくなるメインバンクが抵抗するのがネックなのかも知れない。
明日は、監査法人との関係、WDと独禁法の問題を取上げるつもりである。
タグ:東芝 最悪のシナリオ 闇株新聞 不正会計問題 (その33)(半導体事業売却についての闇株新聞の最新の見方2本) いよいよ半導体事業を売却してしまう東芝(追加記事あり) 1兆円前後を出資の形でKKR、産業革新機構、政策投資銀行が主に引き受け 本勢が議決権ベースの過半数を確保 7000億円を主力銀行が融資 WDは1500億円を拠出 総額を2兆円 5529億円の債務超過 東芝には税務上相殺できる累積赤字がないため、仮に2兆円で売却して1兆3000億円の売却益が出ても5000億円ほどの税金がかかり 自己資本は8000億円増えるだけ KKRが主導して買収のための特別目的会社を設立 株式購入代金は(本誌の推測を入れて)KKRが4000億円、産業革新機構と政策投資銀行が3000億円ずつ、WDが(優先株であればですが)1500億円 それに東芝が(いったん全株売却してその価格で再取得するしかありませんが)1500億円としても、最大1兆3000億円にしかなりません 主力銀行が融資する(といっても半導体事業の売却代金で回収した分を折り返すだけですが)7000億円は、特別目的会社に貸し付けられるため、その7000億円も「誰かの出資分」として合計2兆円を株式購入代金(つまり出資金)として払い込まなければならないはずです 7000億円もの負債を最優先に返済しなければなりません 出資した)2兆円は(というより近い将来に新規上場した時にもっと増えているはずの株式価値は)、いったい「誰のもの」となるのでしょう? KKRだけが「ぼろ儲け」する構造になっていると考えておくべきです 日本勢が議決権の過半数を持つのでは?」それはあくまでも当初の議決権だけの話で、KKRも当初は優先株を取り混ぜて議決権を抑えるはずですが、売却時には普通株に転換してしまいます 産業革新機構と政策投資銀行がこの予定している3000億円ずつで、東芝本体の第三者割当増資を引き受ければ、半導体事業など売却しなくても債務超過は解消されます 銀行団が最もパニックになっているようで(東芝の経営陣はすでに当事者意識を失っています もう一度だけ繰り返す東芝の半導体事業売却 アップルも参加するというニュース ベインキャピタルが「とにかく必死に食い止めた」だけです 産業革新機構と政策投資銀行はKKR・WDと日米韓の両連合に首を突っ込んでいるわけですが、各陣営には守秘義務が課せられているはずで「どうするのだろう?」と思ってしまいます。まあそれだけ「都合のよい財布」なので大事にされるのでしょうね 銀行団が半導体事業の売却を強硬に進める理由には、売却代金で融資を回収する以外、(主力行だけですが)この「たっぷりの」報酬もあるはずです 2018年3月末まで半年しかなく、その間に日本だけでなく世界各国との独占禁止法による審査をクリアしなければなりません これくらいの大型案件ともなると6か月で(とくに中国政府の)審査がクリアできることは「すでにほとんど奇跡」となっているはずです (どこかの陣営と)締結してしまった売買契約は取り消せないため(仮に取り消し条項が盛り込まれていたとしても数千億円規模の違約金となります)半導体事業をそのまま手放すことになり、さらに(昨日付け記事に書いたように)5000億円規模の税金を支払い、2018年3月末までに売却が完了せず(独禁法の審査をクリアできず)、東芝は上場廃止となる恐れがあります 産業革新機構と政策投資銀行が 合計6000億円で東芝の第三者割当増資を引き受ければ、それで少なくとも上場廃止だけは回避できます
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