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電気自動車(EV)(その1)(ガソリン・ディーゼル車全廃が欧州で急に宣言された真の事情、急加速のEVシフトに潜む5つの課題、日本の自動車メーカーはEV化「出遅れ組」と見なされている) [科学技術]

今日は、電気自動車(EV)(その1)(ガソリン・ディーゼル車全廃が欧州で急に宣言された真の事情、急加速のEVシフトに潜む5つの課題、日本の自動車メーカーはEV化「出遅れ組」と見なされている) を取上げよう。

先ずは、8月9日付けダイヤモンド・オンライン「ガソリン・ディーゼル車全廃が欧州で急に宣言された真の事情」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・イギリスやフランスが2040年までにガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのクルマの販売を終了させるプランを発表するなど、欧州各国で内燃機関に代わるクルマの電動化を推進しようとしている。なぜ、最近になって欧州各国でガソリン車やディーゼル車の全廃宣言が相次いでいるのか、本当に2040年までに全廃できるのか。その背景や理由を検証してみた。(ジャーナリスト 井元康一郎)
▽欧州で相次ぐEV化の話題
・欧州がいきなりクルマの電動化に前がかりになっていることが今、大変な話題となっている。マクロン政権下のフランスの二コラ・ユロ環境大臣が2040年にガソリンエンジン、ディーゼルエンジンを搭載したクルマの販売を終了させるというプランを7月6日に発表し、世界を驚かせた。それに呼応するかのように同月、イギリス政府もまったく同様のコミットメントを打ち出した。
・人口の少ない国ではもっとラディカルなプランもある。例えば、ノルウェーは内燃機関全廃ではないが、2025年までに販売車両のすべてを純EVもしくは充電可能なPHEV(プラグインハイブリッドカー)にするとし、オランダもそれに似た政策を推進している。
・政府ばかりではない。民間でもスウェーデンのボルボが傘下のスポーツカーファクトリーであるポールスターをEV(電気自動車)専門ブランドにすると宣言した。ドイツのスポーツカーメーカー、ポルシェは2023年までに販売車両の半分をEVにするという「ミッションE」計画を発表。それ以降もEV化の話題が欧州から毎日のように伝わってくる。
・事実、EU圏でのPHEVを含むEVの販売は伸びている。今年上半期のEV、PHEVの販売台数は13万3000台。前年同期の9万8000台から、35%も伸びたことになる。新車販売台数の総数は850万台であったことを考えると、比率は微々たるものではあるが、普及初期の段階に差しかかっているのは確かだろう。  ただし、これらのセールスは他の市場におけるEV、PHEVの販売と同様、手厚い補助金の支給、高額な新車登録費用の免除、公営駐車場を無料で使えるなどの各種恩典あってのもので、実際のEVのセールスパワーはそれよりもずっと低いのが実情だ。果たして、本当にEVへのパラダイムシフトを急激に推し進めることができるのだろうか。また、なぜ急にそういうムーブメントが先鋭化したのか。
▽EV推進の背景には蓄電池の性能・コストへの期待感
・まず、2040年にガソリン、ディーゼル車の販売を禁止し、電動車両一本でパーソナルモビリティや物流をまかなえるようになるかどうかだが、これはきわめて困難ではあるが、本気でやれば技術、インフラ整備の両面でやってやれないことはないというところだ。
・今日、欧州のEV推進論者たちが「EVで行ける」と主張する背景にあるのは、EVの足かせとなっている蓄電池が技術革新によって性能、コストの両面で改善されることへの期待感だ。すでに日本、韓国、アメリカ、ドイツ、フランスなど電気化学を得意としている国を中心に、現行の液体電解質リチウムイオン電池の数倍の性能と高い安全性を両立させた固体電解質リチウム電池の試作品が続々と登場している。
・そのコストも、マッキンゼーとブルームバーグ新エネルギーファイナンスは2030年に1kWhあたり100ドルに下落するという予測を発表している。その先さらにバッテリー技術が進化し、十分な航続距離を持つEVが補助金なしでも今日のエンジン車に対してコストメリットが出るようになれば、消費者は自ずとEVを選ぶようになるだろう。
・クルマ以上に課題が大きいのはインフラ側。現状では日米欧、また中国でもそうなのだが、自宅外の急速充電器の運用はどこも大赤字だ。機器の性能が低く、価格が高いこともあるが、それ以上に、エンドユーザーに数十kWhという大電力量を短時間でデリバリーするように社会ができていないのだ。インフラ整備といえば急速充電器の設置がまず語られるが、それより重要なのは、急速充電器を設置する際に巨額の工事費をかけないでも済むような電力供給の方法を考案し、社会のインフラを整備し直すことだ。これには巨額の費用がかかるが、道路を造るようなものだと考えれば不可能な投資ではないだろう。
・もちろん短時間で大電力量を充電可能な充電器や、それを受け入れる側のクルマ側の技術革新も必要だ。今日、800V充電をはじめ急速充電に関する新技術の提案がなされているが、実際にEVが多数派になったあかつきには、そんなものでは到底追いつかない。1000アンペアクラスという、電車を走らせるような電流を自在に使いこなせる技術が必要だ。2040年にはまだ23年ある。いい方法を考える頭の良い人も出てくるだろう。
・ただ、人口が少なく、再生可能エネルギー比率の高い小国はともかく、フランスやイギリスが打ち出したエンジン車全廃計画は、そういう技術展望を踏まえた合理的な判断だけで出されたものではない、という指摘も少なからず出てきている。
▽急進的なEV推進策は トランプ大統領のパリ協定離脱への牽制!?
・日本に駐在した経験を持つフランス文部省のある上級幹部は、急進的なEV推進策が出てきたのは、今の国際政治情勢と深く関わっているという見方を示す。 「まずはトランプ大統領がCO2規制の枠組みである『パリ協定』からの離脱を宣言したこと。世界最大排出国のアメリカに抜けられては、世界の環境政策を主導するのは欧州という地位が崩れてしまいますし、低迷しているCO2排出権相場に悪影響が出かねません。大気汚染防止が理由なら、排出ガス処理の技術革新の将来性を無視した話ではありますが、ディーゼル車を段階的に排除すればいいだけ。 ガソリン車まで2040年に全廃すると宣言した動機は、化石エネルギー依存からの脱却というのが世界の流れなんですよというメッセージを発することでしょう。不確実な未来の夢を語る時によく使われるのは2050年なんですが、よりアグレッシブに響かせたいということで2040年にしたのでしょう」
・資源・エネルギー問題を取材するフランス人ジャーナリストは、欧州内の情勢も政策に影響を及ぼしている可能性が高いと言う。 「欧州は今、EU離脱を決めたイギリスを含め、現実主義と理想主義の両極端に分断されている状態です。リーマンショック以降はとくにEU統合、多文化共生主義のリベラル派が勢力を伸ばしてきましたが、テロや移民問題で彼らの旗色が急に悪くなった。求心力を回復させる材料が欲しい彼らにとって、環境は格好の材料に映ったのでしょう。フランスもマクロン大統領が右寄りのルペン候補に勝利したものの、支持基盤は非常に弱い。そこで急進的環境活動家で左派に人気があり、環境派のパリ市長、アンヌ・イダルゴ氏との折り合いも良いユロ氏を環境大臣に登用した。
・今回のエンジン車廃止プランは、マクロン大統領というよりは、一時は大統領の座を夢見たこともあるユロ氏にとっての目玉政策という側面が強いと思います。イギリスのメイ首相も人気がなく、歴史的な経緯から大気汚染に敏感な国民に受けのよさそうな政策ということで追随した可能性が高い」 2040年にガソリン車、ディーゼル車を廃止するという目標は前述のようにラディカルなもので、その背後には少なからず政治的な思惑も横たわっているのだが、EV化が絵に描いた餅に終わるとは限らない。
▽電動化に一番合理的で冷静なのは日本の自動車メーカー
・前述のように、電気駆動関連の技術革新のスピードは速い。コスト吸収力の高い高級車の世界では、ユーザーが高性能化には電気駆動の導入が最適という認識を持てばメーカー側はたちどころにそれに対応するであろう。また、大衆車でもエンジン車とトータルコストが完全に逆転するところまで行けば、長距離ドライブを伴うバカンスに不向きだという、ライフスタイル上のネガティブ要素を乗り越えてEVに飛びつく層が増えるだろう。
・だが、今回の政治的発言のようにエンジン車が今世紀後半を待たずして欧州から消えることになるかどうかとなると、また話が違ってくる。欧州の大手自動車メーカー幹部は言う。 「電動化について一番合理的で冷静なのは、日本の自動車メーカーだと私は思っています。『電気が一番素晴らしいんだ』とヒステリックに叫ぶのではなく、エンジン車を含め、全部の技術についていいところと悪いところをきちんと見て、何をどう良くできるのかを考えながら少しずつ変わろうとしている。技術もちゃんと蓄積している。あくまでこれは私個人の考えなのですが、EVは間違いなく増えていくものの、自動車用の内燃機関は2040年になってもなくせないと思う。
・もちろん、環境や資源のことは考えなければいけないのですが、許される範囲内であればクルマの使い方は顧客の自由。できるだけ安いクルマで済ませたい人もいるでしょうし、遠くまでバカンスに出かけたい人もいるでしょう。そういう人間の気持ちを無視した地球至上主義は、少し感情的なのではないかと思います」  欧州からいきなり火の手が上がった空前の“EVムーブメント”とエンジン車終結宣言。それが本物になるのか、アドバルーンに終わるのかは、技術革新と顧客の心次第と言えそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/138011

第二に、本田技研からサムスンSDI常務を経て名古屋大学客員教授/エスペック上席顧問の佐藤 登氏が9月14日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「急加速のEVシフトに潜む5つの課題 日欧米韓中の鍔迫り合いとビジネスリスク」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・9月6日、日産自動車は7年ぶりに全面改良した電気自動車(EV)「リーフ」を発表した。実際の国内販売は10月2日からとのこと。新規開発したリチウムイオン電池(LIB)は、従来の30kWhから40kWhに容量アップしたことで航続距離はJC08燃費モード表示で400kmに達したと言う。急速充電するとLIB容量の80%まで充電が可能。LIBの保証は8年または16万kmとしている。
・一方、EVブームをつくったとも言える立役者のひとつ、米テスラも従来の高級EV「モデルS」に加え、価格を3万5千ドルに抑えた普及型「モデル3」の販売を7月末に開始した。富裕層のみだけではなく、一般顧客を取り込む戦略に出たことで受注は50万台に達したと言われている。
・また、米国ゼロエミッション自動車(ZEV)規制、中国新エネルギー自動車(NEV)規制を受けて、日米欧韓中の自動車各社がEVシフトを鮮明に打ち出している。中でも、2015年にディーゼル自動車の燃費不正事件を起こした独フォルクスワーゲン(VW)は、グループ全体で25年までに30種以上のEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を発売することを既に明言した。世界販売の20~25%に相当する200万~300万台規模と言うから、極めて大規模かつチャレンジングな目標である。これはVWのみにとどまらず、独ダイムラーや独BMWも同様な目標を掲げている。
・そのような折、9月12日の日本経済新聞夕刊に、VWが2030年までにEVに200億ユーロ(約2兆6千億円)を投資するとの記事が掲載された。同時に、25年までに30車種としていた上記の計画を、EVで50車種以上、PHVが30車種以上の計80車種以上に上方修正した。車載用電池に対しては2兆6千億円とは別に、約6兆5千億円分を調達するとも報道されている。
・9月12日に開幕した「フランクフルト国際自動車ショー」での主役は電動車、中でもEVのオンパレードと各メディアが報じている。EVに対して腰の重かったホンダも、量産型EV「アーバンEVコンセプト」を世界初公開し、このモデルをベースにしたEVを19年に欧州で発売すると言う。
・米国ZEV規制はカリフォルニア州に端を発しているものだが、他にマサチューセッツ州、ニューヨーク州、コネチカット州、メイン州、ニュージャージー州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州、メリーランド州が追随している。18年から強化されるZEV規制は、トヨタとホンダが主導してきたハイブリッド車(HV)が対象から外れることで、EVやPHVの開発に拍車がかかる。
・同様に、中国NEV規制もZEV規制の基本的な考えを踏襲し、EVやPHVを主体に規制をかける内容である。中国政策はHVを除外した理由を公言している。それは、「内燃機関エンジンでは、いかに立ち向かっても日本には勝てない。EVならばエンジンは不要、部品点数も少なく、参入障壁が低い」という消去法的選択でEVを重点化している。PHVはエンジンを搭載するのでHVと同様に難度が高いが、EV走行ができることでNEV規制枠に取り込んでいる。しかし、中国ローカル自動車メーカーでPHVを販売しているのはBYDのみで、他はすべてEVに集中している。
・これも9月12日の日経新聞の一面に紹介されたが、英仏が宣言した2040年までのガソリン車・ディーゼル車の販売禁止政策に追随し、中国もガソリン車・ディーゼル車の製造・販売禁止に関する導入時期の検討に入ったとのこと。
・このように、グローバルにEV化が急速に進んでいる。こんな中、業界が抱える課題も徐々に明らかになってきたる。以下、5つの観点からまとめる。
▽①EVを購入する顧客層はどれだけいるか?
・上記のように自動車各社が2025年まで拡大させようとしているEVであるが、NEV規制はともかく、ZEV規制では販売された台数で初めて自動車各社の実績としてカウントされることになる。このためEVを生産しても販売までに至らなければ意味をなさない。それを決定するのは自動車各社ではなく、消費者側である。  1998年、ZEV規制(日米各ビッグ3が対象で、98年に販売台数の2%をEV化することを求めた)をクリアするために、97年にはトヨタもホンダも400台規模のEVをカリフォルニア州に供給した。しかし、市場の反応は冷めていた。当時の両社が搭載したニッケル水素電池容量は27kWhで、モード走行は215km、充電時間は約8時間。リース販売としたのだが、航続距離の短さ、家庭への充電器の導入と長い充電時間、電池価格と車両価格の高さ(当時は搭載電池が1台分約500万円、車両価格はまともに販売すると約2500万円、そのためリース対応を実施)などがネックとなり、EVはその後、カリフォルニア市場から姿を消した。
・それから20年経過した現在、モード走行が400kmにも及ぶEVが出現している。しかし、夏冬場のエアコンの使用前提で市街地走行した場合には、モード燃費よりは明らかに低下するため、実際での走行はおおよそ300km前後となろう。とすれば、EVの中では高性能商品に入るであろうが、従来のガソリン車やHVに比べれば、まだまだハンディを背負った自動車である。
・急速充電のインフラは徐々に整備されつつあるとしても、充電器の導入と充電時間は20年前と同様な状況だ。LIB価格や他のコンポーネントのコスト低減が進み、車両価格という視点では相当な進化が実現された。車両価格は300万~400万円程度、電池も20年前の約20万円/kWhから2万円/kWh程度まで、すなわち10分の1までのコスト低減が実現されている。今後も、LIBのコストは更に1.5万円/kWhを標榜しつつ、30%程度のコストダウンが期待されている。
・このように20年間の進化は大きいとしても、ガソリン車やHVに比べてはまだ劣勢のEVであることに変わりはない。全世界の自動車各社が、そして新興の中国新規参入組も入って商品を市場に供給することになるが、そこに消費者がどれだけの価値を見出し、そして購買意欲を示すかが大きな関心事項となる。
・言い換えれば、世界のEV消費者層のパイは暫くの間は限られていると考えるべきであろう。世界各国の自動車各社がEVを市場に供給する今後を考えれば、選ばれるEVはどのようなものか?そしてどのEVが消費者から支持されるのか? EVシフトの裏にはこのような過激な競争が待ち構える。それはテスラも例外ではなく、今後は同社の真価が問われることにもなるだろう。
▽②中古車市場で見劣りするEV
・ガソリン燃料より安く走行できるEVの電気代ランニングコストは、消費者にとっては魅力の1つである。しかし一方では、同一年式、同一車両価格帯のガソリン車やHVに比べれば、中古車市場でのEVは大きな下落を強いられているという面も見過ごせない。年数が経過したEVの価値が低ければ、それだけ新製品に寄せる想いは高まらない。
・ガソリン車やHVの中でも中古車市場価格が高めに維持される商品は、新車市場でも人気車に位置付けられている。筆者自身も、自動車購入に当たっての1つの条件としており、中古車市場での価格は重要な指標と位置付けている。同様な考えをもつ消費者は少なくないはずだ。 実際に購入して使用した消費者の意見は最も大きな影響を及ぼす1つであろうが、電池の劣化と共に進む航続距離の低下に対する消費者の不満は、これまでの最多のものではなかっただろうか。それだけに、電池劣化を制御する素材や電池マネジメントは今後も大きな課題である。
・ともかく自動車各社は新車EVの新規開発と同様に、いかに中古車市場でも力を持つ魅力あるEVの製品開発を考えるべき段階に突入したのではないだろうか。今後、各社のブランドでEVが市場に出回ることで、中古車市場で相対的に優位な価格を提示できるEVこそが選ばれるEVと言う指標になるはずだ。
▽③電池メーカー、部材メーカーの投資チャンスとリスク
・ここは上記①と関連する部分であり、選ばれるEVと連結される電池メーカー、そしてそこにつながる部材メーカーにとってビジネスチャンスになるだろう。一方、選ばれないEVにつながる電池メーカーや部材メーカーにとっては、ビジネスリスクと化すことも考慮すべきであろう。  2009年に発売された三菱自動車のEV「i-MiEV」、そして10年に市販された日産の「リーフ」が市場供給される前段階で、そこに連結する電池メーカーや部材メーカーは大きな投資に打って出た。
・と言うのも、自動車各社のEV販売目標が高かったことで、それをそのまま受けて投資に踏み切ったからだ。例えば、11年に日産自動車が掲げた16年度までの目標は、仏ルノーとの累計販売で150万台と設定された。ところが実際の累計販売は目標の30%程度の42万台にとどまった。目標比で30%という実績は目標自体の設定根拠に誤りがあったか、あるいは非常に過度な期待があったからに他ならない。このような高すぎる目標に対峙するために、電池メーカーや部材メーカーも大きな投資を決断した。しかし、市場と言う蓋を開けてみたら、EVの存在感は非常に小さく、結果として過剰投資をしてしまった過去の事例は記憶に新しい。
・現在、自動車各社は電池メーカーへの投資促進、電池各社は部材メーカーへの投資促進を働きかけている。電池メーカーでは韓国のサムスンSDIとLG化学が中国の西安市と南京市に、いち早く車載用LIB生産工場を建設したものの、中国政府のホワイトリスト(バッテリー模範基準)に登録されないまま当てが外れ、中国でのビジネスに苦慮している。
・その両社は、新たに欧州に拠点を構えることで、欧州自動車メーカーを中心にした顧客開拓を進める。LG化学はポーランドにLIB工場を建設し、今後も増産体制を構築すべく拡大する。サムスンSDIはハンガリーに約400億円規模の投資でLIB工場を建設し、顧客開拓を進める。
・また、韓国で3番目の地位を築こうとするSKイノベーションも潤沢な資金を背景に欧州拠点を構えようとしている。同社のLIB生産キャパは1.1GWhであったが、18年下半期には3.9GWhまで拡大する計画と言う。韓国の瑞山工場を中心にグローバル拠点の設立を着々と進めようとしている。さらには、中国のCATLも同様に欧州拠点の構築に積極的である。
・LIB事業も、現時点では日韓中の競争のまっただ中にあり、投資競争と顧客開拓で熾烈な展開が繰り広げられている。電池各社、部材各社も広い視野と高い視点から自社の事業戦略を描かないと、大きな過ちを犯すリスクにもつながる。
▽④安全性・信頼性に関する徹底した取り組みの必要性
・さて、EVやPHVに関する安全性についてはまだ解決されていないのが実態である。すべての製品に共通した問題ではないが、EVではいまだに火災事故が発生している。
・三菱自動車の「i-MiEV」と日産自動車の「リーフ」は、火災事故に関しては1件も報道されていない。リーフは市販から7年になり、累積販売は30万台になろうとしている。走行距離では35億kmを超えたとされる。安全性に関しては誇れる根拠であろう。
・一方、テスラの「モデルS」は2013年に米国市場で立て続けに5台の火災事故が起こり、大きく報道された。16年には、フランスでの試乗会での火災事故、他にもノルウェーや中国等でも少なからずの火災事故を起こしていると聞く。
・中国もLIBを搭載したタクシーや乗用車、EVバスで、2010年以降から火災が多発し、現在も大きな課題となっている。それが背景にあり、安全性・信頼性に高いエコカーを実現するためのエコカーライセンスの発行、およびLIBの安全性を担保するためのホワイトリストの政策実施により、危険なLIBを排除しようとする中国政府筋の計らいが見られる。
・車載用電池ではドイツが主導してきた国連規則、ECE R-100.02 Part2が2016年7月に発効した。電池パックまでに及ぶ9項目の評価試験が課せられる認証制度が導入された。試験項目には電池パックの圧壊試験、外部短絡試験、耐火試験などの相当危険な試験法が導入されている。 筆者が在籍するエスペックでは、2013年に宇都宮事業所に「バッテリー受託試験センター」を開設した。そして国連規則導入計画を勘案し、いち早く15年9月には同事業所に「バッテリー安全認証センター」も開設した。
・上の左の写真は認証センター内の電池圧壊試験室とその装置であるが、開設を祝う開所式の時の写真であり、未使用状態を示したものである。以降、ちょうど2年が経過したが、国内外から多くの電池が持ち込まれる中、試験室内は試験に供されたLIBの爆発や火災等で発生した煤により、常時清掃しているものの、現在は右写真のように相当黒ずんでいる。
・もっとも、そういう過激な結果事象を想定した堅牢な建屋と試験装置設計を具現化した当センターは、国内外からも非常に注目され高い評価を受けており、国内はもとより海外からの委託試験ニーズも日に日に高まっている。
・認証試験を義務教育と例えれば、自動車メーカー個社単位で構築している独自試験項目や限界試験項目は高等教育に値する。筆者がサムスンSDIに在籍していた際には、日米欧韓の自動車各社を訪問し、安全性・信頼性に対する考え方、評価試験法、そして判定基準について多くの議論を交わしてきた。高等教育領域での内容、すなわち各社の独自試験や限界試験、そして判定基準は、他国に比べて日本勢が圧倒的に厳しい評価試験と判定基準を構築している。だからこそ、HV、PHV、EV、そして燃料電池車(FCV)のいずれにおいても火災事故を起こしていないと言う実績につながっているのであろう。
・ここに紹介した後方支援としてのエスペックの役割は、第三者的な客観性をもって安全性確保の担保につなげることはもちろんのこと、認証試験以外でも各社の高度な独自試験に柔軟に対応してLIBに対する不安感を一掃していくこと、自動車業界と電池業界の発展に寄与することにほかならない。 まだ完全に担保されていない海外勢のLIBについても、エスペックはオープンスタンスでのビジネスを提供している。高度な対応が可能な当社のセンターを国内外関連企業が最大限活用いただくことで、EV等のエコカーの火災事故を市場からなくしていくことを可能にする重要な機能となっている。
・拡大するEVシフトの中で火災事故が多発していくような状況が生じれば、全世界でのEV事業にブレーキがかかり急降下する。その結果、各業界への甚大な影響を招くことになる。それだけに、現時点から着実な評価試験を通じた安全性確保のための開発が重要な意味をもつことになり、後方支援の担う役割は一層拡大する。
▽⑤中国市場でのビジネスのリスク
・中国政策が国策優先として進めているNEV規制におけるエコカーライセンス制度では、ようやく外資系合弁企業のVW-JACがライセンスを取得するに至った。独中のトップ外交が功を奏した結果と受け止めるが、トヨタ、ホンダ、日産、および韓・現代自動車はライセンス未取得のままである。
・現代自動車に至っては、エコカーどころか既存事業にも大きな影響が出ている。中国市場での自動車販売では、2017年1月から8月までの前年同期比で45%減になったとのこと。また、合弁を組んでいる北京自動車との関係も悪化の一途をたどり、一説では合弁解消のような状況も今後あり得るとのこと。エコカーライセンス取得には程遠く、中国市場でのビジネスチャンスは遠のくばかりのようである。勘案すれば、終末高高度防衛ミサイル(THAAD:Terminal High Altitude Area Defense Missile)を設置した韓国に対する産業分野での報復と見る向きが大きい。
・日本勢の自動車各社も、エコカーライセンスは未取得であるが、ここは時間の問題と映る。日系大手自動車各社は個々のロビー活動を推し進め、一方では来年からのNEV規制に適合するEVやPHVを中国市場に供給する戦略に打って出た。逆に、中国市場が日本勢を排除するようなことになるなら、中国のエコカー技術開発にブレーキがかかることになり、中国の産業界にとっては大きなマイナスになるだろう。
▽まとめ
・今後、世界市場に出現することになる数多くのEVであるが、消費者の需要が同時に比例して拡大するとは思えない。すなわち市場に出てくる各社のEV群が、まんべんなく売れるとは思えないのである。選ばれるEVのみが勝ち組となっていく一方で、選ばれないEV製品も出現するだろう。
・そのためにも自動車各社、電池各社、および部材各社の世界戦略は、今後の各社の命運を決める。一方で、どちらに主流が動こうとも、後方支援のような普遍的ビジネスにはかなりの追い風である。 しかし部材業界も試験機器業界も、中国のような価格重視の市場においては、そこに適合する部材や評価装置などを持ち合わせないと市場開拓にはつながらない。その理由は、価格の安い中国ローカル製品に対して、自動車業界や電池業界は特段の不満はなく適用したり使用したりしている実態があるからだ。
・従来の先進諸国を対象主体に開発してきた製品だけでは立ち行かなくなる状況に陥る。新興国をも攻略できる事業戦略が、日本企業に改めて問われているのではないだろうか。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/246040/091200057/?P=1

第三に、元大手銀行のマーケット・エコノミストで法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が9月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本の自動車メーカーはEV化「出遅れ組」と見なされている」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ここへ来て急速な勢いで、電気自動車(EV)に注目が集まっている。その背景には、欧州の主要国や中国が、一斉にガソリンエンジン車の禁止、電気自動車への転換を発表していることがある。 その動きは、今後、さらに大きな“大波”になることが考えられる。自動車業界はすそ野の広い産業分野であり、これから主要国の関連分野が“大波”にいかに対応していくかが注目される。仮にこの“大波”に乗り遅れると、世界の自動車市場から取り残されることも懸念される。
・9月12日、“フランクフルトモーターショー2017”のプレスデーが始まった。ディーゼルエンジンのデータ不正で世界を震撼させたフォルクスワーゲンは、グループ全体でのEV戦略を示した。EV化の動きには、自動車業界の勢力図を根本から覆すほどのマグニチュードがある。まさに“大波”と呼ぶべき構造変化が進もうとしている。
・フランクフルトを訪れたある自動車メーカーの知人は、「今後の競争が電気自動車を軸に進むことがはっきりした」と危機感をあらわにしていた。EV化の波は先進国だけではなく新興国にも押し寄せている。そのスピードはかなり速い。競争に与えるインパクトも計り知れない。新興国メーカーが、先進国メーカーの座を奪う可能性を評価する投資家も増えている。
▽EV化という自動車業界を襲う厳しい構造変化
・世界的な自動車のEV化の動きは、ディーゼルエンジン不信の震源地となった欧州からスタートした。 もともと、欧州各国はガソリン車が排出する温室効果ガスの削減を狙い、ディーゼル車の普及に力を入れてきた。しかし、2015年に独フォルクスワーゲンが、ディーゼルエンジンの排ガスデータを不正に改ざんしていたことが発覚した。 フォルクスワーゲン以外の不正疑惑も続き、世界中にディーゼルエンジン不信が広がった。この結果、一時はガソリン車よりもクリーンともてはやされたディーゼルエンジン離れが加速し、窒素酸化物(NOx)による健康被害への懸念も増幅された。
・この事態を受けた欧州各国の対応はかなり迅速だった。各国政府は、すぐに新しい技術を政府主導で導入しようと計画をまとめ始めた。昨年9月末、ドイツの連邦参議院は2030年までに内燃機関(ガソリン、ディーゼルを燃料とするエンジン)を搭載した新車の販売禁止を求める決議を採択した。本年7月には仏英の両政府が2040年までに内燃機関を搭載した新車の販売を禁止する方針を示した。
・このように、欧州では政府主導で自動車の脱化石燃料化の動きが加速している。とりあえずは各国が、ハイブリッド車など環境負担の少ない自動車にかかる税率を引き下げるなどして、環境に配慮した車種への乗り換えを促していくだろう。しかし、長い目で見た本命は電気自動車であることは間違いない。
・今後、電気自動車の充電スタンドなどインフラを整備することで、社会全体でEV化の動きがスピードアップしていくことが予想される。言い換えれば、政府がトップダウンで社会全体のイノベーションを進め、新しい需要を生み出そうとしている。こうした取り組みは、将来の潜在成長率にも影響するだろう。 環境問題に頭を悩ます中国も、脱化石燃料を重視している。電気自動車の開発競争がし烈化することは間違いない。自動車業界全体が、EV化という大きな潮流という構造変化を迎えようとしている。
▽世界的にし烈化を極める電気自動車の開発競争
・構造変化に対応するためには、いち早く新しい技術を開発し、その実用化を進めてシェアを獲得することが必須だ。その時、これまでの発想に固執してしまうと、初動動作が遅れてしまう。 1990年代以降、わが国の電機メーカーは完成品を自社内で生産し、それを輸出して稼ぐビジネスモデルを刷新することができなかった。そうした教訓をもとに、今後の競争戦略を練るべきだ。一言でいえば、これまでの成功体験を捨て、虚心坦懐にゼロから新しい技術・モノを生み出す姿勢が求められる。
・特に、日本の自動車メーカーは、幸か不幸か、ハイブリッドという優秀な技術を持っている。わが国のハイブリッド技術は、ドイツのメーカーにとって大きな脅威だったはずだ。それがディーゼルエンジンのデータ不正問題の一因となった可能性もある。
・EV化の動きが進み、近い将来に脱内燃機関の社会が実現するかを考えると、それは口で言うほど容易なことではないだろう。まだ紆余曲折があるはずだ。ただ、フォルクスワーゲン問題を受けて、ドイツはディーゼルエンジンとの決別を余儀なくされた。ある意味、EV化の流れはドイツメーカーが過去の負の記憶を払しょくし、生まれ変わりを目指すための“渡りに船”かもしれない。
・また、ガソリン車の生産実績が乏しい新興国のメーカーにとっても、EV化の動きは世界の市場に打って出るチャンスになるかもしれない。これは、ベンチャー企業にも当てはまる。それは、自動車業界の勢力図を大きく塗り替えることになる可能性がある。
・特に、中国は国を挙げてEV分野の強化に力を入れている。中国政府はガソリン車などの販売停止に向けた工程表を作成し始め、今後は比亜迪(BYD)などを支援することが見込まれる。 この動きが加速すると、中国企業の動向が世界の自動車業界での競争を左右する展開も考えられる。これは、中国との関係を強化してきたドイツのメーカーにとって追い風となるだろう。
・わが国の自動車メーカーがこうした状況に対応するためには、技術開発を急ぐだけでなく、中国の政府・メーカーとの関係を強化するなど、これまでの経営戦略の見直しと方針転換が必要だろう。
▽EVシフトを織り込み始めた株式市場
・世界的な内燃機関からEVへのシフトの動きを見越して、株式市場でも変化が表れている。国内では、トヨタ自動車をはじめガソリン車を生産してきたメーカーの株価は、足元でやや不安定化している。一方、パナソニックやGSユアサなどバッテリー関連の製品・部材を供給する企業の株価は上昇基調にある。
・9月12日には、アップルが“iPhone X”などの新型スマートフォンを発表したが、株価は期待されたほど堅調ではなかった。一方、同日、プレスデーが開かれたフランクフルトモーターショーで今後の戦略を示した、フォルクスワーゲンをはじめダイムラー、ルノーなどの欧州自動車メーカーの株価は堅調だ。それに加え、中国ではBYDの株価が上昇している。米国のテスラの株価はハイテク株を凌駕する上昇率を遂げてきた。
・明らかに、自動車業界における構造変化をマーケットは認識し始めている。これまで世界のトップシェアを占めてきた企業が、中長期的にその座を維持し続けるとは限らない。競争が激化する中でシェアを維持するためには、他社に先駆けてEVの開発を進めるだけでなく、ネットワーク技術の普及を見越した自動運転技術の導入など、従来にはなかったコンセプトを実用化しなければならない。
・こうした取り組みを進めるためには、国=政府の関与も欠かせない。社会全体でEV化を進めるためのコンセプトをまとめ、規制の緩和、EV自動車の普及を加速させるためのインフラ投資を、欧州各国以上のスピードで進めなければならない。
・すでに、世界のファンドマネージャーらの間では、EV化競争の先頭を走る企業、出遅れた企業の選別が進んでいる。株価を見る限り、わが国の自動車メーカーは出遅れ組と見なされているようだ。従来の発想を続けている以上、テスラや新興国メーカーの台頭に対抗することは難しいかもしれない。 かつてハイブリッドシステムで世界を席巻したように、EVでも世界の先頭を走る取り組みを進められるか否かが、中長期的な企業の競争力を左右するだろう。
http://diamond.jp/articles/-/142349

第一の記事で、 『急進的なEV推進策は トランプ大統領のパリ協定離脱への牽制』、とのフランス文部省の上級幹部の見方は、トランプ大統領に対するフランス側の怒りについては理解できるとしても、「穿ち過ぎ」との感を受けた。 『欧州からいきなり火の手が上がった空前の“EVムーブメント”とエンジン車終結宣言。それが本物になるのか、アドバルーンに終わるのかは、技術革新と顧客の心次第と言えそうだ』、というのはその通りだろう。
第二の記事で、 『米国ZEV規制はカリフォルニア州に端を発しているものだが、他にマサチューセッツ州、ニューヨーク州、・・・が追随している。18年から強化されるZEV規制は、トヨタとホンダが主導してきたハイブリッド車(HV)が対象から外れることで、EVやPHVの開発に拍車がかかる』、環境規制は州の権限が強いので、トランプ大統領といえども手出しできないのだろうか。 『従来の先進諸国を対象主体に開発してきた製品だけでは立ち行かなくなる状況に陥る。新興国をも攻略できる事業戦略が、日本企業に改めて問われているのではないだろうか』、というのは正論だ。
第三の記事で、 『欧州では政府主導で自動車の脱化石燃料化の動きが加速している。とりあえずは各国が、ハイブリッド車など環境負担の少ない自動車にかかる税率を引き下げるなどして、環境に配慮した車種への乗り換えを促していくだろう』、との指摘は、欧州はハイブリッド車など無視していると思っていた私にとっては、違和感がある。日本車を大きく利するようなことはしないのではなかろうか。 『これまでの成功体験を捨て、虚心坦懐にゼロから新しい技術・モノを生み出す姿勢が求められる』、と正しく指摘しながら、 『日本の自動車メーカーは、幸か不幸か、ハイブリッドという優秀な技術を持っている。わが国のハイブリッド技術は、ドイツのメーカーにとって大きな脅威だったはずだ』、とハイブリッドの栄光を捨て切れてないようだ。ただ、 『株価を見る限り、わが国の自動車メーカーは出遅れ組と見なされているようだ。従来の発想を続けている以上、テスラや新興国メーカーの台頭に対抗することは難しいかもしれない』との指摘はその通りだ。
タグ:電気自動車 EV (その1)(ガソリン・ディーゼル車全廃が欧州で急に宣言された真の事情、急加速のEVシフトに潜む5つの課題、日本の自動車メーカーはEV化「出遅れ組」と見なされている) ダイヤモンド・オンライン ガソリン・ディーゼル車全廃が欧州で急に宣言された真の事情 ・イギリスやフランスが2040年までにガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのクルマの販売を終了させるプランを発表 欧州がいきなりクルマの電動化に前がかりになっている ノルウェーは内燃機関全廃ではないが、2025年までに販売車両のすべてを純EVもしくは充電可能なPHEV(プラグインハイブリッドカー)にするとし、オランダもそれに似た政策を推進 EU圏でのPHEVを含むEVの販売は伸びている 、手厚い補助金の支給、高額な新車登録費用の免除、公営駐車場を無料で使えるなどの各種恩典あってのもので 実際のEVのセールスパワーはそれよりもずっと低いのが実情 EV推進の背景には蓄電池の性能・コストへの期待感 、自宅外の急速充電器の運用はどこも大赤字だ エンドユーザーに数十kWhという大電力量を短時間でデリバリーするように社会ができていないのだ 短時間で大電力量を充電可能な充電器や、それを受け入れる側のクルマ側の技術革新も必要 急進的なEV推進策は トランプ大統領のパリ協定離脱への牽制!? リーマンショック以降はとくにEU統合、多文化共生主義のリベラル派が勢力を伸ばしてきましたが、テロや移民問題で彼らの旗色が急に悪くなった 求心力を回復させる材料が欲しい彼らにとって、環境は格好の材料に映ったのでしょう 電動化に一番合理的で冷静なのは日本の自動車メーカー 欧州からいきなり火の手が上がった空前の“EVムーブメント”とエンジン車終結宣言。それが本物になるのか、アドバルーンに終わるのかは、技術革新と顧客の心次第と言えそうだ 佐藤 登 日経ビジネスオンライン 急加速のEVシフトに潜む5つの課題 日欧米韓中の鍔迫り合いとビジネスリスク 米テスラ 価格を3万5千ドルに抑えた普及型「モデル3」の販売を7月末に開始した 一般顧客を取り込む戦略に出たことで受注は50万台に達した 米国ゼロエミッション自動車(ZEV)規 中国新エネルギー自動車(NEV)規制 フランクフルト国際自動車ショー EVのオンパレード 米国ZEV規制 18年から強化されるZEV規制は、トヨタとホンダが主導してきたハイブリッド車(HV)が対象から外れることで、EVやPHVの開発に拍車がかかる 中国NEV規制もZEV規制の基本的な考えを踏襲し、EVやPHVを主体に規制をかける内容 業界が抱える課題 EVを購入する顧客層はどれだけいるか? 中古車市場で見劣りするEV 電池メーカー、部材メーカーの投資チャンスとリスク 安全性・信頼性に関する徹底した取り組みの必要性 EVではいまだに火災事故が発生 テスラの「モデルS」は2013年に米国市場で立て続けに5台の火災事故 中国市場でのビジネスのリスク 真壁昭夫 日本の自動車メーカーはEV化「出遅れ組」と見なされている 今後の競争が電気自動車を軸に進むことがはっきりした EV化という自動車業界を襲う厳しい構造変化 欧州では政府主導で自動車の脱化石燃料化の動きが加速 とりあえずは各国が、ハイブリッド車など環境負担の少ない自動車にかかる税率を引き下げるなどして、環境に配慮した車種への乗り換えを促していくだろう。しかし、長い目で見た本命は電気自動車であることは間違いない これまでの成功体験を捨て、虚心坦懐にゼロから新しい技術・モノを生み出す姿勢が求められる 日本の自動車メーカーは、幸か不幸か、ハイブリッドという優秀な技術を持っている 中国政府はガソリン車などの販売停止に向けた工程表を作成し始め、今後は比亜迪(BYD)などを支援することが見込まれる EVシフトを織り込み始めた株式市場 トヨタ自動車をはじめガソリン車を生産してきたメーカーの株価は、足元でやや不安定化 株価を見る限り、わが国の自動車メーカーは出遅れ組と見なされているようだ。従来の発想を続けている以上、テスラや新興国メーカーの台頭に対抗することは難しいかもしれない
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