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日本の政治情勢(その13)(誰が首相になっても総選挙後に必ず起こる「2つの重大な出来事」、真の「保守」「リベラル」の観点から見直す衆院選の争点) [国内政治]

投票日が明後日に近づいたので、昨日に続いて、日本の政治情勢(その13)(誰が首相になっても総選挙後に必ず起こる「2つの重大な出来事」、真の「保守」「リベラル」の観点から見直す衆院選の争点) を取上げよう。

先ずは、博報堂を経て書籍情報社代表の矢部 宏治氏が10月8日付け現代ビジネスに寄稿した「誰が首相になっても、総選挙後に必ず起こる「2つの重大な出来事」 『知ってはいけない』著者の警告」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・<自民・公明><希望・維新><立憲民主・共産・社民>という、「3極」の構図で争うことになったと報道される今度の総選挙。しかしどのような経緯をたどるにせよ、選挙後に私たちの目の前に姿を表すのは、<自民・公明・希望・維新>による巨大な保守連合体制である可能性が極めて高い。その結果、どんな事態が想定されるのか。
・「これから日本は非常に厳しい時代に入っていくが、たったひとつのことだけ守っていれば、充分に逆転のチャンスはある」――こう指摘するのは、ベストセラー『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の著者・矢部宏治氏である。「戦後日本」最大の曲がり角に直面したいま、私たちが考えておくべきこととは。
▽あまりにも奇怪だった「前原民進党・解党事件」
・最近、本のPRをかねて、ラジオやネット番組にいくつか出演した。すると各番組のディレクターたちが、みな口をそろえて同じことを聞いてくるのである。 「矢部さん、いまいったい何が起きてるんですか? まったくわけがわからないんですが」
・もちろん、前原誠司代表が9月28日に起こした「民進党・解党事件」のことである。長い日本の戦後政治においても、これほど奇怪な事件はあまり見つからないだろう。なにしろ、豊富な資金と全国組織をもつ野党第一党の党首が、事実上独断で、 ① 目前に迫った衆議院選挙での、自党の候補者の公認をすべて取り消し、 ② できたばかりの小規模政党(希望の党)の党首(小池百合子氏)に、その候補者たちを自由に「選別」する権利を与え、 ③ 事実上、党を消滅させてしまったにもかかわらず、自分は100億円以上の政党助成金の分配権を握ったまま、代表の座にとどまり続ける ということを突然決めてしまったのだから。
・この出来事を、たとえば国外のメディアや知人に向けて合理的に説明できる人が、はたしてどれほどいるだろうか。
▽「野田民主党・自爆解散事件」との共通点
・けれども実を言えば、私自身はあまり驚かなかった。なぜならいまから5年前、民進党の前身である民主党のなかで、同じくらい奇怪な事件が起こったことをよく記憶していたからだ。それは2012年11月に、当時の野田佳彦首相が起こした「民主党・自爆解散事件」である。もう昔のことなので、忘れている人も多いと思うが、これは簡単に言えば、 ① 当時、政権公約と真逆の政策(消費税増税)を「命をかけてやりとげる」と公言していた野田首相が、 ② 自党の選挙準備がまったく整わない状況のなか※、野党の党首(安倍晋三・自民党総裁)との国会討論中突然解散に合意し、わずか2日後(11月16日)には本当に衆議院を解散して、230議席から57議席へという壊滅的な敗北を喫してしまった ③ そして政権を失ったにもかかわらず、野田氏はその後、政界から引退も離党もせず、そのまま党の実力者でありつづけた という、きわめて不可解な事件である。
・そしてこの事件は、 + 突然決まった衆議院選挙の混乱のなかで、 + 最高責任者が意図的に党を壊滅させるような行動をしたにもかかわらず、 + その後、議員辞職もせずに党内にとどまり、実力者としての地位を維持しつづけた という点において、前述の「前原民進党・解党事件」と完全な相似形をなしている。
※註 この自爆解散事件の直前には、鳩山由紀夫元首相や、すでに離党していた小沢一郎元幹事長に対して、「いまは絶対に解散しない」という野田首相からのメッセージが民主党の主要幹部を介して伝えられていた。だからこそ、あの「ヤラセの党首討論」(=そこで突然解散が決まったというフィクション)が必要だったわけである。
▽2つの奇怪な事件は、なぜ起きたのか
・ではこの2つの奇怪な事件は、いったいなぜ起きたのか。その理由については、私などよりもはるかにわかりやすく、しかも簡潔に説明している人物が存在する。元航空自衛隊のトップ(幕僚長)であり、対中国強硬派、核武装論者としても知られる右派の論客、田母神俊雄氏である。
・彼は「前原民進党・解党事件」が起こった直後、自分のツイッターでこう述べている。 「希望の党ができて民進党は解散になる。小池さんも前原さんも、日本の左翼つぶしに是非とも頑張ってほしい。右と左の二大政党では、国がつねに不安定だ。保守の二大政党制になってこそ、安定した政治になる。〔現在の〕日本のおかれた状況で、憲法改正に反対しているような政治家には、国民生活を任せることはできない」(2017年10月1日、下線筆者)
・実にわかりやすい「解説」ではないか。つまり、安全保障の問題から左派(リベラル派)の影響力を完全に排除する――。それこそが今回の「前原民進党・解党事件」と、5年前の「野田民主党・自爆解散事件」のウラ側にあった本当の目的であり、グランド・デザインだったというわけだ。実際、この2度の自爆選挙によって、かつて旧民主党政権に結集したいわゆるリベラル派勢力は、ほとんど消滅寸前まで追い込まれてしまった。
▽「最悪の愚作」
・そうした異常な行動を生みだした背景については、理解できないこともない。私が『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』で指摘したように、安保条約や地位協定にもとづく戦後の日米間の法的な関係は、独立の直前(1950年6月)に起こった朝鮮戦争のなかで生まれた「米軍への絶対従属体制」、いわゆる「朝鮮戦争レジーム」であり、そのなかで日本政府は米軍からの要求に対して、基本的に拒否する権利をもたないというつらい現実があるからだ。
・けれども、そうした米軍支配の構造のなかで、反対勢力を非民主主義的な手段で壊滅させるのは、これ以上ないほど愚かな行為である。なぜなら日本の戦後政治には、ながらく、 ① 自民党・右派 (安保賛成・改憲) ② 自民党・リベラル派(保守本流) (安保賛成・護憲)  ③ 社会党他の革新政党 (安保反対・護憲) という3つのグループが、それぞれ約3分の1ずつの議席をもつという構造のなかで、①と②が安保体制を維持しながらも、あまりにひどい要求に対しては、②と③があうんの呼吸で連携して、それを拒否するという政治的な知恵が存在したからである。
・けれどもいま、この②と③の勢力の多くが、一度民主党(民進党)に集められたのち、野田・前原の2度の自爆選挙によって壊滅しようとしている。その結果、訪れるのは、「朝鮮戦争レジーム」の最終形態である「100パーセントの軍事従属体制」に他ならない。
・枝野幸男氏が新たに立ち上げた立憲民主党をはじめ、選挙を戦うリベラル系の候補のみなさんに対しては心からのエールを送りたいと思うが、今回どのような選挙結果が出たとしても、選挙後に姿を表すのは、巨大な「自民・公明・希望・維新」による保守連合体制であり、その最終的な目的は、軍事問題についての「野党の消滅」または「大政翼賛体制の成立」なのである。
▽選挙後に必ず起こる2つのこと
・では、具体的に、これから何が起こるのか。選挙後に誕生する巨大な保守連合の、新たな目標として設定されているのは、まちがいなく、 ① 全自衛隊基地の米軍使用 ② 核兵器の陸上配備 の2つである。いずれも以前からアメリカの軍産複合体のシンクタンクで、集団的自衛権とともに日本の課題とされてきたテーマだからだ。
・今回の選挙結果がどうであれ、日本の首相に選ばれた人物には、この2つの課題を早急に実現せよという強烈な圧力がかかることになる。そのときわれわれ一般人は、いったいどう考え、行動していけばいいのか。その手がかりとなる情報を、以下、簡単にスケッチしておきたい。
・「自衛隊基地の米軍使用」については、多くの人が知らないだけで、すでに進行中の現実である。たとえば下の図のように、現在、富士山の北側と東側には広大な自衛隊基地(富士演習場)が存在する。ところが現実には、これらはすべて事実上の米軍基地なのである。
・というのも、この広大な自衛隊基地は、当初は米軍基地だったものが、1950年代から60年代にかけて日本に返還されたことになっているのだが、なんとそのウラ側では、日米合同委員会での密約によって、米軍が「年間270日間の優先使用」をする権利が合意されているのである。年間270日、つまり1年の4分の3は優先使用できるのだから、これはどう考えても事実上の米軍基地なのだ。
▽普天間は一度日本へ返還後、また米軍基地になる?
・なぜアメリカの軍産複合体がこうした「自衛隊基地の米軍使用」を、今後すべての基地に対して拡大しようとしているかと言えば、その理由は簡単だ。 ① 「自衛隊基地」という隠れ蓑によって、基地の運用経費をすべて日本側に負担させることができる。 ②「米軍基地」への反対運動を消滅させることができる。 ③ 今後海外での戦争で自衛隊を指揮するための、合同軍事演習を常時行なうことができる。
・米軍側にとって、いいことづくめなのである。 この「自衛隊基地の米軍使用」計画について考えるたび、私は非常に不吉な予感におそわれる。なぜなら現在、日本への返還が正式に決定していながら、そこで勤務する米軍の上級将校たちが、「いや、オレたちはここから出ていく予定はない」といっている、不思議な米軍基地がひとつあるからだ。
・沖縄の普天間基地である。 これからやってくる「大政翼賛体制」のもとで、一度日本に返還された米軍・普天間基地が、民間利用ではなく自衛隊基地となり、さらには現在の地位協定と密約の組み合わせによって、事実上の米軍基地となる可能性は非常に高いと私は思う。 もし本当にそんな事態が起きたとき、われわれ本土の人間が沖縄と一緒になって、「そこまでバカにするのか!」と、真剣に怒ることができるのか。そうした事態についても、あらかじめ想定して準備しておく必要があるのである。
▽「核兵器の本質」とは?
・そしてここからが、もっとも重要な問題だ。戦後日本の「国体」ともいえる「朝鮮戦争レジーム」は、いま最終局面を迎えている。このまま半永久的に続いてしまうのか。それとも解消へと向かうのか。実はこれまで、絶対に揺るがないように見えていたその体制が、終わりを告げる可能性が出てきているのだ。
・そのことについて説明する前に、読者のみなさんには、ひとつだけおぼえておいてほしいことがある。それは「核兵器の本質」が、「置いた国と置いた国のあいだで撃ち合いの関係になる」ということだ。そして一発でも撃ち合えばその被害があまりにも大きいため、両者の間には「恐怖の均衡」が成立する。
・アメリカとロシア・中国の間には、すでにこの「恐怖の均衡」が成立しており、両者が直接戦争する可能性が消滅して久しい。そしてさらにいま、少し前まで誰も予想しなかったことだが、北朝鮮とアメリカの間にも、この「恐怖の均衡」が成立(※)しつつあるのである。
※註 北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の急速な発展の背後には、ロシアからの技術流出(または技術協力)の存在が確実視されており、現在でも精度はともかくとして、距離的にはアメリカ本土に届く可能性が高いと考えられている。
▽バノンが明かしたアメリカ政府の本音
・米軍にすっかり支配された日本の言論空間のなかでは、決して語られることのない多くの事実がある。「朝鮮戦争レジーム」の根幹である北朝鮮問題については、とくにその傾向が強い。だからわれわれ日本人の常識は、世界の常識とまったく違ってしまっているのだ。
・その証拠に、たとえば今年の8月、トランプ政権の本音をバラしすぎて解任された、トランプ大統領の側近中の側近、スティーブン・バノン首席戦略官の問題の発言を見てみよう(いずれも2017年8月16日のニュースサイト「アメリカン・プロスペクト」より)。 「北朝鮮問題に軍事的解決などない。まったくない。開戦30分でソウルの市民1000万人が通常兵器で死亡するという問題を、少しでも解決しないかぎり、(軍事的解決など)意味不明だ」 
・これはアメリカの本音というよりも、世界の常識だと言えるだろう。1994年の第一次核危機で、「韓国側に50万人の死者が出る」という予測が出たために、北朝鮮への軍事攻撃を思いとどまったアメリカが、どうしていま、本格的な核の撃ち合いなど容認することができるだろう。トランプも、もちろん本当はそのことをよくわかっている。
・メルケル首相やプーチン大統領が「北朝鮮問題に軍事的解決などない」とくり返し警告しているのは、トランプや金正恩に対してというよりも、むしろ自分たちが一番危険であるにもかかわらず、なぜか声高に強攻策を主張しつづける、理解不能な日本の首相へのメッセージなのである。
・「中国が北朝鮮の核開発を凍結させ、きちんとした査察を受けさせるなら、米軍を朝鮮半島から撤退させるという交渉もありえる。もっとも、かなり先の話になるだろうが」 バノンのこの発言も、多くの日本人にとっては非常に意外かもしれない。米軍が日本や韓国から撤退することなど、絶対にありえないとほとんどの人が考えているからだ。
・しかし国際的な常識からいえば、このバノンの発言は、ごく当然の話なのである。朝鮮戦争(※)を北朝鮮とともに戦った中国軍は、すでに1968年には朝鮮半島から完全に撤退している。休戦から64年もたつのだから、米軍も撤退するのが本来は当たり前なのである。
※註 このときの米軍は、国連安保理で「国連軍旗の使用」などを認められていたため「朝鮮国連軍」とよばれることもあるが、軍の指揮権は完全に米軍司令官がもっており、国連はいっさいそれに関与できなかったため、その実態が米軍であることは明らかである。
▽日本の未来を切り開くために
・こうして生まれた新しい状況のなかで、私たち日本人が今後注意しておくべきことは、たったひとつしかない。それは総選挙後に始まる安全保障の議論のなかで、「核兵器の地上への配備だけは絶対に認めてはならない」ということである。
・これから米軍、とくに日本と韓国に軍をおく米太平洋軍は、日韓両国に核兵器を地上配備させようと猛烈なプレッシャーをかけてくるだろう。もしもその圧力や巧妙な説得に負けて、日本と韓国が何百発、何千発もの核兵器を地上配備してしまえば、北朝鮮の攻撃対象は当然、日本と韓国へと向く。その結果、北朝鮮とアメリカの間の「恐怖の均衡」は崩れ、アメリカ本土は安全を回復する。結果として韓国からの米軍撤退の可能性も消え、日本における「朝鮮戦争レジーム」も永遠に続くことになるわけだ。
・誰だって、自分が核攻撃の標的になどにはなりたくない。しかも日本は世界で唯一の被爆国なのだ。核兵器の地上配備など、認めるわけがないだろう。多くの人がそう思うかもしれない。 しかしそこには大きな落とし穴が隠されているのだ。というのも今後、核兵器の地上への配備がおおやけに議論されるようになったとき、それがいくら公平な議論のように見えても、結論はすでに決まっているからだ。 それは、核を地上配備するのは、沖縄の嘉手納と辺野古の弾薬庫だということだ。
▽本当の平和国家になるために
・私も6年前から本に書いているように、本土への復帰前は沖縄に、最大1300発もの核兵器が地上配備されていた。 そして嘉手納と辺野古には当時それぞれ数百発の核兵器が貯蔵されていた巨大な弾薬庫がいまもあって、さらにはそれを「将来必要になったらいつでも使えるように維持しておく」という密約まで結ばれているのだ(1969年の佐藤・ニクソンによる「核密約」)。黙っていれば、自然にそういう流れができてしまうことは確実だ。
・けれどもこの沖縄への核兵器の地上配備だけは、本土の人間も一体となって、日本人全員で絶対に食い止めなければならない。 おそらく身勝手な本土の人間たちは、「沖縄なら自分は安全だ。核兵器だろうと何だろうと、配備すればいいじゃないか。オレには関係ない」と考えるかもしれない。ところが、そうはいかない。
・ここが問題の本質なのだが、北朝鮮対策という名目で沖縄に核が配備されたとき、それは自動的に、中国との間で核を撃ち合いかねない「恐怖の均衡」を成立させてしまうのである。そしていうまでもなく、中国のもつ核兵器は、日本列島全体を瞬時に壊滅させるだけの威力をもっている。
・今回の「前原民進党・解党事件」でもよくたとえに登場した、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の教訓を思い出してほしい。「オレだけが助かればいい。ほかの奴らは地獄に落ちてもかまわない」と思った瞬間、われわれ日本人はみな、一体となって地獄へ落ちていくことになる。 同じように核兵器の配備について「沖縄ならいいか」と思った瞬間、「核大国・中国との間での、永遠につづく軍事的対立」=「永遠の朝鮮戦争レジーム」という、最悪の結果がそこには待ち受けているのだ。
・けれども逆に、核の地上配備を沖縄と連帯する形で、日本人全体で拒否することができれば、北朝鮮とアメリカの間で「恐怖の均衡」が成立し、バノンが予言していたとおり、やがて北朝鮮の核開発の凍結とひきかえに、米軍は朝鮮半島から撤退し、日本の朝鮮戦争レジームも終わりを告げることになるだろう。
・われわれ日本人が望んでやまない「みずからが主権をもち、憲法によって国民の人権が守られる、本当の平和国家としての日本」という輝ける未来は、その先に訪れることになるのである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53127

次に、政策コンサルタントの室伏謙一氏が10月20日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「真の「保守」「リベラル」の観点から見直す衆院選の争点」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今回の衆議院選挙は、とにかく政策面での「争点」が見えにくい。さらに「保守」「リベラル」「しがらみ」といった言葉が乱用されて本質が見えにくい状況になっている。ここで改めて本来の「保守」「リベラル」とは何か。その上で、各党で掲げている政策面での課題について考えてみた。
▽「争点」が見えにくい今回の衆院選挙
・消費税、北朝鮮問題、憲法改正……有権者にとっては唐突感の否めない今回の衆議院議員選挙、それ以上に有権者を悩ませているのは「争点」が見えにくいとうことだろう。 そもそも何か解散すべき大きな課題があったけではなく、急に解散が決まり、しかも解散から選挙の公示まで時間的余裕がない中で、各党はそれぞれの都合で、それぞれの考えで政策を急揃えの突貫工事で立案し、有権者に提示したのであるから、無理もない。
・もっとも、普段から明確な哲学や思想を持って体系的に政策を立案・整理し、国民・有権者に示し、理解や賛同を得るための活動を地道に行ってきていれば、難なく「本来争点にすべきことは何か」、「どのような政策が望ましいのか」といったことは、提示できるはずだと思われる。
・さて、今回の選挙においてはそうした政策的な争点とともに有権者と候補者をともに振り回しているのが、「保守」「リベラル」「しがらみ」といった言葉である。 特に、民進党の希望の党への合流を巡る一連の騒動を契機として、「寛容な保守政党」だの「リベラルの排除」だのといったように勝手気ままに使われるに至り、今回の選挙は「保守vsリベラル」の闘いといった話まで出てくる始末になった。
・一部の新聞報道によれば、保守、リベラルを「イデオロギー論争」と勘違いする風潮さえみられる。 どうも「保守」といえばなんとなく右、「リベラル」といえばなんとなく左という、根拠なきイメージが背景にあるようであるが、根拠がない分、それぞれの都合で解釈され、濫用され、それが混乱に拍車をかけている。
・そこで、本稿では「保守」や「リベラル」の本来の意味について、中島岳志氏の『リベラル保守宣言』(新潮社)等の著作に依拠して簡単に整理するとともに、「しがらみ」といった今回の選挙のみならずここ数年政治の世界で頻繁に使用されるようになった言葉についても元来意味するところを考え、それに基づき、今回の選挙において五月雨のように掲げられている憲法改正、経済政策、消費税、原発政策、国防・安全保障政策といった個別政策について分析し、投票行動を考える上でのヒントを提示することとしたい。
▽保守とは? 日米安保や憲法改正への態度とは関係ない
・「保守とは何か」と考える時、わが国では、日米安保の重視であるとか、構造改革推進派であるとか、憲法改正に積極的であるとかいったことがメルクマールとして考えられることが多いようであり、今回の選挙ではそれらを判断基準にして保守か否かを区別し、投票先を考える傾向があるようである。
・しかし、本来保守とは、そうした個別具体的な事項を軸にして考えられるものなのだろうか? 中島岳志氏によれば、保守思想は、「人間の理性によって理想社会を作ることなど不可能である」と考え、「人間の不完全性や能力の限界から目をそらすことなく、これを直視」し、「不完全な人間が構成する社会は、不完全なまま推移せざるをえないという諦念を共有」するという。そして「特定の人間によって構成された政治イデオロギーよりも、歴史の風雪に耐えた制度や良識に依拠し、理性を超えた宗教的価値を重視」するとし、「エリートの設計主義による理想社会の実現という構想に対して、疑いの目を向け」、「急進的な改革や革命を厳しく批判」するとする。一方で、「社会の変化そのものを否定するわけでは」なく、「漸進的改革を進めようと」するという。
・要するに、保守とは「人間や社会の不完全性を前提としつつ、長い歴史や伝統、それらの蓄積を守り生かしながら、時代時代の変化を受け入れて漸進的に改革を進めていく思想であり立場である」ということである。 したがって、日米安保や憲法改正への態度がどうこうということは、保守であるかどうかの基準ではないということである。
▽リベラルとは? サヨクと結びつけられるものではない
・中島氏は、「宗教戦争を繰り返していたヨーロッパ中世末期に宗教的寛容を認める思想として成立」したものであり、「リベラルには本来的に、異なる他者を容認するための社会的ルールや規範、常識の体系が埋め込まれている」としている。 また、「リベラルであることは、他者を尊重し、会話の作法を重視する姿勢に基づきます。」ともしている。
・つまり、リベラルとは「独断や独善を嫌う寛容な姿勢であり、いわゆるサヨクと結びつけられるものではない」ということである。 そうなると、寛容な保守改革政党を標榜しつつも、リベラル排除を明言した希望の党は、少なくとも寛容な政党ではないということになろうし、政策も物事の進め方もまたしかりであろう。
▽「リベラル」と「保守」は対立する思想でも概念でもない
・そして、この「リベラル」と「保守」は対立する思想でも概念でもない。 「保守」は人間の不完全性を前提として、急進的な改革ではなく漸進的な改革を進めるという立場である。したがって、独断や独善を嫌い、異なる意見に対しては寛容であることが必要であり、「リベラル」であることが求められる。 つまり、「保守」と「リベラル」は共存できるどころか一体であると考えることが妥当なのである(この辺りは西部邁氏の『リベラルマインド』(学研)に詳しい)。
▽「政治の世界」で頻繁に使用される「しがらみ」とは?
・「しがらみ」……この言葉が「政治の世界」で頻繁に使用されるようになってまだ日は浅いが(おそらく政党で最初に使用したのはみんなの党ではないか?)、今回の選挙では「しがらみ」がないことを、これをなくすこと良いこととして前面に押し出す主張が以前に増して多く見られるようになった。
・この「しがらみ」についても明確な定義も説明も意味づけもないまま、なんとなくネガティヴなイメージが植えつけられ、それをなくせば政治が、社会が、経済がよくなるという、単純化された、乱暴というか少なくとも雑な方程式が当然のことのように流布されるに至っている。
・しかし、この「しがらみ」とは元々は「水流を堰きとめる柵のこと」であり、転じて人間関係、地縁や血縁といったご縁のことである。まとわりつくものであるとか、なかなか切れないものといったネガティヴな説明も見られるが、少なくとも切ろうと思って簡単には切れない、自分や社会を形作る要素の一つであると言えよう。
・別の言い方をすれば、人間は重層的ないくつもの社会的な関係性の中に存在し生きているのであって、だからこそ価値観や規範、道徳を、日常生活を通じて獲得していくことができるのである。 そうなると、この世に生きとし生ける者であって「しがらみ」のない者など存在するはずがなく、そんな人間や状態を想定するというのはフィクションでしかないということなる。
・このことについて、自民党の小泉進次郎氏が、公示前の10月1日に行った街頭演説の中で上手いことを言っている。 「皆さんに敢えて問いたい、しがらみがない人なんていますか?私、しがらみばっかりです。自民党、しがらみばっかりです。しかし、私たちのしがらみは、いっぱいしがらみがあるから、時にそのしがらみから脱却することができるんです。〜(中略)〜前原さんが民進党代表選で言ったAll for all、これってしがらみのない政治と真逆じゃないですか?誰もがしがらみがある中で生きているんですよ。 でも、私は、しがらみと絆って紙一重だと思いますよ。そういった中で、しがらみのない政治、しがらみのない生き方って、一人で人間生きていけますか?いろんな人の支えがあって、いろんな人との助け合いがあって、困った時はお互い様という精神があって、だから、そういった中でどうやったらみんなで助け合う国を、助け合う地域を作っていくことができるのか、これが自民党が作りたい地域社会。 これが自民党が作っていきたい将来の社会ですよ。〜しがらみがあって絆もあって、それはコインの裏表なんです」 まさに的を射た話であると言えるのではないか。
▽「個別の政策」をどう考えるか? 財政健全化、消費税、社会保障、教育無償化
・さて、「保守」、「リベラル」、さらには「しがらみ」という言葉の意味が明確になり、「保守」は同時に「リベラル」であることが分かったところで、その観点から今回の選挙において挙げられている政策のあるべき方向性について考えてみたい。
・今回の解散総選挙に当たり、安倍総理大臣は「消費税の使い道の変更」をその理由の一つに挙げた。「消費税の使途」を保育や教育の無償化にも充てるということであり、これは消費税率の8%から10%への引上げとセットである。そしてこの話はわが国の社会保障の在り方や、現政権も掲げてきた財政健全化とも密接に関わっている。
・まず、「保育や教育の無償化」については、将来世代への投資であり、総論としては異論のないところであろう。 しかし、これは消費税率を引き上げた上での話であり、消費税率の引上げは財政健全化と結びついていることが、「保守」の観点からは問題視されるべきであろう。すなわち、財政健全化や財政再建を目標としその達成を最優先すること自体が、保守が疑いの目を向ける「設計主義」そのものである。 本来は、社会保障も含めて、国民が困らないような予算の使い方、公共投資の在り方を最優先に議論すべきであるし、提示すべきであって、その上で、財源として税によるのか公債の発行によるのかといった「資金調達の問題」が議論されるというのが、「保守」の観点からすれば当然の順序ということになろう。
▽憲法改正問題 「国の在り方」についての議論が必要
・立憲主義という言葉がこれほどまで注目された選挙は近年ではなかったのではないだろうか。 「保守」の観点からすれば、憲法は国の在り方、基本的な統治機構の在り方、国家としての重要政策の基本的な考え方を規定するものであるが、国家の理想像や理想的国家像を規定するものであってはならない。 立憲主義はあくまでも前者の観点に立脚してものである必要がある。したがって、憲法改正を考えるのであれば、国の在り方、国家観についての議論から時間をかけて進める必要があり、個別の条文の改正を短期間に行うという性格のものではない。
・少なくとも現状では改憲推進から護憲まで幅広い意見が存在し、聞く耳持たぬ一方的な主張の応酬が繰り返されているだけのようである。 そうした、異なる意見を尊重するという土壌が出来ていない状況で、憲法改正の発議などできようもない、「保守」かつ「リベラル」の観点からはそう考えざるをえないのではないか。
▽北朝鮮問題、国防・安全保障 各党ともバランス感覚に欠ける
・今回の解散の決断においては、「北朝鮮の脅威」という国難への対応もその理由として挙げられている。  確かに北朝鮮という“核保有国”が日本海を隔てて存在し、その軍事力が増しているというのはわが国の平和と安全にとって脅威であることは間違いない。しかし、“核保有国かつ軍事大国”であるという点でいえば、既にわが国は北朝鮮のみならずロシア、中国、それに米国に囲まれているわけであり、北朝鮮だけを殊更に問題視するというのは、自国の国防・安全保障を考える視点としてはバランスに欠けていると考えざるをえない。
・ロシアも中国も米国も独立国であり、当然にそれぞれの国益を考えて動く。「自国に利あり」と考えて急遽北朝鮮と友好関係を結ぶという可能性が全くないわけではない。 何を馬鹿げたことをと思われるかもしれないが、あらゆる可能性はゼロではない。一方で、絶対安全な措置であるとか、未来永劫良好であり続ける関係といったものもありえない。問題はそうしたことを当然の前提としつつ状況の変化に対処出来るバランス感覚、平衡感覚を持ち、それを保つことができるかである。
・今回の選挙における各党の政策では、個別の法律への賛否といったものが目立つものの、国防・安全保障におけるこうしたバランス感覚は、残念ながら見受けられないようである。
▽経済政策 保守から見たアベノミクスの問題点
・現政権が掲げてきたいわゆる「アベノミクス」の成果についても今回の選挙では論戦が行われている。  アベノミクスは、科学技術万能主義や設計主義に基づき、構造改革の名の下に進められる規制緩和をはじめとした徹底した自由化やサプライサイドへの措置を中心とするものである。 自由化や徹底した規制緩和は、1980年代に登場したインフレ対策のための個別措置であり、デフレからの脱却を謳いながら、その実態は「単なるデフレ推進政策」であるとの批判も識者からはある。
・「保守」の観点から問題視すべきは、アベノミクスがわが国の実態とは乖離して、特定の専門家が描いた設計図に基づいて、しかもある意味独善的に急進的に進められているということである。 加えて、その結果としてわが国が歴史的に積み上げてきたものや伝統が破壊されてきている。まさにこうした歴史的積み上げや伝統、それら体現した団体や共同体といったものが「しがらみ」であり、これをリセットするというのは歴史、伝統、共同体といったものを破壊すると言っているに等しい。
・「保守」の観点からすれば、まずはこれを止めることが必要であり、その上で、真のデフレ対策、例えば公共事業に限らない適切な財政支出の拡大による需要創出と国民の底上げ、「しがらみ」の再生といったことが主張されるべきということになる。
▽原発政策 保守は諸手を挙げての推進はありえない
・「保守」は人間の不完全性を前提としており、理性を絶対視しない。科学技術至上主義、科学技術の粋を集めれば安全は確保されるといった立場は取らない。したがって、諸手を挙げての原発推進はありえない。  一方で、「保守」は「リベラル」でもあるから、異なる立場に対しては寛容である。 そうした意見をも尊重するのであるから、例えば、エネルギーの自給自足という観点から、原発が絶対に安全ではない、むしろ危険であり万が一事故が起これば、想像を絶する被害に見舞われることになりうるということを住民に十分説明し理解を得るべきだと考える。
・その上で、事故に備え、責任の所在も明らかにした綿密な避難計画等も作成して初めて、「それでも設置すべき」といった主張には耳を傾け、しっかりと議論・対話は行う。 「保守」の立場が問題視すべきは、いずれかの主張が絶対に正しいとして他を問答無用で退けたり、科学技術を万能視して原発政策を考えたりすることである。
・以上、「保守」や「リベラル」の観点から今回の選挙において掲げられている主な政策について分析を加えてきたが、これらを見ると少々悲観的にならざるをえないかもしれない。 しかし、「保守」「リベラル」は寛容を旨として異なる意見を尊重して時間をかけて議論をし漸進的に改革を進めていく立場であるし、人間を完成された存在とは考えないのであるから、投票行動についてもそうした観点から検討いただければ幸いである(一方で、投票率が下がらないことを願うばかりである)。
http://diamond.jp/articles/-/146390

第一の記事で、「前原民進党・解党事件」が 『「野田民主党・自爆解散事件」との共通点』、との指摘は、言われてみればその通りだ。前原民進党・解党事件の背景として、右派の論客、田母神俊雄氏が指摘している 『希望の党ができて民進党は解散になる。小池さんも前原さんも、日本の左翼つぶしに是非とも頑張ってほしい。右と左の二大政党では、国がつねに不安定だ。保守の二大政党制になってこそ、安定した政治になる。〔現在の〕日本のおかれた状況で、憲法改正に反対しているような政治家には、国民生活を任せることはできない」』、というのは、私とは立場が逆とはいえ、ズバリ本質を突いた見方だ。 筆者が、『選挙後に姿を表すのは、巨大な「自民・公明・希望・維新」による保守連合体制であり、その最終的な目的は、軍事問題についての「野党の消滅」または「大政翼賛体制の成立」なのである』、 『選挙後に誕生する巨大な保守連合の、新たな目標として設定されているのは、まちがいなく、 ① 全自衛隊基地の米軍使用 ② 核兵器の陸上配備 の2つであるとの筆者の指摘は、残念ながらその通りだろう』、などと指摘しているのは、残念ながらその通りなのだろう。北朝鮮問題で、 『メルケル首相やプーチン大統領が「北朝鮮問題に軍事的解決などない」とくり返し警告しているのは、トランプや金正恩に対してというよりも、むしろ自分たちが一番危険であるにもかかわらず、なぜか声高に強攻策を主張しつづける、理解不能な日本の首相へのメッセージなのである』、 『北朝鮮対策という名目で沖縄に核が配備されたとき、それは自動的に、中国との間で核を撃ち合いかねない「恐怖の均衡」を成立させてしまうのである。そしていうまでもなく、中国のもつ核兵器は、日本列島全体を瞬時に壊滅させるだけの威力をもっている・・・芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の教訓を思い出してほしい。「オレだけが助かればいい。ほかの奴らは地獄に落ちてもかまわない」と思った瞬間、われわれ日本人はみな、一体となって地獄へ落ちていくことになる。 同じように核兵器の配備について「沖縄ならいいか」と思った瞬間、「核大国・中国との間での、永遠につづく軍事的対立」=「永遠の朝鮮戦争レジーム」という、最悪の結果がそこには待ち受けているのだ』、などの指摘は、確かにその通りだ。
第二の記事で、 『「リベラル」と「保守」は対立する思想でも概念でもない』、というのは語源に遡ってみれば、そうなのかも知れないが、生きた言葉は、時代と共に変化していくことも事実である。したがって、現在の世の中一般が理解している意味で、考えればいいと思う。「しがらみ」についての、小泉進次郎氏の街頭演説は、秀逸である。これに対する小池氏の反論を聞いてみたいところだ。 『憲法改正問題 「国の在り方」についての議論が必要』、 『「保守」「リベラル」は寛容を旨として異なる意見を尊重して時間をかけて議論をし漸進的に改革を進めていく立場であるし』、などの指摘はその通りだ。
明後日の国民の審判は、台風来週で投票率低下が、懸念されるが、「与党圧勝」などの事前予想は外れ、他方で、「小池新党の不振」や「立憲民主の健闘」の予想は当たって欲しい、などと勝手に願っている私は、ご都合主義なのだろうか。
タグ:憲法改正問題 「国の在り方」についての議論が必要 前原さんが民進党代表選で言ったAll for all、これってしがらみのない政治と真逆じゃないですか?誰もがしがらみがある中で生きているんですよ。 でも、私は、しがらみと絆って紙一重だと思いますよ。そういった中で、しがらみのない政治、しがらみのない生き方って、一人で人間生きていけますか?いろんな人の支えがあって、いろんな人との助け合いがあって、困った時はお互い様という精神があって、だから、そういった中でどうやったらみんなで助け合う国を、助け合う地域を作っていくことができるのか、これが自民党が作りたい地域社 皆さんに敢えて問いたい、しがらみがない人なんていますか?私、しがらみばっかりです。自民党、しがらみばっかりです。しかし、私たちのしがらみは、いっぱいしがらみがあるから、時にそのしがらみから脱却することができるんです 10月1日に行った街頭演説 小泉進次郎氏 「しがらみ」 リベラル」と「保守」は対立する思想でも概念でもない リベラルとは「独断や独善を嫌う寛容な姿勢 リベラルとは? サヨクと結びつけられるものではない 保守とは「人間や社会の不完全性を前提としつつ、長い歴史や伝統、それらの蓄積を守り生かしながら、時代時代の変化を受け入れて漸進的に改革を進めていく思想であり立場である」 保守思想は、「人間の理性によって理想社会を作ることなど不可能である」と考え、「人間の不完全性や能力の限界から目をそらすことなく、これを直視」し、「不完全な人間が構成する社会は、不完全なまま推移せざるをえないという諦念を共有」するという。そして「特定の人間によって構成された政治イデオロギーよりも、歴史の風雪に耐えた制度や良識に依拠し、理性を超えた宗教的価値を重視」するとし、「エリートの設計主義による理想社会の実現という構想に対して、疑いの目を向け」、「急進的な改革や革命を厳しく批判」するとする。一方で、「社 保守とは? 日米安保や憲法改正への態度とは関係ない 中島岳志氏の『リベラル保守宣言』( 「保守」や「リベラル」の本来の意味 真の「保守」「リベラル」の観点から見直す衆院選の争点 ダイヤモンド・オンライン 室伏謙一 芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の教訓を思い出してほしい。「オレだけが助かればいい。ほかの奴らは地獄に落ちてもかまわない」と思った瞬間、われわれ日本人はみな、一体となって地獄へ落ちていくことになる。 同じように核兵器の配備について「沖縄ならいいか」と思った瞬間、「核大国・中国との間での、永遠につづく軍事的対立」=「永遠の朝鮮戦争レジーム」という、最悪の結果がそこには待ち受けているのだ 北朝鮮対策という名目で沖縄に核が配備されたとき、それは自動的に、中国との間で核を撃ち合いかねない「恐怖の均衡」を成立させてしまうのである。そしていうまでもなく、中国のもつ核兵器は、日本列島全体を瞬時に壊滅させるだけの威力をもっている 核を地上配備するのは、沖縄の嘉手納と辺野古の弾薬庫 核兵器の地上への配備だけは絶対に認めてはならない 中国が北朝鮮の核開発を凍結させ、きちんとした査察を受けさせるなら、米軍を朝鮮半島から撤退させるという交渉もありえる ・メルケル首相やプーチン大統領が「北朝鮮問題に軍事的解決などない」とくり返し警告しているのは、トランプや金正恩に対してというよりも、むしろ自分たちが一番危険であるにもかかわらず、なぜか声高に強攻策を主張しつづける、理解不能な日本の首相へのメッセージなのである 世界の常識 北朝鮮問題に軍事的解決などない。まったくない。開戦30分でソウルの市民1000万人が通常兵器で死亡するという問題を、少しでも解決しないかぎり、(軍事的解決など)意味不明だ スティーブン・バノン 北朝鮮とアメリカの間にも、この「恐怖の均衡」が成立(※)しつつあるのである 米軍・普天間基地が、民間利用ではなく自衛隊基地となり、さらには現在の地位協定と密約の組み合わせによって、事実上の米軍基地となる可能性は非常に高いと私は思う 大政翼賛体制 普天間は一度日本へ返還後、また米軍基地になる? 事実上の米軍基地なのである 富士演習場 以前からアメリカの軍産複合体のシンクタンクで、集団的自衛権とともに日本の課題とされてきたテーマ ② 核兵器の陸上配備 ① 全自衛隊基地の米軍使用 選挙後に必ず起こる2つのこと 朝鮮戦争のなかで生まれた「米軍への絶対従属体制」、いわゆる「朝鮮戦争レジーム」であり、そのなかで日本政府は米軍からの要求に対して、基本的に拒否する権利をもたないというつらい現実があるからだ 、安全保障の問題から左派(リベラル派)の影響力を完全に排除する――。それこそが今回の「前原民進党・解党事件」と、5年前の「野田民主党・自爆解散事件」のウラ側にあった本当の目的であり、グランド・デザインだったというわけだ 小池さんも前原さんも、日本の左翼つぶしに是非とも頑張ってほしい。右と左の二大政党では、国がつねに不安定だ。保守の二大政党制になってこそ、安定した政治になる。〔現在の〕日本のおかれた状況で、憲法改正に反対しているような政治家には、国民生活を任せることはできない 右派の論客、田母神俊雄 野田民主党・自爆解散事件」との共通点 あまりにも奇怪だった「前原民進党・解党事件」 著者・矢部宏治氏 知ってはいけない――隠された日本支配の構造 その結果、どんな事態が想定されるのか 選挙後に私たちの目の前に姿を表すのは、<自民・公明・希望・維新>による巨大な保守連合体制である可能性が極めて高い 誰が首相になっても、総選挙後に必ず起こる「2つの重大な出来事」 『知ってはいけない』著者の警告 現代ビジネス 矢部 宏治 (その13)(誰が首相になっても総選挙後に必ず起こる「2つの重大な出来事」、真の「保守」「リベラル」の観点から見直す衆院選の争点) 日本の政治情勢
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