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スペイン(カタルーニャ独立問題1)(「企業脱出」続くカタルーニャ独立のジレンマ、カタルーニャの未来はスロベニアとは異なる、カタルーニャの次はどこか 「富める離脱クラブ」の脅威) [世界情勢]

今日は、スペイン(カタルーニャ独立問題1)(「企業脱出」続くカタルーニャ独立のジレンマ、カタルーニャの未来はスロベニアとは異なる、カタルーニャの次はどこか 「富める離脱クラブ」の脅威) を取上げよう。

先ずは、貿易コンサルタントの白石 和幸氏が10月26日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「企業脱出」続くカタルーニャ独立のジレンマ スペイン最古の企業もついに去った」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・カタルーニャ自治州の独立問題が複雑化している。10月21日には、スペイン政府が臨時の閣僚会議を開き、憲法155条を適用してカタルーニャ州の自治権停止とプチデモン州首相らの解任を決定。155条はスペインが1978年に民主化の道を歩み始め、民主憲法を発布した際に、ドイツ憲法をまねたもので、国家の統一を乱す自治州に対してその機能を停止する権利がスペイン政府に付与されているという内容である。
・ただし、その適用には上院での承認が必要で、まず24日から上院でその諮問委員会が開かれ、上院での審議を経て27日に採決をするという日程になっている。政府与党は上院で過半数の議席を確保しており、しかも穏健左派の社会労働党と、カタルーニャで誕生した政党シウダダノスも賛成票を投じることになっているので承認には問題はない。このため、28日から155条の発動は可能になる見込みであるとされている。
▽155条発動は「国家によるクーデター」
・だが、事態はそう簡単に進みそうにない。まず、社会労働党は155条の適用を支持しているものの、同党はカタルーニャではカタルーニャ社会党と連携している。そして、このカタルーニャ社会党内部では、155条の適用については意見が分しているのである。それは次のような理由からだ。
・フランコ独裁政治で弾圧されたカタルーニャでは、多くがフランスに亡命し、フランスでカタルーニャ自治議会を創設した。その後、1977年に、この自治議会の最後の首相を務めたジュセップ・タラデーリャス氏がバルセロナに帰還。この時、自治機能回復に彼と共に努力したのが、当時のカタルーニャ社会党のメンバーであった。彼らからしてみれば、155条の適用は、当時の努力を否定されていることにも等しいのである。
・一方、同党内には、現在の州政府は憲法を蹂躙(じゅうりん)して国家の統一を阻害しており、現在の州政府を廃止せねばならないという考えもある。こうした中、カタルーニャ社会党内部では、州政府との対話をもとに問題の解決を図っていくべきだという意見が主流になってきている。
・カタルーニャ州議会も、155条発動は「カタルーニャの尊厳を冒瀆する」と、猛反発。カルメ・フォルカデル議長は、「国家によるクーデターだ。カタルーニャ州議会を無能化させて、マリアーノ・ラホイ首相はそれを自分のものにしようとしている」「投票によって選出されてできた州政府と州議会を打倒しようとしている」と、怒りをあらわにしている。
・また、州政府を構成している主要政党の1つ、カタルーニャ民主集中のジュセップ・ルイス・クレリエス上院代表も同様に、155条の適用を「国家クーデター」と位置づけ、「ラホイ首相がやろうとしていることは正に155条に規定されていない内容だ」「首相の都合に合ったように理解を下したまでだ」と述べている。
・こうした中、スペインのテロ組織「エタ」の撲滅に活躍したバルタサル・ガルソン判事は、155条の適用は正当であるとしながらも、「最初から州政府の機能を停止させるようには規定されていない」と指摘。「少しずつ適用されて行くべきだ」と発言している。
▽強硬手段に出るラホイ首相の言い分
・一部報道によると、スペイン政府と州政府は秘密裏に接触しているもよう。しかし、双方で合意には至っていない。これは、スペイン政府が州政府による独立という姿勢を批判し、これまでの行為を違憲だと認めることを交渉条件に掲げていることが理由とみられている。
・そもそも、現在のカタルーニャ州政府は2党の連立政権に加え、左派過激派が必要時に票を貸して過半数を確保している状態で、この3党の意見が「違憲」という方向にまとまるのはそう簡単なことではない。これが、スペイン政府との交渉にも影響しているとみていいだろう。
・こうした中、スペイン政府は自治州機能停止という強硬手段に出るわけだ。計画では、まずプチデモン州知事とジュンケラス副州知事を解任し、それから閣僚全員を解任する。また州政府に癒着していることが判明している自治警察のトゥラペロ警視総監も解任。さらに、州政府寄りの報道が目立つTV3テレビとラジオにも介入するとしている。州政府の通信および情報テクノロジーセンターも、治安警察管轄下に置かれるという。
・ラホイ首相は、閣僚会議後記者団に対し、155条を発動することについて、カタルーニャ州政府によるスペイン憲法の蹂躙と、州議会の野党の存在を無視した議会制民主主義を正しい状態に戻すことが目的だと説明。スペイン国内での独立支持派と反対派の対立を防ぐと同時に、企業がカタルーニャ州から流出するのを防ぐことで経済を安定化させたいと語った。
・同首相はまた、カタルーニャ州が「安定」した時点で、州議会選挙を早期に実施すると表明。一部メディアでは、スペイン政府が州政府の自治権を停止した後、暫定政府を2カ月ほどおき、その後選挙を開催するとも取りざたされている。
・一方、スペイン上院で155条発動に向けた審議が行われている最中に、カタルーニャ州政府が議会を招集し、独立宣言をする可能性も浮上している。ただ、ジュンケラス副州知事率いる左派共和党が独立宣言を主張しているのに対し、プチデモン州知事のカタルーニャ民主集中の党内には、州議会を解散させて、州議会選挙に踏み切るべきだという意見もあるという。そうすれば、自治機能を停止させられるという屈辱を回避できるからだ。
▽スペインで最も古い企業も去った
・スペイン政府とカタルーニャ州政府の葛藤が続く中で、カタルーニャに本拠を置いていた企業の流出が続いており、10月以降、1200社余りがその手続きをしている。州政府は、独立した暁には、カタルーニャ共和国の2大銀行カイシャバンクとサバデル銀行をメインバンクとする構想を練っていたが、この2行もバレンシア州に本社を移転させている。
・カタルーニャが独立した場合、新国家が欧州連合(EU)に加盟するのは困難を極めるとみられる。となれば、ユーロは使えなくなるし、欧州中央銀行とも取引ができなくなる。こうした国家に本社を構えることは、銀行にとって致命傷になりかねない。このため、2行は本社移転に踏み切ったのである。
・このほかにも、州外に移った有名企業は少なくない。たとえば、スパークリングワイン、カバの老舗メーカーであるCodorniu(コドルニウ)は本社をラ・リオハに移すことを決めた。1551年創業の同社は、スペインで最も古い企業として知られ、カタルーニャのシンボル企業といっても過言ではない。その同社が移転を発表した10月16日には、スペイン中のメディアがこれを報じた。
・また、同じくシンボル的な企業で、セメント大手のセメント・モリンスもマドリードへの本社移転を決定。同社の元社長ホアキン・モリンス氏は議員経験もあり、現在のカタルーニャ州政府を支えている連立政党にも関係してきた。ゆえにカタルーニャ州政府とは関係が深い企業であるが、他社と同様、カタルーニャの先行きに不安を覚え、本社を移転させたようだ。
・もっとも、カタルーニャからの企業流出は今に始まったことではない。同州で独立機運が高まり始めた2008年以降、カタルーニャ州外に本社を移転させた企業は7956社に上る。もちろん、この間カタルーニャに誕生した企業や、移転してきた企業もあるが、それを差し引いた場合、2624社がカタルーニャから姿を消したことになる。 州政府の財務・経済を担当しているジュンケラス副州知事は「企業の移転は心理的なインパクトが現実よりも強いだけである」と述べて、実質経済への波及はわずかだと指摘。カタルーニャの国民総生産(GDP)には影響ないと述べている。
▽州外に雇用の流出懸念も
・しかし、この発言には隠されていることがある。たとえば、企業の法人税は国に納税されているが、そのおよそ1割は自治州の財源に還元される。つまり、本社を置く企業が減ることは、国から回ってくる税収が減ることを意味している。これは、州政府の財源に深刻な影響を与えかねない。
・こうした中、カタルーニャの企業連合の1つ「Foment del Treball」は、州政府が「法にのっとった形」に戻ることを要求。同企業連合は、最悪の事態は数カ月、あるいは数年先に表面化しかねないと指摘している。このほか、カタルーニャへの投資が減ることや、雇用が州外に移ることも懸念事項として挙げている。 企業が利益を優先するのは当然ではあるが、これを理由に住んでいる人々の独立機運を鎮めるのは容易ではないだろう。だからこそ、スペイン政府と州政府は互いに強硬姿勢を貫くことなく、対話の機会を模索し続ける必要があるのではないか。
http://toyokeizai.net/articles/-/194707

次に、第一生命経済研究所 主席エコノミストの田中 理氏が10月31日付け東洋経済オンラインに寄稿した「カタルーニャの未来はスロベニアとは異なる プチデモン州首相はモデルケースとするが」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・10月27日に独立を宣言したカタルーニャ州を待ち構えていたのは、スペイン政府による州首相や閣僚の解任と州議会の解散など自治権の停止だった。カタルーニャがスペインから独立した共和国となる決議案を州議会が可決した瞬間を、歓喜と熱狂で迎えた独立派の住民の願いは今後もかなえられそうにない。
・解任されたカルラス・プチデモン州首相が独立のモデルケースにしたとされるのが、1990年代前半に旧ユーゴスラビア連邦から独立を果たしたスロベニアだ。州首相に担ぎ出される以前にジャーナリストだったプチデモン氏は、現地を訪れ、スロベニアが独立に至った経緯を綿密に取材したとされる。
▽スロベニアも周辺地域より豊かだった
・連邦解体以前のユーゴスラビアは、スロベニア、クロアチア、セルビア、マケドニアなど6つの共和国とコソボなど2つの自治州で構成されていた。その多様性は「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を持つ、1つの国家」と形容された。ユーゴスラビアはソ連型の社会主義体制から距離を置き、冷戦下でも東西両陣営との関係を維持したほか、共和国や少数民族に一定の自治を認めていた。
・オーストリアとイタリアに国境を接するスロベニアは、ユーゴスラビア内で最も工業化が進んだ地域で、その地理的近接性もあり、西欧諸国との経済交流がとりわけ盛んだった。当時のスロベニアは、ユーゴスラビア全体のわずか8%弱の人口で、国内総生産(GDP)の約20%を生み出す先進経済地域だった。1980年代にユーゴスラビアを襲った不況もあり、連邦内で経済的に最も成功していたスロベニアでは、連邦政府への巨額の負担金がコソボやマケドニアといった貧しい地域のために使われていることへの不満がくすぶっていた。
・カリスマ的な指導者であったヨシップ・ブロズ・チトーの死後、抑圧されていたナショナリズムがユーゴスラビア各地で広がっていった。1980年にセルビアでスロボダン・ミロシェビッチ政権が誕生すると、共和国の自治を制限し、ベオグラード(セルビアの首都も兼ねる)の連邦政府に権力を集中しようとした。スロベニアやクロアチアでは、こうしたセルビアによる覇権復活に反発が強まり、連邦からの分離・独立を求める声が高まっていった。
・1989年に入ると、ドイツでベルリンの壁が崩壊し、ルーマニアでもニコラエ・チャウシェスク政権が崩壊するなど、共産主義体制が次々と倒れていった。こうした東欧革命の波はユーゴスラビアにも程なく押し寄せた。
・スロベニアでは1980年代後半に民主化や独立を求める運動が激化した。1989年の憲法改正を経て、1990年4月に第2次世界大戦後で初の普通選挙が行われ、民主化や自由化を進め、ユーゴスラビアからの独立を志向する政権が誕生した。緩やかな連邦制への移行提案などが頓挫した後、同年12月にユーゴスラビアからの独立の是非を問う住民投票が行われ、有権者の93.5%が投票し、有効票の実に95.7%(有権者の88.5%)が独立に賛成票を投じた。
・投票から6カ月後の1991年6月にスロベニアは隣国クロアチアとともにユーゴスラビアからの独立宣言に踏み切った。独立に反対するユーゴスラビアは連邦軍をスロベニアに派兵。スロベニア防衛軍との間で散発的な戦闘が行われ、75人の犠牲者を出した。これは十日間戦争と呼ばれ、その後のユーゴスラビア紛争の幕開けとなった。
・ユーゴスラビア連邦軍は10日で撤退し、スロベニアも独立に向けた動きを3カ月凍結することで同意した。その後、スロベニアは独自通貨の発行を開始し、同年12月には新たな憲法を制定し、独立に向けた動きを着々と進めた。1992年1月にはドイツや欧州経済共同体(EEC)もスロベニアを国家承認した。国際社会の後押しもあり、1992年5月にスロベニアは国連加盟を果たした。
▽カタルーニャの民族主義に火がついたきっかけ
・このようにスロベニアがユーゴスラビアから独立を果たした経緯は、カタルーニャのスペインからの独立に向けた動きと酷似する。かつて地中海の覇者として君臨したカタルーニャ・アラゴン連合王国があった土地では、今もカスティーリャ王国のそれとは異なる独自の文化や言語が息づいている。ただ、カタルーニャで自治拡大や独立を求める声がこれほど活発化したのは比較的最近のことで、2010年ころが転機になったといわれている。
・独自の文化を持つカタルーニャ州はその歴史的な経緯もあり、広範な自治が認められている。自治の具体的な内容は各州とスペイン政府が結ぶ自治憲章で定められており、カタルーニャでは2006年に1979年の民政移管後で初めての改正が実現した。だが、スペインの現与党で、自治拡大に批判的な国民党の訴えに基づき、憲法裁判所は2010年に、この2006年のカタルーニャ自治憲章が違憲であるとの判決を下した。これをきっかけにカタルーニャの民族主義に火がついた。
・違憲判決の直後に行われたカタルーニャ州議会選挙で独立派の政権が誕生し、翌年のスペイン下院選挙で国民党が社会労働党から政権を奪ったことも、スペイン政府とカタルーニャ州政府との対立を深める一因となった。
・不動産バブル崩壊と欧州債務危機の激震はカタルーニャにも影を落とし、裕福なはずのカタルーニャの州財政は破綻すれすれの状況にある。スペインでは州間の格差是正を目的に財政資金の再配分が行われている。スロベニア同様に、カタルーニャ州民の間では巨額の財政資金を他州に吸い上げられているとの不満が根強い。
▽国際社会は否定的、州民の総意でもない
・スロベニアが独立を果たすうえで重要な役割を演じたのが、国際社会の後押しだった。今回のカタルーニャの独立問題をめぐっては、欧州連合(EU)やその加盟国はそろって、内政問題との立場を崩しておらず、スペイン政府を支持している。州政府からの仲裁の呼びかけに応じる国は現れていない。スロベニアの場合、非民主的な体制からの独立であったことやユーゴスラビア政府が軍隊を派兵したことで、国際社会の協力を得られやすかった。カタルーニャの場合、民主的な法治国家であるスペインからの独立を目指しており、州政府側が憲法裁判所の違憲判決を無視して住民投票を強行するなど分が悪い。
・スロベニアとのもう一つの違いは、スロベニアの住民投票が90%以上の投票率の下で独立賛成票が圧倒的な割合を占めたのに対し、カタルーニャでは今回の住民投票も2012年の住民投票も独立賛成票の割合こそ多かったが、投票率が50%にも満たなかった。また、州議会が27日に可決した独立決議も、残留支持派の議員が抗議して議場を退出した後に採決が行われた。最近の世論調査でも独立賛成派は過半数に満たない。スペインからの独立がカタルーニャ州民の総意と言うのは難しい。
http://toyokeizai.net/articles/-/195267

第三に、John Lloyd氏が11月12日付けロイターに寄稿した「コラム:カタルーニャの次はどこか、「富める離脱クラブ」の脅威」を紹介しよう。
・スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立を巡る騒動は、欧州連合(EU)が現在持つ強みと将来的な弱みを象徴している。また、敵対する勢力を率いる2人の指導者、つまりスペインのラホイ首相とカタルーニャ州のプッチダモン前首相の、現在と先行きの弱点も明らかになった。
・先月カタルーニャ自治州議会が行った独立宣言はスペイン憲法に違反している。独立賛成派による大規模集会のせいで霞んでしまっているが、この夏の世論調査では、スペイン離脱に反対が49.4%、賛成が41.1%だった。  独立反対派も独自に大規模な集会を行っており、エル・ムンド紙による新たな世論調査では、カタルーニャ州における12月選挙に向けて、微差ではあるが独立反対派の政党が優位に立っている。
・カタルーニャ州議会が独立を決議した直後、スペインのラホイ首相は同州議会の解散とプッチダモン州首相の解任を命じた。プッチダモン氏はブリュッセルへと逃亡。カタルーニャ州政府閣僚のうち9人が、反逆、扇動、公金流用の容疑で2日、スペイン高等裁判所に提訴された。プッチダモン氏は帰国の意志を示しているが、公正な裁判の保証が得られることが条件であるとしている。
・同国の他地域ではカタルーニャ独立に対する中央政府の強硬姿勢が強く支持されているせいで、ラホイ首相とスペイン国家が抱えている、もっと長期的な課題が見えにくくなっている。ラホイ政権は安定的な連立相手を見つけられず、少数与党の状態にある。
・つまり、これは脆弱な基盤を持つ全国レベルの指導者ラホイ首相が、こちらも国外逃亡によって支持基盤が弱まっている地域レベルの指導者プッチダモン州首相と向かい合っている構図だ。 プッチダモン氏はカタルーニャを独立へと導くことはできないかもしれないし、今のところ、独立の実現性は低い。だが、独立志向はカタルーニャ州政治において今後も強い潮流になるだろうし、EUにとっては、少なくとも英国のEU離脱(ブレグジット)と同じ程度に統合を脅かす、より広範囲の問題を示唆している。
・欧州では次々と中央から離脱していくトレンドが続いており、今なおその動きが高まっている。米ワシントン・ポスト紙のイシャーン・サローア氏が指摘するように、大半のナショナリズムを主導するのは、なにも取り残されることに辟易した労働者階級や低中所得層の有権者を動員する攻撃的な右翼指導者や政党とは限らない。
・「もう1つ注目すべきトレンドは、国家による後ろ向きの政策に苛立つ、欧州内でも都市化が進んだ地域に見受けられる性急な地域主義だ」と同氏は説く。 こうした「豊かな離反者」の先頭に立つのが、スペインで最も生産力の高い地域であり、最も力強い独立運動が行われているカタルーニャ自治州だ。カタルーニャの分離主義者たちは、スペイン政府に納める税金が少なくなれば、同州経済には恩恵がもたらされると主張する。
・だが今や他の地域においても、こうした富裕層の「離脱クラブ」に加わる意欲を見せるか、少なくとも参加条件に注目している。最も驚くべきは、ドイツ南部のバイエルン州だ。人気タブロイド紙ビルトの7月世論調査では、3人に1人が独立を支持していることが分かった。
・先月、イタリア20州のなかでも最も裕福な北部ロンバルディアとベネトの2州では、自治権拡大を問う住民投票で賛成が圧倒的多数となった。両州を合わせるとイタリアの国民総生産(GDP)の約3割を占める。  この地域で強い勢力を持つ北部同盟は、イタリアからの独立を政策として掲げている。現在ではその主張は抑制されているが、この地域の税金が、はるかに貧しく生産性も低い南部に注ぎ込まれていることへの不満は高まっている。こうした分断は、要するに経済の二極化であり、北部の分離主義に勢いを与えている。
・EU行政の中枢ベルギーでさえ緊張が高まりつつある。ブリュッセルではプッチダモン氏に対する賛否が分かれており、ベルギー国家における政治の混乱が垣間見られる。ベルギー中央政府は、完全な分断を回避しようとして、2つの主要地域に権限の多くを譲渡。2019年の国政選挙後には、富めるフランドル地方から、さらに権限委譲を進めるよう圧力がかかり、中央政府が消滅する状況に至るだろう。
・一方、英国から権限を委譲されているスコットランド議会では、スコットランド民族主義者が優位に立っているが、独立への熱意は沈静化しつつある。スコットランドの経済委員会自身が認めているように、北海油田の埋蔵量とそれによる石油収入という点で、豊かな将来が確実とは言えなくなってきたからだ。 だがブレグジットが難航すれば、圧倒的にEU残留を支持した住民のあいだで英国からの独立運動が再燃する可能性はある。
・景気が回復しつつあるフランスでも、コルシカ島(地方議会はコルシカ民族主義者が支配している)や西部のブルターニュ地方には独立機運が残っている。依然として独立支持は少数ではあるが、その勢いは増大しつつある。ちなみに、ブルターニュ地方やコルシカ島の経済水準は、フランスの平均的1人当たりGDPとほぼ同じであり、独立運動は経済的理由よりも文化的背景に基づく。もっとも、ナショナリズム運動はすべて、時に何世紀も前に遡る文化的な差異に訴えかけるものだ。
・EUとしては、こうした動きに対し不快感と警戒心を抱きつつ注視せざるを得ない。カタルーニャの例に見られるように裕福な分離主義運動はEU残留を希望するが、大規模な分離独立が一般化すれば、EUにとって過去最大の危機をもたらすことになる。
・ある地域が存続可能な独立国の形成に成功すれば、EU加盟申請が必要になる。だが、それまで所属していた国とのあいだの法的、領土的な問題がすべて決着してからでなければ、その申請は考慮されないだろう。加盟の実現までに10年かかっても不思議のないプロセスなのだ。
・政治の主流派や中央政府に対する幅広い不信感、地元のポピュリスト政治家の方がうまくやれるという信念が、いまやはっきりした、警戒すべき形を取りつつある。EUはナショナリズムの衰退、いや消滅さえ願っていたのに、むしろ逆に、中欧に見られるように、ときには反自由主義的、独裁主義的な形さえ取りながら復活している。
・EUが、国境を廃した、進化する「理想的な連邦」として見られることはますます少なくなっている。独自の歴史と文化に立脚し、歓迎されざる移民を排除し、誇りと信頼を回復する、懐かしくも新しい国家がもたらす暖かさや親密さと比較すれば、疎遠で複雑な、ほとんど理解されていないEU統合というプロセスは敗れ去ってしまう。
・まさにそれが、新興のナショナリズムが掲げる約束なのだ。 EUが異議を唱えることはできる。しかし、依然として脆弱な状態にあるEUにとって、ナショナリズムの退潮を願う以外に、ほとんどなす術がない。そして今のところ、まだその台頭は続いているのだ。
http://jp.reuters.com/article/lloyd-catalonia-idJPKBN1D71CE

第一の記事で、 『カタルーニャに本拠を置いていた企業の流出が続いており、10月以降、1200社余りがその手続きをしている』、 『州外に雇用の流出懸念も』、などからすれば、独立支持派も次第に冷静さを取り戻す可能性もあるのではなかろうか。
第二の記事で、 『カタルーニャでは今回の住民投票も2012年の住民投票も独立賛成票の割合こそ多かったが、投票率が50%にも満たなかった。また、州議会が27日に可決した独立決議も、残留支持派の議員が抗議して議場を退出した後に採決が行われた。最近の世論調査でも独立賛成派は過半数に満たない。スペインからの独立がカタルーニャ州民の総意と言うのは難しい』、というのでは、独立運動も尻すぼみになりそうだ。
第三の記事で、 『今や他の地域においても、こうした富裕層の「離脱クラブ」に加わる意欲を見せるか、少なくとも参加条件に注目している。最も驚くべきは、ドイツ南部のバイエルン州だ。人気タブロイド紙ビルトの7月世論調査では、3人に1人が独立を支持していることが分かった。 先月、イタリア20州のなかでも最も裕福な北部ロンバルディアとベネトの2州では、自治権拡大を問う住民投票で賛成が圧倒的多数となった・・・EU行政の中枢ベルギーでさえ緊張が高まりつつある。ブリュッセルではプッチダモン氏に対する賛否が分かれており、ベルギー国家における政治の混乱が垣間見られる。ベルギー中央政府は、完全な分断を回避しようとして、2つの主要地域に権限の多くを譲渡。2019年の国政選挙後には、富めるフランドル地方から、さらに権限委譲を進めるよう圧力がかかり、中央政府が消滅する状況に至るだろう』、とカタルーニャ問題が他のEU諸国にも広がりつつあるのは、気になる現象だ。豊かな地域が、貧しい地域への財政移転を拒んで、独立を目指すというのは、自分たちだけが良ければいいという「XXファースト」の発想で、どうもトランプだけの専売特許ではなく、思いのほか広がりを持っているようだ。
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