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加計学園問題(その12)(「絶対的権力者」安倍総理は なぜ極めて危ういと断言できるのか 加計学園問題をもう一度考える、小田嶋氏;モリカケ問題が沈静化しない理由) [国内政治]

加計学園問題については、9月27日に取上げたが、今日は、(その12)(「絶対的権力者」安倍総理は なぜ極めて危ういと断言できるのか 加計学園問題をもう一度考える、小田嶋氏;モリカケ問題が沈静化しない理由) である。

先ずは、首都大学東京准教授(社会学)の山下 祐介氏が11月7日付け現代ビジネスに寄稿した「「絶対的権力者」安倍総理は、なぜ極めて危ういと断言できるのか 加計学園問題をもう一度考える」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「「拝啓 安倍晋三殿」からはじまった論考「安倍総理、あなたの読みは正しい…だからこそ警告したいことがある」は大きな反響を呼びました。今回は、いまだ真相が解明されない「加計学園問題」を考えます。
▽総理が潔白であるほど、大変な事件
・森友・加計問題では、あなたに対し「嘘つき」とか「不誠実だ」という声が大きく上がりました。 7月の臨時国会であなたがふれた、「今年の1月20日にはじめて加計孝太郎氏が特区に獣医学部新設の計画を申請していたのを知った」という話は、ちょっと国民に理解させるには難しい話です。
・それでも私は安倍さんを信じましょう。 また奥様の昭恵さんについては、東日本大震災の被災地をしっかりまわって、多くの人から信頼されているのは知っていますし、こうした奥様の活動は、私が知る限り安易な考えではできないことだと思いますから、夫婦お二人ともに、人間として不信を抱く者ではありません。たいへん尊敬しております。
・でも、やはり問題は問題であり、それどころかこれはかなり深刻な問題だということを、ご自身でしっかりと受け止めなくてはなりません。 何が起きたのかをはっきりさせなくては、今後の国の運営に非常に大きな害悪を及ぼす、重大な案件です。安易な気持ちで見逃してはなりません。これはふつうの事件ではありません。
・というのも、それは総理、あなたが「自分は何も知らない」「何の問題もない」と言い切られ、さらに私がその言葉を信用するからこそ、そうなのです。 このことを取り違えないようにお願いいたします。あなたが疑わしいから問題なのではない。あなたが潔白であるなら、そうであるほど問題なのです。
・国家の首相が知らないところで非常に強引と思われる意思決定が行われた。少なくともその決定に対し、省の事務次官にいた人が「行政が歪められた」と発言した事件です。ただ事ではありません。 あなたの知っているところで、あなたや誰かが動かして、そういうことが起きたのなら、問題はそれほど大きくないのです。そのプロセスを止めればよいだけですから。 あるいはあなたは知らないにしても、周りの人や現場が忖度して勝手に動き、こういうことが起きたのだと、そういうことであれば、その忖度をあなたが叱りつけ、やめさせればよいだけです。コントロール可能な事件ならば、それほど怖れることはありません。
・問題はやはり、あなたやあなたのまわりの方々が否定しているのにもかかわらず、事業の現場である肝心の文科省から、政府の関与を示す文書が次々と出て来たことです。 現役官僚が、「これを進めてはいけない」と思わせるような何かがそこにはあったということです。こういうことは官僚の立場上、ふつうは出てきません。
・よほど「おかしい」「これではなすべき仕事ができない」と思わせるようなプロセスが進んでいたと思わなくてはなりません。 その際――よいですか、この国の官僚はきわめて優秀で公正です。まさかと思いますが、そのトップにいるあなたが、彼らを信頼していないというのではないでしょうね。 あなたのこれまでの発言にはどうもそういう意味がこめられているようで、私はたいへん気になっています。あなたは行政のトップなのですから、官僚たちを信頼し、うまく彼らを使いこなさなくてはならない。 そういう立場なのだということを、きちんとわきまえなくてはなりません。まして彼らを「敵」と見なすなど、あってはならないことです。
▽官僚と政治の間で何が起きたのか
・官僚が優秀だというのは、まずはこういうことです。 行政官僚はもちろん、意志決定する者ではありませんので、ある意味では政治のマシーンです。ですから政治的な決定がなされれば、それに従って動かなくてはなりません。 しかしまた、こういう面もあるわけです。 政治的決定と言ってもそれは決定するだけで、実際に動かすのは官僚です。現場は官僚で動きます。彼らなくしては、政治は政策として実現することはできません。
・そしてその人々が優秀だというのは、政治を実現する機構としてまずは優秀だということです。あなたの演説も答弁も、彼らのおかげで形になっているのではありませんか。 そしてその際にもう一つ、彼らは公正でもあります。彼らは法を遵守します。 またそこには、過去からの積み重ねの中で各省ごとに獲得しているあるべき行政のあり方についての規範があり、個別にはそれを逸脱する人がいたとしても、全体としておかしな政策が動かないよう自制・自浄が働くようになっています。
・これは政治の過程とは別に、行政過程としてサーモスタットのように機能しており、ですのでこの国は非常に複雑にできているのに、かなりの部分を政治が放っておいても、おかしなことは起きずに自動的に制御されるのです。
・さらに私は次のことを強調したい。彼らは単なるマシーンではありません。集団であり、組織です。彼らには彼らの秩序があり、なすべきことへの責任や倫理がしっかりと構築されています。 そしてそれは、彼らがただ政治的決定を実現し、また法を遵守するということだけでなく、きちんと国民の側に立って、政策として何が必要で、何をしてはいけないかを判断する能力を、明治維新以来の長い省庁の歴史の中で行政文化としてもっているということなのです。
・ですから官僚は、政治家の政策実現装置であるだけでなく、公正かつ(杓子定規ではなく、各法がもつ精神に従って)適正に法を守り、それによって国民の暮らしをしっかりと守る、そういう国家の安定装置でもあるわけです。彼らは法を守ります。 そして憲法に基づけば、主権は国民にありますから、何よりも国民を守ります。それゆえ、法を逸脱し、国民の権利を損ねるような政治的決定が行われれば、それを軌道修正する側に立ち、場合によっては政治に抵抗することもあるわけです。そういう適正化装置なのです。
・その官僚から、「政策が歪められた」という発言がでたというのは相当なことです。これは大事件であるとあなたは正しく受け止めなくてはなりません。 今回の事件に対してはしかし、この正しく動いている装置を、問題の矛先が総理自身に向けられたことから、「むしろこの官僚機構にこそ問題があるのだ」と、だから「ぶっ壊してしまえ」と、そういう方向であなたのまわりの方々は処理してきました。 いやあなた自身もですね。悪いのは官僚の方なのだと。ゆがんだ行政を私が正すのだと。
・しかしこの事件で出ていた情報は、私にはあなたに分がないように思えます。でも私はあなたを信じましょう。あなたは潔白だということを前提にした上で、でもやはり次のことは問題になるのです。
▽問題を曖昧にし、事態はさらに悪化
・世の中は、すべてクリーンに清潔に動くものではありません。まして多額の公金が関わる事業には様々な怪しい作動が生じえます。 しかも、みながそこで清廉潔白であったとしても、それぞれには立場があり、考え方のズレや誤解などが重なると、本来あるべきではない形で政策や事業が進むということも、現実にふつうにおきうることです。
・まして今回問題になったこの事業は、岩盤規制を取り除くという特区事業です。規制はもちろん理由があってしかれているのですから、それを取り外す際に異論や反論が噴出するのは当然です。出ない方がおかしいと言うべきでしょう。 そしてそれは、規制を外すことで不当に利益を得る人々が現れる可能性があるからであり、またいったん規制を外してしまえばもう一度規制をかけることは非常に難しくなるからです。規制の解除は慎重に判断していかねばなりません。
・そこであるべき政治の姿とは、官僚たちの話をきちんと聞きながら、ていねいに現場を歩き、情報を集め総合し、国民の利益となる適切な解を導き出すことでした。その場合、ことによっては規制の存続も解になりえます。 それに反して、あなたやあなたのまわりの方々は特区実現のための規制解除という解を先に決め、そこに強引に持ち込もうとしたように見えます。だから異論が出てきたのではないですか。
・そうでなければ、一体なぜこれほどまでこの問題がこじれたのか、わかりません。あなたには行政のトップとしてその真相を解明し、公表する責務があるわけです。 ともかく現段階において、今回の事件は、出てきている情報に全く整合性がありません。誰かが嘘をついているとしか考えられない状況です。
・あなたやあなたを守る側の方の主張と、例えば元官僚の方の発言とのズレはあまりに大きく、このままでは何が起きてこういう事件になったのか、全く説明がつきません。この事態をあなたは早く解消せねばなりません。 というのもこのままでは、事件の真相がわからないまま、あなたへの疑いは強く深く残されることになるからです。
・他方であなたは権力者ですから、あなたが事件をこれ以上解明せず、事実上なかったことにすれば、今度は告発をした真面目な官僚たちの側が、その公正性を否定されることになります。 加計問題がこのまま終わることとは、官僚たちがやっている日々の仕事の正しさを否定し、むしろ彼らに、国民の側に立って権力に逆らえば自分自身の立場も危うくなるぞと、そういう脅しをかけることに他なりません。
・こうした前例を作れば、行政は正しい形では動いていきませんよ。それどころか今後、本当に不正な事件がこの国の内部に起きても、おかしな忖度が働いてそれを積極的に覆い隠し、内部告発などは二度と出なくなると思います。
・そうすれば、あなた自身にも何が起きているのか分からなようなおかしな事件が、次々とつづいていくことになるはずです。 いやすでに、おかしなことがこのところたくさんつづきましたね。 この問題には最低でもしっかりとした調査のメスを入れなければ、この先さらに何が生じるか、空恐ろしいものがあると言えます。この問題を適切に処理できるかどうか、あなたには非常に重い責任があるのです。
・あなたは潔白です。それは信用したいと思います。でも、あなたに問題がないとして、それですむ話ではないのです。むしろ事態はますます複雑で、奇怪で、そして危険だといえます。 いま私は調査のメスを入れるよう言いましたが、これはちょっとした調査で簡単に解明されるものではないかもしれません。この事件が今後、裁判で争われるようになったとしても、真相の解明は簡単ではないように思います。
・何が起きてこうなったのか、非常にこじれた事件です。ともかくまずは解明の手がかりをえるまで、特区というやり方を一旦停止しておくのが賢明でしょう。
・とはいえ、こうした状況の中で、一つだけ、あなたに確実にできることがあります。 それは加計孝太郎さんのことです。あなたには問題はない。それは確かなのでしょう。でもあなたのお友達の加計孝太郎さんには、やはり問題があるといわざるをえません。それを正すことです。
▽「李下に冠を正さず」と、あなたが友人に言わなくてはいけない
・あなたはこの事件を説明する際に、「李下に冠を正さず」という言葉を使われました。 「李下に冠を正さず」とは、「李(スモモ)の木の下で冠を直そうと手を挙げると、実を盗むのかと疑われるので、冠を直してはいけない」という意味です。 あなたは「私はそんなことはしていない」とおっしゃいます。私もそれは認めましょう。でも、加計さんはまさに、李下で冠を正してしまったのです。やはりそれが問題の原点なのです。
・だからあなたは、加計さんにこう言わなければならない。 「友人なら、なぜ私がトップにいる特区事業に手を挙げるのだ。君が手を挙げるから、おかしなことが起きてしまった。君は手を引かなくてはならない」と。 すでに文科省の大学設置審が11月10日に認可する見通しとの報道もでましたが、今からでも遅くはありません。 加計さんに友人として「李下に冠を正さず」ときっぱりとおっしゃってください。加計さんには、今回の獣医学部新設の事業から自ら手を引くことを強く要請しなくてはなりません。
・そこには多額の負債や人としての信頼の喪失を覚悟せねばなりませんが、友人であるあなたのためです。間違いなく「わかった」といってくれるはずです。 そしてそうしなくては、森友学園の籠池氏にだけ冷たくあしらうあなたの態度は、非常に不公正に見えるのです。「李下に冠を正さず」は、そういうことをしてはいけないという教えですが、二人はそれをやってしまった。
・それを見てまわりが「実を盗もうとしているのではないか」と大騒ぎになったわけですが、結果として一方は盗人(あなたの言葉では「詐欺を働く人物」)になり、他方は咎められることなく本当にスモモがとれた。 その時にまだ、あなたが、あなたから遠い籠池氏をかばって、親友である加計氏の方に厳しく対応したのなら、話はここまでこじれないのです。 二人への対応が全く違いましたね。籠池氏は国会の証人喚問に応じたことで、結果として罪に問われる羽目になりました。それに対し、加計氏はあなたが国会の追求から頑なに守ったことで、疑いにこたえることもなく、今スモモは彼の手に落ちようとしています。
・もしそうなれば、スモモの木(あなたのことです)に本当に近い人は、疑われてもスモモの木が守ってくれる。スモモの木の親友は、李下で冠を正しても誰にも文句はつけられない、そういう前例を作ることになるのです。 このままでは今後、あなたが知らないところで、「あの人は総理のお友達ではないか。どれくらいのお友達なんだろう」と余計な勘ぐりが働き、そしてあなたのお友達だと分かれば、そのお友達にスモモをとらせなくてはならないのではないかと、そういう動きがはっきりとでてくることになりすよ。
・しかもそこにもし本当に不正があったとしても、もはや今回のように表には出てこず、また内部告発も封じられつつあるのですから、この先本当に何が起きるかまったく分からない状況だと言ってよいと思います。 今回はまだ不正はなかったのかもしれない。しかし不正はなくとも、こうした妙な勘ぐりの連鎖の結果が今回の事件の真相なのではないですか。 すべては「李下に冠を正した」ことが、ことの発端なのです。本当にスモモに近いところにいる人は、その冠を正しただけで、すでに問題なのです。
▽「絶対的権力は絶対的に腐敗する」
・なぜこんなにおかしな事件が相次いでしまったのでしょう。 基本的にはあなたの油断だと思います。それはあなたも認めるところでしょう。が、それ以前に、あなたに権力が過剰に集まりすぎたことから起きたことです。このことに正面から向き合っていただきたい。
・「絶対的権力は絶対的に腐敗する」という言葉があります。あなたはもはや「絶対的権力」者です。今回の選挙で勝利したことで、あなたはこれで大丈夫と思っているのかもしれません。 しかし絶対的権力とは、実はきわめて危ういものなのです。強すぎる権力は、必ず砂上の楼閣です。この一連の事件と、それをもみ消すための選挙で勝利したことによって、その楼閣はさらに高く積み上がってしまった。 でもいつ崩れるかわからない、非常にもろい楼閣です。もうこれ以上積み上がらないよう、はやくこの権力集中を解かなくてはいけません。
・あなたの心身はおそらく今、相当きついのではないかと推察します。だからこのところ野党の質問時間を減らしてあげようと、まわりでそういう忖度が働いているようですね。 でもあなたの不調は、けっして森友・加計問題のせいではありませんよ。こうした問題をもたらすもととなったあなたの権力、その過剰な権力こそが原因です。 不調は、この権力がもたらしうる恐ろしい結果を、あなた自身がどこかで気付いているからにほかなりません。
・ともかく、はやく手を打たなくてはなりません。何かとんでもないことが起きる前に。表には見えないだけで、あなたの政権下ですでに政治・行政の腐敗がかなり根深く進んだようです。 でも今ならまだ崩壊という状況にはありません。十分間に合います。はやくあなたに、あなたやこの国がおかれている本当の現実に気付いていただきたいのです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53404

次に、コラムニストの小田嶋 隆氏が11月17日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「モリカケ問題が沈静化しない理由」を紹介しよう(+は段落)。
・岡山理科大学獣医学部の新設が、認可されることになった。 10月14日、林芳正文部科学大臣が、閣議のあとの記者会見で、学校法人「加計学園」の獣医学部について、文部科学省の大学設置審議会の答申を踏まえ、来年4月の開学を、正式に認可したことを明らかにしている(こちら)。
・5月のはじめに、朝日新聞が「総理のご意向」などと記された文書の存在を報じて以来、およそ半年間くすぶり続けてきた問題に、一応の決着がついたカタチだ。 「一応の決着」という書き方をしたのは、手続き上は決着したように見えても、この結果に納得していない人たちがたくさんいるだろうと思ったからだ。
・というよりも、納得していない側の陣営が大騒ぎしている中で、それでもなお一方的な形で手続き上の決着を急いだ政府の姿勢に驚いているからこそ、今回、私はこの話題を蒸し返すことを決意したわけで、加計学園問題は、これから先、認可の適正さの問題という当初の設定を超えて、政府が国会軽視の態度を強めたきっかけの事件として、さらには、紛糾した問題への対応の強引さからうかがえる政権の強権体質を示唆する問題として振り返られることになるのだろうと考えている。
・加計学園は、解明されることによってではなく、むしろ解明に向けた説明を拒んだ人々の狭量さを明らかにすることによって、現政権の問題点を浮かび上がらせている。その意味で、大変に稀有な事件だ。 そもそも、森友・加計学園問題と呼ばれている一連の疑惑が与野党間の対決的な争点となったきっかけは、安倍晋三総理が、2月17日の衆議院予算委員会の答弁で 「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」 と断言した時点にさかのぼる。
・安倍首相が、なにゆえにこんな大上段に振りかぶった宣言をカマしたのかは、いまとなっては謎だ。 首相が、この問題をナメてかかって、それゆえに軽率な断言を振り回したのか、でなければ逆に、危機感を抱いていたからこそ過大な言葉で自らの関与を否定しにかかったのか、いずれが真相に近いのかは、ご本人以外にはわからない。ともあれ、「総理大臣も国会議員も辞める」というこの時の大言壮語は、その後のご自身の行動を制限する結果を招いた。すなわち、首相は、この件に関して、少しでもご自身ないしは昭恵夫人の関与をうかがわせるいきさつについては、徹頭徹尾全面否定せざるを得ない立場に追い込まれたわけで、この時点で、首相にとって妥協の余地は事実上消滅した。つまり、小さな痛みを我慢しつつより大きな合意を得るという政治の常道を選択する道が閉ざされた形だ。
・で、本来は首相夫人を巻き込んだよくある公私混同の問題、ないしは、文科省の認可行政にまつわるこれまたよくある不透明な行政上の瑕疵に過ぎなかったこののお話は、首相の進退を問う疑惑に格上げされることになった。
・逆に言えば、総理が、2月の段階で、昭恵夫人による学園への寄付の真意(あるいは寄付の有無)や、学園の設立への関与について、それなりの事情説明なり陳謝なりをしていれば、コトは総理周辺のちょっとした「脇の甘さ」の問題として決着していたかもしれないのだし、国有地が不当に安い価格で払い下げられていた問題にしても、関係した官僚や政治家がしかるべき情報を開示したうえで当時の事情を説明していれば、事件全体は、何人かの役人のクビと引き換えに決着する小規模な利益誘導案件で終結していた可能性が高い。いずれにせよ、倒閣や首相更迭に値する話ではなかった。
・後から浮上してきた加計学園をめぐる不祥事についても同様だ。 報道の核心は、「総理のご意向」文書(が存在したのだと仮定して)の適法性や、当該の獣医学部認可や規制緩和特区の選定への総理の関与の有無を追及する声から、次第に、政府が関連文書を隠蔽し国会答弁を拒否している姿勢への攻撃にその重心をシフトしていった。
・これは、見ようによっては、「たいした疑惑が隠れているわけでもない、ごく一般的な不祥事をことさらに大きく取り上げて、倒閣の材料にすることを狙っている反日マスゴミによる策動」に見えるのかもしれない。 実際に、一部のネット論客はそう見ているし、メディア内でそれなりの仕事をしている人たちの中にも、モリ・カケ問題を「一部メディアによる偏向報道」と断じている向きは少なくない。
・私の見るに,マスメディアがこの件を執拗に追っているのは、必ずしも倒閣を目的としているからではない。 といって、彼らが事件を針小棒大に報じようとしているとも思わない。 倒閣を熱望している記者がいないとは言わないし、全体として現政権に良い感情を持っていない報道機関だってあるのだろうとは思っている。でも、だからといって、彼らが倒閣のために記事を書いていると断ずるのは軽率だろう。
・メディアの人間がこの話題に固執しているのは、ごく単純な話、事件にかかわる情報があまりにも不自然に隠蔽されていることに対する、取材者として極めて自然なリアクション、だと思う。 資料が廃棄され、関係者が取材を拒み、疑惑の当事者である学園長が参考人招致を拒絶するのみならず世間から姿をくらまし、もう一方の当事者であった当時の文科省次官が情報をリークすればしたで、その元次官について世にも不自然な下半身不祥事が全国紙に暴露され、そうしている間にも認可前の新設学部の建設工事は停滞することなく進められ、最先端の獣医学に寄与するという建前にもかかわらず大学院設置へのロードマップは明示されず、四国地方に獣医師が不足しているという開学理由を裏切るようにして韓国での留学生募集が始められていることが明るみに出てきているからこそ、事件の取材に携わる記者たちは、意地になって記事を書き続けて、次につなげようとしてきたのだと思う。
・いわゆる加計学園疑惑報道(=疑惑そのものではなく報道)を攻撃する言葉として最も典型的に繰り返されているのは 「なんのエビデンスも無いじゃないか」 というセリフだったりする。 まあ、疑惑なのだから、エビデンスは、解明されてからでないと出てこないと言えばそうも言えるわけだが、一方に、確たる証拠のない事案について断定的な書き方をしているメディアの姿勢に疑念を抱く人々がいることはよくわかる。
・とはいえ、実際のところ、学園周辺ならびに政府が、報道側の質問に対してほとんどまったく何の回答も提示していないどころか、周辺情報すら積極的に消しにかかっていることが目に見えているからこそ、「答えがない」ということを繰り返し報道せざるを得なくなっているのが実態ではあるわけで、つまりこの問題は、エビデンスの有無以前に、政府ならびに学園の隠蔽ぶりのあまりといえばあまりに異様な強烈さそのものが報道の核心になっている、はなはだ珍しいケースだと考えるべきなのではなかろうか。
・岡山理科大学獣医学部が認可されるに至った事情を取材すれば、とてもではないが 「何の問題もない」 とはいえないはずだ。 百歩譲って 「多少の問題はあるだろうけど、たいした問題ではない」 「たしかに問題はあるけど、ほかの大学のほかの学部の認可だって似たようなものだよ」 ということが仮に言えるのだとしても、その種の相対化は、学園側が説明を拒む理由にはならない。政府が国会答弁を嫌って臨時国会を冒頭解散したり、衆議院を解散したり、新たに始まることになっている解散後の国会の質問時間の割り振りを変更する理由にはなおのことならない。あたりまえの話だ。
・つまり、何がおかしいのかというと、何かがおかしいと多くの人々が感じていることがらについてまったく説明が為されていない点がおかしいわけで、このおかしさは、この問題が浮上した当初の疑問のおかしさよりも巨大な疑惑に成長している。だからこそ、本来は文部科学行政上の些細な不祥事であったこの話題は、政権担当者のリーダーとしての資質を疑わしめる試金石に変貌している。
・「説明してください」 「文書がありません」  「えっ? どうして」 「廃棄しました」  「認可の過程を教えてください」 「議事録がありません」  「どうしてですか?」 「個別の議事録は作成していません」  「学園長を参考人招致したい」 「招致の必要を認めません」
・これでは、まるでらちがあかない。 仮に疑惑のエビデンスがつかめていなくても、こんな事態に直面したら「これほどまでに強烈に隠蔽をはかっている以上、その先には必ずや何かが隠れているはずだ」と類推するのが、取材者の当然の構えというものだ。
・追及の過程で明らかになったことがいくつかある。 もちろん学部認可問題の真相ではない。 むしろ、真相がまったく明らかにならないことによって明らかになったことがあるというお話だ。 なんというのか、加計学園問題の真相それ自体よりも、もっと深刻でずっと致命的なことが次々に明るみに出ていることが、この問題の特別なところで、経緯を振り返ってみるに、政府は、この本質的にはわりとどうでも良い首相ご自身の公私混同案件を隠蔽するために、結果として、およそ空恐ろしい掟破りの反則を次々と犯してきたということだ。
・この問題の核心は、つまるところ、インチキな質草を持ち込んだことをごまかすために質屋の老婆を斧でたたき殺した青年の例と同じく、すでに当初のきっかけとしての事件(質草の虚偽性)とは別のステージに移行している。 念のために列挙しておけば、森友・加計問題が浮上させた問題点は、以下の通り。
 +国会軽視:質問のはぐらかし、証人喚問、参考人招致の拒否、度重なる強行採決と審議拒否、臨時国会開催要求に対する3カ月に及ぶ放置、臨時国会冒頭での首相の演説を経ない解散、再開国会での野党質問時間の短縮要求
 +行政への不当介入:行政文書の廃棄、国家戦略特区ワーキンググループの議事録と議事録要旨の食い違い(議事録要旨改ざんの疑い)、国会答弁で野党側の質問に対して説明を拒んだ官僚の異例の出世などなど
 +公私混同:首相の信奉者であった森友学園理事長と、首相の友人である加計学園グループのリーダーの扱いの違い(国会の証人喚問に応じて事件について証言した籠池泰典氏がほどなく逮捕され、しかも勾留以来、3カ月以上にわたって保釈されないところか接見禁止の状態が続いているのに比べて、首相の腹心の友とされる加計孝太郎氏は、メディアの取材すら一切寄せ付けない環境で守られている)
・最後に、個人的な見解を明らかにしておく。 私は、モリ・カケ問題は、東アジアの政治家にありがちな身内への甘さが招いた不祥事だというふうに理解している。 規模や悪質さに違いはあるものの、基本的な構造は朴槿恵前韓国大統領が退陣に追い込まれた事件とそんなに変わらない、と考えてもいる。
・とはいえ、モリ・カケ問題は、隣国の前大統領の公私混同の酷さとくらべれば、ずっと些細な話ではある。  であるから、今回の一連の出来事を通じて安倍首相の身内への甘さが露呈したことが、政治家としての致命的な失点であるというふうにはあまり考えていない。
・身内に甘い顔をする傾向は、なにも安倍首相に限った問題ではない。 これまでにも、多くの政治家が、それぞれの時代に応じて似たような問題を追及され、陳謝し、けじめをつけ、次の選挙までの間しばらく謹慎したりしつつ、この種の問題に向き合ってきた。 そもそも、身内を大事にすることは、「オヤジ」「センセイ」と呼ばれることの多いうちの国の政治家にとっては、失点である一方で、「義理堅さ」と「頼りになる」実力を物語る、大切な資質でもあった。
・古いタイプの政治家の支持者たちの中には、親しい知り合いや地元に利益誘導をすることこそが政治力だと考えている人たちがたくさんいる。その意味では、安倍さんが親しい友人や近い理想を抱く人間に便宜をはかったことは、許しがたい公私混同である一方で、彼が頼りになる政治家であることを示唆する話でもある。
・何を言いたいのか説明する。 うちの国では、多くの政治家は、結局のところ、身内に便宜をはかっている。 で、運悪くバレた人間だけがその所業を裁かれることになっている。 安倍首相ご自身は、だから、昔から多くの権力者が当然のようにやってきている利益誘導が「バレ」たことを、「運が悪かった」ぐらいに考えているのかもしれない。じっさい、バレずに済んでいる人たちもいるのだろうし、バレた人間だけが裁かれるのは、不当といえば不当でもある。
・が、スピード違反の取締を見ても明らかな通り、バレた人間だけが裁かれるというのは、法律が実際に運用される姿としては、ごく当たり前の姿で、そこに文句を言っても仕方がない。 私がむしろ懸念しているのは、安倍首相ならびに政府が、自らの過ちを認めないために行政を歪め、事実を隠蔽し、現実に直面しないために国会を歪めていることだ。
・これは、絶対に容認することができない。 問題は、ミスを犯したことではなくて、ミスを認めず改めないばかりか、ミスを指摘する人間を攻撃していることだ。 これはなかなか深刻なことだ。
・「あれ? シンちゃん、いま何かポケットに入れなかった?」 「入れてないよ」  「入れたじゃないか。オレは見てたぞ」  「入れてないよ」  「じゃあ、ポケット見せてよ」 「いやだ」   「いいじゃないか。なんにも入れてないんなら、別に見せてもかまわないだろ?」 「絶対にいやだ」  と、ここまでのところは、普通の子供のいさかいに過ぎない。むしろほほえましい話かもしれない。
・が、ここでシンちゃんがポケットを覗き込もうとした子供を階段から突き落としてしまったら、このお話は別のタイプのホラーストーリーになる。 シンちゃんがポケットに入れたのは、離れて暮らしているママの写真で、シンちゃんはそれを見られるのが恥ずかしかっただけなのかもしれない。 ただ、もはや問題は、ポケットに何がはいっていたのかではない。 解決はとてもむずかしくなっている。 ともあれ、階段をころげ落ちたお友だちが無事であることを祈ろう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/111600119/

第一の記事で、 『あなたが疑わしいから問題なのではない。あなたが潔白であるなら、そうであるほど問題なのです。 国家の首相が知らないところで非常に強引と思われる意思決定が行われた。少なくともその決定に対し、省の事務次官にいた人が「行政が歪められた」と発言した事件です。ただ事ではありません』、 官僚は、政治家の政策実現装置であるだけでなく、公正かつ(杓子定規ではなく、各法がもつ精神に従って)適正に法を守り、それによって国民の暮らしをしっかりと守る、そういう国家の安定装置でもあるわけです・・・それゆえ、法を逸脱し、国民の権利を損ねるような政治的決定が行われれば、それを軌道修正する側に立ち、場合によっては政治に抵抗することもあるわけです。そういう適正化装置なのです。 その官僚から、「政策が歪められた」という発言がでたというのは相当なことです。これは大事件であるとあなたは正しく受け止めなくてはなりません』、 『なぜこんなにおかしな事件が相次いでしまったのでしょう。 基本的にはあなたの油断だと思います。それはあなたも認めるところでしょう。が、それ以前に、あなたに権力が過剰に集まりすぎたことから起きたことです。このことに正面から向き合っていただきたい』、などの指摘は言い方こそソウトだが、ズバリ安部の痛いところを突いている。
小田嶋氏の記事で、大学設置審議会の答申や林大臣の認可が総選挙後に出てきたことは、安部政権の隠蔽を象徴している。 『メディアの人間がこの話題に固執しているのは、ごく単純な話、事件にかかわる情報があまりにも不自然に隠蔽されていることに対する、取材者として極めて自然なリアクション、だと思う』、 『学園周辺ならびに政府が、報道側の質問に対してほとんどまったく何の回答も提示していないどころか、周辺情報すら積極的に消しにかかっていることが目に見えているからこそ、「答えがない」ということを繰り返し報道せざるを得なくなっているのが実態ではあるわけで、つまりこの問題は、エビデンスの有無以前に、政府ならびに学園の隠蔽ぶりのあまりといえばあまりに異様な強烈さそのものが報道の核心になっている・・・政府が国会答弁を嫌って臨時国会を冒頭解散したり、衆議院を解散したり、新たに始まることになっている解散後の国会の質問時間の割り振りを変更する理由にはなおのことならない』、 『私がむしろ懸念しているのは、安倍首相ならびに政府が、自らの過ちを認めないために行政を歪め、事実を隠蔽し、現実に直面しないために国会を歪めていることだ』、などの指摘も本質を突いて痛快だ。
タグ:公私混同 日経ビジネスオンライン 国会軽視 現代ビジネス 加計学園問題 小田嶋 隆 (その12)(「絶対的権力者」安倍総理は なぜ極めて危ういと断言できるのか 加計学園問題をもう一度考える、小田嶋氏;モリカケ問題が沈静化しない理由) 山下 祐介 「「絶対的権力者」安倍総理は、なぜ極めて危ういと断言できるのか 加計学園問題をもう一度考える」 森友・加計問題 国家の首相が知らないところで非常に強引と思われる意思決定が行われた。少なくともその決定に対し、省の事務次官にいた人が「行政が歪められた」と発言した事件です。ただ事ではありません 問題はやはり、あなたやあなたのまわりの方々が否定しているのにもかかわらず、事業の現場である肝心の文科省から、政府の関与を示す文書が次々と出て来たことです。 現役官僚が、「これを進めてはいけない」と思わせるような何かがそこにはあったということです。こういうことは官僚の立場上、ふつうは出てきません 官僚は、政治家の政策実現装置であるだけでなく、公正かつ(杓子定規ではなく、各法がもつ精神に従って)適正に法を守り、それによって国民の暮らしをしっかりと守る、そういう国家の安定装置でもあるわけです。彼らは法を守ります 法を逸脱し、国民の権利を損ねるような政治的決定が行われれば、それを軌道修正する側に立ち、場合によっては政治に抵抗することもあるわけです。そういう適正化装置なのです その官僚から、「政策が歪められた」という発言がでたというのは相当なことです あなたやあなたのまわりの方々は特区実現のための規制解除という解を先に決め、そこに強引に持ち込もうとしたように見えます。だから異論が出てきたのではないですか 加計さんには、今回の獣医学部新設の事業から自ら手を引くことを強く要請しなくてはなりません 絶対的権力は絶対的に腐敗する」 ・なぜこんなにおかしな事件が相次いでしまったのでしょう。 基本的にはあなたの油断だと思います。それはあなたも認めるところでしょう。が、それ以前に、あなたに権力が過剰に集まりすぎたことから起きたことです。このことに正面から向き合っていただきたい 「モリカケ問題が沈静化しない理由」 岡山理科大学獣医学部 林芳正文部科学大臣 来年4月の開学を、正式に認可 解明に向けた説明を拒んだ人々の狭量さを明らかにすることによって、現政権の問題点を浮かび上がらせている 私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい 小さな痛みを我慢しつつより大きな合意を得るという政治の常道を選択する道が閉ざされた形だ 報道の核心は、「総理のご意向」文書(が存在したのだと仮定して)の適法性や、当該の獣医学部認可や規制緩和特区の選定への総理の関与の有無を追及する声から、次第に、政府が関連文書を隠蔽し国会答弁を拒否している姿勢への攻撃にその重心をシフトしていった ・メディアの人間がこの話題に固執しているのは、ごく単純な話、事件にかかわる情報があまりにも不自然に隠蔽されていることに対する、取材者として極めて自然なリアクション、だと思う 資料が廃棄され、関係者が取材を拒み、疑惑の当事者である学園長が参考人招致を拒絶するのみならず世間から姿をくらまし、もう一方の当事者であった当時の文科省次官が情報をリークすればしたで、その元次官について世にも不自然な下半身不祥事が全国紙に暴露され、そうしている間にも認可前の新設学部の建設工事は停滞することなく進められ、最先端の獣医学に寄与するという建前にもかかわらず大学院設置へのロードマップは明示されず、四国地方に獣医師が不足しているという開学理由を裏切るようにして韓国での留学生募集が始められていることが明 学園周辺ならびに政府が、報道側の質問に対してほとんどまったく何の回答も提示していないどころか、周辺情報すら積極的に消しにかかっていることが目に見えているからこそ、「答えがない」ということを繰り返し報道せざるを得なくなっているのが実態ではあるわけで、つまりこの問題は、エビデンスの有無以前に、政府ならびに学園の隠蔽ぶりのあまりといえばあまりに異様な強烈さそのものが報道の核心になっている、はなはだ珍しいケース 何かがおかしいと多くの人々が感じていることがらについてまったく説明が為されていない点がおかしいわけで、このおかしさは、この問題が浮上した当初の疑問のおかしさよりも巨大な疑惑に成長している 行政への不当介入 うちの国では、多くの政治家は、結局のところ、身内に便宜をはかっている。 で、運悪くバレた人間だけがその所業を裁かれることになっている 安倍首相ご自身は、だから、昔から多くの権力者が当然のようにやってきている利益誘導が「バレ」たことを、「運が悪かった」ぐらいに考えているのかもしれない。じっさい、バレずに済んでいる人たちもいるのだろうし、バレた人間だけが裁かれるのは、不当といえば不当でもある 私がむしろ懸念しているのは、安倍首相ならびに政府が、自らの過ちを認めないために行政を歪め、事実を隠蔽し、現実に直面しないために国会を歪めていることだ
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