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自動車(無資格検査)(日産自動車不正検査問題-やはり内部告発が端緒だった・・、日産「無資格検査」を誘発した時代遅れの国交省の認証制度 問題の本質は、実はここにあるのでは、日産の検査不正に国交省が激怒する本当の理由) [企業経営]

今日は、自動車(無資格検査)(日産自動車不正検査問題-やはり内部告発が端緒だった・・、日産「無資格検査」を誘発した時代遅れの国交省の認証制度 問題の本質は、実はここにあるのでは、日産の検査不正に国交省が激怒する本当の理由) を取上げよう。

先ずは、山口利昭法律事務所が10月22日付けビジネス法務の部屋に掲載した「日産自動車不正検査問題-やはり内部告発が端緒だった・・・」を紹介しよう。
・日曜日ですが、備忘録を兼ねて短めのエントリーをひとつ。FNNニュースですでにご承知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の日産自動車さんの不正検査(無資格者による最終検査)問題について国交省の抜き打ち検査が行われたのは、その数か月前に国交省に内部告発(社内からの情報提供)がなされていたことによるものだそうです。日産自動車の件では、初めて内部告発の存在が明らかになりました。つまり、従業員の方の内部告発がなければ、日産さんは今も平穏無事に(?)無資格者による最終審査を継続しており、新型リーフによる新たな事業戦略がマスコミで華やかに取り上げられていたことになります。
・日産さんは当初、「本件について内部通報や告発があったものではない」と発表していました。ただ、私の前回のエントリーの最後のところで述べたとおり、実際には内部告発で発覚したということで、しかも監督官庁がマスコミに漏らした・・・ということなので、日産さんと監督官庁との信頼関係はかなり破たんしていることがわかります。再発防止策を実施したと監督官庁に報告していながら、実はその後も無資格検査が続いていたことが判明したので、日産さんとしては国交省のメンツをつぶしてしまったことになります(これは有事対応としては最悪のパターンです)。
・ここからはまた私の推測ですが、従業員の方がいきなり内部告発に至ったとは思えません。定石通り、最初は社内へ内部通報をしたり、上司に問題提起をしておられたものと推測いたします。仮に社内通報が行われていたとなりますと、今度は「不正隠し」(もしくは情報の根詰まり)のほうが無資格検査よりも大きな不祥事として世間から批判を受けることになり、沈静化には長い時間を要することになります。これで「安全性には問題はない、といった意識から、そんなに悪いことではないと現場社員は考えていた」といった安易な企業風土論で片づけることができない不祥事であることが認識できました。
・土曜日(10月21日)は、私の事務所で神戸製鋼事件に関する某新聞社の取材を受けました。ここ1週間の間に数名の方から取材を受けましたが、「監査はなぜ機能しなかったのか」といった視点から取材を受けるのは初めてでした。日産さんの件、神戸製鋼さんの件、そして商工中金さんの件、いずれにおいても「監査はなぜ機能しなかったのか」といった視点で原因を究明することは当然であり、ようやくマスコミもそこに関心を向けるようになったと感じました。神戸製鋼さんの品質データ偽装問題については、今のところ自主調査によって発見し、これを自主的に公表したとされていますが、こちらも本当に会社の発表どおりなのか、やはり第三者への情報提供があったのではないか・・・と疑問を抱くところです。
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2017/10/post-ea72.html

次に、ジャーナリストの井上 久男氏が10月23日付け現代ビジネスに寄稿した「日産「無資格検査」を誘発した、時代遅れの国交省の認証制度 問題の本質は、実はここにあるのでは」:を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽「国内向け」だけが出荷停止の理由
・日産自動車の西川廣人社長が10月19日に記者会見し、9月に無資格者が車両の最終検査をしていたことが発覚した後も無資格検査が継続して行われていたとして、お詫びした。日産は2週間近く「国内出荷」を停止する。
・19日の記者会見などによると、子会社の日産車体湘南工場では発覚後も無資格者の検査が続き、国内最大の日産九州工場、栃木工場、追浜工場では、国交省に届けていた場所とは違う場所に検査行程を移して最終検査をしていたという。九州、栃木、追浜の3工場については、不祥事発覚後の初期の調査では、違う場所に移していたことに気付かず、後の社内調査で判明したため、19日に公表した。
・道路車両運送法に基づいて国道交通省が定めた「通達」を日産は無視し、それが発覚した後もその通達を破っていたことになる。現行のルールでは日産の行為は到底許されるものではない。 ただ、日産の肩を持つわけではないが、こうした不祥事がなぜ起こるのか、という本質的な問題を筆者は考えたいと思う。
・日産の出荷停止が「国内向け」であることに気付いている方はいるだろうか。不祥事が発覚した工場では輸出用の自動車も一緒に生産して、一緒に検査しているのに、無資格者が検査していても、輸出はOKなのである。その理由は単純。海外では有資格者による最終検査を求めていないからである。 そして、「通達」で定められた有資格者による検査については、有資格者に、どのような技能が求められるかは明確に定義されていない。資格は国などの公的機関が認めたものでもないし、高度なテクニックを有しているわけでもない。「能力をもった人を会社が指名する」といった程度である。
・だから極論すれば、自動車の運転免許の切り替えの際に、無事故無違反の「ゴールド免許」の人が短時間の安全啓蒙映画を見て更新が済むイメージで、「資格」を与えようと思えば、短時間適当にビデオでも見せて勉強させ、「講習済」のお墨付きを企業が与えれば、それで「有資格者」になってしまうのである。 そんなにお金がかかるわけでもないのに、日産はなぜ、こんな簡単なことをやっていなかったのか不思議でならない。
・日産にはコストカットのイメージが強烈に付いているので、経費削減で手抜きしたのではないかと見る読者もいるだろうが、世界の消費者に最終製品として送り出すクルマで、品質管理で手を抜いて不具合を起こせば、訴訟ラッシュでどんなしっぺ返しが来るかくらいは、グローバルで商売している日産ならよく分かっているはずだ。
・それなのに、日産では無資格者が検査を続けたのはなぜか。答えは単純である。無資格者が検査しても、有資格者が検査しても、実態的には何も変わらないからである。 筆者は20年以上、自動車産業を取材、観察してきて、多くの自動車工場に訪れている。自動車工場の写真撮影はアングルなど制限があるが、この最終検査工程だけは、何の制約もなく写真OKのことが多い。「儀式」の工程であり、何のノウハウもないといっても過言ではない場所だからだ。
▽「品質」とは何か?という問い
・そもそも日本の自動車メーカーは「自工程完結」などと言って、品質は一つの工程内で完結させ、下流工程に不良品を流して迷惑をかけないとの発想があり、それを徹底している。この最終検査の段階で、もし不具合が発生したら、工場全体の品質管理が問われるほどの深刻な大問題になる。だから、最終検査で不具合が見つかることは、ほぼゼロに近い。
・企業で不祥事が起こる要因の一つに、法規やルールが実態に即していないため、ついついそれを破ってしまうケースがある。日産の今回の不祥事は、これに該当する。ただし、これは「ルール違反」なので、絶対に許されることではない。無免許でも運転がうまくて事故を起こさないから、運転してもいいでしょ、といった屁理屈と同じ類になってしまうからだ。
・今回のような日産の不祥事を起こさないようにするためには、「ルール」を変える必要があるのではないかと筆者は感じる。日本の自動車産業に関わっている人の中には、そう感じている方もいるのではないか。ただ、この局面でそれを言うと、「ルール破り」をさも肯定するかのように聞こえてしまうので、それは口が裂けても言えないだろう。
・率直に言うが、こうした最終検査のことも含めて国土交通省が主管の「型式認証制度」は一部が時代遅れになりつつある。各自動車メーカーの工場の最終検査で、統計学などを駆使して不具合がどれくらい出ているのか、あるいは出る確率があるのかを確認し、問題がないのであれば、有資格者による検査制度は廃止にすればいいし、逆に問題があるのならば、有資格者を厳密に定義していくことが求められる。
・海外では有資格者による最終検査が求められていないということは、廃止にしても大勢に影響はおそらく影響はないだろう。 この日産の不祥事をきっかけに、「品質」について国家レベルで考えていくべき局面にあるのではないだろうか。その際に考慮すべきテーマは、過剰品質対応とハイテク対応である。過剰品質対応については、型式認証制度の中でそうした点がないか、産官学で洗い直すべきだろう。
・実はハイテク対応については、深刻な問題も含んでいる。日本がドイツに比べて自動運転の市場導入で出遅れている要因の一つは、日本の型式認証制度にある。ドイツでは、「新車開発の際にバーチャルシミュレーションで実験したデータを国が認めているが、日本では認められていない」(ドイツ系企業幹部)という。
・ある自動車メーカーの技術者によると、現在の高速道路における自動追尾程度の「レベル2」の自動運転でも600万シーンを想定した開発が必要だという。「シーン」とは映画の場面と同じ意味で、運転の場面を機械(クルマ)に覚え込ませ対応できるようにしているそうだ。 これが自動運転のレベルがさらに進めば、億単位のシーンを覚え込ませることになるが、バーチャルな試験でないと、とても対応できない。しかし、日本の認証制度ではバーチャルな試験データを認めていない。
・また、つながるクルマ(コネクテッドカー)の時代を迎えて、クルマがハッキングされるリスクも高まっている。サイバーセキュリティーを意識した型式認証も今後は求められるのではないだろうか。実際、米国では昨年ルールが変更されて、米国企業と取引がある企業に対しては、同等のセキュリティー対策をすることが求められている。
・これにかこつけ、ソフトウエアなど米国製品を大量に買わせる、安全保障と通商を絡めた巧妙な手口とみる向きもあるが、世界の動きは間違いなくサイバーセキュリティーの強化に向かっているのだから、それに合わせていく姿勢が求められる。
▽もう一度「TQM」を考えよう
・自動車の型式認証制度だけではなく、日本の産業界は広い視野で「品質」について考えていくべき局面にもある。国土交通省が担当とか、経済産業省が担当だとか縄張りを争っている場合ではない。 特に日本企業では、TQM(トータルクオリティマネジメント)活動を推進する力が衰え始めている。この指摘は、「デミング賞」を主宰する日本科学技術連盟の中からも聞こえてくる。同連盟のトップにはかつては経団連会長経験者がポストに就くこともあったが、今はかつてほどの力を持っていない。
・TQM活動が衰えている要因の一つは、大学でそれを研究する人が減ったからである。かつては経営工学の分野で研究している学者も多かったが、大学の学部再編などによって研究する母体が小さくなって、学問的体系も崩れたという。
・特に時代に合わせた新しいTQMが必要になっている。これまでは、工場の出荷口までの「製造品質」を意識した活動だったが、これからは市場が求めている品質への対応の基軸を置くべきだろう。 グローバル化で市場が拡大したが、地域や国によって同じ製品でも使われ方は違う。使われ方で品質がどのように劣化していくのを意識した対応が求められるということだ。端的に言えば、日本企業は「壊れない」という単一的な価値を押し付けてきた面は否定できない。
・果たして「壊れない」という発想だけでいいのか。たとえば、食品などでは「ハラル認証」といったイスラム文化圏向けの認証があるように、多様な価値観に対応した品質作りも求められている。 要は世界のお客が求める「価値」とは何かを意識した「価値品質」という概念も重要になっているのだ。そして、グローバルな市場に対応していく力が求められている今、品質は工場などの「現場」だけで造り込むものではなく、「経営」が造っていくとの考えが益々重要になっている。日産の不祥事を通じて改めて感じたことだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53265

第三に、ジャーナリストの井元康一郎氏が11月22日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日産の検査不正に国交省が激怒する本当の理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日産自動車は11月17日、国土交通省に無資格者による検査問題について調査報告書を提出した。その日の夕方に記者会見を開いたが、その様子は決してほめられる内容ではなかった。いまだに国土交通省側は怒り心頭の様子だ。なぜ、国交省は日産を許せないのか、どうして日産のシンボルである名経営者のカルロス・ゴーン氏は表に出てこないのか。
▽歯切れの悪さが目立った西川社長の会見
・「あなたたちにとって、ゴーンさんに傷一つつけないのがそんなに大事なことなのか」――。 思わずそう言いたくなる会見だった。 工場から出荷される車が国の保安基準に適合しているかどうかをチェックする完成検査で“不正”をしていたことが発覚した日産自動車。生産の停滞により、中間決算で営業利益を当初見通しから400億円減の下方修正を行うなど、ビジネスに少なからず影響が出ている。
・その混乱になるべく早く区切りをつけたい日産は11月17日、国土交通省に調査報告書を提出。同日夕方、西川廣人社長が記者会見を行い、事のあらましと今後の展望について説明した。 その説明自体は原因究明、再発防止策から人員増強まで網羅された懇切丁寧なものだった。それがしっかり行われれば、少なくとも完成検査について今後、突っ込まれるような事態が起きる可能性は低いであろう。また、完成検査だけでなく、さまざまな分野において法令違反がないかどうか再点検していくと表明。これらの説明は完璧に近いものがあった。
・にもかかわらず、会見は終始、歯切れの悪さのほうが目立った。 最大の理由は、過去にさかのぼっての経営責任、ありていに言えば日産がルノー傘下に入り、カルロス・ゴーン氏が経営の指揮を執ってきた時代の“清算”をどうするかということについて、何ら言及がなかったことであろう。
・記者からは幾度も「経営責任をどう考えるのか」という質問が飛んだ。それに対して西川社長は、 「過去にあまりとらわれず、今を良くしていくことが現経営陣の一番の責務。これからの仕事ぶりで評価してほしい」 経営陣は状況のすべてを聞かされていたわけではない。現場のニーズを掌握し、それを的確に経営陣に伝えるべき現場のリーダーの資質にばらつきがあった」 といった説明に終始した。
▽役員報酬の金額や割合も明示されず  ゴーン氏を含む他の役員についても触れず
・言っていることは正しい。 起こってしまったことはなかったことにはできないし、別に完成検査の不備で死傷・物損事故が起きたわけではなく、背負う十字架があるわけでもない。顧客にリコールの面倒をかけるというのは痛いことではあるが、今後、こういうことがないようにすれば取り返しがつく話である。
・そうなのだから、ここは素直に「我々経営陣がしっかりしていなかったのが悪かった」と、これからが大事と言う前に責任を認めればよかったのである。 ところが、西川社長のモノ言いは、まるで自分たちの責任をまったく認めようとせず、都合が悪くなると“結果的に”と、まるで仕方がなかったことのように言う、霞が関の官僚の態度を彷彿とさせるものだった。
・西川社長は10月から今年度末までをめどに、昨年実績で約4億円という役員報酬の一部を自主返上していることを明らかにした。 ところが、その額はいくらなのか、割合さえも明らかにされなかった。また、いまだ日産の要職にあるゴーン氏を含む他の役員についてはどうなのかと聞かれても、「今は社長の私が自主返上するということで、ゴーン含め誰がどのくらい返上するかといったことについてはこの場で申し上げることは差し控えたい」 と繰り返すばかり。
・最も良くなかったのは、“豪腕経営で鳴らしたゴーン氏の拡大路線がこの事態を招いたのではないか”、“何でゴーン氏がこの場にいないのか”といった類の質問への応対だった。 「現場から細かいところまで報告されておらず、ゴーンが検査員不足を知っていたわけではないので、責任があるという指摘は当たらない」 「人手不足はうちだけでなく、団塊世代が大量離職する一方で若年労働者は少なくなるという状況が生んだ業界全体のこと。ゴーンの拡大路線のせいではなく、所要人員を満たせなかった我々の責任」 「執行責任は私(西川社長)にあるので、私が説明させていただくのは妥当」 などと回答していた。
▽日産とスバルの会見イメージの違いは トップとしての度量
・社内の風通しを良くできなかったのはゴーン氏の責任という側面もあるだろう。また、「人員不足はうちだけではない」というのは、「不正がなかった」としている他のメーカーにも失礼な物言いだ。他のことについては、責任は回避しながらも筋が通っていたのだが、ゴーン氏を擁護する発言だけは、筋が通っているとは到底言い難いものだった。
・情けないのはゴーン氏だ。 不祥事があったからといって別に辞任しなければならないわけではないし、倒産寸前だった日産をこれだけの成長路線に引き戻したという功績はすでに確固たるものになっている。現CEO(最高経営責任者)は西川社長だが、日産の顔役といえば今も圧倒的にゴーン氏なのである。 そんな人物が過去の至らなかったことを反省し、改めて将来のビジョンを語れば、日産のブランドイメージ回復に大いに寄与したことだろう。年間10億円ももらっておきながら、自分が批判の矢面に立つのがそんなに嫌なのかと、誰でも呆れるところだろう。
・完成検査問題が取り沙汰されたのは日産とスバルの2社。 検査体制に問題があることを自覚していたかどうかの違いはあるが、未熟な人物に検査をさせていたのではなく、検査員の養成を過剰なほどのプロフェッショナリズム精神で行っていたことが問題の引き金になったという点は両社共通。また、説明の内容もほとんど同一だ。
・その日産とスバルの記者会見のイメージに大差が出たのは、“社の問題は自分に責任がある”というトップとしての度量をどのくらい示せたか、というところが大きかったのが率直な印象だった。 「ゴーン氏が出てきて、素直に謝ってしまえばよかったのに……」と思うのは、イメージの問題だけではない。
・旧建設省ではトンネル崩落や耐震偽装、旧運輸省では燃費偽装、完成検査不備とロクな話が出ていない国交省の官僚たちは今、メンツを保とうとムキになっているという話がある。 「泣くこと地頭には勝てぬ」という諺があるが、ゴーン氏が出てくれば“彼らの顔を立ててやる”という効果は絶大だったろう。
▽完成検査について批判の矛先が国交省に向くのは避けたい
・国交省も、本当に商品がちゃんとできているかどうかも覚束なかった自動車産業の黎明期に作った完成検査制度を、技術の進化をまったく無視して半世紀以上も放置していたとして、批判の矛先が自分たちに向くのは避けたいところなのだろう。 これは車検制度の根幹に関わる問題でもあるからだ。
・一応、改善のポーズは取るようだ。完成検査の制度自体はなくさないが、現代の実情に合うような方法を検討するタスクフォースを立ち上げるという発表を11月21日に行った。 だが、有識者の陣容を見てみると、弁護士、学者、ISOのプロフェッショナルで、完成検査と品質検査双方の知見を持つ生産のプロは入っていない。“今のシステムをなるべく維持したい”という本音が見え隠れする。
・国交省に詳しいある事情通は、国交省関係者から断続的に日産に関するネガティブ情報がリークされているという。これは昨年、三菱自動車が燃費偽装で糾弾されたときと似た手法だ。 三菱自は燃費偽装の業務改善の中でさらに偽装をしていたと国交省が発表し、轟々たる避難を浴びた。 しかし、2度目の偽装は実は国交省が一旦そのやり方でOKと言っておきながら、途中で手のひらを返した結果起こった、というより作られてしまった偽装だったという話が、当時いろいろなところでささやかれていた。糾弾される相手が何も言えないときの常套手段という観すらある。
・もしネチネチとした嫌がらせを波状的にやられるようものなら、損をするのは日産側である。リスク回避を考えるなら、ゴーン氏が出てきて謝罪するのが日産にとって一番良かったのではないか。「負けるが勝ち」である。
▽ゴーン氏は経営者として肝心な「求心力」を失いかねない
・このまま問題が収束すれば、ゴーン氏は自分の体面を傷つけず乗り切ることになるが、あえて日本流に言うならば、少なからず“男を下げた”格好だ。今まで言っていた格好いいことは何だったのかと思った関係者も多いことだろう。 確かに、企業経営において、“潔さ”は少しも美徳ではない。徳川家康やチェーザレ・ボルジアのように、機を見るに敏で、攻め時と見れば手段を選ばず仕掛けるのは経営者として“必須の才覚”と言える。
・それでも、経営者にはもう一つの必須ともいえるファクターがある。 それは「求心力」だ。 求心力は、決して強権だけでは生まれない。トップが求心力を保つ上で絶対にやってはいけないことは、皆が注目するような大舞台で自分の保身のために下に詰め腹を切らせることだ。 「ルノー=日産=三菱自」というアライアンスの関係を考えれば、今回の件でゴーン氏の強固な権力基盤が急に失われることはないだろう。
・だが、肝心な求心力は徐々に弱まる可能性がある。その時には、西川社長以下、日産の現経営陣が真に経営者として振る舞わなければならない。果たして、それができるかどうか――。 少なくとも今回の会見では、その気配は感じられなかった。 もっとも、今回の件で西川社長が経営者として取り返しのつかない失態を演じたというわけではない。会見で当人が述べたように、大事なのはこれからである。日産を率いる経営者としてどれだけ大きくなれるのか、要注目である。
http://diamond.jp/articles/-/150439

第一の記事で、 『今回の日産自動車さんの不正検査問題について国交省の抜き打ち検査が行われたのは、その数か月前に国交省に内部告発(社内からの情報提供)がなされていたことによるものだそうです』、というのは初耳だが、ありそうな話ではある。 『仮に社内通報が行われていたとなりますと、今度は「不正隠し」(もしくは情報の根詰まり)のほうが無資格検査よりも大きな不祥事として世間から批判を受けることになり、沈静化には長い時間を要することになります。これで「安全性には問題はない、といった意識から、そんなに悪いことではないと現場社員は考えていた」といった安易な企業風土論で片づけることができない不祥事であることが認識できました』、との指摘は深刻だ。
第二の記事で、 『企業で不祥事が起こる要因の一つに、法規やルールが実態に即していないため、ついついそれを破ってしまうケースがある。日産の今回の不祥事は、これに該当する。ただし、これは「ルール違反」なので、絶対に許されることではない』、との指摘については、経営陣がこの問題を認識していれば、強い政治力で改善を働きかけることが出来た筈だが、恐らく自動車会社の経営陣にはこんな「些末な問題」は認識してなかったのであれば、経営陣の自己責任だといえる。 『「型式認証制度」は一部が時代遅れになりつつある・・・・この日産の不祥事をきっかけに、「品質」について国家レベルで考えていくべき局面にあるのではないだろうか。その際に考慮すべきテーマは、過剰品質対応とハイテク対応である。過剰品質対応については、型式認証制度の中でそうした点がないか、産官学で洗い直すべきだろう』、との指摘はその通りだ。ただ、 『TQM活動が衰えている要因の一つは、大学でそれを研究する人が減ったからである』、との指摘には違和感を持った。大学の研究者が減った背景には、企業のTQMニーズの減少があるのではないだろうか。とすれば、これは今さらどうにかなる問題ではない、のではなかろうか。
第三の記事で、 『歯切れの悪さが目立った西川社長の会見』、 『日産とスバルの会見イメージの違いは トップとしての度量』、との指摘はその通りだ。 国交省が、『完成検査について批判の矛先が国交省に向くのは避けたい』、ようだ。しかも、三菱自の燃費偽装問題のうち、 『2度目の偽装は実は国交省が一旦そのやり方でOKと言っておきながら、途中で手のひらを返した結果起こった、というより作られてしまった偽装だった』、という汚いリークをしてでも、国交省を守るというのでは、今後、出てくるニュースもよほど眼光紙背に徹して、真偽を見極める必要がありそうだ。やれやれ・・・。
タグ:自動車 無資格検査 (日産自動車不正検査問題-やはり内部告発が端緒だった・・、日産「無資格検査」を誘発した時代遅れの国交省の認証制度 問題の本質は、実はここにあるのでは、日産の検査不正に国交省が激怒する本当の理由) 山口利昭 ビジネス法務の部屋 「日産自動車不正検査問題-やはり内部告発が端緒だった・・・」 国交省の抜き打ち検査が行われたのは、その数か月前に国交省に内部告発(社内からの情報提供)がなされていたことによるものだそうです 監督官庁がマスコミに漏らした・・・ということなので、日産さんと監督官庁との信頼関係はかなり破たんしていることがわかりま 仮に社内通報が行われていたとなりますと、今度は「不正隠し」(もしくは情報の根詰まり)のほうが無資格検査よりも大きな不祥事として世間から批判を受けることになり、沈静化には長い時間を要することになります。これで「安全性には問題はない、といった意識から、そんなに悪いことではないと現場社員は考えていた」といった安易な企業風土論で片づけることができない不祥事であることが認識できました 井上 久男 現代ビジネス 「日産「無資格検査」を誘発した、時代遅れの国交省の認証制度 問題の本質は、実はここにあるのでは」 道路車両運送法に基づいて国道交通省が定めた「通達」を日産は無視し、それが発覚した後もその通達を破っていたことになる 、「通達」で定められた有資格者による検査については、有資格者に、どのような技能が求められるかは明確に定義されていない 、「資格」を与えようと思えば、短時間適当にビデオでも見せて勉強させ、「講習済」のお墨付きを企業が与えれば、それで「有資格者」になってしまうのである 「自工程完結」などと言って、品質は一つの工程内で完結させ、下流工程に不良品を流して迷惑をかけないとの発想があり、それを徹底 最終検査で不具合が見つかることは、ほぼゼロに近い 企業で不祥事が起こる要因の一つに、法規やルールが実態に即していないため、ついついそれを破ってしまうケースがある。日産の今回の不祥事は、これに該当する ただし、これは「ルール違反」なので、絶対に許されることではない 、「ルール」を変える必要があるのではないかと筆者は感じる 国土交通省が主管の「型式認証制度」は一部が時代遅れになりつつある この日産の不祥事をきっかけに、「品質」について国家レベルで考えていくべき局面にあるのではないだろうか。その際に考慮すべきテーマは、過剰品質対応とハイテク対応である 日本がドイツに比べて自動運転の市場導入で出遅れている要因の一つは、日本の型式認証制度にある 日本企業では、TQM(トータルクオリティマネジメント)活動を推進する力が衰え始めている TQM活動が衰えている要因の一つは、大学でそれを研究する人が減ったからである 井元康一郎 ダイヤモンド・オンライン 「日産の検査不正に国交省が激怒する本当の理由」 歯切れの悪さが目立った西川社長の会見 歯切れの悪さのほうが目立った。 最大の理由は、過去にさかのぼっての経営責任、ありていに言えば日産がルノー傘下に入り、カルロス・ゴーン氏が経営の指揮を執ってきた時代の“清算”をどうするかということについて、何ら言及がなかったことであろう 役員報酬の金額や割合も明示されず  ゴーン氏を含む他の役員についても触れず 日産とスバルの会見イメージの違いは トップとしての度量 情けないのはゴーン氏だ そんな人物が過去の至らなかったことを反省し、改めて将来のビジョンを語れば、日産のブランドイメージ回復に大いに寄与したことだろう。年間10億円ももらっておきながら、自分が批判の矢面に立つのがそんなに嫌なのかと、誰でも呆れるところだろう 完成検査について批判の矛先が国交省に向くのは避けたい 三菱自は燃費偽装の業務改善の中でさらに偽装をしていたと国交省が発表し、轟々たる避難を浴びた。 しかし、2度目の偽装は実は国交省が一旦そのやり方でOKと言っておきながら、途中で手のひらを返した結果起こった、というより作られてしまった偽装だったという話が ゴーン氏は経営者として肝心な「求心力」を失いかねない
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