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エネルギー(その2)(原子力から脱却しないと日本は二流国に陥る メルケル首相のブレイン、ジェレミー・リフキン氏の警鐘、テスラが世界最大の蓄電システムを稼働、ついに大手電力が「再エネは怖い」と知った 2018年は日本の電力市場の転換点になる) [経済政策]

一昨日に続いて、エネルギー(その2)(原子力から脱却しないと日本は二流国に陥る メルケル首相のブレイン、ジェレミー・リフキン氏の警鐘、テスラが世界最大の蓄電システムを稼働、ついに大手電力が「再エネは怖い」と知った 2018年は日本の電力市場の転換点になる)を取上げよう。

先ずは、昨年12月14日付け日経ビジネスオンライン「原子力から脱却しないと日本は二流国に陥る メルケル首相のブレイン、ジェレミー・リフキン氏の警鐘」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問、+は回答内の段落)。
・カーシェアなどのシェアリングエコノミー(シェア経済)が世界中で広がっている。米ウーバーテクノロジーズや米エアビーアンドビーの普及に代表されるシェア経済拡大の背景にあるのは、技術の進化で可能になった「所有」から「共有」というパラダイムシフトだ。 
・脱原発や「インダストリー4.0」を進めるドイツのメルケル首相のブレーンとして知られ、モノのインターネット(IoT)の普及とシェア経済の拡大など「第3次産業革命」の到来を予言してきた文明評論家のジェレミー・リフキン氏は、同革命への日本の対応の遅れを指摘。その理由は「原子力から脱却できないことにある」と警鐘を鳴らす。
――世界の第3次産業革命の進展と、日本の現状をどう見ていますか。
・ジェレミー・リフキン氏(以下、リフキン氏):欧州連合(EU)はスマートヨーロッパ、中国は『インターネットプラス』という計画を立て、第3次産業革命を起こそうとしています。エネルギーや、クルマなどの輸送手段をインターネットにつなぎ、効率性や生産性を極限まで高めるのが第3次産業革命です。 
+モノやサービスを生み出すコスト(限界費用)が限りなくゼロにつながり、民泊やライドシェアなどに代表されるシェア経済が台頭する。EUと中国が国家戦略として取り組むのに対し、日本はこのパラダイムシフトに対して計画を持っていません。この状況が続けば、長期的に壊滅的な影響をもたらし、日本は2050年までに二流国家になってしまうと思います。
+なぜそうなるのか、もうちょっと細かく全体像を示しましょう。いまのパラダイム、つまり石油と原子力をエネルギー源とし、内燃機関で動く輸送手段によって成り立っている第2次産業革命の成果はいま、衰退状態にあります。GDP(国内総生産)は世界中で落ち、生産性はもはや伸びようがないのです。 もともと第2次産業革命は米国で起き、瞬時にコミュニケーションができる電話やラジオ、テレビが普及しました。テキサスで採掘された安い石油がエネルギーとなりヘンリー・フォードが自動車を大量生産し、車やトラックが普及した。これが第2次産業革命で20世紀まで世界が繁栄しました。
▽生産性の向上は限界
+しかし、この中央集権的な通信や、原油と原子力に依拠したエネルギー、内燃機関を使う輸送手段という第2次産業革命のインフラに接続されている限り、生産性はもう天井を打ったと私は見ています。さらにそれがもたらした気候変動によって、人類は危機にさらされている。
+例えば、温暖化によって水の量はどんどん増えています。生態系は水の循環によって影響を受けていて、温度が1度上がるごとに降雨量が7%増えます。その結果、予見できないような大きな台風や豪雪、春は洪水、夏は干ばつ、それから山火事につながる。この秋も、世界中で様々な場所で異常気象がありました。  生物種は4億5000万年の間に5回、大々的に絶滅しました。今、その6回目の絶滅の危機にある。気候変動がこのままいくと現在地球に生息している生物種の50%が、この80年で絶滅すると言われている。大々的に種が絶滅したら私たち人間は生き延びていけるのでしょうか。そう考えれば、経済の新しいビジョンに重要なのは炭素を排出しない計画ということになります。
――EUや中国は積極的に再生可能エネルギーを導入しています。
・リフキン氏:かつて半導体産業がそうであったように、再生エネの固定費はいま、指数関数的に下がっています。太陽光や風力発電の固定費もどんどん下がってきている。電力会社が20年などの長期的な電力の買い取り契約を結ぶようになり、1キロワット時(kWh)当たり4セントという場合もあります。太陽光や風力に燃料費は要りません。当然、原発や化石燃料はコストで競争できません。しかも再生エネの固定費はもっと安くなる。それを中国も欧州も分かっていて、導入を進めているのです。
▽エネルギーも分散
――産業革命が起きる時にはエネルギー、輸送、情報伝達の3つの要素でパラダイムシフトが起きると指摘しています。
・リフキン氏:英国で起きた第1次産業革命は、交通が水蒸気で変わり、蒸気で動く印刷機が生まれました。第3次産業革命はデジタル革命です。センサーを付け、データをモニタリングするIoTの上で、「コミュニケーション・インターネット」「エネルギー・インターネット」、そして「輸送インターネット」が進展します。  デジタル化してお互いが接続し、それで社会を管理し動かしていく。ネットワークに誰もが接続できるようになったことで、太陽光や風力を使って自分のところで電気を作り、余剰があったら共有する。太陽光と風力という限界費用がほとんどゼロの安いものを使えるようになるのです。
+こういう社会になった時、中央集権的なエネルギーの代表である原子力はどんな意味を持つでしょうか。あるいは化石燃料で競争できるのでしょうか。限界費用がほぼゼロの再生エネを使っているビジネスと、原子力や化石燃料のエネルギーを使っているビジネスが競争できるでしょうか。
+ドイツのメルケル首相は第2次産業革命のインフラを使う限り、これ以上の成長はないという私の助言を受け入れ、インダストリー4.0という第3次産業革命へとかじを切りました。脱原発政策も進めています。第3次産業革命には、新しいエネルギーのインフラが必要なのです。
+第3次産業革命では生産性が上がり、環境負荷はどんどん下がり、ライドシェアや民泊などの新しいビジネスと新しい雇用の機会を生み出します。日本は電気通信、ICT、自動車、電機といろいろな産業で世界トップクラスにあり、まさにこのインフラを構築するのに必要なものがすべてある。 それなのにまだ依然として原発に頼っている。昔ながらの原子力から脱却できないということが、日本が第3次産業革命を進められない最大の理由だと思います。
+新しく原発を建設することは非常に愚かなことです。結局は取り残される資産になるからです。第3次産業革命のエネルギーは分散型でなければいけない。日本は早く決断を下すべきです。
▽中国の政策にも影響
――中国でもリフキン氏の考えが導入されているのですか。
・リフキン氏:李克強首相が自伝の中で私の著書を読んだと記していました。中国はこうした私のストーリーを受け入れ、非常に早く動きました。私が最初に中国を訪れた11週間後には、820億ドルの予算を全国の送電網のデジタル化に使うと発表しました。各地域が中国の企業から装置を買い入れて自家発電を行い、電源を分散化させるという動きが始まっており、第13次五か年計画にも『インターネットプラス』という産業活性化の方向性が盛り込まれています。
+ですが、明日の朝、いきなり第2次革命が終わるということではありません。突然終わるわけではないが、いま破壊的な影響が生じているのは事実。日本企業の皆さん、特に、38歳以下のデジタルネイティブなミレニアルの世代の皆さんに言いたいのは、今から2つの産業革命を同時に生きなければいけないということです。
+終末を迎えつつある第2次と、台頭する第3の産業革命の両方に対応しなければならない。第3次産業革命は30年かけてゆっくりと進展していくので、30年にわたって2つのビジネスモデルを共存させないといけない。その両方ともきちんと関与できなければ、企業として存在は望めない。日本が先行者になるのか、待ってしまうのか。待つほどこの第3次産業革命に対応するのは難しくなるでしょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/121300116/?P=1

次に、英ファイナンシャル・タイムズの記事を12月25日付け日経ビジネスオンラインが転載した「テスラが世界最大の蓄電システムを稼働 リチウムイオン電池革命が最終段階を迎えたとされる理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米電気自動車(EV)大手テスラがオーストラリアの南オーストラリア州に建設した、世界最大のリチウムイオン蓄電システムが12月1日、同国の送配電網に電力の供給を始めた。 テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今年7月、「(オーストラリアが抱える電力問題を解決する手段として建設開始から)100日以内に蓄電設備を完成させる」という大胆な約束を掲げたが、その約束を果たしたことになる。マスク氏は、約束通り期限内に完成しなければ、今回の建設費を全て負担すると表明していた。
・テスラの蓄電システム「パワーパック」は、南オーストラリア州にある複数の風力発電所と接続されており、3万戸に1時間分の電力を供給できる能力を持つ。その電力供給能力は、既に設置されている最大規模の蓄電設備の3倍に及ぶという。
▽世界の電力システムを刷新する可能性も
・オーストラリアでは昨年9月に激しい嵐に見舞われ発生した大規模な停電を受けて、再生可能エネルギーに対する信頼性を巡り全国的な議論が巻き起こった。そのため南オーストラリア州では配送電網の強化を図っており、今回のテスラの蓄電設備もその一環として、同州政府の補助金で建設が進められてきた。
・「世界最大のリチウムイオン蓄電システムを記録的な速さで完成させられたということは、現在のエネルギー問題に対し、持続可能でかつ信頼できる解決策を提供することが可能だということを示している」) テスラは同システムが正式に稼働を開始した12月1日、こんなコメントを発表した。
・この施設が完成したことで、リチウムイオン電池革命は、最終段階に入ったといえる。というのも、こうした蓄電システムによって低価格の太陽光発電や風力発電を、全国の送配電網に接続できるようになれば、世界の電力システムを刷新できることを意味するからだ。 しかし、この巨大蓄電システムの技術は現在、オーストラリア国内で批判に直面している。政府と野党は、石炭火力発電の将来を巡って対立する一方、再生可能エネルギーへの信頼性が昨年の激しい嵐の発生にともない低下したことで、エネルギー政策全体が混乱に陥っているのだ。
▽オーストラリアはエネルギー政策を巡り迷走
・南オーストラリア州は、2025年までに電力の半分を再生可能エネルギーによって賄うという目標を掲げてきた。建設費用5000万豪ドル(約43億円)とされる今回のテスラの蓄電システムの導入は、再生可能エネルギーの比率を上げるからといって停電が発生しやすくなるわけではないということを有権者に納得させるための、州政府のいわば目玉の政策だ。
・今年、南オーストラリア州は電力の半分を再生可能エネルギーで賄うという目標を達成した。だが、昨年激しい嵐で州全体が停電に見舞われたことを受け、オーストラリアのターンブル首相は、原因は同州の再生可能エネルギー政策にあるとして、「半分はイデオロギー、半分は愚かさ」に基づくものだと批判している。 「石炭火力発電の代わりに再生可能エネルギーを使うつもりなら、いつも太陽が出ているわけではないということに、少し考えれば気付くはずだ」と同首相は指摘した。
・オーストラリア政府は10月、「全国エネルギー保証政策」を発表した。これは、環境に優しいエネルギーの推進について全国的な目標を掲げることはもうせずに、石炭火力発電所を存続させることで、確実な電力供給を目指すという内容だ。 だが今のところ、各州政府はこの計画への参加を拒んでいる。そのため、オーストラリアには現在、国として合意できているエネルギー政策も気候変動政策も存在しない状態だ。
・南オーストラリア州は、ジェイ・ウェザリル州首相を筆頭に連邦政府のエネルギー戦略に反対している。連邦政府の戦略は、太陽光や風力への投資を妨げ、環境を汚染する石炭火力発電所を後押しすることになるというのが同首相の主張だ。2016年に起きた大停電も、悪天候によって引き起こされたものであり、再生可能エネルギーの問題ではないとの見解だ。
▽「電力の安定供給という重要な課題の解決策」
・財界ロビー団体によると、停電により企業が被った損失は計3億6700万豪ドル(約313億円)に上るという。そのため労働党率いる南オーストラリア州政府は、エネルギー供給の安定を図るために総額5億5000万豪ドル(約469億円)を投じる計画を発表した。 具体的にはガス火力発電所の建設や、州内で開発され使用されるガスに対するインセンティブ、緊急時には州政府が発電事業者に州内に電力を供給するよう指示できる新たな権限を持つこと、そして今回のテスラによる蓄電システムなどが含まれる。
・テスラの蓄電システムは、99基の風力タービンを抱え、315メガワットを発電できるホーンズデール風力発電所に接続している。夏の電気使用量がピークを迎える時間帯や悪天候で電力供給が低下した場合には、全国の配送電網向けに約129メガワット時の電力を供給できる。
・「この蓄電システムは、必要なときに電力を早急に供給できるので、電力の安定供給という重要な課題解決につながる。ただ、停電が起きた場合、その問題を解決できるわけではない」と話すのは、ホーンズデール風力発電と蓄電システムを所有する電力会社ネオエン・オーストラリアのフランク・ウォイティーズ社長だ。
・テスラの蓄電システムは、安定したエネルギー源と組み合わせて使用する必要があるが、今後も国内のエネルギー・ミックス(電源構成)において石炭火力発電を重視するという連邦政府の姿勢にウォイティーズ氏は否定的だ。 「石炭は過去のものだ。今年、エネルギーの転換が起きているということを我々は示してきた。電池の価格は低下しており、いまや新規の石炭火力発電所よりも再生可能エネルギー発電所を建てる方が安くなっている」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/108556/122100025/?P=1

第三に、日経エネルギーNext編集長の山根 小雪氏が1月10日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「ついに大手電力が「再エネは怖い」と知った 2018年は日本の電力市場の転換点になる」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・あけましておめでとうございます。日経エネルギーNext編集長の山根小雪です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
・2018年はエネルギー業界にとって、大いなる変化の年になりそうな気がしています。2016年の電力全面自由化、2017年のガス全面自由化といった分かりやすいイベントはありません。ただ、大手電力にとっても、新電力にとっても、今年どう動くかがその後の行方を大きく左右すると感じるのです。 その理由は、日本のエネルギー業界の巨人である大手電力の“気づき”にあります。
▽夏に火力発電所がフル稼働しなかった衝撃
・「大手電力会社の経営陣から社員までが、初めて再生可能エネルギーを怖いと思った年」。ある大手電力幹部は、2017年をこう表現します。 電力需要が高まる夏になっても大手電力各社の火力発電所がフル稼働しない状況は、相当な衝撃だったと言います。急速に広がった太陽光発電によって、昼間の電力需要が賄われたためです。  太陽光発電が最も早く、大量に導入された九州電力エリアでは2016年から、既にこうした状況にありました。ただ、「たまたまかもしれないという思いが、九電以外の大手電力にはあった」そうです。ですが、2017年の夏を経験して、淡い期待は打ち砕かれたのです。
・日々の取材活動の中でも、大手電力各社の変化を感じることは少なくありませんでした。 例えば、ドイツの話題に及んだ時。ドイツでは大量の再エネ電力が電力市場に流れ込み、卸電力価格が低迷し、最新鋭の火力発電所が停止しているという話になっても、2016年当時は、必ずといっていいほど、「それはドイツの話であって、日本とは違う」と切り替えされたものです。まだ対岸の火事であると言える心境だったのでしょう。   ところが、2017年の後半には、「再エネの大量導入による電力システムの変化は世界の潮流」という答えが返ってくるようになりました。
・それだけではありません。例えば、中部電力が2017年4月に発表した「技術経営戦略への取り組み」には、分散電源の大量導入を前提とした技術的課題や新たなビジネスモデルが書き込まれています。トップダウンで策定されたこの戦略ロードマップは、変化する時代を捉えようとする意欲がにじみ出ています。
・こうした動きは中部電にとどまりません。分散化を捉えた新ビジネスは既存の事業部門では取り組みにくい事情もあります。そこで、関西電力など複数の大手電力会社が、新組織を立ち上げて、ジレンマに向き合おうとしています。
・夏に火力発電所がフル稼働しなかった衝撃の岡本浩副社長ら、東電のメンバーが著者として名を連ねた書籍「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」(日本経済新聞出版社)の発刊も、2017年以前には考えられなかったことです。本書は人口減少、脱炭素化、分散化、自由化、デジタル化の「5つのD」によって電力システムの革新の必要を予測しています。
・こうした変化に、ある大手電機メーカー幹部は、「電力ビジネスに関わる社員は全員読むように指示した」と言います。長らく変化のなかった電力業界の構造が、大きく変わろうとしています。 大手電力が変化を受け入れた背景には、再エネの大量導入だけでなく、電力需要の減少があります。電気事業連合会が公表しているデータを見ると、リーマンショック前の2007年をピークに需要が減少していることがわかります。
・2017年はバブル期以来の空前の好景気となりました。それでも、「期待したほど需要が戻らない」(大手電力幹部)。その理由は、省エネの進展です。 好業績となった企業の多くが、生産設備の追加や更新、工場に冷暖房を設置するなどの快適投資をしています。かつては設備が増えれば、電力需要も増えるのが当たり前でした。ところが、「設備の省エネ化が猛烈に進み、設備投資すればするほど需要が減る時代になった」(大手電力幹部)のです。
・2017年は厳冬となったため、需要は少し増えています。「2017年で電力需要は底を打ったのでは」という声も聞こえてきます。ただ、超少子化と言われる今、予想を上回るペースで人口は減少していくでしょう。電力需要がかつての水準に戻るとは、到底考えられません。
・「3.11」によって原子力発電所が停止し、固定価格買取制度のスタートによって再生可能エネルギーの大量導入時代が幕開けしました。それでも、なかなか大手電力会社に変化は見られませんでした。
・当時、ある政府幹部が、「大手電力のビジネスマインドに変化を促すのは需要減が最も効く」と言っていたことが思い起こされます。電力需要の減少は、発電所の稼働率を低下させ、託送料金収入を減少させ、販売量を減らすからです。いま、まさに大手電力各社は、再エネの怖さを体感しながら、この問題に直面しているわけです。
▽否応なく再編に向かう
・日本に先んじて、再エネの大量導入と省エネ、需要減少に直面した欧州の電力会社は、2015年後半から相次いで経営改革に乗り出しました。 例えば、独RWEは再エネと配電、小売りを新会社に移行しました。政策的支援が見込める再エネと、デジタル化や分散化によりビジネスの中核となりそうな配電と小売りを組み合わせています。市場環境や制度変更によるボラティリティ(収益のブレ)が大きな燃料や発電事業と切り離したのです。ちなみに欧州の場合、既に送電は別会社になっているケースが大半です。
・日本の電力会社も今後、否応なく再編に向かっていくことになるでしょう。 既に、東京電力フュエル&パワーと中部電力は、燃料と火力発電事業をJERA(東京都中央区)に移管しました。発電事業は売上規模が大きく、ボラティリティはますます高まることを考えると、早期の対策が欠かせない領域です。
・再エネの導入と需要減は、火力燃料であるLNG(液化天然ガス)をダブつかせるという大問題を大手電力各社に突きつけています。火力発電の稼働率低迷によって、長期契約と引受量の縛りがあるLNGの余剰が経営に重くのしかかっています。
・JERAは海外での燃料トレーディングを拡大することで燃料需給を最適化し、その影響を最小限に食い止めようと挑戦を始めました。太陽光発電の大量導入と原子力の再稼働によって火力発電の稼働率低迷に直面する九州電力は、東京ガスとLNG調達に関する戦略提携を発表しています。  送配電部門は、需要減少によって託送料金収入の減少に直面します。特に、人口減少の影響を直接受ける地方の大手電力への打撃は、生半可なものでは済みそうにありません。一般送配電事業者は総括原価方式が認められているとはいえ、託送料金の地域格差が広がっていけば、おのずと再編圧力がかかってくるでしょう。
・小売部門は販売電力量の減少によって、付加価値が勝負を分かつ時代となります。これまでに大手電力各社が得意とはしてこなかったサービス競争が始まります。 そして、大手電力が変化に直面し、膠着した電力市場の構造が変わるということは、新電力にとっては実力が試される時代の到来を意味します。
・今でこそ常時バックアップと日本卸電力取引所(JEPX)に頼った電源調達をしている新電力が大半ですが、今後は電源調達の巧拙が問われます。販売戦略や需給管理ノウハウも、今まで以上に競争に勝つために必要になってくるはずです。
・数年以内には、大手電力に課されている規制料金は撤廃されるでしょう。大手電力がなりふりかまわず競争を仕掛けて来た時に、新電力は対抗できるのか。その時までに、電気事業を運営する地力を付けることが、自由化時代を勝ち抜くには欠かせません。
・3.11から7年目を迎える2018年。日本の電力システムは、欧米に数年遅れて、分散化に向き合おうとしています。この難しい時代には、規制当局の正しい舵取りが欠かせません。そして、電力市場における公正な競争こそが、サービスの多様化を需要家にもたらし、ひいては自由市場における電力の安定供給を支えることにつながるはずです。
・日経エネルギーNextは2018年も日本の電力市場の変化を捉え、読者のみなさまにお届けします。本年もどうぞよろしくお願いします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/022700115/010900068/?P=1

第一の記事で、 『第3次産業革命・・・モノやサービスを生み出すコスト(限界費用)が限りなくゼロにつながり、民泊やライドシェアなどに代表されるシェア経済が台頭する。EUと中国が国家戦略として取り組むのに対し、日本はこのパラダイムシフトに対して計画を持っていません。この状況が続けば、長期的に壊滅的な影響をもたらし、日本は2050年までに二流国家になってしまうと思います』、 『かつて半導体産業がそうであったように、再生エネの固定費はいま、指数関数的に下がっています。太陽光や風力発電の固定費もどんどん下がってきている。電力会社が20年などの長期的な電力の買い取り契約を結ぶようになり、1キロワット時(kWh)当たり4セントという場合もあります。太陽光や風力に燃料費は要りません。当然、原発や化石燃料はコストで競争できません。しかも再生エネの固定費はもっと安くなる。それを中国も欧州も分かっていて、導入を進めているのです』、 『中国はこうした私のストーリーを受け入れ、非常に早く動きました』、などの指摘は、細かな点では誇張されて「本当かいな」といった点もなくはないが、大筋としてはその通りで、日本としても真剣に取り組む必要がありそうだ。
第二の記事で、 『南オーストラリア州・・・昨年激しい嵐で州全体が停電に見舞われたこと』、について、中央政府と南オーストラリア州政府の見方がすれ違っているようだが、徹底的に掘り下げて分析すれば、答は出てくるのではなかろうか。『テスラの蓄電システムは・・・夏の電気使用量がピークを迎える時間帯や悪天候で電力供給が低下した場合には、全国の配送電網向けに約129メガワット時の電力を供給できる・・・この蓄電システムは、必要なときに電力を早急に供給できるので、電力の安定供給という重要な課題解決につながる』、テスラもなかなかやるようだ。
第三の記事で、 『夏に火力発電所がフル稼働しなかった衝撃』、などから、 電力会社からも、『2017年の後半には、「再エネの大量導入による電力システムの変化は世界の潮流」という答えが返ってくるようになりました』、というのは大きな前進だ。 『「大手電力のビジネスマインドに変化を促すのは需要減が最も効く」・・・大手電力各社は、再エネの怖さを体感しながら、この問題に直面しているわけです』、やはり尻に火が付いて初めて慌てだしたようだ。 ただ、『火力発電の稼働率低迷によって、長期契約と引受量の縛りがあるLNGの余剰が経営に重くのしかかっています』、というのは深刻だ。原発再稼働どころではないのかも知れない。
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