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リニア入札不正・談合(ゼネコン リニア談合の遠因は巨額建設費?特捜が大手4社を家宅捜査、3兆円融資は“忖度”か リニア「国策化」の怪しいプロセス、捜査尻すぼみのリニア談合疑惑 ウラに官邸の“粛正人事”か、「大林組課徴金全額免除されず」でリニア談合独禁法での起訴は”絶望”か) [産業動向]

今日は、リニア入札不正・談合(ゼネコン リニア談合の遠因は巨額建設費?特捜が大手4社を家宅捜査、3兆円融資は“忖度”か リニア「国策化」の怪しいプロセス、捜査尻すぼみのリニア談合疑惑 ウラに官邸の“粛正人事”か、「大林組課徴金全額免除されず」でリニア談合独禁法での起訴は”絶望”か)を取上げよう。

先ずは、昨年12月20日付け東洋経済オンライン「ゼネコン、リニア談合の遠因は巨額建設費? 特捜が大手4社を家宅捜査、背景にあるもの」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「夢の超特急」に泥を塗った責任は重い。 東京地検特捜部は12月8日夜、偽計業務妨害の疑いで大手ゼネコンの大林組の本社などを家宅捜索した。 その後も捜査は広がりを見せ、19日には特捜部に加えて、公正取引委員会が独占禁止法の疑いで捜査を開始。大林組だけでなく鹿島や清水建設、大成建設なども大手4社すべてが家宅捜索を受けた。一部の企業は談合への関与を認める供述をしているようだ。
▽受注調整による談合か
・問題となったのは2027年に開業を予定するリニア中央新幹線での入札。名古屋城付近での立坑「名城非常口新設工事」で、他社ゼネコンが入札しないよう大林組が調整を図った疑いが浮上している。 特捜部が疑いをかけた偽計業務妨害は、人を騙して業務を妨害すること。大林組らが落札価格を吊り上げ、JR東海に経済的被害を与えたという構図を問題視したようだ。
・とはいえ、問題となった名城非常口の落札金額は3社が組んだ共同企業体で推計90億円程度。売上高が1.8兆円に達する業界トップの大林組にしては小規模な工事だ。良好な事業環境の中、なぜそこまで受注にこだわったのか。
・名城非常口の掘削には、円筒状の掘削機で掘り進めるシールド工事が用いられる。大林組はこのシールド技術に強く、2013年には三菱重工業とトンネル工事用の省エネシールドマシンを共同開発している。 今回受注した名城非常口は地下約90メートルまで掘削するが、その後には名古屋駅や南アルプスへとトンネルを掘り進める工事が待っている。 得意のシールド技術を生かせるうえ、別に受注した名古屋駅(中央西工区)の工事との一体化も図れる。同社は品川駅(南工区)の工事も受注しているが、これもシールド工事だ。
・リニア中央新幹線はあくまでJR東海という民間企業の事業であり、建設費も自前で負担するのが原則。ゼネコンにとってリニア工事の採算は良くない。 「品川駅の工事では、JR東海の予算がゼネコンの想定よりも厳しく、入札が不調になった」(ゼネコン幹部)。そのため、受注調整によってできるかぎり競争を避けようとする動機が生まれる。 JR東海としても、国からの巨額の資金援助(財政投融資)を受けているため、建設費のいちじるしい膨脹は見過ごせない。
・「名城非常口は90億円で落札されたようだが、受注調整がなければ、(ゼネコンが利益を得ようと)更なる高値を提示していた可能性もある」(別のゼネコン幹部)など、受注調整がJR東海とゼネコンの間で価格をすり合わせる役割を果たしていたと指摘する声も上がる。
▽入札方式に不透明さも
・入札方式が不正を助長した側面もある。JR東海が採用した「公募競争見積方式」は、価格以外に工期や技術などを受発注者が協議して落札業者を決める。客観的な指標がなく、決定方法が不透明になりやすい。 実際、落札済み工事を見ても、山岳工事が得意な鹿島と大成建設は南アルプスのトンネル工事という難工区、土木技術で後れを取る清水建設は中規模の土木工事や変電施設の建築など、“すみ分け”ができている。
・最近でも似たような構図の事案が起きている。今年9月、東日本高速道路と中日本高速道路は、東京外環自動車道の中央ジャンクション付近の工事について、「談合の可能性が払拭できない」として入札を中止した。 ある工区で優先交渉権を得た業者はほかの工区では優先交渉権を得られないという入札条件がすみ分けを助長し、事実上の談合を招いていたとみられる。
・今後の懸念されるのは、2027年を予定している開業時期への影響だ。「(捜査を受けて)JR東海も受注手続きを厳格化せざるを得ない」(ゼネコン幹部)ことに加え、大工事を請け負える人手や技術力を持つ大手ゼネコンが及び腰になれば、工事の遅れる懸念もある。
・当のJR東海は「開業時期に影響はない」としている。 大手ゼネコン4社が2005年に「談合決別宣言」を出した後も、繰り返される談合。懲りないゼネコンに司法はどんな灸(きゅう)を据えるのか。
http://toyokeizai.net/articles/-/201981

次に、1月7日付け日刊ゲンダイ「3兆円融資は“忖度”か リニア「国策化」の怪しいプロセス」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・東京地検特捜部が全容解明に向けて捜査を進めている「リニア疑惑」事件が今年、本番を迎える。総工費9兆円の巨大プロジェクトを巡る疑惑には、単なる「入札談合」では片づけられない「闇」が横たわっている。どう考えたって安倍政権のヨコシマな思惑への忖度がはたらいたとしか思えない――。そんな構図が浮かび上がってくるのだ。
・そもそもリニア中央新幹線の建設計画は、JR東海が全額自己負担を原則に進めてきた。政府もリニア計画に長年距離を置いてきたが、安倍政権がくちばしを入れ始めたのは、国が着工を許可した2014年のこと。 「JR東海が自力で行うとしていることも勘案しつつ、要望を受けて対応を考えていきたい」 当時、世耕弘成官房副長官は、関西経済連合会のリニア新幹線「国家プロジェクト化」と「大阪・名古屋同時開業要望」に対し、そう語っていた。
・「リニア大阪延伸の前倒しは関西財界の悲願でした。その意向を受けて積極的に“ロビー活動”を進めたのが、松井一郎大阪府知事であり、大阪市長時代の橋下徹氏です。2人は安倍首相と菅官房長官と定期的に会食する仲。その席でもリニア前倒しの話題を何度も伝えていたようです」(関西政界関係者)
・リニア大阪延伸の前倒しを決断したのは、ほかならぬ安倍首相だ。16年6月の「骨太の方針」の中で、国が低利で資金を貸し出す「財政投融資」を活用した財政支援を表明。さらに自民党は同年7月の参院選公約に、リニア大阪延伸の前倒しや整備新幹線の建設などのため、官民合わせて「5年で30兆円」の資金を投じることを掲げた。
・加えて同年11月には法改正し、リニア建設に財政投融資を活用できるようにした。その結果、すでに約3兆円がJR東海に貸し出され、大阪までの全線開通時期を当初計画の2045年から最短で8年前倒しされることになった。
▽維新の要望の見返りに……
・安倍政権が横から口を挟み、成長戦略に取り入れたことで、リニア計画は文字通り「国家プロジェクト」に格上げされたのだ。政府が静観していたはずの民間の事業が、なぜ「国策」に格上げされ、法をねじ曲げてまで3兆円の国費を投じたのか。ここに、政権の意向をくんだ官邸や国交省などの「忖度」がはたらく余地がありそうなのだ。
・「安倍政権が巨額の国費を貸し付けてまで、リニア大阪延伸の前倒しにこだわるのは、まず日本維新の会を味方につけたいためでしょう。リニアを含め、『大阪万博誘致』『大阪・夢洲のカジノ計画』という維新が公約に掲げた3点セットを支援する見返りに、政権運営で維新の協力を引き出す思惑です。事実、維新は与野党対立法案に軒並み賛成し、もはや政権の補完勢力です。9条改憲に公明党が難色を示す中、安倍政権と維新の蜜月はますます深まりそうです」(政界関係者)
・リニア建設は南アルプスの巨大トンネルなど難工事が目白押し。ただでさえ建設業界全体が土木技術者の人手不足に悩まされる中、国がムリを重ねて工期まで縮小すれば、現場は地獄の苦しみである。もはや大手ゼネコンのキャパシティーさえ超え、業界関係者からは「限られた工期、対応できる業者の少なさ、工事の安心・安全などを考えれば、業者間の調整も仕方がない」という開き直った声も聞こえる。安倍首相のヨコシマなリニア国策化が談合の温床を生み出してもいるのだ。
・特捜部も野党も大手メディアも、「リニアの闇」に鋭いメスを入れるべきである。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220745/1

第三に、1月19日付け日刊ゲンダイ「捜査尻すぼみのリニア談合疑惑 ウラに官邸の“粛正人事”か」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・捜査の進展はどうなっているのか。リニア中央新幹線の建設工事を巡る大手ゼネコン4社の談合疑惑は、年が明けた途端、続報がパタリと途絶えてしまった。 「東京地検特捜部が動いた以上、談合事件の先にはバッジ(国会議員)をターゲットにしていると見られていました。しかし、どうも雲行きが怪しくなってきた。談合事件すら立件できるか分かりません」(全国紙社会部記者) ゼネコン側もやけに強気だ。鹿島と大成建設は、談合に当たる不正はないとして、22日が期限の課徴金減免制度に基づく違反の自主申告をしない方針だという。
▽強制捜査直後に地方へ異動の閣議決定
・「このまま事件がウヤムヤに終わるとすれば、官邸の粛清人事が影響している可能性がある」と、司法関係者がこう言う。 「特捜部が独占禁止法違反容疑で、鹿島と清水建設の本社を家宅捜索し、強制捜査に乗り出したのが昨年12月18日でした。実は、そのわずか1週間後の12月26日に、当時の林真琴刑事局長を名古屋高検検事長に転出させる人事案がこっそり閣議決定されたのです。
・林刑事局長と東京地検の森本宏特捜部長のラインでリニア疑惑を徹底追及すると見られていた直後に、林刑事局長が突然、飛ばされた。役職的には栄転とも言えますが、検察内では『林さんは虎の尾を踏んだ』ともっぱらでした。つまり、官邸が『これ以上、手を突っ込むな』と牽制する意味で粛清人事を行ったと見られているのです」
・法務・検察が不可解な人事に翻弄されるのは、今回が初めてではない。法務省の黒川弘務事務次官は、渦中の林氏と司法修習同期で、官邸の覚えがめでたい人物だ。 「16年に法務省は林氏を次官に充てる人事案を打診したのですが、官邸の意向で黒川氏が次官に就くことになった。官房長時代に官邸の意向を受けて甘利事件を握り潰した論功行賞でしょう。森友学園問題でも籠池前理事長を逮捕するよう現場の尻を叩いたとされ、『官邸の守護神』とも呼ばれています。黒川次官はリニア事件の捜査にも消極的だったそうです」(前出の司法関係者)
・これが本当なら、黒川次官がいるかぎり、安倍官邸は安泰ということだ。 だが、よその地検からも検事を動員して大々的に捜査を開始したリニア談合疑惑が立件できなければ、特捜部のメンツは丸潰れ。国民からの信頼を取り戻すには、報復人事を恐れず、巨悪に切り込むしかないはずだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/221542/1

第四に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が2月2日付けの同氏のブログに掲載した「「大林組課徴金全額免除されず」でリニア談合独禁法での起訴は”絶望”か」を紹介しよう。
・JR東海が発注する中央新幹線をめぐる談合(リニア談合)事件については、当ブログの【リニア談合、独禁法での起訴には重大な問題 ~全論点徹底解説~】でも、「不当な取引制限」の犯罪構成要件に照らしても、リニア工事をめぐる「競争」の実態からしても、独禁法違反の犯罪ととらえることは困難であることを詳述したし、日経BizGate【「リニア談合」の本質と独禁法コンプライアンス~本当に「日本社会が腐る」のか~】では、独禁法の法目的である「公正かつ自由な競争」を前提とするコンプライアンスの観点からも、このリニア工事をめぐる問題は独禁法違反ととらえるべき事件ではないことを指摘した。
・しかし、東京地検特捜部の動きに関しては、年明けから、他地検からの応援検事が動員されて捜査体制が増強され、独禁法違反での立件に向けての捜査は本格化していると報じられている(読売新聞【捜査態勢増強、準大手・中堅聴取へ…リニア談合】など)。
・そうした中、1月29日に、産経新聞が、【大林組、真っ先に自主申告も刑事訴追免除されぬ可能性も 課徴金、免除でなく30%減額】と題する記事を掲載した。 この事件については、12月8日、東京地検特捜部が大林組に「偽計業務妨害」の容疑で捜索を行った直後に、同社が、単独で、公取委に課徴金減免申請(自主申告)を行ったと報じられていた。それによって「課徴金全額免除」「刑事告発免除」の恩典を獲得した同社は、今後も、検察や公取委の捜査に対して独禁法違反の事実を全面的に認めるものとみられ、他の3社が、期限までに大林組に続いて減免申請を行うかどうかに注目が集まっていた。
・産経新聞の上記記事によれば、大林組は、課徴金の全額免除ではなく、30%減額にとどまり、刑事告発も免除されないとのことだ。それが事実だとすると、リニア談合の独禁法違反事件の今後の捜査に大きな影響を生じることになる。 そこで問題になるのが、他社に先がけて減免申請を行った大林組が、なぜ課徴金全額免除・告発免除にならないのかである。
・産経新聞の記事は、 調査開始前に自主申告するためには、違反行為の概要を記載した「様式1号」と呼ばれる申請書類を提出。さらに公取委が通知する期限までに、不正行為に関与した自社や他社の役職名や時期などを明記した詳細な報告と営業日報などを添えた「様式2号」を提出しなければならない。 大林組は昨年12月8、9日、名古屋市の「名城非常口」新設工事の入札で不正があった疑いがあるとして、偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた後、公取委に様式1号を提出したとみられる。 だが、様式2号の提出期限前だった同月18日に特捜部と公取委が独禁法違反容疑で大林組などの大手4社の一斉捜索に着手。この日が調査開始日となってしまったため、様式2号の提出ができなくなり、結果的に刑事訴追免除の対象から外れたとみられる。 としているが、しかし、この見方は、明らかに誤っている。
・独禁法7条の2 10項では、課徴金が全額免除となる申請の要件について 公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為をした事業者のうち最初に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者(当該報告及び資料の提出が当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後に行われた場合を除く。)であること。 と規定している。
・カッコ内が「一番目の申請者が全額免除とはならない場合」だが、これに該当するのは「事実の報告」(様式第1号及び様式第2号)及び「資料の提出」(様式第2号に添付)が、いずれも調査開始日以後の場合であり、第1号様式の報告だけでも調査開始日前に行われていて、公正取引委員会が申請者に通知した期限内に第2号様式による事実の報告と資料の提出が行われていれば、全額免除の資格はある。
・実質的に考えてみても、様式第1号を提出した事業者が、様式第2号の提出について公取委側が一定期間の猶予を与えているのに、その期間内に公取委が調査を開始したら、全額免除の権利を失ってしまうというのであれば、減免申請した事業者の立場は著しく不安定なものとなる。他社に先がけて課徴金減免申請を行うインセンティブも著しく損なわれる。
・「資料の提出」が調査開始後だったことは、課徴金全額免除を否定する理由にはならない。 では、大林組は、なぜ課徴金全額免除にならないのか。 課徴金減免制度は「事業者自らがその違反内容を報告し,更に資料を提出することにより,カルテル・入札談合の発見,解明を容易化して,競争秩序を早期に回復すること」を目的とする制度だ。
・事業者が、他社に先がけて、調査開始前に違反内容を報告し、資料も提出したのに課徴金全額免除にならないとすれば、その理由は、報告の内容が、カルテル・入札談合の「違反の報告」として十分なものと評価されなかったということであろう。 その事由として考えられるのは、当初の減免申請での申告が、個別の入札についての申告であって事業者間の相互拘束により「一定の取引分野における競争」を制限するような内容ではないとされたことだ。
・【リニア談合、独禁法での起訴には重大な問題 ~全論点徹底解説~】でも述べたように、入札談合に関する従来の公取委の実務では、「一定の範囲の入札取引」について談合を行うことについての事業者間の合意があり、実際に談合が行われている場合に「不当な取引制限」が成立し、「個別の入札取引にかかる談合」の事実だけでは、「不当な取引制限」は成立しないとされてきた。大林組は、名古屋市の「名城非常口」新設工事の入札で不正があった疑いがあるとして、偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた後に、公取委に様式1号を提出したとのことだが、この際の申告の内容が、この「名城非常口」新設工事の入札についての談合だけであったとすると、大林組の当初の申告は、「独禁法違反の申告」とは認められない可能性がある。
・公取委の過去の行政処分の事例の中にも、課徴金減免申請を規則が定める様式に従って行ったのに、減免の対象となる「報告及び資料の提出」とは認められなかった事例がある(平成24年9月24日「積水化成品工業(株)に対する課徴金納付命令」)。違反事業者側が、一定の範囲の入札取引について入札談合を継続的に行っていたことが不当な取引制限に当たるとされたものだが、積水化成品工業の減免申請は、そのうち一物件だけの談合を申告したものだったため、法が規定する「報告及び資料の提出」とは認められなかった可能性がある(談合についての具体的な事実が全く記載されていなかった可能性もあるが、申請する以上考えにくい。)。
・大林組の調査開始前の減免申請についても、個別の入札取引だけについての談合を申告するものだったために法が規定する「報告及び資料の提出」と認められず、課徴金全額免除の対象にならなかった可能性がある。 
・大林組の当初の課徴金減免申請が、公取委に、そのような理由で、「違反の報告」に該当しないと判断され、全額免除が否定されたとすると、今後の検察捜査に大きな影響が生じることは必至だ。 課徴金減免申請は、事業者の重大な利害に関わるものなので、その時点で可能な限りの社内調査を行い、慎重な判断の末に減免申請に至るのが当然だ。大林組も、当初の申請を行うに当たって、必要な社内調査を行った上で、弁護士の助言も受けて独禁法違反の成否等について判断し、弁護士を代理人として申請を行ったはずだ。
・その際、リニア工事をめぐる問題が、検察が当初の捜索の容疑事実にしていた「名城非常口」新設工事という個別の案件についての不正にとどまるのか、リニア工事全体についてのスーパーゼネコン4社間の合意があったのかが、独禁法違反の刑事事件に発展するかどうかの最大のポイントであることは当然認識していたはずだ。
・そこで、大林組が「リニア工事全体についての4社間の合意」を申告し、それが事実だったとすれば、同社の課徴金減免申請は全額免除・刑事告発免除という結果になるはずである。申告がそのような内容ではなかったのは、その時点での大林組関係者の認識が、談合は個別の物件について行われたにすぎず、「リニア工事全体」についての談合の合意はなかったと認識していたからだと推測できる。
・課徴金全額免除が認められていれば、大林組としては、関係者が検察にどのような供述をしても、自社の利害にはほとんど関係がなかったはずだ。しかし、それが認められないことになると、検察の取調べにも慎重に対応せざるを得なくなる。それどころか、当初の減免申請の段階で申告した事実と、検察の捜査に対して最終的に認める事実との乖離が大きければ大きいほど、当初の減免申請の段階での調査や申告内容が不十分だったことの問題が指摘されるリスクが高まることになる。
・リニア工事をめぐる事件を、独禁法違反の犯罪として起訴することが極めて困難であることは【リニア談合、独禁法での起訴には重大な問題 ~全論点徹底解説~】等でも指摘してきたところだが、検察にとって「最大の拠り所」は、偽計業務妨害での強制捜査を発端に課徴金減免申請を行った大林組が、課徴金全額免除・告発免除の恩典を確保するために、「リニア工事全体についての談合」を全面的に認める供述をすることだったはずだ。しかし、その大林組が、当初の減免申請によって課徴金全額免除が受けられなかったということになると、大林組側にとっては、大成、鹿島の2社が一貫して否定している「リニア工事全体についての4社の談合の合意」を、敢えて認めるメリットはなくなる。それどころか、大林組の役職員の供述を根拠に起訴され「リニア工事全体についての4社の談合の合意」という独禁法違反の事実が認定されるとすると、自社の役職員から事実確認を行った上で行われたはずの当初の減免申請時の大林組の対応に不十分な点があったことになる。そのために課徴金納付命令や刑事告発を受けたということになると、株主からの責任追及を受けるリスクも生じかねない。
・産経新聞が報じるように、大林組に対する課徴金が全額免除されず、刑事告発も免れないということになったとすれば、リニア談合事件の捜査を進める検察に「最大の武器」を提供するはずだった大林組は、「進退両難の危機」にさらされていることになる。もともと著しく困難であったこの事件の独禁法違反での起訴は、“絶望的”になったと言わざるを得ない。
https://nobuogohara.com/2018/02/01/%e3%80%8c%e5%a4%a7%e6%9e%97%e7%b5%84%e8%aa%b2%e5%be%b4%e9%87%91%e5%85%a8%e9%a1%8d%e5%85%8d%e9%99%a4%e3%81%95%e3%82%8c%e3%81%9a%e3%80%8d%e3%81%a7%e3%83%aa%e3%83%8b%e3%82%a2%e8%ab%87%e5%90%88%e7%8b%ac/

第一の記事で、 『問題となった名城非常口の落札金額は3社が組んだ共同企業体で推計90億円程度・・・名城非常口の掘削には、円筒状の掘削機で掘り進めるシールド工事が用いられる。大林組はこのシールド技術に強く、2013年には三菱重工業とトンネル工事用の省エネシールドマシンを共同開発している。 今回受注した名城非常口は地下約90メートルまで掘削するが、その後には名古屋駅や南アルプスへとトンネルを掘り進める工事が待っている。 得意のシールド技術を生かせるうえ、別に受注した名古屋駅(中央西工区)の工事との一体化も図れる』、と名城非常口の落札はほんの入り口で、その後に巨額の工事が控えているようだ。
第二の記事で、 『そもそもリニア中央新幹線の建設計画は、JR東海が全額自己負担を原則に進めてきた』、にも拘らず、安部首相が維新の会に恩を売るために、 『リニア建設に財政投融資を活用できるようにした。その結果、すでに約3兆円がJR東海に貸し出され、大阪までの全線開通時期を当初計画の2045年から最短で8年前倒しされることになった』、なんと気前のいいことか。 『事実、維新は与野党対立法案に軒並み賛成し、もはや政権の補完勢力です。9条改憲に公明党が難色を示す中、安倍政権と維新の蜜月はますます深まりそうです」』、リニア中央新幹線が政治のおもちゃになっている感があるが、これでは政治の介入を防ぐための国鉄の民営化の志は、完全に吹き飛んでしまったようだ。
第三の記事で、 『強制捜査に乗り出したのが昨年12月18日でした。実は、そのわずか1週間後の12月26日に、当時の林真琴刑事局長を名古屋高検検事長に転出させる人事案がこっそり閣議決定されたのです』、というのは官邸による露骨な捜査介入である。 ただ、特捜部の本件での取り組みには、第四の記事で郷原氏が法律論からの疑問を投げかけている。しかし、『よその地検からも検事を動員して大々的に捜査を開始したリニア談合疑惑が立件できなければ、特捜部のメンツは丸潰れ。国民からの信頼を取り戻すには、報復人事を恐れず、巨悪に切り込むしかないはずだ』、というのはその通りだろう。
第四の記事で、 『他社に先がけて減免申請を行った大林組が、なぜ課徴金全額免除・告発免除にならないのか』、については、 『その理由は、報告の内容が、カルテル・入札談合の「違反の報告」として十分なものと評価されなかったということであろう。 その事由として考えられるのは、当初の減免申請での申告が、個別の入札についての申告であって事業者間の相互拘束により「一定の取引分野における競争」を制限するような内容ではないとされたことだ』、というのもよく分からない話だ。 『大林組に対する課徴金が全額免除されず、刑事告発も免れないということになったとすれば、リニア談合事件の捜査を進める検察に「最大の武器」を提供するはずだった大林組は、「進退両難の危機」にさらされていることになる』、ちなみに1月23日付け日経新聞夕刊によれば、「白石大林組社長が辞任 リニア談合受け」と、大林組の立場は厳しくなったらしい。「他の大手ゼネコンを売ろうとして失敗した」のか、「検察の姿勢が途中から大事にしないように変わった」のか、真相は不明だ。第三の記事も踏まえると、永遠に闇に葬られるのかも知れない。
タグ:大林組に対する課徴金が全額免除されず、刑事告発も免れないということになったとすれば、リニア談合事件の捜査を進める検察に「最大の武器」を提供するはずだった大林組は、「進退両難の危機」にさらされていることになる 調査開始前の減免申請についても、個別の入札取引だけについての談合を申告するものだったために法が規定する「報告及び資料の提出」と認められず、課徴金全額免除の対象にならなかった可能性がある 他社に先がけて、調査開始前に違反内容を報告し、資料も提出したのに課徴金全額免除にならないとすれば、その理由は、報告の内容が、カルテル・入札談合の「違反の報告」として十分なものと評価されなかったということであろう。 その事由として考えられるのは、当初の減免申請での申告が、個別の入札についての申告であって事業者間の相互拘束により「一定の取引分野における競争」を制限するような内容ではないとされたことだ。 他社に先がけて減免申請を行った大林組が、なぜ課徴金全額免除・告発免除にならないのかである 大林組、真っ先に自主申告も刑事訴追免除されぬ可能性も 課徴金、免除でなく30%減額 リニア談合、独禁法での起訴には重大な問題 ~全論点徹底解説~ 独禁法違反の犯罪ととらえることは困難 「「大林組課徴金全額免除されず」でリニア談合独禁法での起訴は”絶望”か」 郷原信郎 よその地検からも検事を動員して大々的に捜査を開始したリニア談合疑惑が立件できなければ、特捜部のメンツは丸潰れ。国民からの信頼を取り戻すには、報復人事を恐れず、巨悪に切り込むしかないはずだ 役職的には栄転とも言えますが、検察内では『林さんは虎の尾を踏んだ』ともっぱらでした。つまり、官邸が『これ以上、手を突っ込むな』と牽制する意味で粛清人事を行ったと見られているのです 当時の林真琴刑事局長を名古屋高検検事長に転出させる人事案がこっそり閣議決定 続報がパタリと途絶えてしまった 「捜査尻すぼみのリニア談合疑惑 ウラに官邸の“粛正人事”か」 維新が公約に掲げた3点セットを支援する見返りに、政権運営で維新の協力を引き出す思惑 法改正し、リニア建設に財政投融資を活用できるようにした。その結果、すでに約3兆円がJR東海に貸し出され、大阪までの全線開通時期を当初計画の2045年から最短で8年前倒しされることになった ・リニア大阪延伸の前倒しを決断したのは、ほかならぬ安倍首相だ そもそもリニア中央新幹線の建設計画は、JR東海が全額自己負担を原則に進めてきた 「3兆円融資は“忖度”か リニア「国策化」の怪しいプロセス」 日刊ゲンダイ 2027年を予定している開業時期への影響 入札方式が不正を助長した側面もある 得意のシールド技術を生かせるうえ、別に受注した名古屋駅(中央西工区)の工事との一体化も図れる。同社は品川駅(南工区)の工事も受注しているが、これもシールド工事だ 今回受注した名城非常口は地下約90メートルまで掘削するが、その後には名古屋駅や南アルプスへとトンネルを掘り進める工事が待っている 大林組はこのシールド技術に強く、2013年には三菱重工業とトンネル工事用の省エネシールドマシンを共同開発している 推計90億円程度 名城非常口新設工事 リニア中央新幹線 大林組だけでなく鹿島や清水建設、大成建設なども大手4社すべてが家宅捜索 公正取引委員会が独占禁止法の疑いで捜査を開始 大手ゼネコンの大林組の本社などを家宅捜索 偽計業務妨害の疑い 東京地検特捜部 「ゼネコン、リニア談合の遠因は巨額建設費? 特捜が大手4社を家宅捜査、背景にあるもの」 東洋経済オンライン (ゼネコン リニア談合の遠因は巨額建設費?特捜が大手4社を家宅捜査、:3兆円融資は“忖度”か リニア「国策化」の怪しいプロセス、捜査尻すぼみのリニア談合疑惑 ウラに官邸の“粛正人事”か、「大林組課徴金全額免除されず」でリニア談合独禁法での起訴は”絶望”か) リニア入札不正・談合
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