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世界同時株安(その6)世界的マネー萎縮2(世界株安の波紋 トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃、株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける) [世界経済]

世界同時株安については、昨年2月16日に取上げたままであったが、今日は、(その6)世界的マネー萎縮2(世界株安の波紋、トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃、株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける)である。

先ずは、元日経新聞論説主幹の岡部 直明氏が2月8日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「世界株安の波紋、トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米国の株式市場は2月5日、史上最大の下落を記録し、世界中を株安の連鎖に巻き込んだ。米国株の暴落は、雇用の拡大で賃金が予想以上に上がり、長期金利上昇を招いたのが直接の引き金だが、その背景には、トランプ大統領が打ち出した大規模減税、インフラ投資、さらには新たな核軍拡によって米国の財政赤字が拡大する危険が潜んでいることがある。
・いわば景気過熱と財政赤字拡大による「トランプ・バブル」の矛盾が露呈したとみておかなければならない。それは好調を維持してきた世界経済を混迷させ、リーマンショック後の超金融緩和からの出口戦略を進める米連邦準備理事会(FRB)をはじめ各国中央銀行の舵取りをむずかしくしかねない。
▽パウエルFRB新体制に試練
・トランプ大統領らしいのは、世界経済フォーラムのダボス会議や一般教書演説などで米株価の「記録更新」を繰り返し誇ってきたのに、「史上最大の下げ」には口をつぐんでいることだ。しかし、この米株価暴落でだれよりも衝撃を受けたのは、当のトランプ大統領より5日に就任したばかりの新任のパウエルFRB議長だろう。
・米国株の暴落は、FRBにパウエル新議長が登場するのを待っていたかのように起きた。1987年10月のブラックマンデー(米国株の暴落)はグリーンスパンFRB新議長に試練を与えたが、それでも議長就任から2カ月を経ていた。このコラムでパウエル氏とグリーンスパン氏の共通項を分析した(2017年11月7日付記事「FRB次期議長にグリーンスパンの教訓」参照)が、株価暴落が新議長就任を「直撃」することになるとは予想しなかった。
・グリーンスパン氏の場合は、このブラックマンデーを受けてウォール街の友人たちに電話をかけまくり、その実態を把握する。そして流動性供給によって危機を最小限に食い止めた。その実績は高く評価され「マエストロ」(巨匠)への道を歩むことになる。
・しかし、パウエル新議長の場合、対応はそう簡単ではない。議長宣誓式後のビデオメッセージで「用心深くあり続け、湧き起こるリスクに対処する用意がある」と述べているが、対応を誤れば、危機を増幅する恐れがある。
・すでに世界の先頭を切って出口戦略に乗り出しているFRBは、2018年中に3度の利上げを予定しているが、景気好転による物価上昇にはずみがつくようなら、利上げのテンポを速めなければならない。しかし、景気好転の証とはいえ長期金利上昇で市場が混乱するなら、利上げのテンポを緩めることも考えなければならなくなるだろう。エコノミスト出身ではないパウエル議長がこの微妙な舵取りを市場の反応も読みながら実行できるかどうかである。
▽大規模減税・インフラ投資で財政赤字拡大
・米国経済が好調であるおかげで雇用が拡大し賃金上昇が実現し、それが低位安定を続けてきた長期金利を上昇させたとすれば、「良い金利上昇」である。「健全な経済」の循環だといえる。むしろ景気が良くても長期金利がいつまでたっても上がらず、それが株高を招いてきたとすれば、その方が「いびつな経済」といえる。
・しかし、長期金利上昇が経済の好循環とは別の要因によってもたらされているとすれば、話は別である。トランプ政権が打ち出す経済戦略が米国に巨額の財政赤字を積み残すことが懸念される。巨額の財政赤字が長期金利上昇の背景にあるとすれば、「悪い金利上昇」というしかない。
・法人減税など大規模減税を柱とするトランプ税制改革によって、連邦政府債務は10年間に1兆ドル積み上がる見通しだ。さらにトランプ大統領は1.5兆ドルという戦後最大のインフラ投資計画を打ち出した。このままでは財政赤字の国内総生産(GDP)比は5%に近づき、連邦債務残高のGDP比は100%を超える恐れが出てきている。これはユーロ圏の問題国並みの危機レベルである。
▽核軍拡で財政赤字拡大に拍車
・さらに、問題なのはトランプ政権が核軍拡を軸に国防費増大を鮮明にしていることだ。オバマ前大統領が打ち出した「核兵器なき世界」への核軍縮路線を逆転させる危険な選択である。核戦略の指針となる「核体制の見直し」(NPR)は、核兵器の使用条件の緩和など核の役割拡大を打ち出した。爆発力を抑制した小型の核弾頭を開発するなど「使える核兵器」をめざしている。核抑止力を高めるのが狙いだが、トランプ政権の路線転換にロシアや中国は強く反発しており、核軍拡競争が再燃する危険がある。
・このトランプ政権の核軍拡は世界の安全保障環境を危険にさらすだけではなく、ただでさえ危機レベルに近づく米国の財政赤字をさらに拡大させる恐れがある。とくに冷戦期のような核軍拡競争に発展すれば、財政赤字に歯止めがきかなくなる。それは、米国の長期金利上昇を招き、世界の金融、為替市場を混乱させる要因になる。米の核戦略見直しは米株価暴落と連動したとみるべきだろう。
▽一時的調整か構造的矛盾か
・米株価暴落は一時的調整や構造的調整か市場の見方は分かれるが、米株暴落は、トランプ政策の矛盾が露呈したとみるべきだろう。法人税率引き下げなど大規模減税やインフラ投資による需要刺激は企業収益を押し上げる一方で、景気を過熱させる危険をはらむ。劣勢が予想される11月の中間選挙を前にした大盤振る舞いには不安がつきまとう。それは「適温経済」を超えてインフレ懸念につながる。
・合わせて、大規模減税、インフラ投資、核軍拡というトランプ版「3本の矢」は、財政赤字を拡大させる。 すべては長期金利の上昇要因につながってくる。それはトランプ政策が抱える構造問題といえる。市場は乱高下を繰り返しながらも、トランプ政策の構造的矛盾をつくことになるだろう。
▽中央銀行が試される出口戦略
・米株価の暴落は、世界の市場を巻き込んだ。政策協調によって危機の拡散を防ぐのは当然だが、ここで重要なのは、FRBをはじめとする中央銀行が「政治との距離」を保ちながら出口戦略を実行できるかどうかである。 トランプ大統領はかねて「低金利が好きだ」と公言している。パウエルFRB議長はそのトランプ大統領に任命された「トランプ印」と受け止められている。そのために、もし本来必要な利上げを見送ることになれば、リスクがさらに高まることになる。パウエル議長が大統領とのあつれきを恐れず政策を実行できるかどうかで市場の信認が決まる。それこそが市場の安定につながる。
・FRBに続いて、出口戦略に動き出した欧州中央銀行(ECB)にも課題は多い。今年半ばに資産購入を終了できるか、利上げは来年半ばまで先送りできるかなどである。来年10月に任期満了を迎えるドラギ総裁は後任にタカ派のワイトマン独連銀総裁が浮上する中で、ユーロ危機を打開したときのような「ドラギ・マジック」を発揮できるかどうかである。ECBの場合、FRBとは逆にドイツを中心とする利上げ圧力にどう対応するかが問われるだろう。
▽日本が抱える複合リスク
・深刻なのは日本である。米国株の暴落を最もまともに受けたのは東京市場だった。東京市場はまるでニューヨーク市場の写真相場だった。そこには、日本が抱える財政と金融の複合リスクがある。 日本の財政赤字は先進国最悪であり、長期債務残高のGDP比は2.3倍に膨らんでいる。日銀の国債購入を通じて、膨らむ財政赤字がファイナンスされている状況だ。にもかかわらず、安倍晋三政権に危機感は乏しく、大甘である基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標さえ先送りされている。このままで長期金利が上昇に転じれば、財政赤字は雪だるま式に膨らむ。
・黒田東彦総裁は近く任期満了を迎えるが、続投するかどうかは別にして、日銀総裁はこの財政危機について政治に直言できる人物でなければならならない。合わせて出口戦略について議論し、市場に織り込ませることも肝心だろう。 米国株の暴落は「対岸の火事」ではない。火の粉を払えば済む問題ではない。日本自身が複合リスクを直視すべきことを示唆している。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/020700053/?P=1

次に、経済ジャーナリストの岩崎 博充氏が2月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・史上最高値を続けていたニューヨークダウ株平均が、2月に入って歴史的な大暴落を記録した。2月5日には、1日の下落幅では史上最大となる1175ドル(終値ベース、-4.60%)の大暴落を記録。その3日後の8日にも1033ドル(同、-4.15%)と暴落した。
・連日、史上最高値を更新し続けてきたものの金利が上昇しない「ゴルディロックス・マーケット(適温経済相場)」が、ここにきて大きく崩れ始めた。きっかけは、米国の長期金利急騰だと言われているが、むしろリーマン・ショック以来続いてきた中央銀行による金融緩和が招いた過剰流動性相場の崩壊シーンがいよいよ始まった、とみるべきなのかもしれない。 今回の世界同時株安の背景にあるもの、そしてこれからどうなるのかを検証してみたい。
▽金融引き締め観測+北朝鮮リスクか?
・リーマン・ショック時の最大下落幅が777ドル(2008年9月29日、-6.98%)だったことを考えると今回のニューヨークダウの下落幅はいずれも1000ドルを超えている。下落率では、まだリーマン級とは言えないが、株価が大きく上昇しているため、どうしても変動幅(ボラティリティ)は大きくなってしまう。 
・今回の株価急落の原因をどう見るか。少なくとも株価だけを見るとトランプ大統領誕生以来、続いてきたトランプラリーが名実ともに終了したとみていいのではないだろうか。1月30日に行われたトランプ大統領の一般教書演説では、大型減税の実現とインフラ整備の拡大をアピールした。しかし、金融マーケットはこれを今後の「金利上昇」のシナリオととらえて、長期金利が上昇し株価が大きく下落した。
・数値が高くなるほど投資家が相場の先行きに不安を持つと言われる「VIX(Volatility Index)指数」もハネ上がった。恐怖指数ともいわれるこの指数がハネ上がったことで、相場全体に悲観的な見方が多くなってきた。
・金利上昇が株価暴落につながるケースはよくあることで、1987年の「ブラックマンデー」や2000年の「ITバブル崩壊」も金利上昇が株価暴落の直接原因となった。ブラックマンデーやITバブル崩壊も、共に直近の「金融引き締め観測」が原因で株価が急落している。
・特に、ブラックマンデーは、米国の中央銀行に当たるFRB(米連邦準備制度理事会)議長にグリーンスパン氏が就任して2カ月の頃で、今回のパウエル新議長誕生直後のタイミングと似ている。さらに当時は、イランと米国の軍事衝突が懸念されていた時期でもある。
・不安になるのは、「100年に1度」と言われたリーマン・ショック級の株価暴落が再び襲うかもしれない、という恐怖だ。今回の株価暴落を、単なる一時的な調整局面とみていいのか。それとももっと構造的なものなのか。その部分をきちんと見極める必要があるだろう。
・ただでさえ、ITやAI(人工知能)、ロボティクス、フィンテック、仮想通貨といった時代の大きな変革期に差し掛かっている現在、そうした時代の変革を株式市場は取り込みながら、大きく株価を上げてきた。そんな時代の変化に対して、株価が大きく調整すれば変革のスピードも減速することになる。
・問題はなぜ金利が上昇してきたのかだ。ただでさえ景気がいいところに、トランプ政権が打ち出してきた経済政策は、大型減税やインフラ投資、軍事力増強といったインフレを招くような景気政策が並んだ。景気過熱=金利上昇圧力の高まりに投資家が警戒して利益確定を早めた、とみるのがいいだろう。しかし、そんな単純でわかりやすい説明だけで本当にいいのか……。そこに疑問が残る。
▽本質は「債券バブル崩壊」の前兆現象か?
・今回の株価暴落の原因をもう一度整理してみよう。大きく挙げて3つある。
 1. 長期金利の急騰……1月の米雇用統計の結果でもわかるように米国経済は好景気そのものだ。にもかかわらずトランプ政権が打ち出す大型減税やインフラ投資は、本来なら景気後退局面に打ち出す景気刺激策と言っていい。当然、インフレ懸念が出て金利が上昇。FRB理事の中には、2018年中にさらに3~4回の利上げが必要という発言も出てきた。  金利上昇は債券価格の下落を意味するものだが、株式市場にとってはマイナス材料で、その目安は3%と言われる。長期金利が3%を超えると、資金が株式市場からより安全性の高い債券市場に移動を開始するために、株式は売られやすくなる。現在、10年物米国国債の金利は2.857%(2月9日現在)。株式市場が金利上昇によって売られやすくなる水準まであと一歩というところだ。
 2. 北朝鮮による地政学リスクの高まり……トランプ大統領が読めない政治家であり、しかも気まぐれであることから「米朝開戦」のリスクが依然として続いている。平昌五輪で、韓国と北朝鮮が融和ムードを演出しているものの、北朝鮮が米国に届く核ミサイル開発を続けていることは事実だ。「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」という投資格言があるが、米国本土にも届く核ミサイルや潜水艦から発射されるミサイルの開発によって、北朝鮮リスクは米国市場にとって「近くの戦争」になってしまった。
 3. 過剰流動性を招いた「緩和マネー」バブル……リーマン・ショック以降、各国の中央銀行は競ってゼロ金利、マイナス金利、量的緩和策を実行してきた。ここにきて米国が金利を引き上げ始め、欧州のECB(欧州中央銀行)やBOE(イングランド銀行)なども、量的緩和の縮小や金利引き上げの金融政策に転換を始めている。 「現在の金融緩和策を継続する」と言いながらも、実質的にはテーパリング(量的緩和の縮小)をこっそりやり始めている日本のような国もあるが、いずれにしても世界中にバラまかれた緩和マネーが縮小の方向に向かっている、と言っていい。
・緩和マネーの過剰流動性が原因で、株式市場をはじめとして債券や原油、不動産、金、仮想通貨といった資産に資金がバラまかれて、大きなバブルをつくっていたと考えることもできる。リスクマネーと呼ばれる潤沢なマネーが、世界中の金融市場に流れ込んだわけだ。
・そしていま、この緩和マネーバブルが弾けようとしている。株式市場はそうした大きな流れを、いち早く察知して株価下落に陥った、という見方もできる。 これら緩和マネーの縮小によっていったい何が起こるのか。
・あらゆる金融市場が、ゴルディロックス経済の下で拡大したバブルが、ここにきて弾けようとしているわけだが、中でもとりわけ心配されているのが「債券バブルの崩壊」だ。緩和10年で膨れに膨れ上がった債券市場はここにきて大きく動き始めている。 グリーンスパン元FRB議長も、「本当のバブルは株ではなく債券」とコメントしているように、債券バブルがここ10年間の過剰流動性相場の最たる懸念材料と言っていいのかもしれない。いわゆる「緩和マネーバブル」は、株式よりもむしろ債券市場にある、というわけだ。
▽500年の歴史を持つ債券バブルの崩壊が招く悲劇か?
・ブルームバーグTVは、2017年11月9日の番組で「債券には500年以上の歴史:市場規模は過去最大に」として、米国の債券市場がいまや40兆ドルに達し、株式市場の時価総額30兆ドルを10兆ドルも上回っており、史上最高になっていると指摘している。 ちなみに、リーマン・ショック翌年、2009年末の米国の債券残高総額は約31兆ドル(米国Asset Allocation Advisor社調べ、2009年末調査、以下同)、株式市場は時価総額で14兆ドルで、両市場を合わせた世界の合計は126兆ドルだった。
・統一されたデータがないため、はっきりした数字はわからないが、2009年末の世界の債券残高総額は82兆ドル、2012年末には100兆ドルを超えて、2017年には170兆ドル前後に達しているという報道もある。この8年で2倍に拡大したことになる。
・債券バブルの崩壊は、簡単に言えば金利の急騰を招く。リーマン・ショックからの立ち直りを早めるあまり、この10年、世界は米国FRBの「非伝統的金融緩和」に始まり、日本銀行の「異次元緩和」など、やや強引と思えるような金融緩和を実施してきた。その緩和マネーの行き着く先で最も多かったのが債券と考えていい。
・14世紀のイタリア・フィレンツェが発祥の地と言われる債券の歴史の中で、初めてマイナス金利や非伝統的、異次元の量的緩和が実施され、世界中で金利のほとんどつかない債券が発行され、流通したわけだ。
・一部では「現在の経済は株ではなく債券が動かしている」とも評されている。この歴史ある債券市場を、景気後退を避けるために無理やりバブルをつくったのが、この10年の歴史だったと考えていいだろう。 そしていま、この債券バブルが弾けようとしている可能性がある。
・問題は、この債券市場のバブルが崩壊したとき、どんな影響が出てくるのかだ。とりあえず、金利上昇によって、株式市場が暴落の危機にさらされることがわかったが、この程度の影響で済むのか。そのあたりの見極めを誤ると大変なことになるのかもしれない。
▽米国よりもっと怖い日本の債券バブル崩壊?
・債券バブル崩壊によって何が起こるのか。最もわかりやすいのは、金利が高騰(債券価格は下落)して株式市場が下落する、というメカニズム。そのほかにも為替市場で金利が上昇する通貨の変動幅が大きくなるなど、さまざまな弊害がもたらされてくる。
・たとえば、1994年のメキシコ危機は米国の利上げによって資金が米国に流失し、通貨のペソが暴落。通貨の暴落をきっかけにメキシコが急激なインフレや失業率の悪化に陥っている。 同様に、1997年に起きたアジア通貨危機も、米国の金利上昇と直接の関係はないが、米ドルとリンクしていた通貨が売り浴びせられて下落。タイ、インドネシア、マレーシア、韓国といったアジア諸国の通貨が売られて経済危機が起きた。
・要するに、米国の株価が下落したのは「債券バブル崩壊」の前兆である可能性があるということだ。そういう意味では、今後起こることに注視する必要がある。もともとリーマン・ショックは米国が発生源であり、その対応も早かった。したがって、相場の歪みが現れるのも米国が真っ先になる可能性が高い。
・そのシナリオとは何か。残念ながら、未来のことは誰にもわからないが、これまでの歴史を繰り返すとすれば、いくつかのシナリオは想定できる。たとえば――  ➀米国の金利の引き上げが続く  ➁ドル高傾向が強まる  ③株価は調整局面を繰り返す  ④新興国で通貨下落による経済危機が頻発する  ⑤不動産価格、資源価格、仮想通貨などの価格が低迷する  ⑥地政学リスクがいま以上に高まる 
・債券バブルの崩壊によって日本に何がもたらされるか。日本の場合、世界的な規模で債券バブルが崩壊した場合、最も大きな影響を受けることになりそうだ。たとえば、株式市場と債券市場の比率を見ると、先進国の平均では株式、民間債券、政府債券の比率がほぼ同程度だが、日本の場合は全体の6割以上が政府債券によって占められている。
・それだけ、日本国債の発行比率が高いことを意味しているわけだが、ある意味で日本は歪んだ証券市場と言っていい。言い換えれば、“政府債券バブル”がずっと続いてきたことを示している。 世界の債券バブルが崩壊すれば、日本の政府債券バブルも崩れる可能性が高まる。実際、このところの株価急落で、本来であればもっと円が買われて円高になるのが普通だが、為替市場があまり反応していない。さすがにここにきて1ドル=106円台にまで円高が進んできたが、米国の債券市場で起きていることの影響が、日本でも起きつつあるのかもしれない。 債券バブルの崩壊という事態が訪れないことを祈るばかりだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/208813

第一の記事で、 『パウエルFRB新体制に試練』、というのは、 『トランプ大統領はかねて「低金利が好きだ」と公言している』、だけに厳しい試練だ。  『米株価暴落は一時的調整や構造的調整か市場の見方は分かれるが、米株暴落は、トランプ政策の矛盾が露呈したとみるべきだろう。法人税率引き下げなど大規模減税やインフラ投資による需要刺激は企業収益を押し上げる一方で、景気を過熱させる危険をはらむ。劣勢が予想される11月の中間選挙を前にした大盤振る舞いには不安がつきまとう。それは「適温経済」を超えてインフレ懸念につながる。 合わせて、大規模減税、インフラ投資、核軍拡というトランプ版「3本の矢」は、財政赤字を拡大させる。 すべては長期金利の上昇要因につながってくる。それはトランプ政策が抱える構造問題といえる。市場は乱高下を繰り返しながらも、トランプ政策の構造的矛盾をつくことになるだろう』、ということは構造的調整とみていることになる。 『日本が抱える財政と金融の複合リスク』、は本当に深刻だ。黒田総裁の続投が決まったようだが、彼にきちんと「落とし前」をつけてもらう必要がある。
第二の記事で、 『緩和マネーバブルが弾けようとしている。株式市場はそうした大きな流れを、いち早く察知して株価下落に陥った、という見方もできる・・・・あらゆる金融市場が、ゴルディロックス経済の下で拡大したバブルが、ここにきて弾けようとしているわけだが、中でもとりわけ心配されているのが「債券バブルの崩壊」だ』、 『日本の場合、世界的な規模で債券バブルが崩壊した場合、最も大きな影響を受けることになりそうだ』、と日本の影響は深刻だが、異次元緩和により日銀が国債市場のマーケットメカニズムを利かなくしているだけに、市場の膨大な売り圧力に、日銀が買いオペでどこまで対抗できるかが見物だ。
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