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北朝鮮問題(その15)(東京ドーム周辺で開催「ミサイル避難訓練」の隠された狙い、米国が静かに進めている北朝鮮「軍事攻撃」の準備 グアム島に集結する主力爆撃機、米国で浮上した「北朝鮮攻撃シナリオ」の中身) [世界情勢]

北朝鮮問題については、1月16日に取上げた。今日は、(その15)(東京ドーム周辺で開催「ミサイル避難訓練」の隠された狙い、米国が静かに進めている北朝鮮「軍事攻撃」の準備 グアム島に集結する主力爆撃機、米国で浮上した「北朝鮮攻撃シナリオ」の中身)である。

先ずは、弁護士の大前 治氏が1月21日付け現代ビジネスに寄稿した「東京ドーム周辺で開催「ミサイル避難訓練」の隠された狙い 政府はなぜ威力や恐怖を伝えないのか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定した避難訓練が各地で実施されている。頭を抱えてしゃがみこむ訓練の様子も報道され話題となった。 1月22日には東京ドーム周辺でも避難訓練が行われる(東京都「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施について」)。この訓練に意味はあるのか。無意味というだけでなく国民を統制する危険な動きではないだろうか。思考停止にならずに考えてみよう。
▽「近くで爆発が起きたらテレビを見よう」?
・内閣府が作成した冊子「武力攻撃やテロなどから身を守るために」(2017年10月改訂版)には、身の回りで爆発が起きたときの対応法を次のように説いている。 とっさに姿勢を低くする、テーブルの下に隠れる、警察や消防の指示に従って落ち着いて行動する、テレビやラジオで行政機関からの情報収集に努める、というのが内閣官房の指示である。
・遠くではなく「身の回り」での爆発が起きたとき、悠長にテレビを見ていられるだろうか。 文章だけでなく表紙にも挿絵にも緊張感がない冊子からは、爆発の威力や怖さが伝わってこない。
▽「核爆発が起きたら、目で見ないでね」?
・この冊子には核爆発への対処法も書かれている。閃光や火球が発生した場合には目で見ないように、口と鼻をハンカチで覆って爆発地点から遠く離れましょう、と指示している。 あまりに非現実的な対処法に驚く。 核ミサイルは落下場所が予告されない。瞬時に爆発して閃光を発し、大量の熱線・爆風・放射線によって都市を破壊する。 「あっ、核爆発だ。見ないようにしよう」と思う暇などない。政府は国民に不可能なことを指示している。
・本来、災害対策の前に、火災・洪水・地震・津波など各種災害の威力や被害実態を周知することが重要である。それによって対策の必要性が理解され、日頃の備えを促すことができるからである。 それは弾道ミサイルや核攻撃への対策でも同じはずである。 一瞬で都市を火の海にする核爆発の威力や放射線の悪影響を国民に理解させ、中途半端な対策では安全を守れないことを国民に知らせなければならない。
・現状のミサイル訓練は、それとは真逆である。 ミサイル技術の専門家による破壊力のシミュレーションもなく、建築の専門家による対ミサイル防護建造物の検討もない。ただ逃げましょう、避けましょうと言っているだけである。 これでは、迫りくる危険から国民の安全を守るために政府が本気を出しているとは評価できない。
・イギリスの国際戦略研究所(IISS)は、東京が核攻撃を受けると瞬時に数十万人が死亡すると算出し、アメリカの研究機関の運営サイト「38North」には死者69万7千人、負傷者247万4千人の被害が生じるという予測が掲載されている。 こうした予測を、日本政府は何一つ公表していない。
▽なぜミサイル攻撃の実相を知らせないのか
・国民にミサイルの威力を分からせるには、イラク戦争での米軍の空爆映像を見せればよい。 核攻撃の威力を分からせるには、広島・長崎の被害映像を示すとともに長期にわたる放射線被害を知らせればよい。  そうした被害を受ける危険が、安倍政権の外交施策のもとで生じているのだと、正々堂々と言えばよい。
・なぜ政府は、ミサイル攻撃への危機感を煽るばかりで、いま迫っている具体的な被害像を示さないのか。理由を考えてみたい。 一瞬で大量の死傷者が生じるという被害予測を示したら、それに対応できる救急体制が整っていないことが明らかになり、市民の不安は増大するであろう。 ミサイル攻撃から身を守るのは容易ではないと分かったら、「北朝鮮を挑発するな、ミサイルを撃たせないため対話の努力をせよ」という政府批判が巻き起こるであろう。
・政府の失政によって危機が生じたのだから、国家予算で防空シェルターを建設せよ、防護資材や防空施設を提供せよ、被害者には補償せよ、という批判も巻き起こるだろう。 核兵器への理解を広めるために放射線の危険を知らせることは、脱原発の世論を喚起したり、原発再稼働の政府方針への支障を生じたりするだろう。 核兵器の非人間性を知らせることは、アメリカを含むすべての国に核廃絶を求める世論を高めるとともに、国連で核兵器禁止条約に賛成しなかった安倍政権への疑問を強めるだろう。
・このように、被害予測をリアルに国民へ知らせることは、政府にとって都合が悪いものであると分かる。  本当にミサイル危機が迫っていて、この方法で国民の生命を守れると考えるならば、安倍政権は避難訓練の有効性を客観的根拠や科学的データを示して国民に理解させるべきである。
・それができないのであれば、避難訓練は国民を思考停止させるだけで、百害あって一利なしである。 こうしたなか、2017年10月に内閣が実施した「外交に関する世論調査」では、北朝鮮について関心があることとして「ミサイル問題」を挙げた人は83.0%と、前年より11.5ポイント増えている。 何となく不安で、漠然とした関心が高まっているが、対処法が分からない。そんな国民の思いに応えるだけの情勢分析や対処方法を示すのが日本政府の責務ではないだろうか。 「国難だ」といって選挙に利用するばかりの安倍政権に危うさを感じる。
▽国民を怖がらせない防空訓練
・日本政府は、過去にも似たことをした。 第二次世界大戦でアメリカに宣戦布告する前、空爆に対する訓練(防空訓練)の実施方法を説いた「宣伝要領」は次のようにいう。
・民防空啓発宣伝要領(1941年8月13日 情報局)
 +我が国に対する空襲が、あたかも第一次大戦時の欧州におけるが如く大規模に実施され、または関東大震災の如き惨害を生ずるような誤解を与えないこと
 +国民に対しては「自発的」に防空準備を実行するよう促進すること
 +政府の措置を信頼させること
 +防空に関する美談を紹介して防空思想を涵養させること
・防空訓練が戦争への恐怖を生み出してしまっては逆効果である。18年前に起きた関東大震災のような大きい被害は生じないと安心させて訓練を実施するのが政府方針であった。疑問を抱かせないよう政府を信頼させることも重要方針として明記された。
・政府の防空啓発ポスターも、空襲の恐怖を受け付けるより「落ち着け」と呼びかけている。 こうした方針のもとで、爆弾は怖くない、空襲の火災は簡単に消火できる、といった安全神話が流布された。関東大震災に匹敵する東京大空襲で10万人が死亡したのは、この3年半後である。
・日本政府による情報操作や避難政策が被害を拡大したことは、過去の記事(「空襲から絶対逃げるな」――トンデモ防空法が絶望的惨状をもたらした)で触れたとおりである。
▽「自発的な行動」を指示する恐ろしさ
・上記の「宣伝要領」には、もう一つ注目してほしい点がある。 国民に「自発的」な行動を求めている点である。人々の自由が制限された戦時体制下でも、防空活動は命令や強制ではなく「自発的」にするものとされたのである。 政府や軍部の指導に背くことはできない時代であった。「自発的」とは名ばかりで、政府方針を忖度して防空活動に従事する以外に選択肢はなかった。 それでも「自発的」であることに意味はある。強制とか拒否できるとかいう考えを排して、「国民は国家の一員として、当然に国家に協力するものである」という風潮の確立に資するからである。
・自発的に行動するか否かは、法律の問題ではなく、精神や道徳の問題となる。これに反する者は異端者であり非国民とされる。戦時中の国民にとっては法の裁きよりも恐ろしい重圧となる。国民全体が参加する総力戦体制は、こうして可能になった。
・現在の法律も「自発的」であることに重きを置く。武力攻撃に対する訓練や避難について定める「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」の第4条は、以下のように定めている。
 第1項 国民は、この法律の規定により国民の保護のための措置の実施に関し協力を要請されたときは、必要な協力をするよう努めるものとする。
 第2項 前項の協力は国民の自発的な意思にゆだねられるものであって、その要請に当たって強制にわたることがあってはならない。
・強制してはいけないと明記している点は、戦前戦中とは大きく異なる。 しかし、この法律に基づいて防空訓練に「自発的に」協力せよというキャンペーンが展開されると、「こんな訓練が役に立つのか」と疑問を述べることもできない空気が社会に充満しそうで怖い。 近時の避難訓練でも、「行政の指示に従うこと」が繰り返し強調されている。パニックや混乱防止の名目で、統制への従順さが試されている。
・戦争協力を強制されるのは恐ろしい。しかし、もっと恐ろしいのは、強制されていないのに多くの国民が自発的に避難訓練に参加して一斉にしゃがみ込む姿である。
・今なら間に合う。避難訓練への参加は拒否できるし、おかしいと思うことはおかしいと言える。 怖くない戦争が日常に入り込み、気付いたときには戦争が怖くても逃げられなくなった。それが過去の教訓である(過去記事を参照)。二度と同じ過ちを繰り返さないために、私たちは疑問をもつことを止めてはいけない。
・過去から学ぶことは数多い。戦時中のポスターなど200点以上の写真・図版を掲載した著書 『逃げるな、火を消せ! 戦時下 トンデモ 防空法』をぜひ手に取っていただき、多くの市民が疑問を持たないままどのように戦争が始まったのか、当時の空気を感じ取っていただければ幸いである(解説サイトはこちら)。)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54185

次に、戦争平和社会学者の北村 淳氏が1月25日付けJBPressに寄稿した「米国が静かに進めている北朝鮮「軍事攻撃」の準備 グアム島に集結する主力爆撃機、日本も心の準備を」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・北朝鮮が韓国文在寅政権に対して平昌オリンピック参加を餌に揺さぶりをかけることにより、南北直接対話が開始された。その結果、アメリカ軍による挑発的な軍事圧力や軍事攻撃(予防戦争)は一見して遠のいたかに見える。日本のメディアによる北朝鮮騒ぎも、ひとまず下火になっているようである。
・しかしながら、北朝鮮が、アメリカ本土を直接攻撃可能な核搭載長距離弾道ミサイル(ICBM)を取り揃えようとする限り、トランプ政権が対北朝鮮軍事オプションを放棄することはあり得ない。 実際、昨年(2017年)末から現時点にかけても、米軍では来たるべき対北朝鮮「予防戦争」発動に備えた訓練や具体的準備が静かに進められている(もちろんペンタゴンとしては、できうる限り避けたい事態であるのだが)。
▽地上軍の投入が必要
・アメリカ国防当局が決して望まない事態であるとはいえ、トランプ政権が決断を下した場合には、米軍による対北朝鮮軍事攻撃は現実のものとなる。 この「予防戦争」の戦端を開くのは、ICBMを中心とする核・弾道ミサイル関連施設に対する米空軍爆撃機部隊、戦闘攻撃機部隊によるピンポイント猛爆撃であり、それとタイミングを合わせて着弾するように米海軍艦艇からも大量の長距離巡航ミサイルが発射される。引き続いて、空軍爆撃機部隊の第二波爆撃と共に、海軍や海兵隊の戦闘攻撃機による爆撃も実施され、韓国内からも巡航ミサイルや長射程火砲による砲撃が実施される。この段階で、「予防戦争」の戦争目的である北朝鮮のICBM戦力や核戦力は壊滅することになる。 
・だが、それらの目標を空爆しただけでは目的を完遂することにはならない。海兵隊の少数精鋭部隊を先鋒として、それに引き続く大規模な陸軍侵攻部隊が北朝鮮領内に侵攻して核施設を接収していかなければ「予防戦争」は終結しない。 このように地上軍を投入しなければならないという点が、米軍首脳が「予防戦争」実施を躊躇する大きな要因の1つである。
▽訓練を開始した米陸軍
・米軍は過去10年間以上にわたってイラクやアフガニスタンでの戦闘に従事してきたが、主たる敵はテロリスト集団が組織する武装勢力であって、いわゆる国家の軍隊ではなかった。そのため、猛爆撃により大打撃を与えた後とはいえ、北朝鮮に侵攻して朝鮮人民軍(以下、北朝鮮軍)という正規の陸軍部隊と戦闘を交えるのは米軍陸上部隊にとっては久しぶりということになる。
・もっとも、あらゆる状況下でアメリカの尖兵として敵地に乗り込む役割を負っている海兵隊は、海岸線沿岸地帯の敵勢力を撃破し、後続する陸軍部隊を迎え入れる、といった類いの訓練は常に実施している。だが、米陸軍がこれまで対処してきたのは、イラクの砂漠、アフガニスタンの荒野や山岳地帯でのテロリスト武装集団や非正規叛乱軍などの武装蜂起やテロ攻撃である。北朝鮮に侵攻して、テロリスト武装集団より格段に訓練が行き届いた正規陸軍と戦闘を交えるためには、これまでとは異なった訓練を実施しなければならない。
・そこで昨年暮れには、ノースカロライナ州で48機の攻撃ヘリコプターと輸送ヘリコプター、それに多数の将兵が参加して、実弾砲撃の中で陸軍部隊と大型兵器資機材を移動させる実戦さながらの訓練が実施された。それに引き続いて、米陸軍の精鋭部隊である第82空挺師団は、ネバダ州で100名以上の隊員による夜間降下侵攻訓練を実施した。これらの限りなく実戦に近い訓練が北朝鮮侵攻を念頭に置いたものであることは明らかである。
・そして間もなく、1000名もの米陸軍予備役将兵が参加する、緊急時における予備役動員訓練が実施されることになっている。また、平昌オリンピック・パラリンピック開催期間中には、韓国に駐屯している米陸軍特殊部隊を大幅に増強する予定も明らかになった。それらの特殊部隊は、予防戦争勃発と共に北朝鮮領内に侵入して、空爆目標の誘導や各種破壊活動などを実施する役割を持っている。
▽大型貫通爆弾で地下施設を攻撃
・前述したように、米軍による対北朝鮮「予防戦争」は、空軍爆撃機部隊による北朝鮮のICBM関連施設への奇襲空爆によって開始される。この第一波攻撃で、アメリカ領域を攻撃できるICBM関連施設を破壊しなければ、アメリカ本土に対する報復核攻撃が実施される可能性もある。
・北朝鮮のICBMをはじめとする弾道ミサイル関連施設や移動式ミサイル発射装置は、いずれも地下施設や山岳地帯の洞窟式施設などに潜んでいる。そのため、先制奇襲攻撃では、地下深くの攻撃目標を破壊するために開発されたGBU-57大型貫通爆弾(MOP:最大60メートルのコンクリートを貫通した後に爆発し目標を破壊する)を使用する必要がある。
・巨大なMOPを搭載することができる爆撃機は、B-52戦略爆撃機とB-2ステルス爆撃機のみである。米空軍爆撃機部隊が北朝鮮攻撃の主たる前進拠点としているグアム島アンダーセン米空軍基地に常駐しているB-1B爆撃機には、MOPを搭載することはできない。よって、B-2ステルスを奇襲攻撃に投入し、B-52とB-1Bが共に第二波攻撃で大量の各種爆弾を投下する役割を担うことになる。
▽グアムに15機の主力爆撃機が勢揃い
・いずれにせよ、米軍による対北朝鮮軍事攻撃が敢行される場合には、グアム島アンダーセン米空軍基地に、B-1B爆撃機、B-2ステルス爆撃機、それにB-52戦略爆撃機が集結していなければならない。B-2もB-52も、アメリカ本土から北朝鮮上空に飛来して爆撃を実施し、日本やグアムの基地に帰還することは十二分に可能であるが、攻撃のタイミングや兵員の疲労などを考えると、できるだけ多くの爆撃機を、できるだけ攻撃目標に近い基地から発進させる必要がある。
・そのため、アンダーセン空軍基地や、場合によっては日本の米軍基地などにも、B-2やB-52が展開している状況を作り出し、予防戦争開始のタイミングを敵にも味方にも悟らせないようにする準備態勢作りが肝要になっている。
・実際に、1月8日には、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地から3機のB-2ステルス爆撃機と200名の関係要員がアンダーセン航空基地に展開し、現在配備されている6機のB-1爆撃機部隊と合流した。超高価なため米空軍といえども20機しか保有していないB-2ステルス爆撃機を前方に配備するのは、専門スタッフの配置も必要であることから、まさに実戦を想定した動きに近いといえる。
・引き続いて1月16日には、ルイジアナ州バークスデール空軍基地から6機のB-52H戦略爆撃機と300名のスタッフがアンダーセン航空基地に到着した。これによってグアムには、合計15機の3種類のアメリカ空軍主力爆撃機が勢揃いしたことになる。
・これらの爆撃機部隊増強は、平昌オリンピック開催期間中の不測の事態を抑止するための威圧目的で、期間限定の展開とされている。ただし、上述したように、対北朝鮮「予防戦争」を念頭に置く米空軍、そして米太平洋軍司令部としては、奇襲攻撃が迫りつつあるサインを北朝鮮側に悟らせないためにも、今後恒常的にB-2ステルス爆撃機やB-52をアンダーセン航空基地に展開させるものと思われる。
・このように、南北会談や平昌オリンピック・パラリンピック開催といった動きと平行して、静かながらも着実にアメリカによる「予防戦争」実施準備は推し進められている。現実に「予防戦争」が開始された場合、北朝鮮軍による報復攻撃として弾道ミサイルの飛来が十二分に予想される日本としても、心の準備を怠ってはなるまい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52165

第三に、スタンフォード大学教授のダニエル・スナイダー氏が2月9日付け東洋経済オンラインに寄稿した「米国で浮上した「北朝鮮攻撃シナリオ」の中身 朝鮮半島の緊張は収まっていない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・凍てつくような寒さの韓国で、平昌冬季オリンピック開会式が明日に迫る中、朝鮮半島の冷えきった政治情勢も露になりつつある。韓国では、文在寅大統領が、90歳になる北朝鮮の名目上の元首、金永南と、金正恩氏の妹、金与正を接待する一方で、日本では米マイク・ペンス副大統領と、安倍晋三首相が固い握手を交わしていた。
・金永南率いる北朝鮮の代表団は、少数の選手と応援団、芸術団、職員などで構成されている。今回の目的は、韓国だけでなく、全世界の視聴者に向けてプロパガンダという弾幕を見せつけることである。
▽緊張緩和は難しい状況にある
・一方、ペンス副大統領は、「冬季オリンピックという強力な象徴を、北朝鮮政権にかかわる真実を覆い隠すために使わせない」ため、「反プロパガンダキャンペーン」を率先して行うと述べた。今回は、北朝鮮に17カ月間も拘束された後、昏睡状態でアメリカへ帰国し、数日後に亡くなった米国人学生の父、フレッド・ワームビアを連れだってやってきた。
・ペンス副大統領は韓国に向かう途中で日本に立ち寄り、安倍首相と会談。オリンピックにおける北朝鮮のプロパガンダをできるだけ抑えることで合意した。両首脳は、北朝鮮との関係改善の糸口を見出そうとしている文大統領に対して懐疑的な見解を示すとともに、北朝鮮に対する制裁がようやく効果を表しつつある中、韓国政権が、制裁を緩める行動に出ることに対する懸念を共有した。
・文大統領は、少なくともオリンピック開催期間中は確保されている停戦協定の維持に笑顔で全力を尽くすだろう。しかし、緊張関係が続いていることに変わりはなく、今後、それが何らかの形で表面化することは間違いない。
・実際、米政権周りでは最近、戦争をほのめかす発言が増えてきており、緊張緩和はますます難しい状況にある。北朝鮮の人権擁護運動に反発する動きがこうした流れを後押ししており、イラク戦争前にイラクとサダム・フセインに対して中傷行為が増えたのと同じように、戦争に向けた「雰囲気作り」が着々と進んでいると見る向きもある。
・ニューヨーク・タイムズ紙は今週初め、統合参謀本部の上級軍事指導部と、ジェームス・マティス米国防長官は、ホワイトハウスから軍事行動という選択肢を問われ、軍事行動が実際に実行可能であるという確信を与える恐れがあるとして、故意に抵抗したと伝えている。
・軍事行動を行うべきか否かに関する議論がワシントンでは大きな熱を帯びている。トランプ政権が駐韓アメリカ大使候補に指名していたビクター・チャが、任命に向けて何カ月も準備を進めていた中、突如として内定が取り消されたとの報道があったからだ。チャは著名な学者であり、ブッシュ政権時には国家安全保障局の高官を務めた人物だ。 ホワイトハウスの主張によると、内定が取り消されたのはあくまで個人的事情で、夫人の親戚が朝鮮半島にいるため利害の衝突が生じることとの絡みだという。
▽チャの「暴露」と内定取り消し
・一方、チャはワシントン・ポスト紙に寄稿して意見を述べ、ホワイトハウスの主張よりはるかに印象的な説明をにじませていた。寄稿記事では限定的かつ予防的な軍事行動を行うという考え方に対し、慎重な言い回しながらも強く異を唱えていた。軍事行動については北朝鮮の「面子をつぶす」ためだという者もいる。
・チャは、軍事攻撃が衝撃を与える効果を持ち、段階的にエスカレートしている米朝の応酬を引き起こすことはないという考えに注目。これに伴うリスクについてこう書いている。 「そのような攻撃をせずに金正恩を阻止することはできないと考えるのであれば、攻撃によって金正恩が同じようなことをする可能性がある、とも考えられないか。金正恩が予測不可能で、衝動的で、まるで理性のない人物であるならば、敵対者(金正恩)が(米国による)警告や抑止力について合理的に理解することを前提としているエスカレーションラダー(戦争規模拡大梯子)をどうやってコントロールするのだろうか」
・この記事が、チャが内定を取り消された理由かどうかは明らかにはなっていない。しかし、チャの「暴露」は米政権が北朝鮮への早期の軍事行動を検討している証拠だと、結論づける政府関係者も出てきている。  筆者自身は、国家機密に通じているわけではないが、複数の信頼度の高い情報源の話を聞くかぎり、早期の軍事行動ということはなさそうである。国務省の高官たちは、引き続き外交的解決の可能性があるという信念を表し、韓国が北朝鮮との対話を行うのを試みるのを支援している。
・高官たちは、韓国の当局者に軍事的選択は圧力をかける作戦の一部にすぎないと伝えている。ペンス副大統領でさえもレックス・ティラーソン国務長官に同調し、駆け引きにおいて北朝鮮との対話を行う可能性を残したままにしている。北朝鮮との対話が実現する可能性はとても低いが、高官たちは、制裁の圧力を弱めたり、安全保障同盟の土台を揺るがすことがないのであれば、北朝鮮政府と対話することに反対していない、と文政権に伝えている。
▽「予防型ピンポイント攻撃」は選択肢に入っている
・筆者は先週、米国の複数の高官たちと話す機会があった。彼らは、韓国と日本における米軍とハワイの太平洋軍の幹部であり、横須賀の第7艦隊司令部を訪れていた。少なくとも表面上は、高レベルの警戒態勢に備えている様子はなかった。 第7艦隊で最も強力な軍艦、原子力空母のロナルド・レーガンは横須賀港に停泊し、メンテナンスを受けていた。韓国の上級司令官たちは、オリンピック期間中延期された共同演習の再開に向けた準備を行っており、米韓同盟は揺るぎのないものだとの自信を滲ませていた。
・また、今のところ、韓国に駐屯する米軍の家族や米高官とその家族、民間人を韓国から避難させる、いわゆるNEO (非戦闘員救出作戦)に向けた準備をしている兆候も見られない。
・現時点でも、ピンポイント攻撃より現実的な「予防型ピンポイント攻撃」の選択肢は検討されている。いくつかあるシナリオの1つは次のようなものだ。 米国が、北朝鮮による長距離ミサイルの準備(2つある主要なミサイル発射場のうち、1つでもミサイル発射台に搭載されていること)を確認した場合、これは国連安保理決議に違反している主張すると同時に、北朝鮮に対してミサイル発射を行わないように警告する。北朝鮮側がミサイル発射を拒否した場合(これは可能性のあることだ)、米国は死傷者を最小限に抑えるために、精密照準爆撃でそのミサイルを破壊する。
・米国はその後、精密照準爆撃について、限定的な攻撃であり、国連決議を実行するために意図したものであること、そして金政権への広範な攻撃を狙ったものではないことを明らかにするための声明を発表する――。
▽過去にも軍事攻撃の選択肢は考えられた
・このシナリオでは、北朝鮮はショックに陥り、また、争いが広範に及ぶのをおそれて、即座に反応することはできない、と想定されている。 実は、この選択肢は、ジョージ・W・ブッシュ政権時代の2006年6月22日にワシントン・ポストに掲載された、民主党の著名な安全保障専門家の2人による共同意見記事の中で詳細に述べられ、議論されたことがある。そのうちの1人はウィリアム・J・ペリー元国防長官であり、もう1人は当時のハーバード大学の教授であり、後にオバマ政権で国防長官を務めることになるアシュトン・カーターだった。
・その意見記事は次のようなものだった。 「米国は、ある国が米国にあからさまな敵意を向けて核武装し、米国領土に核兵器を打ち込むことのできる大陸間弾道ミサイルを完成させるのを許すべきであろうか。われわれはそうは思わない。ゆえに、もし北朝鮮が発射準備を続けるのであれば、米国は、北朝鮮のテポドンミサイルを発射前に攻撃・破壊するとの意図を直ちに表明すべきである。これは、たとえば破砕弾頭を備えた潜水艦から発射する巡航ミサイルなどにより実行可能だ」
・韓国政府は間違いなく米国を支持しないだろうが、いずれにしても米国はそれを遂行すべきであるとまで両者は述べた。米国は「北朝鮮がさらにエスカレートしていくことに対して強い警告を与えるべき」である、と。北朝鮮が戦争を起こすと威嚇してきても、政権を終わらせる可能性を恐れて「それを実行に移すとは考えにくい」と彼らは考えていた。
・ペリーとカーターは当時、外交努力では北朝鮮のミサイル発射性能競争を止めることはできないとの考えだった。そしてICBMの打ち上げを成功させれば、「北朝鮮をさらにつけあがらせることになるだけ」であると主張していた。すなわち、軍事攻撃以外の選択肢はないと言っていたのだ。
・しかし、現在ペリーは、北朝鮮の核兵器やミサイル性能の開発と向上により、もはやこの選択肢は実行可能なものではなくなった、と考えている。しかし、トランプ政権の現在の判断では、これは明確に「今現在」の選択肢なのである。
▽「オリンピック休戦」はいつまで続くか
・軍事計画担当者たちが個人的に明かしてくれたところによると(そして、これはホワイトハウスにも通達済みである)、このシナリオは北朝鮮の反応をエスカレートさせる、という重大なリスクを冒さずに実行することは不可能だという。しかし、こうした警告をトランプ大統領や側近アドバイザーたちが真剣に考慮しているのか、あるいは受け入れているのかは、まったく明らかにされていない。
・この選択肢が残されるとすれば、それが実行されるのは、今年の終盤になってからだろう。また、NEOや朝鮮半島界隈に駐屯する米軍の増強といったかなり大掛かりな準備の兆候がないかぎり、実行される可能性は低い。しかし、これには文政権が公然と反対の態度を示すことは明らかだ。
・従って、当面はおそらく朝鮮半島では「オリンピック休戦」が続くことが予想される。世界中のテレビの視聴者は、競技の模様や、スケートリンク、ステージ上での宣伝合戦さえ、ソファでくつろいで見ることができるだろう。
・しかし、韓国で雪が溶けるとき、多くの場所で凍結が終わり、凍った地面の下から何が現れるのかを目にすることになるだろう。
http://toyokeizai.net/articles/-/208032

第一の記事で、 『北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定した避難訓練・・・この訓練に意味はあるのか。無意味というだけでなく国民を統制する危険な動きではないだろうか』、というのはまさにその通りだ。 『一瞬で都市を火の海にする核爆発の威力や放射線の悪影響を国民に理解させ、中途半端な対策では安全を守れないことを国民に知らせなければならない。 現状のミサイル訓練は、それとは真逆である・・・ただ逃げましょう、避けましょうと言っているだけである。 これでは、迫りくる危険から国民の安全を守るために政府が本気を出しているとは評価できない』、 『一瞬で大量の死傷者が生じるという被害予測を示したら、それに対応できる救急体制が整っていないことが明らかになり、市民の不安は増大するであろう。 ミサイル攻撃から身を守るのは容易ではないと分かったら、「北朝鮮を挑発するな、ミサイルを撃たせないため対話の努力をせよ」という政府批判が巻き起こるであろう・・・「国難だ」といって選挙に利用するばかりの安倍政権に危うさを感じる』、などは私がTV画面で感じていた違和感を見事に言い表してくれた。  『戦前の『防空訓練・・・防空啓発ポスターも、空襲の恐怖を受け付けるより「落ち着け」と呼びかけている。 こうした方針のもとで、爆弾は怖くない、空襲の火災は簡単に消火できる、といった安全神話が流布された。関東大震災に匹敵する東京大空襲で10万人が死亡したのは、この3年半後である・・・日本政府による情報操作や避難政策が被害を拡大』、 『自発的に行動するか否かは、法律の問題ではなく、精神や道徳の問題となる。これに反する者は異端者であり非国民とされる。戦時中の国民にとっては法の裁きよりも恐ろしい重圧となる。国民全体が参加する総力戦体制は、こうして可能になったと』、と戦前の体制に近いものが既に現在の法律に書き込まれている、というのは衝撃的だ。 『二度と同じ過ちを繰り返さないために、私たちは疑問をもつことを止めてはいけない』、というのは正論だ。
第二の記事で、 「予防戦争」の 『第一波攻撃で、アメリカ領域を攻撃できるICBM関連施設を破壊しなければ、アメリカ本土に対する報復核攻撃が実施される可能性もある』、とあるが、北朝鮮は既に潜水艦からミサイルを発射できる筈で、そうした潜水艦の位置を探るのは極めて困難である。これに対する作戦については、言及した記事をまだ見たおとがないが、そこはプロの米軍のことなので、怠りないと信じてよいのだろうか。
第三の記事で、チャ氏が 『金正恩が予測不可能で、衝動的で、まるで理性のない人物であるならば、敵対者(金正恩)が(米国による)警告や抑止力について合理的に理解することを前提としているエスカレーションラダー(戦争規模拡大梯子)をどうやってコントロールするのだろうか』、と述べているのは正論で、大使任命を取り消したホワイトハウスの焦りが伺える。 ペリーが 『このシナリオは北朝鮮の反応をエスカレートさせる、という重大なリスクを冒さずに実行することは不可能だという。しかし、こうした警告をトランプ大統領や側近アドバイザーたちが真剣に考慮しているのか、あるいは受け入れているのかは、まったく明らかにされていない』、ということであれば、あとは文政権の抵抗に期待する他ないのだろうか。
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