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電気自動車(EV)(その4)(テスラが明かした「モデル3」生産地獄の実態、窮地のテスラに立ちはだかる自動車トップ 2018年から本格化する熾烈なEV競争の先は?、ベンツ・BMW・VWも本音では「EV本格普及はいまだ不透明」と見る) [科学技術]

電気自動車(EV)については、1月17日に取上げたが、今日は、(その4)(テスラが明かした「モデル3」生産地獄の実態、窮地のテスラに立ちはだかる自動車トップ 2018年から本格化する熾烈なEV競争の先は?、ベンツ・BMW・VWも本音では「EV本格普及はいまだ不透明」と見る)である。

先ずは、2月10日付け東洋経済オンライン「テスラが明かした「モデル3」生産地獄の実態 ロケットのようにうまく軌道に乗らない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・世界最大の輸送能力を持つ大型ロケットが現地時間の2月6日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから発射された。 成功させたのは、イーロン・マスク氏が設立した宇宙輸送関連会社スペースXだ。ロケットの先端にはマスク氏がやはりCEOを務めるテスラのEV(電気自動車)「ロードスター」が乗せられ、火星の軌道に投入された。現在は同車に搭載されたカメラがとらえた宇宙の様子がネットに配信され、大きな話題になっている。 一方、なかなか軌道に乗らないのは、マスク氏の本業、EV生産だ。
▽2017年度は約2150億円の赤字
・翌7日に発表されたテスラの2017年度通期決算は、最終損益がマイナス19億6140万ドル(約2150億円、前年同期比で約13億ドルの悪化)と、過去最大の赤字となった。高級車の「モデルS」や「モデルX」は好調だったが、昨年7月からスタートしたEV「モデル3」の量産立ち上げに今なお苦戦し、先行投資がかさんでいる。
・モデル3はテスラ初の量産型EVで価格は3.5万ドルから。2017年7月に出荷を始めたが、納入台数は7~9月期がわずか260台、10~12月も1500台にとどまった。週5000台の生産目標は、当初2017年末までに達成する計画だったが、今年6月末までに延期された。延期は今回で2度目になる。
・ボトルネックは大きく2つある。電池パックと車体の組み立て工程だ。 モデル3の電池生産は2017年1月、米ネバダ州に開所した世界最大の電池工場、ギガファクトリーで行われている。作られているのは、パナソニック製の円筒型リチウムイオン電池「2170」だ。パナソニックが作った電池のセルを、テスラがモジュール化(組み立て)する。
・この組み立ては、ロボットを活用した完全自動化ラインで行う予定。しかしこの4つの工程のうち2つの立ち上げを委託していた業者が機能せず、結局テスラ自らが行うことになった。 そのため、当面は手作業での組み立てを余儀なくされた。これには自信家のマスク氏も「われわれがいささか自信過剰になりすぎていた」と肩を落とす。車体組み立ての行程においても、同じく部品の自動組み立てのスピードが上がらない。
・そこでテスラは、2016年に買収したドイツの自動生産設備大手グローマンのチームを動員して、自動化工程に人を配置する半自動化ラインを導入。完全自動化が可能になるまでの「つなぎ」として活用することにした。 決算発表の当日に行われた電話会見でマスク氏は、「モデル3の苦戦はあくまで時間の問題。全体計画の中で現在の誤差は極めて些末なことだ」と強気の姿勢を崩さなかった。だが一方で、自ら「生産地獄」と表現する現状について、「こんな経験は二度としたくない。(11月の)感謝祭の日ですら、ほかのテスラ社員と一緒にギガファクトリーにいた。週7日、みんながバケーションを楽しんでいるときもだ」とも漏らした。
▽パナソニックに「テスラリスク」
・モデル3を巡る想定外の苦戦は、テスラに電池を独占供給するパナソニックにも影を落とす。5日に発表した2017年4~12月期(第3四半期)決算において、同社はこの生産遅延の影響で売上高で約900億円、営業損益で約240億円のマイナス影響を受けたと公表した。この結果、2次電池事業は54億円の営業赤字に沈んでいる。
・業績全体は増収増益で通期計画を上方修正しており、いたって好調。だが、成長事業と位置づける自動車電池事業の最大顧客はテスラだ。その先行きには一抹の不安がよぎる。2017年12月には、トヨタ自動車からの呼びかけで車載電池事業における協業検討を発表したが、それが結果的に「テスラリスク」をやわらげることとなった。
・パナソニックの津賀一宏社長は、1月上旬にラスベガスで開かれた家電見本市への参加後にギガファクトリーを訪問し、「現状を見てテスラ社との打ち合わせをする」と語った。打ち合わせの結果、どのような方針で合意したのかが気になるところだ。
・最終赤字が続く中で、テスラの財務リスクは膨らんでいる。2017年度のフリーキャッシュフロー(企業活動から生み出される余剰資金)は約34億ドルの赤字と、前年の倍以上に拡大。自己資本比率も15%を下回る。  これまでは新モデルの購入予約金と、増資と社債といった市場からの資金調達により「錬金術」のごとく資金を生み出してきたテスラ。期末時点の保有現金も、約33億ドルと前期からほとんど変わっていない。さらに1月末には、モデルXとSのリース債権を流動化し、5億4600万ドルを調達したことを発表した。
▽ツイッターはロケットの話題一色
・ただ同社は、今後もモデル3のための設備投資を拡大する必要がある。さらに今回、現在市場が盛り上がるSUV(スポーツ用多目的車)型の「モデルY」を投入するために、2018年末までに新たな投資を行うことも発表している。その程度によっては、資金繰りが苦しくなる可能性もある。決算発表翌日の株価は、市場が全面安だったこともあるが、2割減と大きく値を下げた。
・マスク氏は、モデル3の週次生産5000台実現を前提に、2018年度中の営業黒字化を宣言する。ただ、市場関係者の中には「生産台数はその半分程度になるのでは」という見方もある。 テスラは長期計画を掲げたうえで、そこから逆算して具体的な計画を立てる。モデル3の量産は、マスク氏が2006年に描いたマスタープランの最終ステップになる。だが、同氏がいうところの「誤差」に消費者や投資家、そしてサプライヤーがどこまで付き合えるかは別の問題だ。
・生産設備の不具合が露呈した10月頃には、ギガファクトリーの立ち上げで工場に泊まり込んだ様子などをツイッターで投稿していたマスク氏。だが、現在の同氏のツイッターはロケットの話題一色。足元における量産化への進捗は、うかがい知ることができない。
http://toyokeizai.net/articles/-/201504

次に、本田技術出身で名古屋大学客員教授/エスペック上席顧問の佐藤 登氏が2月8日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「窮地のテスラに立ちはだかる自動車トップ 2018年から本格化する熾烈なEV競争の先は?」を紹介しよう(▽は小見出し、+は①、②などの中での段落)。
・昨年後半から、米テスラの「モデル3」が生産地獄に陥っている状態、すなわち当初の量産計画通りの生産台数には全く届かず四苦八苦している状態が報道されてきた。その中には、自動車業界の競争意識、電池業界のビジネス戦略、そして大きな投資を要求されてきた部材メーカーの悲喜こもごもが盛り込まれている。
・遡れば2017年6月に、テスラは中国の上海市に電気自動車(EV)の生産工場を建設する方向であることを報じた。その場合の条件としては現地企業との合弁が前提とされていたが、果たして順調に進んでいるのか。現在の米国における状況を考慮すれば現実性があまり感じられない。
・CEOのイーロン・マスク氏は、電動車、とりわけEVの最大市場となる中国で巨大工場を建設すると述べていた。2018年の生産キャパは中国巨大工場の稼働分も含め 全世界で年産台数50万台の計画を掲げた。現在の生産台数との乖離が大きいだけでなく、そもそもこのような大量のEVを本当に量産できるのか、根本的な問題があるのではないだろうか。
・テスラは17年3月に中国ネット大手のテンセントから5%の出資を受けている。そして、同年4月にマスク氏が訪中した際には汪洋副首相と会談したとされている。もともとテスラは14年に中国市場に参入した。その後の16年には15年の3倍以上の売上高を記録した。米国からの輸出のため、関税と輸送費が課せられる格好であったが一大ブームを巻き起こしたことになる。だが、一定数が市場に出回った後には飽和感が漂い、頭打ちになったことも記憶に新しい。
・そのような中で、米国からの輸出よりも中国での現地生産に踏み切れば相応のメリットが出ると言う試算は正しい。だが、そこには想定外の誤算があったようだ。それは、35万台のバックオーダーを抱えていると言いながらも、それに見合った量産技術と生産体制の整備が進んでいないままでの生産をしているような実態だ。すなわち、本格的な生産技術が伴っていないという欠陥である。
・米国ネバダ工場だけでの量産台数としては週5000台ペースの生産を計画してスタートしたのだが、生産地獄に至ったことで17年7月に発売開始した直後には、その生産計画を17年末までと一旦延期した。さらに1月に入ると達成時期を18年4~6月期までと2度目の延期をアナウンスした。
▽テスラが陥っている罠
・2017年の第3四半期こそ売上高は前年同期比で8%増加したと言うが、1~9月間の営業損失は売上高の11.5%に達したとのこと。象徴するように、17年12月上旬の日本経済新聞の夕刊には、「テスラ暗雲、冷める投資家」というタイトルの記事が掲載された。 それによれば、17年7月に出荷を開始した量産型EV「モデル3」の生産が計画を大幅に下回っていることが株価に大きく影響したという。17年7月から9月期までの「モデル3」の生産台数は当初計画であった1300台の2割に留まり、260台しか生産できなかったとのこと。しかも納車先は社員または会社関係者にのみだったという。
・17年9月18日に上場来最高値の389ドルを付けた株価は、そういう状況が影響して後に下降を続け、12月8日には最高値から20%を下げた。「モデル3」発表と同時にバックオーダーが35万台に達したと話題になったテスラだが、明らかに量産体制の脆弱さが露呈している。17年10月から販売が開始された日産の新型EV「リーフ」が現在抱える1万6千台、そして仏ルノーのEV「ZOE」が抱える3万台規模(ルノーの知人談)に比べれば、テスラへの期待感がいかに大きかったかは想像に難くない。
・先の日経新聞によれば、テスラの財務は火の車とのこと。時価総額で米ゼネラルモーターズ(GM)やフォード・モーターを超えたと話題になったものの、実態とは大きな乖離があるようだ。17年7月から9月まで1年間のキャッシュフローは約5500億円の赤字、しかも16年12月通期の3倍にまで膨らんだというから火の車と言う比喩が妥当だ。
・決算における巨額の赤字体質に対する補填と設備投資に対する資金は、増資と社債でやりくりしている模様である。17年9月時点での手元資金は4000億円規模であるようだが、一方、負債額は1兆1000億円程度を抱えていると見られている。返済に追われる現状での打開策は、そう簡単ではないように映る。
・現在抱えているバックオーダーは、いつになったら全車納車になり得るのか、現状を踏まえると数年はかかる計算になる。一方、本年から米国ゼロエミッション自動車(ZEV)規制が急激に強化され、19年からは中国の新エネルギー自動車(NEV)規制が待ち構える。そして21年からは欧州におけるCO2規制が発効することで、世界の自動車各社は否が応でも電動化シフトを実行しなければならない。
▽日米欧の電動化戦略
・これを議論すると、ますますテスラは窮地に追い込まれると筆者は予測するが、同じ意見を有す読者の方々も少なくないのではと察したい。 先週の1月29日から2月1日までの4日間、ドイツ・マインツで自動車の電動化と車載用電池に関する国際会議「AABC(Advanced Automotive Battery Conference) Europe 2017」が開催され、筆者も参加した。予想はしていたというものの驚いたことはまず、昨年の700人規模の参加者が一気に1000人を超えたこと。欧州で開催された本会議の参加者急増加が、欧州自動車業界を始めとする電動化シフトが現実的なものとなってきたことの証しでもある。
・これまでも欧州勢、特にドイツ勢のダイムラー、BMW、そしてフォルクスワーゲン(VW)が数兆円規模の投資を図り電動化へのかじ取りを行っていることは報道されてきたが、その気迫を実感できる良い機会であった。そこにはドイツ勢のみならず、ルノーの電動化に対する積極的な戦略も発信され、まさに欧州で進んでいるEVシフトは言葉だけではない実態が伴う本格的なムーブメントである。
①欧州勢の電動化へのかじ取り
+2015年に発覚したVWのディーゼル燃費スキャンダルが引き金となり、加えてドイツのメルケル首相が発信した将来的なディーゼル車の排除が重なり、ドイツの自動車各社はリベンジの意味も込めつつ電動化には極めて積極的である。リップサービスで建前論的と、周囲には疑問視する意見もあるようだが、現在の各社の取り組み姿勢を考えれば、決して一時凌ぎの発言とは思えない。 ドイツ勢各社による開発投資計画、車種数の具体的発信、日本人エキスパートの積極的人材活用、電池各社に対する求心力の増大――これを裏付ける事例は山ほどある。
+ドイツ勢もフランス勢も昨今、車載電池に対する考え方を大幅に変えてきた。従来、電池は調達部品の1つとしてしか考えていなかった各社は、電池パックシステムをボッシュのようなTier1に委ねる戦略を推進してきたが、それでは競争力や差別化を図れないと漸く気付いた。電池セル単体は調達戦略のもとで受け入れるが、それ以降のモジュール化から制御システムまで包含した電池パックシステムを自社内での自前化にシフトさせている戦略に方向転換した。
+更なる裏付けの1つは、韓国トップ3の欧州拠点構築の動きだ。ポーランドでいち早くリチウムイオン電池(LIB)の生産拠点を構えた韓国LG化学は、第一次の400億円規模投資を終え2017年後半から生産を開始した。今後、さらなる第二次投資計画を進めようとしている。サムスンSDIはハンガリーに400億円規模の投資にてLIB生産拠点を作り、本年中の稼働を目標にしている。
+そして韓国の第3勢力であるSKイノベーションはハンガリーに、850億円を投資し生産拠点を構え、2020年の稼働を目指すと言う。韓国のトップ3の電池メーカーが欧州に拠点を構え、しかも巨額投資を行うという同じベクトル化にあるということをどう考えるべきか。 筆者がサムスンSDIに在籍していた経験から類推するに、マーケティング活動が日本勢より数倍積極的な韓国勢が、当てもなく巨額投資するはずはない。それには電池各社の十分な算段があるはずで、供給契約と言わずとも、それなりの可能性にかけている節がある。
②米国勢の電動化へのかじ取り
+GMもフォードも、ZEV規制、そして中国市場での展開もしたたかな戦略を進めている。欧州勢ほど大々的なEVシフトをしてこなかったのは、欧州勢がディーゼルスキャンダルの解決策で大々的に発信したスタンスとは異なり、じっくり練った戦略を打ち出しているためである。テスラのEV事業とは一線を画し、むしろ自動車の歴史を牽引してきた米国トップ企業の余裕すら感じる。両社にとって、テスラは気にはなるが大きな脅威とは感じていないようだ。
③日本勢の電動化へのかじ取り
+日本勢はまた特有の戦略を有している。特にトヨタとホンダには強力なハイブリッド車(HEV)があるからだ。日本ではもちろん、最近では欧州でも、そして中国でもHEVの販売が伸びていることが象徴している。  ZEV規制、NEV規制においてHEVはクレジットにカウントされるカテゴリーから排除されている。しかし、そのHEVが日本ではもちろん、欧州、そして中国で販売を拡大している事実は何であろうか?
+取りも直さず、消費者にとってHEVが魅力ある製品であることに違いはないからである。ZEV規制もNEV規制でも、トヨタとホンダのみが勝ち組であるHEVであるからこそ、各規制でのHEV排除が行われたこと。一方では、HEVが燃料節減や充電器設備投資が不要なる商品であることから使い勝手の良い電動車として認知を得ていることに他ならない。そういう日本のトップ2でも、いざEVの商品化を実現する段階では、トヨタもホンダもEVは個社のプライドをかけて発信して来るはずだ。
▽テスラの行方は?
・以上のように、量産技術を得意とする日米欧の自動車各社の姿勢は、現在テスラが抱える病とは無縁な状況下にある。 前述した世界のトップブランドメーカーがEVシフトに立ち向かうことで、テスラの行方にも大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。今回のAABC国際会議に参加していた日本人、部材メーカー、電池メーカー、調査会社、コンサル会社の知人達と筆者を含む8人は、会食会の場で今後のテスラの行方を占った。
・そもそも大量生産をしたことがないテスラが、一気に50万台規模の量産を具現化するのは困難で、数年の時間はかかるはず。「モデルS」のような尖った高級路線での存在感はそれなりにあるが、「モデル3」のような普及車カテゴリーでは、真っ向から世界の名だたる自動車各社のEVと直接比較される。そこではテスラの選択肢や存在感は大きなものではなく、むしろトップブランドのEVの方が安全性や信頼性で消費者の関心を惹くだろうと。
・そして、現在の生産地獄が長引けば長引くほどキャッシュフローの改善は見込めず、経営はもっと窮地に陥るはず。シナリオとしてありうるのは、17年春にGMの時価総額を超えたテスラだけに、それを武器に中国企業に売却することだ。生産地獄から逃れる短絡的な解決方法の手段のひとつのような気がする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/246040/020600068/?P=1

第三に、ジャーナリストの桃田健史氏が2月15日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿しら「ベンツ・BMW・VWも本音では「EV本格普及はいまだ不透明」と見る」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽7年ぶりに再びEVバブル到来 再度注目が集まるAABC
・EVシフトについて、ブームの仕掛け人であるジャーマン3(ダイムラー・BMW・フォルクスワーゲングループ〈以下VW〉)の関係者すら「EV本格普及についてはいまだに不透明」という見解を示したことに、日本人関係者の多くが驚いた。 EV用の車載電池の国際カンファレンス、AABCヨーロッパ(2017年1月29日~2月1日、 於・独マインツ)での出来事だ。
・AABCとは、アドバンスド・オートモービル・バッテリー・カンファレンスの略称で、自動車メーカー、自動車部品メーカー、化学メーカー、コンサルティング企業、そして学術関係者など、自動車に搭載する次世代電池に関する研究や市場調査について発表を行う場だ。AABCはもともとアメリカで始まり、欧州やアジアでも開催されており、この分野の世界の最新情報が収集できる場として、産業界で高い評価を得ている。
・筆者は2000年代中盤から世界各地で開催されるAABCを定常的に取材しており、2010年前後の第四次EVブームの際、AABC自体の参加者数もスポンサー数も急増するという「EVバブル」を実体験した。 そんなAABCに再び、脚光が当たっている。 背景にあるのは、VWがディーゼル不正によって世間から食らったネガティブな企業イメージから、V字回復を狙って策定した新規事業計画から派生した、世界各地での「EVシフト」というトレンドである。
▽欧州委員会の新発表あるも…欧州でのEV普及はいまだに不透明
・欧州のEVシフトの構図について筆者の見立ては、VWが仕掛けて、そこにダイムラーがすぐに相乗りし、その流れをBMWが追い、独自動車部品大手のボッシュとコンチネンタルがサイドサポートに回った、というもの。 そうした独企業のマーケティング戦略とほぼ同時に、英国とフランス両国の国内政治の案件として、環境問題の観点から自動車に焦点が当たり、「2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を目指す」といった「目標値」を公表した。
・さらに、インドでも「2030年までに国内販売車のすべてをEVとする」との野心的な草案が公表された。本件についてはその後、政権内での意見の相違から事態は変化している。詳細については2月中にインド国内での取材を進め、本連載でも情報公開する予定だ。
・こうした、2016~2017年中盤までのEVシフトの流れに、新たなる動きが加わった。EC(欧州委員会)が2017年11月8日、域内で販売される車両に対するCO2規制値を、2030年に2021年比で30%減とする案を示したのだ。
・自動車メーカー各社の技術開発者は、これまで「世界で最も厳しい排気ガス規制は欧州だ」と口を揃えてきた。具体的には、2021年までにCO2レベルが1kmあたり95gだ。これをクリアするためには、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車など、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンにモーターを加えた電動化が必然だと考えられている。ただし、モーターのみで走行するEVについては「EVがなくても、95g規制は乗り切れる」と見る自動車メーカーがほとんどだった。
・それが今回、2030年までに2021年比の30%減という数字がECから出てきたため、「EVの強化の可能性も考慮するべきか?」という空気に変わってきている。 繰り返すが、あくまでも「考慮するべきか?」という段階だ。 なぜならば、ECは今のところ、中国のNEV法(新エネルギー車規制法)や米カリフォルニア州のZEV法(ゼロエミッション車規制法)のように、事実上のEV販売台数規制を考えてはいないからだ。
▽当面の主戦場は中国市場 政策主導で動き、消費者は不在
・そのため、今回のAABCヨーロッパでも、話題がEVに限定されると「中国ありき」という議論になった。 台湾の工業技術研究院の発表によると、2017年の中国EV販売総数は、前年比53.5%増の77万7338台となった。これは2017年の世界EV市場140万台の半数以上を占める。また、2018年には中国EV販売総数は100万台に達する可能性が高く、さらに中国政府は2020年に500万台を目標として掲げている。
・NEV法では、2019年に市場のうち10%、2020年には12%との規制値を設けており、NEVが起爆剤となってEV販売台数における「中国ひとり勝ち」がほぼ確定している状況だ。 もう一方のEV販売台数規制であるZEV法については、ホンダのアメリカ法人の発表にあったように、トランプ政権になってからEVを含む次世代車の普及について、連邦政府とカリフォルニア州が今後どのように擦りあわせをしていくのか「不透明な情勢」である。
・このように、EVについては、政策主導型での普及がいまだに“主役”であり、そこに自動車メーカーが「様子を見ながら、お付き合いする」といった格好だ。 つまり、「消費者不在」の状況が続く。 AABCヨーロッパでの4日間にわたる発表と議論、そしてアメリカ、ドイツ、フランス、ベルギー、スウェーデン、フィンランド、日本、インド、中国、韓国、台湾などからの参加者たちと個別に意見交換する中で、筆者は一抹の不安を感じた。  もし、中国がNEV法実施に失敗したら、再び世界EVバブルは崩壊するのかもしれない。 中国は2010年前後に実施した、公共交通機関を主体とした壮大なEV施策「十城千両」も、当初の普及台数目標に未達の地方都市が続出したことなどを理由に、なんの前触れもなく打ち切った過去がある。
・ジャーマン3が提唱するEVシフト。その動向、日本としてはしっかりと見守っていかなかればならない。
http://diamond.jp/articles/-/159754

第一の記事で、 マスク氏が、『自ら「生産地獄」と表現する現状について、「こんな経験は二度としたくない。(11月の)感謝祭の日ですら、ほかのテスラ社員と一緒にギガファクトリーにいた。週7日、みんながバケーションを楽しんでいるときもだ」とも漏らした』、というのは、いくらマスク氏といえども、量産の世界は思う通りにはいかないようだ。
第二の記事で、 『納車先は社員または会社関係者にのみだったという』、というのは、まだ品質に自信がないためなのかも知れない。  『そもそも大量生産をしたことがないテスラが、一気に50万台規模の量産を具現化するのは困難で、数年の時間はかかるはず』、と量産の壁は予想以上に高いようだ。 『シナリオとしてありうるのは、17年春にGMの時価総額を超えたテスラだけに、それを武器に中国企業に売却することだ。生産地獄から逃れる短絡的な解決方法の手段のひとつのような気がする』、とのアドバイスは、いざ売ろうとしたら、GMの時価総額を超えたことなど吹き飛んで、厳しく買い叩かれることになるので、そう簡単ではなさそうだ。
第三の記事で、 『当面の主戦場は中国市場 政策主導で動き、消費者は不在』、しかし、 『中国は2010年前後に実施した、公共交通機関を主体とした壮大なEV施策「十城千両」も、当初の普及台数目標に未達の地方都市が続出したことなどを理由に、なんの前触れもなく打ち切った過去がある』、というのでは、 『自動車メーカーが「様子を見ながら、お付き合いする」といった格好』、なのも無理からぬところだ。
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