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EC(電子商取引)(その2)(アマゾンと日本企業の物流には「大学生と小学生」の差がある、アマゾンの物流をうわべだけ真似た日本企業が火傷する理由、ローソンが仕掛ける生鮮食品ネット通販モデルの大きな可能性) [産業動向]

EC(電子商取引)については、昨年10月4日に取上げた。今日は、(その2)(アマゾンと日本企業の物流には「大学生と小学生」の差がある、アマゾンの物流をうわべだけ真似た日本企業が火傷する理由、ローソンが仕掛ける生鮮食品ネット通販モデルの大きな可能性)である。

先ずは、アマゾンジャパンでサプライチェーン部門とテクニカルサポート部門の責任者を歴任、株式会社鶴代表の林部健二氏が1月11日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「アマゾンと日本企業の物流には「大学生と小学生」の差がある」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今や、通販ビジネス界の“巨人”となったアマゾン。そのサービスレベルは極めて高く、どの企業も追いつくことはできない。アマゾンジャパンでサプライチェーン部門とテクニカルサポート部門の責任者を歴任した林部健二氏に、その強さの秘密と、日本企業はどのように立ち向かっていくべきなのか解説してもらった。
▽アマゾンの取引企業には「冷酷」と映ることも
・翌日配送や、1時間以内配送など、驚くべき配送スピードを実現し、高い顧客満足度を維持するアマゾン。ユーザーから見ると、その生活を便利にしてくれるありがたい存在だが、アマゾンと直接取引をしている企業には、そのビジネスのやり方が「冷酷だ」と映ることも多いという。
・日本でもアマゾンが通販ビジネスのサービスレベルを圧倒的に引き上げ、他の企業はそのレベルについていこうと必死になっている、そんな構図が見える昨今だが、なぜアマゾンはこのような強さを発揮できるのだろうか。俗に言われるような冷酷さが、アマゾンの本当の姿なのだろうか。そして、日本企業は、アマゾンに対抗することができるのだろうか。
・私は、アマゾンジャパンが設立された翌年の2001年にアマゾンジャパンに入社し、10年ほど、サプライチェーン部門とテクニカルサポート部門の責任者を歴任した。そこで見えたアマゾンの強さの秘密と、日本企業がアマゾンに対抗する術を、ここで紹介する。より詳しくは、拙書『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』(プチ・レトル)にて述べているので参考にしてほしい。
▽売り上げの13%を物流に投じMBA取得者を倉庫管理者に
・まず、アマゾンの物流面での強さは、その特異な「物流戦略」にある。 アマゾンでは、一般の会社に比べて物流の重要度が非常に大きい。それは物流への投資の大きさに表れている。アマゾンの2016年12月期の業績を見ると、売上高15兆9431億円(2016年12月28時点為替レートで計算)に対して、その13%をFulfillment(フルフィルメント・物流関連)費用にあてている。 公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の「2016年度物流コスト調査報告書」によると、日本の小売業の売上高に対する物流コストの比率の平均は4.85%であるから、アマゾンの物流コストがどれほど大きいかお分かりいただけるだろう。
・この物流に対するコミットメントが、人材の面にも表れている。アマゾンでは、MBAを取得した人間が倉庫管理者に就いていることが多い。物流を管理するには、物流のことだけがわかればいいのではなく、経営がわかり、システムがわかる人材が必要であるとの考えがベースにある。その視点で、優れた人材を物流にあてているのだ。
・その他、EDIと呼ばれるシステムで他の取引企業とデータ連携し、製造業並みのサプライチェーン管理を行っていることや、独自の需要予測システムによる購買管理、注文から納品までのフルフィルメントパスを最適化する仕組み、需要予測やEDIと連動した在庫管理、Kivaというロボットを活用し、フリーロケーション(商品ごとの保管場所が決まっていない保管形式)を前提とした倉庫管理などが、アマゾンの物流の高いサービスレベルを作り上げている。そのどれか一つが欠けるだけで、このサービスレベルは維持できなくなるだろう。
・また、その物流戦略のベースにあるのが、「アマゾン式ロジカル経営」とでも言うべき、数値に基づく経営だ。KPI、オペレーション、システムの3本柱が、このロジカル経営を支えている。KPI(Key Performance Indicator 重要業績評価指標)を定めている会社は多いが、アマゾンほどこれを厳密にレビューし、オペレーション改善に活かしている会社を見たことがない。
・KPIをレビューするための週次経営会議と、そこでのアクションプランに基づくオペレーション改善が、アマゾンのオペレーションをどんどん最適化していく。そしてそれ以外にも、社内に根付いているオペレーション改善の意識と、それを具体的なタスクに落としていくための課題管理票のシステムが、日々の高速なPDCAを実現している。
▽「顧客のため」との基準から あくまで数値でロジカルな判断
・さらに、アマゾン独自の要求と、日々変わるオペレーションに柔軟に対応するシステム開発を可能にするため、内部で開発者を抱え、あらゆるシステムを内製している。アマゾンのビジネスにおけるシステムの重要度を表すかのように、エンジニアの地位も待遇も、社内では非常に高いのが特徴的である。
・アマゾンが取引企業に「冷酷だ」と見られることがあるのは、このように、あくまで数値に基づいてロジカルな判断を行うからだ。というのも、アマゾンの判断基準はあくまで「最終的に顧客のためになるかどうか」「アマゾンの利益になるかどうか」だからだ。
・アマゾンの利益になれば、「安さ」という形で顧客に還元できるので、それも最終的には顧客のためになる。つまり「顧客至上主義」がアマゾンのビジネスのベースにある。そのビジネスのやり方は、日本企業の商慣習である「昔からお世話になっているから」といった浪花節的な判断基準とは相反する。だから反感を持たれることもあるのだ。
・アマゾンは商品カテゴリを増やし続けており、今や小売企業で通販を行う企業のほとんどは、アマゾンと競わざるを得ない。特に物流の面で、アマゾンの強さに対抗していく必要がある日本企業も多いだろう。
▽日本企業は真似するのではなく別の戦い方をすべき
・では、日本企業はアマゾンの真似をすべきなのだろうか。 私が日本企業の経営者に相談を受けるときに、よく言うことがある。それは「アマゾンと他の日本企業の物流システムの現状は、大学生と小学生ほども差がある」ということだ。
・アマゾンの物流の強さは、アマゾンが20年以上かけて毎年莫大な投資をしながら作り上げてきたものであり、一朝一夕に真似できるものではない。同じ土俵に乗っても勝ち目がないとするならば、アマゾンの真似をするのではなく、別の戦い方をすべきである。
・それはアマゾンにはない、自分たちだけの強みは何かを考えることだ。それを見つけ、磨いていくことができれば、全ての顧客をアマゾンに持っていかれることはない。
・今回、述べてきたことの詳細は、アマゾンジャパン設立の翌年から10年ほど在籍した経験をまとめた拙書『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』をご覧いただきたい。次回は、アマゾンの強さの源泉である「物流戦略」について詳しく述べていくことにする。
http://diamond.jp/articles/-/155265

次に、上記の続き、1月26日付けダイヤモンド・オンライン「アマゾンの物流をうわべだけ真似た日本企業が火傷する理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今や、通販ビジネス界の"巨人"となったアマゾン。そのサービスレベルは極めて高く、どの企業も追いつくことはできない。アマゾンジャパンでサプライチェーン部門とテクニカルサポート部門の責任者を歴任し、現在は株式会社鶴代表の林部健二氏に、アマゾンの強さの秘密と、日本企業はどのように立ち向かっていくべきなのか解説してもらった。2回目の今回は、物流戦略を具体的に見ていこう。
▽アマゾンが “巨人”になったのは物流にケタ外れの投資をしたから(書籍の通販からビジネスをスタートさせたアマゾン。サービス開始当初の1995年、本を1冊売っても利益は200円程度であるにもかかわらず、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスは倉庫に100億円の投資をしていた。 そう、今の姿になるまで成功した秘密は、2018年1月11日付けの「アマゾンと日本企業の物流には『大学生と小学生』の差がある」でも触れたように、物流への投資がケタ外れであることだ。
・リアル店舗を持たないネット通販事業者が、リアル店舗の接客に匹敵するサービスを提供するにはどうすればいいのか。アマゾンの答えは、顧客との唯一の物理的な接点である「顧客の手元へ商品を届ける」サービスのレベルを、最大限まで引き上げることだった。そのため、物流に対して巨額の投資を行って、日々、物流システムやサービスを改善、顧客満足度と生産性を引き上げることにまい進したのだ。
▽日本企業がまねできないのは物流への投資ができないから
・アマゾンの影響力が強大になるにつれ、「うちもアマゾンのような倉庫や物流システムを作りたい」といった相談を受ける機会が増えた。しかし、私はそのたびに、「まねすることはできない」と答えている。その理由の一つは、日本企業が「物流に投資することができない」からだ。 まず、ビジネスの形態として、日本を中心にビジネスを展開している企業や、通販だけでなく店舗も合わせて展開しているような企業が、アマゾンをまねすることは現実的ではない。
・しかし、最も大きな違いは、「物流」というものの捉え方である。というのも、多くの日本企業は、物流を「コストセンター」として捉えてしまいがちだ。利益を生み出すわけではないコストだから、必然的にコストダウンを目指すしかなく、古くなっても汚くなっても「倉庫に金はかけられない」という考え方に陥ってしまう。
・しかし、アマゾンは違う。ケタ違いの金額を投じて倉庫に設備投資をし、どんどんハイテク機器や設備を導入した。そうして、倉庫の効率を上げることで生まれた利益を、「安さ」という形で消費者に還元。その結果、商品の安さに引かれた消費者が、さらに商品を購入して購買数が増える、というサイクルを作り上げることに成功したのだ。
・では、アマゾンの物流には、どのような特徴があるのだろうか。具体的に見ていこう。 
(1)販売と物流が社内で一体に
・小売業では一般的に、「販売」と「物流」がはっきり分かれていて、物流は外注していたり、たとえ社内にあったとしても、コストセンターとして捉えられていたりすることが多い。しかし、アマゾンでは販売と物流が社内で一体になっている。前述したようなサイクルが確立しているため、物流の改善が販売も改善させることにつながるからだ。
・具体的な仕組みとして、S&OP(Sales and Operations Planning)が導入されている。これは製造業などで、販売計画と製造・調達などのオペレーションを"すり合わせる"プロセスのこと。アマゾンはこうしたS&OPを2002年頃に導入、各部のトップが毎週集まって協議を行っている。 S&OPの会議では、販売側が「来週は商品Aを100万円分販売する見込みだ」と説明すると、オペレーション側は、その販売に見合う出荷数をまかなえるだけの人員を確保する。
・この際、オペレーション側は決して販売側の言いなりではない。人員を用意したにもかかわらず、予定の販売数を達成できなければ生産性は落ちてしまう。逆に、予定の販売数を達成できても、出荷が追い付かなかった場合は売上計上できない。そのため会議では、販売側とオペレーション側が、互いに「可能な数値なのか」を厳しく追究していく。これにより、予測やオペレーションの"精度"を上げているのだ。
(2)倉庫はフリーロケーションを採用
・アマゾンの倉庫運営の特徴の一つは、「フリーロケーション」を採用していることだ。これは、商品によって置かれる棚の場所が決まっていない倉庫の形式のこと。つまり、入庫する商品を、どこでもいいので空いている棚に置いていくのである。ちなみに、商品ごとに置く場所が決まっていることを「固定ロケーション」という。
・扱っている商品が、少品種多ロットであれば固定ロケーション、多品種少ロットであればフリーロケーションのほうが効率的である。そのため、扱う商品の種類がある程度限られている小売企業や通販事業者の倉庫は、固定ロケーションを前提に設計されている。しかし、無数の商品を扱い、小ロットで注文されることの多いアマゾンでは、フリーロケーションを前提としているのだ。 
(3)ロボットの目的は人員不足の補填ではない
・アマゾンの倉庫内で、「KIVA」と呼ばれる棚を運んでくるロボットが働いているのは有名な話だ。KIVAのコンセプトは、「人がラックまで商品を取りに歩くのではなく、ラックがなるべく近くまで必要な商品を運んでくる」ことだ。 しかし、KIVAの導入は、メディアで説明されているような「人材不足を補うため」や、「機械による効率化」だけでなく、短期間での倉庫構築も目的としている。
・通常、運搬や荷役作業といった、物流業務を効率化するための作業機械であるマテハン(マテリアル・ハンドリング)を導入したり、棚を設置したりするのは大掛かりな工事が必要。しかし、KIVAを利用すればそうした工事は必要なく、すぐに倉庫を稼働させることができる。 アマゾンのような急成長する会社ではスピードが求められる。KIVAというロボットは、そういう意味においてもアマゾン向きのマテハンなのだ。
▽見よう見まねで物流改善しても成果が出ないどころか逆にマイナスに
・アマゾンの強大化に脅かされている日本企業の中には、必死にアマゾンに食いついていこうとしているところもある。しかし、これまで紹介したようなアマゾンのオペレーションや、倉庫運営の"本質"を理解せずに、見よう見まねで物流改善に取り組んでも、成果は出ないどころか、逆にマイナスに働きかねない。 そこで、私が相談を受けた日本企業の物流改善の失敗例を紹介しよう。
(1)TC倉庫を、通販用在庫の保管に使おうとしたアパレル企業
・倉庫には、TC(Transfer Center・通過型)とDC(Distribution Center・保管型)という二つのタイプがある。 代表的なTC倉庫は、平屋家屋で両側にトラックバース(接車場所)があり、向こう側が見えているような建物である。主な機能は仕分けであり、文字通り商品がその倉庫を通過するのみで、保管の機能はない。例えば、中国で生産された服飾製品を、国内の各店舗に向かうトラックに載せる際などに使用される。
・これに対してDC倉庫は、商品を保管する機能を備えている。倉庫内に保管用の棚があり、そこに商品が置かれる、いわゆる一般的にイメージされる倉庫の形態である。このように二つの倉庫は、全く機能が異なるのだ。
・しかし、店舗販売だけでなく、ネット通販も始めることにしたあるアパレル企業は、それまで使っていたTC倉庫を、ネット通販用の商品の保管倉庫に使ってしまったのだ。 TC倉庫には保管用の棚がないため、空いているスペースの片隅に商品が山積みに。これではネットで注文があった時に商品を探すのに手間がかかり、効率が悪いだけでなく、在庫管理もきちんとできずに在庫切れが多発してしまうという事態に陥りかねない。
(2)カタログ通販用倉庫を、eコマース用に転用しようとした部品メーカー
・カタログ通販を行ってきたとある部品メーカーが、今まで使っていた固定ロケーション型の倉庫を、eコマース用に転用しようとした。しかし、前述したように、固定ロケーション型は多品種少ロットには向かない。 せっかくネット通販によって商品数を増やすことができるのに、固定ロケーションのままではそのメリットを相殺してしまう。それどころか倉庫効率が悪くなり、配送の遅延や、サービスレベルの低下につながる可能性もある。こうしてブランドを毀損してしまえば本末転倒である。
・ネット通販の仕組みは、既存の店舗やカタログ通販とは全く別物。まずはそれをしっかりと認識し、既存の枠組みでビジネスを行うのではなく、ネット通販に対応した物流への投資をするべきだろう。
▽アマゾンではMBA取得者を物流管理者に 経営者の視点で活躍できる人材育成が重要
・日本企業がアマゾンをまねすることができないもう一つの理由として、物流を支える人材不足が挙げられる。 物流をコストセンターと捉えている多くの企業では、物流に優れた人材を配置することはできない。中には、物流に投資するなら、人よりアマゾンのようにロボットを導入すればいい、と考える人もいるだろう。
・しかし、どんなに優れたロボットを導入したところで、実際にそれを動かすのは人間である。トラブルの対処や、効率化のための改善などは人間の仕事なのだ。アマゾンはこれを理解しているため、常に優秀な人材を物流に投入して育て続けている。その上で、ロボットやハイテク機器を導入しているのだ。
・今後、物流部門の人材の育成は、非常に重要になる。物流管理者は、物流業務に関する知識だけでなく、経営の仕組みやシステムを理解していることが求められるのだ。アマゾンのように、いきなりMBA取得者を雇うことは難しいかもしれないが、教育することは可能である。 そのため、1ヵ月や2ヵ月ではなく、少なくとも半年程度かけて人材教育を行うことをお勧めしたい。それも単なる座学だけではなく、物流部門の現場で起こる具体的な事例をどう解決するのか、経験豊富な指導者とともにケーススタディを行い、現場での臨機応変な対応力までを磨くような実践的な研修にすべきだ。そこまでして初めて、物流戦略を経営者の視点で考え、実際に現場で活躍できる物流人材を育てることができるからだ。
・アマゾンが、物流に一流の人材を充てることで、どれだけ他の企業に差をつけてきたかを見れば、こうした人材への投資が無駄ではないことがわかるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/157020

第三に、元銀行員で法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が3月6日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「ローソンが仕掛ける生鮮食品ネット通販モデルの大きな可能性」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽ローソンが開始する ネット通販による生鮮食品の店舗受け取り
・今年3月にも、コンビニ大手のローソンが、ネット通販で注文した生鮮食品を店舗で受け取るサービスを開始するという。こうしたサービスは、既に世界的な潮流の一つになっており、現在、小売業界は大変革期を迎えているといっても過言ではない。 有力ネット企業であるアマゾンやアリババ・ドットコムなどは、生鮮食品の取り扱いを強化し、新しいビジネスモデルの実用化に向けてかなりのエネルギーを注力している。先進企業の動きは早く、変革のスピードは日に日に加速している。
・従来、品質管理などを理由に、インターネットを経由した生鮮食品の販売は難しいとの見方があった。しかし、首都圏でのアマゾン・フレッシュの導入のように、インターネットを活用して物流のあり方を変える取り組みが進んでいる。 インターネットでモノの売買契約を成立させ、消費者が望む場所で、希望する時間帯に品物を受け取るサービスが提供できると、EC業界、物流業界、コンビニをはじめとする小売業界の境界はほとんどなくなってしまう。
・インターネットが店舗の役割を担い、店舗には支払い、物流の起点などの機能も備わるようになる。ユーザーの好みに応じて宅配を行う、あるいは、店舗での受け取りが可能になれば、文字通り、いつでもどこでも、生鮮食品を手に入れることができる。そうした消費の発想が受け入れられれば、企業は付加価値を創造し、経済は成長できるだろう。
・インターネットを通した消費の拡大は、店舗での販売をベースに事業を展開してきた小売業界にとって脅威と映るだろう。それが、競争を促進し、さらなるサービスの向上と付加価値の創造を支える。その結果、新しい行動様式が社会に受け入れられる可能性がある。その意味でも、ローソンの取り組みが定着するか否かは重要だ。
▽物流に大きな革命をもたらすインターネット
・野菜や魚、肉類などの生鮮食品を買おうとする場合、実際に目で見て、手に取り、鮮度や形、保存されている条件などを確認しないと気が済まないという人は多い。調理して自分たちの口に入れるものである以上、できるだけ鮮度の良いものを選びたい。有機農法、オーガニックなど作物などの育成方法にまでこだわる人も増えている。
・近年、インターネット技術を用いて、品質面はもちろん、個々人のライフスタイルに合った消費行動を実現し、満足度を高めようとする取り組みが進んできた。先行しているのが、中国のアリババだ。同社は盒馬鮮生(ヘマーセンシェン)というブランドの下で、ECと店舗運営の融合を進めている。 その店舗では、バーコードを読み取り、モバイル決済のアプリ(アリペイ)を使って代金を支払う。レジは必要ない。アリババの無人小売店舗は、平日は業務に勤しむビジネスマンの買い物を支え、週末には家族連れでにぎわう一般の食品スーパーとして運営されている。
・インターネット業界が小売業界を圧迫するという発想よりも、ハイテク技術を通して人々の利便性や満足度の向上が実現されている。もはや、それが小売りのメインになりつつあるように見える。 アリババの取り組みを受け、米アマゾンも同様のビジネスを強化している。わが国でも導入されている生鮮食品のインターネット販売事業に加え、同社は“無人コンビニ”であるアマゾン・ゴーも開始した。アマゾンの場合、品物をとって店舗から出れば、自動的に課金が成立する仕組みが用いられている。 事実上、営業時間や買い物をする時間帯にかかわらず、生鮮食品などが手に入る環境が、世界に普及し始めている。
▽新しい小売の ビジネスモデルを目指すローソン
・ローソンはインターネット技術と店舗をつなぎ、新しいビジネスモデルの確立を目指している。それは、わが国の小売業界の常識に変革をもたらし、新しい消費スタイルを形成する可能性を秘めている。 2013年に同社は食品宅配を手掛ける“大地を守る会”の筆頭株主となった。この時点では、ローソンで通販がメインの有機野菜が買えることが注目されていたが、ある意味、その取り組みはかなり先見的だったといえる。
・ローソンが運営するネットスーパー事業のローソンフレッシュのウェブサイトとみると、“らでぃっしゅぼーや”、“オイシックス”など、品質へのこだわりで知られている食品通販企業が取り扱う品物を購入することができる。 つまり、ローソンは通販食品企業との提携を進めることで、インターネットを経由して生鮮食品の物流を支えるプラットフォーム(ビジネスなどの基盤)を整備してきたといえる。それは、アマゾンや、アリババの発想と共通する部分がある。
・このプラットフォームを、ローソンはコンビニ店舗にも当てはめようとしている。従来、ローソンの通販事業は宅配がメインだった。それに加えて、スマホアプリなどを通して購入した商品を店舗で受け取るシステムを整備し、消費者のライフスタイルに合った利便性の高い小売りサービスを提供していくことが目指されている。
・この取り組みに、無人レジのシステムなどが加われば、ローソンはインターネットと店舗の融合による新しい物流システムの確立だけでなく、省人化を通した人件費の圧縮、店舗網の拡大などを追求することができるだろう。社会が成熟化する中で人々の働き方は多様化し、深夜でなければ食品を買う時間が確保できない人も少なくはない。
・地方では小売店の店舗閉鎖などによって、日常生活に支障が出るケースもある。そうした変化や問題が増える中、ローソンの取り組みが人々の支持を獲得することができれば、同社の成長はこれまでとは違ったフェーズを迎えるだろう。
▽成長のために不可欠な常に改革するスタンス
・国内の小売業界では、ローソン以外の企業もインターネット通販事業を強化している。西友は楽天と、イオンはソフトバンクと連携して店舗での販売とECを通したビジネスの両面を強化している。小売り大手企業は、傘下の銀行子会社を活用してIT技術と金融サービスを融合させたフィンテックビジネスの強化にも取り組んでいる。そうした取り組みが進むことによって、物流、決済(購入代金の支払い)、店舗の運営など、従来の小売ビジネスの発想が大きく変わるだろう。
・企業が市場のシェアを確保していくためには、ローソンのように新しい取り組みを連続的に進め、消費者の関心を引き付けることを目指すことが欠かせない。新しいサービスを提供して、消費者の満足度を高めることができない企業のシェアは低下し、付加価値を生み出すことが難しくなるだろう。市場原理による淘汰が促進されるということだ。ハイテク技術の開発と普及が進むことによって、経済の競争原理が発揮されやすい環境が整備されていく可能性は高まっている。
・長い目でローソンの取り組みを考えると、さまざまな展開が考えられる。例えば、コネクテッドカーを活用して移動式の無人店舗が普及すれば、過疎化が進む地域での生活は大きく改善されるはずだ。それは地方の活性化に重要な役割を果たすだろう。
・新しい技術、コンセプトを応用することで、これまでの業態にとらわれることなくビジネスモデルを構築することが可能になりつつある。常識や既成概念にとらわれることなく既存のシステムと新しい理論や技術を融合させる企業の取り組み(イノベーション)が、社会の活性化には不可欠だ。
・そのために政府は、規制の緩和や従来にはないビジネスモデルを実証的に検証する環境を整備すべきだ。それが、世界的に進むハイテク技術の開発とその応用によって進む競争環境の中で、わが国の企業の収益確保をサポートすることになるはずだ。
http://diamond.jp/articles/-/161921

第一の記事で、 『売上高・・・に対して、その13%をFulfillment(フルフィルメント・物流関連)費用にあてている・・・日本の小売業の売上高に対する物流コストの比率の平均は4.85%』、 『アマゾンでは、MBAを取得した人間が倉庫管理者に就いていることが多い』、 『KPIをレビューするための週次経営会議と、そこでのアクションプランに基づくオペレーション改善が、アマゾンのオペレーションをどんどん最適化していく。そしてそれ以外にも、社内に根付いているオペレーション改善の意識と、それを具体的なタスクに落としていくための課題管理票のシステムが、日々の高速なPDCAを実現している』、 『日々変わるオペレーションに柔軟に対応するシステム開発を可能にするため、内部で開発者を抱え、あらゆるシステムを内製している』、 『アマゾンの物流の強さは、アマゾンが20年以上かけて毎年莫大な投資をしながら作り上げてきたものであり、一朝一夕に真似できるものではない』、などにみられる強味は、「凄い」の一言に尽きる。
第二の記事で、 『最も大きな違いは、「物流」というものの捉え方である。というのも、多くの日本企業は、物流を「コストセンター」として捉えてしまいがちだ。利益を生み出すわけではないコストだから、必然的にコストダウンを目指すしかなく、古くなっても汚くなっても「倉庫に金はかけられない」という考え方に陥ってしまう。
 しかし、アマゾンは違う。ケタ違いの金額を投じて倉庫に設備投資をし、どんどんハイテク機器や設備を導入した。そうして、倉庫の効率を上げることで生まれた利益を、「安さ」という形で消費者に還元。その結果、商品の安さに引かれた消費者が、さらに商品を購入して購買数が増える、というサイクルを作り上げることに成功』、という「物流」への考え方の差は確かに大きい。 『販売と物流が社内で一体に』、 『倉庫はフリーロケーションを採用』、 『ロボットの目的は人員不足の補填ではない』、などもよく考え抜かれた戦略だ。これでは、アマゾンに対抗するのは確かに容易ではなさそうだ。
第三の記事には概ね同意できるが、最後の 『政府は、規制の緩和や従来にはないビジネスモデルを実証的に検証する環境を整備すべきだ』、には違和感を感じた。規制緩和すべき事項はあるのかも知れないが、そうであれば、少しは例示して欲しいものだ。「ビジネスモデルを実証的に検証する環境を整備」、については個別の企業では出来ず、政府でなければ出来ないことがあるのだろうか。どう考えてもそうは思えない。企業向けの「リップサービス」なんだろうか。
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