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森友学園問題(その16)(過去形で「森友問題とは何だったのか?」と問うと訪れる恐ろしい未来 そこに待ち受ける「教育の未来像」、佐川氏喚問は 昭恵夫人と官邸の関与の火消しに使われた茶番劇だった、佐川氏の稚拙すぎる答弁から見える「2つの可能性」) [国内政治]

森友学園問題については、3月19日に取上げた。佐川氏への証人喚問が終わった今日は、(その16)(過去形で「森友問題とは何だったのか?」と問うと訪れる恐ろしい未来 そこに待ち受ける「教育の未来像」、佐川氏喚問は 昭恵夫人と官邸の関与の火消しに使われた茶番劇だった、佐川氏の稚拙すぎる答弁から見える「2つの可能性」)である。

先ずは、やや古い記事ではあるが、重要な内容なので取上げるものである。弁護士の大前 治氏が昨年11月15日付け現代ビジネスに寄稿した「過去形で「森友問題とは何だったのか?」と問うと訪れる恐ろしい未来 そこに待ち受ける「教育の未来像」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今年一年の政治ニュースを振り返ると、最初の大ニュースは森友学園をめぐるものだった。これに端を発して、「忖度」という言葉が流行し、稲田朋美元防衛大臣の国会答弁が問題視され、説明不足を問われた安倍政権の支持率が20%台に下落した。
・……と過去形で書いてしまったが、決して過ぎ去った問題ではない。国会での真相解明も、大阪地検特捜部の捜査も、会計検査院の調査も、端緒についたばかりである。 政治の問題だけでなく、これからの教育のあり方に関わる問題でもある。私たちは監視を弱めてはいけない。 
▽認可されるはずのない申請
・すべては、松井一郎氏(現・日本維新の会代表)が2011年11月に大阪府知事に初当選した直後に始まった。 2012年4月、大阪府は森友学園の要望を受けて学校設置基準を緩和した。借入金で学校を新設できるようにしたのである。その後の5年間に、緩和された基準により認可申請をしたのは森友学園だけである。まさに「森友学園のための基準緩和」であった。
・2013年9月、森友学園は大阪府豊中市の国有地払下げを要望したが、購入や賃借の目途は立たないまま、2014年10月に大阪府へ小学校設置認可の申請をした。 この申請に対して、大阪府私立学校審議会(私学審)は、2014年12月18日の会議で、認可せず継続審議にすると決定した。私学審の梶田叡一会長は、その理由を次のように述べた。 +教員のほぼ全員が幼稚園の経験しかなく、小学校の経験がない。  +学校用地がないのに申請するというのは、普通ありえない。 +手持ち資金が、通常と比べれば大幅に少なかった。 +審議会の委員から「本当に何を考えているのか」という驚きの声も出た。 (2017年3月13日放送・NHK「ニュースウオッチ9」より) 
・大阪府の認可基準は、学校用地は「自己所有」または「国からの借地」であることを原則としている。この当時は国有地の購入も賃借も未定だったので、基準を満たしていなかった。 大阪府の私学審は、学校法人役員、教育学者、弁護士など19人の委員で構成される。彼らが「何を考えているのか」と驚く事態だから、もはや継続審議ではなく申請を却下すべきであった。 ところが、わずか1カ月後の2015年1月27日、私学審は臨時会を開催し、一転して「認可相当」と答申した。
▽私学審で異例の「臨時会」、早期の認可答申
・この臨時会は異例づくめであった。 そもそも私学審の定例会は年3回しかなく、臨時会は過去9年間一度も開催されていなかった。また、定例会では通常10~20件の議案を審議するが、この臨時会の議題は森友学園の案件だけであった。 再び継続審議にしたり申請却下にしたりするなら、次の定例会を待てばよい。したがって、わざわざ臨時会を開催したということは、最初から「認可相当」と答申するのが目的だと推測される。
・しかし、前述の問題点が1ヵ月で解決するはずがない。私学審の議事概要には次の注意点が記載されている。 +財務・会計状況、カリキュラム、校舎建設など小学校設置までのプロセスを明らかにすることこと。  +カリキュラムは、小学生の学びが充実されるよう内容を詰めること。 +私立学校には「特色のある教育」が求められる側面があるが、懸念のある点については本審議会が今後も確認を進めるべき。
・森友学園の「特色ある教育」への懸念とは、すでに幼稚園で推進されていた国家主義教育に対するものであろう。これらの検証を待たずに急いで「認可相当」と答申したのは不可解である。 なぜ答申を急いだのか。 大阪府の向井正博教育長は「工期や開校時期からみて早期に審議する必要があった」という(2017年3月1日・大阪府議会)。 
・しかし、私学審の役割は「開校に間に合うよう審議する」ことではなく「開校させてよいか否かを審議する」ことである。これでは本末転倒でないか。 大阪府の事務職員だけで、こうした強引な流れを作ることはできない。大阪府私学審の梶田会長は、前出のインタビューで次のように反省している。その意味が検証されなければならない。 国でも、都道府県でも、市町村の行政でも、大きな力がどこかから働いて、住民全体の公平・公正な幸せのためにある行政が、ちょっとおかしいよなってことが時々ないわけではない。それをチェックするのが我々だったはず。結果として、十分にやれていたのだろうか。(2017年3月13日放送・NHK「ニュースウオッチ9」より)
▽安倍首相は関与していないのか
・私学審の答申から8ヵ月後、2015年9月に急展開があった。首相が森友学園の土地購入を後押ししているというメッセージが読み取れる。 9月3日 安倍首相が近畿財務局の迫田英典理財局長と面会。 9月4日 午前、大阪にある近畿財務局の会議室で、迫田理財局長、森友学園の工事関係者が面談。午後、安倍首相が大阪入り。 同日 国土交通省が森友学園の木造校舎建築事業へ6200万円の補助金交付決定。 9月5日 安倍首相の妻・昭恵氏が森友学園の幼稚園で講演。小学校の名誉校長に就任。 安倍昭恵氏は、9月5日の講演で「籠池園長の熱い思いを聞かせていただいた」と述べた。その後、新設校のホームページで「優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます」と名誉校長としての抱負を述べている。
・この時期、籠池氏が新設校を「安倍晋三記念小学校」と名付けて募金集めをしていた。安倍首相は「名前を使われたのは遺憾」(2017年2月24日・衆議院予算委)と答弁したが、本当に無断だったか、真相は不明である。 この答弁で安倍氏は、籠池氏から事前に「名前を使わせてほしい」と何度も要請されて「非常にしつこい」と感じたと述べている。しつこく要請されたということは、連絡を拒絶せず何度も応対したことを意味する。 一般市民なら一瞬で電話を切られて終わりだが、籠池氏は違ったのである。
▽「忖度」ではなく「働きかけ」
・2ヵ月後の2015年11月、昭恵氏の秘書だった谷査恵子氏(現・在イタリア大使館一等書記官)が、籠池氏にFAXを送信した。内容は、籠池氏の依頼を受けて財務省に土地の対価の値下げを「照会」したことの報告である。 そこには、財務省は籠池氏の要望には応えられないようだが、「当方(安倍昭恵)としても見守りたい」「何かございましたらご教示ください」「昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」とある。今後も協力しますというメッセージである。
・財務省からみれば、ただの「照会」ではない。「森友学園への便宜を求める安倍昭恵氏の意向」が明確に示されたことになる。財務省側が自発的に「忖度」したのではない。影響力を承知のうえで財務省へ「働きかけ」をしているのである。
・その後、2016年6月に、森友学園は国有地の払下げを受けた。鑑定額より8億円以上の値引きに加えて廃棄物撤去費も相殺され、実質200万円で8,770平方メートルの土地を購入できた。 不可解な点は数多い。競争入札ではなく随意契約とされた点、随意契約なのに複数の見積りを取得していない点、土中の廃棄物撤去について実地確認されなかった点など、あり得ない事態が連なっている。
・国有地の代金支払が完了していないのに売却関係書類が「すべて廃棄された」という佐川宣寿・財務省理財局長(後に国税庁長官に昇進)の説明も不自然である。 これら全てが組み合わさって、問題だらけの小学校設置が後押しされた。政治家の関与なしに、籠池氏1人の力では実現不可能である。
▽互いに利用し合った籠池氏と政治家
・巨額の賄賂が授受された訳でもなく、加計学園のように首相の親友だから優遇された訳でもない。なぜ森友学園の小学校建設は後押しされたのだろうか。 松井氏が府知事に初当選した3ヵ月後の2012年2月26日、大阪市内で教育再生機構が主催する教育シンポジウムに安倍氏と松井氏が登壇した。意気投合した2人は、居酒屋へ場を移して教育談義に盛り上がった。 その1ヵ月半後、大阪府は森友学園の要請を受けて学校設置基準を緩和した。それが出発点といえる。
・第一次安倍政権下で教育基本法を改正し、「愛国心」を教育の根幹に据えようと提唱してきた安倍首相にとって、「教育勅語」を毎日暗唱させる森友学園の教育方針は素晴らしいものと映ったに違いない。 国家主義・軍国主義的な教育を実践する先進校を大阪に開設し、これを全国へ広げていくことは、安倍氏の政治目標の実現に合致する。森友学園は政治的な利用価値があったのである。
・他方で、この目標実現のためには学校設置を認可する大阪府の松井知事の協力が不可欠であった。 改憲のために維新の協力が必要だった安倍氏と、「大阪都構想」のために安倍政権の協力が必要だった松井氏、それぞれの思惑もあったのであろう。 籠池氏は、安倍首相に気に入られる教育方針を実践し、政治力を味方に付けて国有地の安価な払下げを受けることに成功した。幼稚園児に政治的フレーズを叫ばせたのは、政治家を利用するためだったのである。
▽森友学園が見せた「教育の未来像」
・私たちは、森友学園の幼稚園で児童が「安倍首相ガンバレ! 安保法制国会通過よかったです!」と唱和したり「教育勅語」を暗唱したりするニュース映像を見た。 理事長が保護者に「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」と書いた文書を配布したこともニュースで知った。 森友学園が小学校の開校を断念したからといって、あのニュースで受けた重々しい衝撃は解消できない。あの映像は、安倍首相が進めようとする教育の未来像を映し出しているからである。
・特定秘密保護法や共謀罪で市民の自由を制限する先に、何が待ち受けているのか。国家に忠実で疑問を持たない国民を生み出す教育とはどのようなものか。 安倍政権がオブラートに包んで見えにくくしている未来像を、森友学園の幼稚園はしっかりと示したのである。 だから私たちは、森友学園問題を忘れてはいけないし、過去の問題にしてしまってはいけない。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53491

次に、ジャーナリストの横田由美子氏が3月29日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「佐川氏喚問は、昭恵夫人と官邸の関与の火消しに使われた茶番劇だった」を紹介しよう(▽は小見出し、+は段落)。
▽40回以上も証言を拒否した佐川氏の腰砕け証人喚問
・テレビの前で、「人間とは、土壇場になると、ここまで保身に走れるものなのか」と、呆然とした人が多かったのではないか──。 3月27日、財務省が学校法人森友学園との国有地取引に関する公文書を改ざんした問題で、前国税庁長官の佐川宣寿氏が衆参両院の予算委員会で証人喚問に立った。佐川氏は、財務省理財局主導で改ざんが行われたとされる昨年2月下旬から4月にかけて、理財局長として国会の答弁に立っていた。
・その後、近畿財務局の職員の自殺をきっかけに、財務省が決裁文書の調書で14ヵ所にのぼる改ざんを行っていただけでなく、添付されていた2枚の資料を削除していたことが発覚したのは、もはや周知の事実だ。 27日の証人喚問では、どこまで政治の関与があったのかが焦点だったし、国民もまた疑惑の解明を期待していた。というのも、安倍晋三首相が昨年2月の衆院予算委で「私や妻が国有地売却に関与していれば、首相も国会議員も辞める」と答弁していたためで、証言内容によっては、政局になる可能性もあったからだ。「安倍一強」と呼ばれる強すぎる政治と、官界との歪んだ関係が是正される機会であったこともある。
・しかし、多くの国民の期待は、「刑事訴追の恐れがある」という言い訳を盾に、40回以上も証言を拒否した佐川氏の腰砕けな姿勢の前にもろくも崩れた。佐川氏に対して、橋本内閣時の総理秘書官だった江田憲司議員(民進党)は、「(そのスタイルは)あなたの美学か」と問うた。
▽「総理夫人、官邸の関与はなかったとの証言が得られた」と豪語する丸川議員
・そんな佐川氏が饒舌に語ったのは、参議院で質問のトップバッターに立った丸川珠代議員(自民党)の質問に対してのみだったからだ。丸川氏の質問は、終始一貫して、「責任は財務省理財局のみにあり、総理、総理夫人、官房長官、官房副長官、総理秘書官は関係ない」ということを念押しする内容だったからだ。いくつか、抜粋する。
 +丸川氏 「官邸からの指示はなかった?」
 +佐川氏 (はきはきと)「間違いありません。麻生大臣からの指示もございませんでした。理財局の中でやった話です」
 +丸川氏 「(総理や総理夫人からの)明確な指示ではなくても、圧力は感じた?」
 +佐川氏 「ありませんでした」
 +丸川氏 「なぜ書き換えを行って、総理夫人の名前を削除したのか?」
 +佐川氏 (前略)「一連の書類を勉強して、総理も総理夫人の影響もありませんでした」
・このように、「政治の関与を匂わせたら、どうなるか分かってるんでしょうね」と言わんばかりの、半ば「恐喝」とも受け取れる質問をネチネチと繰り返した後、丸川議員は晴れやかな顔で、「総理夫人、官邸の関与はなかったという証言が得られました。ありがとうございました」と言い放ったのだ。
・これには、自民党の議員からも驚愕した様子のコメントが出ていた。 「さすが、当選わずか2回で大臣を2回もやっただけのことはある。当選3回でも、1度も大臣をやったことのない参議院議員はたくさんいる。単に『女性活躍』という政策に乗って、引き立てられただけではない。ここまで、国家ではなく総理に忠誠を尽くす姿を見せられるのは、ある意味あっぱれだ。まだまだ安倍政権には続いてもらって、あわよくばもう1度大臣をという気持ちなのだろう。しかし、なかなかできることではない」
▽“二枚舌”を使う佐川氏は官僚より政治家に向いている?
・民進党の小川敏夫議員の質問に対しても、佐川氏は財務省ではなく、政権に忠実だった。安倍晋三首相の“辞職発言”が、自身の国会答弁に影響したかどうかについて「あの総理答弁の前と後で、私自身が答弁を変えたという認識はありません」と、明確に影響を否定している。
・一方で、当時の部下である田村嘉啓審理室長に対する責任の押しつけ方は、田村室長が気の毒になるほどだった。 そもそも安倍昭恵総理夫人の関与があったのではという話は、昭恵夫人が、森友学園の名誉校長だったことに加え、国有地取引の問題で、夫人付き職員の谷査恵子在イタリア大使館一等書記官が籠池氏にファクスを送っていたことや、田村室長と電話で話していたことなどが裏づけとなっている。
・しかし佐川氏は、「私は確認しなかったけど、田村は電話を受けていたので、(谷が昭恵夫人付きということを)知っていたかもしれない」「自分が(田村に)ヒアリングしたときには、(谷さんから)1回電話があっただけだと言っていた」と、昭恵夫人が名誉校長であることも新聞報道で知ったと断言した。 にもかかわらず、公明党の竹内謙議員が、「本省も財務局佐川氏の答弁との整合性をとるために改ざんが行われたと(新聞の)この記事にはある」と尋ねると、「覚えていません。あまり新聞読んでいないので、知らないと言った方が適切」など、官僚よりも政治家の方が向いていたのではと思える“二枚舌ぶり”を発揮する。
・佐川氏の後任の太田充理財局長が、「理財局の一部によって(改ざん)が行われた。前局長の佐川氏の関与が大きかった」と、認めているとたたみ掛けても、「個別の案件なので…」と、刑事訴追を理由に証言拒否。部下や自殺した職員に対する詫びの言葉もないのかと聞かれるまで、謝罪の一つもなかった。
・この日、竹内議員の質問は、唯一、確信に迫るものではなかったかと私は思う。 竹内議員曰く、佐川氏は、非常に厳しい上司だという評判があった。実際、佐川氏は、近畿理財局と籠池氏との交渉内容は知らず、答弁後に詳細を知ったのではないか。そしてそのことで、激しく部下を責めたのではないか。現場を知らなければ指示はできないので、部下は佐川氏の立場などを忖度して書き換えを行い、佐川氏はそれを黙認したのではないか…。指摘の概要をまとめると、こんな感じだった。
▽「財務省恐竜番付」では西の前頭六枚目
・佐川氏が、財務省内で畏怖の対象だったことは間違いない。筆者の手元には、「財務省新恐竜番付」というペーパーがある。恐らく、若手官僚が面白半分でつくったものだろうが、こうした文書は往々にして視点は間違っていないことが多い。 この文書によれば、佐川氏は理財局長の前職である内閣審議官の時代に、「西の前頭六枚目」に選ばれているほどの“力量の持ち主”だ。 佐川氏の評判を聞くと、「滅私奉公型の官僚で、私生活を犠牲にするほど働く一方で、部下にはそれ以上の働きを求める。他省の同期や美人記者、美人秘書にはとても朗らかな対応」という評価が返ってきた。
・この「番付表」は、なかなか見所が満載だ。「東の横綱」である藤井健志氏は、この後、主計局次長から国税庁次長に出向し、佐川氏の部下となっている。彼らの部下は、さぞかし辛い目に遭ったのではないかと、老婆心さえ芽生えてくる。
・ちなみに、話は若干それるが、「張出」の可部哲生総括審議官は、森友問題で“詰め腹”を切らされる一人に入るかどうかの瀬戸際。「関脇」の小部春美氏は、女性初の国税局長を経てサイバーセキュリティ・情報化審議官にまでなっているが、部下が何人も使い倒されたと評判だ。小部氏は国税庁時代、酒税課長を経験しているが、やはり酒税課長経験者の源新英明氏も「前頭」として名を連ねている。ちなみに「前頭三枚目」の西村聞多氏も国税庁への出向経験者だ。 なんとも“強者”ぞろいで、組織は果たして大丈夫なのかと不安を感じざるを得ない。
・そして、いくら“政治の力学”が働いたとはいえ、今回、財務省は佐川氏に見捨てられたことで、責任をほぼ一手に引き受けざるを得なくなった。しかし、こうした財務省に、組織として自浄作用が働くとは考えづらく、佐川氏の罪はあまりに大きいと言わざるを得ない。
・安倍政権は、佐川氏の証人喚問で幕引きを図るつもりだろうが、福山哲郎参院議員(立憲民主党)が言及したように、「疑惑はますます深まった」としか言いようがない。安倍政権は、丸川議員と佐川氏との間でやり取りされた“茶番答弁”をもって、説明責任が果たされたなどとは、決して考えてはならないだろう。
http://diamond.jp/articles/-/165157

第三に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が3月29日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「佐川氏の稚拙すぎる答弁から見える「2つの可能性」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・エリート財務官僚としてキャリアを築いてきた佐川宣寿氏と、補佐人の有名ヤメ検弁護士――官僚答弁とリスクコミュニケーションの真髄を知り尽くしているであろう「チーム佐川」が、証人喚問では驚くような稚拙な物言いをした。その背景には、どんな事情があったのだろうか?
▽補佐人は有名ヤメ検弁護士なのに…超初歩的ミスを犯した佐川氏
・あそこまで証言拒否を連発したのに、首相の関与がないことだけは自信満々で断言するなんて、この期に及んでまだ必死に首相をかばっているに違いない――。 そんな怒りの声が日本中から上がっている佐川氏の証人喚問。この評価については既にさまざまな論客が語っておられるが、リスクコミュニケーションを生業としている立場から、ひとつだけどうしても解せないというかモヤモヤが残ったことを指摘させていただく。 それは、なぜ佐川氏が「断言」という、リスクコミュニケーションにおける超初歩的ミスを犯してしまったのか、という点だ。
・今回こういうことになってしまったが、佐川氏は財務省のエリート街道を歩んできた御仁で、これまで数々の国会答弁を経験してきた手練のスピーカーである。 また、佐川氏が証言をする際にたびたび相談をしていた「補佐人」の熊田彰英弁護士は、東京地検特捜部にも在籍していた有名なヤメ検弁護士で、テレビの刑事ドラマで法律監修を務めるほか、甘利明・元経済再生相や小渕優子・元経済産業相のスキャンダル対応も担当するなど、リスクコミュニケーションのプロ中のプロだ。
・そんな経験・実績ともに申し分ない「チーム佐川」にもかかわらず、今回の証人喚問は野党に突っ込んでください、と言わんばかりの雑な回答だった。なかでも理解に苦しむのは、安倍首相夫妻や官邸の関与を明確に否定したこと。これは、お2人のこれまでやってきたことと真逆のような、稚拙なもの言いだった。
▽官僚答弁の基本は「逃げ道を残す」こと
・証人喚問で質問に立った元官僚の江田憲司氏や、情報番組に出演する元財務官僚の方たちが指摘したように、「官僚答弁は逃げ道を残すのが基本」である。 にもかかわらず、佐川氏は、局長だった自分に報告が上がっていなかったことを根拠に、首相夫妻や官邸の関与はない、と明確に否定をした。このような「断言」は、もしこの後に少しでも関与の疑いが出た場合、偽証罪に問われるなど一気に佐川氏を窮地に追い込むことになる。
・そういうリスクをヘッジするため、官僚の答弁は、どっちに転んでも責めを負わないようなもの言いになるのが普通だ。もし私が「補佐人」だったら、首相の改ざんへの関与があったのかどうかと詰め寄られた佐川氏には、こう答えてもらうだろう。 「理財局長である私のもとに、そのような報告は上がっていませんので、首相や首相夫人、あるいは官邸などから関与はなかった、という風に私個人としては受け止めております」
・こういう慎重なもの言いをしておけば、もし万が一、関与が明らかになることがあっても嘘を言ったことにはならないのだ。しかし、丸川珠代氏などに首相の関与について質問された佐川氏は「ございませんでした」と、打てば響くような感じでスパッと言い切っている。「官僚答弁の定石」からすると、かなりダイナミックというか、攻めすぎた発言と言わざるを得ない。
▽「断言」答弁はなぜ最悪なのか?
・もっと言ってしまうと、官僚の世界だけではなくリスクコミュニケーションの世界でも、「“断言”は絶対に避けるべき悪手」というのは基本のキとでもいうべき「常識」だ。 たとえば、わかりやすいのが、なにかとんでもない不祥事が発覚して謝罪会見をする際、社長に対して記者から「他にも同様の不祥事があるのではないか?」と質問が飛んだ時だ。そこで「ありません」と断言をするのは最悪、辞任まで追い込まれてしまう恐れもある失言である。
・昨年、いくつも起きた企業のデータ改ざんなどの不正を見ればわかるように、不祥事というのは、組織が異変をきたしていることを知らせてくれるシグナルである。大抵の場合、発覚した事案は氷山の一角にすぎないので、本腰を入れて調査をしてみると、次から次へとおかしな話が出てくる。 「ありません」と断言した後に新たな不祥事が見つかれば、「嘘つき」「隠蔽していたのか」など、厳しい批判にさらされ、トップの首は風前の灯となる。
・そのため、こういう状況で使う「話法」は、官僚答弁と同様に相場が決まっている。たとえば、こんな感じだ。 「私の知る限り、今回と同様の不祥事があったという報告は上がってきていませんので、なかったと考えております。しかしながら、今回のような事案が発生しましたので、改めて再度調査をいたしまして、ご報告しなければいけないようなことがあることが、もしも判明しましたら、速やかに公表させていただきます」
・調査をして同様の不祥事が見つからなければ良し。見つかった場合も、これなら嘘つきにはならない。社長という責任ある立場として、「ありません」よりも遥かに適切である。
▽「チーム佐川」が悪手を選んだ背景には何が?
・これは筆者だけが主張しているようなことではなく、おそらく日本中の広報や弁護士さんなど、リスクコミュニケーションに関わる人ならば、誰もが知っている知識だ。書店で売っているような危機管理広報のマニュアル本の類いにも、似たようなことは指摘されているはずだ。 だからこそ、モヤモヤするのだ。 官僚的にもあり得ない。リスクコミュニケーション的にもあり得ない。そのような「悪手」を、なぜ経験も知見も豊富な「チーム佐川」は選んでしまったのか。
・日本中が注目をする証人喚問なのだから、直前まで相当な想定問答を繰り返したはずだ。「改ざんの全貌は言えない」ということと、「安倍首相や昭恵夫人の関与はない」という2つの説明は、本来矛盾するものだ。当然、その矛盾を突かれる、というシュミレーションもおこなったはずだが、フタを開けてみれば、あんな杜撰な答弁になってしまっている。
・この常識では考えられない「珍事」が起きてしまった背景として、考えられる可能性は2つしかない。まずひとつは、野党のみなさんや官邸前でデモをしている方たちが主張されている、このシナリオだ。 A.「チーム佐川」に対して、「とにかく安倍首相や官邸の関与だけは明確に否定せよ」という政治的圧力がかかった。  確かに、評論家のみなさんが指摘しているように、自民党議員は明らかに佐川氏から「首相や昭恵夫人の関与はない」という言質を取りにいっていた。ロープへ投げ、かえってきたところでアクロバチックな決め技をかけるプロレスラー同士の阿吽の呼吸のように、自民党議員と「チーム佐川」との間で、「八百長問答」が設定されていた可能性は否めない。
・ただ、その一方で、もしそうだとするのならひとつ大きな疑問もある。そんなわかりやすい政治的圧力があったとしたら、「チーム佐川」なら、もうちょっとうまくやるのではないか、ということだ。
▽シナリオその2は「本当に首相も官邸も関係なし」
・先ほど申し上げたように、佐川氏も熊田氏も経験・実績ともに「断言」が招く二次被害をよく知っているはず。もし何らかの政治圧力で「やれよ」と命じられたのだとしたら、頭脳をフル回転させて、野党から矛盾を突かれないような、慎重なもの言いを必死で考えるに違いない。少なくとも、「露骨にかばう」なんて悪手は、首相を守るためにも絶対に選ばない。
・官邸からの圧力だというのなら、話はもっとおかしくなる。 すぐに挑発にカッとなる安倍首相はさておき、東京新聞の立派なジャーナリストさんがたびたびやり込められていることからもわかるように、菅義偉官房長官のリスクコミュニケーションは決してあなどることができない。もちろん、失言がないとは言わないが、何が「地雷」か、何を言えば批判されるのかということを、かなり思慮して発言をしているのは明らかだ。
・そのように、リスクコミュニケーションということを意識する人間たちが仕切っている官邸が、佐川氏をマリオネット的に操れるとして、あんな疑惑が深まるような「露骨な政権擁護」をさせるだろうか。もし筆者が官邸の人間で佐川氏を使って火消しを図るのなら、せめて、もうちょっと遠回しに政権の関与を否定させる。
・そういう不可解な点を踏まえると、もうひとつの可能性も浮かび上がる。「こいつは安倍信者だ!」とか叩かれそうなのであまり言いたくないが、以下のようなシナリオだ。 B.「チーム佐川」は決裁文書改ざんの全貌をある程度把握しており、実行犯の目星がついていて、彼らの動機も知っているため、その先入観に引きずられて、首相夫妻や官邸の関与を思いのほか強く否定してしまった。
・先ほど「断言」を避けるのは、リスクコミュニケーションの基本のキだと申し上げたが、延々とそういう状況が続くわけではない。当然、事実関係が明らかになっていくにつれて、「断言」できることが増えてくる。先ほど例に出したように、同様の不祥事がないかどうかの調査が終われば、「再度調査をおこないましたが、現時点では同様の事案は見つかりませんでした」という断言ができる。
▽早くもポスト安倍を巡る情報戦が勃発している
・こういう「断言」というものの性格を考えた時、「チーム佐川」が首相夫妻、官邸の関与をあそこまで明確に否定をしたひとつの可能性として、「ある程度、事実関係がわかってきた」ということがあってもおかしくはないのだ。 んてことを言うと、「だったらなぜそういう話をせず、証言拒否を繰り返したのだ!後ろめたいからだろ!」というお叱りがあちこちから飛んできそうだが、そのあたりはかつて、佐川氏のように日本国民から「嘘つき」呼ばわりされた御仁の「解説」を引用させていただこう。
・『私が北方四島支援事業への介入疑惑などで証人喚問された時と同様、佐川氏は「悪者」扱いされていた』(朝日新聞デジタル3月27日)として、野党側の「忖度があった」という主張を間違いだとおっしゃる鈴木宗男・元衆議院議員だ。 「喚問は質問の事前通告もないので、その場でどう答えるかの判断を強いられる。特捜部の聴取が想定される佐川氏が繰り返し答弁を拒むのは、訴追の可能性を考えれば当然だ」(同上) もし仮に、「チーム佐川」が改ざん事件の全貌を把握していたとしても、あの場では証言拒否を繰り返すしかない。それが「証人喚問」というものなのだ。
・AとBのどちらが真相に近いのか。今後の調査報道や捜査の進展に注目したいが、いずれにしても、安倍首相は、もう「終わり」が近い気がする。 明らかに「身内」から見放されているからだ。 先ほど鈴木宗男氏のケースも含め、日本の政治・行政スキャンダルにおいて、「証人喚問」で真相が明らかになったことなどない。だいたいは「記憶にございません」とか、「刑事訴追の恐れが」の連発でうやむやにされてきた。にもかかわらず、自民党の大物議員もマスコミにうれしそうに、「こんな証人喚問は前代未聞だ」とか「歴史に残る事件」と大げさに驚いてみせる。
・これは「ポスト安倍」を意識した方たちが、さまざまなスピンコントロール(情報操作)を仕掛け始めているとしか思えない。 次の首相には、政治の信用回復のためにも、ぜひ頑張っていただきたいと思うが、ここは「忖度があったとしか思えない」、「行政が歪められた気がする」といったフィーリングだけで、「犯罪者」のそしりを受ける国だ。どなたが「ポスト安倍」に就こうとも、「短命」になることだけは間違いなさそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/165156

第一の記事は、そもそも森友問題とは何だったのか、を改めて思い出させてくれる。確かに、 『認可されるはずのない申請』、にある松井大阪府知事の役割を改めて問い直す必要もありそうだ。 『9月3日 安倍首相が近畿財務局の迫田英典理財局長と面会』、ということであれば、迫田氏、さらには谷査恵子氏(現・在イタリア大使館一等書記官)や田村嘉啓審理室長(第二の記事)も証人喚問すべきだろう。しかも、安倍首相が迫田英典理財局長と面会したのであれば、これ以上ないほど強い働きかけで、安倍首相の辞任、議員辞職につながる問題だ。 『「忖度」ではなく「働きかけ」』、というのは的確な指摘だ。 『特定秘密保護法や共謀罪で市民の自由を制限する先に、何が待ち受けているのか。国家に忠実で疑問を持たない国民を生み出す教育とはどのようなものか。 安倍政権がオブラートに包んで見えにくくしている未来像を、森友学園の幼稚園はしっかりと示したのである。 だから私たちは、森友学園問題を忘れてはいけないし、過去の問題にしてしまってはいけない』、というのは正論だ。
第二の記事で、丸川珠代議員(自民党)のちょうちん質問は、意図が本当に見え見えだ。 ただ、 『佐川氏の罪はあまりに大きいと言わざるを得ない』、というのには、違和感を感じた。より重大な罪は、佐川氏が今回の役割を果たさざるを得なくした安部首相と夫人にある、と考えるべきなのではなかろうか。
第三の記事で、 『今回の証人喚問は野党に突っ込んでください、と言わんばかりの雑な回答だった。なかでも理解に苦しむのは、安倍首相夫妻や官邸の関与を明確に否定したこと。これは、お2人のこれまでやってきたことと真逆のような、稚拙なもの言いだった』、というのは確かにその通りだ。 『いずれにしても、安倍首相は、もう「終わり」が近い気がする』、との観測の実現を期待したい。 
いずれにしても、証人喚問で問題が改竄問題に矮小化された感があるが、もともとの森友問題の原点からの追及が望まれる。
タグ:森友学園問題 (その16)(過去形で「森友問題とは何だったのか?」と問うと訪れる恐ろしい未来 そこに待ち受ける「教育の未来像」、佐川氏喚問は 昭恵夫人と官邸の関与の火消しに使われた茶番劇だった、佐川氏の稚拙すぎる答弁から見える「2つの可能性」) 大前 治 現代ビジネス 「過去形で「森友問題とは何だったのか?」と問うと訪れる恐ろしい未来 そこに待ち受ける「教育の未来像」」 政治の問題だけでなく、これからの教育のあり方に関わる問題でもある。私たちは監視を弱めてはいけない 認可されるはずのない申請 松井一郎 大阪府知事に初当選した直後に始まった 私学審で異例の「臨時会」、早期の認可答申 安倍首相が近畿財務局の迫田英典理財局長と面会 「忖度」ではなく「働きかけ」 森友学園が見せた「教育の未来像」 安倍政権がオブラートに包んで見えにくくしている未来像を、森友学園の幼稚園はしっかりと示したのである 横田由美子 ダイヤモンド・オンライン 「佐川氏喚問は、昭恵夫人と官邸の関与の火消しに使われた茶番劇だった」 窪田順生 「佐川氏の稚拙すぎる答弁から見える「2つの可能性」」 安倍首相夫妻や官邸の関与を明確に否定したこと。これは、お2人のこれまでやってきたことと真逆のような、稚拙なもの言いだった 「チーム佐川」が悪手を選んだ背景には何が? A.「チーム佐川」に対して、「とにかく安倍首相や官邸の関与だけは明確に否定せよ」という政治的圧力がかかった B.「チーム佐川」は決裁文書改ざんの全貌をある程度把握しており、実行犯の目星がついていて、彼らの動機も知っているため、その先入観に引きずられて、首相夫妻や官邸の関与を思いのほか強く否定してしまった
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