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暗号通貨(仮想通貨)(その11)(SBI主導の邦銀仮想通貨連合から地銀が一斉離脱した理由、三菱UFJ銀の仮想通貨を待つ「価格安定」のハードルは非常に高い) [金融]

昨日に続いて、暗号通貨(仮想通貨)(その11)(SBI主導の邦銀仮想通貨連合から地銀が一斉離脱した理由、三菱UFJ銀の仮想通貨を待つ「価格安定」のハードルは非常に高い)を取上げよう。

先ずは、4月25日付けダイヤモンド・オンライン「SBI主導の邦銀仮想通貨連合から地銀が一斉離脱した理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・SBIグループが主導し、3メガバンクを含む最大61行の邦銀が加盟していた「内外為替一元化コンソーシアム」。仮想通貨「リップル」の技術を使い、安価で高速な送金プラットフォームの開発を目指すこの連合に今、異変が起きている。 今年3月末、千葉銀行や伊予銀行(愛媛県)、十六銀行(岐阜県)、武蔵野銀行(埼玉県)、筑波銀行(茨城県)、オリックス銀行など11行が、連合から離脱していたことが分かったのだ。
・3月7日に個人間送金用スマートフォンアプリを発表し、今夏以降の実用化を掲げたばかりの邦銀連合。加盟行たちは、仮想通貨の基盤技術である「ブロックチェーン」を使った送金手段が誕生し、国際送金など高コストで時間もかかる既存のインフラを代替することに期待を寄せていたはずだ。いったい何が起こっているのか。
・「加盟していても会費だけ取られて実入りがなく、意味がないから離脱を決めた」 関東地方のある地方銀行幹部は、そう吐露する。低金利環境で業界全体が業績悪化に陥る中、4月に会費が月額30万円から60万円に倍増したという。 一方、連合に残った別の第二地銀幹部も「再加盟には入会金1000万円が必要だから継続を決めた」と、連合には不満たらたら。 だが、最大の問題は別にある。「仮想通貨は価格変動が大きく、銀行送金に使われては困る」と両幹部は口をそろえた。
▽勘違いだと訴えるSBI
・この指摘をSBIは「誤解だ」と訴える。どういうことか。 例えば、国際送金で円からドルに交換する際に仮想通貨を用いる場合、通常は円からリップルに交換し、それをドルに交換するというふうに、間に仮想通貨をかませることになる。 確かに、この連合もそうした送金手段の開発を進めているが、「実現するとしても遠い未来」(SBI関係者)の話だという。
・実際、前出のスマホアプリなど実用化が進んでいるものは違う。二つの銀行口座間で資金を移動し、ブロックチェーンを使って記帳することで高速送金する仕組みであり、「仮想通貨をかまさず送金できる」(SBI幹部)からだ。 同幹部は、多くの地銀による“勘違い”だと主張する。背景には「銀行の既存の送金インフラを担うITベンダーが、誤った情報を吹き込んでいる」とぶちまける。
・ただし、仮想通貨をかまさず、口座間の資金移動で送金する手段は口座の維持費用が掛かる。それ故、「北尾(吉孝SBIホールディングス社長)はリップルをかませる手段を推している」(前出のSBI関係者)のも事実だ。となれば、そうした将来を見据えて地銀が離脱した可能性も否めない。 乱高下する仮想通貨の価格と同じように、邦銀連合も混乱に陥っている。
http://diamond.jp/articles/-/168184

次に、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏が4月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「三菱UFJ銀の仮想通貨を待つ「価格安定」のハードルは非常に高い」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・三菱UFJ銀行が仮想通貨MUFGコインの発行を計画している。 先週には現実店舗での実証実験も始まり、実現に一歩近づいたとされる。 しかし、その実現のためには、高いハードルがある。 それは価格の安定化だ。これによって投機を排除でき、決済に便利になるとされるのだが、安定化は、三菱UFJ銀行の強大な資本力によっても容易でない。 銀行の資産構成を大きく変え、収益性を引き下げてしまう危険がある。
▽価格安定化が鍵に 取引所設置し水準を維持する構想
・昨年から約1500人の社員がMUFGコインの実証実験に参加して、飲み会の割り勘など、同僚の間での支払いに使われていたが、実証実験では、本部ビル内にあるコンビニエンスストアでの買い物の支払いの際に利用できるように、さらに一般の人の利用に向けて前進したわけだ。
・MUFGコインがビットコインと違うのは、1MUFGコインがほぼ1円と価値が固定されることだ。そのため、値上がり益を狙った投資目的で購入されることはなく、決済の手段として、ビットコインなどより使いやすいとされている。 問題は、この価格コントロールをどのような方法で行なうかだ。
・これまではそれがはっきりしなかったが、今年の1月にMUFGグループが仮想通貨取引所を設立する方針を決定したことで、方向性が分かった。 毎日新聞の報道によれば、取引所は2018年度中の登録・設立を目指しており、ここでの売買を通じて1MUFGコイン≒1円という水準を維持する。
・なお、毎日新聞の報道によると、1コイン=1円と完全に固定しない理由は、つぎのとおりだ。 価格を完全に固定してしまうと、法的には仮想通貨ではなく「電子マネー」の扱いになる。すると、100万円超の送金が制限されてしまう。これでは、個人の高額送金や企業間での送金には使えない。 このため、完全固定ではなく、価格安定を目指すとしているのだ(仮想通貨なら、100万円超の送金も可能)。
▽取引のルールをどう設定するか? 銀行は流動資産持つ必要
・MUFGグループの取引所でどのようなルールでコインの売買を行なうのかは、まだ公表されていないが、つぎの点が課題となる。 第1は、スプレッド(売値と買値の幅)をどうするかだ。 銀行やFX業者が行なっている外国為替の売買や、仮想通貨の取引所での仮想通貨の売買では、、スプレッドが設定されている。  MUFGコインの場合も、同様にスプレッドを設定することが考えられる。
・例えば、「銀行がコインを売る場合(利用者が買う場合)には1コイン=1.01円で売り、銀行がコインを買う場合(利用者が売る)場合には1コイン=0.99円で買う」というようにする。 この差が銀行の手数料になる。ただし、この幅をあまりに大きく設定すれば、利用者が少なくなるだろう。 だから、スプレッドはゼロ近くに設定されるのではないだろうか。 そこで、以下ではスプレッドはゼロという仮定で議論する。
・第2の問題は、コインの買い注文や売り注文が変動した場合に、どのように対応するかだ。 ここでは仮に、コイン価格の変動幅は、上限が1コイン=1.05円、下限が1コイン=0.95円に設定されているとしよう。 いま、顧客の買い注文が増加したとしよう。取引所は、売りの指値を引き上げると同時に新規コインの発行を増加させ、価格の上昇を抑えようとする。 これは比較的容易に行なえるだろう。価格が上限値近くまで上昇した場合には、コインの発行量を大幅に増やすことによって、上限値を守ることができるだろう。
・問題は、コインの売却注文が増加した場合だ。 この場合には、買いの指値を引き下げるとともに、コインを買い取って現金(あるいは預金)に転換する。それによって価格の下落を抑えようとする。 顧客の売り注文が多いときに価格の下限を守るためには、いくらでも取引所が買い取る必要がある。
・その際、三菱UFJ銀行の預金にすればよいとは限らない。顧客は、現金や他行の預金、他行発行のコイン、あるいは投資信託などの他の金融資産への転換を望むかもしれない。 そうした要求に応えるためには、三菱UFJ銀行が流動資産を持っている必要がある。
▽仮想通貨「Zen」の価格安定化実験 発行額と同額の準備金を保有
・日本円との価格を安定化させる仮想通貨のプロジェクトは、MUFGコイン以外にすでに存在する。 それは、ブロックチェーン推進協会(BCCC)が発行する仮想通貨「Zen」だ。 2017年7~11月に行なわれた実証実験の第1フェーズで、発行者であるBCCCが1Zenを1円で買い取ることによって、Zenの価格を安定化する実験を行なった。
・取引所に常に大量の買い注文を入れておくことによって、1~1.1円の間で安定したとされる(「仮想通貨Zenの第1フェーズ結果について」参照)。 この方式を取る場合、コインの売り注文があったときに直ちにこれを買い取り、現金を渡す必要がある。だから、理論的には発行額と同額の流動資産を準備として保有している必要がある。Zenの場合には、実際に発行量全額の準備金を保有した。
▽「準備率」をどう設定するか 銀行の信用創造や収益に影響
・MUFGコインの場合も、原理的には同じだ。大量の売り注文があり得るので、それに応じる必要がある。 このため、発行されたコイン残高の一定率の資産を、即座に現金化できる形で保有する必要がある。流動性が最も高いのは、日本銀行に預ける当座預金だ。 だから、預金の場合の準備率と同じものを、コインについても決める必要がある。
・預金の場合には、過去の経験から、払い戻し要求が一時に集中することはまずない。このため、支払い準備率(預金準備率)は、預金の種類などによって異なるが、0.05~2%程度という低い水準に決められている。 だから、預金を貸し付けに回すことができる。銀行の信用創造とは、このことだ。
・コインについての準備率をどのようにするかは、これから決定されるべき極めて重要な問題だ。 過去のデータがないので、日本銀行による緊急融資制度などと絡めて、手探りで決めざるを得ないだろう。 預金準備率と同じ率でよいのかどうかは、疑問だ。たぶん、これより高い値に設定する必要があるだろう。 理論的には100%準備もあり得る。なぜなら、コイン全額が一時に売られる事態は、現実的ではないとしても、あり得ることだからだ。
・準備に積んだ日銀当座預金は法定準備金だから、マイナス金利が課されることはないだろう。しかし、ゼロ金利であっても、銀行にとって大きな収益減少要因になる。 100%準備でなくとも、銀行が流動資産を増やさざるを得なくなれば、銀行の資産構成は変わり、収益などにも影響がでるだろう。 コインの発行量が少ないうちは大きな問題とはならないが、広く使われるようになって現在の預金残高のほとんどがコインに変わるような事態になれば、銀行の資産構成に大きな影響が及ぶ。
・一般に、流動性の高い資産は収益率が低い。したがって銀行の収益は悪化する。 このように、MUFGコインは、Zenの場合にはなかった大きな問題を引き起こすことになる。 1930年代に、シカゴ大学の学者などによって「シカゴプラン」が提案された。これは、預金準備率を100%に引き上げ、銀行が信用創造をできないようにするものだ。 現在でも、これと似た内容の「ナローバンキング構想」が存在する。
・銀行が発行する仮想通貨に対して高い準備率が設定され、預金が減って、準備率の高いコインが増えていくと、銀行は信用創造が難しくなり、ナローバンク(決済業務に特化した銀行)に近づいていくわけだ。 なお、以上の問題は、プリペイド型の電子マネーでは発生しない。電子マネーは、預金引き落としの機能しかもたないから、銀行が準備を持つ必要はない。
▽価格変動幅を広げれば、流動資産保有の必要度は減る
・以上の問題に対処する方法は、価格変動幅を広げることだ。 ビットコインは供給スケジュールが固定されているので、需要の変動に対して価格のみで対処する。このため、価格変動が大きくなる。 それに対して、MUFGコインは供給を調整できるので、変動許容範囲を広げても、実際の変動幅はビットコインより小さく抑えられるだろう。
・一般的に、手段は多く持っているほうがよい。これまで述べた方法だと、MUFGコインは主として量で対応しようとしている。そのため、売りが増えたときに備えて、上記のような措置が必要となるのだ。 価格の変動許容範囲を拡げることによって価格でも対応できるようにすれば、流動性準備の必要度は減る。 変動幅を狭く設定するのは、値上がり益を狙う投資目的購入を排除するためだと言われる。預金の場合には価格が完全に固定されているので、確かにこうした取引は排除できる。しかし、コインは、わずかとはいえ価格が変動するので、投資目的の購入があり得る(安いときに買って、高いときに売る)。
・こうした取引は銀行に損失を与える。 これを抑制するためにスプレッドを拡大することが考えられるが、そうすると利用者が減ってしまう。 結局のところ、MUFGコインについて現在考えられている方式は、銀行の資産構成や収益性が影響を受ける固定制と、投資目的の購入を排除しにくい変動制の、悪い側面を両方持つ方式とも言うことができるのだ。
・なお、価格変動を認めることは、銀行による自己努力を促すという意味でも望ましい。 なぜなら、価格下落を引き起こさないように、銀行が利便性を高めようと加盟店舗を増やす等の努力をするからだ。
▽実現すれば大きなメリット
・以上で指摘した問題をクリアして、MUFGコインの使用が始まれば、日本経済に大きな変革をもたらすだろう。 電子マネーでなく仮想通貨だから、転々流通する。電子マネーのようにいちいちチャージする必要がない。 最も期待される機能は、インターネットを通じて安い手数料で送金できることだ。 銀行にとってもメリットがある。多額のコストがかかる現金決済を減らしてキャッシュレス化を進めることで、コスト削減を図れるだろう。
・なお、MUFGコインは、当面は国内利用限定となるだろう。ただし、仮想通貨リップルを利用して三菱UFJ銀行から海外送金する方針が、2017年9月に発表されている。 MUFGコインが発行されれば、リップルのシステムとの接続が行なわれることとなるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/168675 

第一の記事で、 3月7日付けの『内外為替一元化コンソーシアムにおけるスマートフォン向け送金アプリ
「Money Tap(マネータップ)」提供に関するお知らせ』、の発表資料には、全ての銀行名が記載されていた。
http://www.sbigroup.co.jp/news/2018/0307_11012.html
ただ、このあと、 『11行が、連合から離脱していた』、ようだ。 『勘違いだと訴えるSBI』、と真相は必ずしも明らかではない。ただ、発表資料によれば、 『本コンソーシアム参加行のうち、住信SBIネット銀行、スルガ銀行、りそな銀行の3行は、先行商用化行として、詳細運用についての集中協議を2017年10月より開始しておりますが、4月以降に試験運用を開始し、夏以降の一般公開を目指します』、とあるので、コンソーシアムそのものは、全体としては、順調に進んでいるのだろう。
第二の記事で、 『1コイン=1円と完全に固定しない理由は、つぎのとおりだ。 価格を完全に固定してしまうと、法的には仮想通貨ではなく「電子マネー」の扱いになる。すると、100万円超の送金が制限されてしまう。これでは、個人の高額送金や企業間での送金には使えない。 このため、完全固定ではなく、価格安定を目指すとしているのだ』、というので、価格を完全に固定しない理由が理解できた。ただ、 『「準備率」をどう設定するか 銀行の信用創造や収益に影響』、 『価格変動幅を広げれば、流動資産保有の必要度は減る』、などは、確かに難しい問題だ。MUFGコイン構想が打ち出された2016初頭から、ずいぶん時間が経ったが、どうもまで実験段階に止まっているようだ。
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