SSブログ

教育(その14)(虐待・貧困・発達障害…全てを抱えた子が「みんなの学校」で得たもの、結局「小学校でアルマーニ」のどこに問題があったのか、驚きの“ブラック校則” マフラー禁止 下着の色まで指定、職員会で吊るし上げ 羞恥刑…教職のブラック化が学校を荒ませる) [社会]

教育については、1月28日に取上げた。今日は、(その14)(虐待・貧困・発達障害…全てを抱えた子が「みんなの学校」で得たもの、結局「小学校でアルマーニ」のどこに問題があったのか、驚きの“ブラック校則” マフラー禁止 下着の色まで指定、職員会で吊るし上げ 羞恥刑…教職のブラック化が学校を荒ませる)である。

先ずは、大空小学校初代校長の木村 泰子氏が2月10日付け現代ビジネスに寄稿した「虐待・貧困・発達障害…全てを抱えた子が「みんなの学校」で得たもの 「アルマーニ」とは真逆の公立学校で」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「みんなの学校」と呼ばれている公立小学校がある。大阪府住吉区に2006年開校された大空小学校だ。「すべての子どもが安心して学んでいる奇跡の学校」として注目を集めた。2013年にはドキュメンタリー番組として放送され、文化庁芸術祭大賞をはじめとした多くの賞を受賞。そして、2015年に劇場版『みんなの学校』として全国の映画館で公開となった。
・この映画では、いわゆる「特別支援学級」や「特別支援校」に通っていた子どもたちが、普通にほかの子どもたちと同じ教室で学び、ともに成長していく様子がとらえられており、今でも日本全国で上映会が行われている。映画をベースにした書籍『「みんなの学校」が教えてくれたこと』も刊行されている。
・ちなみに大空小学校は、全国学力調査の平均点が、日本で必ず成績上位3位に入る秋田県を上回ったこともある。それだけ幸せに学べる学校を卒業したら、その子たちはどうなるのだろうか? 開校から9年間校長をつとめた木村泰子さんが、レイ(仮名)という男の子の「その後」を語ってくれた。
▽校則のない学校
・大空小学校は、2006年の開校から、校則はつくっていません。 例えば、学校によくある決まりごとに「学習に必要な物以外のものは持ってきてはいけません」というものがあります。 実はそういうことは、子どもたちは言われなくてもわかっています。
・それなのに、この決まりごとがあると、例えばカードゲームを学校に持ってきた子に対して、なんでこんなもの持ってきたの? 授業が面白くないの? 学校楽しくないの? 友達と何かあったの? といった「その子の心を探る問いかけ」は出てきません。 決まりがあるがゆえに「学校で決まってるやろ。持ってきたらあかんやろ!」と、その「決まりを破ったという現象」のみを教師は言及しがちです。そうなると、見なくてはいけないのものが、見えなくなる。 ですから、大空では「校則」をつくらなかったのです。
・その代わりとして、「たった一つの約束」をつくりました。それは「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」です。大空では、子どもも大人も、この約束を徹底して守ります。どんな大事な授業をしていても、この約束が守れなかったときは、やり直しの部屋(校長室)に「やり直し」に来ます。 「この約束があるのなら、自分もこの学校なら行けるかもしれない」と思って入学・転校してきた子もいるのです。
▽「しんどい」をすべて抱えた男の子
・私は開校から9年間、大空小学校の校長をしてきました。 その9年間でこの子くらいしんどい子はいないなといえるのが、レイです。虐待、貧困、障害、「こういうことがあったら子どもは大変だな」と思われるようなことを、ひとりで全部受けていた子です。 彼が開校2年目で入学してきたとき、「あの子がいるなら大空はやめとこう」と保護者が大空に入れるのを躊躇している――そんなこと噂が立てられるような存在でした。
・レイには両親がいましたが、彼ら自身、苦労して育った人たちでした。1週間姿を見ないこともありました。食べ物がきちんと用意されているわけではありません。洗濯をしてくれているわけでもありません。家庭訪問に行った教職員によると、家の中は決して衛生的に保たれていませんでした。
・夏になると、彼の体からはえも言われぬにおいが漂います。登校したレイが靴箱の前で上履きに履き替える時も、臭くてみながその場から逃げ出すほどでした。 しかし「それぞれの事情があるので我慢しましょう」といったきれいごとで、子どもたちの関係は決して成り立ちません。
・私は子どもに言いました。 「臭いのは事実。なぜ臭いのかを知ろうや。だいたい、なんで臭いの我慢するの? 臭かったら、臭いってレイに直接言いや。言うのを我慢してレイのそばから離れるのは、おかしいやろ?」 レイとその周りの子どもたち、教職員は、何度もこのことについて考え、話し合いました。
・4年生のときに子どもたちと話し合っていたとき、ひとりの子がレイに向かって言いました。 「おまえな、水でいいから、学校来てから頭洗えや」 翌日から、登校するとシャンプーと石けんを抱えて手洗い場に行き、頭を洗い、足の裏を洗い、顔も洗って教室に行くようになりました。暖かい季節だけでしたが、それ以来、子どもたちの訴えはなくなりました。そうやってレイは大空に、自分の居場所を見つけたのでした。
・どんな家庭に育った子でも、パブリックでは平等に学べるようにしなければなりません。何一つ肩身の狭い思いをしないで学び、社会で役に立つことができるように導く。それが学校の役割でもあり、レイはそんな可能性を持っている子でした。また、そういう子と一緒に学ぶことで、確実に周囲の子も大変多くのことを学んでいくのです。
▽『みんなの学校』は地域で作られている
・大空には、子どもと教職員、サポーターと呼んでいる保護者とともに、学校をつくっていく大人がほかにもいます。学校の外からやってきて、学校を力強く支えてくれる地域の人です。地域の人は毎日のように学校へきて、さまざまな形で子どもたちとふれあいます。また、「大空パトレンジャー」といって、子どもたちの登校する様子を見守ってくれます。
・学校の中を支えているのは、管理作業員です。彼らは子どもたちを毎朝校門で出迎えているためか、子どもたちが何気なく発した言葉で家庭状況などの異変を敏感に感じ取ります。また、遅刻なのか、欠席なのか、朝連絡の取れない子の家に自転車を飛ばして様子を見に行くこともあります。
・レイは、この管理作業員とパトレンジャーの人々に温かく育んでもらいました。朝学校に行けないでいると、管理作業員が自転車で様子を見に行きます。集団登校に間に合わず遅刻してしまえば、自宅近くでパトレンジャーの方が待っていて学校まで付き添ってくれます。
・私たちは、レイの在学中から、大空を卒業した後のことが気になっていました。6年間一緒にすごした大空の仲間がいるとはいえ、レイの事情を中学の先生方にもわかっていただく必要があります。地域の中学校と密に連絡をとり、中学進学の準備もしていました。
・ところが、家庭の事情で本当に突然引っ越すこととなり、彼は地域外の中学に行くことになったのです。レイは、地域の愛に支えられて小学校に6年間通っていたので、まったく知らない中学だと行かなくなってしまうのではと不安に思っていました。 それでも「当たり」だったのです。中学進学後、レイはこう報告してくれました。 「担任の先生、めっちゃいい人やねん。若くてサッカーの顧問してるんやけど、『お前のことは俺が何があっても守ったる、安心して来い』って言ってくれたん」 よかった、少なくとも1年レイは学校に行ける、と思った6月のある日のことでした。 レイが学校に行かなくなったのです。
▽「見えないところを見る」教育
・行かなくなった理由は、生活指導の教師に体罰を受けたことでした。中学には校則があります。体育館に全員集められて集団行動を学びます。そこに生活指導の先生が入ってきて、レイに「お前は校則違反の靴下を履いている」と言いました。校則は白なので、レイが白くない靴下を履いていると注意したのです。 それでもレイは「白です」と答えました。先生は「なんでこれが白やねん、嘘つくな!」と怒ったそうです。しかし白なのです。白だけど、親が洗濯をしない。洗濯機がないのです。大空でも、ひとつかふたつしかない靴下を、「明日は洗いや」と言われながら水で洗い、生乾きで履いてきていました。だからグレーだったりまだら模様だったりするのです。
・でも元は「白」です。地毛なのに「なんで染めてくるんや!」というのと同じです。生活指導の先生は「嘘つくな!」と怒り、体操服の首根っこを引きずり出そうとしました。レイは靴を脱いだらすごい臭いもするであろうこともわかっている。思春期ですし、みなの前で靴を脱ぎたくない。先生は引きずり出そうとする。そうしているうちに首が締まり、息がつまって倒れてしまいました。 こうしてレイは中学に行けなくなりました。 その後、レイは別の中学に転校して、施設にもお世話になりながら中学3年生まで学びました。私はその間一度も会っていませんでした。
▽中学に行けなくなった本当の理由
・レイが中学3年生になったとき、私は大空を退職しました。レイが私に会いたがっていると聞き、久しぶりにレイに会いに行きました。 ものすごく大きくなっていました。「あんた大きくなったなあ!」と言いましたら、彼はこう答えました。 「そら、1日3回ご飯食べれてる」
・そのあとレイは私に足の裏を見せました。「あれ、臭ないな」と言いましたら、 「毎晩お風呂入っとる」 と答えました。 お風呂に入れているから臭くない。入れないから臭い。それが分かっていれば、子どもは排除しません。先にお伝えしたように、「学校で足洗え」と子どもたちも言えるのです。むしろ、「臭いから洗いや」と平気で言える環境であることが大切なのです。
・しかしレイが足の裏を見せた理由は、臭いをかいでもらうためではありませんでした。「ちゃう、かかと見て」というので見てみると、足のかかとにひどいケロイドができていたのです。中学で体罰を受けたときのものでした。かかとにケロイドができるほどの力で、引きずられていたのです。
・レイは生活指導の先生に首を絞められたいきさつも改めて話してくれました。そしてこう言いました。「おれは次の日から学校に行ったらアカンと思って、学校には行かないことにした、そうやって出した答えが正しかったのか間違っているのか、ずっと考えているけどわからん。先生どう思う? 先生の考えを聞きたかった」
・行かなくなった理由を聞かないと私の考えも言えません。 レイは生活指導の先生にひっぱられた時に担任の先生がいたことも教えてくれました。担任の先生はレイの味方で、靴下が本当は白いことも知っています。だから先生が「校則違反ではありません」と言って守ってくれるのかと思ったのだそうです。しかしそのまま気を失ってしまい、起きたら保健の先生しかいなかったと。その翌日から「学校に行ったらあかん」と思ったのだというのです。
・「レイ、あんたそんなヘタレか? 担任の先生に守ってもらえなかったくらいで!」 思わず私はそう言いました。ところが戻ってきた返事は、とても意外なものでした。 「ちゃうねん。担任な、生活指導の先生から俺を守りたかったに違いない。ただな、担任、若いねん。生活指導の先生、年いったえら~い先生やねん。若い先生が年いった先生に『やめたって』って言えなかったんや。でも次の日俺が行ったら、担任は守りたかった俺を守れなかったって、苦しいやろ? だから俺は行ったらあかん、と思って行かんかった」
▽「信じられる人はいますか?」
・レイから学んだのはかけがえのないことです。 親がいつも側にいなくても、勉強ができなくても、貧しくても、発達障害というレッテルを貼られても、一人の子が安心して学べる居場所がある、ただこれだけで、この子は安心して自分が育つという事実を作ったのです。ですから中学で体罰を受けても、「担任の先生が苦しくなるから行くのを止めよう」と考えられるのです。
・大阪には、基礎的な学習を学び直すことのできる高校があります。レイはその公立高校に合格しました。今では、自転車で高校に通い、毎日高校から大空に戻って来て、大空小学校でボランティアをしています。 もちろん私はいません。今の大空は校長が変わり、教頭が変わり、職員の3分の2が変わっています。それでも理念はひとつですから、たとえぶれることがあっても戻るのです。レイはその職員室にひとりのボランティアとして加わっているのです。
・虐待を受けるような問題にさらされたことのある子どもたちにとっては「酷」ともいえる、あるアンケートがあります。大人に裏切られたことのある子どもたちに、「あなたはこれまで生きてきた中で信じられる人がいましたか」と問うのです。そのアンケートではほとんどの子が「いない」と書くそうです。
・しかし、レイは「います」と答えていました。 「それは誰ですか?」とアンケートはさらに問います。レイは何と書いたでしょうか。「大空の先生」?「校長先生」? いえ、違います。 レイは、「大空の人たち」と書いたのです。「人たち」というのは、レイの周りにいつもいた、「大空をつくっている大人たち」なのです。先生はたった一握りです。
・レイは、ぶれそうになった私の心を何度も揺り戻してくれます。 教育の原点は、ここを外して未来はないということの、確信をもたせてくれるのです。 今、レイには夢が二つあるそうです。一つは困った子どもを支える施設で働く人になりたいというもの、もう一つは大空の地域で暮らしたいというものです。
・大空小学校は、「当たり前の教育」をしています。そんな「当たり前の教育」の中で、すべての子どもたちが地域の学校に居場所を作り、自分から自分らしく「未来の自分」を誇らしく感じられるような学びができることを、私は心から願っています。
▽▽映画『みんなの学校』
・「不登校も特別支援学級もない、同じ教室で一緒に学ぶふつうの公立小学校のみんなが笑顔になる挑戦」。テレビドキュメンタリーを作成したチームが、2012年からの一年を追い続け、作成した映画。通常ならば撮影カメラが入ると子どもたちはそこに近づいてくることが多いが、大空で撮影カメラを回しても、生徒たちはまったく動じることはなく、勉強に集中して普段の生活をしていたという。上映会を個別に依頼することも可能だ。(詳しくは映画公式HPをご覧ください)
▽▽木村 泰子著『「みんなの学校」が教えてくれたこと』
・映画『みんなの学校』のドキュメンタリー内容をベースに、木村さんがどうやって「当たり前の教育」をするようになったのかも綴られている。教育実習生のときの一人の先生との出会いをきっかけとして自身が子どもたちと触れ合いながら探り、身につけていった、大空小学校の前から実践してきた教育の姿勢は必読。「学び」とはこういうことなのかという本質を教えてくれる一冊だ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54397

次に、能力開発コンサルティングのモチベーションファクター株式会社代表取締役の山口 博氏が2月20日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「結局「小学校でアルマーニ」のどこに問題があったのか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・銀座の泰明小学校が、こともあろうに高級ブランド「アルマーニ」を標準服にするという。銀座の街のブランドと泰明ブランドを一体化する目的のようだが、私には「アルマーニ」がブランディングに役立つとは全く思えない。
▽「イヤなら他校へ行け」ということか 公立小学校らしからぬ決定
・銀座1丁目から8丁目を通学区とする東京都中央区立泰明小学校が、4月新入学児童から高級ブランド「アルマーニ」製の標準服を採用することが物議をかもしている。 サイズや組み合わせにもよるが、価格は一式8万円にのぼり、現行の倍額になるという。子ども服なので、1回購入して終わりではない。成長に合わせて買い替える必要が出てくるので、家計の負担は甚大だろう。
・「標準服」という分かりにくい名称が付いているが、現在は全児童が着用しているようなので、実質的な強制力のある制服と考えていい。今春入学する児童を持つ学区内の保護者が、予期せぬ高額な出費を強いられることに直面して、戸惑う気持ちが痛いほどわかる。
・決定の経緯も奇妙だ。同校の和田利次校長が独断で決定し、保護者への当初の説明会では価格の案内はなかったと報道されている。保護者からすれば青天の霹靂のような決定だっただろうが、和田校長は「見直すつもりはない」と言っている。和田校長にそうした意図はないのかもしれないが、「従えないなら、他校へ行ってください」と言い放っているようなものだ。
・これが私学で起きたことで、「嫌なら他の学校へご入学ください」「ご不満であれば公立学校へご入学ください」と言われたとすれば、そうするしかない。学区内の公立小学校へ入学する選択肢は保護者側にある。しかし、泰明小学校は、れっきとした公立小学校だ。公立小学校としてあるまじきトンデモな事態だと言わざるを得ない。
▽高級ブランドを着用したからといって言動が変わるわけではない
・「アルマーニ」を採用した理由として、和田校長名の保護者宛ての文書から私が読み取れることは、次のとおりだ。 +帰属意識や誇り、美しさを保つ +言動や公共の場でのマナーの自覚を高める +「ビジュアルアイデンティティー」を「スクールアイデンティティー」に昇華していく +銀座の街のブランドと泰明ブランドを合わせ、銀座にある学校らしくなる
・中身を変えるには、まず外側からということだろうか。しかし、20年来、現在では年間100社、3000人のビジネスパーソンや学生を相手に能力開発プログラムを実施している私には、「アルマーニ」を採用したからといって、これらの目的が果たされるとは到底思えない。
・「アルマーニ」の標準服は、ある層には美しさを訴求するかもしれないが、それで帰属意識が高まるのか。保護者に多額の出費を強いて買わせた標準服が、自己の誇りにつながるのか。ノーブランドだろうが、なけなしの出費に支えられた着古した洋服だろうが、自己の誇りは、そのような外面に左右されない、内面にこそあるのではないか。
・ビジネスパーソンであれば、高級スーツを着た上司や客先が、見るに堪えない言動やマナーを見せる現場に直面したことが何度もあるだろう。私自身もその1人で、だからこそ行動変革プログラムを実施してきた。人間の変革にはやはり、中身を変えることが必須なのだ。
・「アルマーニ」だろうが「エルメス」だろうが、どんな高価なブランドものを持ったところで、言動やマナーの自覚が高まるとは思えない。言動やマナーを変えていくためには、行動をパーツ化し、それぞれを反復演習していくことに尽きるということが、私が経験的に導き出した鉄則だ。 制服が結束を高める効果は確かにあるが、銀座の街のブランドと泰明ブランドの融合になぜ「アルマーニ」の標準服が不可欠なのか、私には理解できない。
▽「アルマーニ」の標準服で泥にまみれて掃除できるか?
・「アルマーニ」の標準服を児童に着させて泰明ブランドを築くということは、保護者に多額のコストを負担させて学校がブランディングをしているようなものだ。多額の広告宣伝費をかけてブランディングをしている企業は確かに多々あるが、最近ではそうした広告よりも、一般消費者の口コミの方がよほど信用できると考える人が増えた。
・経済誌の記事の中に巧妙に紛れ込んで小さく表示されている「広告」「PR」「企画」と書かれた企業の広告記事は、たいてい読み飛ばされる。カネをかけて広告宣伝をしたからといって、成果が出るとは限らないのだ。何も多額の投資をしなくても、保護者に多額の負担をさせなくても、ブランディングできることは山ほどある。
・そもそも小学校なのだから、本業である学業レベルの高さや、学芸やスポーツのコンクール参加などでブランディングするということもできる。同じ中央区にオフィスを持つ私から見れば、泰明小学校周辺を掃除したり、ボランティア活動をしたりすることも立派なブランディングだ。機会は身近なところにたくさん転がっていると思えてならない。
・「アルマーニ」の標準服を着た児童とすれ違っても、私はそこにブランディングを感じないだろう。保護者に負担を強いているだろうことを思い複雑な心境になりこそすれ、街と一体化しているとは思えない。むしろ、着衣はさまざまだろうが、児童らしく学業や学芸に励んだり、汗水を流して学校周辺の掃除をしている姿に、街と一体化した思いが湧き上がるに違いない。
・どうしても銀座の街との一体化を目指した標準服を、銀座に店舗を構えているブランドから選びたいというのであれば、「ユニクロ」がぴったりではないだろうか。「アルマーニ」を着たことがないひがみでもなく、休日はユニクロで過ごしているから言うわけではないが、「アルマーニ」の標準服で、泥にまみれて本気で掃除している児童の姿がどうしても思い浮かばないのだ。
http://diamond.jp/articles/-/160511

第三に、3月8日付けTBSNEWS「驚きの“ブラック校則”、マフラー禁止 下着の色まで指定」を紹介しよう。
・どんなに寒くてもマフラーの使用を禁止するなど、理不尽ともいえる、いわゆる「ブラック校則」がいろいろあるそうです。校則に関するアンケート調査で次々と明らかになりました。 「体育の時だけなんですけど、 リップが赤すぎるとダメ」(女性) 「眉毛そりです」  Q.一切、眉毛をさわってはいけない?  「そうです、そうです。私、眉毛めっちゃ濃かったんですけど、ちょっと切っただけでばれて」(女性) 
・生徒に対し理不尽なルールを押しつける、いわゆる「ブラック校則」。これまでも、SNSなどで疑問の声が上がっていましたが、数多くの事例があることが、8日、明らかになりました。 「眉毛をそってはいけない。寒さに備えるマフラーとかタイツとか、独自の対策をしてはいけないという項目が、むしろ近年になって増えているということが分かった。恋愛禁止はどの時代においても 一定数あるという状況。スカートの長さに関しては中学も高校も同様に厳しいという状況も分かる」(評論家 荻上チキさん) 
・会見したのは、評論家の荻上チキさんらが去年立ち上げた「“ブラック校則”をなくそう!プロジェクト」。全国の中高生の保護者など4000人を調査した結果、下着の色の指定や、コートやマフラーの使用禁止、恋愛禁止といった校則も確認されたということです。
・このプロジェクトのきっかけとなったのは、髪の色に関する校則を巡る裁判でした。 「黒く染め続けるか、学校を辞めるか選べ」 大阪の府立高校3年の女子生徒は、地毛が茶色なのに、学校側から黒く染めるよう繰り返し指導され、「精神的苦痛を受けた」として大阪府を相手取り、訴えを起こしました。これに対し大阪府は「女子生徒の地毛は黒だと複数の教師が髪の根元を見て確認している」などと反論しています。
・髪の色については、いわゆる“地毛証明書”の提出を求めている学校もあります。 「本生徒の頭髪の色に関しては、生まれつきのものであり、染髪したものではない」。これは、ある高校で使われていた“地毛申請書”。保護者が学校側に届け出をし、生徒指導の担当が承認する形になっています。  大阪の府立高校では、およそ2割が、こうした“地毛証明書”などの提出を求めていることが明らかになっています。
・「茶髪だからといって、勉強に支障が出ることはないと思うのに、わざわざ自分の個性とか生まれつきの髪を、ねじ曲げて変えないといけないのはおかしい」(女性) 「先生に文句を言われるから、 聞かれるのとか面倒くさいから地毛証明書はありかな」(男性) 
・こうした髪の色に関する校則について、8日に会見したプロジェクトは・・・  「生まれつきの髪の毛の色が茶色の人に絞ると、中学時代で1割、高校時代で2割の人が黒染めの指導を経験しています」(評論家 荻上チキさん) 
・プロジェクトは、こうした校則が増える背景について、「教員の多忙化によって、一括管理が進んでいることが考えられる」などと指摘しています。現在、“ブラック校則”の改善を求める署名を集めていて、今後、林文部科学大臣に提出する方針です。
(リンク先は現在は残ってない)

第四に、4月12日付けダイヤモンド・オンライン「職員会で吊るし上げ、羞恥刑…教職のブラック化が学校を荒ませる」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・学校教育のブラックぶりがクローズアップされている。しかし、これを「質の悪い教員が増えている」と考えるのは、少し短絡的だ。カウンセリングサービス所属の心理カウンセラー・近藤あきとし氏に、教育現場に蔓延するブラックの真相を聞いた。(清談社 岡田光雄)
▽経済の長期低迷により日本全体がブラック化
・東京都中央区立泰明小学校がアルマーニの高級服を標準服に導入した問題や、大阪府立高校が、茶色い地毛の女子生徒に対して黒染めを強要した問題など、「ブラック校則」が話題となっている。 近年はいたるところで、このように頭に“ブラック”が付く言葉を聞くようになった。「ブラック」+「企業、社員、バイト、校則、教師、部活」など枚挙にいとまがない。
・これらのブラックシリーズには、“理不尽の強要”という共通性がある。 「今や日本そのものが“ブラック化”しており、人々は何らかの理不尽を強いられて不安を抱いているようです。ほとんどの人は心に余裕がなく、自分が攻撃されないために責任を押し付けたり、犯人探しに注力している状況にも見えます。ブラック企業でよくある“吊るし上げ会議”や、芸能人の不倫叩き、度重なるCM炎上なども、その一連の現象かもしれませんね」(近藤氏、以下同)
・近藤氏は、「これらの連鎖が始まった主な発端は、日本経済の低迷にあるのではないか」と考えている。1991年のバブル崩壊以降、日本はデフレ不況に陥り企業業績が悪化。派遣切りなども相次ぎ、人々の心に余裕がなくなっていった。経済不安はやがて、人々の生活や教育の場にも浸食していったのだ。
▽多層ブラック構造の教育現場 うつ病にかかる教師が急増
・特に最近、ブラックが問題になるのが教育現場だ。昔から厳しい校則は存在したが、ここ最近になって生徒や保護者、メディアの追求も激しさを増してきた印象だ。 「学校は、保護者やマスコミからの抗議に敏感で、新しいものを取り入れることに臆病になっている傾向にあります。多くの学校は、変化することをリスクと考えており、何十年も前の価値観のまま、茶髪や恋愛禁止などの校則が残っている状況です」
・変化を恐れるがあまりに古臭い校則にしがみつき、逆に「ブラックだ」と抗議されるという悪循環に陥っているのだ。それほどに、今の時代の学校や教師は、常に保護者をはじめ世間から監視カメラを向けられ、怯えているとも言える。少しでも異端な行動をとれば、先のアルマーニ標準服問題のように大炎上する危険性を孕んでいる。
・しかし、世間や保護者の厳しい監視は、学校を良い方向には向かわせていない。学校内にそういった恐怖心が芽生えると、企業と同じように職員会議でも、吊るし上げ会議が開催されるからだ。 「やる気のある若手教師は学年主任に叱責され、学年主任は教頭に、教頭は校長に、校長は親や教育委員会に責められ…と、圧力が多層構造で連鎖しています。その結果、教師は追いつめられていき、心身を病んでしまってカウンセリングに来るケースも珍しくありません」
・文科省によれば、公立学校教員の精神疾患休職者は、1990年度は1017人だったが、2014年度は5045人と、5倍近くに膨れ上がっている。 そして教師だけではなく、やがてそのしわ寄せは生徒にも行ってしまうのだ。
▽無意識のうちに生贄を探すブラックマインドを養成
・「よく特定の生徒に対して、みんなが見ている前で叱責する“羞恥刑”を行う教師がいます。そんな教師も、普段から職員会議や保護者会で吊るし上げられていたり、そうされている同僚を見ている立場なのかもしれません。そうなると、心理的に攻撃する側に回らなければ、自分も同じ目に遭うのではないかと強迫観念に駆られ、無意識的に生徒をスケープゴートにしてしまっているという現実もあるのでしょう」 
・こういった心理状態の教師と接すれば当然、生徒にも悪影響が出てくる。 「教師が特定の生徒に羞恥刑を行った場合、それと同じことを生徒同士もしてしまい、イジメに繋がる危険性もあると思います。そうなると生徒は、いつ羞恥刑をされるかも分からない教師に対して、従順になり“忖度”ばかり覚えてしまう。その結果、上司の理不尽に対して “NO”と言えず、自分が助かるために弱者を貶めるような大人に成長してしまうことも考えられるのです」
・近藤氏によれば、同様のことは過干渉な家庭に育った子どもにも言えるという。 親が何でも先回りして正解を用意してしまう家庭で育った子どもは、すべてにおいて受け身になってしまう。また、頻繁に親からダメ出しをされて育つため、“いい子にしていないと誰からも愛されない”と自己肯定感がどんどん低くなっていくのだ。
▽保護者はクレームではなく教師の待遇改善を訴える
・この悪しき連鎖を断ち切るにはどうしたらいいのだろうか。 近藤氏は現実的な解決策として、まずは保護者が教師の苦しい立場を理解することが大切だという。もちろん言葉の暴力を含め、教師の横暴は許されるものではなく、処分されて然るべしだが、それを糾弾するだけでは根本的な解決にはならない。
・教師という職業自体が非常にブラック化しているという現実に目を向けずに、単に教師を責めるだけでは、さらに重圧がかかるだけ。この悪循環からは、良い教育現場は生まれるべくもない。
・「保護者は、教育委員会に対してクレームを入れるよりも、学校の人材不足の解消や教師の待遇改善を求める声を上げることで、事態を改善する方向へ進めてみてはどうでしょうか。教師が生徒を一律管理する今の教育方針を変え、生徒一人ひとりに注力するには、どうしても人員が必要です。それが解決されれば、教師はストレスから解放されて今以上にパフォーマンスを発揮でき、生徒も健やかに育っていくと、私は思います。そして、学校と保護者が、どうしたら手を取り合い協力することができるのか、を考えてみることが必要かもしれません。その道を模索していくことが、本当の意味で“子どもたちを守る場を創ること”に繋がるのではないでしょうか」
・メディアを通してよく目にする、“学校vs保護者”の対立構造だが、一番被害を被るのは板挟みに遭う生徒だ。そして子どもは着々とブラック社員の素養を身につけていく。このブラック化した社会を息苦しいと感じるなら、まずは未来を担う子どもたちを、理不尽極まりない環境から救い出さなくてはならない。そのためには、教職のブラック化を見直すことが、一番の近道なのだ。
http://diamond.jp/articles/-/166885

第一の記事で、 『大空小学校・・・いわゆる「特別支援学級」や「特別支援校」に通っていた子どもたちが、普通にほかの子どもたちと同じ教室で学び、ともに成長していく・・・全国学力調査の平均点が、日本で必ず成績上位3位に入る秋田県を上回ったこともある』、 『大空小学校は、2006年の開校から、校則はつくっていません・・・その代わりとして、「たった一つの約束」をつくりました。それは「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」です。大空では、子どもも大人も、この約束を徹底して守ります。どんな大事な授業をしていても、この約束が守れなかったときは、やり直しの部屋(校長室)に「やり直し」に来ます』、などは信じられないほど素晴らしいことだ。 『「しんどい」をすべて抱えた男の子』レイがよくぞ不良になったりせず、立派に成長したものだと驚かされた。 『『みんなの学校』は地域で作られている』、こうした仕組みを作り上げた初代校長の木村 泰子氏の苦労については、書かれてないが、さぞや大変だったのではと思われる。映画、本になっているので、大空小学校のような取組みが広がって欲しいものだ。
第二の記事で、 『決定の経緯も奇妙だ。同校の和田利次校長が独断で決定し、保護者への当初の説明会では価格の案内はなかったと報道されている・・・和田校長は「見直すつもりはない」と言っている』、ことの是非は別として、雑音に耳を貸さず、自分の考えを押し通した和田校長の頑固さは、ある意味で大したものだ。ただ、その効果や是非については、筆者の山口氏が主張する通りだ。
第三の記事で、 『生徒に対し理不尽なルールを押しつける、いわゆる「ブラック校則」』、には、改めて驚かされた。 『“地毛証明書”』、を求めるなど笑い話でしかない。「ブラック校則」をいまだに掲げる学校の先生たちも、恥ずかしくないのかと、頭を傾げざるを得ない。
第四の記事で、 『経済の長期低迷により日本全体がブラック化』、というのは言われてみれば、確かにその通りだ。 『多層ブラック構造の教育現場 うつ病にかかる教師が急増』、 『無意識のうちに生贄を探すブラックマインドを養成』、などは本当に深刻だ。ただ、 『教師が生徒を一律管理する今の教育方針を変え、生徒一人ひとりに注力するには、どうしても人員が必要です。それが解決されれば、教師はストレスから解放されて今以上にパフォーマンスを発揮でき、生徒も健やかに育っていくと、私は思います』、というのは、教師にいささか甘過ぎるように思う。現在の教師の仕事をきちんと棚卸して、真に必要なもの以外は止めたり、効率化したりするという業務の抜本的見直しが、まず必要だ。民間企業では、いやでも不況期には必ず、こうした見直しが行われるが、こうした見直しが行われず、次々に新たな仕事が加わっているとすれば、効率化の余地は大きい筈だ。多分、「濡れた雑巾」状態なのではなかろうか?
タグ:「驚きの“ブラック校則”、マフラー禁止 下着の色まで指定」 大空小学校は、全国学力調査の平均点が、日本で必ず成績上位3位に入る秋田県を上回ったこともある ドキュメンタリー番組 大空小学校 「虐待・貧困・発達障害…全てを抱えた子が「みんなの学校」で得たもの 「アルマーニ」とは真逆の公立学校で」 現代ビジネス (その14)(虐待・貧困・発達障害…全てを抱えた子が「みんなの学校」で得たもの、結局「小学校でアルマーニ」のどこに問題があったのか、驚きの“ブラック校則” マフラー禁止 下着の色まで指定、職員会で吊るし上げ 羞恥刑…教職のブラック化が学校を荒ませる) 木村 泰子 教育 「職員会で吊るし上げ、羞恥刑…教職のブラック化が学校を荒ませる」 高級ブランドを着用したからといって言動が変わるわけではない 「アルマーニ」を標準服にするという TBSNEWS 泰明小学校 多層ブラック構造の教育現場 うつ病にかかる教師が急増 校則のない学校 「アルマーニ」の標準服で泥にまみれて掃除できるか? 近藤あきとし みんなの学校 大阪府住吉区 木村 泰子著『「みんなの学校」が教えてくれたこと』 経済の長期低迷により日本全体がブラック化 髪の色に関する校則を巡る裁判 生徒に対し理不尽なルールを押しつける、いわゆる「ブラック校則」。 決定の経緯も奇妙だ。同校の和田利次校長が独断で決定し、保護者への当初の説明会では価格の案内はなかったと報道されている 校則に関するアンケート調査 映画『みんなの学校』 無意識のうちに生贄を探すブラックマインドを養成 「しんどい」をすべて抱えた男の子 ダイヤモンド・オンライン その代わりとして、「たった一つの約束」をつくりました。それは「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」です。大空では、子どもも大人も、この約束を徹底して守ります。どんな大事な授業をしていても、この約束が守れなかったときは、やり直しの部屋(校長室)に「やり直し」に来ます イヤなら他校へ行け」ということか 公立小学校らしからぬ決定 「結局「小学校でアルマーニ」のどこに問題があったのか」 山口 博 『みんなの学校』は地域で作られている 地毛証明書
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。