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日本のスポーツ界(その11)(日大アメフト問題2)(批判の矛先向く日大理事長の“正体” 角界が戦々恐々の理由、日大・田中理事長の「疑惑の真相」を下村元文科相に改めて質す 3年前のことは忘れたのか、日大アメフト部問題と「旧日本軍の組織と論理」の共通点が見えた 軍隊をまねた体育会系部活の不条理) [社会]

日本のスポーツ界については、5月31日に取上げた。今日は、(その11)(日大アメフト問題2)(批判の矛先向く日大理事長の“正体” 角界が戦々恐々の理由、日大・田中理事長の「疑惑の真相」を下村元文科相に改めて質す 3年前のことは忘れたのか、日大アメフト部問題と「旧日本軍の組織と論理」の共通点が見えた 軍隊をまねた体育会系部活の不条理)である。

先ずは、5月31日付け日刊ゲンダイ「批判の矛先向く日大理事長の“正体” 角界が戦々恐々の理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・予想された通りの「厳罰」だった。 29日、都内で臨時理事会を開いた関東学生アメリカンフットボール連盟は、悪質な反則プレーで問題となっている日大アメフト部の内田正人前監督(62)と井上奨前コーチ(30)を罰則規定で最も重く、永久追放に相当する「除名」とする処分を決定。同学連の規律委員会は、反則が内田、井上両氏の指示によるものと認定した。
・これを受け、同部の加藤直人部長は「ご裁定を重く受け止め、真摯に対応させていただきたく存じます」などとする声明を発表したものの、大学側はいまだ、「指導者の指示はなかった」とする見解を変えていない。それどころか、真相究明を委ねるとした第三者委員会の設置すら実現していない状態だ。
・いよいよ批判の矛先が大学、そして、そのトップである田中英寿理事長(71)に向けられているのだが、予算2620億円の日本最大の学校法人を牛耳るそんな理事長の去就に戦々恐々としているのが、大相撲だという。
▽引退力士を日大職員として再雇用
・田中理事長が総監督を務める日大相撲部は、横綱輪島、大関琴光喜をはじめ、全大学中最多の68人もの力士を大相撲に送り込んでいる一大勢力だ。 相撲部屋にとってもだから、頭が上がらないところがある。幕下付け出し、三段目付け出しの資格を得た力士を入門させれば、労せずして関取を育てられる。即戦力力士の供給源である日大相撲部、いや、田中理事長の影響力は、角界においても絶大なものなのだ。
・ある日大OBはこう話す。「プロを目指す部員がどの部屋に入門するかは、すべて田中理事長の一存です。有無を言わさず、『オマエはこの部屋』と割り振られる。逆に『いや、ボクはこの部屋に入りたいです』などと逆らった力士には容赦しない。一方で面倒見の良い部分もあり、十両止まりで引退した力士を、日大の職員として再雇用したこともある。出身力士にすれば、日大という太いタニマチが付くうえに、引退後の心配もない。相撲部の門を叩く人材が絶えないわけですよ」
・それもこれも、田中理事長の剛腕があってこそ。仮に失脚となれば、日大相撲部は衰退必至で、角界も大ダメージを受けるというわけだ。 相撲指導には定評がある田中理事長は、自身もアマチュア相撲ではそれと知られた存在。日大3年時に学生横綱に輝き、卒業後もアマチュア横綱3回、実業団横綱2回の実績を誇る。
・当時を知る相撲記者は「プロでも横綱になれた逸材でした」と、こう続ける。「本人はプロ志望だったが、学校側に『プロには1年後輩の輪島を行かせるから、オマエは大学に残れ』と言われ、断念した経緯がある。強さは本物でしたね。あの当時、輪島が入門した花籠部屋は、日大相撲部の稽古場の近所にあった。そこに、日大職員時代の田中理事長が『輪島、一丁やるぞ』と、アマ相撲の大会の調整のため、“出稽古”に来る。輪島は入門3年目に関脇を4場所で通過して大関に昇進するが、その時でさえ、田中理事長には歯が立たない。しまいには、『先輩が来そうだから』と逃げ回っていたほどです」
▽語っていた皮肉な信条
・日刊ゲンダイは2006年、日大相撲部監督としての田中理事長に120分にわたってインタビューを行ったことがある。低迷中だった大相撲への提言として、「最近の外国人の相撲を見ていると、勝負を優先するあまり、やや礼儀作法を欠いているように思う。師匠の教えが行き届いているようには見えない」「白鵬や琴欧洲など、外国人力士の急成長を見るにつけ、今の日本人力士は精進しているのかと疑問に思う。現状に満足し、地位に甘んじているだけではないか」「力士は地位が上がれば、それまで以上に周囲からチヤホヤされる。タニマチなどからの誘いも増えていく。カネ回りがよくなり、勘違いする者などは自制心が欠けているのだ」などと語っていた。
・こうした発言の多くが今、自身に跳ね返っている。 礼儀どころか倫理すら疑われているアメフト部を野放しにし、大学の常務理事でもある内田前監督らイエスマンにチヤホヤされ、その地位にあぐらをかいている田中理事長は、過去の自身の発言をどう思うのだろうか。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/230105/1

次に、ジャーナリストの伊藤 博敏氏が6月7日付け現代ビジネスに寄稿した「日大・田中理事長の「疑惑の真相」を下村元文科相に改めて質す 3年前のことは忘れたのか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽下村元文科相が驚きの発言
・「日大のドン」として支配体制を固める田中英寿理事長が、事あるごとに取り上げられ、説明に窮するのが「暴力団との関係」である。アメリカンフットボール部の悪質タックル事件の渦中も、西の山口組、東の住吉会トップとの関係が週刊誌などで指摘された。
・「田中理事長と暴力団」を、最初に問題視したのは海外メディアである。3年前、ネット配信のヴァイス・ニュース、デイリー・ビースト、ブルームバーグなどが、山口組6代目の司忍(本名・篠田建市)組長とのツーショット写真を掲載。田中氏が日本オリンピック委員会(JOC)の副会長でもあることから、「ヤクザが、東京オリンピックで暗躍するのではないか」と、懸念した。
・それを受けて、維新の党(当時)の牧義夫代議士(現・国民民主党)が、2015年4月15日、衆議院文部科学委員会で「田中疑惑」を追及。私は本サイトで、牧代議士のインタビューを交えて、「日大理事長兼山口組組長の写真が海外メディアで報じられ、下村文科相が調査を約束」と、題して報じた。(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43023
・2010年に全国施行された暴力団排除条例以降、どんな形でも暴力団関係者と関係を持つのは禁止されたが、田中氏には過去に親しい交際を示す当該写真のような証拠や証言があり、その親しさがどのようなものであるかは、JOC副会長という重責を思えば確認されるべきことだった。
・同時に、牧氏は「読売新聞」(13年2月1日付)に報じられた、受注業者からのキックバック問題を取り上げた。1回あたり10万円前後で50回以上、6年間に五百数十万円を受け取ったという報道は、田中氏への「常態化した上納金」を思わせるもので、見過ごせないのは当然である。
・つまり、1枚の写真があぶり出したのは、田中体制のガバナンス問題である。それは悪質タックルが、有無を言わせない内田正人監督の圧力がもたらしたもので、その背景に内田監督が日大でナンバー2の常務理事という立場にあり、その強圧は、相撲部総監督という体育会を足場にする田中氏のもとで育まれたのと同じ構造である。
・それをまったく理解していないか、あるいは「田中擁護」のために、あえてトボけたのかわからない発言をしたのが、下村博文元文部科学相である。 6月3日のフジテレビ系『報道プライムサンデー』に出演した下村氏は、悪質タックルがガバナンス問題に波及していることに関し、こう述べた。「アメフト問題と日大のガバナンス問題は別に議論する必要があります。(中略)理事長の出身うんぬんと大学のガバナンスは関係ない部分。アメフトと一緒に論議する話ではありません」
・想像力の欠如というしかないが、個人の見解としては許されるかも知れない。ただ、下村氏は牧質問の際、文科相だった。元塾経営者の文教族として第2次安倍内閣以降、約3年にわたって文部科学行政を司り、牧氏の質問に対しては逃げなかった。
・「今回の事案を初めて知りましたが、文科省のなかにつくるか、あるいは大学のなかに第三者委員会をつくるか。いずれにしても私自身で調査をし、判断したい」 実際、動きは速かった。下村氏は、JOCと日大に対し、「田中副会長と反社会的勢力の関係について必要な調査を行なうように」と伝え、それを受けてJOCは、牧質問の13日後の4月28日、常務理事会を開いて、第三者委員会を設けて調査を実施。文科省に報告することを決めた。また、常務理事会に出席した田中氏は、山口組の司6代目など反社との関係について、「事実無根」と否定するとともに、写真は「合成して作られた」と、偽造の認識を示した。
▽田中氏の複雑な人間関係
・私学界はもちろん、教育行政に携わるものの間で日大抗争史は、3年に一度、札束と怪文書が乱れ飛ぶ総長選とともに、長く語り継がれてきた。「66名の総長候補者推薦委員を、総長候補を擁立したそれぞれの派閥が、カネとポストをチラつかせて奪い合う。総長選には数億円のカネが必要だとされていました。私は、ある総長の祝勝会に招待されたのですが、向島の料亭に50名以上が呼ばれ、一人にひとり、芸者がつけられ、それこそ『酒池肉林』の宴会でした。それだけ散財しても惜しくない権力と権威と資金力が、総長にはあるということです」(元理事)
・日大紛争の最中の69年に日大を卒業した田中氏は、体育会枠の職員として奉職。アマ相撲を引退後は、スポーツ部を束ねる保健体育審議会を足場に出世、08年、理事長に上り詰めた。 その過程で、田中氏は買い占め騒動が起きる『暗黒の日大王国』(坂口義弘著)で指摘されるようなカネとポストの争奪戦を生き抜き、常務理事時代には「親密業者からのキックバック」、「工事業者からの謝礼3000万円」、「許永中氏など反社との関係」が、特別調査委員会の報告書で暴かれた。
・田中氏は、50年の日大抗争史を生き抜いたやり手であり、辣腕ゆえに敵が多く、反対勢力はカネとポストで封じ込め、手足には内田氏のような保健体育事務局の側近を使った。文教族の下村氏が、そうした日大の“特色”を知らなかったとは思えず、たとえ3年前の文科相時代に、初めてその深淵に触れたとしても、調査を命じた時点で、田中氏の複雑な人間関係とガバナンス問題には気が付いていたはずである。
・悪質タックル事件は、調査を命じ、修正を促す立場にあった下村氏が、「そこで改善を図らなかった自分の責任」と、受け止めてしかるべきだった。なのに、「ガバナンス問題は別」とは、何たる言い草か。
・今回の「下村発言」を受けて、国会で追及した牧氏が嘆息する。「下村さんは、日大に特有の問題ではなく、『同じような体質の大学は他にある』とまで言った。呆れましたね。個別の問題だから、また日大に発生した。3年前に、個別対応しなければならなかったが、下村さんは調査を約束したのに、私のところには文科省から何の報告もありません」
・下村事務所には、①田中氏への調査結果はどのようなものだったのか、②3年前に指摘された田中氏のガバナンス問題が今も根底にあるのではないか、③日大固有の問題と捉えて個別対応すべきではないか、という3点を質したが、締切までに回答はなかった。
・大学自治とは何か。全共闘時代の問いかけは今に続き、その本質を理解しない行政と組織が、大学の正常化を阻んでいる。発生から1ヵ月に及ぶ悪質タックル事件で、本質に最も迫ったのが、20歳の宮川泰介選手の証言であったのは、保身の日大経営陣はもとより、下村氏を含む教育界全体を司る大人たちが反省すべき点だろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55995

第三に、慶応義塾大学商学部教授の菊澤 研宗氏が6月6日付け現代ビジネスに寄稿した「日大アメフト部問題と「旧日本軍の組織と論理」の共通点が見えた 軍隊をまねた体育会系部活の不条理」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今日、多くの人たちが、いま話題になっている日本大学アメリカンフットボール部の反則タックル事件が、安倍政権の森友問題や加計学園問題と重なるという。 首相は不正な指示をしていないといい、官僚が勝手に忖度して不正を働いたという。同様に、日大の監督もケガをさせろと命令した覚えはないといい、選手が思い詰めて行ったものだという。
・一方で、このような上司と部下の関係は、実は旧日本軍が遂行した非人道的な作戦つまり特別攻撃命令とも似ているのだ。 戦後、生き残った海軍軍令部の幹部たちは、特攻を命令していないという。特攻は、あくまでも若者たちの志願だったというのだ。しかし、当時の部下たちは、特攻は明らかに命令だったという。
・もともと日本では部活と軍隊は密接に関係している。反則タックル命令と特攻命令といった2つの異なる事例には、共通するリーダーの行動原理が見いだせる。 それについて、以下に説明してみたい。いずれもリーダーたちが不条理に陥り、その不条理を若者たちに実行させたのである。
▽体育系部活と軍隊の関係
・まず、かつて日本中の学校にある部活が軍隊と密接に関係していたことを忘れてはならない。本来、楽しいはずのスポーツが、日本では軍隊の訓練や兵士予備軍としての男子学生の心身を鍛練する手段として利用された歴史が日本にはある。
・特に、戦前の日本が軍国主義化するとともに、スポーツは「体育」という言葉で置き換えられ、日本人の間には「スポーツ」と「体育」は同じ意味をもつ言葉として定着した。 特に、軍国主義時代には、部下は上官に絶対服従する必要があり、厳しい上下関係による規律が求められていた。それゆえ、命令と服従という組織原理が、学校という教育機関で「体育」という教科を通して、徹底的に叩き込まれていったのである。
・そして、残念ながら、戦後もこの傾向はなくならなかった。いまだに継続されている。特に、ラグビー、野球、サッカー、テニスなどの体育会系運動部では、年功序列の上意下達型の縦社会組織が形成されているように思える。
・そこでは、いまも目上の者に対する絶対的服従は当然であり、目下の者はいかなる命令にも背くことは許されない。非科学的な根性論や精神論がはびこっている。 このような関係のもとに、必然的に起こったのが、戦時中の特攻であり、今回の日大アメフト部の事件なのだ。
▽日本軍の特攻命令と服従関係
・戦後、旧海軍将校たちによって行われた海軍反省会では、興味深いテーマが議論された。戦時中では、上下関係が厳しくて口をきくことすら許されない立場にあった下級将校たちが上官に向かって声を挙げはじめたのである。それは、特攻についてであった。
・一般に、特攻というと、海軍の大西瀧次郎が提案したものとされている。しかし、旧海軍の若手将校たちによると、非人道的で無意味な特攻作戦はそれ以前から軍中央から指示されていたという。 というのも、神風特攻隊以前から、人間の体を兵器に変える人間魚雷「回天」、人間爆撃機「桜花」、人間爆弾ボート「震洋」、そして人間機雷「伏龍」などの様々な特攻兵器が開発されていたからである。
・それにもかかわらず、戦後、海軍軍令部の中枢にいた人たちは、中央から特攻を命令したことはないと主張する。特攻は、あくまで若者たちの志願であったという。そして、戦後もそういった話をいろんなところで広めているというのだ。
・当時、軍隊という上下関係の厳しい組織では、決して主張することができなかった青年将校たちが、戦後、かつての上官たちを問い詰めている。非人道的な特攻作戦は、明らかに上からの命令だったと。 そして、上官は若者を送り出すとき、必ず後に続くからといって送り出したが、結局、続いたものは誰もいなかったと批判している。
▽日大反則タックル命令の矛盾
・この同じことが、今回、日大アメフト部の監督・コーチと選手たちとの間にも起こったように思える。 日大アメフト部の選手が、試合中、ルールを無視してボールを持っていない無防備な状態にあった相手チームの選手に、背後から反則となるタックルをしてケガを負わせた事件である。
・この事件について、5月22日、反則タックルをした日大の宮川泰介選手が、弁護士同席のうえで記者会見を行った。 彼は、一連の経緯や監督やコーチからどのような指示や発言があったのかなどについて詳細に説明した上で、監督やコーチの指示があったにせよ、指示の是非を自分自身で判断することなく反則行為をしてしまったなどとして自己反省し、相手選手に対して改めて謝罪したのである。
・これに対して、翌5月23日、選手が所属する日本大学チームの内田正人監督と井上奨コーチが記者会見を行った。 宮川選手の主張に反して「クオーターバックをつぶしてこい」といった発言は認めたものの、内田監督による指示ではなく、また怪我をさせる目的で発言したものでもないと説明した。
・とくに、「つぶせ」という言葉は、内田監督と井上コーチによると、これまで日常的に使用されてきた表現であり、それは反則を容認したり、ケガをさせたりすることを意味するものではないとして、宮川選手の主張を改めて否定したのである。
▽リーダーが陥っている不条理
・おそらく、いずれもケースも上層部が指示命令し、部下がその命令に忠実に従ったのだろう。 しかし、なぜ上司はそもそもこのようなルール違反で非人道的な命令をおこなったのか。答えは簡単だ。彼らはいずれも損得計算し、その結果、その方が得だと考えたからである。 つまり、不正なことを命令し、実行させることが合理的だという「不条理」に陥ったのである。(このメカニズムについては拙書『改革の不条理』に詳しく解説している)
・戦時中、日本軍の上層部は、海軍航空隊の若手兵士たちの実力では、到底敵を攻撃することはできないことを認識していた。それゆえ、損得計算すれば、若者たちを直接敵に体当たりさせる方が合理的だったのである。
・同様に、日大アメフト部の監督・コーチは、現在の日大の選手の能力では関西学院大学には勝てないと思ったのだろう。それゆえ、損得計算すると、相手選手を直接ケガさせた方が合理的だと判断した可能性がある。
・このような上司たちが行う損得計算の結果を部下に実行させることは、命令と服従の原理が浸透している組織では容易なことだ。 しかも、このような損得計算にもとづく意思決定は、ある意味で合理的で客観的で科学的かもしれない。というのも、この同じ状況に置かれれば、だれでも同じ損得計算を行い、同じ結果をえる可能性があるからである。
・それゆえ、そのような損得計算にもとづいて客観的に命令しているリーダーは、その責任を取る必要性を感じないのである。 しかし、このような損得計算を行うには、はじめから人間を物体や備品のような消耗品として扱う必要がある。 損得計算の中に人間を組み入れるには、一人ひとりの人間がもつ固有の価値、個性、歴史、そして尊厳など、はじめかから無視する必要があるのだ。そうでないと、損得計算ができないのである。
・このような損得計算を行動原理として、上層部は徹底的に行動していたために、戦時中、日本軍は世界でも最も人間の命を粗末にしていたのであり、特攻という人間を兵器の代わりにする前代未聞の作戦を行う鋼鉄の檻のような冷酷な組織だったのである。 その結果、どうなったのか。その過ちからいまだ学んでない組織として日本の一部の体育会系運動部があるように思える。
▽損得計算原理から価値判断原理へ
・では、このようなルール違反で非人道的な命令に出くわしたとき、われわれはどうすべきか。 今回、加害者である日大アメフト部の宮川選手がその答えを示している。 彼は、命令を受けたとき、その命令に従うことが人間として正しいかどうか価値判断すべきであり、問うべきであったと述べた。それを問わずに、ケガさせれば試合に出しやるという上からの指示のもとに、彼自身が損得計算して得する方を選んでしまったのだという。
・確かに、人間の行動原理として経済合理的な損得計算は必要ではある。しかし、それは人間の究極的な行動原理にならないことが、今回の日大アメフト部の事件で明らかになったのだ。
・やはり、人間は、常に正しいかどうか、適切かどうか、価値判断する必要がある。そして、もし正しいと価値判断するならば、次にわれわれは何をなすべきか。その価値判断が、われわれに実践的行為を要求してくるのである。 このような内なる理性の声を聴いて行動したいものだ。そうすれば、悪しき命令はなされないし、それに従うこともないだろう。
・このような価値判断にもとづく実践的行為は、それが主観的であるがゆえにまったく非合理的に思えるかもしれない。それゆえ、多くの優秀な人たちはこれを恐れ、避けようとする。 しかし、恐れるべきことはない。この主観的な価値判断、そしてそれにもとづく実践的行為に対して、われわれは責任をとればいいのだ。ここに、実は人間らしさ、人間の自由や自律があり、人間固有の尊厳や気品がある。
・もちろん、無制約な価値判断にもとづく行為は、単なる子供のわがままな行動にすぎない。啓蒙された大人として主体的に価値判断にもとづく実践行為を行うためには、以下の2つの条件を常に満たす必要がある。
 1) 価値判断にもとづく行為はその原因が唯一自分自身にあるので、その行為の責任は他でもなくすべて自分にあるということを自覚すること。
 2) 価値判断にもとづく行為を実践するために、他人の自由や主体性を無視してはならないこと、つまり他人を単なる道具や手段として扱ってはならないこと。 これである。
・以上のような原理に従っていたならば、冷たい鋼鉄の檻のような組織も、もっと温かいものになっていただろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55967

第一の記事で、『日大相撲部は、横綱輪島、大関琴光喜をはじめ、全大学中最多の68人もの力士を大相撲に送り込んでいる一大勢力だ。 相撲部屋にとってもだから、頭が上がらないところがある・・・「プロを目指す部員がどの部屋に入門するかは、すべて田中理事長の一存です。有無を言わさず、『オマエはこの部屋』と割り振られる・・・十両止まりで引退した力士を、日大の職員として再雇用したこともある。出身力士にすれば、日大という太いタニマチが付くうえに、引退後の心配もない。相撲部の門を叩く人材が絶えないわけですよ』、というのでは、角界は日大に頭が上がらないというのも確かに理解できる。(田中理事長は)『「プロでも横綱になれた逸材でした」と、こう続ける。「本人はプロ志望だったが、学校側に『プロには1年後輩の輪島を行かせるから、オマエは大学に残れ』と言われ、断念した経緯がある。強さは本物でしたね』、『輪島は入門3年目に関脇を4場所で通過して大関に昇進するが、その時でさえ、田中理事長には歯が立たない。しまいには、『先輩が来そうだから』と逃げ回っていたほどです』、相撲の実力も並大抵ではなかったというのは、なるほどである。『礼儀どころか倫理すら疑われているアメフト部を野放しにし、大学の常務理事でもある内田前監督らイエスマンにチヤホヤされ、その地位にあぐらをかいている田中理事長は、過去の自身の発言をどう思うのだろうか』、自らが築いた圧倒的地位に逆に圧し潰されたのかも知れない。
第二の記事で、 『理事長の出身うんぬんと大学のガバナンスは関係ない部分。アメフトと一緒に論議する話ではありません』、との下村発言は、『想像力の欠如というしかないが』、というのは甘過ぎる評価だ。筆者も可能性として示唆した「理事長を擁護する発言」と考える方が素直だと思う。『日大抗争史は、3年に一度、札束と怪文書が乱れ飛ぶ総長選とともに、長く語り継がれてきた』、田中理事長が総長制を廃止した理由の説明がないが、恐らく理事長の権限を飛躍的に強めるためだったのではなかろうか。 『「66名の総長候補者推薦委員を、総長候補を擁立したそれぞれの派閥が、カネとポストをチラつかせて奪い合う。総長選には数億円のカネが必要だとされていました。私は、ある総長の祝勝会に招待されたのですが、向島の料亭に50名以上が呼ばれ、一人にひとり、芸者がつけられ、それこそ『酒池肉林』の宴会でした。それだけ散財しても惜しくない権力と権威と資金力が、総長にはあるということです」』、これが大学かと思うほどの酷さだったようだ。『田中氏は買い占め騒動が起きる『暗黒の日大王国』(坂口義弘著)で指摘されるようなカネとポストの争奪戦を生き抜き、常務理事時代には「親密業者からのキックバック」、「工事業者からの謝礼3000万円」、「許永中氏など反社との関係」が、特別調査委員会の報告書で暴かれた』、この報告書は下村氏が指示したJOCのものなのだろうか。どうも後ろの方から類推すると、別のものとも思われる。筆者はJOCに報告書のことで取材したのだろうか。それにしても、特別調査委員会の報告書で暴かれたのに、むしろ理事長にまで登りつめた理由も知りたいところだ。
第三の記事で、『日本大学アメリカンフットボール部の反則タックル事件が、安倍政権の森友問題や加計学園問題と重なるという』、というのはその通りだ。『本来、楽しいはずのスポーツが、日本では軍隊の訓練や兵士予備軍としての男子学生の心身を鍛練する手段として利用された歴史が日本にはある・・・命令と服従という組織原理が、学校という教育機関で「体育」という教科を通して、徹底的に叩き込まれていったのである・・・戦後もこの傾向はなくならなかった。いまだに継続されている・・・体育会系運動部では、年功序列の上意下達型の縦社会組織が形成されているように思える』、なるほどである。 『旧海軍の若手将校たちによると、非人道的で無意味な特攻作戦はそれ以前から軍中央から指示されていたという・・・それにもかかわらず、戦後、海軍軍令部の中枢にいた人たちは、中央から特攻を命令したことはないと主張する。特攻は、あくまで若者たちの志願であったという・・・損得計算すれば、若者たちを直接敵に体当たりさせる方が合理的だったのである。 同様に、日大アメフト部の監督・コーチは、現在の日大の選手の能力では関西学院大学には勝てないと思ったのだろう。それゆえ、損得計算すると、相手選手を直接ケガさせた方が合理的だと判断した可能性がある』、後者については、飛躍もある気がする。その試合では勝てても、直ぐに社会的に問題化することが明らかであるような戦術判断は、どう考えても合理的とは言えないだろう。うな上司たちが行う損得計算の結果を部下に実行させることは、命令と服従の原理が浸透している組織では容易なことだ。こうした問題はあるが、全体としては、参考になる点が多い記事だった。
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