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「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)(その2)(TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた痛すぎる 提案 背景には複雑な事情が‥‥、「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか、記者が見た 正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか) [企業経営]

「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)については、昨年10月26日に取上げた。今日は、(その2)(TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた痛すぎる 提案 背景には複雑な事情が‥‥、「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか、記者が見た 正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか)である。

先ずは、経済ジャーナリストの磯山 友幸氏が6月7日付け現代ビジネスに寄稿した「TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた、痛すぎる提案 背景には複雑な事情が‥‥」を紹介しよう。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56101
・『TBSHDが持つ東京エレクトロン株は770万株。発行済み株式の4.7%を持ち、事実上の筆頭株主だ。TBSHDが長年にわたって長期保有してきた政策投資株である。長期的な安定株主として株を持つ、いわゆる「持ち合い株」である。 AVIは、この770万株のうち4割に当たる306万4414株を株主に現物配当せよ、と要求しているのだ』、というように、AVIの要求は株式持ち合いの根底を問う内容だ。
・持ち合い企業に対しては、『「改訂・コーポレートガバナンス・コード」・・・株主が納得できるメリットが説明できないなら、持ち合い株は保有できない、としているのだ』、他方、機関投資家に対しては、『生命保険会社や年金基金、信託銀行などの機関投資家は保険契約者や顧客などにとってどちらが利益をもたらすかを検討し、議決権を行使しなければならない。スチュワードシップ・コードという機関投資家の行動規範が示され、行動を縛られるようになったのだ』、という両面から株式持ち合いに対し厳しい環境になった。
・これは、安易な株式持ち合いに安住できなくなるという意味で、基本的には好ましいことと思う。しかし、最終的にはAVIの提案は以下のリンクのように否決されたようだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-28/PAZ6ST6TTDS001
まだ、日数が経ってないので、AV提案にどの程度の賛成票があったのかなど、詳細は報じられてない。後日報が待たれる。

次に、ジャーナリストの司 理氏が6月20日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/172765
・『株主提案が相次ぐが  ほとんどが否決』。『アクティビストたちは、口をそろえて株主提案の狙いを「企業価値の向上」だと言い、そのために「株主還元の優先」や「株式価値の向上」を図るよう要求している。だが、そうした要求が、果たして企業価値の向上につながっているかといえば、株価を見る限りそうとも言い切れない。 ゴールドマン・サックスが、トランプ大統領就任以降の株価パフォーマンスを調査したところによると、アクティビストが“溺愛”する、配当を引き上げるために自社株の買い戻しに熱心な企業よりも、研究開発(R&D)に熱心な企業の成績の方が上回っていたという。つまり、アクティビストたちの要求では、目的を達成できていないことになるのだ』、というのはその通りなのかも知れない。
・他方で、『可決された代表例は旧村上ファンド系のレノの提案・・・2017年に・・・レノが、黒田電気に対して行った株主提案が、会社側の反対にもかかわらず可決されたのが代表例かもしれない。 受け入れられた提案内容は、社外取締役を1人選任するというもの。この提案に対して会社側は、・・・こうした提案を受け入れることは、大株主に専横の機会を与える可能性が高く、他の一般の少数株主の皆様の利益を大きく毀損する重大な恐れがあると考えました」としている・・・しかし、2017年6月19日付の日本経済新聞によれば、レノの推す取締役が1人と少なく、経営体制が直ちに急変しにくいことから、ほかの株主も受け入れやすかったと見られる、という』。
・また、『今年1月には、日本ペイントホールディングスに対して、シンガポールの株主であるニプシー・インターナショナルから、社外取締役5人を含む6人の取締役選任議案が提出された。結果的に、この提案は委任状争奪戦に至らず、会社側が提案を受け入れる形で可決された』、『今年の株主総会では、株主提案が多く出されて、「株主提案元年」ともいわれる。今後の日本の資本市場を占う意味で、短期の利益を追求するファンド勢が求める配当引き上げなどに理があるのか、はたまた長期にわたる事業継続や企業価値向上を追求する経営者側が株主提案を退けるのか、あるいは、誰もが納得するようなロジックを掲げた第三者の提案が可決されるのか、注目される』というのはその通りだろう。

第三に、6/21日経ビジネスオンライン「記者が見た、正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/062000585/?P=1
・『アクティビスト(物言う株主)と呼ばれる機関投資家から出される提案の多くは「無駄に多くの現預金を持ちすぎているから、増配で株主に還元しろ」「資産の有効活用につながらない持ち合い株を解消しろ」といった類のものだ。 そして困ったことに、これらの要求のほとんどは資本市場の論理からするとまっとうな「正論」なのだ。なぜ困るのか。それは結果がついてこないからだ。 本来、「正論」ならばその提案は多数の支持を得て可決されるはず。だが過去、株主提案が通ったことはほとんどない。このもやもやとした矛盾を毎年のように感じながら取材を続けてきたが、今年もそのもやもやが晴れることはなさそうだ』、というのは私も同感である。 
・『なぜ株主提案は通らないのか。いくつか理由はあるだろう。だがずっと取材をしてきて一貫して感じ続けていることがある。それは「要求が正論“すぎる”から」というものだ。言っていることは資本の論理上、つまりロジック的には正しいのかもしれないが、要求が過激すぎて周りがついていけない、とでも言い換えればいいだろうか』、『総じて、アクティビストたちの要求は日本人的感覚でいうと「過激」に映るのだろう。求める方向性に賛同はしながらも、結局は株主提案に賛成票を入れない株主が多いから、株主提案はなかなか勝てない。 ある個人投資家は、株主提案を繰り返すアクティビストのことを「妥協を知らない原理主義者、過激派」と呼ぶ。思想には共感を覚えながらも共に行動するには気が引けるというのだ』、『アクティビストの多くは、自分たちの主張が絶対に正しいと信じて疑わない猪突猛進型だ。それが逆に株主提案を通りにくくしている理由の一つだろう。主張の多くは正論なのに、戦略ミスで勝利を逃しているケースが多くもったいない。もう少しマイルドなアクティビストはいないものだろうか』、なるほどと納得した。アクティビストが猪突猛進型のスタイルをマイルドに変えるには、まだ時間がかかるのかも知れない。
タグ:「記者が見た、正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか」 日経ビジネスオンライン 株主提案元年 770万株 アクティビストの多くは、自分たちの主張が絶対に正しいと信じて疑わない猪突猛進型だ。それが逆に株主提案を通りにくくしている理由の一つだろう。主張の多くは正論なのに、戦略ミスで勝利を逃しているケースが多くもったいない。もう少しマイルドなアクティビストはいないものだろうか ある個人投資家は、株主提案を繰り返すアクティビストのことを「妥協を知らない原理主義者、過激派」と呼ぶ 総じて、アクティビストたちの要求は日本人的感覚でいうと「過激」に映るのだろう。求める方向性に賛同はしながらも、結局は株主提案に賛成票を入れない株主が多いから、株主提案はなかなか勝てない 日本ペイントホールディングス ・レノが、黒田電気に対して行った株主提案が、会社側の反対にもかかわらず可決されたのが代表例 そうした要求が、果たして企業価値の向上につながっているかといえば、株価を見る限りそうとも言い切れない 東京エレクトロン株 アクティビストたちは、口をそろえて株主提案の狙いを「企業価値の向上」だと言い、そのために「株主還元の優先」や「株式価値の向上」を図るよう要求している 株主提案が相次ぐが  ほとんどが否決 「「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか」 ダイヤモンド・オンライン 司 理 機関投資家は保険契約者や顧客などにとってどちらが利益をもたらすかを検討し、議決権を行使しなければならない 「要求が正論“すぎる”から」というものだ。言っていることは資本の論理上、つまりロジック的には正しいのかもしれないが、要求が過激すぎて周りがついていけない、とでも言い換えればいいだろうか なぜ困るのか。それは結果がついてこないからだ。 本来、「正論」ならばその提案は多数の支持を得て可決されるはず。だが過去、株主提案が通ったことはほとんどない。このもやもやとした矛盾を毎年のように感じながら取材を続けてきたが、今年もそのもやもやが晴れることはなさそうだ スチュワードシップ・コードという機関投資家の行動規範 株主が納得できるメリットが説明できないなら、持ち合い株は保有できない、としているのだ 改訂・コーポレートガバナンス・コード ニプシー・インターナショナルから、社外取締役5人を含む6人の取締役選任議案が提出 AVIは、この770万株のうち4割に当たる306万4414株を株主に現物配当せよ、と要求 持ち合い株 長期的な安定株主 TBSHD 困ったことに、これらの要求のほとんどは資本市場の論理からするとまっとうな「正論」なのだ 「TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた、痛すぎる提案 背景には複雑な事情が‥‥」 現代ビジネス 磯山 友幸 この提案は委任状争奪戦に至らず、会社側が提案を受け入れる形で可決 (その2)(TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた痛すぎる 提案 背景には複雑な事情が‥‥、「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか、記者が見た 正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか) (アクティビスト・ファンド) 「物言う株主」 政策投資株 事実上の筆頭株主
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