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ソーシャルメディアやフェイクニュースによる世論操作(その2)(FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉、日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」、ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う) [メディア]

ソーシャルメディアやフェイクニュースによる世論操作については、昨年2月12日に取上げた。今日は、(その2)(FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉、日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」、ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う)である。

先ずは、日経ビジネスニューヨーク支局長の篠原 匡氏が昨年11月8日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/110700754/
・(TV番組に)『トランプ陣営のデジタル戦略を率いたブラッド・パースカルが登場した。その話を聞くと、フェイスブック(FB)がトランプ勝利にいかに重要な役割を果たしたかが一目瞭然だ。「勝利に導いたのはトランプ自身だが、FBはそのメソッド。FBはトランプが運転する車のハイウェイだった」 パースカルが活用したのはFBのターゲット広告だった・・・その広告は、極めて細かくカスタマイズされていた。「今ではフロリダ州パンハンドルに住む15人を見つけ出すことができる」。そうパースカルが説明したように、FBを使えば従来のテレビ広告では絶対に買うことのできなかったようなローカルの小グループにリーチすることが可能だ。』、というのは確かに選挙戦では有力なツールだ。
・『リベラルなシリコンバレーの生み出したツールがトランプ大統領の勝利に寄与したとすれば、これほど皮肉な話もない』、確かに痛烈な皮肉だ。
・『ターゲット広告に関する技術の活用方法を教え込むため、選挙期間中、パースカルのオフィスに共和党支持の社員が常駐するなど、この作業にはFBも協力している。膨大な広告マネーが飛び交う米大統領選。FBはそこに商機を見いだし、積極的に関わっていたわけだ』、ここまでくると、FBの責任も重大だ。
・『FBは当初、問題のあるアカウント数は470で1000万人以上が閲覧した可能性があると述べていたが、現在では1億2600万人に上方修正されている。FBは2018年までに、広告のチェックのために新たに1000人を採用すると語っているが、広告を自動的に掲載するという仕組み自体に問題があると見る向きも多い』、広告のチェックはAIを使っても、そんなに簡単なことではなさそうだ。
・『主義主張に関係なく自由な意見を交わすことのできるFBは、民主主義を支える言論の自由、表現の自由の構成要素になっている。 ところが、そのFBがもう一つの民主主義の構成要素である選挙を汚したところに、今回の問題の複雑さと本質がある』、なるほど。
・『FBはユーザーの興味や嗜好に応じてAIがニュースフィードをカスタマイズしており、ユーザーに関心のある情報を流そうとする。これが加速すると、ニュースフィードがたこつぼ化し、異なる意見や価値観に触れる機会がなくなっていく』、という『“フィルターバブル』、は確かに民主主義の危機だ。
・『伝統的なメディアは事実確認や校閲、広告のチェックに多くのリソースを割いており、自動化の進んだセルフサービスのFBと比べれば必然的に人件費がかかる。そこにかかっている人件費や作業効率が妥当かどうかはともかく、そういったチェックは対価を得てコンテンツを発信しているメディアの責務と一般には捉えられている』、のに対し、上記のように僅か1000人程度でチェックしようと逃げるFBの姿勢も問題だ。今後、どのようにFBが対応していくのは、大いに注目される。

次に、3月14日付け東洋経済オンラインに掲載されたマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長の伊藤穰一氏へのインタビュー「日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/212218
・『「伝統的なニュースメディアが果たしている役割」とは・・・ネットにエサを投入する役割だ。フェイクニュースを作っている人たちにとっては、ニュースは自らの主張を広げるためのエサにすぎない。新聞やテレビが報じるニュースの持つ信憑性を利用することで、トラフィックを集めている』、というのは面白い比喩だ。
・『ただし、フェイスブックも含めプラットフォームでやり取りされている情報の絶対量からすれば、フェイクニュースの量は、ほんのわずか。だから、フェイスブックにとっては、もっとも重要な役割である身近な人とのコミュニケーションを守るために、タイムラインに流れるニュースを排除する方向に動いた』、なるほど。
・『国によって、フェイクニュースによるダメージには差がある。最も大きなダメージを受けているのはアメリカだ。アメリカは定められたルールの順守によってフェアネスを保ってきた。ところが、大統領の(ドナルド・)トランプですらルールを破っている今、ちゃんとルールを守っているのは一部の人間だけで、もはや民主主義も機能していないのではないか、と疑われるようになった』、というのは困ったことだ。ただ、ここでは触れられてないが、英国のEU離脱時にもフェイクニュースが大きな役割を果たしたようだ。
・『見どころといえるのは、ある程度民主主義が機能してきたドイツだと思う・・・ドイツはちゃんとした民主主義を機能させられるのか。それとも瓦解するのか』、最近のドイツの様子から見る限り、心もとなそうだ。
・『一方で、日本の民主主義は、昔から不透明。アメリカと違って、なんでもかんでも表に出るわけではない。政治もマスコミも透明とはいえない部分がたくさんある。日本の人たちは、本音と建前があるとわかっているから、表に出ていることだけがすべてとは考えていない。だから日本は、アメリカと比べてフェイクニュースに感染した場合のダメージは小さいように思う』、というのはネット右翼の活発な活動を見ると、楽観的過ぎる気もする。
・『振り返ると、日本の「2ちゃんねる」には、今のネットのトレンドがすべて凝縮されていた。話題になっている人を引っ張り出して袋だたきにしたり、フェイクニュース的なものを作ったり。つまり、いま世界で話題になっているフェイクニュース的な手法を輸出したのは日本かもしれない。日本のせいでアメリカでトランプ大統領が生まれたのかもしれない』、というのは面白い見方だ。
・『オープンでボーダーレスなインターネットの世界を保ち、いつか振り子を大きく動かすためには、問題意識が高い若い世代や、その次の世代の人たち、前向きでやや反体制的な人たちに力を与え、そうした人々をつないでいくことが重要だと思っている。僕がいまやっているのは、そういうことです』、大いに期待したい。

第三に、セールスフォース・ドットコム シニアビジネスコンサルタント / エバンジェリストの熊村 剛輔氏が6月29日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/227269
・なお、エバンジェリストとは、IT環境のトレンドや最新テクノロジーをユーザーに向けて分かりやすく解説し、啓蒙を図るのが主な任務です。エバンジェリスト(evangelist)の原義は、キリスト教の「伝道者」(日本の人事部より)
・『インターネット黎明期から絶えず生みだされてきた、いわゆるデマと呼ばれていたものと、現在フェイクニュースと呼ばれているものとの間には、それほど大きな違いは見いだせない。だが、今フェイクニュースがあちこちで生まれる背景には、現在のインターネットの世界における典型的な「ビジネスモデル」と、そのビジネスモデルに乗っかりやすい状況をつくっている「ソーシャルメディア」の存在がある』、なるほど。
・『誰でもサイトを持てるようになり、誰でも広告を掲載できるようになり、そして誰でも(その真偽は別として)ニュースを発信できるようになったことで、誰もが広告費を稼ぐということができるようになった。得られる広告費は、サイトへのアクセス数に左右されるので、収益を上げるためには、サイトへのアクセス数を少しでも多く稼ぐ必要が出てくる。その結果、仮に、それがデマ、つまりフェイクであったとしても、ネタとしてインパクトがあり、アクセス数が稼げればよいというビジネスが増長することとなる』、『ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアが登場したことで、フェイクニュースはその勢いを増すことになる。ソーシャルメディアにより情報は加速度的に拡散し、より多くの人々に届くようになった。さらに、気の合う友達や考えが近しい友達の投稿を優先的に表示させたりする、ソーシャルメディアが持つ特性も手伝い、フェイクニュースは信じられやすく、拡散しやすいニュースとして強烈なインパクトをもたらすようになった』、恐ろしい時代になったものだ。
・『今後はAIによって数々のバリエーションのフェイクニュースが量産されることも考えられるだろう・・・今後はAIが受け手の思想や思考に合わせ、さまざまな文脈でフェイクニュースが作られていくことも可能になる。テクノロジーの進化に合わせ、フェイクニュースも進化し続けているのが現状だ』、さらに今後も悩まされるのではかなわない。
・ただ、救いも出てきたようだ。『こういったフェイクニュースが拡がることで、企業のビジネスに対してもネガティブなインパクトが引き起こされることは想像に難くない。特にフェイクニュースの“ネタ”として利用された企業やブランドは、そのレピュテーション(評判、世評)が大きく損なわれるうえに、その回復に多大な時間、労力、コストが発生する可能性がある。また、直接“ネタ”にされなくても、フェイクニュースを掲載しているサイトに対する広告出稿が原因で、企業やブランドのレピュテーションが損なわれるケースも少なくない』、『実際、海外では、フェイクニュースを発信しているサイトへ広告が掲載されてしまったことで商品の不買運動に発展してしまうケースも起こっている。そのため、大手広告主企業の中では、インターネット広告に対する予算配分を大幅に見直し、出稿を制限するような動きも見え始めている』、こうしたブレーキが利くまでには時間がかかるだろうが、一抹の期待はできそうだ。
・『欧州では対策に向けて大きな動きが起ころうとしている。今年1月1日付でドイツで施行された、ヘイトスピーチやフェイクニュースを取り締まる新法が、そのひとつだ・・・そしてEU(欧州連合)も本腰を入れ始めた・・・ECは、これらプラットフォーム企業に対して、まず今年の7月までに、フェイクニュースに対する行動規範を設けることを求め、各企業に対し、それぞれ自主規制を強化することを要求している。そのうえで、今年末までにフェイクニュースの減少が見られなかった場合、法的な規制の導入の検討が行われるというものだ』、さすが、欧州の対応は早い。米国の顔色ばかりを見ている日本も、真剣に考え直すべきだろう。
タグ:EU(欧州連合)も本腰を入れ始めた ドイツで施行された、ヘイトスピーチやフェイクニュースを取り締まる新法が、そのひとつだ・ 実際、海外では、フェイクニュースを発信しているサイトへ広告が掲載されてしまったことで商品の不買運動に発展してしまうケースも起こっている。そのため、大手広告主企業の中では、インターネット広告に対する予算配分を大幅に見直し、出稿を制限するような動きも見え始めている フェイクニュースを掲載しているサイトに対する広告出稿が原因で、企業やブランドのレピュテーションが損なわれるケースも少なくない フェイクニュースの“ネタ”として利用された企業やブランドは、そのレピュテーション(評判、世評)が大きく損なわれるうえに、その回復に多大な時間、労力、コストが発生する可能性がある 今後はAIによって数々のバリエーションのフェイクニュースが量産されることも考えられるだろう フェイクニュースは信じられやすく、拡散しやすいニュースとして強烈なインパクトをもたらすようになった それがデマ、つまりフェイクであったとしても、ネタとしてインパクトがあり、アクセス数が稼げればよいというビジネスが増長することとなる 誰でも(その真偽は別として)ニュースを発信できるようになったことで、誰もが広告費を稼ぐということができるようになった 典型的な「ビジネスモデル」 「ソーシャルメディア」の存在 いわゆるデマと呼ばれていたものと、現在フェイクニュースと呼ばれているものとの間には、それほど大きな違いは見いだせない 「ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う」 熊村 剛輔 フェイクニュース的な手法を輸出したのは日本かもしれない 日本の「2ちゃんねる」には、今のネットのトレンドがすべて凝縮されていた 日本の人たちは、本音と建前があるとわかっているから、表に出ていることだけがすべてとは考えていない。だから日本は、アメリカと比べてフェイクニュースに感染した場合のダメージは小さいように思う 見どころといえるのは、ある程度民主主義が機能してきたドイツだと思う 国によって、フェイクニュースによるダメージには差がある。最も大きなダメージを受けているのはアメリカだ フェイクニュースを作っている人たちにとっては、ニュースは自らの主張を広げるためのエサにすぎない。新聞やテレビが報じるニュースの持つ信憑性を利用することで、トラフィックを集めている 「日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」」 伊藤穰一 東洋経済オンライン 伝統的なメディアは事実確認や校閲、広告のチェックに多くのリソースを割いており、自動化の進んだセルフサービスのFBと比べれば必然的に人件費がかかる フィルターバブル FBは2018年までに、広告のチェックのために新たに1000人を採用 FBは当初、問題のあるアカウント数は470で1000万人以上が閲覧した可能性があると述べていたが、現在では1億2600万人に上方修正されている ターゲット広告に関する技術の活用方法を教え込むため、選挙期間中、パースカルのオフィスに共和党支持の社員が常駐するなど、この作業にはFBも協力している。膨大な広告マネーが飛び交う米大統領選。FBはそこに商機を見いだし、積極的に関わっていたわけだ リベラルなシリコンバレーの生み出したツールがトランプ大統領の勝利に寄与したとすれば、これほど皮肉な話もない パースカルが活用したのはFBのターゲット広告 。「勝利に導いたのはトランプ自身だが、FBはそのメソッド。FBはトランプが運転する車のハイウェイだった」 トランプ陣営のデジタル戦略を率いたブラッド・パースカル 「FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉」 日経ビジネスオンライン 篠原 匡 (その2)(FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉、日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」、ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う) ソーシャルメディアやフェイクニュースによる世論操作
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