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加計学園問題(その14)(加計氏の緊急記者会見 さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点、加計問題の「本質」は何か 野党の追及がズレている理由、書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態) [国内政治]

加計学園問題については、5月12日に取上げた。今日は、(その14)(加計氏の緊急記者会見 さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点、加計問題の「本質」は何か 野党の追及がズレている理由、書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態)である。

先ずは、政治評論家の田原 総一朗氏が6月29日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「加計氏の緊急記者会見、さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/062800075/?P=1
・『6月19日、加計学園の加計孝太郎理事長が突然、記者会見を開いた。告知は会見の2時間前であったうえ、地元以外のメディアを拒否したため、東京、大阪の記者が出席できなかった。しかも、たった26分間という短さだ・・・愛媛県の文書に記載されたのは、獣医学部の新設を進めるために渡辺良人事務局長が勝手にやった話だ、というのである』、安倍首相を支援するためとはいえ、記者会見の異様さや内容の不自然さは、極まれりといった印象だ。
・『このように加計氏がワンマンな人物であることを考えると、「事務局長が勝手にやった」ということは、できるはずがない。 これは、誰かにそっくりだ。安倍首相である。 例えば、柳瀬唯夫元首相秘書官が、獣医学部新設問題に関連して加計学園関係者と2015年に3回にわたって首相官邸で会ったと明らかにした。しかし一方で、柳瀬氏はこの面会について「安倍首相は何も言っていない。自分が勝手にやった」と説明している・・・そもそも、複数の大学が獣医学部の新設を申請しているなかで、特定の1つの大学と政府関係者が3回も会うということは、えこひいきもいいところである。そんなことを、秘書官が勝手にやるわけがない。事実ならば、上司である安倍首相から激しい叱責を受けるだけでなく、責任を問われるはずである。 これについて安倍首相は、「全く知らなかった」と述べた。加計理事長と全く同じである』、ご両人とも厚顔ぶりでは余人をもって代えがたいようだ。
・『森友学園の問題も忘れてはならない。財務省が森友学園との国有地取引に関する決裁文書を改ざんしたことが明らかになった。しかも朝日新聞の3月2日の報道がなければ、財務省は改ざんを隠蔽しようとしたのである。こんなことは民主主義を標榜する国にはあってはならないことだ。 ところがこの改ざんについて、責任者である麻生財務大臣は、「なぜやったのか、それが分かれば苦労はしない」と述べた。さらには、「おそらく個人がやったことだろう。こういう事はよくあることで、財務省には責任がない」とまで言っている』、この話は理財局と官邸の間で進められ、麻生大臣にも報告はされただろうが、麻生大臣は当初から「聞かなかったことにする」と逃げていたのではなかろうか。
・『森友・加計問題は、調べれば調べるほど矛盾だらけである。一昔前までならば一気に内閣の崩壊に進んだはずだが、こんなにひどい状況にもかかわらず、朝日新聞、共同通信、日本経済新聞などが最近行った調査では内閣支持率が上がっている。なぜか。 1つは、野党が政権構想を全く持っていないことである。安倍内閣を批判しているだけなのだ。 2つ目は、自民党内に問題がある・・・党内が安倍首相のイエスマンで占められているということである。理由は・・・選挙制度が中選挙区制から小選挙区制に変わってしまったことにある・・・3つ目は、6月12日に開催された米朝首脳会談の影響である』、その通りだろう。
・『僕はかつて、自民党幹部にこの点を指摘したことがある。すると、彼らは「田原さんのおっしゃる通りだが、中選挙区制には反対だ。中選挙区の選挙では、一度の選挙で1億円以上の費用がかかる。すると、どうしても表に出せない金が必要になる。一方で、小選挙区制はそれほどの費用はかからない。今は政党助成金もある。だから、今のままでいいと思う」と述べた』、中選挙区の選挙では小選挙区制に比べカネがかかるというのは事実かも知れないが、そんな理由で小選挙区制を支持するというのも情けない話だ。
・『安倍内閣が続く理由の一端はメディアにもある。というのは、メディアが政治問題を徐々に大きく扱わなくなってきたのである。 例えば、ワイドショーなどでも、政治問題は昔より扱われる頻度が下がった。時間も短くなった。政治にフォーカスしても、視聴率が上がらないからである。 なぜかといえば、政治がダイナミックではなくなってしまったからだと思っている。ダイナミックではなくなってしまった理由は、先にも述べたように、選挙区制が変わってしまったことから自民党内で議論が起こらなくなり、皆が安倍首相のイエスマンになってしまったことがある』、ここでまで小選挙区制に結び付けるのは、やや無理があるように思う。
・『企業は、はっきり言えば、政治に対して期待していない。一方で経営者は世界的な競争環境の激化で研究開発拠点を海外に移すなど大きな危機感を持っているが、政治家は日本の経営者が強い危機感を持っていることすら知らない。こちらも大問題である』、これもいささか乱暴な議論だ。「働き方改革」は経営者側の強い意向で成立させたこと、研究開発拠点の海外移転にまで本格的に踏み切っている企業はないこと、などを度外視して、田原氏なりのストーリーに無理に押し込んだ印象だ。

次に、総務省出身で室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一氏が7月4日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「加計問題の「本質」は何か、野党の追及がズレている理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173942
・『加計学園問題の本質は、“規制改革に関する国の制度の乱用”に関する疑惑であり、前川前文部科学次官の言葉を借りれば、「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」のではないかという疑惑である。 安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長に会ったか否か、柳瀬秘書官(当時)が「首相案件」と言ったか否か・・・といったことは“状況証拠”でしかない。 従って、どのように制度が濫用されたのか、制度論、政策論として議論が行われる必要がある』、は正論だ。
・『国家戦略特区における特例措置は、基本的には地方公共団体や民間事業者からの提案に基づいて検討が行われる仕組みになっている。今回、獣医学部設置に係る規制の特例措置を求めてきたのは加計学園でも岡山理科大学でもなく、今治市である・・・そもそも今治市は同市に「獣医学部を設置したい」という、事業者等からの具体的なニーズなしに、規制の特例措置の提案を行ったのだろうか。 筆者の経験からすれば、そのようなことはありえないし、そうした事業者等からの具体的なニーズがあるのが“当たり前”なのである』、なるほど。
・『加計学園問題は「加計学園」という名前が前に出され過ぎて、同学園や同学園理事長と安倍首相の関係ばかりが注目されてしまっているが、この問題は獣医学部設置に関わる規制の緩和の適否”に関する問題であり、そのために新たに創設された“国家戦略特区制度が乱用”されたのではないかという問題である』、その通りだ。
・『再々検討要請に対する(文科省の)回答は・・・当初の回答よりは表現は前向きになったものの、“特区にはなじまず、全国的な規制改革として検討する”という基本的なスタンスは変わっていない・・・、「構造改革特別区域の第23次提案等に対する政府の対応方針」の中で・・・この段階では獣医学部の設置に関する規制の緩和は“全国一律”に進められることが、少なくとも検討されていたということである』、なるほど。
・『それがなぜ国家戦略特区に係る規制の特例措置になったのか――。 これこそが時間をかけてでも議論を積み重ねて明らかにされるべきポイントであって、前川前文科次官の「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた」との指摘の意味するところであろう。 要は“根拠の薄弱さ”を、文科省の「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」での議論や論点整理等も活用しつつ指摘し、“特例措置”としたこと自体が不適切であったこと、一方で規制改革自体を否定しているわけではないので、“全国的な見地”から検討し直すべきことを突き詰めていけば、政府側の説明が崩れていくのは時間の問題ではないだろうか』、こうした問題を扱った経験がある筆者ならではの鋭い指摘だ。
・『残念ながら野党は、獣医師の育成や獣医学教育の改善・充実に関する政策は複雑かつ専門性が高いので深掘りがしづらい上に、一般国民にも分かりやすい説明がしにくいからか、「安倍首相と加計孝太郎理事長が親友だから…」というところに議論を集中させ、しまいには単なる人的関係の問題に脱線させてしまう傾向があるようだ』、というのは、本当に残念なことだ。

第三に、7月11日付け日刊ゲンダイが掲載した憲法学者の水島朝穂早大法学学術院教授のネットコラムをまとめた「書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/233023/1
・『今治市の現地校舎を視察。その時の感想を振り返っているのだが、信じられないような記述がいくつも出てくるのだ。 〈3階は図書館になっているが、何と書架には本が一冊もない。(略)本はないのかと尋ねると、上の階の書架に8000冊ほどあり、年内に1万4000冊になるという。完成年度には10万冊というが、これは仰天の数字である。国家戦略特区で設置される「最先端の獣医学部」の図書館にしては、蔵書数があまりにも少ない。そもそも大学や学部の新設の際、図書館の蔵書は、大学設置審議会の重要な審査対象となる〉・・・〈図書館に法律関係の専門書や法律雑誌のバックナンバーなどが授業開始前に十分に揃っていることも設置認可の大前提だった。この獣医学部のように、授業が始まっているのに書架に本が並んでいないということは考えられないことである。本がなければ認可はあり得ない〉』、図書館の驚くべきお粗末さと、にも拘わらず認可した不自然さを、どう説明するのだろう。
・『〈専門的な実習や実験がこのスペースでできるのだろうかという疑問が生まれた。息子が通った獣医学部は実習や実験の施設が充実していた。それに比べると、3階、4階の基礎実習室は高校の理科室程度の印象だった〉 そして極め付きは、これだ。 〈専門教育関係で言えば、獣医学部に必須の、牛や豚などの産業動物(大動物)を使った実習施設である大動物実習施設棟B2がまだ土台を作っている段階だった。「平成30年度末の完成」という説明だったが、専門教育の必須施設が未完成で認可がおりるというのは奇跡に近い〉』、「高校の理科室程度の印象」には笑ってしまった。
・『「教室(設備)、教授、蔵書の3つが不十分のまま大学設置審で認可がおりたことが信じられません。ムリヤリ通したツケは現場にくるのではないか」 つくづく、どこが「世界に冠たる」獣医学部なのか』、学園側は認可さえ取れ、学生が集まればいいのだろうが、こんなお粗末な環境で学ぶことを強いられる学生こそいい迷惑だ。さらに、自治体や国からの補助金も無駄にならなければいいのだが・・・。  
タグ:加計学園問題 (その14)(加計氏の緊急記者会見 さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点、加計問題の「本質」は何か 野党の追及がズレている理由、書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態) 田原 総一朗 日経ビジネスオンライン 「加計氏の緊急記者会見、さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点」 加計学園の加計孝太郎理事長 記者会見 告知は会見の2時間前 地元以外のメディアを拒否 たった26分間という短さだ 愛媛県の文書に記載されたのは、獣医学部の新設を進めるために渡辺良人事務局長が勝手にやった話 、「事務局長が勝手にやった」ということは、できるはずがない。 これは、誰かにそっくりだ。安倍首相である 柳瀬氏はこの面会について「安倍首相は何も言っていない。自分が勝手にやった」と説明している 複数の大学が獣医学部の新設を申請しているなかで、特定の1つの大学と政府関係者が3回も会うということは、えこひいきもいいところである そんなことを、秘書官が勝手にやるわけがない 朝日新聞の3月2日の報道がなければ、財務省は改ざんを隠蔽しようとしたのである。こんなことは民主主義を標榜する国にはあってはならないことだ 麻生財務大臣 森友・加計問題は、調べれば調べるほど矛盾だらけである 一昔前までならば一気に内閣の崩壊に進んだはずだが、こんなにひどい状況にもかかわらず、朝日新聞、共同通信、日本経済新聞などが最近行った調査では内閣支持率が上がっている 1つは、野党が政権構想を全く持っていないことである。安倍内閣を批判しているだけなのだ。 2つ目は、自民党内に問題がある 中選挙区制から小選挙区制に変わってしまったことにある 3つ目は、6月12日に開催された米朝首脳会談の影響である 自民党幹部 中選挙区制には反対だ。中選挙区の選挙では、一度の選挙で1億円以上の費用がかかる。すると、どうしても表に出せない金が必要になる。一方で、小選挙区制はそれほどの費用はかからない。今は政党助成金もある。だから、今のままでいいと思う」 安倍内閣が続く理由の一端はメディアにもある。というのは、メディアが政治問題を徐々に大きく扱わなくなってきたのである 室伏謙一 ダイヤモンド・オンライン 「加計問題の「本質」は何か、野党の追及がズレている理由」 加計学園問題の本質は、“規制改革に関する国の制度の乱用”に関する疑惑 前川前文部科学次官の言葉を借りれば、「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」のではないかという疑惑である 安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長に会ったか否か、柳瀬秘書官(当時)が「首相案件」と言ったか否か・・・といったことは“状況証拠”でしかない どのように制度が濫用されたのか、制度論、政策論として議論が行われる必要がある この問題は獣医学部設置に関わる規制の緩和の適否”に関する問題であり、そのために新たに創設された“国家戦略特区制度が乱用”されたのではないかという問題である 文科省の)回答 この段階では獣医学部の設置に関する規制の緩和は“全国一律”に進められることが、少なくとも検討されていたということである それがなぜ国家戦略特区に係る規制の特例措置になったのか――。 これこそが時間をかけてでも議論を積み重ねて明らかにされるべきポイント 要は“根拠の薄弱さ”を、文科省の「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」での議論や論点整理等も活用しつつ指摘し、“特例措置”としたこと自体が不適切であったこと、一方で規制改革自体を否定しているわけではないので、“全国的な見地”から検討し直すべきことを突き詰めていけば、政府側の説明が崩れていくのは時間の問題ではないだろうか 日刊ゲンダイ 憲法学者の水島朝穂早大法学学術院教授のネットコラム 「書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態」 3階は図書館になっているが、何と書架には本が一冊もない。(略)本はないのかと尋ねると、上の階の書架に8000冊ほどあり、年内に1万4000冊になるという。完成年度には10万冊というが、これは仰天の数字である。国家戦略特区で設置される「最先端の獣医学部」の図書館にしては、蔵書数があまりにも少ない。そもそも大学や学部の新設の際、図書館の蔵書は、大学設置審議会の重要な審査対象となる 図書館に法律関係の専門書や法律雑誌のバックナンバーなどが授業開始前に十分に揃っていることも設置認可の大前提だった。この獣医学部のように、授業が始まっているのに書架に本が並んでいないということは考えられないことである。本がなければ認可はあり得ない 専門的な実習や実験がこのスペースでできるのだろうかという疑問が生まれた。息子が通った獣医学部は実習や実験の施設が充実していた。それに比べると、3階、4階の基礎実習室は高校の理科室程度の印象だった 専門教育関係で言えば、獣医学部に必須の、牛や豚などの産業動物(大動物)を使った実習施設である大動物実習施設棟B2がまだ土台を作っている段階だった。「平成30年度末の完成」という説明だったが、専門教育の必須施設が未完成で認可がおりるというのは奇跡に近い 『「教室(設備)、教授、蔵書の3つが不十分のまま大学設置審で認可がおりたことが信じられません。ムリヤリ通したツケは現場にくるのではないか
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