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日本のスポーツ界(その17)(代表監督の問題点 なぜ国際経験のない日本人から選ぶのか、代表監督の問題点 なぜ国際経験のない日本人から選ぶのか、剣道連盟で金銭授受問題 「段位」制度はもはや時代遅れ?、金足農「投手の玉砕」を賞賛する甲子園の病 いったい誰のための高校野球なのか?) [社会]

日本のスポーツ界については、8月12日に取上げた。今日は、(その17)(代表監督の問題点 なぜ国際経験のない日本人から選ぶのか、代表監督の問題点 なぜ国際経験のない日本人から選ぶのか、剣道連盟で金銭授受問題 「段位」制度はもはや時代遅れ?、金足農「投手の玉砕」を賞賛する甲子園の病 いったい誰のための高校野球なのか?)である。

先ずは、8月17日付け日刊ゲンダイ「代表監督の問題点 なぜ国際経験のない日本人から選ぶのか」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/235504
・『西野ジャパンは継続されることなく、日本サッカー協会(JFA)は既定路線だった「オールジャパン体制」として森保・五輪監督の代表監督兼任を発表した。この<日本化>に不安要素はないか? ブンデスリーガ1部クラブ元コーチの鈴木良平氏、サッカーダイジェスト元編集長の六川亨氏、ワールドサッカーグラフィック元編集長の中山淳氏の3人の論客が、森保ジャパン誕生の経緯と問題点をズバリ斬る!』、なるほど。
・W杯史上初の1次リーグ敗退に終わったドイツだが、W杯期間中にレーウ監督の留任を発表し、全面的バックアップを表明した。ドイツ復活のために指揮官は誰が適任なのか、じっくりと検証して結論を導いた」 六川「翻って日本の場合は、まずは<日本人監督を据える>という既定路線があった。代表監督を選ぶのに国籍ありきではなく、誰が日本代表を強くできるのか、何よりも<個々の名前>で選ぶのが筋ではないか」 中山「日本代表選手の多くが欧州に渡って言葉を覚え、コミュニケーションを図り、懸命にスキルを磨きながら世界と戦っている。なのに次期監督を国際経験のない日本人の中から選ぼうとし、実際に森保監督がA代表を兼任することになりました。日本人監督の“正当性を補完する”ためにオールジャパン、日本人らしいサッカー、ジャパニーズウエーといった言葉が使われ始めました」』、あのドイツが冷静に監督を留任させたというのはさすがだ。他方、日本の場合は日本人監督を据えるという既定路線があったとは、やれやれだ。何がジャパニーズウエーだ。
・『鈴木「森孝慈・元日本代表監督は1979年にドイツに向かい、名門ケルンの名将バイスバイラーの薫陶を受けた。日本代表を託するにふさわしい若手指導者を日本サッカー協会や日本体育協会(現日本スポーツ協会)が、積極的に欧州に送り出して国際経験を積ませようとしたのです。そういうやり方が、今後は必要となる」 六川「そもそもJFAの技術委員会は、機能していると言えるのか? 森保監督は現在、東京五輪世代のU―21を率いて14日スタートのアジア大会を戦うためにインドネシアに滞在中。決勝まで進むと帰国は9月に入ってから。9月7日からはA代表監督としてキリンチャレンジ杯を戦う。森保監督を補佐するコーチの適任者は誰なのか、欧州組や国内組の代表候補をスカウティングするのは誰なのか、どんなバックアップ体制がとられているのか、まったく見えてこない。ロシアW杯の決勝T進出という<熱気に浮かされる>格好で何も進んでいない」 中山「森保監督自身も不安でしょう。国際経験に乏しく、何も分からないのにアジア大会に臨み、A代表の監督として初采配となるキリンチャレンジ杯を戦い、そして来年1月にはアジアカップが控えているわけですから」』、国際経験のない森保監督の補佐体制が未定とは、お粗末極まりない。
・『鈴木「ドイツ代表にチームマネジャーという役職があり、元代表FWだったビアホフが務めている。彼がメディア対応などを担当し、レーウ監督の負担を大きく軽減している。代表候補選びにしても、かなりの人数のスカウティング担当者が全国を回り、詳細なリポートを作成している。日本サッカーのかじ取り役を森保監督に決めたJFAは、ビアホフのようなチームマネジャーを探し出し、強力にバックアップしていくべきだろう」』、その通りだろう。

次に、上記の続きを8/18日刊ゲンダイ「ベルギー戦の敗因と見えた課題 日本サッカー協会への提言」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/235616
・『中山「ロシアW杯のラウンド16で対戦したベルギーですが、大きな大会ではひ弱さを見せるところがあり、日本にもチャンスがあると予想していました。0―2とリードされたベルギーはそこから選手の2枚替え、システム変更と監督が好采配を見せ、日本は衝撃的な逆転負けを喫しました」 鈴木「決勝点はMF本田のCKを199センチの長身GKがキャッチしたところからスタートした。ハイボールにめっぽう強いGKがいるのに経験豊富な本田が、なぜ山なりのボールを蹴ったのか? 理解できない」 六川「途中出場して同点ゴールを決めたMFフェライニは、すでにピークの過ぎた選手と思っていたが、準々決勝ブラジル戦、準決勝フランス戦はスタメンで出場した」 中山「ベルギーの監督は戦術的に難があると批判されていたが、日本戦の采配がズバリ的中したことで覚醒し、それが停滞気味の選手にも伝わった。準々決勝以降は強さを見せて6勝1敗・16得点の3位は見事でした」・・・鈴木「FWルカク、MFアザール、MFデブルイネの攻撃陣は強力だったね」』、本田のミスは致命的だったのに、これを表立って批判する主要メディアがなかったのは、日本のメディアの限界なのだろう。
・『六川「日本サッカー協会(JFA)が<オールジャパン化>を推進するのなら、たとえば98年フランスW杯の最終予選、本大会でプレーして現在Jで采配を振っている磐田の名波監督、長崎の高木監督、福岡の井原監督、町田の相馬監督ら将来性のある指導者を、海外の代表チームでも強豪クラブでもJFAの提携先で1年、2年と武者修行させるとか、そういった手だてはいかが?」 鈴木「妙案だ。JFAには、アグレッシブで大胆な強化策を期待したい」』、正論である。

第三に、スポーツライターの相沢光一氏が8月21日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「剣道連盟で金銭授受問題、「段位」制度はもはや時代遅れ?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/177831
・『競技団体の不祥事が続く中、今度は全日本剣道連盟(全剣連)で長年続いていた不正が発覚した。 全剣連は剣道、居合道、杖道・・・の3部門を統括しているが、不正があったのは居合道。最高位の八段および、それにつく称号である「範士」の昇段審査で金銭の授受があったという。 剣道の段位は初段から八段まであるが、段位を上げて高段者になるには一生かかる厳しい道だ。初段は一級(級は六級から一級まで)を持つ13歳以上の者が審査を受ければ大体取得できるが、二段は初段取得後1年以上修業、三段は二段取得後2年以上修業といった具合に、昇段審査を受けるには一定の修業期間が設けられている。また、段位が上がれば上がるほど昇段審査は厳しくなり、合格率も下がっていく。だから才能に恵まれた者が修業に打ち込んだとしても五段になるには10年以上、六段になるには20年近くかかるといわれる。 最高位である八段の昇段審査の受審資格を得るには七段取得後10年以上の修業が必要なうえ、合格率は約1%。この道一筋で30年から40年、修業を積んできた猛者たちが100人受けても1人合格するかどうかという狭き門なのだ。 五段以上の高段者には段位とは別に、指導力や人格を備えていることを示す「称号」を与える審査もある。称号は「錬士」、「教士」、「範士」の三種。たとえば錬士は、五段取得後10年以上修業したうえで所属連盟会長から推薦された者に受審資格が与えられるといったように、それぞれ厳しい条件がつく。だから最高位の八段と範士までたどり着けるのは、ごくわずかだ。全剣連の居合道部門の会員は約9万人いるが、範士八段は50人ほどしかいないという』、ここまで狭き門とは恐れ入った。
・『この、ごく限られた者しか挑戦できない頂点の審査において合格のための金銭授受の不正が行われていたのだ。審査員は範士八段が務めるという。居合道は形を見せるものであり、評価には主観的な要素が入る余地がある。その辺の事情に明るい関係者が仲介役となり、どうしても合格したい受審者から金銭を受け取って審査員に分配していたようだ。不正が発覚したのはひとりの受審者の告発がきっかけだが、その告発状によれば総額で650万円の要求があったそうだ』、名誉だけでなく、道場の塾生の集まりなど経済的メリットもあるのだろう。
・『今回の問題が報道された後、全剣連居合道部門の関係者は、「反省している、再発防止に努める」としながらも、「正当化するつもりはないが、茶道や華道など芸事の世界では、こうした行為はよくある」とも語ったという。 たしかに日本の伝統的な武道や芸事では、ありがちな話だ。茶道や華道に段位はないが、流派によって技能の等級を表わす「許状」があって、その取得のためには付け届けが必要だといわれる。日本舞踊もそうだ。技能が上達した証しである名取になるにも、弟子をとって指導できる師範になるにも、家元や師匠に100万円単位の大金を収めなければならない、といった話も聞く。・・・大金を払ってでも段位や許状、名跡を取得すればいいことがあるのだ。取得すれば周囲から尊敬の目で見られるし、弟子を取って指導することもできる。居合道の範士八段にしても、学校や自ら経営する道場で指導する際に箔がつくわけだ。また、昇段審査の審査員を務めることができる。審査員は最高権威者であり、この道を歩んできた者は誰もが憧れる存在だ。大変な努力をしてなったという思いがあるだろうし、中には大金を支払ってこの地位についた人もいるだろう。自分も払ったんだから、その見返りを求める意識が働くのも無理はない。そのようにして続いてきた慣習なのだ。 「他の芸事ではよくあること」という関係者は次のような感覚なのだろう。このレベルまで達する者は長年居合道にすべてを捧げ、技能抜群の達人ばかり。八段や範士の受審はその集大成であり権威を付与するものだ。そこには他の世界にはない慣習がある、と』、コンプライアンス意識が社会に浸透してきたなかで、慣習とはいえ、こんなことがいまだに横行していることに驚かされた。
・『だからといって金銭絡みの情実で合格が決まるのは許されることではない。級から始まって、初段から段位を上げていく過程の審査は厳正に行われているはずだ。その最終到達点の審査で不正が行われていれば、すべての段位審査の信用さえ失いかねないのだ。 全剣連によれば最高段位の八段は「剣道の奥義に通暁、成熟し技量円熟なる者」、範士は「剣理に通暁、成熟し、識見卓越かつ人格徳操高潔なる者」に付与するとある。こうした存在として認められるために金銭授受が必要というのは風刺でしかない。 そもそも武道の段位には、一般社会から見て首を傾げたくなることばかりだ。たとえば柔道。全日本選手権や、さらにその先の世界選手権、オリンピックに出場する選手の多くは三段から五段だ。最強の柔道家といわれる山下泰裕氏(現全日本柔道連盟会長)が1984年ロス五輪で優勝した時は五段だった。前人未到の203連勝して引退した時でも六段。過去の例では十段取得者もいるのにだ(実は柔道の段位に上限はないとされている)。また、剣道の全日本選手権優勝者も五段、六段の選手が多い(過去には七段もいた)。一番強い選手でも最高段位ではないのだ。 一度上がった段位は下がらないということもある。段位は強さだけで決まるものではなく、どれだけ修業を積んだか、奥義に達し、指導力を発揮するという要素もある。七段、八段の人は年齢的な衰えもあって強さは発揮できないが、柔道家、剣道家としてはそれ以上の存在になっているというわけだ。囲碁、将棋の場合、段位と強さは比較的一致するが、強さに技術だけでなく若さ=パワー、スピードなどが必要な柔道・剣道は、一致させることが難しいのだ。 つまり剣道、柔道の七段、八段は権威的存在といえるだろう。そこが伝統的な芸事と共通している部分であり、現代の常識との齟齬が生まれるわけだ』、なるほど。
・『しかし今は競技を見る側も、そして若い選手たちもスポーツとしてとらえている。フェアでなければ成立しないのだ。剣道、柔道は日本が誇る武道であることは確かだが、今回のような不正は世間の理解を超えている。伝統を守るだけでなく、改めるべきことは改める時期にきているのではないだろうか』、スポーツである以上、改めなければ、権威の失墜、人気の離散といった道を辿るだろう。

第四に、ライターの広尾 晃氏が8月23日付け東洋経済オンラインに寄稿した「金足農「投手の玉砕」を賞賛する甲子園の病 いったい誰のための高校野球なのか?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/234656
・『第100回の夏の甲子園は、例年以上の盛り上がりの中、閉幕した・・・大会の深まりとともに、超エリート私学の大阪桐蔭と、地方の公立農業校、金足農業の活躍が際立ち、両者が決勝で対戦したことで、最高潮を迎えた。 興行的には誠に喜ばしい結果になったが、今年ほど、甲子園の運営に厳しい目が注がれた大会もなかっただろう。 その契機となったのは「酷暑」だ・・・NHKの高校野球中継では、「高温注意情報」と題して無用の外出を止め、熱中症対策を呼び掛けるテロップが、炎天下で球児が野球をする中継画像の周囲を囲んだ。これはシュールな絵柄ではなかったか・・・大会期間中、多くの選手が足がつるなど熱中症の初期の症状を訴え、治療を受けた。熱中症で途中で交代したアンパイアも出た。ぎりぎりの状態での大会運営だったことは間違いないだろう』、NHK高校野球中継の画面は確かにシュールだが、夏場の開催を見直す動きはなさそうだ。
・『それ以上に問題視されるのが、投手の「酷使」だ。 もともと、日本の高校野球は、世界のアマチュア野球の潮流から見れば、異様な存在である。 アメリカでは「ピッチ・スマート」という名前で年齢ごとの投球数と登板間隔を定めている。高校生に相当する17~18歳では76球以上投げた投手は4日以上の登板間隔を開けなければならない。しかるに今年の夏の甲子園では、金足農業の吉田輝星(こうせい)は、8日の初戦から大会を通じて計881球を投げた。アメリカなど海外の指導者が聞けば、卒倒するような数字だ』、これを美談に仕立て上げるメディアも罪作りだ。
・『「甲子園至上主義」という悪弊 すでにアメリカなど海外メディアは、日本の高校野球の登板過多、投球過多には強い関心を持っている。2013年、済美の安樂智大(あんらく・ともひろ、現楽天)が、春の甲子園で決勝戦まで一人で772球を投げた時は、アメリカのジャーナリスト、ジェフ・パッサンが安樂や済美の上甲監督(当時)に取材し「甲子園至上主義」ともいうべき日本の高校野球の特殊性を世界に発信した。 日本からMLBに渡る投手に対するメディカルチェックが厳しいものになっているのも、ほとんどの投手が「甲子園の洗礼」を受けているからだ。 甲子園で多くの球数を投げた投手の将来は、明るいとはとても言えない。 12年前に「ハンカチ王子」との愛称で全国的な人気となった斎藤佑樹は今年30歳となり、進退をかけるマウンドが続いている。他の投手も一時的には全国的に注目されたが、松坂大輔を除いてプロで活躍した投手はいない。その松坂にしても、同世代屈指の投手と言われながら、200勝には遠く届かない。成功したと言い切れないのではないか。 2013年春に772球を投げた安樂も楽天で5勝10敗、防御率3.50とくすぶっている。 881球を投げた金足農業の吉田の前途も洋々とは言えないだろう。 高校生の世代で短期間に膨大な球数を投げれば、その後の野球人生に深刻な影響を与えるのは、疑問の余地がない。選手生活も短くなり、投手を続けられなくなる可能性さえある。 それが自明でありながら、日本の高校野球は毎年のように登板過多の投手を出している。そして多くの大手メディアは、これをもろ手を挙げて賞賛している。 確かに今年の金足農業のように、地方の公立農業高校が決勝まで駆け上がるのは、快事ではあろう。地方経済が縮小し、農業も高齢化が進む中、日ごろは家畜の世話をし、田畑で農作業を学ぶ高校生が大活躍すれば、地元の人々は大いに勇気づけられるだろう』、高校生投手でこれだけ多くの犠牲を出しながら、見直しの声が少数派なのは残念だ。
・『メディアの役割 しかし、それを報じる一方で、投手の酷使による健康被害について懸念を示すのが、健全なメディアではないのか。 テレビのワイドショーも連日、金足農業の活躍を取り上げた。試合に勝った日に高校で豚が9匹の子を産んだことまでにぎやかに報じたが、投球数に関する報道は極めて少なかったように思う。それどころか、ある野球評論家は決勝戦の前に「吉田君は投げ方がいいから、肩や肘に負担がかからないので大丈夫ですよ」と発言していた。これはきわめて無責任な意見だと思う。 8月20日に甲子園で行われた始球式に臨んだ桑田真澄氏は、金足農業の吉田に「僕も大阪大会で5連投した経験者として、もしも痛いところが出たらすぐに声を出してほしい」とアドバイスしたと報じられた。桑田氏は投手の酷使を懸念し、高校野球改革の必要性を訴えているが、その記事の扱いは極めて小さかった。 ネットでは、橋下徹氏をはじめ、投手の酷使、登板過多に対する懸念を表明し、甲子園の仕組みを改革すべきだという意見が数多く発表されている。しかしその多くは雑誌系メディアであり、新聞系のメディアはほとんどこれに触れていない。また論じているのは橋下氏など外部の有識者やフリーライターなどであり、大手新聞の記者で明確な意思表示をした人はほとんどいないのではないか。 まるで甲子園の投手の酷使や、球数制限について触れるのは、タブーであるかのようだ』、「吉田君は投げ方がいいから、肩や肘に負担がかからないので大丈夫ですよ」と発言していた野球評論家の無責任ぶりにはあきれるほかない。桑田真澄氏のアドバイス記事の扱いが極めて小さかったというのも、新聞系メディアのタブーのためなのだろう。
・『今年、甲子園の投手の酷使が例年以上に大きな話題になっているのには、ある新書の出版が与えた影響が大きい。『甲子園という病』(新潮新書)・・・著者の氏原英明氏は十数年にわたって高校野球に密着し、選手の技術からメンタルまできめ細かな取材を行ってきた・・・その氏原氏をして、甲子園は危機的な状況であり、トーナメント戦からリーグ戦への移行など、大胆な改革が必要だ、と書かしめたのだ。『甲子園という病』は、外部の有識者の懸念とは一線を画す切実な思いが込められた本だといえよう。 氏原氏は今大会も連日甲子園の記者席に詰めて、全試合を観戦し、選手、指導者のインタビューにも参加している。大会期間中に氏原氏に話を聞いた。「私が高校生の投手の酷使に疑問を抱いたのは、2013年春の安樂投手の772球がきっかけでした。あのときは、日本のメディアも少しは取り上げましたが、夏に安樂投手が出てきたときには、もう球数の話はしなくなりました。今大会も、済美対星稜の試合で済美の山口投手が延長13回を1人で投げきり、184球を投げました。 この試合後のインタビューで、新聞などメディア系の記者は誰も球数について監督や選手に質問しませんでした。侍ジャパンU18メンバー発表の際に連投した金足農の吉田投手が入っていることを質問したのも私だけでした。フリーランスのライターがその質問をするとその答えを記者たちがメモをとる。そんな図式です。何を恐れているのか、何に忖度しているのか、と思います」(氏原氏) 『甲子園という病』は、アマゾンのスポーツジャンルで上位にランクされるなど、多くの人に読まれている。それだけ今の高校野球報道に不満を持ち、疑問を抱いている人が多いということではないかと思う。 大げさに言えば、これは「メディアの危機」でさえある。現場の誰もが認める「投手の投球過多」という深刻な問題を、そのまま伝えることができない新聞、テレビ。何かに忖度をして口を閉ざすメディアは、果たして信頼するに足るのか』、何かに忖度をして口を閉ざす「メディアの危機」は、この問題に止まらず、政治面でも顕著になっているので、決して大げさではないと思う。
・『有力な高校の監督に話を聞くと、「私たちがいくら投手を大事に使おうと思っても、今の地方大会、高校野球の日程が変わらないのだから、どうしたって酷使せざるを得なくなっている。学校や監督の力だけでは、どうすることもできない」という意見がしばしば出てくる。このあたりが「病」といいたくなるような根の深さなのだと思う。 21日の甲子園閉会式で高野連の八田英二会長は「秋田大会からひとりでマウンドを守る吉田投手を他の選手が盛り立てる姿は目標に向かって全員が一丸となる高校野球のお手本のようなチームでした」と語った。 そこには、高校野球が直面している大きな問題に対する危機感はうかがえなかった。金足農業のように、1人の投手しか用意せず、過酷なトーナメント戦を玉砕戦法で戦う高校が今後も増えれば、高校野球への不信感はさらに高まるだろう。 いろいろなしがらみはあるだろうが、高野連、朝日新聞などのメディアは、誰のために、何のために高校野球を運営し、報道しているのかを改めて考えるべきだろう。記念すべき100回大会を、そのための起点にしてもらいたいものだ』、その通りだ。
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