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日本のスポーツ界(その18)(東京五輪種目からボクシングが除外される? 現在の国際連盟トップはロシア系マフィア幹部、不祥事が相次ぐスポーツ界に蔓延する勘違い スポーツが持つ本来の価値とはそもそも何か、暴力指導者がパワハラ幹部と対立 体操協会「スポ根トラブル」の愚、体操パワハラ問題の影 支配される側の心理 極限下の「認められたい気持ち」) [社会]

日本のスポーツ界については、8月26日に取上げたばかりだが、今日は、(その18)(東京五輪種目からボクシングが除外される? 現在の国際連盟トップはロシア系マフィア幹部、不祥事が相次ぐスポーツ界に蔓延する勘違い スポーツが持つ本来の価値とはそもそも何か、暴力指導者がパワハラ幹部と対立 体操協会「スポ根トラブル」の愚、体操パワハラ問題の影 支配される側の心理 極限下の「認められたい気持ち」)である。

先ずは、8月30日付けJBPressが新潮社フォーサイト記事を転載した国際アナリストの春名幹男による寄稿「東京五輪種目からボクシングが除外される? 現在の国際連盟トップはロシア系マフィア幹部」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53906
・『実は、日本ではあまり知られていないが、東京五輪でのボクシング開催が危ぶまれている。東京五輪でボクシング種目が除外された場合、誰も参加できない・・・国際ボクシング連盟(AIBA)は、財務問題や審判選任問題、内紛など問題が山積。さらに現在の会長代行は、米政府によってロシア系マフィアの幹部として金融制裁の対象に指定されている。 トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長が、IOCとして「東京五輪種目からボクシングを除外する権限を保持する」とローザンヌで記者団に発言するほどの事態に陥っているのだ。 東京五輪からボクシングが除外されたら、日本ボクシング連盟の責任だって問われかねない。すでに開催を前提とした準備活動も行われているだろう。そのうえ、山根氏は国際ボクシング連盟会長代行との関係が近い、とも伝えられている。そんなことも辞任決断の理由だったかもしれない』、これは驚きのニュースだ。
・『現在の国際ボクシング連盟会長代行は、ウズベキスタン人のガフル・ラヒモフ氏(67)。ラヒモフ氏がロシア系犯罪組織の幹部、という事実は米財務省の情報機関「情報分析局(OIA)」が突き止めたとみられている。 ラヒモフ氏とマフィアの関係が最初に暴露されたのは、2012年2月23日。米財務省は、日本の「ヤクザ」組織山口組の幹部2人とユーラシア一帯で暗躍する「ブラザーズ・サークル」と呼ぶ犯罪組織グループの7人の主要メンバーに対する金融制裁を発表した。 ブラザーズ・サークルはユーラシア大陸の旧ソ連構成国や中東、アフリカ、中南米に至る地域で暗躍する犯罪ネットワークといわれる。その主要メンバーの1人、ラヒモフ氏は「ウズベキスタンの犯罪組織のリーダーで、中央アジアでのヘロイン生産から密輸に至る大シンジケートを運営している」と米財務省は発表した。最大のヘロイン生産国アフガニスタンなどアジア各地で生産された麻薬をカフカス地方を経て欧州に密輸する秘密組織の幹部、というわけだ』、なんと札付きのワルが国際ボクシング連盟会長代行、とは開いた口が塞がらない。
・『米財務省OIAは、全部で17ある情報機関で構成される米国のインテリジェンス・コミュニティ(IC)の一角を成している。 テロ・金融情報担当財務次官の傘下には、OIA担当と「テロ組織金融」担当のそれぞれの次官補が置かれ、さらに「外国資産管理室(OFAC)」「金融犯罪対策ネットワーク」の部門がある。 ブラザーズ・サークルの組織と幹部の行為が証拠付けられたので、OFACが大統領令に従って、(1)彼らの在米資産の凍結、(2)彼らとの取引禁止――を命令したというわけだ。 財務省情報機関は、専門的知識や手段を駆使して彼らの金融取引を追跡、さらに携帯電話の盗聴なども行っているといわれる。 OIAの情報工作とOFACによる制裁は、昨年までの国連安全保障理事会による一連の対北朝鮮制裁決議を受けた「2次制裁」で効果を発揮し、北朝鮮側を追い詰めた』、さすが米国、信頼できそうだ。
・『さらに、IOCにとって困ったことは、ラヒモフ氏が年明け1月27日、AIBA(国際ボクシング連盟)の会長代行に任命されたことだった。 その1週間後、IOCのバッハ会長はIOCがAIBAの腐敗問題を調査すると発表した。しかし、IOCが求めた組織改善策は実行されないままになっている。 そもそもAIBAは、さまざまな問題が噴出して大揺れに揺れてきた。これまでAIBAおよびラヒモフ氏の問題を最も活発に追及してきた米国の『自由欧州放送』(RFE/RL)によると、(1)アゼルバイジャンの建設会社からの借入金約1000万ドル(約11億円)の未返済問題、(2)反ドーピング措置の遅延、(3)2016年リオデジャネイロ五輪での判定問題――などがある。 リオ五輪での判定問題では、疑惑の判定が多々指摘され、AIBAは36人のジャッジとレフェリーを業務停止処分とした。 未返済金をめぐっては、内部対立が深刻化し、昨年11月に当時の会長、呉経国氏(台湾)が引責辞任。後任にフランコ・ファルチネリ氏(イタリア)が就任したが、今年1月突然辞任した。ラヒモフ会長代行は1月27日の臨時総会の昼食休憩中に理事会で選ばれたという。 ラヒモフ氏は旧ソ連時代にウズベキスタンでボクシングを始めて、コーチとなった。ソ連崩壊後は輸出入ビジネスで財を成し、スポーツ界でも要職に就いた。国際ボクシング連盟では2002年から副会長を務めていた。 会長代行は今年11月の総会までの任期。新会長人事や組織改革など、総会で何が決定されるのか。その結果次第で、IOCは東京五輪でのボクシング種目開催の可否を決めるとみられる』、国際ボクシング連盟の闇は驚くほど深そうで、これでは東京五輪種目からボクシングが除外される懸念が強そうだ。

次に、日本女子大学教授の細川 幸一氏が9月1日付け東洋経済オンラインに寄稿した「不祥事が相次ぐスポーツ界に蔓延する勘違い スポーツが持つ本来の価値とはそもそも何か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/235446
・『アジア競技大会2018・・・またしても不祥事に見舞われてしまった。男子バスケットボール日本代表の4人の選手が日本の公式ユニフォームを着たまま選手村を出て、歓楽街で買春行為に及んだというニュースだ。本人らはすぐに代表認定を取り消され、20日に強制帰国。その夜には日本バスケットボール協会の三屋裕子会長らとともに記者会見に臨んだ・・・本人たちも突然の苦境におどおどしていたのが印象的だった・・・やはり自らの使命を自覚しない対応が問題を大きくしてしまったことは事実だ・・・日本バスケットボール協会は、買春行為をした4選手に1年間公式試合への出場権を剥奪する処分を科すことを決めている。』、制服を着たまま買春とは、お粗末の一言に尽きる。
・『直近では体操の2016年リオデジャネイロ五輪代表、宮川紗江選手が日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長などからパワハラの被害にあったと主張。協会側は8月30日に第三者委員会を設置して調査することを決めた。31日には、塚原光男副会長と女子強化本部長側が文書を発表し、選手に謝罪をしたものの、パワハラの指摘については反論をしている。 5月には日大アメフト部の悪質タックルが問題になった。監督やコーチの指示であったことが明らかになり、学長をはじめとする日大の対応のまずさも火に油を注いだ。日大が所属する関東学生アメフト連盟は指示を認定し、内田前監督と井上元コーチを除名。日大は今年度の公式戦の出場資格停止処分が下されている・・・次に、日本ボクシング連盟の前会長、山根明氏をめぐる数々の不正の疑惑。アスリート助成金の不正流用や、78歳になる山根氏の独裁的体制など、12項目もの問題点が告発された。8月22日には連盟の理事は総辞職しており、第三者委員会のもと原因究明と今後の新体制構築に向けて動いている。 さらに、全日本剣道連盟における昇段審査における不正な金銭授受問題が8月17日に発覚。同連盟が統括している剣道、居合道、杖道(じょうどう)のうち、居合道の最高位の八段およびそれにつく称号である「範士」の昇段審査で、受験者から審査員に100万円単位の謝礼が渡されていたことも問題になった。 そこへきてのバスケ男子日本代表の歓楽街不祥事だった』、僅か4か月間でこんなにも不祥事が連続とは、全く尋常ではない。
・『そもそもスポーツは「健全な精神は健全な肉体に宿る」ということで、自らの存在意義を強調している場合が多いようにも思う。ここに問題はないのだろうか。この言葉はどこから来たのであろうか。 調べてみると、語源は古代ローマ時代の詩人ユウェナリス(Juvenalis)の『風刺詩集』第10編にある一節だった。 ラテン語で「Orandum est ut sit mens sana in corpore sano.」がその言葉だ。 読み方は「オーランドゥム・エスト・ウト・シト・メンス・サーナ・イン・コルポレ・サーノー」だ。 英語訳は「A sound mind in a sound body」とシンプルに訳されることがあり、それが「健全なる精神は健全なる身体に宿る」という日本語訳になっているようである』、なるほど。
・『ラテン語の本来の語義 ラテン語研究者の山下太郎氏によれば・・・「You should pray for a healthy mind in a healthy body」が正しく、「健全な精神が健全な肉体にあるように祈られるべきである」ということだ。 そして重要なのは、『風刺詩集』第10編は、幸福を得るため多くの人が神に祈る事柄(富、地位、栄光、美貌など)を挙げ、いずれも身の破滅につながるので願い事はするべきではないと戒めている詩であるということだ。 ユウェナリスはこの詩の中で、もし祈るとすればということで、この言葉を使っている。山下氏によれば、人間はあれこれ分不相応な欲望を持つが、願い事をするならもっとつつましく「健全な精神が健全な肉体に宿りますように」とお祈りすべきである、という主張がその詩の中には示されているだけだという。 この時代にも不祥事が続き、せっかく健全な肉体を持っているのだから、精神も健全にという思いを表した言葉という見解もある』、もともとは願望に近いものだったとは初めて知った。
・『近世になって国家間の覇権争いが始まると、ナチス・ドイツなどがスローガンとしてこの言葉を利用し、身体を鍛えることによってのみ健全な精神が得られるとして、軍国主義を推し進めたとされる。 日本でも軍国主義の時代を経て、「宿る」という言葉が使われはじめ、「健全な肉体でなければ健全な精神は宿らない」という解釈となり、今日のスポーツ界の信仰のようになっているようにも思う。スポーツ界の非科学的発想、軍国主義の影響はよく指摘される。 そもそも肉体が健全でないと健全な精神が宿らないとしたら、体に障害があったら、精神が健全にはならないということとなり、とんでもない発想であることは現代の常識からはすぐにわかるはずだ。 しかし、現在のスポーツ界では、軍隊的な厳しい鍛錬を通して、理不尽な命令にも従う従順性を選手に刷り込んでしまっているように思う。高校野球も、今夏、金足農業高校の「投手の玉砕」が問題となり、橋下徹氏などが、その軍事教練的運営を批判している』、現在の使われ方はナチスが先鞭をつけたとは、ありそうな話だ。
・『健全な肉体の完成度の評価は、現状では試合で勝つことだろう。組織が大きくなり、また国家の威厳や、大学の広報にスポーツが活用されている今日、ともすれば、勝ちさえすればいいという安易な発想が支配的となる。結果としてスポーツマンシップにもとる不正を行ったり、勝者であるなら、後輩への威圧や私生活での振る舞いを問わないような風潮に結びつく。 また、相撲界の閉鎖的組織に代表されるように、過去の勝負の勝者で組織を固める日本のやり方が多くの問題をはらんでいる。 過去の実績が権威の源となり、権威者を頂点とする閉鎖的組織が形成され、組織の理論が世間の常識から離れたことに気づかず、結局、精神の健全性はどこかへ追いやられてしまう。審査にあたり金銭を授受した剣道連盟の審査員たちは最高位の八段範士だそうだが、それが武士道精神に反しているとは思わなかったのだろうか』、「過去の勝負の勝者で組織を固める日本のやり方が多くの問題をはらんでいる」は相撲界のみならず、スポーツ界一般にいえることだ。
・『そもそもスポーツとは何かを考える必要がある 違法カジノ店での賭博の不祥事で活動を制限されたバトミントンの桃田賢斗選手が8月の世界選手権(中国・南京)で日本男子初となる金メダルを取り復活した。デイリースポーツ(7月25日付)のインタビューによれば、謹慎中に、所属するNTT東日本の人事総務課で事務作業に携わり、心を入れ替えたという。入社以来、遠征に行っていて、会社がどんな仕事をしているか知らず、謹慎を経て会社や周囲への感謝の気持ちが強くなったと語った。 桃田選手は、今回のアジア大会で出場したシングルスでは惜しくも3回戦で敗れたが、東京オリンピックでの活躍が期待されている。 スポーツは力で勝つものだ。しかし、そこには公正なルールが必要だし、そもそもスポーツが成り立つのはそれを支える多くの人々がいるからだ。そうしたことを学ぶのがスポーツのはずなのだが、そうはなっていない現状は嘆かわしい。 そもそもスポーツとは何なのか。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前にもう一度考える必要がある』、正論である。まずは、スポーツ庁が旗を振る必要があるのではなかろうか。

第三に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が9月6日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「暴力指導者がパワハラ幹部と対立、体操協会「スポ根トラブル」の愚」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/179101
・『選手・コーチ側と塚原会長夫妻側の争いが、泥仕合の様相を呈してきた日本体操協会のパワハラ問題。実は両者は“似たもの同士”で、その根底には日本のスポーツ界に脈々と流れる「スポ根思想」が横たわっている。 発端となったコーチの発言に透ける「スポ根」思想 「加害者」とされる側が、「直接会って謝りたい」と白旗を上げたのに、「被害者」がそれを拒否して、「これまでの体制を一新しろ」と言い出すなど、ここにきてゴリゴリの「パワーゲーム」の様相を呈してきた体操パワハラ問題。昨日、その戦況に大きな影響を与える出来事があった。 そもそもの発端である、速見佑斗コーチが「謝罪会見」を開いたのである。 内容については既に多くのメディアで報じられているのでここでは割愛するが、個人的に注目をしたのは以下のような速見氏の発言だ。「指導9年目になるんですが、最初の方は危険が及ぶ場面で、たたいてでも教えることが必要だと思っていた。ここ数年は良くないって分かっていながらも、我慢できずたたいていたのが数回あった」 頭では暴力が良くないとわかっていながらも、感情が高ぶると反射的に手が出てしまう。麻薬中毒患者さながら、暴力衝動を前に理性が吹き飛んでしまったとおっしゃっているのだ。 なんてことを言うと、速見氏を批判しているように聞こえるかもしれないが、そういう意図はない。会見で見る限り真摯に反省をしているようだし、まだ未来のある方なので、カウンセリングなどで暴力衝動を抑えるようになって、ぜひまた体操界に貢献していただきたいと心から願う。 では、なぜ彼の言葉をわざわざ取り上げさせていただいたのかというと、ここに今回の騒動の本質を見ることができるからだ。 それは一言で言ってしまうと、「強い選手に育てるためには、ある程度の暴力やハラスメントはしょうがない」という、スポ根的な思想である』、背景に「スポ根思想」を指摘するとはユニークな見方だ。
・『コーチ側と塚原夫妻側はスポ根思想の「似た者同士」 会見で速見コーチは、「気持ちが入っていない時、危ない時にたたかれていた。当時はそれに対し、教えてもらえたという、むしろ感謝の気持ちを持ってしまっていたので、そこが自分の根底にあった」と述べた。つまり、彼が女子選手に暴力指導をしたのは、選手時代に植え付けられたこの思想によるところが大きい。 一方、塚原夫妻も、そこに引き抜きの意図があったかどうかはわからないが、女子選手を強引に速見コーチと別れさせようしたのも、「五輪に出られなくなる」などと脅したのも、突きつめていけば「強い選手をつくるため」だ。 要するに、両者は同じスポ根的思想にとらわれた“似た者同士”なのだ。 彼らの罵り合いがどうにもモヤモヤするというか、スキャンダルを利用した“権力争い”のように見えてしまうのは、実はこれが理由だ。 例えば、速見コーチに暴力を受けた女子選手はとどのつまり、「暴力はあったけど、騒ぐような話じゃないから、大目に見ろ」と求めている。その一方で、まだ第三者委員会の調査結果も出ていない「塚原夫妻のパワハラ」に関しては、断じて許さないと一歩も引かない。自分サイドの「暴力」には甘いのに、憎き政敵の「パワハラ」は1ミリも譲歩せず徹底糾弾という、どこかの国の野党のようなダブルスタンダードが生まれてしまうのだ。 もちろん、それは塚原夫妻も同様だ。「暴力は断じて認めない」というスローガンを掲げながらも、幼い頃から速見コーチを心から信頼してきた女子選手に対して、コーチをボロカスに叩くという「言葉の暴力」をサラッとやってのけるという、こちらもダブスタの罠にまんまとハマっている』、「両者は同じスポ根的思想にとらわれた“似た者同士”」というのはうなずける見方だ。
・『このように「似た者同士」が会見とリークで権力争いを繰り広げているという本質が見えてくると、このバトルがどっちに転んでも、決して体操界にプラスにならないというのは明らかだ。 もし、メディアに出ている池谷幸雄氏、森末慎二氏など日体大OBらが主張する「塚原夫妻永久追放」を為し得て新体制になっても、先ほど申し上げたように、「強い選手をつくるためには、ある程度の暴力やハラスメントはしょうがないじゃん」というスポ根思想は全く同じなので、程なくして似たようなパワハラや暴力が水面下で行われる。夫妻がパワハラ疑惑を乗り越えて現体制が続いても、同じことが言える。あいつが悪い、こいつがいなくなればいい、で解決できる問題ではないのだ』、確かにその通りだ。
・『現代まで連綿と続いている強い部活やクラブでのスポ根指導 では、どうすればいいのか。いろいろな意見があるだろうが、やはり問題の根っこを元から絶つべきだ。そう、速見コーチのような若くて才能のある指導者でさえも陥っている、「スポ根的思想」を徹底的に潰していくのだ。 これまでもスポーツ指導者の暴力は度々問題になったが、その中でも注目を集めたのは、2012年に起きた名門・桜宮高校バスケ部顧問の体罰だ。試合のミスを理由に、ほかの部員の前で見せしめといてたびたび殴られていたキャプテンが、その苦悩を両親に打ち明けた後に、自殺したのだ。 実はこの顧問、速見コーチと同じく日本体育大学を卒業している。 その少し後に、日本体育大学柏高等学校の野球部部長が、1年生部員の頬をたたいたということで交代させられている。他にも、日体大出身の指導者の「暴力」はたびたび問題になっている。 そう言うと、「ははあん、さてはこいつは速見コーチの暴力を日体大のせいにしたいのだな」と早とちりされてしまうかもしれないが、筆者が言いたいのはそんなことではない。 日体大はこのような問題が起きた後、体罰や過酷な練習で亡くなった子どもの遺族を招き、指導者を目指す学生を相手に講演を定期的に行ったり、学生たちの意識調査を行ったりするなど、スポーツ界から暴力を根絶するための取り組みに非常に力を入れているのだ。 では、なぜ筆者が日体体の話を出したのかというと、彼らが桜宮高校の問題などを受け、新入生に行ったアンケートが非常に興味深いからだ。 「ほぼ3人に1人が高校時代に体罰を受けたり、見聞きしたりしたことがあると回答。さらに深刻だったのが、体罰を容認する学生の意識でした。「強い選手を育てるには、しかたない」「体罰は、コーチからの愛情」「別になくなる必要はないと思う」こうした意識のままでは、体罰を肯定する指導者になりかねない。(NHKクローズアップ現代 2013年6月13日放送) ご存じのように、日体大は全国からスポーツエリートたちが集結する大学である。 つまり、それぞれの地域の名門高校の部活、名門クラブ、名門チームで2013年時点でも、いまだに指導者たちが、未来のトップアスリートたちに、スポ根指導を行っているということだ。 事実、今年34歳の速見コーチも会見で、指導者が時に暴力で危険を教えるということについて、「子どもの頃にそういう認識を持った」とおっしゃっている。 暴力を受けた子どもが、大人になって児童虐待をするように、人は自分が受けた「ハラスメント」を、大切な人に知らず知らずに「再現」してしまう。ミスをした女子選手に怒鳴り、叩き、髪を引っ張るのは、速見コーチ自身がそういう暴力を受けながら「強い選手」になったからなのだ』、「問題の根っこを元から絶つべきだ」というのは正論だが、簡単ではなさそうだ。
・『暴力はドーピングと同じ それを幻想で勘違いさせている  このような話をすると、必ずスポーツ関係者から、「言いたいことはわかるけど、ある程度の暴力指導でチームや選手が強くなるのも事実」というような、本音が飛び出してくる。 確かに、それはある面で真実だ。 例えば、日大アメフト部の内田正人前監督は、選手へ反則行為を強要するだけではなく、部員やOBにも暴力を振るっていたと告発されているが、一方で、監督時はライバル関西学院大学を下して、チームに日本一にしている。彼の「暴力」と「恐怖」は名門復活には必要だった、と見ることもできるのだ。 また、速見コーチにしても、女子選手をリオ五輪の代表にするなど、暴力を振るいながらもちゃんと結果を出している。だから、彼女も速見コーチの暴力を、「自分が悪いときに叱ってくれただけ」「強くなるのに必要だった」と、先ほどの日大の新入生のように考えている。 だが、これは残念ながら「ドーピング」と同じようなものだ。「暴力」によって結果が出ているのではなく、「暴力」によって生み出される幻想が、選手の力を引き出しているのだ。その幻想とは「愛」だ。 速見コーチと女子選手のようなマンツーマン指導では、何をおいても両者の信頼関係が大切となってくる。本当にこのコーチは自分を大切に思っているのか。ついていっていいのか。そんな選手の迷いを打ち消すには、指導者は「俺はお前のことを大切に思っている」と伝えて、わからせないといけない』、なるほど。
・『そこで必要なのは綿密なコミュニケーションだが、百の言葉よりも、何十時間の話し合いよりも、手軽に、効果的にそれを伝えられるのが実は「暴力」なのだ。 わかりやすいのが、DV(ドメスティック・バイレオンス)である。筆者も記者時代、何人かDVの被害者にお会いしたことがあるが、不思議なことに、手を上げた夫や恋人を悪く言う人はあまりいない。むしろ、こんな調子で自分を責めたり、頑なに相手をかばったりする。 「殴られるようなことをした自分が悪い」「不器用な人なので、つい手をでてしまうだけなんです」 東京都生活文化局の「若年層における交際相手からの暴力に関する調査」(平成25年2月)で、どのような場合に暴力を振るったら許されるのかという質問を女性に行ったところ、「愛情があれば許される」「謝れば許される」「振るわれる方に原因があれば許される」というように全否定しない割合は、25~29歳は12%だったところ、18~19歳は36.6%と、3倍以上も容認派がいるのだ。 また、恋人から暴力を受けても別れない女性のうち、45.1%が「暴力は嫌だけど、いいところもあると思ったから」と答えている。 8年間、速見コーチと苦楽を共にしてきた18歳の女性選手が、髪を引っ張られたり、叩かれたりという暴力を受けても、それでも関係を解消しないのは、同じ心理が働いている可能性が高いのだ』、その通りなのだろう。
・『当たり前の話だが、世の中には「暴力」を介さなくても、信頼関係を築いている夫婦も恋人もたくさんいる。暴力指導を受けなくても一流のアスリートになっている人もたくさんいるし、頬をたたいたり、髪を引っ張ったりしなくとも選手に重要なことを伝えられる指導者はたくさんいる。 にもかかわらず、いまだに「暴力で強くなる部分もある」なんてことを平気で口走るスポーツ関係者がいるのは、手を上げた方が、時間と手間をかけて必死に伝えるよりも、はるかに「ラク」だからだ。 単にかつて自分がやられた暴力を再現したり、感情が抑えきれないだけなのに、「激しく殴られたり、激しく怒るというのは、それほど自分のことを真剣に思ってくれている」なんて勘違いを勝手にしてくれる。手っ取り早く結果を出したいコーチにとって、こんなありがたい話はない。つまり、暴力は、実は指導者にとっての「ドーピング」なのである。 いま、スポーツ界はこのような「暴力」を根絶すると合言葉に掲げている。だが、その旗振り役となっている人々がご多分にもれず、「暴力」を受けてここまできた。だから、心のどこかに「強い選手に育てるためには、ある程度の暴力やハラスメントはしょうがない」という思いがある。 そういう人たち同士で、「それはパワハラだ」「そっちは暴力だ」と罵り合っているのが、いまの体操協会の問題なのだ。 昨年、福岡県の男女共同参画推進課が制作したDV防止のポスターが大きな話題になった。そこにはこんな言葉が添えられている。「愛情がズレただけ? いいえ、それは暴力です」 体操界のみならず、すべてのスポーツ界の指導者たちが、心からこのように言えないことには、似たような「権力争い」が繰り返されて行くのではないか』、「暴力は、実は指導者にとっての「ドーピング」なのである」とすると、その根絶には相当のショック療法と長い年月を要するだろう。

第四に、健康社会学者の河合 薫氏が9月4日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「体操パワハラ問題の影 支配される側の心理 極限下の「認められたい気持ち」」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/090300181/?P=1
・『8月29日に行われた体操女子選手の記者会見。「権力に支配される体操協会ではなく、選手一人ひとりが純粋に強くなれる環境にしてほしい」 こんなにも重たくて切ない言葉を、18歳のアスリートがカメラの前で主張しなければならない異常事態に「またか」と強い憤りを覚え、「全部嘘」と言い放った塚原光男副会長には心底呆れ果てた。 と同時に「パワハラ」というシンプルな言葉がもつ複雑さを改めて痛感した。つまり、権力者塚原夫妻のパワハラ疑惑問題にだけ、スポットを当ててしまうのはちょっとばかり違うよ、と。 そもそもの騒動の始まりは、この体操女子選手を指導していた速見祐斗元コーチのパワハラ疑惑だ・・・5日後の8月21日。この女子選手の代理人弁護士が、彼女の直筆の文書を発表。内容は、速見コーチは頭をたたくなどしたが、選手本人は被害を訴えていないとしたもので、協会が暴力行為を認定した根拠や、重い処分を執行したプロセスに不自然さがあるとしたものだった。 「オリンピック金メダルという目標は速見コーチとだからで、他のコーチとでは私の望むことではないし、意味がありません。」(選手の直筆文書より)・・・8月29日。女子選手が記者会見し、コーチの暴力行為を一部認めるものの「パワハラではない」と主張した上で、塚原夫妻から受けた「パワハラ」を告発。今回の騒ぎとなったのである』、なるほど。
・『ストックホルム症候群 世間(メディア?)の関心は、塚原夫婦のパワハラだけに集中しているけど、加害者もパワハラを認め処分が下された案件を「被害者が加害者を擁護する」という、パワハラ問題を理解する上で極めて重要な視点がないがしろにされている。 もちろん塚原夫婦のパワハラ疑惑は、日本体操協会の具志堅幸司副会長の言う通り「全部膿を出して新しく出発しないと東京五輪はあり得ない」大きな問題である。 が、奇しくも女子選手の記者会見に同席した弁護士が、「当事者(被害者)さえ否定すれば問題ない、との流れができる可能性もあり、非常に難しい問題」と訴え、ストックホルム症候群(後述)を例にあげたように、パワハラ問題の本質を捉えることはホント難しく、誰かを吊るし上げてジ・エンドとなるものではない。 私は彼女の記者会見を見て、上司からパワハラを受けていた人たちがインタビューで語った言葉とダブった。そうなのだ。私のフィールドワークに協力してくれた700人弱の方たちの中には、上司のパワハラで精神的に追い詰められ、会社を辞めたり、仕事ができなくなったり、今なお「その経験」から抜け出せず苦悩する人たちがいた。 アスリートとビジネスパーソン、コーチと上司、選手と部下、協会トップと会社トップと違いはあれど構造は全く一緒。 パワハラは、加害者と被害者という二者間の問題ではなく、それを生む組織風土、階層組織の権力、人間の本能に宿る欲望や欲求、さらには「知覚」が強く影響する』、パワハラは背景をかなり幅広く捉えてみてゆくべきというのは、確かにその通りだ。
・『「人は見えるものを見るのではなく、見たいものを見る」という、極めて根源的な問題が複雑に絡んでいるのである。 というわけで、今回は「パワハラ」という行為について、「心の窓」から考えてみようと思う。 まず最初に「ストックホルム症候群」について、説明しておく(ご存知の方も多いとは思いますが)。 これはDV(ドメスティックバイオレンス)の調査などでも用いられる精神用語の一つで、恐怖を与える他者から決して逃れられない状況下で、加害者に好意や共感、さらには信頼を抱く心理状態を言う。心的外傷後ストレス障害として扱われる場合もある・・・女子選手の弁護士は、「手でたたかれたり、髪の毛を引っ張られたりされたことはある」と彼女が認めながらも、その行為を「自分のための指導」と容認したことについて、「ストックホルム症候群」という言葉を用い、世間に警告したんだと思う。「本人が何と言おうと暴力はダメなんだ」と。 ホント、そのとおりで、人間の自己防衛本能は想像を超える反応を示すことがある。 と同時に、個人的には「パワハラをパワハラと知覚できない」のは、別の心理が働いていると考えている。 人間なら誰もが持つ「他者に認められたい」という承認欲求である。「僕、パワハラに遭っていたんです。でも、渦中にいるときってそうは思えない。徹底的に自分を否定されると、どうにかして認めてもらおうと思うようになる。パワハラされている自覚がなくなっていくんです」 これはパワハラ被害者の男性が言っていたことで、似たような心理状態を実に多くの人たちが教えてくれた。 「何をやっても、何を言っても否定される。みんなの前で怒鳴られることもあれば、部屋に1人呼ばれてチクチクと言われることもありました。人間って不思議ですよね。そうやってずっと怒られてばっかりいると、どうにかして認めてもらいたいって思うようになる。とにかく何とか上司に怒られないように、と。僕はそんなにダメな人間なのか?って、ずっと自分を責めていました」』、パワハワ問題の難しさを再認識させられた。
・『男性は幸いにも心身を病む前に転職。きっかけは大学時代の同窓会で、上司からパワハラを受けて自殺未遂を起こした同級生の話を聞いたことだった。 「悪いのは僕じゃない。あれはパワハラなんだ」と自分が危機的状況にあることに気づき、「このままでは壊れてしまう」と会社を辞める選択をしたのだ。 彼は「たまたま」同窓会によって、非日常の風が吹き最悪をまぬがれたが、インタビューした人の中には、会議中に倒れ病院に運ばれたり、ある日突然家から出られなくなったり、通勤電車に乗ると吐き気を催すようになったり、「壊れた」あとに気づいたりする人たちがいた。 「最初の頃は、パワハラを受けているのが苦しくて苦しくて。毎日、みんなの前でまるで見せしめのように支店長から怒鳴られる。僕は副支店長なので、そこにいるのは全員部下です。部下の前で怒鳴られるのは、苦痛以外の何ものでありませんでした。でも、悔しいから結果を出すしかないと躍起になるんです。すると上司も僕のことを認めざるをえないから、それがある種の快感になるんですね。その繰り返しでした。だんだんとパワハラされているという感覚もなくなった。職場である日、呼吸ができなくなった。パニック障害と診断されました。僕のデスクにはチョコレートがいくつもあふれ、たばこを1日5箱も吸っていたんですけど、その異常さにも気づけなかった。人間の感情は複雑です。パワハラをされたときの周りのさげすんだ視線も苦痛でした。自分は強い人間だと思っていたけど、その自分への過信も上司のパワハラをエスカレートさせたかもしれません」 こちらの男性はその後、半年間休職。復職はうまくいかず、現在も働いたり、働かなかったりを繰り返している』、これだけ酷いパワハラを受けると、社会復帰は簡単ではなさそうだ。
・『理不尽かつ執拗に人格を否定され続ける日々。たとえ上司であれ、赤の他人にそこまでされる所以はない。普通に考えれば第三者に「しんどい」とSOSを出せるはずだ。 だが「人間の感情は複雑」と男性が指摘するとおり、私たちは常に複数の感情が行き交う交差点で惑わされる。 罵倒される悔しさから「何でもやってやるよ」と自暴自棄になったり、「どうにか認めさせてやる」と躍起になったり。「パワハラ」の苦痛が、「自分が悪いのかもしれない」という自己否定に変化し、ズタズタになった自尊心を回復させるために、上司の奴隷になることを自ら選択してしまうのだ。 疲弊した心は、一瞬でも認められると「アレはアレで意味あること」「自分のためだった」という盲信に変化する。 「能力発揮にパワハラなど一切必要ない」という当たり前が、ストレスの雨に濡れ続けた心には届かなくなってしまうのである』、さすが社会心理学者の面目躍如である。
・『実際、度々発生しているスポーツにおけるパワハラでは、自身のスキル向上や勝負に勝つというポジティブな経験が、パワハラを肯定的に捉える傾向を高めることが国内外の調査研究から明かされている。また、監督やコーチの体罰を目の当たりにしながらも、親たちが容認したり、擁護するケースが度々確認されていて、親など周囲の人間関係を巻き込んだパワハラ構造を理解する必要がある。 さらに、職場ではパワハラを見て見ぬふりをしたり、「俺だってしんどいんだからお前もがんばれよ」と傍観者がパワハラを容認したりすると、被害者が集団から切り捨てられ、追い詰められるケースが報告されていて、これは「セカンドパワハラ」と呼ばれている。 私がインタビューした人の中にも、勇気を出して、パワハラを先輩社員に訴えたのに「耐えろ」と言われ、弱い自分を責めるようになった、と話してくれた女性がいた。 しかも、その女性はSOSを出したことが上司に伝わり、パワハラがエスカレートしたそうだ。 厚労省が実施した調査で、過去3年間にパワハラを受けたと感じた人で、その後「何もしなかった」と回答した人の比率は管理職が58.2%、男性で48.4%と多い。その理由を「何も変わらないから」と約7割の人がしたのも、セカンドパワハラの存在を肌で感じているからなのだろう』、周囲の人間による「セカンドパワハラ」というのは初耳だが、大いにありそうな話だ。
・『そして何より問題なのは、こういった傍観者たちの容認がパワハラを生む風土を形成し、維持されてしまうってこと。加えて、身近な人のパワハラを目撃し、恐怖心を抱くだけでも心身に悪影響が出る。 DV(ドメスティック・ヴァイオレンス)研究ではこれを「DVの目撃」と呼び、親から子への虐待には「DVの目撃」を含むのが一般的だ。 DVの目撃にさらされた子どもは、頭痛、腹痛、睡眠の問題等の身体症状を訴えたり、不登校や引きこもりになったり、 自傷行為を繰り返す傾向が認められているのである。私が以前行った調査では、幼少期に「DVの目撃」にさらされた経験がある人は、成人になってからも自己肯定感が低く、自殺や死について思いをめぐらす傾向が強かった。 対象が子どもなので、そのまま会社員にあてはめられるものではない。だが、パワハラが加害者と被害者の二者間だけの問題ではないことは、十分におわかりいただけるだろう。 先の厚労省の調査では、パワハラ対策のトップは「相談窓口の設置」(82.9%)だったが、パワハラをパワハラと知覚できない心の動きを鑑みれば、これだけでは役に立たないことがわかる。セカンドパワハラ対策にも注視しなきゃだし、徹底的な教育機会と、目撃したときの第三者の介入の仕方、もっと言ってしまうと「すべての人が意見を言える組織、すべての人が能力発揮できる組織、すべての人が生き生きと働ける組織」を目指さなきゃダメ。 繰り返すが、パワハラは誰かが謝罪し、ジ・エンドになる問題ではない。もっともっと構造的に、組織の問題として捉えなきゃいけないのだ』、説得力のある主張だ。
・『最後に、今回の事件について一言。 18歳の女子選手が会見した翌日、塚原副会長は「全部うそ」と言い放ち、塚原千恵子女子強化本部長は「悪いことはしていないし、お金を使ってでも勝てるところまでやる」と発言したと報じられた・・・私はこの反論こそがパワハラであり、選手を育成し、守る立場にある大人の発言としては許されないと考えている。 つい自分が一所懸命だと相手の言動に苛立ち不寛容になりがちだが、すこ~しだけ「息」を入れると、相手も一所懸命ってことがわかる。それは自分自身にも言えることだ……』、「すこ~しだけ「息」を入れる」ことの重要性は分かっていても、その場ではなかなか出来ないのも人間の性なのだろう。
タグ:パワハラは誰かが謝罪し、ジ・エンドになる問題ではない。もっともっと構造的に、組織の問題として捉えなきゃいけないのだ 幼少期に「DVの目撃」にさらされた経験がある人は、成人になってからも自己肯定感が低く、自殺や死について思いをめぐらす傾向が強かった 「東京五輪種目からボクシングが除外される? 現在の国際連盟トップはロシア系マフィア幹部」 「DVの目撃」 選手・コーチ側と塚原会長夫妻側の争いが、泥仕合の様相を呈してきた日本体操協会のパワハラ問題。実は両者は“似たもの同士”で、その根底には日本のスポーツ界に脈々と流れる「スポ根思想」が横たわっている 何より問題なのは、こういった傍観者たちの容認がパワハラを生む風土を形成し、維持されてしまうってこと 「暴力指導者がパワハラ幹部と対立、体操協会「スポ根トラブル」の愚」 細川 幸一 そもそもスポーツは「健全な精神は健全な肉体に宿る」ということで、自らの存在意義を強調している場合が多い 過去の勝負の勝者で組織を固める日本のやり方が多くの問題をはらんでいる 勝ちさえすればいいという安易な発想が支配的 語源は古代ローマ時代の詩人ユウェナリス(Juvenalis)の『風刺詩集』第10編にある一節 2016年リオデジャネイロ五輪での判定問題 反ドーピング措置の遅延 AIBAは、さまざまな問題が噴出して大揺れに揺れてきた ヒモフ氏が年明け1月27日、AIBA(国際ボクシング連盟)の会長代行に任命 JBPRESS (その18)(東京五輪種目からボクシングが除外される? 現在の国際連盟トップはロシア系マフィア幹部、不祥事が相次ぐスポーツ界に蔓延する勘違い スポーツが持つ本来の価値とはそもそも何か、暴力指導者がパワハラ幹部と対立 体操協会「スポ根トラブル」の愚、体操パワハラ問題の影 支配される側の心理 極限下の「認められたい気持ち」) 健全な肉体の完成度の評価は、現状では試合で勝つこと 春名幹男 日本でも軍国主義の時代を経て、「宿る」という言葉が使われはじめ、「健全な肉体でなければ健全な精神は宿らない」という解釈となり、今日のスポーツ界の信仰のようになっているようにも思う 「セカンドパワハラ」 職場ではパワハラを見て見ぬふりをしたり スポーツにおけるパワハラでは、自身のスキル向上や勝負に勝つというポジティブな経験が、パワハラを肯定的に捉える傾向を高める 罵倒される悔しさから「何でもやってやるよ」と自暴自棄になったり、「どうにか認めさせてやる」と躍起になったり。「パワハラ」の苦痛が、「自分が悪いのかもしれない」という自己否定に変化し、ズタズタになった自尊心を回復させるために、上司の奴隷になることを自ら選択してしまうのだ 私たちは常に複数の感情が行き交う交差点で惑わされる 「パワハラをパワハラと知覚できない」のは、別の心理が働いていると考えている。 人間なら誰もが持つ「他者に認められたい」という承認欲求である 人は見えるものを見るのではなく、見たいものを見る パワハラは、加害者と被害者という二者間の問題ではなく、それを生む組織風土、階層組織の権力、人間の本能に宿る欲望や欲求、さらには「知覚」が強く影響する ストックホルム症候群 ナチス・ドイツなどがスローガンとしてこの言葉を利用し、身体を鍛えることによってのみ健全な精神が得られるとして、軍国主義を推し進めたとされる 「パワハラ」というシンプルな言葉がもつ複雑さ ダイヤモンド・オンライン アゼルバイジャンの建設会社からの借入金約1000万ドル(約11億円)の未返済問題 「体操パワハラ問題の影 支配される側の心理 極限下の「認められたい気持ち」」 日経ビジネスオンライン 河合 薫 手を上げた方が、時間と手間をかけて必死に伝えるよりも、はるかに「ラク」だからだ 必要なのは綿密なコミュニケーションだが、百の言葉よりも、何十時間の話し合いよりも、手軽に、効果的にそれを伝えられるのが実は「暴力」なのだ ラヒモフ氏は「ウズベキスタンの犯罪組織のリーダーで、中央アジアでのヘロイン生産から密輸に至る大シンジケートを運営している」と米財務省は発表 現在の国際ボクシング連盟会長代行は、ウズベキスタン人のガフル・ラヒモフ氏(67)。ラヒモフ氏がロシア系犯罪組織の幹部 暴力はドーピングと同じ それを幻想で勘違いさせている ラテン語の本来の語義 人間はあれこれ分不相応な欲望を持つが、願い事をするならもっとつつましく「健全な精神が健全な肉体に宿りますように」とお祈りすべきである、という主張がその詩の中には示されているだけだ 「健全な精神が健全な肉体にあるように祈られるべきである」 窪田順生 問題の根っこを元から絶つべきだ そもそもスポーツとは何かを考える必要がある スポ根思想は全く同じなので、程なくして似たようなパワハラや暴力が水面下で行われる 日本のスポーツ界 コーチ側と塚原夫妻側はスポ根思想の「似た者同士」 「強い選手に育てるためには、ある程度の暴力やハラスメントはしょうがない」という、スポ根的な思想である 「不祥事が相次ぐスポーツ界に蔓延する勘違い スポーツが持つ本来の価値とはそもそも何か」 新潮社フォーサイト 東洋経済オンライン トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長が、IOCとして「東京五輪種目からボクシングを除外する権限を保持する」とローザンヌで記者団に発言するほどの事態 つい自分が一所懸命だと相手の言動に苛立ち不寛容になりがちだが、すこ~しだけ「息」を入れると、相手も一所懸命ってことがわかる。それは自分自身にも言えることだ…… 幸福を得るため多くの人が神に祈る事柄(富、地位、栄光、美貌など)を挙げ、いずれも身の破滅につながるので願い事はするべきではないと戒めている詩
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