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”右傾化”(その7)(翁長知事死去に対してヘイトコメントするネトウヨという存在、日本とドイツが民主主義の防波堤に? 欧州右傾化にバノンが参戦、「保守論壇」はなぜ過激化するのか?「新潮45」問題から見えたこと、神社本庁で今なにが…?強権支配を批判された「ドン」が辞意表明の怪 ) [国内政治]

”右傾化”については、7月29日に取上げた。今日は、(その7)(翁長知事死去に対してヘイトコメント)するネトウヨという存在、日本とドイツが民主主義の防波堤に? 欧州右傾化にバノンが参戦、「保守論壇」はなぜ過激化するのか?「新潮45」問題から見えたこと、神社本庁で今なにが…?強権支配を批判された「ドン」が辞意表明の怪 )である。

先ずは、作家の橘玲氏が9月3日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「翁長知事死去に対してヘイトコメントするネトウヨという存在 [橘玲の日々刻々]」を紹介しよう。
http://diamond.jp/articles/-/178932
・『沖縄の翁長雄志知事が闘病の末に亡くなりました。がんを明らかにしてから、ネットには容姿や病状についての読むに堪えないコメントが溢れ、訃報のニュースは一時、罵詈雑言で埋め尽くされました(その後、削除されたようです)。 こうしたヘイトコメントを書くのは「ネトウヨ」と呼ばれている一群のひとたちです。彼らは常日頃、「日本がいちばん素晴らしい」とか「日本人の美徳・道徳を守れ」とか主張していますが、死者を罵倒するのが美徳なら、そんな国を「美しい」と胸を張っていえるはずがありません。真っ当な保守・伝統主義者は、「こんなのといっしょにされたくない」と困惑するでしょう』、故翁長雄志知事にまでヘイトコメントするとは恐れ入った。
・『ネトウヨサイトについては、最近は「ビジネスだから」と説明されるようです。しかしこれでも話はまったく変わりません。ヘイトコメントを載せるのはアクセスが稼げるからで、それを読みたい膨大な層がいることを示しています。 自分が白人であるということ以外に「誇るもの」のないひとたちが「白人アイデンティティ主義者」です。彼らがトランプ支持の中核で、どんなスキャンダルでも支持率が40%を下回ることはありません。同様に、安倍政権の熱心な支持者のなかに、日本人であるということ以外に「誇るもの」のない「日本人アイデンティ主義者」すなわちネトウヨがいます。 彼らの特徴は、「愛国」と「反日」の善悪二元論です。「愛国者」は光と徳、「反日・売国」は闇と悪を象徴し、善が悪を討伐することで世界(日本)は救済されます。古代ギリシアの叙事詩からハリウッド映画まで、人類は延々と「善と悪の対決」という陳腐な物語を紡いできました。なぜなら、それが世界を理解するもっともかんたんな方法だから』、現在の複雑な社会を「「愛国」と「反日」の善悪二元論」で割り切って考えるとは、確かに簡単だ。しかもおおくのネトウヨは、「いいね」で付和雷同して情報を拡散するだけの「お手軽」な存在だ。
・『ネトウヨに特徴的な「在日認定」という奇妙な行為も、ここから説明できます。自分たち=日本人と意見が異なるなら「日本人でない者」にちがいありません。事実かどうかに関係なく、彼らを「在日」に分類して悪のレッテルを貼れば善悪二元論の世界観は揺らぎません。 今上天皇が朝鮮半島にゆかりのある神社を訪問したとき、ネットでは天皇を「反日左翼」とする批判が現われました。従来の右翼の常識ではとうてい考えられませんが、この奇妙奇天烈な現象も「朝鮮とかかわる者はすべて反日」なら理解できます』、彼らの天皇批判の理由がようやく理解できた。
・『ところが「沖縄」に対しては、こうした都合のいいレッテル張りが使えません。「在日」に向かっては「朝鮮半島に叩き出せ」と気勢を上げることができますが、基地に反対する沖縄のひとたちを「日本から出ていけ」と批判すると、琉球独立を認めることになってしまうからです。 こうして沖縄を批判するネトウヨは、「反日なのに日本人でなければならない」という矛盾に直面することになります。これはきわめて不愉快な状況なので、なんとかして認知的不協和を解消しなければなりません。「翁長知事は中国の傀儡」とか「反対派はみんな本土の活動家」などの陰謀論が跋扈するのはこれが理由でしょう。――都合のいいことに、探せば本土から来た市民活動家は見つかります。 ネトウヨは、「日本人」というたったひとつしかないアイデンティティが揺らぐ不安に耐えることができません。「絶対的な正義」という幻想(ウソ)にしがみついているからこそ、平然と死者を冒瀆してまったく意に介さないのです』、彼らにとっての沖縄問題の微妙さ、行動パターンも鮮やかに解明してくれた。さすがである。

次に、元外交官の 河東哲夫氏が9月8日付けNEWSWEEK日本版に寄稿した「日本とドイツが民主主義の防波堤に? 欧州右傾化にバノンが参戦」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kawato/2018/09/post-22_1.php
・『対米貿易黒字などをめぐって、トランプ米大統領が同盟国に乱暴な圧力をかけている。そんななか、ドイツが反トランプ色をますますあらわにしだした。 メルケル首相は8月15日、トルコのエルドアン大統領に電話。アメリカによる制裁で通貨リラの暴落を食らったエルドアンを励まし、9月末に訪独の招待までした。8月18日には、14年のクリミア併合以来、「信用できない」と公言して遠ざけてきたロシアのプーチン大統領と首都ベルリン近郊で会談した。 既に7月に来日したドイツのマース外相は、「政策が不透明」なトランプに言及しつつ、自由、民主主義、法の支配などを守るための日独協力を呼び掛けた』、本来なら日独協力に乗るべきだが、トランプべったりの安倍首相には無理だろう。メルケルもトランプに対抗するためとはいえ、エルドアンを励まし、プーチン会談するとは、やり過ぎだ。
・『一方、トランプの選挙参謀を務めたスティーブ・バノン元大統領首席戦略官・上級顧問は昨年8月に政権から追い出された後、古巣の右翼系メディア「ブライトバート」を根城に活動を再開。保護主義と反移民を唱える彼は7月にEU本部のあるベルギーの首都ブリュッセルに財団を設立。欧州諸国の右翼政党を支援する姿勢を明らかにした。 ドイツの右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」をもり立てて、メルケルの足を引っ張るだけではない。トランプが貿易黒字の解消を迫ると、「貿易問題は欧州委員会の管轄」の決まり文句で逃げているメルケルを見透かして、EUの足元も乱したいのだろう。 面白いことに、これら欧州の右翼諸政党にロシアがつとに接近している。首都モスクワに招待しては、資金を提供。ロシアもまたEU諸国にくさびを打ち込んで政治を攪乱し、自分の立場を良くしたいのだ』、欧州の右翼諸政党をバノンが支援するのは当然としても、ロシアまでが接近するとはロシアも地に落ちたものだ。
・『ドイツの独善的な国民性  こうなると19世紀初頭、自由・平等・博愛を名目に帝国をつくり上げたナポレオンが没落した後、ロシアとオーストリアなどが保守の神聖同盟をつくったような対立構造が生まれかねない。「民主主義と自由貿易を掲げるメルケル政権」対「米欧ロシアの右翼同盟」という価値観の対立は、新たな国際政治の軸になるだろうか。 そうはならないだろう。ドイツ自身、内部にAfDを抱えており、いつまで自由・民主主義を掲げていられるか分からない。日本に提携を呼び掛けたマースは、メルケルの保守と連立を組む社会民主党(SPD)の政治家で、これまで中国・韓国寄りだったメルケルをどこまで日本寄りに引き込めるか不明だ。現にメルケルは、ロシアやトルコという極め付きの権威主義指導者に近づいている。 メルケルにとっては、トランプに対して自国の利益と自分の政権を守ることが第一で、自由・民主主義の擁護はそのための材料にすぎない。それに、メルケルのようにトランプと正面から対立するのはうまい外交手法ではないし、日本はまだそこまで追い詰められていない。 ドイツは20世紀以来、経済力と独善的な国民性で、欧州政治の台風の目であり続けている。第二次大戦後、ドイツはNATOとEUの枠をはめられて平和勢力となり、米軍駐留を認めることで米欧間のかすがいともなってきた。 しかしトランプが言うように在独米軍が引き揚げ、米独対立が深まれば、アメリカは欧州への発言力を大きく失い、世界での指導力を大幅に弱めることになるだろう。幸い今は米独、米欧間の亀裂は、そこまで決定的なものとはなっていないが』、ここにきてメルケルは与党内の支持基盤が揺らいでいるようだが、困ったことだ。
・『ところで、バノンは昨年11月と12月に来日している。日本との顔つなぎ程度で終わったようで、右翼同士の本格的な交流は見られなかった。日本では、戦前の国粋主義を唱える右翼は盛り上がらないし、米欧ほど大きな移民問題もない。格差に対する不満は、既成政党が吸収している。 従って、日本で国家主義的右翼が台頭するのは、反米機運が強くなったときくらいのものだろう。日本でもヨーロッパと同じく右翼が国際関係に大きな影響を及ぼすところには来ていない』、バノンが日本で活動の輪を広げられなかったのは、取り敢えず一安心だ。

第三に、若者論研究者の後藤 和智氏が9月23日付け現代ビジネスに寄稿した「「保守論壇」はなぜ過激化するのか?「新潮45」問題から見えたこと 「被害者意識」でつながる論理」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57621
・『若手「保守論壇」人の事件簿  2018年、若い「保守派」の論客による問題発言が、何度か批判されました。 2018年2月には、雑誌「正論」などで売り出し中の国際政治学者である三浦瑠麗が、フジテレビ系の番組「ワイドナショー」で、北朝鮮のテロリストが日本や韓国に潜んでいると発言して、それが一般の在日コリアンなどへの差別を煽るとして非難されました。 三浦 もし、アメリカが北朝鮮に核を使ったら、アメリカは大丈夫でもわれわれは反撃されそうじゃないですか。実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルと言われて、もう指導者が死んだっていうのがわかったら、もう一切外部との連絡を断って都市で動き始める、スリーパーセルっていうのが活動すると言われているんですよ。 東野 普段眠っている、暗殺部隊みたいな? 三浦 テロリスト分子がいるわけですよ。それがソウルでも、東京でも、もちろん大阪でも。今ちょっと大阪やばいって言われていて。 松本 潜んでるってことですか? 三浦 潜んでます。というのは、いざと言うときに最後のバックアップなんですよ。 三浦 そうしたら、首都攻撃するよりかは、他の大都市が狙われる可能性もあるので、東京じゃないからっていうふうに安心はできない、というのがあるので、正直われわれとしては核だろうがなんだろうが、戦争してほしくないんですよ。アメリカに』、三浦瑠麗についてはこれまで政治的立場は別として、鋭い分析をすると評価していたが、こんな噂話のようなトンデモ発言をしたとあっては、評価は180度逆転した。
・『そして2018年7月、雑誌「新潮45」8月号が、自民党の杉田水脈議員による論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」を掲載。それが性的少数者への差別を煽るとしてこれもネット上を中心に批判が起き、当初は静観していた自民党も杉田に対して注意を行いました。 しかし、同誌2018年10月号が開き直りともとれる特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という特集を組み、特にその中でも小川榮太郎による論考が、痴漢の正当化としか思えない記述もあるとしてさらに強い批判を浴び、新潮社の出版社としての姿勢そのものが問われる事態となりました。 さらに新潮社の文芸編集部のツイッターアカウントは、2018年9月19日から多くの「新潮45」批判をリツイートし、さらに最上段に固定されるツイートに、新潮社の創業者である佐藤義亮の言葉「良心に背く出版は、殺されてもせぬ事」を設定するという「内部闘争」も起こっています。 三浦も小川も、雑誌「正論」が若手保守論客に対して贈る論壇賞である「正論新風賞」の受賞者であることから、元々イメージがよくなかったこの賞自体についてもさらに露骨に忌避する動きが見られ始めました。 一時期、同世代の売れ筋の国際政治学者たちに会うたびに、「『正論新風賞くれる』って言われたらどうします?」って聞いてもれなく嫌な顔されてたが、これでとにかく拒否、話きたら全速力で逃げろ、になりましたね。(池内恵氏のツイート) このように、「保守系」の論客が次々と差別的な、または差別を煽るような言説を開陳し、批判されても周囲の論客によって擁護されることが起こるようになっています。 このような傾向は、近年になって顕著に現れています。 それは、それこそ「保守論壇」によって生み出された政治家の多い安倍晋三政権や現在の自民党が、森友学園・加計学園問題、公文書をめぐる諸問題によって信頼が揺らいでいる状況とパラレルになっているように見えます。 そしてそれは、現在の「保守論壇」を支える論理の限界が露呈していることの現れといえるのです』、「現在の「保守論壇」を支える論理の限界が露呈している」というのは、やや楽観的に過ぎるのではなかろうか。
・『被害者意識でつながる「論壇」  現在の保守論壇を支えるものとして挙げられるのは、「被害者意識による連帯」と「鉄砲玉としての女性・若者の利用」です・・・「正論」や「SAPIO」、あるいは廃刊した「諸君!」など、保守系のマスコミや論壇誌は、中国や韓国、北朝鮮、日本国憲法、ジェンダーフリー教育、フェミニズム、そして朝日新聞などの左派系のマスコミなどを、日本を壊す「敵」として煽るような言論を展開してきました。 我が国の保守系の言論は、「左派的なもの」への敵愾心(てきがいしん)を煽ることにより支持を集めてきたという経緯があります。 残念ながら、私が長い間展開してきた、若者論批判、ニセ科学批判もまた、そのような左派への敵愾心を煽る言説に荷担してきたと言わなければなりません』、なるほど。
・『こうした傾向は、ネット上にもしみ出してきています。 私は今年、ツイッター上における、ニュースサイト「netgeek」に言及したツイートについて調査を行いました。 このサイトは、民主党・民進党などについて多数のデマを流していることで知られています。そしてこのサイトの主要なコンテンツは、やはり左派へのバッシングなのです。 実際、このサイトに多く言及している人たちにおいては、百田尚樹や上念司といった保守論壇人や、右派、というよりは反左派・反マスコミ系のツイッターアカウントを多数リツイートしていることが観測されました。 また私が所属している同人界隈においても同様に見られます。 例えば「コミックマーケット」の3日目の前日(2日目の当日)においては、ツイッターにおいて「弱者男性」という立場からフェミニズムを攻撃しているアルファツイッタラーと、オタク区議として有名なある大田区議のトークイベントが行われ、フェミニズムについて批判が行われます。 そのほか、表現規制問題の周辺において、論敵を「まなざし村」――元々は一部の漫画・イラスト表現における女性の描き方を問題視する社会学者の事象であったが、いまやこの言葉は逆にそこで批判された表現を受容している層が相手を攻撃する際に頻繁に使われている――と「認定」するような行為も見られ、保守論壇的な憎悪による仲間内の支配はいろいろなところで行われているのです』、左派へのバッシングだけで、保守論壇がこれだけ勢いを保っているというのは不思議だ。
・『「新潮45」についても、2016年にいまの編集長が就任してからと現在を比べて、反左派色を鮮明にしているにもかかわらず部数が落ちていることが指摘されています。 これについて、「部数が減少しているからそういう編集方針に切り替えたのだろう」と指摘する向きもありますが、私の見立てとしては逆で、むしろ部数を「減らしてでも」固定した読者をつなぎ止めておきたい、と考えているのではないでしょうか。 従って、2018年9月21日に新潮社の佐藤隆信社長名義で出された声明文の中にある、《あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現》というものについて、実際にはほとんど鑑みられていないのではないかと私は思う所存です。 なぜなら、むしろ《常識を逸脱した偏見と認識不足》であることを自覚し、なおかつそのような立ち位置を意識することで左派的な「良識」「良心」に刃向かってやるぞ、という“気概”が、「反左派」を存在意義とする保守論壇には強く存在しているからです』、「新潮45」は休刊になり、新潮社では文芸編集部などの良識派が取り敢えず勝利したようだ。
・『「鉄砲玉」としての女性論客とYouTuber  もう一つは、三浦や杉田などが、保守論壇の「鉄砲玉」として使われているという可能性です。 女性や若い世代に過激な主張をさせることにより、それに対して批判が起こっているという事象を取り上げて、「保守論壇の若手による過激な主張への批判=守旧派の主張」という、世代間闘争の構図を強化する構造が見て取れるのです。 2000年代から現在に至るまで、女性のジャーナリストやライターが、保守雑誌においてメインストリームの主張をカリカチュアライズした現代社会批判などを行うようなことはいくつか見られました。 例えば「諸君!」2004年5月号の特集「ポイ捨て 日本国憲法」において、細川珠生による「日本国憲法サン、60歳定年ですよ」という論考を掲載し、細川が問題視する現代社会の風潮を「憲法」のせいにするということが展開されていました。 そのほかにもこの手の物書きとしては、大高未貴や、近年なら元官僚の山口真由などがあげられます。 また近年ではネット上で保守系の言論を展開しているYouTuberが、保守系マスコミに登場する事例も見られます。 例えば、「週刊新潮」は2017年頃から保守系の人気YouTuberのKAZUYAの連載を始めているのがそれにあたります。 さらにもう一人あげるとすれば、「古事記アーティスト」を自称する歌手・コメンテーターの吉木誉絵でしょうか。 吉木は若い世代の論客として、「朝まで生テレビ!」「ビートたけしのTVタックル」などに出ていますが、皇族の系統であることを自称することで売ってきた竹田恒泰が主催する勉強会「竹田研究会」の出身者であることを隠していません。 吉木は自衛隊の幹部学校に期限付きではありますが「客員研究員」として呼ばれるほどの「実力者」です・・・若い世代における自民党の支持率が高いことで、左派論客において若い世代への不信が少なからずある・・・状況において、特に若い世代を保守論壇に「囲い込む」ことで若い世代に自分たちの論理が支持されているとする手法は今後も続くでしょう。 しかしその「成功」は、「左派=高齢者・守旧派」と規定する行為に支えられた、もろいものと言うほかありません』、若い世代を保守論壇に「囲い込む」とは、困ったことだ。若い世代のリベラル派に頑張ってもらいたいところだ。
・『「保守論壇」はこれからどうなるのか  2018年において、保守論壇をめぐる主要なトピックに、「ネトウヨ春の/夏のBAN祭り」があります。 これは、匿名掲示板「5ch」のカテゴリーの一つである「なんでも実況(ジュピター)」(通称:なんJ)の住人が、韓国や在日コリアンへの差別的な書き込みが多い「ハングル板」に突撃して主導権を乗っ取り、YouTubeのヘイトスピーチを含む動画を次々に通報してチャンネルを凍結させてしまおうとする「祭り」です。 実際、この「祭り」において、KAZUYAや竹田恒泰を含む多くの保守系チャンネルが閉鎖に追い込まれています。 またこの動きと同時期には、プリンター大手のセイコーエプソンが、利用者からの「有名なヘイトスピーチサイトである「保守速報」に貴社の広告が掲載されている」という指摘に対して、同社はすぐさま広告代理店を通じて同サイトへの広告の配信を停止するということもありました・・・このように、YouTubeやネット広告といった収入源になっているものを断つような、いわば「兵糧攻め」の動きが見られてきています。 もちろんYouTubeの動画の規制を決めるのはYouTubeを運営しているGoogleですし、またネット広告の停止を決めるのは、最終的には広告主の判断であることを忘れてはなりません。 これらの動きは、ヘイトスピーチに荷担することがブランドイメージへの毀損につながるという考えが浸透してきたからだと言うことができます。 しかし、左派や高年齢層への敵愾心によって「つながっている」層は、そのような動きに対して、むしろ態度をこわばらせているようにも見えます。 「『リベラル』こそが守旧派、現政権こそ真のリベラルである」という主張は、現政権を支持する文化人によってよく語られます。 これらの動きは、「本当は『リベラル』という価値観は好かれているが、『日本リベラル』はその条件を満たしていない守旧派である」という考えが支持されているから、というよりも、むしろ相手の実存を攻撃することによって、敵愾心によって仲間内のつながりと支配を強化する「あがき」と言った方が正しいでしょう。 そして現政権もまた、そのような支持者――自分は「頼りになるリベラルがいないから仕方なく支持している」と言うが、実際には左派へのマウンティング欲求を満たすために支持していると見られる――によって支えられているのです』、ヘイトスピーチへの「兵糧攻め」は好ましい動きだが、実際の効果はたかがしれているのではなかろうか。

第四に、ジャーナリストの伊藤 博敏氏が9月20日付け現代ビジネスに寄稿した「神社本庁で今なにが…?強権支配を批判された「ドン」が辞意表明の怪 田中恆清・神社本庁総長の誤算」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57592
・『神社本庁の役員会で「耐えられません」と…  「報道は全て本当でございます。田中(恆清)総長は辞意を表明されました。ただ、現時点では、まだ辞表は提出されておりません」 伊勢神宮で行われていた全国47都道府県の神社庁長会(各県にひとり神社庁長が置かれている)の懇話会で、神社本庁の総務部長は、「皆さん、ご関心があろうかと思いますが」と、前置きしてこう切り出した。 「報道」とは、機関誌の『神社新報』が「神社本庁役員会が9月11日に開催され、田中恆清総長が辞意を表明した」と、報じたもの。機関誌報道なので確認するまでもないのだが、2010年の就任以来、神道政治連盟の打田文博会長を右腕に強権支配体制を確立、3年任期の3期目に入ってからは、「神社のドン」と恐れられる存在となっていただけに、「辞意表明」は衝撃を与えた。 もっとも、神社庁長会は、9月16日から3日間の日程で行われた「平成30年度神宮大麻暦頒布始祭」という神社界にとって最も大切な祭事の最中に開かれており、田中総長はそれに欠席。それをもってしても田中氏の退任意志は明らかだった。 それにしても11日の役員会で何があったのか。 鷹司尚武統理の挨拶に始まって、田中総長が議事進行を務め、決議、協議事項や各部からの報告を終えた時、ひとりの理事が発言を求め、「元参事2人が免職等の処分の無効確認等を求めている民事訴訟に関し、和解の方針を決議したらどうだろうか」と、提案した。 これを巡って論義が紛糾するなか、訴訟に至る経緯を説明していた田中総長が、「これ以上、皆さん方からいろんな意味で暗に批判されるのは、耐えられません。私は今日で、総長を引かせていただきたいと思います」と、述べたのである』、旧来の様々な組織で問題が次々に発覚しているが、神社本庁でまで起きたとは・・・。
・『神社本庁百合丘宿舎の「安値売却」疑惑  強気で知られる田中総長が折れたのは、「本庁資産の安値売却」に疑問の声を挙げた幹部職員を解雇処分にするなどの強圧支配に、多くのメディアが反発して記事化、それが神社界に跳ね返って田中批判が止まないことへの怒りであり、疲れだろう。 私も本コラムで田中-打田体制と、そこに食い込む日大レスリング人脈について書いた・・・田中総長が批判された神社本庁百合丘宿舎の安値売却疑惑とは、15年11月、バブル期に7億5000万円で購入した神奈川県川崎市の百合丘宿舎を、随意契約でディンプルインターナショナルという不動産会社に売却する売買決裁のことを指す。 売却価格は1億8400万円だったが、中間登記省略でディンプル社の名前は登場することなく16年5月に転売され、売却価格は3億円を上回っていた。入札が前提の本庁資産売却がなぜ随意契約なのか、それまでにもディンプル社は、中野、青山などの宿舎を独占売却。なぜディンプル社なのか。 こういった疑問が生ずるのは当然だろう。だが、神社本庁はそうした疑惑を文書にして理事らに手渡した稲貴夫総合研究部長(当時)を、「情報を漏洩して疑惑を外部に広めた」として解雇処分とし、売却を担当した瀬尾芳也財政部長を、「売却に関係して事実と異なる発言をし、かつ総長らを誹謗した」として降格処分とした。 ディンプル社は、利権会社といっていい存在。皇室のビジュアル版を作ろうという話になって、96年、日本メディアミックスが設立され、各界に顔の広い福田富昭・日本レスリング協会会長を社長に据えた。 以降、福田氏の日大レスリング部後輩の高橋恒雄氏が神社本庁に関わるようになった。ディンプル社は高橋氏の会社で、発行部数5万部の『皇室』発行元の日本メディアミックスの社長も、現在は高橋氏。高橋氏は、打田氏と近く、田中-打田ラインを支える。 神社本庁が、稲、瀬尾の両氏に処分を下し、それを不服として両氏が、東京地裁に「処分無効の確認訴訟」を起こしたのは、昨年10月である。内部告発を解雇などの処分で封じ込めるという体質が批判されたのは当然ながら、以降、発生した女性宮司絡みの二つの事件も神社本庁の差別意識と統治能力不足を表面化させた』、7億5000万円で購入した宿舎を1億8400万円(転売後でも3億円強)で売却とは豪気なことだ。しかもディンプル社とは随意契約とは、どう考えても裏金が動いた臭いがする。内部告発した2名の幹部を解雇、降格処分するとは、馬鹿なことをしたものだ。裁判になれば、執行部に火の粉が降りかかるのは必至の筈だ。なお、神社本庁の不動産取引については、このブログでも7月5日に取上げた。
・『ひとつは、昨年末、国民を驚愕させた富岡八幡宮の宮司刺殺事件である。富岡八幡宮は、創設390年を誇る東京下町の神社だが、富岡家の長男・茂永氏が宮司職を継いだものの、素行の悪さで解職。10年10月から長女・長子氏が宮司代務者として仕切り、責任役員会は「長子氏を宮司に」と、何度も意見具申するものの、神社本庁は「経験不足」を理由に認めなかった。 そうするうち、宮司に自分の息子をつけたい茂永氏が、長子氏への骨肉の憎しみもあって、刺殺に及んだ。背景には、格式のある神社の宮司に女性を認めたくないという神社本庁の差別意識があるという』、女性差別が殺人事件にまで発展するとは、神社本庁の罪は深いといえよう。
・『内部に危機バネが働いた  全国八幡宮の総本宮である宇佐神宮を巡る問題もそうだ。 歴史と社格を誇る宇佐神宮だが、社家(世襲神職)の到津(いとうづ)家が、南北朝の時代から宮司を務めてきた。そこで末裔の到津克子氏が、跡を継ぐのは当然と目されていたが、「経験不足」を理由に到津氏の宮司職を認めず、あげく16年2月、田中総長は自分の子飼いの小野崇之・神社本庁前総務部長を宮司に送り込み、補佐役として石清水八幡宮(田中氏が宮司)で右腕だった大久保博範氏をナンバー2の権宮司とした。 宇佐神宮乗っ取りのような強権発動に怒った地元は、今年に入って、小野、大久保両氏の罷免を求める署名活動まで起こしている。 富岡八幡と宇佐神宮、そして神社本庁の幹部職員を解雇に追い込む意識と手法は同じである。 「女性」を理由に宮司を排除して、神社本庁支配体制を確立し、批判は許さず、周辺をイエスマンと仲間で固めて、利権も維持する。田中氏は、来年5月が3期目の任期満了だが、対立勢力を除外していった結果、場合によっては4期目もあった。 しかし、さすがに内部に危機バネが働いた。宇佐神宮で小野宮司は孤立を深め、稲・瀬尾両氏の裁判では、「和解したらどうか」と、理事が勧めるほど「本庁側の理不尽な処分」が証明されている』、ここまでくると開いた口が塞がらない。
・『「批判は我慢できない。今日で辞める」と、田中氏が思わず口走ったのは、一時的な気の迷いかも知れない。辞表をなかなか提出しない、というのはそういう意味だろう。 だが、流れは「田中辞任」で動き始めた。名誉職ではあるが、神社本庁を代表する鷹司統理は「(辞任を)真摯に受け止めたい。次の人にバトンタッチすることも大切だと思う」と述べた。 「批判」を「解雇」で封じるようなパワハラの強権支配が、長く続いていいハズはない。万全と思われた支配体制も、内部から徐々に崩壊、それを身に染みていた田中氏が、思わず辞任を漏らした、というのが正確なところかも知れない』、神社本庁は宗教法人である。こんな見るに堪えないガバナンス崩壊を所管の文科省は、いつまで見て見ぬふりを続けるのだろうか。神社本庁が安倍首相も属する日本会議を支える有力メンバーであるため、遠慮しているのだろうか。
タグ:橘玲 右傾化 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス Newsweek日本版 小川榮太郎 三浦瑠麗 伊藤 博敏 杉田水脈議員 (その7)(翁長知事死去に対してヘイトコメントするネトウヨという存在、日本とドイツが民主主義の防波堤に? 欧州右傾化にバノンが参戦、「保守論壇」はなぜ過激化するのか?「新潮45」問題から見えたこと、神社本庁で今なにが…?強権支配を批判された「ドン」が辞意表明の怪 ) 「翁長知事死去に対してヘイトコメントするネトウヨという存在 [橘玲の日々刻々]」 訃報のニュースは一時、罵詈雑言で埋め尽くされました ヘイトコメント 「ネトウヨ」 彼らは常日頃、「日本がいちばん素晴らしい」とか「日本人の美徳・道徳を守れ」とか主張していますが、死者を罵倒するのが美徳なら、そんな国を「美しい」と胸を張っていえるはずがありません 最近は「ビジネスだから」と説明 ヘイトコメントを載せるのはアクセスが稼げるからで、それを読みたい膨大な層がいることを示しています 「白人アイデンティティ主義者」 トランプ支持の中核 日本人であるということ以外に「誇るもの」のない「日本人アイデンティ主義者」すなわちネトウヨ 「愛国」と「反日」の善悪二元論 人類は延々と「善と悪の対決」という陳腐な物語を紡いできました なぜなら、それが世界を理解するもっともかんたんな方法だから ネトウヨに特徴的な「在日認定」という奇妙な行為も、ここから説明できます ネットでは天皇を「反日左翼」とする批判が現われました 「朝鮮とかかわる者はすべて反日」 「沖縄」に対しては、こうした都合のいいレッテル張りが使えません 基地に反対する沖縄のひとたちを「日本から出ていけ」と批判すると、琉球独立を認めることになってしまうからです 「翁長知事は中国の傀儡」とか「反対派はみんな本土の活動家」などの陰謀論が跋扈するのはこれが理由 河東哲夫 「日本とドイツが民主主義の防波堤に? 欧州右傾化にバノンが参戦」 ドイツが反トランプ色をますますあらわに エルドアンを励まし プーチン大統領と首都ベルリン近郊で会談 マース外相 自由、民主主義、法の支配などを守るための日独協力を呼び掛けた バノン元大統領首席戦略官・上級顧問 ブリュッセルに財団を設立 欧州諸国の右翼政党を支援する姿勢 ドイツのための選択肢(AfD) 欧州の右翼諸政党にロシアがつとに接近 ロシアもまたEU諸国にくさびを打ち込んで政治を攪乱し、自分の立場を良くしたいのだ ドイツの独善的な国民性 メルケルにとっては、トランプに対して自国の利益と自分の政権を守ることが第一で、自由・民主主義の擁護はそのための材料にすぎない ドイツは20世紀以来、経済力と独善的な国民性で、欧州政治の台風の目であり続けている バノンは昨年11月と12月に来日 右翼同士の本格的な交流は見られなかった 後藤 和智 「「保守論壇」はなぜ過激化するのか?「新潮45」問題から見えたこと 「被害者意識」でつながる論理」 若手「保守論壇」人の事件簿 雑誌「新潮45」 「『LGBT』支援の度が過ぎる」 「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という特集 「正論新風賞」 元々イメージがよくなかったこの賞自体についてもさらに露骨に忌避する動きが見られ始めました 現在の「保守論壇」を支える論理の限界が露呈していることの現れ 被害者意識でつながる「論壇」 「被害者意識による連帯」 「鉄砲玉としての女性・若者の利用」 保守系の言論は、「左派的なもの」への敵愾心(てきがいしん)を煽ることにより支持を集めてきたという経緯 「新潮45」は休刊 「保守論壇の若手による過激な主張への批判=守旧派の主張」という、世代間闘争の構図を強化する構造が見て取れる 「左派=高齢者・守旧派」と規定する行為に支えられた、もろいもの ヘイトスピーチを含む動画を次々に通報してチャンネルを凍結させてしまおうとする「祭り」です セイコーエプソンが、利用者からの「有名なヘイトスピーチサイトである「保守速報」に貴社の広告が掲載されている」という指摘に対して、同社はすぐさま広告代理店を通じて同サイトへの広告の配信を停止 「兵糧攻め」の動き 「神社本庁で今なにが…?強権支配を批判された「ドン」が辞意表明の怪 田中恆清・神社本庁総長の誤算」 田中(恆清)総長は辞意を表明 ひとりの理事が発言を求め、「元参事2人が免職等の処分の無効確認等を求めている民事訴訟に関し、和解の方針を決議したらどうだろうか」と、提案 論義が紛糾 神社本庁百合丘宿舎の「安値売却」疑惑 日大レスリング人脈 随意契約でディンプルインターナショナル 疑惑を文書にして理事らに手渡した稲貴夫総合研究部長(当時)を、「情報を漏洩して疑惑を外部に広めた」として解雇処分 売却を担当した瀬尾芳也財政部長を、「売却に関係して事実と異なる発言をし、かつ総長らを誹謗した」として降格処分 富岡八幡宮の宮司刺殺事件 責任役員会は「長子氏を宮司に」と、何度も意見具申するものの、神社本庁は「経験不足」を理由に認めなかった 宮司に自分の息子をつけたい茂永氏が、長子氏への骨肉の憎しみもあって、刺殺に及んだ 神社本庁の差別意識 宇佐神宮を巡る問題 末裔の到津克子氏が、跡を継ぐのは当然と目されていたが、「経験不足」を理由に到津氏の宮司職を認めず 田中総長は自分の子飼いの小野崇之・神社本庁前総務部長を宮司に送り込み、補佐役として石清水八幡宮(田中氏が宮司)で右腕だった大久保博範氏をナンバー2の権宮司とした 稲・瀬尾両氏の裁判では、「和解したらどうか」と、理事が勧めるほど「本庁側の理不尽な処分」が証明 「批判」を「解雇」で封じるようなパワハラの強権支配が、長く続いていいハズはない
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