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人手不足(その1)(“人手不足倒産”が日本経済にとっては「いい倒産」である理由、人手不足の日本社会がすがるしかない 手放しで喜べぬ3つの解決策) [経済]

今日は、人手不足(その1)(“人手不足倒産”が日本経済にとっては「いい倒産」である理由、人手不足の日本社会がすがるしかない 手放しで喜べぬ3つの解決策)を取上げよう。

先ずは、元銀行員で久留米大学商学部教授の塚崎公義氏が5月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「“人手不足倒産”が日本経済にとっては「いい倒産」である理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/170323
・『東京商工リサーチや帝国データバンクによれば、「求人難」「人手不足」による倒産が増加しているという。いずれも件数は少ないものの、「労働力不足」で倒産する企業が増えているというのは、象徴的なニュースだ。 倒産は悲惨だ。経営者は、全財産を失って路頭に迷い、銀行は融資が返済されずに損失をかぶり、従業員は退職金も受け取れずに仕事を失って茫然自失となってしまうからだ。そうした当事者たちにとって、「いい倒産」など存在するはずはない。 筆者としても、倒産した企業の経営者を批判したり、倒産するような企業に金を貸すような銀行の無能を批判したりしているのではなく、ましてや他人の不幸は蜜の味だと喜んでいるわけでも全くない。当事者にとっては誠に不幸で残念な出来事であることは十分認識しながらも、マクロ的な視点で広く日本経済のことを考えると、人手不足倒産は「いい倒産」だ、と述べているのである。ぜひともご理解いただきたい』、批判を避けるための慎重な言い回しは手慣れたものだ。
・『人手不足になるほど景気がいいことを祝おう  倒産の話を始める前に、まずは人手不足になるほど景気がいいという状況を素直に祝おう。不足という単語は、否定的なニュアンスを持った言葉であり、何か日本経済に困ったことが生じているような印象を与えかねない言葉だが、バブル崩壊後の長期低迷期に日本経済を悩ませ続けた失業問題が消えうせた結果が人手不足なわけで、これは素直に喜ばないわけにはいくまい。 人手不足というのは経営者目線の言葉であり、労働者目線からは「仕事潤沢」とでも呼ぶべきだが、筆者にはキャッチコピー考案のセンスが乏しいので、どなたかに素晴らしい言葉を考えていただきたいと願っている次第である』、「人手不足というのは経営者目線の言葉」というのは言われてみればその通りだ。「仕事潤沢」というのは、やはりこなれてない言葉だ。
・『人手不足なので、倒産企業の労働者にも仕事は見つかる  失業が深刻なときの倒産は、文字通り悲惨だ。従業員は仕事を失い、失業者となるからだ。経営者と銀行が悲惨なのは言うまでもない。しかし、「人手不足倒産」が発生するような状況であれば、従業員は比較的容易に次の仕事が見つけられるから、それほど悲惨ではなさそうだ。 銀行も、不況型倒産が減っているだろうから、全体の貸倒動向に注目すれば、それほど悲惨ではなさそうだ。一般論として、景気がいいときには「高い金利でも借りたい」という企業が増えて利ざや収入も増え、多少の貸し倒れ損失は気にならないはずだ。この点は今回は当てはまっていないが。 経営者が悲惨なのは、何ともし難いが、不況や連鎖倒産といった外部要因で倒産したのではなく、労働力確保競争に負けて倒産したのだから、ある程度「自己責任」と言えるだろう。つまり、同業他社よりも低い給料しか提示できなかったことによる倒産なわけで、不運による倒産とは言えない面もあるはずだ。 マクロ経済から考えたときに、人手不足倒産がいい倒産だと言える理由は、日本経済全体として労働力が有効利用されるようになるということだ。人手不足倒産によって、「労働力を有効に活用できていない企業」から「有効に活用できている企業」へと労働力が移転するからだ。 労働力を有効に活用して高い利益を稼いでいる企業は、高い賃金が払えるから労働力が確保でき、人手不足倒産とは無縁だ。労働力を有効に活用できない企業は、利益が少ないので高い賃金が払えず、労働力が確保できなくなって人手不足倒産してしまうのだ。 そうだとすると、人手不足倒産によって失業し、新しい会社に雇われた労働者は、労働力をうまく利用できない会社から、労働力をうまく利用できる会社に「転職」したことになる。これは、日本経済にとって素晴らしいことだ。 「社員を上手に使っていい製品を作っているのに、業界全体の過当競争に伴う安売り競争に巻き込まれて利益が上がらず、賃上げができなかった。その結果、社員が高い給料を払っている他業界に引き抜かれてしまって倒産した」という会社があったとする。 だとすれば、労働力を上手に使っている会社が倒産することになってしまうが、業界全体として見た場合には、労働力を利益に結びつけられていないわけで、やはり労働力を上手に使えていない業界だ、ということになる。 いずれにしても、そうした企業の経営者には申し訳ないが、「その会社が倒産したことで、業界全体の過当競争が緩和され、生き残った会社は安売り競争をやめて適正な価格で販売するようになり、適正な利益を稼いで高い給料で人手を確保できるようになる」のだから悪い話ではない。 日本企業は過当競争体質で、せっかく良い物を作っても安売り競争を繰り広げてしまうから儲からないのだ、と言われる。それが、労働力不足で「良い物を適正な値段で売る」ようになれば、これまた素晴らしいことだ』、「「社員を上手に使っていい製品を作っているのに・・・」の例示は、例示そのものが矛盾しているが、それを除けば概ね正論だ。
・『穏当な労働力移動の方が倒産よりは望ましい  とはいえ、できれば倒産は避けたい。その意味では、人手不足倒産の件数が少ないことは救いだ。裏で人手不足による自主廃業、合併、会社の身売りなどが数多く行われているのだろう。 合併や企業の身売りなどにより、設備や労働力を同業他社が有効利用してくれるならいいことだ。「規模の経済」によって、日本経済が効率化していくからだ。資金力のある企業に吸収されれば、資金力を頼みに省力化投資を行うことで、労働力不足が緩和できる。 また、倒産してしまうと、企業に蓄積していたノウハウや顧客からの信頼といった「バランスシートに載っていない資産」が雲散霧消してしまう上に、バランスシートに載っている資産もスクラップ用に二束三文で買いたたかれたりしかねない。これは、日本経済にとって大きな損失だ。 したがって、人手不足倒産が懸念される事態に陥ったら、経営者は早めに合併や身売りや廃業を検討していただきたい。ご自身のためにも、日本経済のためにもだ。自社が生き残れるかもしれないといういちるの望みが残っているときには、必死になって生き残る可能性に賭けるのが経営者としては自然であろうが、それでつぶれてしまってはもったいない話で、日本経済の損失となる。冷静に考えて決断していただければ幸いである』、元銀行員だけあって、説得力がある主張だ。日本企業は苦しくなっても、必要以上に頑張ってしまう結果、大幅な債務超過となって、経営者のみならず、労働者にまで被害が及ぶケースが多い。これからは、傷が広がる前に、早目に見切ることも必要だろう。

次に、百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が10月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「人手不足の日本社会がすがるしかない、手放しで喜べぬ3つの解決策」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/183394
・『2030年の人手不足は今の5倍以上?「もう日本が回らない」は本当か  以前から指摘されている「2030年問題」というものがある。2030年には日本人口の3分の1が高齢者になり、同時に大幅に生産年齢人口が減少することで、日本社会全体が回らなくなるのではないか、と懸念されている問題だ。 この問題については、いくつものシンクタンクが様々な試算を行っている。みずほ総研によれば、2016年に6648万人だった日本の労働力人口は、2030年には5880万人になると予測されている。単純計算で768万人の労働力減少が起きることになる。 この問題が厄介なのは、人口問題はかなり高い確率で現実のものになるということだ。いまさら日本人の出生率が急増するわけもなく、仮に今年や来年に増加したとしても、2030年の生産年齢人口には何の影響もない。 一方で、ひょっとすると高齢者の寿命は2030年頃にはもっと伸び、需要は拡大しているかもしれない。悪い方に予想が間違うことはあっても、いい方向に間違うことはないだろう。 10月23日にパーソル総合研究所と中央大学が発表した調査結果によれば、2030年の日本の人手不足は644万人になるという。厚生労働省の発表による昨年7月の人手不足は121万人だったので、2030年には現在の5倍以上の労働力不足がやってくるというわけだ。中央大学の阿部正浩教授によれば、この試算も賃金が上昇した場合であって、想定通りに賃金が上昇しなければ1000万人規模の人手不足に陥るという。 では、この問題はどう解決できるのだろうか。この2030年問題については、実は3つの具体的な解決策が提唱されている。3つとも「必ずしも好ましい対策とは言えない」という欠点を持っているにもかかわらず、おそらくその3つが未来の問題を解決してくれると期待されている。「手放しで喜べない3つの解決策」とは何か。1つずつ紹介していこう』、どのようなものなのだろうか。
・『【解決策1】労働参加年齢の上昇  労働力の統計には、生産年齢人口と労働力人口がある。生産年齢人口は15歳以上65歳未満の人口のことなので、これはどんな政策を用いても増加することはできない。一方で労働力人口は、一般には15歳以上で働く意思を持っている人口のことを指す。なので、労働参加率が上昇すれば労働人口は増えることになる。 たとえば、日本の従業員数は1984年に3936万人だったものが、2016年には5391万人と1455万人も増えている。なぜ増えたか、その要因としては人口増加よりも労働参加率の上昇の方が圧倒的に重要である。この30年間で女性の労働参加率が飛躍的に増加したのと同時に、1984年当時は55歳だった定年が現在では多くの企業で60歳以上に引き上げられていることが挙げられる』、なるほど。
・『もう高齢者や外国人に頼るしかないのか  翻って2030年のことを予測すると、その時代には70歳にならなければ満足な額の年金が支給されなくなるということが予想されている。年金が支給されなければ、ないしは年金が支給されてもその額が十分でなければ、生活が成り立たない高齢者がどうするかというと、働くしかない。 中国から見ると、現在でも日本は高齢者がたくさん働いている国に映るそうだが、それが2030年にははるかに大規模な社会現象となり、労働力不足は200万人規模の高齢者が埋めてくれることになる』、「定年」がない高齢者の労働参加率はどうなのだろう。
・『【解決策2】移民の活用  日本は欧米のような移民政策は絶対にとらない――。我々日本人はそう信じてきた。しかし海外の人から言わせると、現在の日本はすでに移民大国なのだという。 実際、2008年に48万人だった外国人労働者は、2017年には127万人まで増加している。前年比で言えば18%増と急激な増加率だ。どのような外国人が増えているのか、内訳を見ると実に全ての分類で増加しているのだ。技能実習も専門分野の在留資格も着々と増えているし、資格外活動の外国人も増加している。 さらに政府は、こうした実態に合わせるために、今後単純労働に関しても、外国人に対してビザを発行する方針を決定した。仮に外国人労働者の数が、今後(現在よりはペースダウンした)毎年10%の増加率で増えて行ったと仮定すると、どうなるだろうか。試算してみると、2030年の外国人労働者の数は400万人を超える。これは労働力不足を補うには十分なペースである』、外国人労働者の急増を社会が円滑に吸収し得るか、日本人の賃上げ圧力を抑制しないか、などが問題になる。
・『【解決策3】AI・ロボット活用  さて、実はこれが一番現実味が大きいと私が考えているものだが、人工知能の進化によって、2020年代を通じて人間が行う頭脳労働のかなりの部分がAIに置き換わるようになる。 現実に、メガバンクは10年間で1万9000人規模のリストラを計画しているが、これはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるAIによって、事務作業の多くが自動化されることを見込んだ数字である』、ホワイトカラーにとって深刻な脅威だ。
・『AIに仕事を奪われるのは正社員 この国は変質してしまうのか  私もこれまで『仕事消滅』 『「AI失業」前夜』といった著書を通じて、人工知能による仕事消滅論に警鐘を鳴らしてきた。仕事消滅の怖いところは、失業者が増えるのではなく、むしろ給料の高い頭脳労働者の仕事がなくなることだ。言い換えると、人工知能の問題は正社員の仕事を消滅させ、我々の仕事の大半をパートタイム労働だけにしてしまうことにある。 そもそも2030年に644万人の人手不足が発生するという試算の前提は、2030年の日本に7000万人分の労働需要があるという考え方に基づいている。人工知能が1000万人分の仕事を消滅させただけで、この問題はあっという間に解決してしまう。そして2020年代には、実際にAIはそれを上回るペースで人間の業務を効率化していくと予想されている。 以上が2030年問題に関して考えられている主な解決策のリストである。人工知能が頭脳労働を肩代わりしてくれ、外国人労働者がコンビニ・飲食店・宅配便・介護といった若手でないとできない仕事を担当してくれ、生活費の足りない高齢者が警備員・チラシのポスティング・清掃の仕事を請け負ってくれるのが、2030年の未来ではないか。 そのような未来を考えると、2030年問題の核心は、労働力ギャップよりも、日本という国がどこまで変質してしまうのかということだと思う。皆さんはこの問題を、どう考えるだろうか』、AIによるホワイトカラーの代替は残念ながら避けることは出来ないだろう。代替する仕組みを設計する技術者は、ごく少人数で済むので、影響は深刻だ。他方、高齢者の労働市場参加は、生活の必要性から進むだろう。現在問題になっている外国人労働者の問題は別途、取上げる予定だが、私は枠を広げることには、社会的な問題が大きく反対である。 
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