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金融業界(その4)(高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている、関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界) [金融]

金融業界については、8月2日に取上げた。今日は、(その4)(高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている、関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界)である。

先ずは、みずほ総合研究所 専務執行役員調査本部長/チーフエコノミストの高田 創氏が10月31日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/183824
・『高齢化はさまざまな形で経済社会を大きく変えようとしているが、金融システムや銀行もその例外ではない。戦後一貫して当たり前のものとして前提にしてきた金融仲介の在り方は大転換を迫られている。 本論は、戦後、「人生60年時代」の局面で作り上げられた今の金融のインフラが、その後、高齢化に伴い「人生100年時代」を迎えるなか、実態に合わなくなっているとの問題提起である。 それは、今日の銀行の在り方そのものを問うものとなる』、ずいぶん大きく構えたものだが、見てゆこう。
・『高齢化がもたらすマネーフローの転換  高齢化は2つの面で、金融システムや銀行のビジネスモデルの転換を迫っている。 第1が、現役世代を対象にした金融・ビジネスから高齢者に向けたサービスへのシフト。 第2は、老後、多様化するライフスタイルに対する対応だ。 図表は、今日の高齢化に伴うライフステージや金融ニーズの変化を示す概念図である。 横軸で、高齢者に向けたサービスのシフトを、縦軸で多様化するライフスタイルに対する金融サービスの変化を示し、2次元にわたる大きな転換を指摘したい。(◆図表1:高齢化に伴うライフステージや金融ニーズ はリンク先参照)』、なるほど。
・『「波平さんモデル」から平均寿命は20年延びた  ここに示した高齢化に伴う環境変化を筆者は「波平さんモデル」の転換として議論してきた。それは、つまり「人生60年時代」の転換を示す。 戦後の国民的アニメの「サザエさん」に登場する波平さんの年齢は、54歳という設定だとされる。このアニメの原作の漫画が始まった1950年代当時、サラリーマンの定年の多くは50歳代半ば、男性の平均寿命は60歳程度だった。 今、我々の生活を取り巻く制度設計の前提の多くは「サザエさん」が誕生したころに生まれ、年金などの社会保障制度の設計もその頃の状況がベースになっている「波平さんモデル」である。 同様に、金融機関のビジネスモデルも当時の状況を想定したものといっていい。 だが現在、男性の平均寿命は81歳と、過去60年の間に20歳程度も延びた。当時の波平さんをベースに設計された「波平さんモデル」は、今の実情と全くかけはなれている。 かつての「波平さんモデル」なら、ほとんどの人の人生は現役の時代だけで完結し、老後に必要な経済的保障である年金のニーズも生まれなかった。また、健康面では老人医療の必要もなく、介護のニーズも生じない。 すなわち、「老後」の存在がほとんどない、「現役世代完結型」のモデルだった』、「波平さんモデル」とは上手いネーミングだ。
・『「現役世代完結型」から「世代間資金仲介型」に  ここで金融の仲介機能に目を向けよう。 「波平さんモデル」、「現役世代完結型の金融」での資金の仲介は、社会の現役世代における資金過不足の金融仲介が中心になる。 すなわち、戦後長らく、旺盛な資金需要を伴う企業セクターが存在し、家計でも現役世代に住宅投資を中心に資金ニーズがあった。銀行の機能は、企業や現役世代への資金仲介を行うことにあった。 その資金需要額は貯蓄額を超える投資過剰の状況のなか、商業銀行が、貯蓄を集める効率的なインフラの中核として存在した。 その環境のもとで銀行のビジネスモデルは、画一化したライフスタイルの現役世代を中心に、さまざまなライフステージ(就職-結婚-子育て-住宅購入-定年)に対応した金融ニーズを提供することだった。 銀行はそうしたライフステージの入り口の就職段階から顧客を捉えれば、その後も安定した営業基盤が構築でき、預金を集めれば自動的に収益につながった。こうしたことが暗黙裡に前提とされていた商業銀行モデルの成功体験が長く続いた。 次に、老後の生活が20年以上ある「人生100年時代」への転換を考えよう。 この時代での資金の仲介は、顧客の現役の時から老後まで、社会全体の現役世代から老後への世代をつなぐ金融、「世代間資金仲介」だ。それは年金をはじめとする資産運用に他ならない。 人々は公的年金制度などで不十分と考えれば、現役の時の支出を減らしても老後に備えることになる。さらに、「人生100年時代」の掛け声のなか、さらに老後が長くなるとの不安は、節約志向を強め、資産運用のニーズを増やす。 同時に、企業の旺盛な資金需要も減退するなか、商業銀行のビジネスモデルは大幅な転換を余儀なくされる。 とりわけ現在のように日銀による「マイナス金利」政策が続き、金利収入が激減している状況では、戦後一貫して続いた預金と貸し出しをベースとした商業銀行のビジネスモデルは再考を迫られる。 同時に、新たに資産運用ビジネスの重要性が高まることになる』、「資産運用ビジネスの重要性」は既に強く認識されていて、競争も苛烈だ。
・『企業の資金余剰時代 エクイティ市場が中心に  図表2で貯蓄投資バランスの変化を見てみよう。(◆図表2:日本の貯蓄投資(IS)バランス推移 はリンク先参照) 戦後一貫して続いた非金融法人の資金不足は、90年代以降は資金余剰に転換した。 商業銀行などの金融機関にとっての「波平さんモデル」は、企業が資金不足であることが前提だった。だが、資金余剰になったなか、高齢化における資金仲介は現役世代から高齢者への資金仲介、資産運用が中心になる。 さらに、ライフスタイルが多様化するなかでは、多様なライフスタイルのニーズに即した金融サービスが重要になり、そこでは商業銀行が担うビジネスに加え信託業務の重要性も高まりやすい』、信託銀行では、政府の後押しもあって、既に暦年贈与信託、相続型信託、教育資金贈与信託などを提供している。
・『さらに、従来の企業金融は銀行中心の貸出市場から資本市場が中心になる。 今や上場企業の6割近くが実質無借金だ。金余り時代では、必要な資金はデットよりもエクイティ性資金で調達することが主になる。 資金仲介機能もデット市場からエクイティ市場が中心となる。金融庁など金融当局が金融機関の経営状況を判断する際の事業性評価も、今後は、デット性の貸し出しにとどまらず、エクイティ性の出資機能も重要になるのではないか。 高齢化が金融仲介システムに大きな転換をもたらしていることを、改めて認識する必要がある』、正論であるが、現在のところ銀行の株式保有には、自己資本を上限にするとの制限がある。この緩和を暗に求めているのだろうか。

次に、11月19日付け日刊ゲンダイが掲載した商工中金の関根正裕社長と作家の江上剛氏の対談「関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241751/1
・『江上氏 近ごろ経営のかじ取りがおかしい  1997年に発覚した第一勧業銀行(現みずほ銀行)の総会屋利益供与事件。このとき広報担当者として活躍したひとりは作家となり、その部下だった金融マンは今年3月、西武ホールディングス(HD)傘下のプリンスホテル常務から、不正融資問題に揺れていた商工組合中央金庫(商工中金)の社長に転じた。第一勧銀時代、二人三脚で不祥事対応にあたった作家・江上剛氏と商工中金社長・関根正裕氏の2人が今の銀行界を語る』、興味深そうだ。
・『・・・江上 ・・・それにしても、僕が小説を書き、関根さんが商工中金の社長になって、こんなふうに対談するとは、人生って不思議だよね。 関根 ビックリですよ。そもそも商工中金に来るのが想定外でした。 江上 初めて商工中金の話があったとき、どう思った? 関根 正直、「私ですか?」と思いました。ただ、商工中金の調査報告書などを読んで、職員のメンタリティーは理解できたし、これであれば自分の経験が生かせる、役に立てるかもしれないと感じました。 江上 このニュースを知ったとき、よく引き受けたなと(笑い)。家族は何と言っていた? 関根 プリンスホテルの仕事は充実していたし、家内は他に行くとは思っていなかったでしょう。家内に「やりたいの?」と聞かれて、「やりたい」と答えたら、ビックリしていましたけど、「だったらいいんじゃない」と賛成してくれました。 江上 西武グループには何年いたの? 関根 13年です。そのうち5年がプリンスホテルでした。みずほ銀行から西武HDに移った目的は、後藤高志さん(西武HD社長、元みずほコーポレート銀行副頭取)を男にしたいというのと、西武再建を果たすの2つでした。それは達成したし、私が西武HDにいなくても大丈夫だと思ったこともあります。 江上 商工中金へ移るときの新聞報道などを見ると、関根さんは再建の専門家と書かれていました。西武に移るときの気持ちと、今回は違いますか? 関根 まず西武での経験が生きるのではないかと思いました。商工中金の職員はまじめに一生懸命やっています。ただ、時代の流れとか、経営のあり方の間違いで、不正融資問題が起こってしまった。だから、経営者が方向性を示し、体制をきちんと整えれば再生できると信じています。 江上 近ごろはKYBや神戸製鋼所、タカタなどモノづくりの現場でも不祥事が続いています。業績至上主義というか、経営のかじ取りがおかしくなっていると感じます。 関根 それは間違いないでしょうね。商工中金も業績に対するプレッシャーは相当強かったと思います。もっと言えば、職員は業績を上げることが人事評価につながるとの思いが強かった。そのせいで成果を上げようと無理をしてしまう。風通しの悪さもあったでしょう。現場で起こっていることが経営まで上がってこない。これは組織的な欠陥にほかなりません』、かつては政府系金融機関の商工中金は、「親方日の丸」で優雅な職場であったが、民営化の既定方針を覆すため、無理にでも融資を増やして存在感をアピールしようとしたことが、致命的な不祥事につながってしまった。
・『江上 リーマン・ショック後などは、他の金融機関が貸し渋りをするなか、商工中金は積極的な融資を実行したと聞いています。申し込みも殺到したとか。 関根 リーマン・ショックや東日本大震災では、多くの金融機関の融資残高は大きく減少しましたが、商工中金は融資残高を増やしています。危機のときに企業の役に立った。その感謝の声は今も続いています。それが顧客の信頼につながっているのは間違いありません。 江上 銀行は「雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を差し出す」と言われることもあります。商工中金のメンタリティーは違うんですね』、それはそうだが、商工中金は融資拡大のため、審査資料の改竄までやり、問題化したことには、触れられてない。現社長でも過去の恥部には触れたくないのだろう。
・『関根氏 個人にノルマは課さない  関根 そもそも商工中金は中小企業の金融の円滑化という趣旨でつくられています。職員の矜持というか、DNAに組み込まれていると思います。中小企業の経営者には、あのとき助けてもらったから今があるという人がたくさんいます。一時は廃業を考えてたけど、商工中金が危機対応融資などで支援するといってくれたおかげで復活できたと言ってくれています。 江上 ただ、その危機対応融資が平時にも続いたことが不祥事を招いたともいえますね。私は小説を書くために多くの経営者に取材しますが、業績を上げ続けなくてはいけないプレッシャーにはまり込む人が大勢いるように思えます。関根さんは、10月に策定した中期経営計画で、職員に目標を割り振るのをやめたとか? 関根 各支店で個人のノルマを課すのは厳禁だと宣言しました。 江上 そうすると、われわれの若いときみたいに喫茶店でサボる人も出てくるのでは(笑い)。 関根 ハハハ、会社ですから成果を上げることは変わりません。ただ、ひとりずつに数字を割り当てるのをやめ、結果ではなくプロセスや取り組みを評価しようということです。 江上 最近の企業は四半期ごとに決算があって、結果ばかりを求められます。だから結果から経営を考えるみたいになっている。でも本当は利益は後からついてくるものです。 関根 銀行は、銀行の都合でセールスするのではなく、顧客のニーズに基づいて営業することが大切です。顧客のことをきちんと知れば、先方が気付いていない課題やニーズも分かってきます。そういう営業をすべきでしょう。 江上 まさにホテルマンの経験が生きていますね。 関根 ホテルの現場の人は、純粋に客に喜んでもらうことを考えています。収益など頭にありません。そんなホテルの経験を生かしてこそ、私が商工中金の経営をやる意味があると思っています。 江上 先ほども少し触れましたが、中期経営計画には店舗の統廃合や職員数の減少も含まれています。職員の反応はどうですか? 関根 合理化の話は一部分だけなのですが、そこばかり取り上げられて……。トータルの人員は自然減などで減少しますが、営業やサービスのソリューションの部分は増員します。一方で、店頭に来る人は減り、業務のロボット化、自動化も進んでいます。実際、業務量は減っていくので、その分の人員は減少します。現在、職員は約4000人ですが、560人分の業務量を減らします。自然減は400人ほどで、160人はサービス強化にエネルギーを注いでもらいます。とはいえ、自分の仕事がデジタル化や本部集中によってなくなってしまう職員もいます。そんな人には新たな挑戦のチャンス、成長する糧にしてほしいとのメッセージを送っています』、それでも民間の銀行に比べれば、リストラの度合いは手緩いのではなかろうか。
・『江上 中小企業は後継者も大きな課題だといわれます。 関根 中小企業は日本全国にざっと380万社あります。今後、10年で社長が70歳以上になるのは240万社といわれ、そのうちの半分にあたる120万社は後継者が決まっていません。 江上 かつて日本興業銀行は“人材派遣銀行”といわれていたけど、商工中金も人材派遣したらどう? 関根 要請はたくさんありますね。ただ、応えられていないのが現状です。 江上 米国の成長企業には、2000年以降にスタートアップしたところが目立ちます。近ごろはクラウドファンディングなど支援の方法はさまざまですが、米国に比べ日本は体制があまり整っていないと感じます。 関根 過去の経験や実績に基づいて審査する方法は限界があります。このやり方を変える必要はあるでしょう。たとえば、開発力があって製造は得意だけれども、営業力や財務の弱い会社があるとしたら、われわれは弱いところをサポートする体制を整えてあげる。 江上 一般的に目利き力というのがあるでしょう。私も銀行の支店長時代に、融資先の社長の顔を見ながら、「夜逃げしないよね」と聞いていました。「しません!」とハッキリ言う社長もいたね。 関根 経営者が情熱を持っているかどうか、誠実かどうかが基本でしょう・・・』、その程度の経営者への確認では到底済まないのが現実なのに、無理にキレイ事でまとめるとは、残念だ。
タグ:対談 金融業界 日刊ゲンダイ 江上剛 ダイヤモンド・オンライン 商工中金 高田 創 (その4)(高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている、関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界) 「高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている」 「人生60年時代」の局面で作り上げられた今の金融のインフラ 「人生100年時代」を迎えるなか、実態に合わなくなっている 高齢化がもたらすマネーフローの転換 第1が、現役世代を対象にした金融・ビジネスから高齢者に向けたサービスへのシフト 第2は、老後、多様化するライフスタイルに対する対応 「波平さんモデル」から平均寿命は20年延びた かつての「波平さんモデル」 「老後」の存在がほとんどない、「現役世代完結型」のモデルだった 「現役世代完結型」から「世代間資金仲介型」に 銀行のビジネスモデルは、画一化したライフスタイルの現役世代を中心に、さまざまなライフステージ(就職-結婚-子育て-住宅購入-定年)に対応した金融ニーズを提供することだった この時代での資金の仲介は、顧客の現役の時から老後まで、社会全体の現役世代から老後への世代をつなぐ金融、「世代間資金仲介」だ 企業の資金余剰時代 エクイティ市場が中心に 信託業務の重要性も高まりやすい 資金仲介機能もデット市場からエクイティ市場が中心 今後は、デット性の貸し出しにとどまらず、エクイティ性の出資機能も重要になるのではないか 関根正裕 「関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界」 近ごろはKYBや神戸製鋼所、タカタなどモノづくりの現場でも不祥事が続いています。業績至上主義というか、経営のかじ取りがおかしくなっていると感じます 職員は業績を上げることが人事評価につながるとの思いが強かった リーマン・ショック後などは、他の金融機関が貸し渋りをするなか、商工中金は積極的な融資を実行したと聞いています 関根氏 個人にノルマは課さない
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