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日本の構造問題(その9)(貿易で米独に勝てない日本経済が抱える過去の戦略ミス、なぜ日本の組織は息苦しいのか? 今も昔も日本人を支配する妖怪の正体) [社会]

昨日に続いて、日本の構造問題(その9)(貿易で米独に勝てない日本経済が抱える過去の戦略ミス、なぜ日本の組織は息苦しいのか? 今も昔も日本人を支配する妖怪の正体)を取上げよう。

先ずは、三井住友銀行 チーフ・エコノミストの西岡純子氏が12月5日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「貿易で米独に勝てない日本経済が抱える過去の戦略ミス」を紹介しよう。
・今年7-9月のGDP(国内総生産)は、物価変動分を除く実質で前期比年率▲1.2%と、マイナス成長に転じた。 自然災害の影響が消費や輸出に影響したことが減少の主因で、経済の牽引役となっている民間企業の設備投資は8四半期連続で増加しており、落ち込みは一時的な動きだろう。 だが先行きを展望すれば、日本経済が抱える課題は多い。海外では緩やかに需要が鈍化しているうえ、来年の年初から始まる日米物品貿易協定(TAG)交渉の結果次第では、輸出産業は今年ほど楽観はできない。 さらには、来年10月実施の消費増税と、ビッグイベントが控える。だが懸念されるのはGDPの鈍化だけではない』、何なんだろう。
・『減り続ける交易利得 原油価格値下がりは朗報か  日本経済は、海外への投資で“稼ぐ”体制へと移っている実態からいえば、GDPだけ見てみても経済の全体像を把握できない。 海外への投資から得られる所得や、貿易取引における価格の変化が、国全体の所得にどのような利得をもたらしているのかという尺度も合わせて評価する必要がある。 中でもこのところ注目すべきことは、交易利得の減少(交易条件の悪化)だ(図表1)。 交易利得とは、輸出入双方の価格の変化がどれだけ所得の流出入に影響したかを分析する指標である。 例えば、商品市況の上昇(下落)は、エネルギー原材料を輸入に依存する日本経済には交易条件の悪化(改善)要因として働く。また、円高(円安)は輸入価格を押し下げる(押し上げる)ことで一般には交易条件の改善(悪化)要因である。 国際競争力の向上(低下)で価格引き上げが積極化(消極化)することも、交易条件の改善(悪化)要因である。 海外との取引では、貿易のほか、証券投資や直接投資を通じて所得の受取・支払も発生する。 日本は国内での投資が抑制されてきた一方、海外への投資が積極化してきたことで、海外からの所得の受取(利子・配当収入など)が国民所得の嵩上げに存在感を増してきた。 しかし、その海外からの所得・純受取もここ3年ほどは、改善が頭打ちとなっている。 つまり、今の日本経済は、GDPの伸びが鈍い上、足元では交易利得が大きく減っていることと、それを相殺する海外からの所得流入の勢いも失せており、国民所得総額の伸びが総じて抑えられた状況にあるという、非常に厳しい状況なのだ。 そうした中、ここ1ヵ月で原油価格は大きく低下した。これは朗報といえるのだろうか』、確かに易条件の悪化は深刻だ。
・『アジア諸国との競争で価格抑制 製品の差別化を後回しに  交易条件の低下が始まったのは2000年央である。それまでは、どちらかといえば日本の交易条件は良好だった。 だが、90年代の後半のIT革命をきっかけに、世界的に資本の生産性が向上し、また諸外国による市場開放の拡大で人・モノ・サービスの移動が活発になった。 人手を必要とする工程は労働単価が相対的に安い新興国に集中し、いわゆる新興国と先進国の間での分業体制が定着するようになった。さらに、2001年に中国がWTOに加盟したことで、こうした世界レベルでの製造業の分業体制が加速度的に広がった。 その折、日本はアジア諸国との競争で優位に立つための戦略として、製造コストの削減に力を入れ、アジア諸国の製品と価格競争で負けないために輸出価格の抑制を徹底した。 本来なら、技術力や生産性などで、比較優位にある自国の輸出品目は、その優位性をもとに外貨建ての値段を引き上げることができるはずだ。 だが、日本はアジアとの競争で値上げを回避し続けてきた結果、交易条件は実に2012年ごろまで長く、悪化の一途を辿ったのだった。 もちろん、交易条件の悪化の一番の理由は、2006年ごろから2008年の間の原油価格の急騰だったが、当時は輸出価格の抑制と時期が重なったことで日本の交易条件の悪化が一層、加速した。 ちなみに、輸出価格の抑制をしながら、日本企業が製品の高付加価値化を進めたのも事実である。 自動車、電気機器、汎用性機械など、製品の差別化も進められた。 しかし、製品の差別化が進んだ割には、価格の引き上げが後回しにされたことで、交易条件は悪化の一途を辿ったのだ』、「日本はアジア諸国との競争で優位に立つための戦略として、製造コストの削減に力を入れ、アジア諸国の製品と価格競争で負けないために輸出価格の抑制を徹底した」というのは、致命的な戦略ミスだ。
・『輸出価格を引き上げたドイツとは好対照  この点、高付加価値化や製品差別化で、交易条件を大きく改善させたのがドイツである。 現在は交易条件の改善は2016年からの原油価格の反発とユーロ安で足元では鈍化しているものの、過去と比べて水準はなお高い。 国内外で取引される物・サービスの“数量”の回復に加え、価格転嫁の進捗によって、ドイツ経済は国民所得が大きく伸びた。 こうしたドイツの成長を見ると、産業構造が近いとされる日本が随分と水をあけられたことは明らかだ。 15年ほど前のドイツ経済は日本と同様、デフレ的な経済状況に苦しみ、通貨統合後のユーロ高に促された交易条件の改善でも、2000年代前半の数量の改善は大きく出遅れた。 その後、アジア経済の好況に乗って2000年代後半には輸出数量の回復に勢いが戻ったものの、当時の加速度的な交易条件の悪化(原油高)によって交易利得の本格回復を見ることなく、リーマンショックを引き金にした金融危機の影響を受けGDPも落ち込んだ。 しかし、金融危機後のドイツは、原油安だけでなく、輸出品目の価格引き上げを進めたことで交易条件が改善、価格・数量の両面で収益が押し上げられた』、金融危機後のドイツの対応は理想的だ。
・『原油安だけでは交易条件の改善は一時的  主要国間で交易条件の違いに影響をもたらすのは、大きくは(1)為替の影響の違い、(2)輸入構造の違い、(3)輸出構造の違い、の3点だ。 これら3要因のうち、短期的にもはっきりと観測しやすいのは(1)と(2)である。 日本の輸入構造は米独と比べてエネルギー関連の鉱産物および燃料のウェイトが高い。 また、為替の影響度についても、日本では輸出取引全体の約5割が、輸入取引の約7割がドル建てだ。商品市況の変動と絡んだ為替ドルの変動で、輸入側のコストの上下が日本全体の交易条件を変動させやすい。 これに対してドイツは財の輸出入の3分の2をEU域内での取引が占めており、自国通貨建ての決済の割合は日本よりも多い。 輸出構造の違いも、特に日本とドイツの交易条件の差を説明する上で、重要な要素だ。 日本とドイツの輸出相手国を見ると、ドイツはユーロ圏ないしユーロ圏を除くEUが6割強を占めるのに対し、日本は中国およびアジア新興国が半分以上だ。 互いに地の利を生かした構造であることは明らかだが、その中でも違いと言えば、ドイツは所得水準の近い国との間で、最終製品を中心にした水平的な貿易取引が多いのに対し、日本は部品を提供した上で、アジア新興国で加工するという垂直的な分業体制が定着していることだ。 前者のような水平的な貿易では、例えば自動車でも互いに輸出入を行うことで競争が展開され、技術力のある国の製品差別化が進みやすい。それが定着すると、比較優位にある国(ドイツ)は消費国に対し価格転嫁を進めやすくなる。 一方で、日本は2000年初以降のアジア諸国の需要の拡大をビジネスチャンスととらえると同時に、アジア域内に急速にサプライチェーンを拡大した。 国際競争力を維持する上で、技術力での優位だけでは足りず、価格を下げることでシェアを維持しようとしてきた。 これこそが日本の交易条件が改善しにくくなった背景であり、ドイツに大きく水をあけられた理由である。 日本の産業を活況にする上で、円安が必要だとする主張が今なお多い。確かに円安は輸出競争力を向上させることは事実である。しかし、肝心のドル建て価格を積極的に引き上げることができない限り、国民所得の安定した増加は続かない。 結局は、原油価格など、その時々の商品市況の上下に所得の流出入が左右され、一喜一憂する状況は続いてしまうだろう』、日本の輸出価格の抑制は円高時代から続く悪弊だ。当時は、円高→輸出価格の抑制→黒字拡大→円高、といった悪循環に陥っていたが、円安になっても輸出価格の抑制に頼っているようでは、救いがない。
・『株価の低迷も同じ理由 「値上げ我慢」では限界  ちなみに、米独では、交易条件の改善と数量が回復する局面では総じて株価が上昇している。 米国では、このところ株価の動向が不安定なことから、米国経済の変調を懸念する声も多いが、交易条件と数量双方が安定して改善している状況から考えると、米国の株価が過去のリセッション時のような急激な調整局面を迎えるとは思えない。 一方ですでに交易条件が悪化に転じ、貿易取引の数量も頭打ち感が出てきている日本の株価が、米国の株価に比べて、低く評価されているのも、理由がないことではないのだ。 日本はエネルギー原材料の調達を輸入に頼る経済であり、原油など商品価格の低下は日本経済にとって朗報のはずだ。しかし、一方で製品の差別化や高付加価値化で輸出価格を引き上げる取り組みがないと、交易条件の改善もそのとき限りでそれは一時的な恩恵なのだろう。 企業が値上げを我慢しコスト削減で頑張るといった「デフレマインド」を放棄しないままでは、国全体で見た所得の流出を許してしまうことになる。 そして結局、それは国内で財政赤字を吸収する余力がなくなることにもつながってしまう』、説得力ある日本経済論だ。

次に、ビジネス戦略コンサルタント・MPS Consulting代表の鈴木博毅氏が12月6日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「なぜ日本の組織は息苦しいのか? 今も昔も日本人を支配する妖怪の正体」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/186200
・『忖度、パワハラ、同調圧力、いじめ、ネット炎上、無責任主義……。なぜ、日本の組織は息苦しいのか? 会社から学校、家族、地域コミュニティ、ネットまで、日本社会が抱える問題の根源には「空気」という妖怪が存在する。それは明治維新、太平洋戦争、戦後の経済成長にも大きく作用し、今日もまったく変わらず日本人を支配する「見えない圧力」である。15万部のベストセラー『「超」入門 失敗の本質』の著者・鈴木博毅氏が、40年読み継がれる日本人論の決定版、山本七平氏の『「空気」の研究』をわかりやすく読み解く新刊『「超」入門 空気の研究』から、内容の一部を特別公開する・・・』、本質を突いているようで、興味深そうだ。
・『旧日本軍からネット炎上まで今も昔も変らず日本人を支配するもの  1977年(文庫版は1983年)に出版された山本七平・著『「空気」の研究』という書籍があります。この書は、日本人の特殊な精神性や日本的な組織の問題点を指摘する存在として、世に出て以降ずっと読み継がれてきました。 同書を一読されたほとんどの方は、この書が今の日本の何か重要な問題を描き出していると感じるのではないでしょうか。 神経をすり減らす人間関係、個性より周囲との協調性を優先する教育、繰り返される組織内での圧力などが今、問題となっています。 息を潜めて、目立つことを避けながらも、周囲を常に意識しなければ不安にさせられる「相互監視的」な日本社会のリアル。誰もが「空気」に怯えながら、「空気」を必死で読む日々に疲れ切っているように見えます。 山本氏は、世界の歴史や宗教への深い造詣、戦地での極限の体験などから、日本人を支配する「空気」という存在を、多角的に描写してその力学を解き明かしています。『「空気」の研究』で鋭く描写された多くの理不尽な構造は、残念なことに現代日本でもまったく変わらないままです』、その通りだ。
・『エスカレートする日本社会の生きづらさ  「空気」という言葉から、日本社会の息苦しさを連想する人は多いのではないでしょうか。自由に意見が言えず、人と違えば叩かれ、同調圧力を常に感じる。 山本氏は『「空気」の研究』で、日本の組織・共同体は「個人と自由」という概念を排除する、と指摘しました。 最近ではネットやSNSでの誹謗中傷、匿名の集団による個人攻撃もエスカレートしています。学校ではいじめや自殺がなくならず、会社ではブラック企業や過労死が問題になっています。 1977年に同書が世に出て以降、日本社会の生きづらさは改善されるどころか、益々ひどくなっているように思えます。では、なぜ日本社会はこんなにも息苦しいのでしょうか? それは、私たちの社会に浸透する「空気」と大いに関係しているのです』、全く同感だ。
・『「空気」が日本を再び破滅させる  東日本大震災後の国の対応、東京都の築地市場の移転問題、相次ぐ巨大企業の不祥事と隠蔽、次々と明らかになる組織内でのパワハラやセクハラ……。その都度指摘されるのが「同調圧力」「忖度」「ムラ社会」「責任の曖昧さ」などです。 問題への対処にさえ「なかったフリをする」「起きた事故の惨禍に目をつぶる」など、日本社会の悪しき慣習が、この国の問題を拡大して日本人を苦しめているかのようです。 『「空気」の研究』で、山本氏は衝撃的な予言を残しています。もし日本が、再び破滅へと突入していくなら、それを突入させていくものは戦艦大和の場合の如く「空気」であり、破滅の後にもし名目的責任者がその理由を問われたら、同じように「あのときは、ああせざるを得なかった」と答えるであろう。 山本氏は砲兵士官として1944年にフィリピンのルソン島に出撃し、その地で敗戦を迎えています。そのため『一下級将校の見た帝国陸軍』などの軍体験を活かした著作も多いです。その山本氏が「日本が再び破滅するなら、空気のためだ」と予言しているのです。 敗戦後の日本は、1980年代まで経済成長が続き、一億総中流時代と呼ばれた豊かな時期を経験していました。その頃すでに、日本の未来に「空気による破滅」を山本氏は予感していたのです』、「「日本が再び破滅するなら、空気のためだ」」と予感していた山本氏は、やはりさすがだ。
・『日本軍の失敗と今の社会問題に共通すること  終戦直前、護衛戦闘機もなく沖縄へ出撃した戦艦大和は、アメリカの戦闘機の波状攻撃を受けて戦果なく撃沈されました。無謀な作戦の理由を聞かれて、軍令部次長だった小沢 治三郎中将はこう答えたと言います。 「全般の空気よりして、当時も今日も(大和の)特攻出撃は当然と思う」 山本氏はこの発言に「空気」の存在を見ていました。 当然とする方の主張はそういったデータ乃至根拠は全くなく、その正当性の根拠は専ら「空気」なのである。従ってここでも、あらゆる議論は最後には「空気」できめられる。 さらに、山本氏は大胆に、空気を「妖怪」のようなものだと指摘します。 統計も資料も分析も、またそれに類する科学的手段や論理的論証も、一切は無駄であって、そういうものをいかに精緻に組みたてておいても、いざというときは、それらが一切消しとんで、すべてが「空気」に決定されることになるかも知れぬ。とすると、われわれはまず、何よりも先に、この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起るやら、皆目見当がつかないことになる。 「空気」で合理性が消し飛ばされ、非合理極まりない決定に突き進むかもしれない。日本が破滅の道を避けるには、「空気という妖怪」の正体を見極めるべきなのです』、その通りだが、正体を見極めるのは容易ではなさそうだ。
・『なぜ穏和な日本人は集団になると攻撃的になるのか  日本社会でたびたび問題となる「いじめ」。集団の中で誰かを多数で攻撃したり、陰湿な差別をすることに、学校現場で歯止めがかかりません。いじめの対象にされた子どもが自殺する痛ましい犯罪がいまだに続いています。 最近では、ネットや不特定多数が参加するSNSでも、特定の人物を袋叩きにするような現象が頻繁に起こっています。 空気を乱す者を敵視して、集団になると個人の倫理を捨てて一斉に攻撃する陰湿さ。日本人は性格的に穏和な人が多いと言われながら、特定の状況には極めて非情、不寛容で仲間外れにすることに容赦がありません。まるで古い時代の村八分のようです。 一体、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。そしてなぜ、日本社会はそれを克服できないのでしょうか。 日本的なムラの仕組みにも、「空気」が大きく関係しているのです』、ただ、グローバルな視点で考えると、集団内での仲間外れは、日本は特に酷いが、欧米でも程度の差こそあれ見られる事象なのではないだろうか。
・『一瞬で頭が切り替わり矛盾も気にしない  日本人は海外に行くと、その国に溶け込んでしまうと言われます。「郷に入れば郷に従う」で、その国の文化や信条にできる限り従おうとするからでしょう。日本人の民族性の一つは、「状況に即応する」ことなのかもしれません。 何かに染まりやすい、自らを進んで塗り替える性質を持っているのです。裏を返せば、状況に即応する意味での一貫性が日本人には常に存在しています。 山本氏は「明治維新」「文明開化」「敗戦後」には、がらりと変わったという意味での共通点があると指摘します。みんなが一緒に新しい方向を向く。文明開化の時代と言われたら、国を挙げてそれに取り組み、みんなが乗っかってしまう。 敗戦で戦争が終わり、平和な時代になると、鬼畜米英がアメリカの自由主義万歳になる。一瞬でほとんどの人の頭が切り替わり、なぜそうなったかは気にしない。こうした日本人の瞬時の対応力を、山本氏は「見事なものだ」と何度も褒めています。 時代の転換点で、状況にすぐ頭が追いついてしまう。だから時に、他国を驚かすような急激な変化を実現し、ちょっと前までの自分たちと矛盾することなど、日本人は苦にもしない。そのプラス面が出たのが明治維新であり、その後の文明開化や敗戦後の経済成長だったのです』、節操なく新しいものに飛びついていくのは、確かに日本人の特性のようだ。
・『仮装の西洋化では変わらなかった日本人の根源的ルーツ  変わってしまった状況に「即応する」のが日本人の行動原理だとするなら、江戸時代から明治維新、戦前から戦後という大激変期にも、日本人の根本は変わっていないのではないでしょうか。 「仮装の西洋化」で日本人は自分が変身したように感じて、過去を捨ててしまう。しかしその実体は、「変化に即応する」「先に進む度に過去の歴史を捨てる」など、変わらない日本人の根源的な行動様式、一貫した思想の結果ではないか。 平成になり、21世紀に生きているように振る舞いながらも、その規範や意識、抱えている問題は、まさに「昭和の行動原理」から生み出されているのかもしれません。いや、日本人の根源的な思想は、大昔から変化していない可能性さえあるのです』、なかなか説得力があり、興味深い指摘だ。
・『日本人を知るための、もう一つの「失敗の本質」  過去30年以上読まれ続けた『失敗の本質』という名著があります。野中郁次郎氏ら6名の共著者によるこの書籍は、旧日本軍の戦略・組織上の失敗を明らかにした書として累計70万部以上のロングセラーとなっています。 山本氏の『「空気」の研究』は、日本人の思考様式や文化的精神性の「失敗の本質」を解明した名著と言えるかもしれません。日本人が集団として組織化したときの“規範”も分析しているため、日本人が陥りやすい「失敗の本質」を探り当てているのです。 明治維新や近代化、敗戦後の復興と経済成長では、日本人は世界でも稀な偉業を成し遂げています。誇るべき日本人の文化的・思想的ルーツの力なのは間違いありません。 一方で、日本は悲惨な第2次世界大戦で数百万人の命を失いました。敗戦後の経済至上主義的な社会でも多くの問題を生み出し、放置したまま拡大して惨劇にまで発展させたことがたびたびありました。この傾向は現在も続いています。 山本氏が描いた「空気」を本当の意味で知ることは、私たち日本人を知ることです。日本人の思考や精神のメカニズムを知ることです。日本人を縛り続け、歴史上の幾多の成功と失敗へと導いてきた恐るべき「何かの力」を把握して、その正体を見極めることなのです』、なるほど。
・『空気という妖怪の正体をつかむ「7つの視点」  新刊『「超」入門 空気の研究』は、『「空気」の研究』を構造から把握するために、次の7つの視点で紐解きます。 ●第1章「空気という妖怪の正体」 なぜ空気が合理性を破壊するのか。不可能とわかり切っている作戦をなぜ決行するのか。この章では、日本人が合理性と空気の狭間で引き裂かれている理由を解説します。 ●第2章「集団を狂わせる情況倫理」 日本人は共同体、集団になると、なぜか愚かな決断をしてしまう。ムラ社会と言われる日本で、空気が共同体にどんな影響を与えているかを解説します。 ●第3章「思考停止する3つの要因」 日本社会の中に、空気の拘束をより強力にしてしまう要素が存在します。何が空気を狂暴化させているのか、日本人の思考法とともに空気の構造を読み解きます。 ●第4章「空気の支配構造」 空気が日本社会を支配するときの、3つの代表的パターンを紹介して、精神的な拘束が、物理的な影響力に転換される構造を明らかにしていきます。 ●第5章「拘束力となる水の思考法」 加熱した空気を冷やす「水」という存在。山本氏の記述から、水の機能とその正体を解説し、その限界を明示することで、空気を打破する新しい入り口を考えます。 ●第6章「虚構を生み出す劇場化」 空気は虚構を生み出すが、人間社会では虚構こそが人を動かす。日本人が、虚構の劇場化で社会を動かし、時に狂う理由を、歴史を踏まえながら解説していきます。 ●第7章「空気を打破する方法」 山本氏の解説した「根本主義(ファンダメンタリズム)」などから、本書第6章までの分析を踏まえて、空気打破の方法を発展的に論じます。 山本氏は空気の拘束から脱出するためには、その正体をまず正確に把握すべきだと何度も強調しています。 日本社会に息苦しさを生み出す空気と、個人に自由を許さない共同体原理。日本の組織を支配して、時に合理性を完全に放棄させるその恐ろしさ。太平洋戦争の惨禍と社会統制の異常な時代を体験した多くの日本人は、空気の異常性を訴え、空気打破への願いを込めて、さまざまな形で空気の正体を描写しようとしてきました。 山本氏の『「空気」の研究』は、空気打破への英知の集大成と考えることもできます。 私たち日本人は、明治維新から150年を経て、空気を打ち破る入り口に立っています。今こそ、悲惨な歴史を繰り返さないため、健全な未来を創造するために、『「空気」の研究』からその打破の方法を学びとるべきなのです。(この原稿は書籍『「超」入門 空気の研究』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)』、山本氏をはじめ多くの人々が、解明に取り組んできた難題に、この本がどれだけ答を用意したのかは不明だが、時間があれば読んでみたい1冊ではある。
タグ:日本人を知るための、もう一つの「失敗の本質」 旧日本軍からネット炎上まで今も昔も変らず日本人を支配するもの 山本氏が「日本が再び破滅するなら、空気のためだ」と予言 「空気」が日本を再び破滅させる 日本軍の失敗と今の社会問題に共通すること ドイツは所得水準の近い国との間で、最終製品を中心にした水平的な貿易取引が多い 水平的な貿易では、例えば自動車でも互いに輸出入を行うことで競争が展開され、技術力のある国の製品差別化が進みやすい。それが定着すると、比較優位にある国(ドイツ)は消費国に対し価格転嫁を進めやすくなる 日本の輸出価格の抑制は円高時代から続く悪弊 西岡純子 減り続ける交易利得 日本は部品を提供した上で、アジア新興国で加工するという垂直的な分業体制が定着 輸出価格を引き上げたドイツとは好対照 中でもこのところ注目すべきことは、交易利得の減少(交易条件の悪化)だ 日本はアジア諸国との競争で優位に立つための戦略として、製造コストの削減に力を入れ、アジア諸国の製品と価格競争で負けないために輸出価格の抑制を徹底した ダイヤモンド・オンライン 原油安だけでは交易条件の改善は一時的 アジア諸国との競争で価格抑制 製品の差別化を後回しに 「貿易で米独に勝てない日本経済が抱える過去の戦略ミス」 「なぜ日本の組織は息苦しいのか? 今も昔も日本人を支配する妖怪の正体」 日本社会が抱える問題の根源には「空気」という妖怪が存在する 「同調圧力」「忖度」「ムラ社会」「責任の曖昧さ」 株価の低迷も同じ理由 「値上げ我慢」では限界 「なかったフリをする」「起きた事故の惨禍に目をつぶる」など、日本社会の悪しき慣習 息を潜めて、目立つことを避けながらも、周囲を常に意識しなければ不安にさせられる「相互監視的」な日本社会のリアル。誰もが「空気」に怯えながら、「空気」を必死で読む日々に疲れ切っているように見えます 社会に浸透する「空気」と大いに関係 『「超」入門 空気の研究』 エスカレートする日本社会の生きづらさ 山本七平氏の『「空気」の研究』 鈴木博毅 『「超」入門 失敗の本質』 私たち日本人は、明治維新から150年を経て、空気を打ち破る入り口に立っています。今こそ、悲惨な歴史を繰り返さないため、健全な未来を創造するために、『「空気」の研究』からその打破の方法を学びとるべきなのです 一瞬で頭が切り替わり矛盾も気にしない 「空気」で合理性が消し飛ばされ、非合理極まりない決定に突き進むかもしれない 仮装の西洋化では変わらなかった日本人の根源的ルーツ なぜ穏和な日本人は集団になると攻撃的になるのか 空気という妖怪の正体をつかむ「7つの視点」 (その9)(貿易で米独に勝てない日本経済が抱える過去の戦略ミス、なぜ日本の組織は息苦しいのか? 今も昔も日本人を支配する妖怪の正体) 日本の構造問題
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