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2019年展望(アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か、日本が抱える2019年 7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か、2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中 アベノミクスに危機) [経済政治動向]

大晦日の今日は、2019年展望(アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か、日本が抱える2019年 7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か、2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中 アベノミクスに危機)を取上げよう。

先ずは、みずほ総合研究所 専務執行役員調査本部長/チーフエコノミストの高田 創氏が12月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189579
・『アベノミクスのもとで景気拡大は12月で戦後最長の「いざなみ景気」にならび、来年1月には最長記録を更新する可能性がいわれている。 好況を生み出したのが、想定を超える円安が株高につながる好循環だが、2019年はこの好循環が「2016年」のように途切れる可能性がある』、憂鬱な展望だが、確かに悪材料が揃っており、覚悟が必要なようだ。
・『円安の好循環が途切れた「2016年の再来」の可能性  2012年以降のアベノミクスの成果は企業が想定する為替レートを超えた円安が株高をもたらす好循環によるものだった。 逆にいえば平成バブル崩壊以降の景気停滞は超円高と資産デフレの悪循環が原因だった。つまりアベノミクスの成功は超円高・株安悪の循環を超金融緩和の金融政策で断ち切ったことにあった。 だが、2012年以降の好循環が初めて途切れたのが2016年だ。 図表1は想定為替レートと円ドル為替の推移だ。図表を振り返っても2016年は明らかに、これまでの想定為替レートを超える円安の好循環が崩れたことが示される。 現在は、依然、円ドルの為替水準は、想定為替レートより円安になっていて「好循環」が続いているのは救いだが、一方で懸念は世界的な景気拡大を牽引してきた中国サイクルとITサイクルが下方に転じたことだ。 2019年についての最大のリスクシナリオは、2016年同様に想定為替レートを超える円高によって好循環が途切れることだ。 その可能性が現実になるとしたら、世界経済の環境悪化で、米国FRBの利上げスタンスが転換し、日米の金利差縮小などの予想から円高トレンドに一気に転じることだ。 それは同時に金融・財政当局にとっても、急速な円高圧力のもとで、マイナス金利を導入するなど、マクロ政策運営で苦闘させられた、2016年のトラウマ、悪夢の再来となりかねない』、2016年ぐらいで済むのだろうか。
・『世界経済は“足踏み状態” 中国の減速が最大のリスク  そうした状況に陥る可能性は、図表2のグローバルな景況感を反映するグローバル合成PMIの推移をみてもわかる。現在の形状は2015年から2016年にかけて生じた状況に類似する。 実体経済は、堅調な米国を除き一時的な足踏み状態(ソフトパッチ)の様相を呈し、今後、2015~2016年のように世界経済が減速に至る不安がある。 2016年は中国を中心とした新興国経済の減速が、米国・ユーロ圏など先進国経済にも波及した。現状も中国経済の減速やITサイクルのピークアウトなどを起点として当時と似た状況に陥るリスクを秘めている。 なかでも最大の不安定要因が中国経済である。 次に示した図表3は、中国の景況感を示している。みずほ総研ではこれを「チャイナ・クロック」として活用している。  過去を振り返っても、製造業を中心にした世界の景況感は、中国の動きに少し遅れる形で、その動きに連動するように変わってきた。 2013年から14年、15年初にかけて中国ショックとされた中国の落ち込みが、その後、世界経済の減速を招いた。しかし15年から中国の景況感が回復に向かったことに加え、世界的なITサイクルの改善があって世界経済は回復、さらに、2016年末以降、米国トランプ政権主導の景気回復が世界全体を押し上げた。 その後、中国の景況感は2016、17年と徐々に減速に向かい、足元は停滞へと下方に向かい始めた様相になっている。加えて、国内自動車販売や輸出が下方屈折を示していることもあり、世界経済の牽引エンジンの中国経済が停滞局面に入った可能性がある』、「中国経済が停滞局面に入った」とすれば、日本への影響も甚大だろう。
・『2016年と類似する2019年のリスク  下記の図表4は、2016年の世界の状況と今を比較したもので、既にいくつかの共通項がある。 最近でも、原油価格下落のほかにも、Brexitをめぐる不透明感の強まりなどは、15~16年と共通するものだ。 欧州ではほかにも、イタリアなどの財政問題や独仏でのメルケル首相やマクロン大統領の指導力低下などもあり、欧州地域の不安定化も16年との共通点だ』、ただ、よくよく図表3を見ると、15~16年の中国経済は回復局面にあったのに対し、今回は停滞局面にあり、Brexitの影響も今回の方が大きそうなので、15~16年より深刻とみるべきだろう。
・『円高で日銀と財務省は「悪夢の再来」 財政金融政策の余力少ない  それでは、2016年の日銀と財務省の“悪夢”はなんだったのか。 当時、2015年末から2016年にかけての急速な円高トレンドへの転換で、日銀はさらなる金融緩和策として2016年1月のマイナス金利導入に追い込まれた。 さらに、16年6月の国民投票でのBrexit決定を受けて進んだユーロ安・円高も加わり、日銀は9月には、10年物国債をゼロ近傍に誘導するイールドカーブ・コントロールまで踏み出すことになった。 一方、財務省にとっては2016年6月の消費増税延期に追い込まれたことが、トラウマだ。 日銀は2018年7月の金融政策決定会合で、16年に「劇薬」に近い金融緩和強化に追い込まれた状況からの正常化を行うべく、長期金利の誘導幅を広げ金利上昇の余地を増やすなど、事実上、異常な緩和政策の「出口」に向けたスタンスにかじを切り始めている。 一方、財務省は2019年10月の消費増税を起点として財政再建への一歩を踏み出そうとしている。 以上の金融・財政当局の動きは、今日の局面からは極めて妥当な政策と筆者は判断している。 ただし、そうした正常化への動きに対する大きなハードルが「2016年のリスク」の再来であり、このことは、2019年の最大のリスクとして認識する必要があるだろう。 しかも困ったことには、「2016年の再来」というリスクケースに陥った時に、対応する金融財政政策の余地が乏しいことだ。 政策当局は、過度な円高を回避するべく米国との十分なコミュニケーションを深めるとともに、日本国内での円高への過剰反応を抑えることも必要になるだろう』、確かに今回は政策的に打つ手がないのは深刻だ。高田氏は立場上、悲観色を薄めているが、厳しい目にみるべきだろう。

次に、経済ジャーナリストの岩崎 博充氏が12月28日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日本が抱える2019年、7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/257758
・『「2019年は株価が下落する要素しか思いつかない」「不安材料しかない」株式市場関係者の声だが、実際に今年のクリスマスはそんな展開となった。アメリカ株がニューヨークダウ平均で600ドル超の大幅下落となり、日本株も日経平均で1000円を超す下落幅を記録するなど、惨憺たる状況で終わった。 アメリカでは、リーマンショック以来の大幅な下げとなり、一部では「暗黒のクリスマス」といった悲観的な表現も飛び交った。クリスマス明けの株式市場では1000ドルを超す史上最高の暴騰となったものの、トランプ政権の方向性のない迷走ぶりに投資家も直面せざるを得なかったともいえる。 もっとも、2019年には世界的な景気後退懸念をはじめとして、アメリカや欧州にはさまざまな不安要素にあふれている。米中貿易交渉や英国の合意なきEU離脱(ハードブレグジット)といったリスク要因があり、そこにトランプ米大統領の気まぐれな政策姿勢が世界に大きな混乱をもたらしている、と言っていいだろう。 そんな状況の中で、日本の2019年はいったいどんな1年になるのか。大混乱の外的要因に加えて、日本国内の内的要因も日本には存在する。日本経済の2019年を俯瞰してみたい』、これは株価の暴落も踏まえた記事なので、第一の記事よりは現状を織り込んでいる可能性がある。
・『消費税、五輪バブル、世界同時株安  とりあえずいま直面している世界同時株安だが、その影響は日本市場にも重くのしかかって来ている。アメリカの株式市場が下落すると、それに輪をかけて日本市場も大きく下げるのが通常のパターンだが、今回もその状況が再現されるとみていいのかもしない。 FRB(米連邦準備制度理事会)よる金利の引き上げが、株価下落の最大の要因であることは間違いないが、アメリカの株価下落の影響で、日経平均株価は10月2日には2万4270円という高値をつけていたものの、12月26日にはその高値から15%も下落した。 ニューヨークダウは、10月3日の2万6828ドルから12月24日には2万1792ドルまで大きく下げて、下落率は18%を超えた。そう考えると、日本の株価はもっと大きく下げる可能性が高い。 もっとも、現在の株式市場はほとんどヘッジファンドのAI(人工知能)による投資判断が主流だから、「パウエルFRB議長、解任か?」といったニュースに、AIが反応した株価下落ともいえる。それだけ、トランプ米大統領が発信する「トランプリスク」が市場の混乱を招いているともいえる。 いずれにしても、日本は株価をはじめとして外的要因が大きく作用していることは確かだ。2019年はこうした外的要因に加えて、日本国内の内的要因によって株価や景気が大きく影響を受けるのではないかと言われている。 実際に、金融市場に大きな影響をもたらしそうな外的リスクには何があるのだろうか。大雑把に考えると次の4点に絞られるだろう。 ①合意なきブレグジットへの懸 ②米中貿易協定交渉、念日米物品協定(TAG)などアメリカによる一連の保護貿易主義 ③FRBによる金利引上げ懸念 ④一連のトランプリスク  合意なきEU離脱(ハードブレグジット)は、早ければ1月中旬にもイギリス議会で採決が行われるが、ブレグジットの承認に至る前に、メイ英首相の不信任案が英国議会に出される可能性が高く、与党の保守党内からの反乱などで承認される可能性もある。メイ首相が不信任となれば、総選挙の実施となり、事態はさらに混乱していく』、4つとも深刻なリスクだ。
・『ハードブレグジットでデリバティブが不安定に?  ハードブレグジットの最大の懸念は、金融派生商品(デリバティブ)の決済機関の大半がロンドンに集中しているため、デリバティブ商品が不安定になることだ。想定元本6000兆円とも言われており、リーマンショック時の6200兆円に匹敵する金融危機の可能性も否定できない。実態が不透明なのも、混乱に拍車をかける。 アメリカの保護貿易主義に関しては、1月から日米の物品貿易交渉がスタートするが、日本に不利な貿易交渉になるのは避けられないだろう。戦闘機を大量に発注することで交渉を有利にしようとする安倍政権の目論見通りに行けばいいのだが、先行きは不透明だ。 一方のアメリカと中国の貿易交渉の期限も2月末に迫っており、互いに25%の関税を掛け合うような事態になる可能性がある。そうなれば、日本企業への影響は大きくなる。 一連のトランプリスクも、ますます拡大している。シリアから米軍を撤退させるなど地政学リスクにも及んでおり、メキシコの国境に壁を作る予算をめぐって政府機関の一部閉鎖が続いている。トランプ大統領自身にも、ロシア疑惑がいよいよ核心に迫っており弾劾裁判への動きがスタートするかもしれない。株価暴落の要因になるはずだ。 トランプ大統領にリーダーシップがないことは明らかであり、アメリカがいまや世界最大のリスクとなりつつある。アメリカに依存しすぎる日本にとって 2019年は極めて大きなリスクを抱えることになるのかもしれない』、「ハードブレグジットでデリバティブが不安定に?」というのは、やや誇張気味だ。決済がロンドンに集中していることは事実だが、参加者はいずれもプロであり、予め織り込んでいる筈だ。
・『日本固有のリスクが爆発する?  さて、そんな外的要因にさらされている日本だが、2019年にはさらなる国内要因のリスクが存在している。簡単に列記すると次のようになる。 ①東京五輪バブルの崩壊が始まる ②消費税率アップによる景気減速リスク ③日銀の金融政策の機能不全  まずは東京五輪のバブル崩壊だが、周知のようにオリンピックにはバブル崩壊がつきものだ。21世紀になってからのアテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロといった歴代の五輪でも、開催決定直後から株式市場などは上昇するものの、早ければ実際の開催から数年前、遅くとも五輪開催直後から株価下落、景気減速するケースが多い。 たとえばアテネの場合は2000年に起きたITバブル崩壊の影響を受けて、アテネ総合指数の株価は6000ポイントから1000ポイント台まで下落。五輪開催時には2500ポイント前後に戻して、その後は順調に推移した。 しかし、最近の傾向としてはオリンピック開催前後の景気減速が当たり前で、投資が集中する開催前の2~3年をピークに、開催の半年前ぐらいから景気減速が始まることが多い。とは言え、その大半はオリンピックの開催とは関係のないITバブル崩壊やリーマンショックといった経済全体の動きに左右されることのほうが多い。 唯一の例外は2000年のシドニーぐらいで、五輪の準備中から開催後も含めて株価や経済全体が上昇基調となった。オーストラリアのシドニー・オリンピックが比較的影響を受けずに済んだのは、2000年をピークとしたITバブルで世界中の景気が高騰していた時期と重なり、さらにITバブル崩壊の影響を資源国「オーストラリア」は、さほど受けなかったからかもしれない。 既存の建物を活用するなど、財政的な負担を極力抑えたロンドン五輪では、残念なことに開催した2012年までの間にリーマンショックを迎えたため、一時期は大きな株価低迷、景気減速となった。五輪開催後はリーマンショックからの立ち直りで、世界的に景気が拡大し、五輪の影響は最小限に済んだと言われる。 東京オリンピックは、当初5000億円程度の予算と言っていたのが、 いつのまにか2兆9600億円の規模になっており、15万人の雇用創出を生むという内容に変化した。都内で人手不足の元凶になっているのは、東京五輪の経済効果なのかもしれない。 もっとも、日本の場合は政府が意図的に五輪バブルを演出しており、2次的な波及効果も合わせれば5兆円規模と言われているが、早ければ開催日である2020年8月の1年前ぐらいから景気減速が見えてくるかもしれない。オリンピック関連施設などが次々に完成してくる段階で、建設現場での雇用などが失われていくことになる。 そもそも5兆円規模の経済効果といえば、日本のGDPの100分の1程度だから、経済効果は期待薄。最近のオリンピックに経済効果はない、と言われるゆえんだ。特に、先進国には経済的なメリットは少ない。それが分かっていながら、政府は意図的にバブルを演出しており、国民の意識の中に消費拡大を浸透させようとしている。 東京都は2030年までのレガシー効果などを含めて32兆円の経済効果があると試算している。仮に32兆円あったとしても、日本経済全体からすればたいしたことのない数字と言える。2020年の本番前に少なくとも直接的な経済効果は吹き飛ぶ可能性がある。 2019年は、アメリカの景気後退も顕著になってくるはずだから、日本では五輪バブル崩壊と合わせて意識的な消費低迷が加速する可能性がある。わずか2週間程度のイベントのために、莫大な公共投資を集中して行うのがオリンピック。言い換えれば、景気刺激策としては絶好の好機なのだが、その反動は避けられない』、オリンピック特需は大したことはないとはいえ、他の悪材料と重なると影響は深刻だろう。
・『過剰な消費税率アップ対策、逆に景気抑制効果か?  ②の消費税率アップに伴う景気後退懸念だが、政府は食料品など一部の商品に対しては8%の税率を維持。加えて、キャッシュレスによる買い物に対してポイント還元するなど、消費税率引き上げのショックを和らげようと必死になっている。消費税率アップの影響がどの程度出るのかは未知数だが、 はっきり言えることはわずか2%の消費税率アップのために民間企業は各種の対応に追われ、大きな負担を強いられるということだ。 大衆迎合的なバラマキをするぐらいなら、政府や地方自治体のペーパーレスや印鑑レスといった作業効率のアップを測ったほうがよほど経済効果が見込めそうなものだ。医療制度の効率を図るためにスマホによる処方箋の処理を解禁するなど、スマホ社会に適合した規制緩和をどんどん推し進めて行く方がよほど経済効果は高いだろう。 ③の日銀の金融政策機能不全というのは、世界中で今後の景気減速が懸念されている中で、日本だけが金利引き下げや量的緩和できる余地を持っていない状況のことだ。景気減速に対応できる金融政策が打てないことを意味しており、日本だけが他の国よりも大きく減速する可能性があるかもしれない。 さらに、日銀はこれまでETF(上場投資信託)を通して購入した株式などの金融資産を大量に保有しているわけだが、日経平均株価が1万8000円を割り込むと、購入した価格よりも割り込む元本割れの状態となり、日銀が大量の不良債権を抱えることになってくる。 日銀の信用が落ち込んで、日本銀行発行券=円の価値が大きく下落する可能性が出てくる。黒田東彦・日銀総裁が心配する1ドル=125円の壁を大きく突破してしまう可能性もあるということだ。そうなれば原油価格が大きく落ち込んではいてもガソリン価格は上昇し、 輸入品の価格も大きく上昇することになる。 景気が悪い中でのインフレ=スタグフレーションが2019年には心配されるということだ』、大幅円安によるスタグフレーションは確かにありそうなシナリオだ。
・『日本が抱える最大のリスクは「財政赤字」!  さて、2019年がどんな1年になるのかは正直言って誰にも分からないことだが、その対応を考えることは大切だろう。アメリカ経済の景気減速が心配されている中で、急激な円高も予想されるし、逆に日本の景気減速が想定範囲を超えれば、次は円安が心配になってくる。 日本経済にとって最大のリスクは何かということを考えておくべきだろう。東京オリンピックの経済効果が薄れてくる2019年の後半には、何が起こるのか。インフレ率2%を達成させるために、安倍政権は6年もの間、450兆円もの莫大な資金を中央銀行を通して市中に流してきた。 この流動性を縮小しなければならない期限も2019年あたりから始まる可能性がある。日銀の金融政策で残されたものと言えば、実際にヘリコプターから現金をばらまくことぐらいしかない、とも言われている。 急激な円安が進んで輸入インフレが起これば、日銀はインフレ抑制のために金利を引き上げなければならない。金利上昇のためには、現在の異次元の量的緩和を中止しなければならない。そもそも日銀が国債を買い入れることで、銀行などに大きな負担をかけ続けてきた。 ややもすると忘れられがちだが、日本経済にとって最大のリスクは、昔も今も1000兆円を超す財政赤字であることだ。その事実を忘れてはならない。ヘリコプターマネー論は最近、勢いを失ったが、景気が悪くなれば再び息を吹き返す可能性がある。その場合は、財政赤字がさらに膨大に膨らみ、円の大暴落、長期金利の高騰による財政赤字の一層の拡大となって、悪循環に陥る懸念がある点は、要注意だ。

第三に、政治ジャーナリストの泉 宏氏が12月28日付け東洋経済オンラインに寄稿した「2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中、アベノミクスに危機」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/257650
・『「あと3年、日本のかじ取りを担う決意だ」と9月の自民党総裁選圧勝で3選を果たした安倍晋三首相だが、年の瀬の永田町では「任期全うは簡単ではない」(自民長老)との声が広がっている。 平成最後のクリスマスに株価が2万円の大台を割り込むなど、アベノミクスの危機が目立ち、米中貿易摩擦やEU(欧州連合)主要国の混乱などで国際情勢も流動化が際立つ。「内政外交ともいつ、何が起こるか分からない状況」(閣僚経験者)だからだ。 来年は統一地方選と参院選が重なる「政治決戦の年」で、10月には消費税率の10%への引き上げが予定されている。12月26日に再登板から満6年を迎えた首相にとっても「不安がいっぱいの政権7年目」(側近)となることは避けられない』、第二次安倍政権の「ツキ」もいよいよ剥げそうだ。
・『政治日程は窮屈、難題も多い  来年の政治日程をみると、首相の政権運営の前途には多くの関門が並ぶ。1月28日召集予定の通常国会では、初の100兆円台となった2019年度政府予算の早期成立が最優先課題だが、国土強靭化のための大型補正予算の処理が先行するため、年度内成立への審議日程は極めて窮屈だ。 さらに、4月は統一地方選投開票日(前半7日、後半21日)で、21日には衆院の沖縄3区や大阪12区の補選も実施される。その後も4月30日に天皇陛下退位、5月1日に新天皇即位という歴史的皇室行事があり、6月末の主要20カ国・地域(G20)首脳会合のあとの7月下旬に参院選、そして10月1日には消費増税へと進む。まさに政治的ビッグイベントが目白押しだ。 政権運営からみると、首相にとっての最初の関門は沖縄3区補選だ。今年9月末の沖縄県知事選で与党が推した候補が、主要野党と「オール沖縄」が擁立した玉城デニー前衆院議員(自由党)に大敗しただけに、玉城氏の転出に伴う4月21日の沖縄3区補選で与党支持候補が敗れれば、政府が強行している米軍普天間飛行場の辺野古移設のための埋め立て工事への影響も避けられない。 併せて、統一地方選で自民の苦戦が際立てば、与党内で参院選への危機感が高まる一方で、野党共闘に勢いがつくことは確実だ。 もちろん首相にとっての最大の難関は、7月下旬に予定される参院選だ。今年7月、国会で定数6増(選挙区2比例代表4)を盛り込んだ公職選挙法改正が成立したことで、来夏の参院選の改選は124議席(同74同50)となる。 今回改選の対象となる2013年参院選では、自民党が2001年以降で最多となる65議席(同47同18)を獲得、特に1人区では自民が29勝2敗と完勝した。自民党は2016年参院選でも56議席(同37同19)と圧勝して27年ぶりに単独過半数を回復し、憲法改正に前向きな一部野党も加えたいわゆる「改憲勢力」が、参院でも「3分の2」を超えた。 ただ、2019年の参院選以降の「3分の2勢力」維持には、2013年並みの自民大勝が必要だが、「現状では50議席台前半に留まる」(選挙専門家)との見方が多い。32の1人区で主要野党が統一候補を擁立すれば、「自民党は20議席獲得が精一杯」(同)とされ、残る13の複数区でも自民複数当選が見込めるのは1~2区しかない。 さらに、比例代表も2017年衆院選での各党の得票などから推計すれば、「自民が20議席を超えるのは困難」(自民選対)との見方が多く、自民合計議席は改選前を大幅に下回る50台前半というのが「常識的見方」(同)だ。その場合、参院全体で自民党は単独過半数を大きく割り込み、「改憲勢力3分の2」も消滅することになる。 第1次安倍政権で実施された前回の「亥年選挙」の参院選(2007年7月)では、自民党が37議席という歴史的惨敗を喫し、9月の首相退陣につながった。それだけに首相は「何としても汚名をそそぎたい」と秘策を練っているとされる』、どんな秘策が出てくるのだろう。
・『「7.28同日選」も取らぬ狸の皮算用  そこで浮上してきたのが「衆参同日選」断行論だ。通常国会が1月28日召集となれば会期末は6月26日で、会期延長がなければ参院選は自動的に7月21日投開票となる。6月28、29両日にはG20首脳会合が大阪で開催されるが、首相はこれに合わせて来日する予定のプーチン・ロシア大統領との日ロ首脳会談で、「残された最大の外交課題」である日ロ平和条約締結と北方領土問題での「基本合意」に強い意欲を示している。 このため、永田町では「歴史的な日ロ合意を大義名分に、首相が“日ロ解散”に打って出る」(自民長老)との憶測も広がる。その場合は、短期会期延長による7月初旬解散・28日投開票という「7.28同日選」となる可能性が大きい。 過去2回行われた同日選はいずれも自民党が圧勝した。今回も「政権選択選挙となる衆院選をかぶせれば、野党選挙共闘は破綻する」(自民選対)との見方が多い。「野党共闘潰しの秘策で、首相の国政選7連勝となれば、参院選後の憲法改正実現にも弾みがつく」(細田派幹部)という期待もある。 ただ、“超難題”の北方領土問題で「歯舞・色丹の2島先行返還」への道筋すら明確にできなければ、「同日選どころではなくなる」(自民選対)ことも予想され、現時点では「まさに、取らぬ狸の皮算用」というのが実態だ。 そうした首相サイドの思惑を狂わせそうなのがアベノミクスの危機だ。25日の株価急落で「来年以降の世界経済減速の前触れ」(有力エコノミスト)との見方が広がり、日本経済への影響も深刻化する可能性が出てきたからだ。 ただ、25日を底に27日には株価が2万円を回復したこともあり、与党幹部は「世界経済は今のところ堅調」(岸田文雄自民党政調会長)、「日本のファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしている」(斎藤鉄夫公明党幹事長)と平静を装うが、政府部内には「1日で1000円もの急落はリーマンショック級で、年末以降も不安定な値動きが続くのは確実」(経産省幹部)との警戒感が広がっている。 これに対し、主要野党は「異常な金融緩和などで株価を支えてきたが、限界が露呈しつつある」(大塚耕平国民民主党参院議員会長)とアベノミクスの失敗が原因だと指摘、「消費不況が深刻化している。消費増税はあり得ない」(枝野幸男立憲民主党代表)と増税見送りも要求している。 菅義偉官房長官は記者会見で「リーマンショック級の事態が起きないかぎり、法律で定められたとおり来年10月から引き上げる予定だ」と繰り返したが、与党内には「来年も株価が低迷したままなら、首相が来年のG20を経て増税の延期や凍結を表明する可能性がある」(閣僚経験者)との声も相次ぐ。ただ、そうなれば「首相自身がアベノミクスの破たんを認めたことにもなる」(自民長老)だけに首相の責任問題も浮上する』、確かに北方領土交渉は、「二島先行」も難しくなりそうな雰囲気だし、アベノミクスの「化けの皮」が剥げつつあることも大きな打撃だろう。
・『安倍首相は自信満々も、経済に暗雲  そうした中、首相は連休明けの25日に記者団から第2次安倍政権満6年の感想を求められると「大変感慨深い。7年目を迎えても日々、国家国民のため全力投球で頑張っていきたい」と語るとともに、あえて第1次安倍政権にも言及し「非常に肩に力を入れて頑張ったが1年で終わった。あの挫折と経験が大切な肥やしになった」と自信満々の笑顔で振り返ってみせた。 しかし、政権の命綱でもあったアベノミクスが危機に瀕し、年明けから始まる日米貿易交渉でも「盟友」のはずのトランプ米大統領が首相を攻め立てる場面も想定される。任期中の実現を公約した「憲法改正」も実現の見通しは立たず、「政権のレガシー(遺産)」作りのための日ロ交渉も「失敗すれば安倍外交も失速する」(自民幹部)ことは確実だ。このため、首相の自信とは裏腹に「7年目の政権運営は内政外交とも八方ふさがり」(首相経験者)ともみえる。 来年の干支(えと)は己亥(つちのとい)で前回は1959年。その年に結婚された当時の皇太子が、60年後の2019年4月、天皇を退位されるという因縁も絡み、2019年は新時代の幕開けの年になる。さらに歴史を紐解けば、60年前は首相の祖父の故岸信介元首相が押し進めていた日米安保改定への反対運動で岸政権が揺れ、5000人以上の死者を出した伊勢湾台風に襲われた年でもある。 己亥は「足元を固めて次を目指す」との意味合いがあるとされるが、政権7年目の首相が足元を固めて、首尾よく2019年11月20日の「史上最長政権」にたどり着けるかは、なお予断を許さない』、「内政外交とも八方ふさがり」とは言い得て妙だ。2019年は経済面では厳しくなるが、安倍政権の崩壊がありそうなのは楽しみだ。
タグ:2019年展望 高田 創 (アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か、日本が抱える2019年 7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か、2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中 アベノミクスに危機) ダイヤモンド・オンライン 「アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か」 2019年はこの好循環が「2016年」のように途切れる可能性がある 円安の好循環が途切れた「2016年の再来」の可能性 2019年についての最大のリスクシナリオは、2016年同様に想定為替レートを超える円高によって好循環が途切れることだ 世界経済は“足踏み状態” 中国の減速が最大のリスク 2016年と類似する2019年のリスク 原油価格下落のほかにも、Brexitをめぐる不透明感の強まりなどは、15~16年と共通 円高で日銀と財務省は「悪夢の再来」 財政金融政策の余力少ない 「2016年の再来」というリスクケースに陥った時に、対応する金融財政政策の余地が乏しい 過度な円高を回避するべく米国との十分なコミュニケーションを深めるとともに、日本国内での円高への過剰反応を抑えることも必要になるだろう 岩崎 博充 東洋経済オンライン 「日本が抱える2019年、7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か」 2019年には世界的な景気後退懸念をはじめとして、アメリカや欧州にはさまざまな不安要素にあふれている 大混乱の外的要因に加えて、日本国内の内的要因も日本には存在する 消費税、五輪バブル、世界同時株安 金融市場に大きな影響をもたらしそうな外的リスク ①合意なきブレグジットへの懸念 ②米中貿易協定交渉、念日米物品協定(TAG)などアメリカによる一連の保護貿易主義 ③FRBによる金利引上げ懸念 ④一連のトランプリスク 日本固有のリスクが爆発する? ①東京五輪バブルの崩壊が始まる ②消費税率アップによる景気減速リスク ③日銀の金融政策の機能不全 過剰な消費税率アップ対策、逆に景気抑制効果か? 景気が悪い中でのインフレ=スタグフレーションが2019年には心配される 日本が抱える最大のリスクは「財政赤字」! 泉 宏 「2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中、アベノミクスに危機」 再登板から満6年を迎えた首相にとっても「不安がいっぱいの政権7年目」(側近)となることは避けられない 政治日程は窮屈、難題も多い 政治的ビッグイベントが目白押し 最大の難関は、7月下旬に予定される参院選 自民合計議席は改選前を大幅に下回る50台前半というのが「常識的見方」 「7.28同日選」も取らぬ狸の皮算用 歴史的な日ロ合意を大義名分に、首相が“日ロ解散”に打って出る “超難題”の北方領土問題で「歯舞・色丹の2島先行返還」への道筋すら明確にできなければ、「同日選どころではなくなる」 首相サイドの思惑を狂わせそうなのがアベノミクスの危機 年も株価が低迷したままなら、首相が来年のG20を経て増税の延期や凍結を表明する可能性がある そうなれば「首相自身がアベノミクスの破たんを認めたことにもなる」 首相の責任問題も浮上
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