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介護施設(老人ホーム)問題(その3)(高齢者施設を牢獄以下の場にする「拘束の神話」認知症対策の遅れが目立つ日本、親を「サ高住」に入居させた子が「安心」してはいけない5つの理由「リーズナブルな介護施設」という誤解、発覚!経営破綻の大手老人ホーム創業者に「驚きの過去」 まさかこんな…) [社会]

介護施設(老人ホーム)問題については、2017年12月6日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(高齢者施設を牢獄以下の場にする「拘束の神話」認知症対策の遅れが目立つ日本、親を「サ高住」に入居させた子が「安心」してはいけない5つの理由「リーズナブルな介護施設」という誤解、発覚!経営破綻の大手老人ホーム創業者に「驚きの過去」 まさかこんな…)である。

先ずは、健康社会学者の河合 薫氏が昨年10月30日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「高齢者施設を牢獄以下の場にする「拘束の神話」認知症対策の遅れが目立つ日本」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/200475/102900187/?P=1
・『2013年、認知症で入院していた男性(95歳)が、車いすに乗って一人でトイレに行き転倒。頭を打ち、全身まひの障害を負い、寝たきりの状態となった。 男性の親族が病院側に約3890万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は10月17日、約2770万円の支払いを命じた。小野寺優子裁判長は判決理由で、「男性は歩く際にふらつきが見られ、転倒する危険性は予測できた」と指摘。その上で、「速やかに介助できるよう見守る義務を怠った」と述べた、と報じられている。 この判決を聞き、複雑な心境になった人は多いのではないか。少なくとも私はそうだった。 もし、自分の親が同じ状況になったら、「なぜ? なんで一人でトイレに行かせた?」と、病院側を責めたくなるに違いない。 が、その一方で、こういった判決が、ますます病院や介護施設にいる高齢者の行動を拘束することになってしまうのでは?、と心配になる』、確かに病院や介護施設の責任をどう判断するかは、悩ましい問題だが、責任を過度に重くみるべきではないだろう。
・『高齢者施設にご夫婦で入所している知人(90歳)が、「夫は入所時に手すりを伝い歩きすれば歩ける状態だった。しかし、この施設では至るところに監視カメラが設置されていて、伝い歩きしていたら『危ないから歩くのをやめてください!』と警告され、瞬く間に歩けなくなった。そしたらケアマネジャーさんに『これで楽になりますね』と言われた。悪気はなかったんだと思うが、本音がポロっと出てしまったんでしょう。施設がいちばんこわいのは事故が起こって、訴訟問題や新聞沙汰になることだから寝たきりのほうが、施設側には楽なんだと思う」と、教えてくれたことがある。 また、入所時に車いすだった知人の母親は、看護師呼び出しのスイッチを押し忘れて立ち上がったことを契機に、「転倒でもされたら困る」とオムツにさせられた。 高齢者は1日寝ていると、それだけで老いる。私自身、父が入院一週間であっという間に老いたときはショックだった。 小さくなった親の背中や、細くなった腕や足……、それを見た時の切なさといったら半端ではない。 施設側が事故をおそれるあまり、行動を拘束されてしまうという、悲しく、切なく、いたたまれないリアルが幾多も存在しているのだ。 熊本の事例と似たような判決は過去にもある。介護施設で認知症の女性(当時79歳)が夜勤の介護士が気づかないうちに転倒し、左大腿骨転子部を骨折。裁判では207万円の賠償請求が認められている(12年3月28日東京地裁)。報告書を見る限り、この施設では高齢者の人権とご家族の思いをかなり汲み入れたケアを施していた末の「不幸な結果」だったことがわかる。 女性のベッド付近にはポータブルトイレが置かれていたが、女性は介護施設のトイレを利用することが多かった。「事故」が起きた当日、女性のベッド近くに複数の男性入所者が就寝しため、ポータブルトイレを置かなかった。おそらく施設側は「いつも施設内のトイレを使っているから大丈夫だろう」と考えたのだろう。 深夜に女性が車いすでトイレに行くときにも、介護士は付き添った。女性は自力でトイレブース内の手すりを使って便座に移動し、排尿。このあと、女性から「転んじゃった」と言われ、介護士は転倒の事実を知ったという。 どんなに看護師さんや介護士さんが一所懸命やっていても、不幸にも事故が起きてしまうことはある。どんなに「トイレに行くときは声をかけてください」と伝えていても、頭より体がフライングし、気づいて「あっ!」と声をかけたときには……、ということは、日常的に高齢者と接している人は経験したことがあるのではないか。少なくとも私は施設を訪問するたびに何度も目撃したし、自分の親にも同様のことが起こり、冷やっとした経験がある』、高齢者にも適度な運動は必要であり、「施設側が事故をおそれるあまり、行動を拘束」というのは、避けるべきで、逆に本人や家族もその代償として、事故が起きても施設側の責任を問わないようにするコンセンサスも必要だろう。
・『認知症の患者の3割は身体拘束されたことがある  いったい「見守りの義務」とはどこまでのことを言うのか? 確かに転倒による事故は不幸な出来事ではある。だが、「事故=施設の責任」という空気が社会に熟成されてしまうと、施設側は予防線を張らざるをえない。 高齢者の自由に歩く権利、自由に動く権利は奪われ、最悪の場合、事故防止策という名目で、「身体的拘束」が正当化される。 冒頭の判決の報道でこんなことを懸念していた折も折、これまでほとんど明かされていなかった一般病院での「拘束の実態」が、東京都医学総合研究所と国立がん研究センターの研究チームの分析で明らかになった。 なんと「認知症患者の3割は身体拘束されたことがある」とされ、拘束の主たる理由は「事故防止」だったことがわかったのである。 調査は、17年、全国の一般病院を3466施設(ICUや精神科病院は除外)を対象に行なったもので、認知症かその疑いがある入院患者2万3539人のうち、28%にあたる6579人が、拘束帯やひもなどを使った身体的拘束を受けていたのだ。 具体的には、「車いすに拘束帯などで固定」13% 「点滴チューブなどを抜かないよう(物をつかみにくい)ミトン型の手袋をつける」11% 「ベッドからの転落防止で患者の胴や手足を縛る」7% 「チューブを抜かないよう手足を縛る」5% 「 徘徊防止で胴や手足を縛る」4% 身体拘束は本来、意識が混乱した患者の生命や安全を守ることが目的で行われるものだが、研究チームは、「看護師らの人手が不足している上、安全管理の徹底を求める入院患者の家族などに配慮し、事故防止を最優先する意識が働く。その結果、他の対策を検討することなく、拘束を行いがち」 と考察。 その上で、「認知症の高齢者は、身体拘束を受けると、症状が進んだり筋力が低下したりしやすい。不必要な拘束を減らす取り組みが求められる」と指摘している』、「認知症の高齢者は、身体拘束を受けると、症状が進んだり筋力が低下したりしやすい」、にも拘らず、28%が「拘束帯やひもなどを使った身体的拘束を受けていた」というのは確かに問題だ。
・『改めて言うまでもなく、日本の高齢化は世界で最も急ピッチで進んでいる。65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症で(2012年)、25年には約5人に1人になるとの推計もある(「平成29年版高齢社会白書」)。 しかしながら、その対策は遅く「日本の認知症対策は後進国」と指摘する専門家は多い。例えば、日本で認知症対策が国家戦略として明確に位置づけられたのは、15年の「新オレンジプラン」だが、フランスの「プラン・アルツハイマー」や米国の「国家アルツハイマープロジェクト法」は、日本の10年以上前に進められている。 ……というかそれ以前に、「新オレンジプラン」って何?、ってことだが、これは“病院ではなく、住み慣れた家や地域で暮らし続けることができる社会”を目標としたもので、「新」とつけているのは、「安倍首相」マターだからだ。 つまり、12年に全く同じ内容の「オレンジプラン(認知症施策推進5カ年計画)」が打ち出され、13~17年度の5カ年計画で進められていた。 ところが、14年11月に東京で認知症の国際会議が開かれ、安倍首相は「初めての国家戦略として認知症施策をつくる」と宣言。そこで急きょ、「オレンジ」は「新オレンジ」に、「5カ年計画」は「総合戦略」に変更されたのだ。 と少々脱線してしまったが、日本が認知症対策の後進国と呼ばれる所以のひとつに、「身体拘束」も含まれているのである』、日本では、「高齢化は世界で最も急ピッチで進んでいる」にも拘らず、認知症対策の後進国とは由々しい事態だ。
・『ここに一冊の手引きがある。タイトルは「身体拘束ゼロへの手引き〜高齢者ケアにかかわるすべての人に〜」というもので、厚生労働省の「身体拘束ゼロ作戦推進会議」が、01年3月に作成した。00年4月の介護保険法施行実施前年に、当時の厚生省より介護保険施設における「身体拘束 の禁止」の省令が出されたことに付随するものだ。 内容は若干、精神論のような部分もあるが、推進会議のメンバーの熱い思いが伝わる温かい手引きとなっている。ただ、残念なのは「関係者は医療関係者のみ」という視点で書かれている点だ。つまり、「現場だけ」に押し付ける内容で、「これじゃあ、ゼロにはならん。むしろ増えるだけ」というのが、率直な感想である。 そこで、手引きの中で「ここだよこれ! これを全国民に徹底的に教育せよ!」という、極めて重要な部分があるので紹介する』、手引きは初耳だ。本来は医療関係者だけでなく、患者本人や家族も関わる問題なので、広くPRすべきだろう。
・『エヴァンス博士らによる論文「老人抑制の神話」  「身体拘束が問題となっているのは日本だけではない」という文言で始まる文章には、欧米で激減するきっかけとなった1本の論文が紹介されている。 これは米ペンシルバニア大学のエヴァンス博士らによる「老人抑制の神話(Myths about elder restraint)」(1990)で、「老人は転倒しやすく、転倒すると大きなけがになってしまうので、拘束するべきである」という一般的な神話に反証。先行研究などをレビューすることで介護を考える基礎となる極めて大切な知見を世界に知らしめた貴重な論文である。 具体的には神話を5つに分類し、各々次のように反証している。 神話1「老人は転倒しやすく転倒すると大きな怪我になってしまうので拘束すべきである」(拘束が効果的という科学的な裏付けは全くない。「拘束が効果的」と教育されるから、拘束という行為に直結するのであって、拘束しない方法を教育されているスコットランドには拘束がない) 神話2「傷害から患者を守るのは看護者の道徳的な義務である」(拘束によって生じる弊害の方が大きい。弊害が大きいと知りながら拘束する、という看護者の道徳とはなんであろうか?) 神話3「拘束をしないと、転倒などでけがをしたときには看護者や施設の法的責任問題になる」(拘束を行なったことによって生じた医療事故も存在する) 神話4「拘束しても老人にはそんなに苦痛ではない」(「私は自分が犬になったように感じ、夜中中泣き明かした。病院は牢獄よりひどいところ」(エヴァンス博士が行なったインタビュー調査より)) 神話5「拘束しなければいけないのは、スタッフが不足しているからである」(スコットランドの看護者の人員配置は米国と同じだが、米国と比較して拘束の割合が低い。ケアスタッフを増やすことなく拘束を減らした事例も多くの文献で示されている。拘束された患者の方の場合、観察時間が増え、結果的に看護の必要度が増し、費用が増加したとする研究結果もある。以上からスタッフが足りないから拘束をすると、逆に人員不足に拍車をかけることになる。 手引きで紹介されているのはここまでだが、エヴァンス博士らは97年に、上記の反証の妥当性を検証する実証実験も行なっている。 「拘束に関する教育を行った群(教育群)」「教育に加え相談に対応した群(教育+相談群)」「コントロール群(何も行わない群)」を無作為に割り付け、比較を行ったのだ』、「老人抑制の神話」も初耳だが、もっと医療・介護関係者にも広がってほしいものだ。
・『拘束は病院や施設の問題でなく、みんなの問題  その結果、拘束率は、「コントロール群」では40%台で変化がなかったのに対し、「教育+相談群」は32%から14%に低下。さらに、 介入後の転倒率は、「コントロール群」でむしろ高く、重大事故は「教育+相談群」では生じなかった。 「老人は転倒しやすく転倒すると大きな怪我になってしまうので拘束すべき」という一般的な理解が、神話に過ぎなかったことが実証されたのである。 繰り返すが、私は「見守りが必要ない」と言っているわけではない。しかしながら、問題の解決には、それに関わるすべての人たちが、物事の本質を理解し、知識を共有し、健康へのリテラシーを高めることは極めて重要である。 そして、そういった知見と教育が、医療現場だけでなく全国民に「これでもか!」というくらいなされる社会になれば、もう少しだけ看護や介護の現場に人間的なぬくもりが灯るのではないか。 事故はいかなる場合も起こるし、転倒事故は高齢者や施設だけに限ったことではないというコンセンサスを社会が受け入れられるようになれば、認知症の高齢者が地域で普通に暮らせる社会にも通じるように思う。 誰にだって親がいるし、誰だって老いる。高齢者の腕や身体は想像以上に小さく、薄く、弱く、高齢者の息遣いは想像以上に、切ない……』、説得力に溢れた主張で、全面的に賛成だ。

次に、介護・暮らしジャーナリストの太田 差惠子氏が1月12日付け現代ビジネスに寄稿した「親を「サ高住」に入居させた子が「安心」してはいけない5つの理由「リーズナブルな介護施設」という誤解 」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58796
・『私は90年代から介護の現場を取材し、そのリアルな現実や有益な情報を執筆や講演、NPO活動を通して紹介しています。 最近会った埼玉県在住のタカシさん(53歳:仮名)は母親を「サ高住」に入居させたことについて悩んでいるとのことで、眉間にしわを寄せ、うつむき加減に話し始めました。 母親(81歳)は、長年連れ添った夫(タカシさんの父親)が亡くなってから広島の実家で1人暮らしをしていました。夫を亡くした喪失感からか、ウツ気味で、閉じこもりがちだったそうです。タカシさんが電話を掛けると、泣き出すこともありました。 タカシさんはそんな母親を1人にさせておくことが心配になり、10ヵ月程前、タカシさんの自宅からほど近いサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に越してきてもらいました。 オープンして1年ほどのきれいなところで、18㎡と狭いものの、タカシさんの自宅からは車で30分以内の距離です。何かあればすぐに駆け付けることができるので、安心したところでした』、自宅の近くに入れられて一安心というのは、十分理解できる。
・『母を「サ高住」に入居させて安心したのも束の間…  ところが……。環境の激変が影響したのか、引っ越してきた母親は、広島に居たときとは逆に、フラフラと歩きまわるようになりました。サ高住からタカシさんに電話が掛かってきて、タカシさんが駆けつけることもありました。病院に連れていくと「認知症」を発症していると診断され、介護保険の認定も取りました。 その後も、母親の不審な行動はエスカレートする一方で、他の入居者の部屋のドアを開けようとし、周囲からクレームが出ることも。そして、入居9ヵ月目で、とうとうサ高住から「こちらでは対応できないので、よそを探してください」と退去勧告されたのです。 「『出て行け』って、耳を疑いました。母の終の棲家として、このサ高住を選んだつもりだったのに……」とタカシさんは舌打ちします』、一人暮らしで気が張り詰めていたのに、「サ高住」に入居したことで、「認知症」が急速に悪化した可能性がある。他の入居者にもかなりの迷惑をかけた以上、退去勧告はやむを得ないだろう。入居条件をよく確かめなかったタカシさんにも落ち度がある。
・『「リーズナブルな介護施設」という誤解  国の先導のもと、サ高住は急速に増えており、全国に24万戸近い数となっています。 そのせいでしょうか。ここ1、2年で親の介護の話をする子らの間で、「サ高住」という言葉が頻繁に語られるようになりました。 どうやら、多くの子は、その実態を知らないまま「一時金不要のリーズナブルな介護施設」と捉えているようで不安になります。 タカシさんにしても、母親を「介護施設」に入居させたつもりだったので、退去勧告は寝耳に水の話だったのです。 なぜ、サ高住を「リーズナブルな介護施設」と捉える向きに、私は不安になるのか……。 確かに、サ高住に入居する際に高額な一時金の支払いは必要ありません(敷金は必要)。しかし、サ高住には5つの「ない、ない」事情があるのです。 1、 職員が介護するわけではない 2、 認知症に対応するわけではない 3、 介護食や介護用風呂の用意があるわけではない 4、 医師や看護師が常駐しているわけではない 5、 看取りまで行うわけではない』、「サ高住には5つの「ない、ない」事情がある」というのは、入居時に確認すべきだろう。
・『「サ高住の93%=介護施設ではない」という現実  私はタカシさんに、母親の入居したサ高住は、「特定施設」の指定を取っているかどうか質問しました。 タカシさんは、「特定施設」という言葉を初めて聞いたらしく、戸惑った表情をしています。「特定施設」とは、「特定施設入居者生活介護」の略で、都道府県が指定する施設で、簡単に言えば「介護型」のことです。 指定を受けているサ高住なら、施設職員の配置基準が定められており、24時間体制で、要介護度ごとに定められた定額制で介護を受けることができます(サ高住だけでなく、有料老人ホームにも、指定を受けているところと受けていないところがあります)。 しかし「特定施設」の指定を受けているサ高住は、全体の約7%のみ。言い換えれば、93%のサ高住は「住宅型」であり、職員の配置基準もなく職員から介護を受けることはできないということです。夜間は職員不在のところさえあります。 もちろん「サービス付き」というくらいですから、何も付いていないわけではありません。「住宅型」であっても、必ず、「1日1回の安否確認」がなされ、ちょっとした「生活相談」には対応します。 しかし、その他のサービスは、サ高住ごとに違います。食事の提供を行うところは多いですが、キザミ食などの介護対応も色々で、重度の要介護者を入浴させる設備も用意されていないことが一般的です。看護師の常駐も期待できないでしょう』、介護施設に比べ安い分、サービス水準は低くなることは、覚悟すべきだった。
・『介護を受けるには「別途費用」が必要なケースが  案の定、タカシさんの母親が入居しているサ高住は「特定施設」ではなく、「住宅型」でした。 「住宅型」では、介護が必要な場合は、自宅にいるときと同じように、介護事業者と契約して別途費用を支払い、必要なサービスを受けることになります。 ことを複雑にしているのが、多くの「住宅型」サ高住には、関連の介護事業者が併設しており介護サービスを提供しているという点です。事情を知らずに見学すると、「介護施設」に見間違えますが、サービスを利用できるのは、新たに契約した時間帯だけです。 そもそも「サ高住」とは、身の回りのことはできる高齢者が1日数時間サービスを受け、自立した暮らしをしようという趣旨で設立されたものです。 もし、ピンピンコロリと逝けるなら、終の棲家となりえるのでしょう。しかし、通常、タカシさんの母親のように、時間と共に、自立の度合いは低下します。病気やケガで入院しても、長居はできず、あっと言う間に退院となる昨今。そのとき、そのサ高住に戻れるのか、ということも考えておく必要があるでしょう。退去勧告を受けるケースもあります』、その通りだろう。
・『「重度」の要介護者を集めるサ高住も  ただし、例外はあります。 もし、認知症などの症状が重くなり寝たきりになると「手がかからない」という理由から、受け入れに前向きになるサ高住は少なくないのです。介護度が重くなると、動きまわることがなくなり、事故のリスクも軽減します。 しかも、介護保険から支払われる介護報酬は、要介護度の高い人ほど増える仕組みになっています。併設の介護事業者は重度の入居者に対して介護保険のサービスをたくさん提供できるというわけです(介護保険のサービスだけではまわらず、オプションの自費サービスを入れることになるケースも)。 結果、重度者の比率の高いサ高住も見受けられます。とはいえ、医療依存度(点滴や胃ろうなど)が高くなると、医療対応が難しく退去勧告を受けることになるでしょう。看護師などの医療職が常勤していなければ看取りまで行うことは難しいと言えます。 また、本来は自立や介護の必要度合いが低い入居者を想定していたのに、中・重度者が増え、結果、入居者の転倒骨折などの事故が多発、といった側面も……。サ高住の大きな課題となっています』、「「重度」の要介護者を集めるサ高住も」というのは、確かにあり得る話だ。
・『「サ高住」を選ぶなら、将来の住み替えを想定すべし  タカシさんのケースでは、サ高住の「ないない事情」を把握していなかったために「こんなはずでは」となりました。 「サ高住では、最期まで暮らせない」と想定内であったなら、頭を抱えこまずに済んだのかもしれません。 これからサ高住を選ぶ方は、「状況によっては、入居後にさらなる住み替えが必要になる」ということを承服しておいてください。 事前の見学の際に、実際に退去となった人の事例やその後の行き場を聞きたいところです。新規オープンのサ高住では、そういう実績が積まれていないので慎重に。 もちろん、「住み替え」のための資金計画もお忘れにならないでください。 ちなみに、タカシさんは、母親を、認知症の高齢者を家庭的な雰囲気の中で介護する小規模な施設「グループホーム」に移そうと奔走中です』、「サ高住」には不動産屋など介護経験のない業者も多く参入しているようだ。入居に当たっては、条件を十二分に確認すべきで、「将来の住み替えを想定すべし」だろう。

第三に、ジャーナリストの時任 兼作氏が1月28日付け現代ビジネスに寄稿した「発覚!経営破綻の大手老人ホーム創業者に「驚きの過去」 まさかこんな…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59500
・『他社に買収され、不祥事が発覚  「まさかこんな老人ホームがあろうとは」警視庁の捜査関係者は、唖然としたという。話題となっているのは、「未来倶楽部」などの名称で首都圏を中心に37もの施設を展開している大規模老人ホームグループのことである。 ホームページにしろ、パンフレットにしろ、なかなか立派で、運営も実にしっかりなされているかに見えた。ところが、2018年末、多額の入居一時金を不正に流用していたとして、詐欺の疑いで警視庁に告訴状が提出されたのである。 捜査が開始されると、驚くような事実が次々と明らかになった。 「実は、『地面師』が作った有料老人ホームだったことが判明した」前出の捜査関係者はそう言って、続ける。「この老人ホームを運営するのは未来設計という企業だが、創業者である女性経営者Aは2000年5月、暴力団組員らとともに公正証書不実記載、同行使の容疑で埼玉県警に逮捕されていた。犯罪の中身はというと、偽造した売買契約書などを使って、無断で他人の土地の所有権を移転登記したというもの。つまり地面師の手口に他ならない。元司法書士や不動産金融業者、稲川会系暴力団組員ら7人の地面師グループの一員だった」 逮捕時のAの肩書は「不動産金融業者」だったという。捜査関係者はさらに続けた。「呆れるのは、詐欺の傍ら『未来倶楽部』を立ち上げていたことだ。未来設計を同2000年の2月、東京で設立している」 こうした成り立ちであったせいか、「未来倶楽部」では、施設や運営にまつわる問題やトラブルが絶えなかった。やがて内部からの批判の声も上がった。 Aが居住する月額400万円ものマンションの家賃や、高額の飲食費が会社につけ回しされている。脱税している……など数々の内部告発が飛び出し、右翼系新聞で取り沙汰されることもあった。2016年5月には、職員の間でパワハラによる自殺が発生し、問題視されたともいう。 これに加えて、入居一時金などの預託金を着服しているという疑惑もささやかれたものの、事が明るみに出るには、なお時間を要した。 転機は、2018年7月に訪れる。未来設計の持ち株会社が他社に買収されたことがきっかけだった。 買収したのは、同業の創生事業団(福岡市)。同社のその後の調査で、入居者から預かった入居一時金が運転資金などに流用されていたほか、不当に高額な報酬がAに支払われていたことなどが判明した。 それを受け、創生事業団は昨年12月末、Aら前経営陣に約21億円の支払いを求める民事訴訟を東京地裁に提訴するとともに、粉飾決算に基づいた買収契約を結ばされたとして、詐欺の容疑で警視庁に告訴状を提出したのだった。一方、未来設計は今年1月22日、民事再生法の適用を申請。経営破綻に陥った』、信じられないほど酷い「ブラック老人ホーム」だ。地面師が経営者とは、何故、こんなものが認可されたのだろう。
・『政界・警察との関係  こうしたなか、入居一時金返還の遅延が2018年9月以降、月に40~50件も発生しているという。 「一時金の一部は、暴力団に流れていた可能性もある」と指摘するのは、暴力団捜査に当たる警視庁の別の捜査関係者だ。警視庁は組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)容疑でも捜査を進めているというが、事実だとすれば、犯罪に犯罪を重ねた形だ。 驚くべきことはこれに止まらない。同社には、著名な政治家も肩入れしていたというのだ。 「未来設計は毎年12月、ザ・プリンスパークタワー東京で盛大なクリスマス会を開催しており、そこに政治家たちを招いていた。たびたび官邸にも出入りしている有力政治家や、同グループが施設を置いている自治体首長の秘書らは、欠かさず出席していたことも今回、明らかになった」(前出の捜査関係者) まだある。警察の幹部OBが、未来設計の取締役に収まっていたともいう。同捜査関係者が語る。 「神奈川県警の警視で、署長を務めたのち監察官にまで就いた幹部だ。監察官は警察内部の不祥事取締りの担当者。そういった人物が、地面師が作った老人ホーム運営会社の役員とは……。 しかも就任の経緯が、老人ホームの入居者死亡事件を穏便に取り計らったことにあるとか、就任後も警察人脈を使って同様のことをしたうえに、入居者や家族からのクレーム、さらには内部告発の動きが出ると、警察権力をちらつかせて封じ、その見返りに高額の報酬を得ていたとか、様々な情報が寄せられている。現在、精査しているところだ」 もっともこの疑惑については、実態を知らずに会社に入ってしまったのではないか、と擁護する声もあり、その証拠として、同取締役は内部告発者のひとりであったと指摘する関係者もいる。 一方、これを打ち消す証言もある。右翼系新聞の動きを抑えられなかったことでAの不興を買い、立場が悪くなったせいで反旗を翻して、預託金流用などの内幕を明かし始めたというものだ。 真偽はともあれ、この幹部の存在がために入居者保護が遅れたのだとしたら、許されることではない。現在、遅滞している預託金返還も由々しき問題である。施設選びには慎重を要する最たる事例と言えよう』、政治家や警察を抱き込んでいたというのは、敵ながら上手い手口だ。有力政治家は大物らしいが、誰なのだろう。
・『主犯格に「焼酎」を売りつけて…  ところで、地面師と警察幹部と言えば、警視庁にも同じような問題が浮上している。積水ハウスが地面師グループに騙された詐欺事件に関連して、やはり警視が関係していたというのである。 その警視はグループ主犯格の容疑者と親密に交際し、金銭の授受もあったうえ、逮捕情報を漏らしたとされる。警視が現役である点では、神奈川県警よりも事態は深刻だとの指摘もある。詐欺事件の捜査に当たる警視庁二課の捜査関係者が語る。 「この主犯格と親しかった警視庁の捜査員は何人かいるが、最も親密だったのが暴力団捜査を担当するこの警視だ。警視は、警視庁の売店で売っている『桜田門』と銘打たれた焼酎を主犯格に持っていき、数十万円で売り付ける形でカネを取っていた。逮捕状が出た直後、それを伝えたのも警視だと見られている」 警視庁が強制捜査に乗り出した当日、主犯格は見事、行方をくらましていた。逮捕されたのは、その数日後のことであった。二課の捜査関係者が続ける。「主犯格の男が地面師であり、山口組六代目系列の企業舎弟と親交して金銭の貸し借りをしていたほか、別の暴力団関係者らとも幅広く交際している暴力団周辺者であった点などでも、未来設計の創業者と似た存在と言える。それに現職の警視が嵌ってしまったわけだ」 なお、この警視についても、弁護の声がある。捜査の必要上しかたなく主犯格とかかわったに過ぎないにもかかわらず、そのせいで出世が遅れてしまったと本人は嘆いている、というものだ。だが警視という立場は、ノンキャリアとしては頂点に近い。それでも、出世が遅れたというのだろうか。 二課の捜査関係者によると、警視は監察の対象となり、ずいぶん前から取り調べを受けているというが、いまだ処分は下りていない。 いずれの事件も、警察が自ら「地面師」と深い関わりを持っていたなどとなれば、国民に顔向けできまい』、「いずれの事件も、警察が自ら「地面師」と深い関わりを持っていた」というのは初耳だが、社会部の警察担当記者たちは、忖度して記事にしないでいるのだろう。こんなことでは、いつまでたっても、社会のブラックな側面はなくならないだろう。嘆かわしいことだ。
タグ:いずれの事件も、警察が自ら「地面師」と深い関わりを持っていた 「サ高住」 エヴァンス博士らによる論文「老人抑制の神話」 主犯格に「焼酎」を売りつけて… 未来設計 政界・警察との関係 「親を「サ高住」に入居させた子が「安心」してはいけない5つの理由「リーズナブルな介護施設」という誤解 」 現代ビジネス 太田 差惠子 未来設計は今年1月22日、民事再生法の適用を申請。経営破綻に陥った 粉飾決算に基づいた買収契約を結ばされたとして、詐欺の容疑で警視庁に告訴状を提出 Aら前経営陣に約21億円の支払いを求める民事訴訟を東京地裁に提訴 買収したのは、同業の創生事業団 入居一時金などの預託金を着服しているという疑惑 事故はいかなる場合も起こるし、転倒事故は高齢者や施設だけに限ったことではないというコンセンサスを社会が受け入れられるようになれば、認知症の高齢者が地域で普通に暮らせる社会にも通じるように思う 職員の間でパワハラによる自殺が発生 地面師 拘束は病院や施設の問題でなく、みんなの問題 神話4「拘束しても老人にはそんなに苦痛ではない」 神話3「拘束をしないと、転倒などでけがをしたときには看護者や施設の法的責任問題になる」 神話5「拘束しなければいけないのは、スタッフが不足しているからである」 「事故=施設の責任」という空気が社会に熟成されてしまうと、施設側は予防線を張らざるをえない 神話2「傷害から患者を守るのは看護者の道徳的な義務である」 神話1「老人は転倒しやすく転倒すると大きな怪我になってしまうので拘束すべきである」 「関係者は医療関係者のみ」 他社に買収され、不祥事が発覚 「発覚!経営破綻の大手老人ホーム創業者に「驚きの過去」 まさかこんな…」 厚生労働省の「身体拘束ゼロ作戦推進会議」 時任 兼作 「身体拘束ゼロへの手引き〜高齢者ケアにかかわるすべての人に〜」 創業者である女性経営者Aは2000年5月、暴力団組員らとともに公正証書不実記載、同行使の容疑で埼玉県警に逮捕 新オレンジプラン 日本の認知症対策は後進国 「サ高住」を選ぶなら、将来の住み替えを想定すべし 「重度」の要介護者を集めるサ高住も 「リーズナブルな介護施設」という誤解 拘束の主たる理由は「事故防止」 認知症患者の3割は身体拘束されたことがある 介護を受けるには「別途費用」が必要なケースが 「サ高住の93%=介護施設ではない」という現実 サ高住には5つの「ない、ない」事情がある 一般病院での「拘束の実態」 河合 薫 「高齢者施設を牢獄以下の場にする「拘束の神話」認知症対策の遅れが目立つ日本」 (老人ホーム)問題 介護施設 認知症の患者の3割は身体拘束されたことがある 日経ビジネスオンライン (その3)(高齢者施設を牢獄以下の場にする「拘束の神話」認知症対策の遅れが目立つ日本、親を「サ高住」に入居させた子が「安心」してはいけない5つの理由「リーズナブルな介護施設」という誤解、発覚!経営破綻の大手老人ホーム創業者に「驚きの過去」 まさかこんな…)
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