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小売業(一般)(その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状) [産業動向]

小売業(一般)については、昨年10月13日に取上げた。今日は、(その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状)である。

先ずは、昨年10月25日付け日経ビジネスオンライン「ウエルシアが突く、王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/article/report/20150303/278209/081700028/?P=1
・『マツモトキヨシなどを抑えてドラッグストア首位に立つウエルシアが事業モデルの変革を急ぐ。郊外型から都市型立地へと乗り出し、小売業界の王者セブンイレブンなどコンビニの弱点を突く。ウエルシアがけん引する形で、ドラッグストアの市場規模はさらに拡大し、コンビニに肉薄する可能性もある。 7月下旬の平日、正午を過ぎたころから、東京都千代田区のオフィス街にあるガラス張りの店に続々と客が入っていく。入り口の近くには、ペットボトル入りの飲料が並び、2台のワゴンには弁当類が30食ほど積まれていた。セルフサービスのいれたてコーヒーのマシンや銀行のATMもある。そして24時間営業だ。ほとんどコンビニエンスストアの機能を満たしているが、最大の違いは、店頭に掲げられた「薬」という大きな表示。大衆薬だけでなく、病院からの処方箋も受け付ける。 昼休みに訪れた20代の会社員の女性は、「弁当もあるし、日焼け止めなどコスメも充実していて便利」と話した。 この店を経営するウエルシアホールディングス(HD)は2017年度の売上高が6953億円。ツルハホールディングスの追い上げをかわして、2期連続で業界首位を守った。関東を中心に、28都府県で1747店舗(18年5月末時点)を展開する。 そんなドラッグストア最大手が今、ビジネスモデルの大転換に挑んでいる。 埼玉県が発祥のウエルシアはこれまで主にロードサイドなどに、600~1000m2程度の広い売り場を備える郊外型店舗を運営してきた。 だが最近、冒頭の神田小川町店のような小型の店舗を都市部に積極的に出し始めた。今後、人口減少が加速することを見越し、人口の厚い都市部でも店舗網を広げる必要があるとの判断だ。 都市部で最も存在感のある小売業といえばコンビニだ。ウエルシアとは企業規模も圧倒的な差がある。セブン-イレブン・ジャパンの17年度のチェーン全体の売上高は4兆6781億円、店舗数は2万260店。それぞれウエルシアのおよそ7倍、12倍という規模だ。 コンビニが小売業の王者であるのは間違いないが、それでも弱点はある。ウエルシアは3つの弱点を巧みに突く』、確かに最近は東京でもドラッグストアの出店が目立つ。
・『時給は2割以上も高く  1つ目は価格だ。都内の住宅密集地にある板橋赤塚店。平日の昼下がりに、子連れの主婦や中高年の女性客が集まっていたのは、店の奥にある食品コーナーだ。もともとドラッグストアは、トイレットペーパーなど日用雑貨の安値販売には定評があるが、ウエルシアは食品を低価格販売することで、コンビニやスーパーから顧客を奪っている。 納豆3パック85円、卵10個入り138円なども安いが、ナショナルブランド商品で見ると、コンビニとの価格差は明らかだ。例えば、伊藤園「お~いお茶」のペットボトル入り飲料は、ウエルシアが78円(525ミリリットル)だったのに対して、近隣のセブンイレブンは120円(600ミリリットル)。明治のラクトアイス「エッセル スーパーカップ」はウエルシアが108円で、セブンイレブンでは130円だった。 コンビニの2つ目の弱みは、人員の確保だ。パート・アルバイトを集めにくいのは、多くの小売業に共通する悩みではあるが、特にコンビニは各店舗を運営するのがFC(フランチャイズチェーン)加盟店であるという点が不利な要素となる。それぞれの加盟店は経営体力がさほど強くはなく、損益ギリギリで運営しているところもある。バイト募集にかける経費や時給の設定などにも限界がある。 その点、ウエルシアは直営店である強みを発揮しやすい。例えば、24時間営業のウエルシア板橋赤塚店の深夜帯の時給は1513円。すぐそばにあるセブンイレブンが約1200円であるのに比べて2割以上も高い。コンビニより売り場が広く、夜間も4~5人で運営するため、女性でも安心して働ける。「近隣に住む主婦が子どもを寝かしつけた後で勤務するというケースも珍しくない」(同店の尾原亮店長)』、2割以上も高い時給を出せる収益力もあるのだろう。さらに、比較的高給の薬剤師を雇っていることも影響しているのだろう。
・『薬と化粧品が“安売りの原資”  食品を格安で販売したり、アルバイトを高い時給で雇ったりできるのは、コンビニにはない医薬品を高い利益率で販売できるという強みがあるからだ。ウエルシアの品目別の売上高粗利益率を見ると、大衆薬と処方箋調剤がともに40%弱と極めて高い。そして見逃せないのが、化粧品も33%という安定した粗利率があることだ。中高年女性をターゲットとした、1万円前後の高価格の化粧品も珍しくない。薬と化粧品を合わせて、売上高の5割強を占める。こうした盤石な収益源があるから、その他の雑貨や食品は「集客商材」と割り切って、大胆な安売りができるのだ。 粗利率が20%の食品は、集客のために重要だが、もともと事業の主軸ではないので、極言すれば商品によっては「利益度外視」で売っても経営の屋台骨は揺るがない。ここがコンビニやスーパーと大きく違う。 コンビニの3つ目の弱点は、超高齢社会への対応が不十分な点だ。対照的に、ウエルシアは全店舗の約7割に当たる1183店舗で処方箋調剤の機能を備え、業界でも先行している。併せて栄養士の採用に力を入れており、高齢者が健康相談できる「かかりつけ薬局」の役割を担う。ドラッグストア業界では24時間営業は珍しいが、ウエルシアではすでに145店舗に上り、今後、全店舗の2割を目標に拡大する。 24時間営業は住民の信頼を得るだけでなく、売り上げにも貢献する。都市型店舗の神田小川町店は、1日に来店する客数のうち約20%は深夜帯に来店するという。 「ウエルシアは食品や深夜営業の拡充により来店頻度を高め、処方箋調剤を備えて固定客を増やした。それにより、他企業に先駆けて、人口1万人程度の小商圏でも採算が取りやすくなっている」。いちよし経済研究所の柳平孝主任研究員はそう分析する。 小商圏でも商売が成り立つということは、例えば小売店がぶつかり合う激戦区のすき間に出店が可能で、出店余地は広がることになる。柳平氏によると、90年代ごろ、ドラッグストアは人口3万~5万人という大きな商圏で事業展開をしていたという。つまりウエルシアは店舗の“コンビニ化”というイノベーションを起こすことで、自ら成長の余地を広げていることになる。 ここ数年の成長ペースがそれを反映している。18年度(予想)までの3期の平均でみると、ウエルシアの増収率は年14%。セブンイレブンのチェーン売上高伸び率は16年度に5%、17年度は4%にとどまり、勢いの差は明らかだ。 日本チェーンドラッグストア協会と日本フランチャイズチェーン協会の調査結果で17年度の両業界の市場規模を比べると、ドラッグストアは6兆8500億円、コンビニは10兆7000億円だった。まだ4兆円ほど差があるが、ウエルシアなど大手がけん引してドラッグストアの市場が急ピッチで伸びているのに対して、コンビニ市場は鈍化が鮮明。近い将来、市場規模は肉薄する可能性がある』、大衆薬、処方箋調剤、化粧品という粗利益率の高い商品があるというのは、確かに大きな強みだろう。
・『イオンにとって大きな財産  ウエルシアの前身、グリーンクロス・コアは00年に、ジャスコ(現イオン)と資本業務提携した。そして14年11月、上場は維持しながらも、イオンの連結子会社になった。イオンにとってウエルシアを子会社に取り込んだ意味は大きい。連結業績への貢献はもちろんのこと、イオンが手薄な都市部を攻略する上で、競争力のあるウエルシアの店舗は大きな財産といえる。ライバルであるセブン&アイ・ホールディングスは、セブンイレブンを持つ一方で、有力なドラッグストアを子会社として持っていないからだ。 もっともウエルシアが、コンビニと比べて劣る点は当然ある。そこに対しては、他社の力を借りるなど、正面からは戦わないしたたかさも見せる。 例えば、コンビニの生命線である弁当。ウエルシアは、イオングループに属する弁当店チェーン、オリジン東秀から一部店舗で供給を受けている。「自前の論理に経営の軸足を置かことが大切」というのが池野隆光会長の持論だ。北海道が地盤のコンビニ、セイコーマートからも弁当を調達してないいる。 コンビニが得意とするPB(プライベートブランド)開発でも、同じ土俵では戦わず、「健康・高齢化対応」の商品を軸に据える。8月に発売した「カラダきらめく甘酒アミノプラス」は、近畿大学と共同開発。“飲む点滴”といわれ近年マーケットが拡大している甘酒に、筋力に関わる栄養成分を添加したものだ。 18年度には前期実績108店舗を上回る127店舗の新規出店を計画するが、物件の確保は容易ではない。「コンビニや他の小売業との争奪戦が起きている」(水野秀晴社長)という。もともと店舗開発担当者は4~5人しかいなかったが、M&A(合併・買収)を実施した先の人材も加わり、開発部隊は5~6倍に増えた。都市型店舗の出店には3人を専任で就けている。 「セブンイレブンとアマゾンだけでは生活者のニーズは満たせない。当社の存在意義は必ずある」と話す池野会長。圧倒的に見える巨人とも戦うすべがあることを証明しようとしている』、大きくなると何でもやりたがる経営者が多いなかで、「自前の論理に経営の軸足を置かないことが大切」との経営哲学は、大したものだ。今後の展開を注視していきたい。

次に、流通ジャーナリストの森山真二氏が2月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194412
・『ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドンキホーテホールディングス)は東南アジアでシンガポール、今年オープン予定のタイに続いて台湾や、香港にも進出する。社名をグローバル企業らしく変更したり、引退したはずだった創業者の安田隆夫氏が取締役に復帰したりと海外展開の準備に動いていたパンパシHDだが、ついに海外攻略に本格的に動き出す。ドンキ流は海外で通用するか』、社名が「パン・パシフィック・インターナショナル」となっているのであれば、海外展開への思いは相当強いのだろう。
・『海外事業拡大構想を明らかにしたパンパシHD  パンパシHDは、2月の決算説明会で大原孝治社長が現在、約40店舗の海外は200店を目指し、売上高についても「『いつ頃か』を言うのは時期尚早だが、全体の3分の1、利益も3分の1を目指していく」と発言、海外事業拡大構想を明らかにしている。 パンパシHDでは、すでに米国ハワイやカリフォルニア州でM&A(企業の合併・買収)により展開している店舗が38店舗あるし、17年12月にはシンガポールに「DONDONDONKI(ドンドンドンキ)」1号店を開業し現在3店舗がある。 しかも創業者で創業会長の安田隆夫氏は「シンガポールに住居を構えている」(パンパシHD関係者)といい、今年非常勤の取締役に復帰し、いよいよ社名通り「環太平洋」攻略作戦が始まる格好だ。 今年6月にはタイにも店舗を開業する準備を進めている上、香港でも店舗を開業することが明らかになっている。香港のメディアが伝えているところによると、すでにドンキは香港で店舗開業に向け、スタッフの採用を開始しているという。 米国、シンガポール、タイ、香港に加え、ユニー・ファミリーマートHDの高柳社長は台湾で、ファミマの運営会社とパンパシHDで合弁会社を設立して店舗展開を始める意向も明らかにしている。 シンガポールや米国での展開で好感触をつかんでいるのだろう。まさに一気に海外展開を進める格好だ。 ユニファミマによるTOB(株式の公開買い付け)は不調に終わっているが、パンパシHDがユニファミマから資本を受け入れることにしたのは7400店を持つファミリーマートの海外展開の実績を評価し、ユニファミマの親会社である伊藤忠商事の海外でのノウハウやネットワークなど経営資源を活用するためだったとみられている。 TPP(環太平洋経済連携協定)11や、日欧EPA(経済連携協定)の発効で巨大貿易圏が誕生する中で、ファミリーマートや伊藤忠商事の海外ネットワークを活用しながら、関税のかからない商品を低価格で仕入れ縦横に海外店舗で販売する。今はそんな絵姿が描ける絶好の機会であるのは確かだ』、「巨大貿易圏が誕生」とはいっても、それと地域特性が強いとされる小売業の展開は関係が薄いような気もする。「そんな絵姿」が捕らぬ狸の皮算用にならなければいいのだが・・・。
・『海外でドンキの「世界観」が受け入れられるか  果たして海外でドンキのあの「世界観」は受け入れられるだろうか。世界を見渡してもドンキのように、売り場自体がエンターテインメント性を持っているチェーンはない。 米国でも店舗といえばチェーンストア理論のお手本のような品ぞろえの仕方、オペレーションが多い。強いていえば、米国ではドンキはディスカウントストアというよりもバラエティショップに近い感じに映っているとみられる。 しかし、猥雑(わいざつ)でどんな商品が出てくるのか分からない。チープな商品から、高級ブランド品まで雑多な品ぞろえでジャングルのような店作りに「ワクワクドキドキ」するのは万国共通なのかもしれない。 すでにオープンしているシンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ。ただ、派手なPOP(店内広告物)や、商品政策は変わりない。 シンガポールの店はどちらかというと刺し身やすし、生鮮食品が充実している。また日本でインバウンド(訪日)客に人気のある菓子なども充実しているといったところだろうか。 シンガポール在住の日系人もターゲットにしているというが、現地の顧客を取り込む嗜好(しこう)的な仕掛けもみられるという。 パンパシHDは国内ではドラッグストア大手のマツモトキヨシHDと同じように訪日外国人の取り込みに力を入れてきた。 ドン・キホーテの店舗の前には、中華系などインバウンド客を乗せてきた観光バスが止まり、多くの客が店舗に吸い込まれていく姿をよく目にする。 同社は流通業界の中でもインバウンド需要を取り込んでいる1社で、インバウンドの免税売上高が今期(19年6月期)中に全体の10%程度(1000億円)に到達するとみている。 免税売上高が高い三越伊勢丹HDや、マツキヨの今期(19年3月期)の実績を見ないと何とも言えないが、今年か来年には流通でインバウンド売上高トップになる可能性も高い。 つまり日本に観光に来てドンキ店舗を利用した外国人客は、自国に帰ってドンキを再び利用するという図式を描いているとみて間違いない。 まさに海外店舗は日本の店舗にインバウンド客を引き付ける呼び水の役割を果たすことになるのだろうし、逆に日本でドンキを利用したインバウンド客が自国でドンキの店舗をまた利用するという循環も期待できるわけだ』、もうショッピングに興味を失った私にとっては、ドンキの店は「ワクワクドキドキ」するどころか、一刻も早く出たいと思ってしまうが、若い人にとっては魅力があるのだろう。ただ、「シンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ」というように、地域による嗜好の違いを乗り越えて、「ドンキの「世界観」が受け入れられるか」は疑問だ。
・『パンパシHDが海外展開を急ぐ理由  パンパシHDはなぜ、こうも海外展開を急ぐのか。 それは日本国内の動向もある。 パンパシHDはユニーの売上高約6700億円を加え約1兆6000億円という規模になる。旧ドンキホーテHD分の売上高だけでも1兆円企業。イオン、セブン&アイHD、ユニクロを展開するファーストリテイリングに続く流通業界第4位に浮上している。 しかし、規模は拡大したが既存店の伸び率は鈍化傾向である。19年6月期の第2四半期(18年7月から12月)の既存店の伸び率は0.6%増にとどまっている。 しかも客数の前年比では前年割れも散見されるようになっており、これまで既存店も比較的高い成長が続いてきたが、低成長時代に入ってきているのだ。 ドンキの店舗も全国に約400店、取り込んだユニーの店舗を合わせると700店近くにもなる。しかもユニーの店舗を「ドン・キホーテ」に業態転換する。 これだけ店舗が行き渡ると、ドンキを複数回使ったという人も増え、ドンキの商品政策はこんな感じというイメージを持っており、「何が出てくるか分からない」という“新鮮味”も薄らいでくる。 ドンキは生鮮食品や総菜などを導入し、“日常使いの店舗”へと方向転換を図っているが、海外での展開を急ぐ理由は、そんな国内での安定成長をにらんだ新戦略といえる。パンパシの新たな挑戦が始まる』、国内での伸び悩みを海外展開でカバーしようとの狙いが、果たして上手くいくのか、注視したい。

第三に、ジャーナリストの紅林健太郎氏が1月8日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/190209
・『主要な駅前の商店街や再開発ビルで必ず目に入るのは、さまざまなフランチャイズショップ(FC)だ。 ハンバーガーショップなどの飲食店から、最近では塾やレンタルショップ、クリーニング店など業種も大幅に広がり、業界の売り上げは過去最高、FCの数もこの8年間、増え続けている。 だが、“隆盛”の陰で、加盟店が店じまいしたりオーナーが代わったりした例は後を絶たないのだ。なぜなのか』、FCビジネスは確かにサービス分野にまで広がってきたようだ。
・『「過大な売り上げ予測」で勧誘 本部に「だまされた」の思い  中部地方で約1年前まで、ビルの窓ふきなどの清掃サービスをするFCの加盟店だった店もその1つだ。 オーナーだった男性は、2016年にFCの本部に加盟金200万円を払って、自宅がある市の郊外に出店した。 本部からは「毎月100万円ぐらいの売り上げは出る」と勧誘され、「それなら十分、食べていけそう」と算段した。 だが、始めて1年を過ぎても実際の売り上げは60万円にもならない月が続いた。人件費やFC本部への月5万円のロイヤリティーなどを支払うと、手元に残る利益は月10万円から20万円。生活するのもやっとだった。 開業して半年ほどたったころからは、ロイヤリティーの支払いを滞納するようになった。実際、払う余裕がなかったのと、契約前に本部から聞かされた話が違い、「だまされた」との思いもあったからだ。 本部からは催促状が2ヵ月ごとに届いた。滞納が何ヵ月か続くと、一部を払い、また督促状がたまると少し払うという繰り返しだったが、2017年半ばには、FCの本部から、「契約違反で、加盟店をやめてもらう」という内容の内容証明郵便が届いたという。 男性は「本部からウソの売り上げ予測を示され、契約させられた。訴訟も考えた」。だが弁護士費用を工面するあてもなく、結局、加盟店をやめた。 この話を聞くと、一見、男性側に非があるとも思えるが、FCの本部にこうした形で勧誘されて加盟店になったものの、話の通りにはならず、だまされた思いで退場する例は氷山の一角のようだ』、こうしたトラブルは確かに多そうだ。
・『この5年で約300件の訴訟 外食やサービスで増える  FC本部と加盟店の間で契約や金銭を巡るトラブルでの裁判はこの5年で300件近くに及ぶ。 これまで多かったコンビニなどのほかに、最近はそれ以外の外食やサービス業でも目立つようになっている。 では、どんなケースで本部と加盟店は対立に至るのか。 この問題に詳しい弁護士の話では、FC本部と加盟店が訴訟に至る原因はだいたい2つに集約される。 加盟店がFC本部を訴える場合は、契約前に示された売り上げ予想が現実と大きく違っていたことを問う場合が多い。 前述のように、例えば、「月150万円は売り上げが出る」と、本部から言われて、契約し、加盟料を百数十万円払うが、実際に営業を始めてみると、毎月の売り上げがその2分の1や3分の1にも満たない、というケースだ。 ほかにも「約束された本部の支援が全くなかった」ことを問題にした訴訟もある。 一方、FC本部が加盟店を訴えるケースは、毎月の売り上げに応じたり、定額で決められたりしたロイヤリティーの支払いがなかったり、加盟をやめた後も、同じ場所で営業を続けて「ライバル店」になったりしているのを契約違反で訴えるケースだ。 この2つのケースは、実はその根っこのところで結びついていることも多い。 つまり、加盟店の売り上げが順調であれば、トラブルにはなりにくく、トラブルが起きるのは、加盟店の経営がうまく行かず、その原因や責任を求める過程で起きることが多いのだ。 FCがさまざまな業種で急増するなかで、おのずとパイの奪い合いになり、本部側から強引な勧誘が繰り返される一方で、売り上げが伸びない加盟店が続出するというわけだ』、「トラブルでの裁判はこの5年で300件近く」というのは、少ない気もするが、これは氷山の一角に過ぎず、「泣き寝入り」が多いのだろう。FC本部からみれば、加盟店獲得で加盟料を獲得できるので、甘い話で騙すのは当然、あり得る話だ。
・『トラブルの経験積んだFC本部 「不利な契約」を呑みがちな素人加盟店  では、こうしたトラブルが起きた時、どちらが有利なのだろうか。FC訴訟を担当する弁護士によると、多くの場合は、FC本部側だという。 まず、言えるのは、本部側は加盟店とのこうしたトラブルに慣れっこになっていて、経験を重ねているということだ。 FC本部と加盟店の間のトラブルは「古くて新しい問題」だが、元加盟店のオーナーによると、「FCの本部側は、トラブルが訴訟に発展しにくいように、訴訟になっても勝てるように、契約を少しずつ変えてきている」と話す。 例えば、契約書では、加盟店が順守しなければならない義務の記述が多く、本部はなるべく責任が問われないような記述にするなど、契約を本部に有利にする方法や訴訟への対応の仕方を学んできているという。 最近、増えてきているFCがどこも似たような契約書になっているのも、加盟店から訴えられても負けないよう先発組のFCが作り上げてきた条文をまねているからだという。 住宅の改築・修繕を手がけるFCの元幹部は「加盟契約書の作り方は、金券ショップを運営する古美術品などを販売する FCの業者から教えてもらった」と話す。 一方で、加盟店のオーナーには、勤めていた会社の倒産や脱サラをきっかけに初めてFCの世界に足を踏み入れる人も多い。 「契約書をきちんと読み、条文をしっかり理解してハンコを押す人はわずかだ」と、元加盟店のオーナーは話す。 最初からFCの軒先を借りるつもりの“素人”の加盟店には、契約書が「本部に有利な内容」かすらも、わからないまま契約を結ぶ人も少なくない。 しかも裁判の経験はない人がほとんどなので、本部に訴訟をちらつかされたりすると、オーナーたちはオロオロしてしまうという』、加盟店のオーナーとFC本部との間の情報ギャップは、極めて大きいのに、FC本部側に明確な説明責任が実効性ある形で課されてない現状には大きな問題がある。
・『加盟店を守る法律はあるが罰則規定なく適用対象は限定  こうして不利な立場に置かれがちな加盟店がFC本部に対抗するための法律は一応あるが、罰則規定がなかったり、規制対象のFCが限られていたりで、機能しているとは言い難い。 例えば、FC本部が加盟勧誘の際、「売り上げ予想の虚偽表示」などの行為を規制する法律の1つに、独占禁止法がある。 2002年に公正取引委員会が公表した「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」との指針では、加盟店との契約にあたっての重要事項など8項目が挙げられた。 その中で「本部が加盟者の募集にあたり、重要な事項について十分な開示を行わず、または虚偽、もしくは誇大な開示を行い、実際のフランチャイズ・システムの内容よりも著しく優良または有利であると誤認させ、自己と取引するよう不当に誘引する場合には、不公正な取引方法の『ぎまん的顧客誘引』に該当する」と記された。 この指針は2000 年前後にコンビニなどで、本部と加盟店の間でのトラブルが多発したのを受けて作られ、 FC業界の中では「独禁法ガイドライン」と呼ばれ、つとに知られる。 だが、実は、これには罰則はなく、これまでこうした勧誘そのものが独禁法違反として摘発や処分を受けたことはない。 フランチャイズを規制する法律はもう1つある。中小小売商業振興法だ。 この法律は、「商店街や店の集団化・共同店舗等の事業を円滑にし、整備を通じ、中小小売商業の経営を近代化する」狙いで作られ(1973年施行)たが、FCを「特定連鎖化事業」(11条)と定めている。 同法も02年に施行規則が改正され、FC本部に対し、直近5年間の訴訟件数や、直近の加盟店舗数の推移など22項目を加盟契約時に加盟店に開示することを義務付けた。 加盟店との訴訟やトラブルが起きているかどうかは、加盟店の増減や裁判の数である程度わかるということで、開示が義務付けられたものだ。 しかし、同法律でも本部が提示する「売り上げ予測」などの加盟店への勧誘については特に規制は設けられていない。 「FC事業の活力をそぐ」という理由で、当時、業界が反対したからだといわれている。 しかも、FCのうちこの法律の対象になるのは、コンビになどの「小売」と、ファミレスなどの「飲食業」のFCに限られ、最近、増えている美容院や塾など「サービス業」のFCは適用対象になっていない。 こうしたこともあって、FC訴訟を担当する弁護士によると、加盟店がFC本部の行為を裁判で問おうと訴訟を起こしても、和解した場合を除けば、判決が出た訴訟のうちの多くは、本部側が勝訴しているのだという』、FC加盟店側も政治力を持つためには、FC加盟店協会の発言力を強化すべきだろう。
・『加盟金狙いだけの悪質業者 FC健全化法制定の議論を  FC本部と加盟店の間は、本部(事業者)が加盟店(事業者)に販売権を与える事業者同士の契約関係で成り立つ。 だがこうした事情もあって、多くの場合は、加盟店は本部の言うことに従わざるを得ない契約内容に縛られ、その契約書があるがために、訴訟でも不利な結果を強いられているのが実態のようだ。 最近はそうした本部の立場上の有利さを悪用して、いい加減なFC本部を立ち上げ、加盟金をだまし取ろうとする会社も業界に紛れ込んできているという。 これら悪質なFCの被害に遭った加盟店オーナーから相談を受けた弁護士によると、最近でもこんなケースがあったという。 エステを展開するあるFCの本部から勧誘を受けたというが、契約前に示された売り上げ予想は、実際に開業した後の売り上げの5倍の数字だった。 「『絶対にもうかる』と繰り返し、『お客はひっきりなしに来る。とにかくやってみたらわかる』『我々本部が完全バックアップする』と、強引に加盟を迫られた」という 。 しかし、加盟金を払い開業したものの、売り上げは低迷し、本部からも支援は全くないまま、数ヵ月で店を閉めた。 こうした業者はもともと「加盟金狙い」だから、金があると見ると、法外な額の加盟金を要求する。この弁護士によると、1000万円単位の加盟金を払わせたFCもあったという。 また FC業界に精通した事情通によると、こうした詐欺的FCの中には「加盟金を取れそうな人に近づき、加盟金を取れるだけ取ったら、事務所なども引き払って姿を消す業者もある。そもそも本部の事務所を最初から設けない業者まである」という。 FCにだまされて訴訟に訴えようにも弁護士費用も残らず、“泣き寝入り”せざるを得ない状態で業界から消えていく加盟店もあるのだ。 日本フランチャイズチェーン協会がまとめた調査では、2017年度のFC数は1339チェーン。8年連続の増加で、売上高は25兆5598億円と過去最高だ。 米国発祥のFCはいまや日本にすっかり定着、街角にはFCの店はあふれているが、その裏で、少なくはない「泣き寝入り加盟店」がいることも忘れてはならないだろう。 FC加盟店協会や法曹界の一部は、FC業界だけを規制する独自の法律の整備を求めてきた。 本部に対し弱い立場にある加盟店を、いわば「消費者」と同様に考え、フランチャイズへの加盟解約をクーリングオフできる仕組みを導入することや、ロイヤリティーに一定の規制をすることなどが、要望として挙げられている。 FCでは日本より後発組の豪州では加盟店を消費者として保護し、クーリングオフ制度が採り入れられている。 だが、コンビニや飲食などを運営するなど大手FCの幹部の中には、FC本部と加盟店は「事業者同士、あくまで対等の関係」にあるとし、「契約の自由」を盾に“規制強化”に反対する声が依然として多いと言う。 だが、FCの健全な発展を考えれば、FCの健全化法を議論すべき時だろう』、FC契約の実効性が分かるためにはある程度の期間が必要なので、単純なクーリングオフ制度は馴染み難いだろう。それよりも、加盟店側のリスクを本部も一定程度シェアするような契約にすれば、詐欺的FCに対する抑止力になるのではなかろうか。ただ、FC本部の方ばかりを向いた自民党政権には、残念ながら余り期待できないだろう。
タグ:加盟店を守る法律はあるが罰則規定なく適用対象は限定 ドラッグストア首位 独占禁止法 「自前の論理に経営の軸足を置かことが大切」 コンビニの3つ目の弱点は、超高齢社会への対応が不十分な点だ。対照的に、ウエルシアは全店舗の約7割に当たる1183店舗で処方箋調剤の機能を備え、業界でも先行している 「ウエルシアが突く、王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引」 医薬品を高い利益率で販売できるという強み 薬と化粧品が“安売りの原資” 「過大な売り上げ予測」で勧誘 本部に「だまされた」の思い ドン・キホーテ 時給は2割以上も高く 紅林健太郎 イオンにとって大きな財産 パンパシHDが海外展開を急ぐ理由 その他の雑貨や食品は「集客商材」と割り切って、大胆な安売りができる 郊外型から都市型立地へと乗り出し、小売業界の王者セブンイレブンなどコンビニの弱点を突く コンビニが小売業の王者であるのは間違いないが、それでも弱点はある パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス コンビニは各店舗を運営するのがFC(フランチャイズチェーン)加盟店であるという点が不利な要素 シンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ トラブルの経験積んだFC本部 「不利な契約」を呑みがちな素人加盟店 FC本部に対し、直近5年間の訴訟件数や、直近の加盟店舗数の推移など22項目を加盟契約時に加盟店に開示することを義務付けた ダイヤモンド・オンライン ウエルシア ウエルシアは店舗の“コンビニ化”というイノベーションを起こすことで、自ら成長の余地を広げている 「「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由」 森山真二 日経ビジネスオンライン 約40店舗の海外は200店を目指し、売上高についても「『いつ頃か』を言うのは時期尚早だが、全体の3分の1、利益も3分の1を目指していく この5年で約300件の訴訟 外食やサービスで増える シンガポール 中小小売商業振興法 加盟金狙いだけの悪質業者 FC健全化法制定の議論を コンビニの2つ目の弱みは、人員の確保だ 1つ目は価格だ 「FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状」 化粧品も33%という安定した粗利率がある (その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状) 海外でドンキの「世界観」が受け入れられるか ファミリーマートや伊藤忠商事の海外ネットワークを活用しながら、関税のかからない商品を低価格で仕入れ縦横に海外店舗で販売する ドラッグストアの市場が急ピッチで伸びているのに対して、コンビニ市場は鈍化が鮮明 7400店を持つファミリーマートの海外展開の実績を評価し、ユニファミマの親会社である伊藤忠商事の海外でのノウハウやネットワークなど経営資源を活用するためだった (一般) 独禁法ガイドライン フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」との指針 小売業
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