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外国人労働者問題(その12)(「消えた留学生」問題は必然 安倍政権が生む「外国人労働者大量逃亡時代」、「日本語学校」の悲惨な実態 授業崩壊・入学翌日に失踪…) [経済政策]

外国人労働者問題については、1月24日に取上げた。今日は、(その12)(「消えた留学生」問題は必然 安倍政権が生む「外国人労働者大量逃亡時代」、「日本語学校」の悲惨な実態 授業崩壊・入学翌日に失踪…)である。

先ずは、ノンフィクションライターの窪田順生氏が3月21日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「消えた留学生」問題は必然、安倍政権が生む「外国人労働者大量逃亡時代」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/197546
・『消えた留学生問題が大騒ぎになっている。しかし、日本政府が外国人労働者を受け入れ始めれば、さらに多くの外国人が「消える」ことになるのは間違いない。そもそも、日本人もいやがる低賃金労働を「外国人ならやってくれるはず」という思い込みは間違っている。なぜなら、彼らが日本に来る動機は間違いなく「お金」だからだ』、消えた留学生問題が改正法を強行採決してからだいぶ経った今頃になって報じられたのには、政府がもはや抑える必要が薄らいだと判断したため、なのかも知れない。
・『消えた留学生問題から予想できる将来の日本の惨状  後からボロボロとこういう話が出てくるということは、これもまだ「氷山の一角」に過ぎないのではないか。 ベトナム、ネパール、中国国籍などの留学生約700人が「所在不明」になっている東京福祉大学で、文科省などが調査を進めたところ、所在不明者は700人どころの騒ぎではなく、過去3年間で1400人にも上ることがわかったというのだ。 報道によると、この「消えた留学生」たちの多くは、授業に出たのはわずか数回で、ある日忽然と姿を消し、学費未納で「除籍」扱いになった者である。 じゃあ、そこでこういう人たちは故郷に帰るのかというと、そうではなく、多くはビザが切れても不法残留し、外食や建設現場など、日本人労働者に敬遠される「人手不足業界」で、労働力として重宝されているのだという。 という話を聞くと、「ほらみろ、こういうことになるから、留学生とかじゃなくて外国人労働者としてしっかりとした受け入れ体制をつくらないといけないのだ!」なんて感じで胸を張る人たちがいるが、筆者の考えはまったく逆である。 こういう問題が起きるから、外国人労働者の受け入れ拡大はやめた方がいいのだ。 今の流れのままでいけば、数百人、数千人規模の外国人労働者が「所在不明」となる。今回の「消えた留学生」問題というのは、近い将来に日本を震撼させる「消えた外国人労働者」のプロローグに過ぎないのである。 今回の一件から我々が学ばなくてはいけないことは、「外国人留学生にはもっと厳しい監視が必要だ」とか、「留学生を受け入れると補助金が出ることも問題だ」というような規制や制度うんぬんの話ではなく、ごくシンプルな「人間心理」である。それを一言で言ってしまうとこうなる。 「人間は時にルールを破ってでも、待遇の良い方向へ流れていく」 留学生が学校を除籍になれば当然、不法残留になる。にもかかわらず、留学生たちは学校から消えた。学費を支払いながら留学生を続けるよりも、バイトでガッツリ稼いだ方がよほど稼げるからだ。待遇の良さが、リスクを上回ったのだ』、私も東京福祉大学の話は酷いと当初は憤慨したが、「今回の「消えた留学生」問題というのは、近い将来に日本を震撼させる「消えた外国人労働者」のプロローグに過ぎないのである」、との鋭く本質を突いた指摘に改めて問題の深刻さを再認識させられた。
・『外国人労働者は制度を守って働いてくれるのか?  このような「人の心」という視点が昨年、選挙のために政府がゴリ押しした「外国人労働者の受け入れ拡大」ではゴッソリ抜けている。 安倍政権によると、「外国人労働者」は「移民」ではなく、「特定技能」という在留資格で、14業種の特定産業分野で働くことを条件として在留が許可される人だ。つまり、介護職で日本に来た人は介護職を辞めたら日本から出てってね、というわけだ。 だが、この制度を適応する相手は「奴隷」ではなく、職業選択の自由を持つ人間である。当然、「消えた留学生」らと同じような心理が働く。 例えば、介護職の「特定技能」で日本にやってきた中国人の女性がいたとしよう。しかし、ご存じのように、日本の介護現場はハードな割に賃金も低い。今や中国の介護現場の方が待遇がいいという話もあるくらいだ。 ということで、程なくしてこの女性、勤務先どころか、日本で介護の仕事をすること自体を辞めたいと思い立った。 介護を辞めれば、「在留資格」を奪われて日本から出ていかなければならないのだが、彼女はサクッと職場から消えた。同郷の友人から紹介された夜の仕事でガッツリ稼げるからだ。待遇の良さが、不法残留というリスクを上回ってしまったのだ。 こうして一人、また一人と外国人労働者が何の断りもなく職場から姿を消して行き、気がつけば、「人手不足の救世主」と崇めていた外国人労働者が、何千人も「所在不明」となり結果、日本は、何をしているのかよくわからない「不法移民」が溢れかえる国になりましたとさ――。 「はいはい、妄想おつかれさん」という声が聞こえてきそうだが、筆者がこういう最悪な未来を予想してしまうのは、他にも理由がある。実は今回の「消えた留学生」問題というのは図らずも、政府が推進する「特定技能外国人労働者」という制度の致命的な欠陥を露呈させてしまっているからだ』、政府の甘い想定に対する手厳しい批判で、その通りだろう。
・『外国人留学生の第一目標は当然「お金」である  この制度は、「特定技能」を持つ外国人労働者の皆さんは、人手不足に悩む業界で文句ひとつ言わずにキビキビ働いてくれる、ということが大前提となっている。 これらの業界は、仕事がきつくて、賃金も安いということで、日本人労働者から敬遠されているが、外国人労働者の方たちは「日本で働けるだけで幸せです!」と考えるであろうという前提がある。だが、「消えた留学生」問題を見る限り、それは何の根拠もない「妄想」だと言わざるを得ない。 そもそも、消えた1400人の外国人留学生に限らず、東京福祉大学に来ているほとんどの外国人留学生は、この学校を経て日本で仕事に就きたい、キャリアアップをしたいということを目的としている。要は「お金」が目的である。 もちろん、「少子高齢化で悩む日本の方たちを助けるため、介護施設で働きたいんだ!カネなんて二の次だ!」という、ありがたい外国人の方たちもいらっしゃるかもしれないが、入学希望者の多くは「お金」を第一目標としている。その動かぬ証拠が、東京福祉大学留学生向けパンフレットにデカデカと記されたこの文言だ。《「お金持ち」になる夢につながる》 わざわざカギカッコと赤字で「お金持ち」を強調しているのだ。こういう呼びかけをして、それに応じてやってきた留学生の多くが「お金」を目的として、日本にやってくるのは当然である。 そう聞くと、金目的で日本に来る留学生を批判しているように聞こえるかもしれないが、そんなつもりは毛頭ない。むしろ、安くない学費を捻出して海外で勉強をしようという者ならば、当然のモチベーションだ。 そして、このモチベーションは「外国人労働者」になれば、さらに高くなることは言うまでもない。 しかし、先ほども申し上げたように、「外国人労働者」が働けるのは、「人手不足業界」に限定されている。なぜこれらの業界が人手不足になっているのかというと、仕事がハードということもあるが、何よりも賃金が低いからだ。 もう何を言わんとしているかお分かりだろう。政府の進める「外国人労働者の受け入れ拡大」というのは、「お金」が目的で日本にやってくる外国人たちに、彼らの来日目的にマッチしないどころか、自国民が嫌がるような「低賃金労働」をあてがう、というかなり無理のある話だ』、「東京福祉大学留学生向けパンフレットにデカデカと記されたこの文言だ。《「お金持ち」になる夢につながる》」とまで露骨に謳っているとは、驚かされた。政府も外国人労働者たちの訪日の目的を分かっていながら、建前では「キレイ事」を前提にして制度づくりをするとは、やがて矛盾が爆発する懸念も強いといえよう。
・『年間85万円の学費を4年払って月給23万円の将来はアリか?  どれくらい無理かというと、経営者やエリートビジネスマンと結婚したいと願う女性に、アルバイトで夢を追いかける若者とお見合いさせるくらい無理だ。どんなにゴリゴリ押しても「破談」間違いなし、というのが日本の「外国人労働者の受け入れ拡大」なのだ。 そして、このような日本側が外国人に求めることと、外国人が日本に求めることの悲劇的なすれ違いの結果が、「消えた留学生」問題である可能性が極めて高い。 多くの所在不明者を出した、東京福祉大学の「研究生」の1年間の学費は62万8000円。この準備過程を終えて学部に編入すると年間85万かかる。かなりの額だ。では、このような学費を毎年払い続けて、晴れて日本で働くことができた時、果たして「パンフレット」に書かれていたような「お金持ち」になれるのかというと、かなり難しい。 例えば、東京福祉大学卒業生の多くが進むであろう「介護職員」(施設)の1ヵ月の賃金は約23万3600円(平成29年賃金構造基本統計調査)である。国内での業種の中でも決して高いとは言えない賃金だ。 いや、これなどまだマシな方だ。昨年7月に放映された「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)が取り上げた、介護施設で働くフィリピン人看護師の月給は14万だった。果たして、このような賃金を手にして、彼らは「お金持ち」だと感じるだろうか。感じるわけがない。 国によっては祖国へ仕送りすれば、一家全員が暮らせるくらいの額にはなるが、働いている外国人自身も日本で生活しなくてはいけないのだ。中には、「聞いていた話と違う」「騙された」と思う人もいるだろう。 いずれにせよ、「お金」が目的で日本にやってきた留学生たちとって、日本で福祉や介護の職に就くということは、あまりにも費用対効果の悪い話だったことは間違いない』、「日本側が外国人に求めることと、外国人が日本に求めることの悲劇的なすれ違いの結果が、「消えた留学生」問題である可能性が極めて高い」、問題の本質を突いた鋭い指摘だ。
・『外国人を「部品」のように扱う心なき日本政府の行く末は  「仕事ってのはそんな甘いもんじゃない!そういう苦労をすれば、いつかちゃんと報われるんだ」と怒り出すおじさんも多いかもしれない。 ただ、日本人相手ならそういう説教も通用したかもしれないが、彼らは「外国人」である。日本人のように責任を求めるなら、日本人と同じような権利を与えるのが筋だ。それができないのに義務やリスク、そして重労働を押し付けるのなら、「お金」などの見返りを保障するしかないのだ。 しかし、現行の「外国人労働者の受け入れ拡大」にはそういう視点はゼロだ。 外国人は、日本人が嫌がる低賃金・重労働の仕事を黙々とこなせばよし。外国人には職業選択の自由はないので、決められた仕事以外はしてはならぬ――。そんな都合のいい「奴隷」制度のような話がうまくいくわけはないのである。 「消えた留学生」問題は、この国が「外国人」という人たちの「心」をまったく考慮せず、「部品」のひとつのようにしか捉えていないという事実を、これ以上ないほどわかりやすく露呈させた。 これまで本連載で繰り返し指摘してきたように、人手不足業界の待遇改善、つまりは賃金を上げていくことをせずに、外国人労働者を受け入れても、日本人の低賃金労働の現場で既に起きているブラック企業、パワハラ、バイトテロなど「恥」を世界へ向けて発信することにしかならない。 今回の問題を受けて、TBSの取材に対して東京福祉大学は「留学生を増やすという国策に沿ってやっている」と答えていた。 これから外国人労働者をめぐるトラブルが日本中で増える。劣悪な労働環境やパワハラ、長時間労働を強いたとして告発されるブラック企業、悪徳ブローカーなども、自分たちの正当性を主張するため、「だって、これは国策ですから」というような釈明をするのは、容易に想像できる』、「「消えた留学生」問題は、この国が「外国人」という人たちの「心」をまったく考慮せず、「部品」のひとつのようにしか捉えていないという事実を、これ以上ないほどわかりやすく露呈させた」、というのも手厳しい政府批判だ。
・『実はこの構図は、70年を経てもいまだに日本を悩ます「従軍慰安婦」や、「徴用工」の問題とまったく同じである。 慰安所に女性を売り飛ばした韓国の女衒や、外国人の炭鉱夫をこき使った企業は口が避けても、「外国人は低賃金でこき使えるから」とは言わなかった。では、どういう大義名分を掲げたかというと、「日本のため」である。 このように、日本人労働者から敬遠されるブラック業界の救済のため、「国策」を持ち出してしまったことが、すべての悲劇の始まりなのだ。 日本に来たい、働きたい、と言っていた外国人が、ある日を境に「被害者」へと変わるのがこの手の問題の恐ろしいところだ。やはり「外国人労働者」問題の行き着くところは、「従軍慰安婦」や「徴用工」のような国際的人権問題なのかもしれない』、最後の予言はそら恐ろしいが、こんな制度を作ってしまった以上、日本国民として覚悟が必要なようだ。

次に、ジャーナリストの姫田小夏氏が3月22日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「日本語学校」の悲惨な実態、授業崩壊・入学翌日に失踪…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/197557
・『ベトナム人留学生の万引き、モンゴル人留学生の無免許運転、ネパール人留学生の刃物を持ち出した喧嘩――、アジア人留学生が起こす問題が多発し、その対応に追われる日本語学校。その現場は、もはやまともな日本語教育どころではない、というところにまで来ている。 元凶は、日本政府の政策にあるといえるだろう。政府は2013年に、アベノミクスの第三の矢として「日本再興戦略」を打ち出し、「人材こそが最大の資源」という認識から“優秀な外国人留学生”の積極的な受け入れを始めた。少子高齢化と人口減が急速に進行する中、留学生を就業人口として定着させることも視野に入れ、2020年までに30万人を受け入れる目標を立てた。2019年には29万8980人を受け入れ、目標達成はすでに射程距離に入っている。 注目すべきは、2013年以降2018年までの5年間における“急激な人口増”だ。この短期間で留学生は13万0835人も増えた。この数は、神奈川県海老名市や千葉県成田市の人口に匹敵する。日本語学校への留学生も急増している。2018年は9万79人となり、この5年間で5万7453人も増加した。 現在、留学生の受け入れが可能な日本語学校は全国で749校ある。いずれも規定をクリアした日本語学校として、法務省が告示する日本語教育機関に名を連ねている。中には、留学生をきちんと選考し、寄り添うようにして面倒を見るまともな日本語学校もある。だが、ここで取り上げるのは、リスト中にある大手有名校の惨状だ。 筆者は複数の日本語教師から話を聞いた。この日本語学校をA校とし、登場する日本語教師をBさん、Cさん、Dさん、Eさんとした。それぞれの話から浮き彫りになるのは、学生を金づるとしか思わない日本語学校と、金稼ぎが目的でやってくる留学生、そしてその間に挟まれて報われない労働を強いられる日本語教師たちだ』、日本語学校の実態とは、大いに興味をそそられる。
・『授業崩壊が始まる日本語学校  卒業式を終え、教師たちがほっとしたのもつかの間、4月から始まる怒涛の新学期に向けて、A校は静かに臨戦態勢に入りつつあった。というのも、A校ではこの春、前代未聞の数の新入生を迎えるからだ。通常なら1学年5~6クラスが編成されるが、今年はなんと16クラスになるという。 近年、教室の主流を成すのはベトナムとネパールからの留学生で、ミャンマーとスリランカが次に続くという。一昔前の主役だった中国人は、すでに数を減らしつつある。その留学生たちと向き合うのは、担任となった常勤の日本語教師だ。Bさんは「こんなに増えた留学生に教えるのは正直気が重い。なぜなら、まともな授業にならないから」と打ち明ける』、クラス数が一挙に3倍というのは、信じられないような話だ。
・『筆者は近年、A校以外の日本語学校でも「手の施しようがない学生が送られてくる」という声をよく耳にしていたが、大手のA校でも状況は同じようだ。授業に出席しない学生、単元テストで集団カンニングする学生、それでも合格点をはるかに下回り、追試をしても、“追追試”、“追追追試”となってしまう学生、自分の名前をローマ字入力のカタカナで打てない学生――Bさんは「何年も前から授業は崩壊しています」と嘆く。 さらに目も当てられないのは、「入学した翌日から来なくなる新入生」だという。Bさんによれば、「学校は長期欠席で、(学校が把握している)バイト先にも姿を見せない。そんなふうにして失踪していく学生はとても多い」という。 Cさんも、「日本に来るのは稼ぐため。留学生の目的は日本語の習得ではない」と言い切り、こう続ける。 「学校側は海外の提携先に依頼して、とにかく誰でもいいから日本に留学したい学生をかき集めています。その勧誘トークは『日本に行けば金が稼げる』、『家電も買えるし、化粧品も買える』というもの。学生たちの日本留学の動機なんてその程度のものです。留学期間中はできるだけアルバイトをして祖国に送金し、貯金を蓄えて帰国するパターンです」 結果として“大手有名A校”には、“優秀な外国人留学生”とは程遠い、日本政府の期待から大きく外れた“出稼ぎアルバイター”が集まってしまった。 留学生の中には、ベトナムの窃盗団に関わっている生徒もいるという。酒に酔った勢いでの派手な喧嘩も少なくない。女性教師に深夜に誘いの電話をかける男子留学生や、売春で金を稼ぐ女子留学生もいるという。「本当に勉強がしたくて日本に来る子はほとんどいない」と、Cさんは繰り返す』、こんなことでは、「消えた留学生」による日本人への犯罪が多発するのも時間の問題だろう。
・『日本語教師は報われない  そんなA校では、辞めていく日本語教師が後を絶たない。そこにあるのは、どんどん辞めていく日本語教師の穴を、どんどん採用して補うという不毛な循環だ。A校はこの春、数百人規模の新入生を迎えるわけだから、日本語教師は輪をかけて不足する。 しかも、業務内容は多岐に及ぶ。日本の文化や生活習慣を正しく教えるという役目も担う、日本語学校の教師の仕事は実にエンドレスなのだ。 「日本語教師は日本語だけ教えていればいいと思われていますが、決してそうではありません。クラスの出欠管理や校内行事の準備はもちろんのこと、アルバイト希望者への対応や進路指導、果てはゴミの分別などの日本の生活指導まで、細かく行わなければなりません」(Dさん) DさんはA校に入社した際の契約で、「週に10コマを教える」というのが労働条件だったが、いつの間にか「週20コマ」も持たされるようになった。その結果、契約で定められた「8時30分~17時30分」の勤務時間帯を大きく超過する状況に陥り、朝8時から終電間際までといった残業が続くようになった。しかも、給料は依然としてスズメの涙ほどの残業代しかつかない“薄給”である。 教育職は人間が相手だ。ましてや言葉も習慣も異なる留学生が相手となれば、なかなかその指導も一筋縄ではいかない。気力体力も限界に達し、入社当時の熱意も枯渇寸前となり、誰もがギリギリの状況に追い詰められ、そして辞めていってしまう。 Eさんは日本語教師という仕事を「報われない仕事」だという。 「日本語を一所懸命に教えようとしても、留学生も学校側も、それを望んでいないからです」 日本における日本語教師の地位は決して高いとはいえない。ベテラン教師が少ないといわれているのも、専門職として相応(家族を養える程度)の報酬を得られないためでもある。こうした空気は留学生にも伝わり、日本語教師は留学生との距離の取り方に腐心する。 「留学生は日本語教師という存在に敬意を払っていません。日本語教師は女性が多く年齢も留学生たちとさほど変わらないので、『友達になろう』くらいの感覚で接してくるのです。ひどい場合は“恋愛対象”にさえなることがあります。高齢の先生にも敬意を持たない子が多いですね。卒業間近ともなると、学生は教師を無視して授業中の教室で堂々とトランプ遊びをしています」(Eさん) 現場では日本語教師の地位向上どころか、質の低下が進んでいる。政府が打ち出した「30万人計画」のおかげで留学生は激増したが、とにかく手が足りず、日本語教師すら“かき集め”てくるのが実態なのだ。 「最近は学校側も『教壇に立てるなら誰でもいい』といった状況で、応募してくるのも『働けるならどこでもいい』といった人材が多くなりました。留学生にきちんとした教育を与えようなどという志なんか、あったものではありません」(Cさん) 日本語教師になるには、大学で日本語教育を専攻するか、あるいは日本語教育能力検定試験に合格することが求められる。それらと並ぶ資格として、「日本語教師養成講座420時間コース」の修了がある。採用面接に際しては、教案を提出し、模擬授業を行うというプロセスを踏むが、A校ではだいぶ以前からこのプロセスを省いているという。辞める教師があまりに多すぎるからだ。 日本語教師が次々と辞めていく中、いくら募集をかけても人材は追いつかない。「検定合格者や養成講座修了者を待っていたら、担任不在のクラスができてしまう」(Cさん)ため、まったくの無資格者でも起用することさえあるという』、「日本語教師は日本語だけ教えていればいい」わけではなく、幅広い指導力が本来は必要となのにも拘らず、「「日本語を一所懸命に教えようとしても、留学生も学校側も、それを望んでいないからです」というのでは、本当に「報われない仕事」だ。
・『“二重名簿”で学生管理  さて、急増する留学生に対応するために、A校ではこんな「苦肉の策」を講じている。それは“二重帳簿”ならぬ“二重名簿”だ。 法務省入国管理局の「日本語教育機関の告示基準」は、「日本語の授業は、同時に授業を受ける生徒数を20人以下とする」と指導しているが、A校では出席簿を20人の名簿と5人の名簿に分け、教室には25人を詰め込んで授業を行っているのだ。当局の検査が入るときには“余分な机”をみんなで一斉に隠すこともあるという。 かつては、一般財団法人日本語教育振興協会(以下、日振協)がこうした「現場チェック」を行っていたが、今では「第三者機関が評価を行うという定期検査はなくなった」(法務省入国管理局)。日振協は現在、会員である日本語学校258校に対して検査体制を維持している。日振協は昨今の実情を踏まえ、「評価事業は質の維持・向上には欠かせない」(同)と主張する。年間70校という異例の数で増え続ける日本語学校は玉石混交、そんな中でさらに厳しい管理体制が求められるのは必然だ。 過去3年間で1400人の外国人留学生の「所在不明者」を出した東京福祉大学も根っこは同じところにある。留学生だけではない。労働者も観光客も“数の確保”ばかりが先走る。 ひたすら数字だけを追う「留学生のかき集め」は、若い留学生の将来を歪め、日本の教育水準を低下させ、果ては日本語教師の熱意をもくじく。負の循環を断ち切れる有効策を期待したい』、これほど酷い状況では、国内の治安問題だけでなく、国際的にも批判の的になりかねないだろう。安倍政権の罪は誠に深いようだ。
タグ:外国人労働者問題 (その12)(「消えた留学生」問題は必然 安倍政権が生む「外国人労働者大量逃亡時代」、「日本語学校」の悲惨な実態 授業崩壊・入学翌日に失踪…) 窪田順生 ダイヤモンド・オンライン 「「消えた留学生」問題は必然、安倍政権が生む「外国人労働者大量逃亡時代」」 消えた留学生問題 消えた留学生問題から予想できる将来の日本の惨状 「氷山の一角」 東京福祉大学 所在不明者は700人どころの騒ぎではなく、過去3年間で1400人にも上る 多くはビザが切れても不法残留し、外食や建設現場など、日本人労働者に敬遠される「人手不足業界」で、労働力として重宝されている 今回の「消えた留学生」問題というのは、近い将来に日本を震撼させる「消えた外国人労働者」のプロローグに過ぎないのである 人間は時にルールを破ってでも、待遇の良い方向へ流れていく 外国人労働者は制度を守って働いてくれるのか? この制度を適応する相手は「奴隷」ではなく、職業選択の自由を持つ人間である 気がつけば、「人手不足の救世主」と崇めていた外国人労働者が、何千人も「所在不明」となり結果、日本は、何をしているのかよくわからない「不法移民」が溢れかえる国になりましたとさ―― 今回の「消えた留学生」問題というのは図らずも、政府が推進する「特定技能外国人労働者」という制度の致命的な欠陥を露呈させてしまっているからだ 外国人留学生の第一目標は当然「お金」である 東京福祉大学留学生向けパンフレットにデカデカと記されたこの文言だ。《「お金持ち」になる夢につながる》 なぜこれらの業界が人手不足になっているのかというと、仕事がハードということもあるが、何よりも賃金が低いからだ 「お金」が目的で日本にやってくる外国人たちに、彼らの来日目的にマッチしないどころか、自国民が嫌がるような「低賃金労働」をあてがう、というかなり無理のある話だ 年間85万円の学費を4年払って月給23万円の将来はアリか? 日本側が外国人に求めることと、外国人が日本に求めることの悲劇的なすれ違いの結果が、「消えた留学生」問題である可能性が極めて高い 外国人を「部品」のように扱う心なき日本政府の行く末は 「消えた留学生」問題は、この国が「外国人」という人たちの「心」をまったく考慮せず、「部品」のひとつのようにしか捉えていないという事実を、これ以上ないほどわかりやすく露呈させた 「恥」を世界へ向けて発信 実はこの構図は、70年を経てもいまだに日本を悩ます「従軍慰安婦」や、「徴用工」の問題とまったく同じである やはり「外国人労働者」問題の行き着くところは、「従軍慰安婦」や「徴用工」のような国際的人権問題なのかもしれない 姫田小夏 「「日本語学校」の悲惨な実態、授業崩壊・入学翌日に失踪…」 アベノミクス 「日本再興戦略」 “優秀な外国人留学生”の積極的な受け入れを始めた 2020年までに30万人を受け入れる目標 日本語学校への留学生も急増している。2018年は9万79人となり、この5年間で5万7453人も増加 通常なら1学年5~6クラスが編成されるが、今年はなんと16クラスになるという 手の施しようがない学生が送られてくる 授業に出席しない学生、単元テストで集団カンニングする学生、それでも合格点をはるかに下回り、追試をしても、“追追試”、“追追追試”となってしまう学生、自分の名前をローマ字入力のカタカナで打てない学生 「入学した翌日から来なくなる新入生」 「学校側は海外の提携先に依頼して、とにかく誰でもいいから日本に留学したい学生をかき集めています。その勧誘トークは『日本に行けば金が稼げる』 日本語教師は報われない 日本語教師は日本語だけ教えていればいいと思われていますが、決してそうではありません。クラスの出欠管理や校内行事の準備はもちろんのこと、アルバイト希望者への対応や進路指導、果てはゴミの分別などの日本の生活指導まで、細かく行わなければなりません 「日本語を一所懸命に教えようとしても、留学生も学校側も、それを望んでいないからです」 「報われない仕事」 最近は学校側も『教壇に立てるなら誰でもいい』といった状況で、応募してくるのも『働けるならどこでもいい』といった人材が多くなりました “二重名簿”で学生管理 国内の治安問題だけでなく、国際的にも批判の的になりかねないだろう 安倍政権の罪は誠に深い
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