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幼児(児童)虐待(その4)(娘を性的暴行の父に無罪判決 識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」、なぜ 娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす 実父の性暴力に抵抗できない理由、焦点:傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護、心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”、傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護) [社会]

幼児(児童)虐待については、3月31日に取上げた。今日は、(その4)(娘を性的暴行の父に無罪判決 識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」、なぜ 娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす 実父の性暴力に抵抗できない理由、焦点:傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護、心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”、傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護)である。

先ずは、4月18日付けデイリー新潮「娘を性的暴行の父に無罪判決、識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/04180800/?all=1&page=1
・『名古屋地方裁判所岡崎支部の裁判官・鵜飼祐充(うかいひろみつ)裁判長(59)が下した「無罪判決」が世間で物議を醸している。当時19歳だった被害女性が、被告人である実の父親によって性行為を強要された2年前の“事件”をめぐるこの裁判。判決文の内容に基づく詳細は別掲「娘を性のはけ口にした父がまさかの無罪! 判決文に見る「鬼畜の所業」」記事を参照頂きたいが、被害者は中学2年生から性的虐待を受け続けてきたという。 「法律を杓子定規に解釈すると、おかしなことが起きるという典型です。性犯罪のみならず、人が犯罪者に直面し要求されれば、怖くて抵抗できないということは多々あります。例えば金を出せ、と脅されて被害者が応じたからといって、それを自主的に渡したというのは無理があるでしょう。それと同じで被害者の女の子も、普段からずっと家庭という逃げ出すことのできない場での暴力下に置かれていたわけで、目の前で起こる出来事に対して、拒む、拒まないという選択ができる状況にはなかった、と考えるのが普通でしょう」と言うのは、評論家の呉智英氏。そんな状況に置かれてもなお、親の圧力の下から逃げられると裁判官が考えたのなら、あまりに的外れな判決だと呉氏は続ける。 「この判決を受けて、バカな親が調子にのって子供に性暴力を加えないか心配です。この裁判官には、世の中の実態を見る眼がなかったのではないでしょうか」。 改めて無罪を勝ち取った父親の代理人を務める弁護士に訊いてみると、 「刑事裁判は、被告人が道義的にどうかという問題を議論する場ではなく、犯罪そのものが成立するかどうかを審議する場所です。世間、社会一般から見て被告人を罰するべきだという意見があるからといって、『そういう意見が大勢を占めているので、あなたを犯罪者として罰します』ということになれば、裁判も何もいらなくなってしまう。『疑わしきは被告人の利益とする』という大原則に基づいた判断を、裁判所はされたのだと思います」 “大原則”に基づくという意味では、鵜飼裁判長は過去に何度も無罪判決を出すことで、界隈では知られた存在だった』、私も新聞記事で読んだ時には、腹が立った。しかし、法律の厳格な解釈は裁判官としては当然のことで、この問題は抜け穴を許す刑法の規定そのものにあると思うようになった。
・『やりたい放題  社会部記者が言うには、「この10年余りで少なくとも7件の無罪判決にかかわっていますが、最も注目を浴びたのは2015年の事件です。当時、全国最年少首長として注目を浴びていた、岐阜県美濃加茂市長が収賄などの疑いで逮捕されましたが、鵜飼さんが担当した一審の名古屋地裁は証人の証言を信用せず、無罪を言い渡したのです。ところが高裁では逆転有罪、最終的には最高裁が上告を棄却して有罪が確定しました」 日本における刑事裁判の有罪率は、99・9%。諸外国と比較しても異常に高く、テレビドラマのタイトルにもなるほどで、起訴されてしまえば裁判官はほぼ「有罪判決」を下す。その現実が、冤罪事件を生み出しているとの指摘もあって社会問題となってはいるものの、今回のような法の解釈に拘泥した「無罪判決」を、世間は望んでいるだろうか。 「日本の裁判官は守られすぎていると感じます」と嘆くのは、刑事法学が専門で常磐大学元学長の諸澤英道氏である。 「この件では、あまりに常識的な感覚を欠く判決を下す裁判官だと言わざるを得ませんが、日本はいったん任用されたら定年まで勤め上げることが可能なんです。海外ではだいたい5年、10年と任期が区切られ、再任用の際にはどういった考え方を持っているか、過去の判決を含めて厳しくチェックされます。けれど、日本は『裁判官の独立』という名の下に、上の者が下を指導することはほとんどない。それをいいことに一部の裁判官は野放しにされやりたい放題で、最近だとSNS上にブリーフ姿を投稿した方もいましたが、戒告処分に止まっている。ネット社会になり、様々な情報が広く公開された今こそ、一般の人々がおかしいと思ったらどんどん声を上げ、裁判官の見識を問う必要があるのではないでしょうか」 検察は判決を不服として控訴に踏み切ったが、次の裁判長殿は大丈夫だろうか』、美濃加茂市長問題については、主任弁護人の郷原信郎氏の見解をこのブログの2016年12月3日付けで紹介したが、名古屋地裁の無罪判決は当然で、むしろ問題は控訴審以降にあるようだ。「今回のような法の解釈に拘泥した「無罪判決」を、世間は望んでいるだろうか」というのは言い過ぎで、人民裁判をせよと主張しているのに近く、法治国家を否定するものなのではなかろうか。やはり、刑法改正という本筋でいくべきだろう。

次に、これに関連して、4月20日付けダイヤモンド・オンラインがAERAdot.記事を転載した「なぜ、娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす、実父の性暴力に抵抗できない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/200239
・『2019年3月26日、実の娘(当時19)と性交したとして準強制性交等罪に問われていた男性被告に、一審・名古屋地裁岡崎支部は無罪判決を言い渡した。公判において、男性被告の弁護側は「娘は抵抗できない状態になく、性交にも同意があった」と主張していたという。 同じく実父により、13歳から7年間にわたって性暴力を受けていた女性がいる。性暴力被害者支援看護師として活動をする山本潤さんだ。山本さん自身も、状況的に抵抗が困難だったわけではないようにみえるにもかかわらず、被害に遭っているときは、父親に抵抗することが適わなかった。それは、なぜだったのか? 被害者だからこそわかる当時の心境を『13歳、「私」をなくした私』(朝日新聞出版)から紹介する』、興味深そうだ。
・『あのことは私に何の影響も与えていない。そんなにひどいことはされていない、性被害であるはずがない。私は大丈夫、そう思いたかった。 その一方で、こんな目に遭っているのは私だけだとも思っていた。それに、もし私が父親から性的に触られたことがある人間だと知られたら、そんな異常な体験をした私は、石もて追われると信じ込んでいた。 なぜ逃げられなかった? 30代半ばに「トラウマ」という概念を学んでようやく、父のしたことがなぜそれほどまでに私を損ない、人生に大きな影響を与えるのかそのメカニズムを理解できたと思う。 トラウマになるような「死ぬかもしれない」と思わされる出来事に遭遇すると、人間の身体は生き残ることに全てを集中させる。脳のスイッチが切り替わり、人間がサバンナにいたころから用いてきた生き残り戦略が優先されるのだ。 そして逃げることも戦うこともできないとき、もう一つの自衛策としてフリーズ(凍りつき)が起こる。医学生物物理学博士で心理学博士であるピーター・リヴァイン氏は、フリーズ(凍りつき)も逃走や戦闘と同じように、生き残るためには普遍的で基本的なものだと述べている。 もし、サバンナでインパラがチーターに襲われ逃げられなかったとしたら、その土壇場でフリーズ(凍りつき)が起こる。インパラは地面に倒れこむ。それは、死んだふりをしているように見えるかもしれない。しかし実際には変性意識状態に入り、痛覚や知覚などの全ての感覚を下げ、チーターの鋭い歯や爪で引き裂かれている間、苦しまずにすむようにしているのだ。 この文章を読んだとき、野生動物は噛まれているときも痛そうな顔をしないと聞くが、こういうことが起こっているのかと感じた。 怖い気持ちが強すぎて、当時の私は抵抗することもできず凍りついていた。 その恐怖のエネルギーと痛みは私の身体にずっと残っている。 私はもう安全な場所にいるのに、被害のことを思い出したり考えたりするだけであのころに引き戻されて、息ができなくなったり、泣きそうになったり、体が震えだしたり、気分が悪くなったりする。 それは日常生活全般に及んでいて、性被害のニュースに触れたり、父と同じような体格や年齢、言動をする男性に接したりすることで心臓が喉元にせりあがってくるような気持ちになり、動悸や息切れに襲われることがよく起こった。 それでも、性被害のニュースなどには注目せずにはいられない強い引力を感じることもある。そうやって引きつけられてはダメージを受ける。その繰り返しだった。 だからこそ、普段は考えないように感じないようにし、男性にもなるべく近づかないようにして過ごしていた。それでも、症状は漏れ出てくる』、「生き残り戦略が優先」、「フリーズ」などは筆者が出来るだけ客観視しようとした指摘は、説得力がある。
・『「私」をなくした私  被害を受けている間は、戦場にいるようなものだと思う。どうすれば逃れられるのか、これ以上ダメージを受けないためにはどうすればいいのか。 体は硬直し思考はすごい勢いで回転するけれど、空転しているだけでどうにもならない。頭では動かなければと思うけれど、筋肉は強張り、夢の中にいるように身体は思い通りにならない。心臓は早鐘のように打ち出し、呼吸は浅いのに拍動が2倍にも3倍にも大きく感じられる。 そんな緊張状態の中で、全身から血の気が引き、その血液がすとんと足元に落ち手足が硬直して冷たくなるのを感じる――。 こんな戦場からやっと逃げてこられたそのとき、逃げてきた自分の手や足がないことに気づいたとしたら……。自分の身体に大きな損失があるなんて、誰でも思いたくない。 私がなくしてしまったのは、自分自身だった。空が美しいと思えたり、季節の移り変わりを感じたり、好きな人に胸をときめかせる時間の代わりに私が得たのは、何を見ても無感覚で空っぽな感情、男性というだけで恐怖心がわき上がってくる心、自分が生きているかも死んでいるのかもわからない凍りついた感覚だった。 失ったものの大きさや、自分の歪んだ認識、生活のしづらさに気がつきながらも、なお被害を認めることはできないのだった。 しかし症状が出てきた以上、全てを遮断していた状態には戻れなかった。力がなくても前に進むしかない。 でも、それは痛みと向き合うことだった』、被害者のトラウマは本当に深そうで、心から同情したい。ただ、前述のような刑法改正は、急務といえる。

第三に、5月16日付け日刊ゲンダイ「心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/253897
・『父親の虐待で死亡したとされる千葉県野田市の小学4年、栗原心愛さん(当時10)が、父親から性的虐待まで受けていた疑いが浮上した。14日の朝日新聞が伝えたもので、心愛さんが怖がっていたにもかかわらず、県柏児童相談所は保護の解除を決定したという。 記事によると、心愛さんは2017年11~12月、柏児相に保護されている期間中、医師や職員らに「パパが急にズボンを下ろしてきた。パンツも脱げて『やめてよ』と言ってすぐに上げたら、パパから『そんなこと言うとバレるだろ』と言われた」と打ち明けた。医師は「暴力行為だけではなく、性的虐待を含み、(心愛さんの)恐怖心はかなり強い」との所見をまとめていた。 この内容は同年12月27日に柏児相の援助方針会議で共有されながら、この会議で心愛さんの一時保護が解除された。心愛さんは親族宅で暮らすことになり、その後、父親の勇一郎被告(41)に引き取られ、今年1月、浴室で死亡した。 「これまで『お父さんにぼう力を受けています』と書かれた心愛さんのアンケートのコピーを野田市の職員が勇一郎に渡すなど行政は失点続き。今度は柏児相の重大な判断ミスが発覚したわけです」(捜査事情通)』、「柏児相の援助方針会議」で「心愛さんの一時保護が解除された」事情は是非、知りたいところだ。
・『二言目には「検証委員会で調べている」  柏児相を管轄する千葉県に電話したところ、以下の回答だった。 「今回の記事は朝日新聞が一方的に報じたのであり、県が正式にコメントしたわけではありません。県としては2月に第三者による検証委員会を立ち上げ、2月と3月に1回ずつ問題の具体的な検証をしています。性的な虐待などはセンシティブな個人情報なので慎重に取り扱わなければなりません。朝日が報じた性的な虐待があったかどうかは検証委員会が調べているので回答できません」(児童家庭課の担当者) 児相には非常勤の医師が数人いるが、誰が心愛さんを診察したのかも「検証委員会が検証していることなので分かりません」とのことだった。 「野田市は3月に職員ら12人を処分したけど、千葉県はまだ処分ゼロ。嵐をやり過ごそうとしているようです」とは地元のジャーナリストだ。 「アンケートを勇一郎に見せた件もマスコミの取材によって明らかになった。千葉県が自分から公表したことはひとつもありません。柏児相は当初は取材に応じてくれましたが、事態が深刻化すると『県に聞いて欲しい』と言うようになった。検証委員会が調べていると言い張っていますが、都合の悪い事実を隠し通す口実にしているとしか思えません」(地元のジャーナリスト) まさに隠蔽体質。亡くなった心愛さんが気の毒だ』、「第三者による検証委員会」が現在のところ言い訳の材料になっているようだが、報告書では問題点を掘り下げ、再発防止に役立つものをまとめてもらいたものだ。

第四に、5月26日付けロイター「焦点:傷ついた子どもをどう守るか、問われる日本の児童養護」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/japan-children-institutions-idJPKCN1SU0ZN
・『クリスマスパーティーだと言われて児童福祉司に連れていかれた場所は、子ども約60人が暮らす、和歌山県の町にある児童養護施設だった。森谷美和さんが、6才のときのことだ。 「パーティー」だったはずの訪問は、母親から離れて8年以上過ごす長期の入所になった。長年にわたる孤独感、いじめ、そして心の傷との闘いの始まりだった。 自分がどうして施設に預けられたのか、美和さんが具体的な理由を知ることはなかった。分かっているのは、行政が、家族といるよりも施設に預けた方がよいと判断したということだけだ。 統計によると、虐待、ネグレクトやその他の理由で親元にいられない子どもたちの大半を里親に預ける多くの先進国と違い、日本ではそのような子どもたち3万8000人の8割以上が里親ではなく養護施設に預けられている。 いったん施設に入った子どもたちの約7人に1人は、10年以上をそこで過ごすことになる。子どもたちは家族的な環境の中で育成されるべき、という国連ガイドラインからは程遠い。 児童虐待による複数の死亡事例が社会の注目を集めたことにより、政府は子どもを保護する取り組みを優先政策課題として進めている。各都道府県は、来年3月までに事態を改善する新たな計画を立てるよう求められている。 政府は2018年夏、おおむね7年以内に保護が必要な未就学児の75%を里親に預けること、および特別養子縁組の成立件数を5年以内に倍増させて、年間1000件以上とする方針を示した。 第2次世界大戦後、日本では行き場をなくした孤児たちを保護するために数百の施設が設置された。以降、国による児童の養護は主にそれらの施設が担うようになった。現在、約600の児童養護施設がある。 児童養護施設は多くの子どもたちを救ってきたが、その多くは20人以上の児童を抱える大所帯であることを考えると、健全な家庭環境に代わる存在とは言い難い、と専門家らは指摘する。厚生労働省が4月に発表した調査では、施設では子ども間の「性的な問題」が多数発生していることがわかった。 子どもの権利保障に取り組んできた塩崎恭久・元厚生労働相はロイターの取材に対し、「みんな子どもが大事だといっているが、子どもはいつも後回しで、大人中心。そこを変えなくてはいけない」と語る』、「8割以上が里親ではなく養護施設に預けられている」、「いったん施設に入った子どもたちの約7人に1人は、10年以上をそこで過ごすことになる」、「子ども間の「性的な問題」が多数発生」などは薄ら寒い状況のようだ。
・『逃げ場がない  美和さんは23才になった。和歌山県の「こばと学園」に入った当初は、母親が恋しくて何日も泣き続けたという。しかし泣いても家には帰れないことを悟ったとき、美和さんはあきらめ、泣くのをやめた。 「それを大人は、子どもが慣れたと勘違いする。それは大間違いだ」 一部のスタッフは親切だったという。しかし、施設では新しい職員が現れたかと思うと、前触れもなく突然いなくなった。子どもたちは常にいじめっ子におびえ、厳しく叱責する大人たちを恐れた。 美和さんは「学校のいじめと違って、一緒に住んでいるから逃げ場がない」と語った。 社会的養護下にいる子どもを40年近くケアしてきた臨床心理士の西澤哲・山梨県立大教授は、非養育的な環境の施設で育った子供たちは、発達トラウマ障害を抱える可能性があると指摘する。 西澤教授は、こうした環境では「自分が守られているという安心感が得られない」と指摘する。子どもの場合は自己調節能力が育たず、少しでも気に入らないことがあれば大暴れをしてしまうという。 「不快感があるとそれをコントロールできなくなり、それを鎮めようとして自傷行為をしてしまう。人との関係がぐちゃぐちゃになってしまう」』、「「不快感があるとそれをコントロールできなくなり、それを鎮めようとして自傷行為をしてしまう」というのは恐ろしいことだ。そうした劣悪な環境に、10年以上もいたら、まともな大人としての成長は覚束ないだろう。
・『眠れない夜  美和さんはこうした症状の多くを体験している。何度となく電話番号を変えて知人との関係を断ったり、時にアパートの部屋にあるものを破壊したくなったりする。手首には自傷行為の跡が残っている。 しかし、施設の中ではまだ恵まれていた方だと美和さんは考えている。他の児童と違い、美和さんはやがて母親と週末や長期休暇を過ごすようになったからだ。中には、ほとんど、もしくは全く両親に会わない子どもたちもいる。 美和さんは自分がなぜこばと学園で暮らし始めたのか知らず、聞こうと思ったこともなかった。気になり始めたのは、ここ半年ほどのことだ。 母親は、施設で暮らすほうが美和さんのためだと児童福祉司に説得されたと明かした。母親は美和さんの小学校入学手続きをしなかったため、養育能力に欠けていると判断されたという。 今年2月、美和さんは自分のケースワークの個人情報開示請求をした。開示された276ページのファイルからは、美和さんの父親を含むパートナーの男性から離れて暮らすために仕事と住居を探す必要があった母親と、そのために美和さんを誰かに預ける必要があった苦しい状況が見て取れた。 開示情報からは、児童福祉司が美和さんをできるだけ早期に親元に戻そうとする様子は全くうかがえない。美和さんは、幼少時に児童福祉司が訪ねてきた記憶が一切ないが、それはケースワークに残された記録と合致している。 これは、制度上の問題を指摘する人々が挙げる代表的な問題点だ。児童福祉司は多忙を極めており、子どもの最善の利益を目指して決定を下すための専門知識も欠けているという。 塩崎氏は、児童福祉司の増員と国家資格化を目指しているが、人材・財源が不足しているとして反対する意見も根強い。 美和さんの精神的な状態についての記載は、彼女が10代になるまでほとんど記録に残っていない。 2008年になると、美和さんは夜眠ることが困難になった。ほどなく、社会性やコミュニケーション能力の発達が遅れる広汎性発達障害(PDD)と診断され、1年後には抗うつ薬のパキシルが処方された、とケースワークには記されている。 児童相談所が美和さんを母親の元に帰したとき、美和さんは15才になっていた。 ロイターは和歌山県の児童相談所とこばと学園に取材を申し込んだが、守秘義務により応じられないとの回答だった』、「児童福祉司の増員と国家資格化を目指しているが、人材・財源が不足しているとして反対する意見も根強い」というのは、人材・財源をどう確保するかを考えるべきで、反対する理由にはならない筈だ。
・『限られた退所後の選択肢  東京都の調査によると、子どもたちが18才を迎え、施設を出た後に最も悩まされるのが孤独感と経済的な問題だ。大学などに進学する人は3分の1で、全国の進学率約80%とは対照的だ。 選択肢が乏しい中、退所した元児童たちの1割は寮付きの職場を選ぶ。離職率は高く、1割は生活保護を受け、中にはホームレスになる人もいる。 社会的コストが増大する中、政府は各都道府県に、来年3月までに、家庭養育を中心とした環境で子どもたちをケアするための新たな計画の策定を求めている。里親や特別養子縁組の希望者の募集拡大や、施設の小規模化も含まれる。 塩崎氏は、親だけでなく、子どもにも権利があることを明確に定めた2016年の児童福祉法改正に関わった。同氏は、「法律や制度は変えた。問題は、実態が変わるかだ」と語る。 社会的養護が必要な児童を長く養育してきた関係者らは、問題解決は容易ではないと指摘する。 この国で過去20年に児童虐待の件数が10倍以上に増えたことを考えれば、最も弱い存在である子どもたちを守る力がこの社会にあるのか疑問だと、彼らは言う。 京都府にある児童養護施設、舞鶴学園の施設長で、全国児童養護施設協議会会長の桑原教修氏は、「個人的には、もっと早くそういう(家庭的な環境での養育を目指す)方向に行くべきだったと思う。(1994年の)子どもの権利条約批准からこれほど時間が経ったのに何をしていたのか」と、政府の対応を批判した。 桑原氏は、家庭ベースでの子どものケアに異論はないという。しかし、増え続ける、複雑な心の問題を抱えた虐待被害児のケアをしていくことがどれだけ難しいかは、半世紀以上にわたり同施設で児童の育成に関わってきた経験から理解しているという。 「家庭が脆弱になって、養育能力が破綻しかけている。もっと丁寧に時間を割かなくては。子どもは、物ではないのだから」』、塩崎氏による「法律や制度は変えた。問題は、実態が変わるかだ」との主張は無責任そのものだ。有力与党議員として、予算措置や執行状況の監視をしていなかったことになる筈だ。「家庭が脆弱になって、養育能力が破綻しかけている」のであれば、特別養子縁組や児童養護施設での保護の対象者は飛躍的に増加する可能性がある。先ずは、政府が決定した支援強化策の着実な実行を期待したい。
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