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医療問題(その20)(「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか、「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由、社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療) [生活]

昨日に続いて、医療問題(その20)(「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか、「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由、社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療)を取上げよう。

先ずは、医療ジャーナリストの木原洋美氏が7月10日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://diamond.jp/articles/-/208231
・『千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師のもとには、全国から「謎の病気」で悩む患者がやってくる。生坂医師はどんな診断を行っているのか、取材してみた』、私はかつてNHKで放映した「総合診療医ドクターG」を視聴し、本当の病気を探り当てていく手法の素晴らしさに感嘆していたので、とても興味深そうだ。
・『「腕が緑色になる」は重篤な疾患の関連痛だった  「どこの病院で診てもらっても診断がつかない」あるいは「何をやっても治らない。私は本当に○○病なのか」など、千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師のもとには、全国から“謎の病気”に苦しむ患者がやってくる。 地域の大学病院から紹介状を携えてやってくる患者の症状はじつに多種多彩で、ありとあらゆる症状を診てきている生坂医師をしても驚かされることがある。 「腕が緑色になる」――。 そう訴えて来院した40代男性会社員の場合もそうだった。 ◎ケース1  生坂:「右腕がしびれる、重い」から始まって、「なんだか緑色になるような気がする」と言うんです。これは精神科領域の患者さんかもしれないと疑いました。でも、緑色になるのは、いつもではないんですね。食後とか運動した後になるという。つまり、心臓に負担がかかった後に、症状が起きている。ということは、狭心症かもしれないと推察し、検査してみるとやはりそうでした。 腕のしびれも、重いのも、緑色になるような気がするのもすべて、関連痛だったわけです。 Q:関連痛というのは。 生坂:実際に問題が起きているのとは別の場所に痛みなどの症状が出ることです。患部とは別の神経が痛みを肩代わりして感じさせてくれている。狭心症で「緑色になる」というのは初耳でしたが、患者さんはそれぞれ、いろんな表現をします。 胸痛がなくて間欠的に、何かしら負担がかかる状況で出てくるへそから上の症状は、まず心臓病を考えます。例えば、何か食べた後に原因不明の頭痛がする、あるいは顎が痛い、耳が痛いとかいう場合、一度は心臓を疑います。 特に糖尿病、脂質異常症がある高血圧の人はそう考えた方がいいですね Q:心臓に負担がかかるというのはどういう状況ですか。 A:まず運動ですね、次に食事。あと排便も心臓に負担がかかりますから、排便中、排便直後に症状が起きてくる場合は要注意です。 狭心症は決して珍しい病気ではない。 それなのにこの男性は、複数の病院を渡り歩いた末に、生坂先生のもとにたどり着いた。ここに至るまで男性が診てもらった医師たちは、「緑色になる」との表現を聞いて即座に「気のせい」と思い込み、それ以上の問診をしなかったのだろう。 生坂先生によると、この手の思い込みは、ベテラン医師ほど気をつける必要があるという』、「この手の思い込みは、ベテラン医師ほど気をつける必要がある」、というのは医師に限らず、多くの職業でも共通するようだ。
・『「大したことない」が組み合わさった謎の腰痛  生坂医師のもとにたどり着く患者の症状にはもう1点、特徴がある。それは身体的要因、心理的要因、社会的要因が複合的に組み合わさって、1つの症状が出ていることだ。 ◎ケース2  生坂:複合的な要因が組み合わさって1つの症状が出ている病気の最たるものは「腰痛」です。慢性腰痛の診断で難しいのは、MRIとかを撮ると異常はあるんですね。ヘルニアとか脊柱管狭窄とか。でも、それだけでは特定の動作に伴う痛みは説明できても、「動作と関係なく痛い」とか「痛み止めが全く効かない」といった、患者さんが抱えている痛みの全部は説明できない。 Q:ということはつまり。 生坂:やはり身体的な要因だけでなく、心理的、社会的要因が複合的に組み合わさって1つの症状ができているということです。しかもそれらはバラバラに見ると、全部大したことない。メンタルの不調も、社会的なストレスも、腰のヘルニアも。でも全部が合わさると激痛になる。 だから内科や精神科医、整形外科医が別々に診察しても、腰痛の原因は突き止められないことがある。総合的視点で診て初めて分かるのです。本当に単純に、腰のヘルニアだけの痛みを訴えて私たちの外来を受診する患者さんはほとんどいません。 Q:腰痛で受診する患者さんは、複合的な原因によるものが多いですか。 生坂:その通りです。人間は、原因が分かっている痛みは我慢できるんですよ、コントロールできるというか。逆に、すぐにでも治療しないといけないような、重症のヘルニア患者さんは受診しない。気の持ちようで、我慢できてしまうんでしょうね。 受診行動を起こす人は基本的にはメンタルだとか、社会的にいろいろな理由がある場合が多い気がします。 Q:しかし40代を過ぎれば、誰でも複合的な要因を抱えています。むしろ、病気が1つしかない人のほうが珍しいのでは。 生坂:確かに。高齢になるほど、病気が1つということはありえない。必ず複数の病気を持っています。また若い人でも、実は臓器が侵されて症状が出るだけでなく、メンタルや社会的な要因の影響を強く受けている場合があります。臓器は悪くない、心も健康。だけど家庭や会社など、社会的に追い詰められることで、いろいろ症状が出る。原因不明の、謎の病気ということにされてしまう。 特に若い人は、心理的あるいは社会的に逼迫(ひっぱく)して、病気になってしまう人が増えています。 言われてみれば各診療科をバラバラに受診しても分からない病気・症状は多そうだ。苦痛は確かに感じているのに、検査をしても異常なし。どうしたらいいか分からず、途方に暮れている人は少なからずいるのではないだろうか』、「慢性腰痛の診断で難しいのは、MRIとかを撮ると異常はあるんですね。ヘルニアとか脊柱管狭窄とか。でも、それだけでは特定の動作に伴う痛みは説明できても、「動作と関係なく痛い」とか「痛み止めが全く効かない」といった、患者さんが抱えている痛みの全部は説明できない」、普通の医者であれば、そこまで深く考えずに、「ヘルニアとか脊柱管狭窄」と診断しているケースが多いのだろう。「やはり身体的な要因だけでなく、心理的、社会的要因が複合的に組み合わさって1つの症状ができているということです。しかもそれらはバラバラに見ると、全部大したことない。メンタルの不調も、社会的なストレスも、腰のヘルニアも。でも全部が合わさると激痛になる。 だから内科や精神科医、整形外科医が別々に診察しても、腰痛の原因は突き止められないことがある。総合的視点で診て初めて分かるのです」、総合診療の面目躍如だ。
・『「良性」なのに治らないめまい 薬が効く、新たな疾患の可能性も  筆者のもとに、時折相談が寄せられる症状に「めまい」がある。 ある朝突然、回転性の激しいめまいに襲われ、慌てて病院を受診したものの、病名と原因と予防法を簡単に告げられただけで帰され、どうしていいか分からないというビジネスマンは少なからずいる。 ◎ケース3  生坂:「めまい」で受診される方も多いですよ。医者にかかって「良性発作性頭位めまい症」と診断されたけど、ぜんぜんよくならないと。 Q:どういう病気ですか。 生坂:頭を動かしたときに起きるめまいで、「良性」という名前の通り、生命にかかわるような深刻なものではありません。「めまい」で医療機関を受診する患者さんの4割はこの病気だといわれています。 耳の奥の重力を感知する場所にある、小さな砂粒のようなカルシウム結晶「耳石」が、外傷など何らかの理由で剥がれ落ち、それが平衡感覚を司る「三半規管」に入り込んで動くことでめまいが起きます。 原因はよく分かっていませんが、加齢現象によって耳石が大きく、もろくなって剥がれる場合と、激しい運動によって剥がれ落ちる場合と両方考えられています。以前、女性サッカー選手でもこのめまいで入院した人がいましたが、彼女の場合はヘディング等の衝撃で、耳石が剥がれ落ちたものと思われます。 このめまいは長時間続くことはなく、多くは1分以内、長くても数分で完全に収まるといわれていますが、まったく収まらない人もいます。 Q:先生のところを受診するのは、めまいが収まらない患者さんですね。 生坂:そうです。医療機関で耳石を戻す「体操」を指導されたけれども効果がないといって見えられます。特にご高齢で不安の強い性格の方は、もともと身体を動かすのが難儀だったのが、めまいによる転倒が怖くて余計動かなくなる。頭を動かさないと耳石はズレた位置で固定されてしまうので、めまいは治りません。そのため症状が改善せず、久々に動こうとすると激烈な回転性のめまいに襲われ、さらに動けなくなる。この悪循環で、全く体を動かせなくなる恐怖症に陥ってしまいす。 もう1つ。実はなかなか治らないめまいの原因として良性発作性頭位めまい症と似た、「持続性知覚性姿勢誘発めまい」という別の病気があります。ぐるぐる目が回るのではなく、ふわふわしたした感じで1時間以上続く場合は、こちらを考えます。こちらは耳石がズレているわけではないので、頭位とめまいとの関係が曖昧で、体操も全く効かない。 Q:どうやって治すのですか。 生坂:この場合はSSRIなどの薬物療法が必要になります。どちらの場合も身体を動かすことが回復につながりますが、患者さんはめまいそのものや転倒に対して恐怖心があるので、ただ「動いてください」だけでは動けません。場合によっては、転倒予防のヒッププロテクターを付けるなど、総合的な対処をしながら、「これで大丈夫ですから動いてください」という具体的な指導が必要なのです。 Q:一般的な耳鼻科の外来では、そうした対応はしてもらえるのでしょうか。 生坂:一般的な外来は診察時間が短いので、治りが悪いようであれば、めまい専門の外来をお薦めします。 実は私も、良性発作性頭位めまい症の経験者。再発時は耳石を元に戻す効率的な頭の動かし方を知っているので、自分で治療できますが、その体操自体、かなりつらいです。その上、うまくいった場合、めまいはピタッと止まりますが、いつもうまくいくとは限らない。 最近は、ある一定の頭位さえとらなければ、めまいは起きないことが分かったので、発作が起きそうになった場合も、その頭位をとらないようにして動き回っています。ただ、その頭位は人それぞれ。治療には個別の指導・対策が必要ですので、継続的にかかれるお近くの専門外来を見つけてください。 この病気はつらいです。1回耳石がずれてしまうと、元に戻るのに1~2ヵ月かかります。 Q:実は筆者も「良性発作性頭位めまい症」の経験者だ。「これといった治療法はありません」「自然に治りますが、必ず再発します」「つらいなら、吐き気止めを出しましょう」と言われ、困惑した。 というのも、発作は突然だったからだ。 「もし、外出中に再発したらどうすればいいんですか」と聞くと、耳鼻科医は「そのときは、その場で安静にしてください」と言い放った。以来、しばらくの間、再発が怖くてびくびくする生活が続いた。あの時の耳鼻科医が、生坂医師のような説明をしてくれたら、どんなに安心できただろう』、「めまい」もやっかいなようだ。生坂医師も「良性発作性頭位めまい症の経験者」、とは驚いたが、患者の立場がよく理解できるのだろう。
・『病気の7割は問診でしか分からない  原因不明の病気にかかり、医療機関を渡り歩く人の共通する訴えに「検査をしても、異常なしと言われる」がある。検査をして、異常があれば病気、異常がなければ病気ではない、というのが“病院の常識”だ。しかし、生坂医師は「結局、総合診療科を受診される方の7~8割は問診で診断がつく」という。 大学病院も含め、複数の医療機関を受診し、ありとあらゆる検査を受けてきた患者にとって、これは結構、驚きの事実なのではないだろうか。 「7~8割が問診、2割ぐらいが診察で、検査で診断がつくのは1割ぐらい。『7、2、1の法則』と呼んでいます。 何が言いたいかというと、ほとんどの病気は、検査をやっても原因は分からないし、診察をいくら詳しくやっても分からない。 心理的、社会的なもの、あるいは初期で、まだ十分に検査に出るような臓器障害がないものであるからです。 これはもう問診でしか分からないので、私どもは問診に時間をかけます。慣れもありますが、私がお話を聞く場合でも20~30分はかかります。患者さんの言葉から、患者さんのイメージと病気のイメージの、両方をつくらなければいけません。 かかりつけ医であれば、患者さんのことはある程度わかっているので、いつものイメージはできていますよね。ですから病気のイメージだけ、加えて作ればいい。でも、私どものところは、全員初めての方ですので、ゼロからつくらなければいけないので時間がかかります。 大げさに言う人とか、嘘をつく人とかもいますので。 よく『そのうち診断にかかわることは、全部AIに置き換えられるんじゃないか』という話がありますよね。私どももそれを目指して研究していますが、やはり患者さんの話からイメージを作るというのはAIでは全然ダメ。人間の頭でも大変です。 AIに置き換わるとしたら、たぶん総合診療科の領域は、最後の方だと思いますね」 謎の病気に苦しむ患者が頼る「最後の砦(とりで)」は、人を人が診る医療の最後の砦でもあるのだ』、「「7~8割が問診、2割ぐらいが診察で、検査で診断がつくのは1割ぐらい」、というのは驚かされた。「ほとんどの病気は、検査をやっても原因は分からないし、診察をいくら詳しくやっても分からない。 心理的、社会的なもの、あるいは初期で、まだ十分に検査に出るような臓器障害がないものであるからです」、「AIに置き換わるとしたら、たぶん総合診療科の領域は、最後の方だと思いますね」、というのは納得させられた。

次に、この続きを、7月12日付けダイヤモンド・オンライン「「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/208436
・『名医やトップドクターと呼ばれる医師、ゴッドハンド(神の手)を持つといわれる医師、患者から厚い信頼を寄せられる医師、その道を究めようとする医師を、医療ジャーナリストの木原洋美が取材し、仕事ぶりや仕事哲学などを伝える。今回は第12回。「謎の病気」に苦しむ患者の“駆け込み寺”的な存在として有名な、千葉大学医学部付属病院総合診療科の生坂政臣医師を紹介する』、今回も興味深そうだ。
・『名医になるならしたほうがいいいろいろな病気経験  「総合診療医ドクターG」(NHK)の出題者として全国区の知名度を持つ生坂政臣先生(千葉大学医学部付属病院)の“ひそかな自慢”は、「いろいろな病気にかかった経験がある」ことだ。 「例えば、他人の痛みって100年でも我慢できるんですよ。でも自分で病気になると、『あー、あの患者さんつらかっただろうな』と共感できるし、対策も具体的に伝えられます。それが大事です。医者を目指す人は論理的に考える力は蓄えていますが、加えて、想像力とか共感力、患者さんになり切る力…立場に立つんじゃなくてね、これがないと良い医者にはなれないと思いますね。 すべての病気を経験するのは無理だし、いくつ命があっても足りませんが(笑)。考えてみると医者って、人のふんどしで相撲が取れる唯一の専門家なんですよね。自分で経験せず、人の経験を見るだけで診断したり、アドバイスしたりできる。だけど家を建てたことがない人が建築家にはなれないし、運転したことがない人が、自動車評論家にはなれない。 だから本当にいい医者になりたいなら、いろいろな病気を経験しているということは重要だと思います。僕がもしがんになったら、がんを経験したお医者さんに診てもらいたいです」 さらに生坂先生の場合、経験をものにしようとする姿勢が半端ない。 「去年、帯状疱疹(たいじょうほうしん)になった時には、早い段階で『これは帯状疱疹だ』と分かったのですが、『もうちょっと待ったら実際どうなるのかというのを、経験してもいいかな』と思ってしまったんですね。おかげで想像以上の痛みを経験し、良い勉強になりました。帯状疱疹後の神経の痛みっていうのが言語化できない、言葉にできない痛みなんですよ。『アロディニア』って僕ら言うんですが、わずかな刺激が激痛に認識される感覚異常です。 押しても痛くないんだけど、ひゅうっとなでられると、ウーッとうなるほど痛い。それまで僕にとって、アロディニアは単なる診断ツールでしかありませんでした。『患者さんに、ひゅうって触ってごらん。アロディニアがあったら神経痛、内臓じゃないね』みたいに若手にやらせたりして。そこに共感はなかったわけです。ところがね、自分でなってみると、地獄なんですよ。なってみないと分からない。経験してみてよかったなと思っていますが、もう二度とごめんですね(笑)」』、「医者を目指す人は論理的に考える力は蓄えていますが、加えて、想像力とか共感力、患者さんになり切る力…立場に立つんじゃなくてね、これがないと良い医者にはなれないと思いますね」、というのはその通りなのだろう。「帯状疱疹」の経験は微笑ましい。
・『3つの「誤診」に導かれ総合診療医になる  診断推論学に取り組み、総合診療医になったきっかけも、先生自身や家族が見たり経験したりした3つの『誤診被害』だった。 ◎その1.アメリカでようやく判明した本当の病名  生坂先生は学生時代「原因不明」の病気にかかった。 「食事のたびに顎に激痛が生じるようになり、怖くて食べられなくなりました。体重もだいぶ落ちましたね。医療機関をあちこち回りましたが診断がつかない。検査で異常がなかったので学業からのストレスと言われ、実際半年が過ぎた頃、自然と症状が治まってしまいました。 ところがアメリカ旅行をしている最中に再発しまして、現地で総合診療医的な位置づけにある家庭医を受診したんです。すると、日本ではぜんぜん分からなかった病気を、問診だけで診断してくれたんです。『三叉(さんさ)神経痛』でした。 三叉神経痛は今でこそ簡単に診断できるようになりましたが、当時の日本では神経を専門としない医師にとっては珍しい病気でした。僕も医学生なので名前だけは知っていましたが、まさか自分がなるとは思いもしなかった。神経内科や脳外科を受診していれば診断がついたのでしょうが、口と顔の症状で神経がやられていたというのは想像すらできませんでした。 結局アメリカでは、特効薬を処方してもらい、すぐ治りまして。『総合診療医(家庭医)ってすごいな』という思いで帰国しました」 生坂先生が学生だった80年代前半には、総合診療医という言葉はあっても、総合診療科は存在していなかった。それだけにアメリカの総合診療医が示した診断力は、生坂先生に鮮烈な印象を残したようだ。 「結局日本では診断がつかず、僕はいろんな病院で誤診されたわけです。アメリカで診断がついてよかったなと思った半面、日本の医療は専門が細分化されており、医師は専門領域以外の診断はできないんだと。だから患者自身が勉強して、専門領域を正しく選べるようにしなければならない。神経内科を選べなかった自分が悪い、と納得させていました」 ◎その2.スルーされた母親の薬害  2つめは、新米医師だった頃の話。 「おふくろが、高熱と全身にぶつぶつができる症状で入院したんです。原因不明とのことでしたが、その頃新たに尿酸値を下げる薬を飲み始めたと聞いたので、その薬が原因ではないかと、おふくろから主治医に伝えてもらいました。 知識として、その薬を飲むと、そうした症状を起こすことがあると知っていたからです。おふくろは、痛風はなかったけど尿酸値が高いということで、その薬を処方されました。でも主治医は『そんな話、聞いたことがない』と取り合ってくれなかった。僕のような新米に指摘されたのが気に食わなかったのかもしれません。 薬が中止されないまま症状は悪化し、ついに口の中が火傷(やけど)のようにただれてきて、あまりにもつらくなったおふくろは、病室から投身自殺を図ろうとしたんです。親父が止めて、事なきを得ましたが、親父からの連絡を受けて飛んで行くと、主治医はようやく薬を中止したものの、僕には会おうとしませんでした。『カルテも見せるな』と厳命されたそうです。 『スティーブンス・ジョンソン症候群』といって、薬を内服・注射することで生じる薬疹(やくしん)が重症化する病気でした。高熱が出て、全身の皮膚に発疹・発赤ができて、失明したり、場合によっては生命を落としたりすることもある病気。当時、何件か訴訟にもなっていました。母は、誤診されたわけです。やっぱり診断ってすごく大切だなと思いました」 息子が、生坂先生でよかった。そうでなかったら、お母さんの生命はなかったかもしれない。先生の「患者になり切る力」は、この時に芽生えたのではないだろうか』、母親の「主治医はようやく薬を中止したものの、僕には会おうとしませんでした。『カルテも見せるな』と厳命されたそうです』、なんと料簡が狭い医者もいたものだ。
・『◎その3.末期のはずの患者がV字回復  総合診療医、そして診断推論に取り組むことを決定づけたのは、アメリカ留学からの帰国後、神経内科医として勤めた病院での出来事だった。 「上司から患者さんの終末期医療を頼まれました。ある難病で、経鼻栄養チューブをつけた、数年間寝たきりの患者さんでした。あとは死を待つだけ…のはずだったんですが、最初にお会いした時、終末期ではないような気がして。勘なんですけど。 念のためいろいろ調べてみたら、外科領域の珍しい病気にかかっていることが分かり、すぐに手術しました。そして翌日、病室へ行ってみると、なんと身体を起こしてバナナを食べていたんです。驚きました。だって1年以上、経鼻チューブで栄養を取っていたんですよ。数ヵ月後には歩けるようになり、社会復帰していきました。つまり患者さんは、難病ではなかったわけです。 僕が尊敬するこの上司は日本を代表するその難病の権威ですが、権威が陥るスーパースペシャリストバイアス、すなわち自分の専門領域の病気である確率を知らず知らずのうちに高めてしまう心理規制に陥ったのだと思います。 それまで僕は、誤診は未熟な人が犯すものだと思っていました。でもそうじゃない。権威あるすごい医師でも誤診する。僕はそこに、日本の医療における未開拓の部分があるんじゃないかと感じました。 それで、診断を研究しようと。特に外来には、まだ診断がついてない人がいっぱい来るので、ここで診断できるようになろうと外来診断学を始めました。診る人が診れば助かるという命があるのなら、そこを学問にして、トレーニングして、広められるなら広めたいと思いました。専門に特化すると、権威ある先生でも誤診してしまう。だから狭い領域に特化せず、総合的に診られる総合診療を選んだというわけです」』、「権威が陥るスーパースペシャリストバイアス」、「権威あるすごい医師でも誤診する。僕はそこに、日本の医療における未開拓の部分があるんじゃないかと感じました。 それで、診断を研究しようと。特に外来には、まだ診断がついてない人がいっぱい来るので、ここで診断できるようになろうと外来診断学を始めました」、これだけ強い動機で「外来診断学を始めました」、とは本物だ。
・『毎日ジャンボジェット1機分 誤診死をゼロに近づけたい  2013年、総合診療科はようやく、厚労省から19番目の新しい基本診療科として認められ、2017年より専門医の育成が始まった。ただしそれは「患者のため」と喧伝されつつも、高齢化や超高額な薬の登場によって膨らみ続ける医療費を抑制する手段としての側面が強い、といわれている。総合診療科をつくり、1人の医師がいろいろな病気をまとめて診れば、各科を回ることで発生する初診料や再診料を節約できるという発想だ。 それはともかくとして、生坂先生率いる千葉大学医学部付属病院総合診療科は、「どこに行っても診断がつかない、臓器横断的な見方でないと診断がつかないような、隙間に落ち込んでいる病気、あるいは複合的な原因が合わさり、診断がつきにくい病気を診る、医療の駆け込み寺的な診断科」として、自費診療のセカンドオピニオン外来の形で稼働。紹介状を持つ全国の患者を受け入れている。 当初は保険診療で受け入れていたが、あまりにも患者が殺到するのと、1人の患者に対して3~4人の医師が問診し、十分な時間をかけて行う診断体制を維持するにはお金がかかり、患者が増えるほど病院が赤字になる事態を改善するためだ(近隣から訪れる急性疾患の患者は引き続き保険診療で受け入れている)。 「当科が診ているのは数年間、短くても数ヵ月、いろんな症状があって、どこに行っても分からない、という患者さんです。痛み、しびれ、めまい、ありとあらゆる症状を抱えた患者さんがたくさんいらっしゃいます。そこを丸ごと診る。 時折、“丸ごと診る”ことを、安易に、おおざっぱに診ると勘違いされている節がありますが、私は、それは許容しない。丸ごととは、社会的ストレス、メンタルの影響、身体的な異常等々複合的な要素を合わせて診るということであり、我々はそのなかで何割がバイオか心理かなど切り分けて、正確に整理しています。これがものすごく大変です。 それぞれ何割か割合を決めて、中心的な症状に対して最も大きな原因となっているものに対して、まず介入する。複数の要素をいっぺんに改善するのは難しいからです」 一般的に「自分を苦しめている病気は1種類」という認識がありがちだが、実は高齢になればなるほど複数の臓器が衰え、病気になっていることが多いし、若者の場合はストレス社会の中で、心理的、社会的要因で症状が形成されていることが普通にある。そういう意味でも、総合的に診る総合診療科的視点は、今後ますます必要になるだろう。 「一方、診断推論は、正しい診断ができるよう筋道を立てて考えるトレーニングを行う学問です。ある症例について、『こういうふうに考えた』とプレゼンで頭の中をさらしてもらい、それに対して『そこはおかしいよね』『ここでボタンの掛け違いが起こっているよね』など修正しながら、正しい診断ができるようにトレーニングを重ねる。要するに、名医を名医で終わらせず、名医の頭の中を共有するために必要な学問が診断推論学です」 例えば若き日の生坂先生が、「難病の誤診」を見抜けたのも、振り返ってみると「勘ではなかった」と言う。 「普通、その難病は舌が萎縮して食べられなくなるはずなのに、その患者さんの舌は正常だった。それで、権威である上司に、『舌が萎縮していないのはおかしい』と食い下がったのですが、『舌に萎縮がない患者もいる』と諭されました。確かにその通りなのですが、めったに起こらないことを目の当たりにした時は、尊敬する権威をも疑う目が必要です。 実際、この症例を発表して以降、『それらの患者さんも別の病気であった可能性がある』という報告が相次いでいます。診察時の“違和感”を大切にし、その理由を自問自答する習慣が必要なんです。 今は『誤診学』という学問が世界的にも注目され、米国には誤診学会もできています。 アメリカでは、心臓病、がんに続いて、3番目に多い死因が医療事故というデータがあります。このうち、誤診だけに限っても毎日ジャンボジェットが1機墜落したくらいの数が亡くなっている。日本医療機能評価機構によると、2018年のわが国の医療事故による死亡者は年間293人と報告されていますが、米国との比較では何百分の1です。日本の医療界の誤診率がそれほど低いとは考えられません」 誤診に対するNo blame文化(※)が醸成されていない日本では、隠された誤診が膨大な数に上るのではないかと、生坂先生は危惧している。 「ゼロは無理にしても、なんとかして誤診を減らしたいと努力しています。運がいいことに、この仕事自体は、やり甲斐と楽しさが前年度比5%増しでアップしています。知的好奇心が満たされますし、患者さんが涙を流して喜んでくださる。この仕事を選べてよかったです」 (※)No blame文化 非難することのない文化。 医療人が自らの過ちを告白し、過ちから学び、再発防止へ生かしていくためには、医療過誤に関してお互いに非難することのない(blame-free)文化の発展、即ち安全文化の醸成が不可欠であるとする考え方』、「自費診療のセカンドオピニオン外来の形で稼働」、というのは当面、やむを得ないようだ。「誤診に対するNo blame文化が醸成されていない日本では、隠された誤診が膨大な数に上るのではないかと、生坂先生は危惧している」、というのも大いに考えさせられる。

第三に、7月17日付けNHKクローズアップ現代+「社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4309/
・『うつ病患者が100万人を超える日本。最大の課題は、抗うつ薬が効かず再発を繰り返す患者の急増だ。こうしたなか、ことし6月から再発を防ぐための新たな治療法が保険診療に加わった。うつ病で低下した脳の働きを改善する治療法「TMS:経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激」だ。アメリカでは抗うつ薬が効かない患者の3割~4割に改善効果が認められ、日本でも社会復帰を後押しする治療法として注目されている。さらに、うつ病の復職や再就職を支援する新たな取り組みも去年からスタート。うつ病患者の“医療”と“雇用”の最新状況に迫る』、興味深そうだ。
・『うつ病100万人時代 注目される新治療法  今、注目されている最新のうつ病治療法。長年うつ病に苦しんできた男性がこの治療を受けたところ、1か月ほどで症状が改善。 「うつがよくなってきたことでマイナスがプラスになった。」 全国で患者が100万人以上と深刻化している、うつ病。今年(2019年)6月から、抗うつ薬などに加え、新たな治療法が保険診療で受けられるようになりました。うつ病で低下した脳の働きを改善する、経頭蓋磁気刺激(けいとうがいじきしげき)=「TMS」と呼ばれる治療法です。 実際にこのTMS治療によってうつ病が改善し、会社に復職するケースも出てきています。 TMS治療を受けた患者:「元の自分に戻ってこれたなと。私なりにできることを力を発揮して会社に貢献していきたいなと。」 武田:今夜は、うつ病の新しい治療法、そして復職や再就職を支援する新たな制度など、うつ病からの社会復帰に向けた最新情報をお伝えします』、「うつ病の新しい治療法」とは一筋の光明だ。
・『笑顔が戻った!?うつ病新治療法  高山:これが、うつ病を治すことができるという最新の治療装置です。 治療を詳しく見るために用意したのが、こちらの人形。磁気刺激に反応して脳が光る仕組みになっています。 東京慈恵会医科大学 准教授の鬼頭伸輔さん。うつ病TMS治療の第一人者です。 東京慈恵会医科大学 准教授 鬼頭伸輔さん:「治療を始めます。」 高山:けっこう、音がしますね。どの辺りを刺激するのでしょうか? 鬼頭准教授:「いま刺激をしている場所は、うつ病で機能が下がると言われている、背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)を刺激しています。」 うつ病では、思考や意欲を司る「背外側前頭前野」の働きが低下していることが知られています。 TMS治療を行った後の脳波の変化を見ると、背外側前頭前野の活動量が増加。つまり働きが改善することが分かったのです。 アメリカの調査では、抗うつ薬が効かない患者のうち、3割から4割にほぼ症状が見られなくなる効果が認められています。 鬼頭准教授:「抗うつ薬を使っても約3分の1の患者さんは、うつ病がよくならないことが報告されています。」 高山:けっこうな割合で(薬が)効いていないということなんですね? 鬼頭准教授:「抗うつ薬が効かないような患者さんに対して、治療効果が期待できる治療じゃないかと。」 実際にTMS治療はどのようにうつ病を改善させるのか。今回、密着取材に協力してくれたのは、長年うつ病に苦しむ、鈴木さん(仮名)。IT企業でシステムエンジニアとして活躍していました。 こちらは、入社間もない頃のバイクツーリングの様子。当時は、仕事もプライベートも充実していたといいます。 ところが10年前、月100時間を超える残業が連続。過労により、うつ病を発症したのです。 鈴木さん「不安感とか焦燥感で頭がいっぱいいっぱいになっている感じ。けっこうな頻度で遅刻したり休んだり、そんなことの繰り返しです。」 更に、外出する意欲もなくなり、食事の味さえも感じられなくなったといいます。その後、会社を休職し、薬での治療を続けますが、回復には至らず、4年前やむなく退職。今回、主治医の勧めでTMS治療に臨むことになりました。 鈴木さん「薬を飲んでも、ある程度はよくなっても、それ以上はよくならないっていうのがあったので、何でもいいから、それ(TMS治療)でよくなればという感じ。」 鈴木さんがTMS治療を受けるのは、東京の慶應義塾大学病院。5月下旬、治療が始まりました。 慶應義塾大学医学部 特任講師 野田賀大さん「きょうは初めての治療ですね。よろしくお願いいたします。」 担当するのは、医学部特任講師の野田賀大さん。去年(2018年)からTMSを用いたうつ病治療の臨床研究を行っています。顔がピクピク動くのは、磁気刺激が顔の筋肉に影響するためです。違和感は生じますが、健康には問題ないといいます。 ※臨床研究用の治療装置を使用しています 1回の治療時間は10分から40分ほど。これを週5回。6週間の計30回行います。 野田特任講師「終了です。お疲れさまでした。頭痛とか大丈夫ですかね?」 鈴木さん「ちょっと引きつるような、ビリッと痛みが、ちょっとですけれど。」 取材班「頭の状態というか気分の変化は?」 鈴木さん「正直この1回だけでは、変わりないのかなと思います。」 6月中旬、治療が始まって3週間後。 野田特任講師「調子のほうはいかがですか?」 鈴木さん「この2〜3日は、元気とまではいかないですけれど、多少気持ちよくなったという気はします。」 うつ病の症状がよくなったという鈴木さん。どんな変化があったのでしょうか? 鈴木さん「きのう久しぶりに食事をして、おいしいなっていうのがありました。ここの11階のレストランのビーフストロガノフを食べたんですよ。(TMS治療を)15回で半分ですよね。効果が出ているのかなという気がします。」 野田特任講師「食事の味が感じられるとか、おいしく感じることは、うつ症状が改善してきたことだと考えられます。」 でも、どのようにして「おいしい」という喜びの感情が戻ったのでしょうか?最新の研究から、うつ病では、TMSで刺激し改善を狙う背外側前頭前野とは別に、「扁桃体(へんとうたい)」という部位が関係していることが分かっています。扁桃体は喜びや不安など感情を司る場所。うつ病では、この扁桃体が過剰に活動して、不安を感じやすくなっています。 TMSによって背外側前頭前野が活性化すると、本来持っていた扁桃体の活動を抑制する力が回復。そのため、喜びを感じる力が戻ってくると考えられているんです。 野田特任講師「TMS治療は、うつ病で機能が低下している脳部位に直接刺激を与えることによって、ダイレクトに効果を引き出す治療法となります。」 6月下旬、治療が終わりに近づいた鈴木さん。この日訪ねたのは、バイクショップです。 うつ病になって以来、10年以上もの間、遠ざかっていた趣味のオートバイ。TMS治療によって、「再開したい」という意欲が次第に湧いてきたといいます。 鈴木さん:「やっぱり写真とかで見るのと違いますね。実際に見てみると。購買意欲がそそられます。ちょっとお値段が厳しいですけれど、まずはとりあえずアルバイトでも何でも、働かないとなというところです。」』、「TMSによって背外側前頭前野が活性化すると、本来持っていた扁桃体の活動を抑制する力が回復。そのため、喜びを感じる力が戻ってくると考えられている」、というのには驚かされた。
・『うつ病100万人時代 注目される新治療法  ゲスト 高木美保さん(タレント) ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授) 武田:うつ病に苦しむ人は100万人以上と言われます。患者さんの悩みには、「薬を飲んでもなかなか効かなくてよくならない」「再発を繰り返して復職など社会復帰が難しい」といった現実があります。 高山:厚生労働省が大企業を対象にした調査では、せっかく職場に復帰しても1年後にはおよそ3割、そして5年後にはおよそ5割の人が、また休職という状況になっているんです。 こうした現実の中で今、注目されている新たな治療が、今夜ご紹介しているTMSによる治療なんです。 武田:かつて、パニック障害に伴う重いうつ症状を経験された、高木さん。こういった新しい治療法をどういうふうにご覧になりますか? 高木さん:私は7年間苦しんだので、薬を継続して飲むことが依存につながるんじゃないかというのが一番怖くて、薬に頼りながら離脱するっていうことをいつも考えていましたから、同じことで悩んでいる方は多いので、これはもしかすると朗報になるかなという気はしますね。 武田:病気そのもののプレッシャーももちろんあると思いますし、薬を飲み続けなきゃいけない、治療法はこれでいいんだろうかという悩みもあるんですね。 高木さん:そうです。それも不安につながっちゃうんですね。 武田:この新治療法が一つの選択肢になる可能性があるということなんですね。 それにしても、脳を直接刺激するわけですよね。怖かったりするんじゃないかと思うんですけれども…。 高山:今回特別に、医師の監修のもと、私も磁気による刺激を受けてみたんですけれども、最初はちょっとピリピリとした強い痛みも感じるんですけれど、1分ぐらいすると、頭皮をマッサージされているような心地よさも感じます。ただ、半日ぐらいは筋肉痛に近い違和感も…。 武田:顔が? 高山:顔がちょっとピクピクピクッと、半日ぐらいしていました。先生に聞いてみると、後遺障害というのは確認されていなくて、副作用も少ないことが報告されています。アメリカの研究では、神経に影響を与えて、けいれんにつながるというケースも報告されているんですけれど、その確率は0.1%。これは、ほかのうつ病の治療方法に比べると圧倒的に低い確率なんだそうです。 武田:宮田さんは医療政策がご専門ですけれども、こうした新しい選択肢が増えることをどういうふうに捉えていらっしゃいますか? 宮田さん:うつ病の主な治療アプローチというのは、先ほどおっしゃられた薬物療法だったり、あるいは認知行動療法だったりするんですが、ここに新しく選択肢が加わる、これは患者さんにとって有益だと思います。ただ、過剰な期待というのはやはり禁物で、今回、通常の薬物療法で効果が得られない難治性の患者さんを対象にしたということですし、その中で約4割の方に効果があると、これは精神医学としては非常に画期的なことであるんですが、課題があるということもやはり注意が必要だと思います。 高山:確かに課題があるんですね。2008年から世界に先駆けてTMSの治療が行われているアメリカを取材しました』、薬物療法でも、「せっかく職場に復帰しても1年後にはおよそ3割、そして5年後にはおよそ5割の人が、また休職という状況になっている」、との再発率の予想外の高さには驚かされた。
・『うつ病新治療法 課題は?  取材班が訪ねたのは、アメリカ・シアトル。精神科医のダナーさん。10年前から、世界に先駆けてTMS治療を行ってきました。 うつ病・不安障害治療センター病院 デビッド・ダナー医師:「日本でもTMS治療が始まると聞き、大変うれしいです。」 この日クリニックに来ていたのは、現在うつ病に悩む、アンナさんです。 アンナさんは3年前、TMS治療を受け、うつ病が改善。大好きだった出産を補助する仕事に戻れるまでに回復していました。ところが、去年の夏からうつ症状がぶり返し、仕事も再び休まざるを得なくなりました。 ダナー医師「うつ病から回復して安定していたのは、どれくらいでしたか?」 アンナさん「2年くらいです。」 ダナー医師「そして、再発したんですね?」 アンナさん「はい。徐々にぶり返してきたんです。」 実は、ダナー医師によると、TMS治療後の再発は少なくないといいます。 ダナー医師「多くの場合、TMS治療を受けた患者はもう大丈夫だと考えています。しかし精神科の治療には、100%の方法はありません。」 再発率はどれくらいなのか。7年前、ダナーさんは、TMS治療を受けた患者を1年間追跡する調査を行いました。その結果、120人のうち、およそ4割が、治療後1年の間にうつ病を再発していたことが判明したのです。 ダナー医師「重度のうつ病患者にとって、TMSはとても効果があります。しかし全ての人に治療効果が長く続くとは限りません。うつ病が回復しても、経過を見守ることが大切なのです。」 うつ病が再発したアンナさん、再びTMS治療を受けることになりました。治療が始まって2か月ほど。ほぼ発症前の体調に回復したといいます。 アンナさん「症状がよくなってきて、希望が見えてきました。ふつうの生活に戻れるのが、とてもうれしいです。」 高山:ダナー先生もおっしゃっていましたが、TMSの治療は100%ではない。なので、継続して通院すること、あるいは処方されている薬をしっかりと継続して飲むことも望ましいというふうにおっしゃっていました。 武田:このTMS治療ですが、全てのうつ病が保険適用になっているわけではないんですよね。 高山:実は限られているんです。保険診療が適用されるのは、こちらの「難治性うつ病」。抗うつ薬でも治ることが困難である人。ですから、軽症のうつ病、それからほかの病気に伴ううつ症状は保険の適用にはなりません。そして、保険診療を行うことができる病院も限定されています。精神科の救急対応が可能なことなど、厳しい条件をクリアした病院だけです。 全額自己負担の自由診療だと自己責任にもなります。ですから、保険診療を希望される方は、事前に病院にしっかりと相談をされることをお勧めしたいと思います。 武田:宮田さん、限定的に保険が適用されているのは、どういうわけなんでしょうか? 宮田さん:今回の制度は、治療を一気に広げていくというものより、まずは世に届けようという、この第一歩です。やはり安全性が確保できる限られた施設で、治療の限界も含めて、理解納得していただける患者さん、こういった方々に治療を届けて、この中で治療を評価していこうというところですね。やはり新しい治療というのを導入する場合には、その効果だけではなくて、技術だけではなくて、どのように作用して、安全面にどういった配慮が必要か、こういった理解が必要になりますので、こういう形でデータを収集して、これから先、もっと広げていくべき治療なのか、あるいは限定的な選択肢にとどめるのか、こういった評価が必要になると考えられます』、保険の適用は、確かに当初は限定的に進めるべきだろう。
・『ゲスト 石井光太さん(作家) 武田:石井さんは、これまで多くの生きにくさを抱えた人たちを取材してこられましたけれども、こういった新しい治療法の登場をどういうふうにご覧になりましたか? 石井さん:僕は、治療法が登場するということ自体はすばらしいことだと思います。ただ、僕が今まで見てきたうつ病の方というのはいろんな方がいるんですけどれも、僕の中でかなり多いなというふうに思ったのが、いろんな問題を抱えている人、例えば家庭の問題だとか、あるいは仕事の問題だとか、あるいは地域の問題、友人の問題、そういったような問題を抱えているからこそ、うつ病の症状が出る。病院では、うつ病の症状を薬だとか、電気だとか、そういったもので治す…。それはそれでいいと思うんですけれども、ただ、この問題の根本にある、その本人を取り巻くいろんな環境だとか、そういったものが変わっていないと、なかなか、社会に1回戻ってきても、また同じような難しい生きにくさというのを抱えてしまう。だから、医療で治すことと、あと私生活で治していくことっていうのは、また違うものがあるんではないのかなというふうに思いますけれどね。 武田:TMS治療は万能ではないということですが、高木さんは回復まで7年間かかった。やっぱり時間がかかる、医療だけでもなかなかうまくいかないということなんですか? 高木さん:そうですね。今おっしゃったみたいに、原因は環境と本人のものの考え方の両方があると思うんです。私は「あなたは真面目過ぎます」とか「努力し過ぎます」ってよく言われるんだけれど、真面目と努力って、幼稚園の頃からすごく褒められてきたことなので、それを否定されると、ちょっと居所がなくなってしまったところもあるんですね。だから、もしかすると日本の組織の中に、そういう人に仕事の量がどんと行ってしまったり、責任がその人のところにどんとかぶってしまったりしてちょっと偏りがあるのかもしれない。むしろ本人の資質を注意するよりも、周りのそういった環境を直してほしいなって思ったこともあります。 あとクオリティ・オブ・ライフ(人生・生活の質)ってありますけれども、もちろんこれからまだまだ研究の余地はあるとしても、本当に僅かな時間であっても、うつの絶望的な状態から解放されるっていうのは、ものすごいクオリティ・オブ・ライフが上がるんですよ。全く考え方も違うので。それをやっぱり大事にしながらも、より改善をしていってほしいなと思いますね。 武田:医療だけではなくて、社会的なサポートも必要なんですね。 高山:ですから、置かれている環境、それから自分自身を見つめ直せる、こんな福祉サービスが今注目を集めています』、うつ病「問題の根本にある、その本人を取り巻くいろんな環境だとか、そういったものが変わっていないと、なかなか、社会に1回戻ってきても、また同じような難しい生きにくさというのを抱えてしまう。だから、医療で治すことと、あと私生活で治していくことっていうのは、また違うものがあるんではないのかなというふうに思いますけれどね」、というのはその通りだろう。
・『うつ病からの社会復帰 大切なのは?  全国に3,000か所以上あります、就労移行支援事業所です。 首都圏ですと、こんなふうに駅前にスペースが設けられているんですが、うつ病や障害のある人が一般企業に就職できるよう、国がバックアップをする形で開設されています。同じような悩みを持つ人たちが経験を共有したり、仕事に関する知識、それからコミュニケーションスキルを学ぶことができるんです。 武田:これは仕事に就くまでのサポートということですよね。その後も問題だと思うんですけれども。 高山:就労移行の支援だけでなくて、実は仕事に就いた後、長く支えていく取り組み、定着支援も去年から始まっています。 都内の福祉関連の会社です。 うつ病に悩む田中さん。就労移行支援事業所での就職活動を経て、一昨年(2017年)から、この会社に勤めています。 職場には慣れましたが、相談しにくい悩みを抱えることが少なくないといいます。 田中さん「何か問題が起きると自信をなくして、いままで一生懸命やっていた、積み重ねたことが崩れてしまうことがあるんです。」 今、田中さんが利用しているのは、去年から始まった就労定着支援という福祉サービス。こちらは、田中さんと契約した事業所から派遣された、社会福祉士の木之瀬さんです。 この日は、職場の上司も同席する、月に1度の面談。周りが気づきにくい悩みを共有し、改善していくのが目的です。 就労定着支援員(社会福祉士) 木之瀬友紀さん「実際に体の変化とかありました?寝られないとか?」 田中さん「寝られないことはなかったんですけれど、もやもやの原因が常に頭に残っている感じで。」 上司「分からない中でやる仕事っていうのは不安がいっぱいだよね。」 木之瀬さん「でも言ったほうがいいと思いますけれどね。」 田中さん「そうですね。すごく心に響きます。」 新たに始まった、この就労定着支援制度。うつ症状の悪化をとどめ、休職や退職を防ぐことができると期待されています。 田中さん「どんなときに傷ついたとか、こういったときは人とどう接したらいいのか、配慮していただけるようになったので、とても働きやすくなってきています。」 高山:ご紹介した定着支援は、就職してから3年間利用することができます。 武田:高木さんは、ひと言で言うのは難しいと思うんですけれど、どういうふうにして回復まで来られたのですか? 高木さん:私はある日バラエティー番組に出て、その中で思いっきり笑えた時に、私はちょっと戻ってきたなっていう実感を得たんですね。やっぱり職場が原因で発症したうつであれば、職場で取り戻せるのが一番自信につながるっていうことはあると思うんですよ。私、カミングアウトしたんですけれども、それは、黙っていても周りの人はうすうす気が付くんです。この人ちょっと変だなっていうのが。お互い遠慮して溝が出来るよりは、カミングアウトしてしまって、理解してもらう。遠慮しなくていいですと。穏やかな踏み込みっていうのが作れたらいいなと思って…。マイナスはなかったです。 武田:今はこうやってお仕事もされているわけですけれども、その後はどうなんですか?今のVTRのように、継続してサポートが必要な人もいるわけですけれど。 高木さん:私は、例えば調子が悪くなったなと思ったら、さっさとカウンセラーさんに、お友達になっていますから、その方に相談してみたりとか、あと薬も、内科の先生でもちょっと最近不安定ですよって言ったら、安定剤が出たりとかしますから、早め早めに甘えちゃいます。 武田:甘えちゃう。 高木さん:甘えちゃいます。 武田:真面目な高木さんが。 高木さん:真面目な私が、甘える高木さんに。 武田:必ずしも一生懸命頑張るわけじゃないということなんですね。 高木さん:前向き病だったので、自分で思うところが。後ろ向きに生きてみようかなと、ちょっと切り替えた瞬間はありました。 武田:生き方そのものの発想を変えるということなんですね。 石井さんはどういうふうにお聞きになりますか? 石井さん:今、高木さんがおっしゃったのは、やっぱり本人がいかに頑張るかということだったと思うんです。やはり本人が抱えている問題がたくさん、例えば家庭だとか仕事とかいろんなものがある。そういった中で、病院だけに任せる、本人だけに任せるということではなくて、その周りにいる人たちが、例えば職場をどうやって変えていこうか、家庭をどうやって変えていこうか、友人関係をどうやって変えていこうか、そういうふうに考えていかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思うんですね。高木さんが分かってもらう、理解してもらうというような形でおっしゃっていましたけれども、それをなかなか言えない人たちというのはたくさんいるわけですよね。その時に、じゃあ周りの人たちがそのことをどういうふうに考えて、どうやってその方のことを理解していくのか。そういった相手の立場に立って、一生懸命理解していく。そういった姿勢が、最終的にはその人を支えることになっていくし、そして何か一緒になって、社会の中で頑張る。あるいはもう頑張らなくていいんだよと言ってあげる。そういった積み重ねが必要なんじゃないのかなというふうに思っています。 武田:今日はこうやって最新の治療法とか、サポートの仕組みをご紹介しているんですけれど、こういう情報をお伝えすればするほど、逆に患者さんは「回復しなきゃ」ってプレッシャーになってしまうんじゃないかという心配も、一方で我々は持っているんですよ。 宮田さん:そのとおりですね。国とか医療者から考えると、社会復帰とか、病気治癒とか、共通の物差しで考えがちなんですが、時にそういった復職という目標は重荷になってしまうんですよね。ここで今、異なるアプローチというのが非常に必要とされてきていると。これは病気の向き合い方、一人一人異なりますと。そうしたら、そのご本人の価値観の中で生き方をいかに支えていくのか。ある人は病気があっても、週に1日か2日、絵を描くこと、これが生きがいかもしれないし、あるいは病気に苦しむ症状を緩和して、自分1人で自立して生きる、これも目標になるかもしれません。生き方の基準も、例えば食べることが楽しいということだったり、あるいはよく眠れる。夢を持てるとか、自分らしく生きられるとか、一人一人やはり基準も違いますし、その過程でも上がったり下がったりしていいんです。こういった中で、これまでの医療は病気にならない、病気を治す、これだけだったんですが、これからは、病気があってもそのことが人生の妨げにならないということだったり、あるいは自分らしい生き方が自然に健康につながる。こういった中でお互い支え合うことが重要なのかなと思います。 武田:回復のしかたも自分なりでいいということですね。 高木さん:そうですね。怠けるということが、その人の誠実さがなくなるということではないと思うんです。 武田:自分のペースで焦らずに、前に進まなくてもいい、後ろ向きでもいいということですね』、「就労移行支援事業所」の取り組みだけでなく、周囲の「人たちが、例えば職場をどうやって変えていこうか、家庭をどうやって変えていこうか、友人関係をどうやって変えていこうか、そういうふうに考えていかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思うんですね」、というのはその通りだろうが、現実にはなかなか難しい課題のようだ。
タグ:うつ病患者が100万人を超える日本 「社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療」 NHKクローズアップ現代+ 誤診に対するNo blame文化(※)が醸成されていない日本では、隠された誤診が膨大な数に上るのではないかと、生坂先生は危惧している 『誤診学』という学問が世界的にも注目され、米国には誤診学会もできています 実は高齢になればなるほど複数の臓器が衰え、病気になっていることが多いし、若者の場合はストレス社会の中で、心理的、社会的要因で症状が形成されていることが普通にある 毎日ジャンボジェット1機分 誤診死をゼロに近づけたい 専門に特化すると、権威ある先生でも誤診してしまう。だから狭い領域に特化せず、総合的に診られる総合診療を選んだ 権威が陥るスーパースペシャリストバイアス その3.末期のはずの患者がV字回復 主治医はようやく薬を中止したものの、僕には会おうとしませんでした。『カルテも見せるな』と厳命されたそうです スティーブンス・ジョンソン症候群 その2.スルーされた母親の薬害 その1.アメリカでようやく判明した本当の病名 3つの「誤診」に導かれ総合診療医になる 帯状疱疹 医者を目指す人は論理的に考える力は蓄えていますが、加えて、想像力とか共感力、患者さんになり切る力…立場に立つんじゃなくてね、これがないと良い医者にはなれないと思いますね 「総合診療医ドクターG」(NHK) 名医になるならしたほうがいいいろいろな病気経験 「「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由」 AIに置き換わるとしたら、たぶん総合診療科の領域は、最後の方だと思いますね ほとんどの病気は、検査をやっても原因は分からないし、診察をいくら詳しくやっても分からない。 心理的、社会的なもの、あるいは初期で、まだ十分に検査に出るような臓器障害がないものであるからです。 これはもう問診でしか分からないので、私どもは問診に時間をかけます 「7~8割が問診、2割ぐらいが診察で、検査で診断がつくのは1割ぐらい 病気の7割は問診でしか分からない 「良性」なのに治らないめまい それらはバラバラに見ると、全部大したことない。メンタルの不調も、社会的なストレスも、腰のヘルニアも。でも全部が合わさると激痛になる。 だから内科や精神科医、整形外科医が別々に診察しても、腰痛の原因は突き止められないことがある。総合的視点で診て初めて分かるのです 身体的な要因だけでなく、心理的、社会的要因が複合的に組み合わさって1つの症状ができている MRIとかを撮ると異常はあるんですね。ヘルニアとか脊柱管狭窄とか。でも、それだけでは特定の動作に伴う痛みは説明できても、「動作と関係なく痛い」とか「痛み止めが全く効かない」といった、患者さんが抱えている痛みの全部は説明できない。 「大したことない」が組み合わさった謎の腰痛 この手の思い込みは、ベテラン医師ほど気をつける必要がある 胸痛がなくて間欠的に、何かしら負担がかかる状況で出てくるへそから上の症状は、まず心臓病を考えます 「腕が緑色になる」は重篤な疾患の関連痛だった 千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師 「「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか」 ダイヤモンド・オンライン 木原洋美 (その20)(「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか、「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由、社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療) 医療問題 その周りにいる人たちが、例えば職場をどうやって変えていこうか、家庭をどうやって変えていこうか、友人関係をどうやって変えていこうか、そういうふうに考えていかなきゃいけないんじゃないのかな 就労移行支援事業所 うつ病からの社会復帰 大切なのは? 医療で治すことと、あと私生活で治していくことっていうのは、また違うものがあるんではないのかな いろんな問題を抱えている人、例えば家庭の問題だとか、あるいは仕事の問題だとか、あるいは地域の問題、友人の問題、そういったような問題を抱えているからこそ、うつ病の症状が出る 保険診療が適用されるのは、こちらの「難治性うつ病」 再発率はどれくらいなのか。7年前、ダナーさんは、TMS治療を受けた患者を1年間追跡する調査を行いました。その結果、120人のうち、およそ4割が、治療後1年の間にうつ病を再発していたことが判明 うつ病新治療法 課題は? せっかく職場に復帰しても1年後にはおよそ3割、そして5年後にはおよそ5割の人が、また休職という状況になっている TMSによって背外側前頭前野が活性化すると、本来持っていた扁桃体の活動を抑制する力が回復。そのため、喜びを感じる力が戻ってくると考えられている アメリカの調査では、抗うつ薬が効かない患者のうち、3割から4割にほぼ症状が見られなくなる効果が認められています TMS:経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激
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