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東京電力問題(その3)(スマートメーターの発火事故が続発する「根深い事情」、東電の小売り事業会社社長が事実上「更迭」された裏事情、東電 再エネ事業分社化の裏に筆頭株主「お上」の意向、東京電力はなぜ 賠償金を「払い渋る」のか 突然の賠償金返還請求 膨大な資料要求も) [国内政治]

東京電力問題については、2017年5月27日に取上げたままだった。2年以上経った今日は、(その3)(スマートメーターの発火事故が続発する「根深い事情」、東電の小売り事業会社社長が事実上「更迭」された裏事情、東電 再エネ事業分社化の裏に筆頭株主「お上」の意向、東京電力はなぜ 賠償金を「払い渋る」のか 突然の賠償金返還請求 膨大な資料要求も)である。

先ずは、ジャーナリストの岡田幹治氏が本年3月12日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「スマートメーターの発火事故が続発する「根深い事情」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/196561
・『全国で切り替えが進められている次世代型の検針器「スマートメーター」の発火事故が続いている。 発火のほか異常音や照明がちらつくなどのトラブルも、東京電力と中部電力の管内で確認されている。 メーターに想定以上の電気が流れて発熱するためだが、原因のほとんどは製品の不良と施工ミスだ』、我が家も「スマートメーター」に切り替わったが、「発火事故」とは穏やかではない。
・『東電管内、27件の発火事故 異常音や照明のちらつきも  昨年11月30日午後2時ごろ、ランチタイムが終わりに近づき、客もまばらになっていた茨城県つくば市の飲食店に、アスファルトの舗装工事のような油っぽいニオイが漂った。 不審に思った店のマネジャーが外に出てみると、外壁に取り付けてあったスマートメーターから青白い炎が出ていた。あわてて備え付けの粉末消火器で消し止めたが、外壁が焼け焦げた。 店の電気が使えず、営業ができなくなったため、客には頭を下げて帰ってもらったという。 事故直後、マネジャーは「本当にびっくりした。気が付くのが遅かったら建物に燃え移っていた」「営業補償をもらいたいぐらい」などと話していたという。 「東京電力パワーグリッド」(東電の会社分割で2016年4月に発足した配送電会社=東電PG)は12月1日、自社のサイトでこの火災を公表し、6日には「原因は施工不良の可能性が高い」と発表している。 今年2月末に店を訪れると、マネジャーは「その件はいっさいコメントできない」と話すだけ。しかし痕跡は残っていた。 スマートメーターは真新しくなり、壁板が50センチ四方ほど取り換えられたことが、はっきりわかった。 発火まではいかないが、近所中に聞こえる異常音が出る事故も報道されている。 2017年元日、東京都江戸川区の住宅で、外壁に取り付けてあったスマートメーターから「ピーー」という、ものすごい音が出て鳴りやまず、大騒ぎになった。 当時、住人は留守だったが、向かいに住む夫婦が気づいて東電に電話で知らせ、1時間ほどで駆けつけた作業員がメーターを取り換え、異常音はおさまった。 取り換えにきた作業員が、このまま放っておけば火事になるところだった、と話したという(『東京新聞』昨年11月21日朝刊)。 東電管内だけでも、スマートメーターの発火事故は2016年5月から昨年末までに24件判明しており、今年も2月までに3件発生している(電磁波問題に取り組む市民団体「電磁波問題市民研究会=電磁波研」調べ)。 また東電PGによれば、異常音は約200件起きている。中部電力管内では、発火・異常音・室内の照明のちらつきといった「トラブル」が50件以上確認されている(注1)。 注1 日本に先駆けて切り替えが行われたアメリカやカナダなどでも、火災が多数発生している。米カリフォルニア州では2012年に、スマートメーターを設置した翌日に火災が発生し、1人が死亡する事故も起きている(加藤やすこ『電磁波による健康被害』)』、「つくば市の飲食店」のケースで、「マネジャーは「その件はいっさいコメントできない」と話すだけ」、というのは補償契約に守秘義務がついているためなのかも知れない。「発火事故は2016年5月から昨年末までに24件判明しており、今年も2月までに3件発生」、「異常音は約200件起きている」、というのは気味悪い話だ。
・『想定以上の電気が流れる原因は「製品不良」と「施工ミス」  スマートメーターは、通信機能を持ったデジタル式の電力量計だ。 従来のメーターがアナログ型で、検針員が毎月検針していたのに対し、電気使用量を30分ごとに(中継点を経由して)電力会社へ送信できる。 政府が閣議決定した「エネルギー基本計画」で「2020年代早期に全所帯・全事業所に導入する」と定めている。 電力会社最大手の東電管内では、すでに約1900万台を交換し、20年度中に全世帯2900万台の交換を終える計画だ。 そのスマートメーターで発火や異常音が起きるのはなぜなのか。 東電PGの説明によれば、メーター内に想定以上の電気が流れて発熱するためで、その原因は2つある。 1つは、東光東芝メーターシステムズ(埼玉県蓮田市)製のメーターの一部、約9万台に欠陥があったことだ。 設置した世帯にはダイレクトメールで連絡し、年末までに正常なメーターに取り換えるという(注2)。 もう1つの原因は、スマートメーターを取り付けた際の施工ミスだ。 スマートメーターでは電線が何本もネジで留められているが、その締め付けが弱かった場合などである。 再発防止対策として東電PGは、設置工事を発注した会社に注意を喚起し、約600人の作業員に研修を実施した。さらに、設置済みメーターから5200台を抽出してネジの締め付け具合をチェックし、全体の状況を把握するという。 だが、施行工事を一時停止し、全数を調べるといった大掛かりな調査をしたわけではなく、発火事故は今後も発生する可能性がある。 スマートメーターが設置された家庭では、できるだけ早く異常に気づけるよう、ニオイや音に常に注意しているくらいしか、対応策はないようだ。 注2 不良製品は、東光東芝メーターシステムズで15年3~12月に製造された型式「S43WS-TA」と16年8~9月に製造された型式「S18WS-TA」。スマートメーターの表面にメーカー名・型式・製造年が表記されているので、自宅のメーターが該当するかどうか確認できる』、「施工ミス」については「発火事故は今後も発生する可能性がある」、というのは困ったことだ。
・『なぜ見過ごされてきたのか 「安全性軽視」や慣れあい?  「不良製品」や「施工ミス」がなぜ見逃されてきたのか。 そこには日本の電力業界に根ざす「構造問題」があるように思われる。 まず「安全性軽視」だ。 東電の場合、2010年度に実証実験を始めたが、福島第一原発の事故で中断し、仕様変更などをして14年4月に切り替えを始めた。20年度末に導入を終えるという10電力会社の中では最短の計画を公表している。 そのために製品の製造と設置作業を急ぎに急いでいる(他社は中部電力の22年度末など、22~24年度)。その過程で安全が二の次にされた疑いがある。 東電管内では16年5月から発火事故が起きていたが、東電PGがそのことを自社のサイト(ホームページ)で発表したのは、最初の発火から2年半後、東京新聞が報道した翌日の昨年11月19日だった。 そのサイトでは、発生したのは「メーター内部の基板部分の発熱による焦げ跡や異音などの不具合」であり、「メーターの各種部品には難燃性の部材を使っているので、建物に被害を与える可能性は極めて低い」と記している。 しかし、つくば市の場合など、真夜中に発生して気づくのが遅れていたら、どうなっていただろうか。 スマートメーターの突然の発火に驚き、水をかけて消火しようとした人もいたが、これは感電の可能性のある危険な行為だ。 「スマートメーターは発火する可能性があること」や「消火には粉末式消化器を使うこと」などを事前に広報しておけば、このような行為は防げたはずだ。 次に指摘できるのは、「ファミリー企業」で仕事を分け合うことによる慣れ合いの体質だ。 東電発注の検針器は、東電幹部が天下りしているメーター製造会社4社が受注してきた 東光東芝メーターシステムズ(東電が35%出資する東光高岳の子会社)・大崎電気工業・三菱電機・GE富士電機メーターの4社だ。 スマートメーターでもこの「慣行」が続けば、コスト高・料金値上げの一因になると、原発事故の後、指摘され、メディアでも「スマートメーター利権」(『週刊ダイヤモンド』12年4月14日号)などと取り上げられた。 このため東電は、予定していた「指名入札」をやめ、「国際入札」にしたが、結果は従来と変わらなかった(網代太郎『スマートメーターの何が問題か』)。 その東光東芝メーターシステムズ製のメーターで、不良製品が9万台も出たのだ。競争もなく身内同士の受発注で、製造工程や品質の管理に甘さがあったと言われても仕方がない』、検針員が不要になるということで、導入を急いだのだろうが、安全性をないがしろにして急いだというのはお粗末だ。
・『情報隠す体質は変わらず 事故の「報告不要」を指示した総務省  安全性の軽視や閉鎖的な体質は、情報の公開が独りよがりで、都合の悪いことは隠す体質につながる。 たとえば、メーターの切り替え工事をする場合、施工業者から各家庭にチラシ1枚の連絡があり、断らない限り実施される。 配布される「取替工事のお知らせ」(チラシ)には、訪問予定日と工事の際の停電の有無が大きく記入されているだけで、何のために、どんなメーターに交換するのか、交換にはどんなリスクがあるのかなどの説明はない。 チラシが配布されたその日のうちに工事が行われ、知らないうちに交換された例や、偽りの説明をして強引に交換した例もあり、事実上の強制とみる人が多い。 ところで、電気製品の発火は、消費者庁などが運営する「事故情報データバンクシステム」に掲載(登録)し、広く消費者に知らせて注意を促すべき事故だ。 消費者安全法は、商品の安全性の問題で消費者が身体に一定程度の被害を受けたり、受ける恐れがあったりする事故の報告を行政機関に義務づけている。 実際、スマートメーターの発火事故は同システムに2017年1月から掲載されてきた。ところが、いつの間にか、東京都内の事故が掲載されなくなった。 原因は、総務省消防庁が18年4月、東京消防庁に「今後、報告しないよう」指示したことだった。 消防庁によれば、スマートメーターは東電PGの所有物であり、消費者が家の中で使う一般的な家電ではない。このような製品の火災は報告しないことに決めており、東京消防庁の運用は間違いだという。 これについて石田真敏総務相は昨年12月7日の会見で「スマートメーターの火災が複数発生している状況を踏まえると、消費者の注意を喚起することも重要だと考えられる。今後、消費者庁とも相談し、スマートメーターも報告対象とすることについて検討していきたい」と述べている。 昨年4月といえば、電磁波研などが、政府の全世帯への設置計画に対して、「スマートメーターの全戸強制をやめさせよう」と、訴え、衆院議員会館で集会を開いた時期だ。 その時期にあえて消防庁が「事故報告不要」の指示を出したことになる』、「事故の「報告不要」を指示した総務省」、というのは余りに政治的で不当な判断だ。国会でも責任を追及すべきだろう。

次に、3月28日付けダイヤモンド・オンライン「東電の小売り事業会社社長が事実上「更迭」された裏事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/198153
・『3月7日、買い物客が行き交う東京都葛飾区の大型ショッピングセンターに東京電力ホールディングス(HD)の小売り事業会社、東電エナジーパートナー(EP)の川崎敏寛社長の姿があった。トップ自らが買い物客に声を掛け、電気・ガスを売り込んでいたのである。 危機感の表れであり、自社の営業部隊を鼓舞する狙いもあったのだろう。川崎社長は今年に入ってから退任のうわさが社内外で広がっていたこともあり、最後のパフォーマンスだったのかもしれない。 東電グループの人事が3月13日に発表された。東電EPは川崎社長が退任し、秋本展秀・常務取締役サービスソリューション事業本部長が4月1日付で新社長に就任する。東電関係者によると、事実上の更迭だ。 2017年4月に就任した東電HDの小早川智明社長は、もともと東電EPの社長。いわゆる“東電守旧派”をぶち抜いて初の営業部門出身者がトップになったこともあり、小早川社長の後任として就任した川崎EP社長は当初、「次期HD社長候補の一人」とまでうわさされていた。 小早川HD社長はなぜ、就任から2年で川崎EP社長を更迭するのか』、確かに不自然な「更迭」だ。
・『自由化後に顧客離脱を食い止められず  最も大きな理由は、16年4月に電力小売りが全面自由化され、顧客離脱を食い止められなかったことにある。 東電は電力小売り全面自由化が始まる前の16年3月末時点で、一般家庭向けの「電灯」分野は約2700万件の顧客基盤を有していた。自由化が始まると、最大のライバルである東京ガスをはじめ、新規参入組に次々と顧客を奪われた。顧客基盤は今や2000万件にまで落ち込んでしまった。 それまで地域独占というぬるま湯に浸かっていた東電EPは、営業力が弱点だった。しかも東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故で、ブランドイメージは大幅に悪化していた。 電力自由化の対抗手段として、日本瓦斯やLIXILグループ、ベンチャー新電力であるパネイルなどと提携。ガスや住宅機器、AIなど電力以外の商材を組み合わせ、付加価値のあるサービスを展開して勝負する方針を打ち出しはした。 しかし、東電EPの営業部隊と提携先と設立した合弁会社のサービスでカニバリが起きるなど迷走。東電関係者によれば、特にLIXILやパネイルとの提携は鳴かず飛ばずで、目標未達の公算が大きいという。 では、業績面の責任だけがトップ交代の理由かといえば、そうではないようだ』、「一般家庭向けの「電灯」分野の顧客基盤」の喪失は確かに顕著だ。
・『筆頭株主である政府の影  積極的にアライアンスを推し進める東電EPの“大方針”は、17年5月に策定された新々総合特別事業計画に基づくもの。この計画には、東電の筆頭株主で政府が50%出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構が大きく関与した。 政府、つまり経済産業省の意向が働いている。政府が筆頭株主になって東電を事実上国有化して以降、東電のお目付役として経産官僚を送り込んできた。 今回の更迭は、小早川HD社長というよりは経産省の思惑が絡んでいると、多くの業界関係者が見ている。 秋本EP新社長は、管理部門が長く「当たり障りない人物」(東電関係者)。「経産省は省の言うことを聞くトップを据えたかったのだろう」と業界関係者は読む。 もっとも、地域独占ビジネスだったため、層が厚い別の部門に比べ営業畑の幹部人材は不足している。営業を主導する人物が見当たらなかったというのもあろう。 営業力増強の戦略を伴わないトップ交代であるなら、それで勝ち抜けるほど電力自由化後の競争は甘くはない』、この段階になっても、「経産省」の介入でEP社長をすげ替えたことで、東電社内の意欲は地に落ちてしまうだろう。

第三に、8月19日付けダイヤモンド・オンライン「東電、再エネ事業分社化の裏に筆頭株主「お上」の意向」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/212057
・『筆頭株主である国が求める「再エネの主力電源化」に沿う  夏の風物詩よろしく、東京電力ホールディングス(HD)が“花火”を打ち上げた。 東電HDは、2020年4月に再生可能エネルギー発電事業を分社化する方針を明らかにした。かねて小早川智明社長は「再エネの主力電源化を推し進め、再エネ事業で2030年度までに1000億円の利益創出を目指す」として、国内外で総規模600万~700万キロワットの再エネを開発する意向を打ち出していた。 分社化はこれを実現するためのものとして、同社は「迅速な意思決定のための責任と権限の明確化」などと狙いを説明している。 もっとも、東電HDが再エネに注力すべく分社化を決めた背景には“お上”の意向が働いているとの見方が、業界関係者の間では根強い。再エネの主力電源化は、政府の第5次エネルギー基本計画に沿ったものである。 なぜ“お上”に忠実に従うかといえば、国が筆頭株主であるからだ。 東電HDは、2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故で、巨額の廃炉、賠償、除染などの費用を負った。 その東電HDを救済すべく、政府出資の原子力損害賠償・廃炉等支援機構(機構)が、東電HDの50%超の株式を取得して筆頭株主になり、東電HDは事実上の国有会社になった。機構は経産官僚を東電HDの取締役に送り込んでいる。 ということもあり、東電HDは政府に頭が上がらず、手足を縛られている状態である。特に政府から“ご指名”を受けて、2017年6月から就任した小早川社長は、「何でもいいから新しいことを打ち出せと、政府からハッパを掛けられている」と東電関係者は明かす。 震災以降に策定されている東電HDの再建計画において、今年度は第3次中期経営計画である「新々総合特別事業計画(新々総特)」の最終年度に当たることもあり、東電HDは再エネ事業の分社化にしろ、真新しさを出すのに必死なのである。 先日発表した、小売り事業会社である東電エナジーパートナー(EP)が、海外初としてタイに現地法人を設立し、エネルギーサービスを手掛けるのも、新しい取り組みをアピールする狙いがあるとみられる。 さらに小早川社長は近々、“電化戦略”なるものを発表する方針という。ここでAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を駆使し、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などの分散型エネルギーを活用した「スマートシティー」で中心的役割を担うなど、将来の電力ビジネスの姿を示したいようだ』、「新しい取り組みをアピール」するのはいいとしても、「タイに現地法人を設立し、エネルギーサービスを手掛ける」というのは、海外でのノウハウがないだけに乱暴な気がする。
・『柏崎刈羽が再稼働できないまま国による中計評価は棚上げ濃厚  今年度は、機構が新々総特の進捗状況を評価する期間でもある。新々総特では、福島第一原発の廃炉に8兆円、被災者への賠償に8兆円、除染・中間貯蔵に6兆円の計22兆円が必要と試算している。 これに向けて、東電HDは、2017年度から10年平均で廃炉・賠償費用を5000億円程度確保した上で、東電グループの主要4社で1600億~2150億円の連結経常利益を上げると目標を定めた。 2018年度決算は、連結経常利益がグループ4社で2765億円で新々総特の目標水準を上回った。一見すると、順調なようにも思える。 しかし、主力である電力小売り事業は、2016年4月に始まった電力小売り全面自由化による競争激化の影響で顧客を奪われ、販売電力量は3年連続で前年割れだ。19年度に入ってからも販売電力量の減少に歯止めがかかっていない。 また新々総特では、新潟県の柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を19年度から見込んでいたが、再稼働に慎重な姿勢を見せる立地自治体の動向もあり、小早川社長は「残念ながら、今年度の再稼働を見通せる状況ではない」と認めた。1基あたり最大で約900億円のコスト削減につながり、“利益改善装置”ともいえる原発を再稼働できないのは大きな痛手だ。 東電関係者は「要は新々総特の評価はできないということ。だって柏崎刈羽の再稼働ができないんだから」と打ち明ける。 つまり、新々総特の評価は“棚上げ”される可能性が濃厚だ。そんな状態で東電HDは今秋から次の中期経営計画の策定作業に入る見込みで、小早川社長が掲げる電化戦略を次の中期経営計画の目玉として打ち出すとみられる。 東電HDの最大のミッションは、福島第一原発の廃炉、被災者への賠償、福島の復興の完遂である。そのためにお上の顔色うかがいではなく、しっかり稼ぎ続けられる戦略を描かねばならない』、「次の中期経営計画」にも余り期待できないようだ。

第四に、8月26日付け東洋経済オンライン「東京電力はなぜ、賠償金を「払い渋る」のか 突然の賠償金返還請求、膨大な資料要求も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/299073
・『東京電力が2013年12月策定の新再建計画策定で表明した原発事故の賠償に関する「3つの誓い」の中に、次のようなくだりがある。 「2013年12月に成立した消滅時効特例法の趣旨を踏まえるとともに、最後の一人が新しい生活を迎えることができるまで、被害者の方々に寄り添い賠償を貫徹する」「ご請求手続きが煩雑な事項の運用等を見直し、賠償金の早期お支払いをさらに加速する 」 ところが、その誓いの文言とかけ離れた理不尽な対応が相次いでいる』、どういうことなのだろうか。
・『払い過ぎた賠償金5500万円を返還せよ  福島県内で農業資材販売店を経営する山田敏彦さん(仮名)は、東電の担当者から手渡された通知文の内容に目を疑った。 「今まで支払ってきた賠償額が本来払うべき金額よりも多すぎた。その一部の返還を求める」との趣旨が記されていたのだ。山田さんによれば、”精算金”として東電から返還を求められた金額は5500万円にのぼっていたという。年商の5割近い金額だ。 今年3月、山田さんは利益が落ち込んだ分の賠償を東電に請求した。原発事故によって段ボールや肥料などの売り上げが激減し、一向に回復の見込みが立たないためだ。 「今までの経験に照らすと、そろそろ東電の担当者が合意書案を届けに来るはずだ」。4月下旬、山田さんは何も疑わずに東電の回答を待っていた。 思いもよらぬ事態に発展したのは、それから間もなくのことだった。 5月10日、東電の福島事務所の担当者2人が山田さんの店を訪問し、驚くべき話を切り出した。「(山田さんのような)商工業者については、すでに2年分の賠償が一括して払われている。(それ以降の分については払い過ぎになっていることが判明したため)精算金のお支払いをお願いしたい」「いったん合意して支払われた賠償を返せとは、今さら何を言うのか」。山田さんは思わず声を上げ、書類を突き返した』、「払い過ぎた賠償金5500万円を返還せよ」というのは如何にも乱暴だ。
・『東電はなぜ賠償金の返還を求めたのか  「会社が存続できないかもしれない」。そばで話を聞いていた山田さんの妻は「ショックでめまいがした」と振り返る。 合意に基づいていったん支払った賠償金の返還を、なぜ東電は求めたのか。 8月1日、東京・永田町の参議院議員会館で、東電と政府、山田さんを支援する農業団体「福島県農民連」との間で交渉が持たれた。同席した山田さん夫妻を前に、東電の賠償担当者が理由の一端を明らかにした。 「(山田さんは)農家を相手に農業資材や農作物の種子を販売しているとお聞きしている。従来は農業と同等の風評被害があるとみなしたうえで賠償を支払ってきたが、商工業者については、すでに将来分として2倍相当の一括払い(=2年分)という賠償の方式をご案内している。(山田さんは)小売業をされていることから、(今回は)商工業の枠組みでとらえている」) 避難指示区域外の商工業者の営業損害について、東電は2015年8月に新たな賠償方針を発表している。それによれば、同年8月以降の損害は相当因果関係が認められた年間逸失利益の2倍(2年分)を一括して支払うとした(いわゆる「2倍賠償」)。そして、2倍賠償を支払った後も、引き続き損害が発生していることが確認できた場合には支払いを続ける方針を示している。 今年3月8日の参議院予算委員会で、参考人として出席した東電の小早川智明社長は、岩渕友・参議院議員(共産党)の質問に次のように答えている。 「2倍賠償額をお支払いしたうえで、やむを得ない特段の事情により事故と相当因果関係が認められる損害が一括賠償額を超過した場合については、個別に事情をうかがったうえで適切に対応させていただいております」 小早川氏は被害がある限り、賠償を続ける考えを示した』、説明があと1つ意味不鮮明だが、「山田さん」への賠償の基準が、「農業」から「商工業」に変わったことで、「賠償金」の「払い過ぎ」が発生したということなのだろうか。
・『追加賠償の実績は900件中14件にとどまる  とはいえ、追加賠償の実現は容易なことではない。岩渕議員への東電の回答によれば、商工業者が2倍賠償を受け取った後の追加賠償実績について、約900件の請求に対して合意はわずか14件(7月末時点)にとどまる。 「事業者の皆さんから怒りの声が上がっているんですよ」前出の予算委員会で岩渕議員は、避難指示が解除された地区の生鮮食品店が賠償を打ち切られた事例を挙げて、東電の姿勢を厳しく批判した。 岩渕議員が例に挙げた福島県浪江町では、2017年3月末で避難指示が解除されたものの、住民の居住率は今年3月時点でわずか6%にとどまる。こうした地域では多くの企業が再建の手がかりをつかめずにいる。 「東電からは、避難先での営業再開、ほかの事業に転換するなど、損害を軽減することができることを理由に損害が継続しているとは認められない、こういう回答が2018年12月にあった。(浪江町の事業者の)Aさんは、以前のように商売できるというんだったら、どうやったらできるのか教えてほしいと怒っている」 岩渕議員はこう言って小早川社長に詰め寄った。 地元に密着した農業関連企業でも、売れ行き不振による被害が現在も色濃く残っている。 「当社の場合、売り上げの大半が農業者向け。(賠償の基準がより厳格な)商工業者に割り振られたのは納得できない」(前出の山田さん) 東電の担当者は交渉の中で「決して打ち切りではない」「(個人的には)ゼロ回答は避けたい」と言いつつも、「(山田さんの希望に沿った)100点満点の回答は難しい」などと、苦しげな答弁を繰り返した。担当者が被災者と審査部門の板挟みになって苦悩する実態も浮かび上がる。 「請求通りに賠償が支払われない場合、事業継続が難しくなる。決算月の10月末には見極めを付けないといけないかもしれない」。山田さんの不安は募る一方だ』、確かに5500万円も返還させられれば、倒産せざるを得なくなるだろう。
・『5750枚に及ぶ書類の提出を求められた  「賠償の必要性を確認するため」として、5750枚にも及ぶ書類の提出を求められた農業者もいる。福島県内で花卉の栽培・販売を会社組織で営む渡部雅幸さん(48)だ。 渡部さんが提出を求められたのは、「総勘定元帳」と呼ばれる経理の台帳だ。総勘定元帳の提出要請は、すべての取引の記録を見せろということにほかならない。従来、東電の担当者に決算書と一部の月次書類を渡すだけで事足りていたが、今年4月に異変が生じた。 東電の担当者が自宅にやってきて、「総勘定元帳のコピーがほしい」と言い出し、1日がかりで印刷作業に立ち会った。 「いったい何が目的でそんなたくさんの書類が欲しいのか」。渡部さんは作業量が膨大になるがゆえに、東電の担当者に何度も再考を促したが、担当者は「東京の審査部門から求められている」というだけで、きちんとした理由の説明はなかったという。 それから約3カ月後の7月31日。従来より2カ月以上も遅れて、賠償金が渡部さんの会社の口座にようやく振り込まれた。金額は請求通りだった。 「書類を見て、これはOK、これはダメと判断したのならば理解もできるが、終わってみればすべてOK。いったい何のための作業だったのか」。渡部さんは拍子抜けした。 この間、渡部さんは背筋が寒くなる思いをした。東電の支払いの遅れが理由で地元の銀行や農協からつなぎの運転資金を借りざるをえず、納入業者には支払いの一部を待ってもらった。「資金繰りには本当に苦労した。種や苗を買えなくなりかけた」(渡部さん)』、「総勘定元帳のコピーがほしい」として、「5750枚にも及ぶ書類の提出を求められた」、というのは余りに形式的・官僚的なやり方だ。コピーや人件費のコストは度外視したようだ。
・『つかみにくい原発事故被害の実態  いったいなぜ大量の資料の提出を求められたのか。原発事故で落ち込んだ売り上げを少しでも回復すべく、渡部さんは2018年4月に花卉や観葉植物の小売店舗をオープンした。「そうした営業努力をする姿が普通の農家に見えないということで、徹底した審査の対象にされたのかもしれない」(渡部さん)。 原発事故による被害の実態はつかみにくい。東電は事業者の被害について、消費者による「風評」を理由にすることが多い。風評はそもそも根拠に基づかないため、時間の経過とともに解消に向かうというのが東電の見立てだが、一度離れた顧客は二度と戻らず、被害の多くが固定化しているのが実態だ。 渡部さんは原発事故を機に、全国展開するホームセンターからの注文を失った。「事故以来、8年以上もたつが、取引は再開できていない」という。県内の花卉市場を通じた販売も、事故前の5分の1に激減したままだという。 前出の3つの誓いの中で東電は、「被害者に寄り添い、賠償を貫徹する」との方針を掲げている。しかし、原発事故の賠償問題に詳しい大阪市立大の除本理史教授は、「被害の継続性のとらえ方について、東電の認識には問題がある。被害の実態を踏まえずに賠償を打ち切ることは、誓いそのものに反している」と批判する。 東電広報室は、山田さんなどの事例に関する記者の質問に対して、「個別の請求内容に関わるので、回答を差し控える」としている。そのうえで、「3つの誓いで述べられたことが守られていない」との指摘があることについて、「真摯に受け止め、『3つの誓い』を遵守し、より一層、被害を受けられた方々に寄り添った賠償を進めていく」と答えている。その言葉に偽りはないのだろうか、総点検が必要だ』、「被害の実態を踏まえずに賠償を打ち切ることは、誓いそのものに反している」、というのはその通りだ。東電の誠意ある対応が求められる。
タグ:つかみにくい原発事故被害の実態 5750枚に及ぶ書類の提出を求められた 追加賠償の実績は900件中14件にとどまる 東電はなぜ賠償金の返還を求めたのか 払い過ぎた賠償金5500万円を返還せよ 「東京電力はなぜ、賠償金を「払い渋る」のか 突然の賠償金返還請求、膨大な資料要求も」 東洋経済オンライン 柏崎刈羽が再稼働できないまま国による中計評価は棚上げ濃厚 筆頭株主である国が求める「再エネの主力電源化」に沿う 「東電、再エネ事業分社化の裏に筆頭株主「お上」の意向」 筆頭株主である政府の影 顧客基盤は今や2000万件にまで落ち込んでしまった 一般家庭向けの「電灯」分野は約2700万件の顧客基盤を有していた 自由化後に顧客離脱を食い止められず 就任から2年で川崎EP社長を更迭 「東電の小売り事業会社社長が事実上「更迭」された裏事情」 情報隠す体質は変わらず 事故の「報告不要」を指示した総務省 なぜ見過ごされてきたのか 「安全性軽視」や慣れあい? 想定以上の電気が流れる原因は「製品不良」と「施工ミス」 東電管内、27件の発火事故 異常音や照明のちらつきも 原因のほとんどは製品の不良と施工ミスだ 「スマートメーターの発火事故が続発する「根深い事情」」 ダイヤモンド・オンライン 岡田幹治 (その3)(スマートメーターの発火事故が続発する「根深い事情」、東電の小売り事業会社社長が事実上「更迭」された裏事情、東電 再エネ事業分社化の裏に筆頭株主「お上」の意向、東京電力はなぜ 賠償金を「払い渋る」のか 突然の賠償金返還請求 膨大な資料要求も) 東京電力問題 東京電力問題(その3)(スマートメーターの発火事故が続発する「根深い事情」、東電の小売り事業会社社長が事実上「更迭」された裏事情、東電 再エネ事業分社化の裏に筆頭株主「お上」の意向、東京電力はなぜ 賠償金を「払い渋る」のか 突然の賠償金返還請求 膨大な資料要求も)
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