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公務員制度(その3)(財務省は生まれ変われるか?再生プロジェクトの中身を元財務官僚が検証、”市職員の政治的中立性”を蔑ろにする菅今治市長の責任、元駐イラン大使が強制わいせつで刑事告訴 公邸でセクハラ) [国内政治]

公務員制度については、昨年6月4日に取上げたままだった。今日は、(その3)(財務省は生まれ変われるか?再生プロジェクトの中身を元財務官僚が検証、”市職員の政治的中立性”を蔑ろにする菅今治市長の責任、元駐イラン大使が強制わいせつで刑事告訴 公邸でセクハラ)である。

先ずは、元財務官僚で明治大学公共政策大学院教授の田中秀明氏が昨年10月25日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「財務省は生まれ変われるか?再生プロジェクトの中身を元財務官僚が検証」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/183284
・『10月19日、決裁文書の改ざん、事務次官のセクハラ疑惑といった不祥事が続いた財務省が、コンプライアンス(法令順守)や内部統制などについての自己改革案をまとめた中間報告書として、「財務省再生プロジェクト進捗報告」を発表した。上司だけではなく部下からも人事評価する「360度評価」などが盛り込まれている。具体策は今後さらに詰めることになっているが、果たして、これで財務省は立ち直れるだろうか。 報告書を読み解くと、それなりにまとまっていると言えるが、結論を先に言えば問題点の分析が十分とは言えない。報告書で指摘されているように、コンプライアンスや内部統制、あるいは長時間労働・ハラスメントは問題だが、これらは、財務省の使命を達成する上で、最も大きな問題であろうか』、「問題点の分析が十分とは言えない」というのは、こうした報告書の通例だ。
・『360度評価と内部通報制度は改革の柱となるか  最初に、今回の報告書のポイントを整理する。 報告書は冒頭に、一連の不祥事により財務省の信頼が大きく低下していると述べる。そして、改革の目的や方向として、「こうした問題行為を二度と起こさないようにするためには、一連の問題行為の発生を許した財務省の組織風土を抜本的に改革することにより、常に国民の皆様の視点に立って時代にふさわしい仕事のやり方や働き方ができ、高い価値を社会に提供できる組織へと自らを変革し、コンプライアンス・内部統制が実質的に機能する組織風土を創り上げていく必要があると考えています」と記述する。 そこで、職員に対するアンケート調査やヒアリングを行い、財務省が組織として抱える課題を抽出し、改革の推進体制の設計を行った。その上で、若手・女性職員など幅広い職員の参画も得ながら、秋池玲子参与(ボストン・コンサルティング・グループ)と担当職員で今後必要となる改革の具体策について議論し、「財務省再生プロジェクト」として、具体策の方向性とその工程表を整理したのが、今般の報告書である』、通常の報告書とは違って、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)の秋池氏が中心となって「アンケート調査やヒアリング」、「議論」などを行って出した力が入ったもののようだ。
・『アンケート調査及びヒアリングで抽出された問題としては、「継続的な実行や見直しが行われておらず、PDCAが回っていない」「今回の問題は、一部の部局に固有の問題ではなく、財務省全体に共通する問題」「様々な職員の役職・業務に応じた組織的な能力開発があまり行われていない」「360度評価の導入と内部通報制度の強化が必要」「人事評価について、何が評価されるのか、どのような人物像が求められているかがよくわからない」「本省では長時間労働が前提となっており、効率的な働き方をしようという意識が低い」「多様な人材の活躍・登用が必要」といったことが挙げられている。「財務省が人に推薦できる職場かと問われると、どちらとも言えない」という回答もあり、正直に答えた結果と言える。 そして、今後取り組むべき課題を整理し、コンプライアンスの確保と内部統制の構築を目指すためには組織風土の改革が必要とし、具体的には、(1)財務省の組織理念の確認・共有、(2)働き方改革・業務効率化、(3)人材育成、(4)双方向のコミュニケーション、(5)省内コミュニケーションを挙げる。 また、具体的に改革を推進するため、事務次官を本部長とするプロジェクト本部を立ち上げるとともに、(1)コンプライアンス推進、(2)人材育成、(3)働き方改革・業務効率化、(4)コミュニケーション向上の4つのタスクフォースを設置するという。来年夏頃までに、細部を検討し、報告書を出すという。 以上、改革案を概観したが、問題はこれで財務省が変わるかどうかである。書かれている内容の1つひとつに、特に違和感を覚えることはないが、全体として、問題を解決できるのか大いに疑問がある。コンプライアンスや内部統制などの問題は整理されているが、それで十分とは言えないからである。360度評価や内部通報制度は速やかに導入すればよいが、これらが果たして問題解決の最も重要な処方箋なのだろうか。また、内部統制を強化するということに異論はないが、何をどうやって強化するのか、よくわからない』、問題点を深く掘り下げずに、対応策だけ並べた印象だ。
・『コンプライアンスだけでは不十分 専門性の低下こそ問題の根元  今般の改革案は、直接的には、不祥事を繰り返さないために、コンプライアンスを徹底することに主眼が置かれている。職員からのヒアリングやアンケートなども実施され、問題点の洗い出しも行われている。コンプライアンスは当然に取り組むべき課題であるが、それが強化されれば、財務省の組織としてのパフォーマンスは向上するのだろうか。 一連の不祥事は、当事者の個人的な問題という側面もあるが、報告書も指摘するとおり、財務省という組織の風土やカルチャーに根差している。それは、長い間に蓄積されたものであり、組織そのもののあり方に関係する。とすると、それはコンプライアンスだけの問題ではない。報告書は、「常に国民の皆様の視点に立って時代にふさわしい仕事のやり方や働き方ができ、高い価値を社会に提供できる組織へと自らを変革」と記述する。 また、財務省の使命、すなわち「納税者としての国民の視点に立ち、効率的かつ透明性の高い行政を行い、国の財務を総合的に管理運営することにより、健全で活力ある経済及び安心で豊かな社会を実現するとともに、世界経済の安定的発展に貢献すること」も引用したい。本来、これこそが、目指すべき目標である。コンプライアンスや内部統制が充実すれば、組織の使命が達成され、高い価値を社会に提供できるようになるのだろうか』、確かに「財務省の使命」を達成することが、「目指すべき目標である」というのはその通りだ。
・『不祥事の根本的な問題は専門性が疎かになっていること  筆者は、財務省の組織としての最大の問題は、過度に政治化し、専門性が疎かになっていることだと考えている。それは、一連の不祥事の根源的な問題だ。 財務省は霞が関の中でも、予算編成や税制改正などを通じて、政治家とのつながりが強い役所であり、政治家との調整が重要である。人事面においても、政治家と調整できる能力が評価され、専門性に基づく経済や財政の分析は二の次である。これに対しては、本来は政治家が担うべき仕事を役人がやらざるを得ないからだという反論もあるだろうが、他国の財務省とは大きく異なっている。 筆者は、国際会議などで諸外国の財務省の担当者と会う機会があるが、彼らの多くは経済学の博士号を有している。日本の財務省に、経済学の博士号を有するチーフエコノミストはいるだろうか。また、法曹や会計士の資格を有する職員も財務省には必要だが、今の財務省に何人いるだろうか。報告書でも、「経済分析能力の強化をはじめ業務横断的な専門能力を強化する」といった記述はあるが、コンプライアンスなどと比べると、課題としての重要性は低く扱われている。 政治的な調整が不要だと言っているのではない。若手から幹部に至るまで、調整ばかりに駆けずり回っていることが問題である。それでも、財政規律が維持され、効果的な資源配分や公平かつ効率的な税制が達成できているのであれば、調整の仕事は評価すべきであろう。しかし、現実は、そうとは言えない』、確かに海外の財務省と比べると、専門能力の軽視は著しい。公共部門に限らず、民間企業も含め、最近は「「出来ない」とは答えるな、どうやったら「出来るか」を考えよ」といった処世訓がまかり通っているが、専門家が「出来ない・やるべきでない」と答え難くする圧力になることは確かだ。
・『たとえば、消費税の軽減税率や教育の無償化などは、高所得者をより優遇するものであるにもかかわらず、費用対効果の分析も乏しく、導入が決まってしまった。もちろん、民主主義のプロセスから言えば、最終的には、政策は内閣が判断すべきことになるが、財務省が証拠やデータに基づいてどこまで問題を提起し、議論を喚起しただろうか。 年末に発表される政府予算案の資料では、いわゆる埋蔵金(特別会計の積立金)を一般会計の歳入に繰り入れると、一般会計の財政赤字が減り、財政が健全化していると説明する。しかし、そのようなわけがない。諸外国のように、予算案策定時に、一般会計と特別会計を統合した貸借対照表を作れば、積立金の取り崩しにより財政が悪化することがわかるが、財務省はそのような資料は作成しない』、安倍政権を「忖度」して、不都合な事実を隠す体質は大いに問題にすべきだ。
・『人を入省年次別に順番に処遇 多くの管理職が1年で交代する  専門性低下の背景として、事務次官をはじめとする管理職が、ほぼ毎年人事異動することが挙げられる。平成に入ってから財務事務次官は24人いるが、2年以上務めた次官はたった3人である(事務次官の問題については、ダイヤモンド・オンライン2018年5月10日「財務省騒動で考える、省庁の『事務次官』は本当に必要か」を参照)。局長や課長も、秘書課長などごく一部を除いて、1年で異動する。 これは、幹部人事が役所に入った年次による順番となっているからである。たとえば、各局の総務課長は、ほぼ同期が同じ時期に就き、毎年、1年ずつ若返る。さらに、昔と比べて天下りが難しくなったので、同じポストに同期で交代して就くことも多い。こうした年次主義では専門性が身に付かず、キャリアが発展しないため、霞が関でも、最近は若くて優秀な職員ほど早期に辞めて、民間企業などに転職する。 要するに、人事は適材適所というより、人を入省年次別に順番に処遇する面が強いのだ。同期入省の中では、それなりに厳しい競争はあるものの、同期の中で選抜された後は順番である。 後輩が自分の上司になることは、民間企業では当たり前でも役所では例外である。佐川宣寿元理財局長は、森友学園問題で文書改ざんを指示したとされているが、彼は、そもそも理財局で働いた経験がなく、国有財産の仕事を知らなかったはずである。だから文書を改ざんしたとは言えないが、国有財産の仕事を熟知していたら、対応も違ったのではないか。 財務省でも、主計局・主税局・国際局は、その局で課長などを務めずに局長になることはほとんどないが、関税局・理財局・財務総合政策研究所、そして国税庁は違う。課長の経験がない人が落下傘のように、突然局長や国税庁長官となること多いのだ。これも専門性が疎かになっている事例である。 あるポストを1年しか務めないということがわかっていれば、何もリスクをとらず、前例を踏襲することが最も合理的な行動である。リスクを取って挑戦して失敗すれば、出世の道が閉ざされるからだ。サラリーマン社会であればよく見られる現象ではあるが、上司に対しては「忖度」、部下に対しては「パワハラ」という行動も、そうしたことが背景にある。報告書は、「幹部職員のリーダーシップに基づく推進と省を挙げた取組」を行うとしているが、1年で異動する幹部職員がどうやってリーダーシップなど発揮できるのか』、せめて3年程度を標準にすべきだろう。
・『役所にはそもそも「内部統制」の概念がない  報告書でも内部統制の問題が指摘されている。しかしそもそも、近年企業で導入されているような内部統制の考え方は役所にはない。政府の財務会計を規定する会計法には、内部牽制として契約担当者と支払担当者を区別する仕組みなどはあるが、驚くべきことに、内部統制や内部監査という言葉は法律に規定されていない。内部監査は財務大臣通知などの運用で行われているに過ぎない。 内部統制とは、簡単に言えば組織がその目的を効率的・効果的に達成する、あるいは業務の適正を確保するための体制を構築することであり、特に重要な点は、不正などのリスクを事前に分析し、それを減じるために適切な措置をとることである。また、具体的な手段の1つが内部監査である。報告書は中間報告とはいえ、内部統制の基本的な方向やリスク分析については書かれていない。 報告書は、一連の不祥事を受けてコンプライアンスの重要性を強調するが、それにはコストがかかること忘れてはならない。企業でも、粉飾会計の事件が続き、コンプライアンスを含めコーポレート・ガバナンスの強化が求められているが、幹部が不正に関わるとそれを事前に防ぐことは難しく、また防ごうとすると監視するためのコストが膨大になる。 コンプライアンスの強化で想定されるのは、上司が保身のために部下に過剰なコンプライアンスを求め、コストが増大することである。コンプライアンスだからと言って、残業時間が長くなることが良いことか。英国では、財務省が省庁の内部統制についてのガイドラインを出しているが、過剰なコストにならないように警告している。 また、「コンプライアンス」というと、新しい概念のように聞こえるが、従来の言葉で言えば、手続重視である。過去数十年に渡り、日本においても、成果志向の行政に向けた取り組みが行われてきたが、手続重視で懸念されるのは、時計の針が逆戻りすることである。職員は、手続きだけを守り、成果を改善することやリスクをとって新しいことに挑戦することは控えるだろう』、「手続重視」と「成果志向」は矛盾する部分もあるだろうが、基本的には両立を目指すべきだろう。
・『財務省再生のための2つの解決策 管理職は最低3年務めるべき  これまで問題を整理してきたが、これらを解決するためにはどうすればよいか。360度評価や内部通報制度など報告書に書かれていることに異論はないが、それで真の意味での組織改革になるかと問われれば、「否」である。以下では、特に必要な解決策について、人事管理と内部統制の2つの面に焦点を絞って考える。 人事については、第1に、管理職は原則として3年務めるようにするべきである。最初の1年で仕事や課題を勉強し、2年目で改善・改革案を実行し、3年目でその成果を評価するのだ。つまり、上司への忖度ではなく、3年でどのような成果を挙げたかを検証して、次の人事につなげる。もちろん、ポストによる業務の難しさの相違などは、考慮すべきである。 第2に、室長や課長クラスは、一部の省でも導入されているように、省内公募も導入すべきである。公募を導入するためには、まずポストごとに職務を定義し、それを遂行するために必要な能力を定義しなければならない。手を挙げた者を公平に評価することも求められる。そうすれば、上司を忖度したり、おべっかを使って出世したりすることは難しくなる。 また、公募しても任命されない場合は、その理由を説明する必要も出てくる。さらに、積極的に財務省以外からの登用も進めるべきであり、この点では、外部からの採用が増えている金融庁が参考になる。企業に限らず、役所でも「多様性」が人事のカギとなっている。 こうした人事管理にはコストがかかる。従来の人事評価は、比較という意味では、総合職でいえば、20人程度の同期の中でしか行われなかったので、人事コストは低かった、しかし、それでは、年次別の硬直的な人事を変えることはできない。 昨今、民間でも働き方改革の一環として、仕事内容や勤務地などを限定する「ジョブ型雇用」の必要性が指摘されているが、役所も同じである。ジョブ型雇用は、専門性を高めるための仕組みでもある。財務省に限らず、役所では、ゼネラリストを育てることに偏り過ぎている。まずは、プロフェショナルを育成し、その中からゼネラリストとして次官などを選抜するべきだ。公務員がプロフェッショナルとなれば、その専門性が市場で評価され、天下る必要もなくなるだろう』、「ジョブ型雇用」については、官民とも各職務別にジョブを如何に定義していくかは難問だろう。
・『長時間労働を常態化させる霞が関の「残業」の原因とは  内部統制と言うと、「統制」という言葉のイメージから身構えてしまいがちだが、実はそのようなものではない。長時間労働や働き方を見直すためには、まずは現在の業務内容やプロセスを分析し、どこに無駄があるか、どのプロセスを省力化できるか、どこに不正や間違いを犯すリスクがあるかを考える必要がある。電子決済などICTの活用も必要となるが、とかく役所は現在の仕事をそのままにしてICTを導入するので、システムの構築や運営に膨大なお金をかける一方で、仕事は効率化しない。 コンプライアンスというならば、内部通報だけではなく、内部監査委員会を設置し、そこには外部の専門家(社外取締役として)も加える。不正防止の要は、「視られている」という意識である。具体的には、局ごとに組織目的の達成を妨げるリスクの分析も求められる。 そもそも中央省庁には、内部管理や内部監査が法令に規定されていないことが問題である。財務省は、財務・会計の制度官庁として、会計法を改正して、内部統制や内部監査を規定しなければならない。ただし、これらの作業には、労働や時間などのコストがかかるので、他の業務を省力化する必要がある。) 霞が関の残業の元凶と言われるのは、国会対策、法令審査、予算編成の3つである。 最初の2つは財務省だけの問題ではないが、予算編成は財務省自身の問題である。毎年、予算編成は夏から12月まで続くが、半年も来年度の予算要求作業に費やしている国は、先進国ではあまりない。要求作業にエネルギーを使い過ぎているから、事後評価が疎かになり、予算や事業が効率化しないのだ。諸外国では、予算は中期財政フレームで3~4年の大枠を決めているので、毎年細かい査定などは行わない。毎年の予算編成は、政治的に重要な事項など、戦略的な問題に注力している』、決算を軽視しているので、「事後評価が疎かになり、予算や事業が効率化しないのだ」というのはそも通りだ。
・『現状はOBにとって耐え難い思い 財務省は霞が関の先頭を走れるか  筆者は財務省で働いた元公務員である。一連の不祥事は他人事ではなく、後輩たちが苦労しているのを見るのは耐え難い思いである。不祥事続きで、「財務省など解体すればよい」といった乱暴な意見もあるが、それでは問題は解決しない。今回の報告書は中間報告であり、今後その具体化が検討される。それを期待したいが、報告書は使命達成のための組織改革と言いつつ、検討の対象範囲が狭く、問題分析も十分とは言えない。 財務省の組織を守ることが目的ではない。財務省設置法は、「財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする」と規定する。こうした任務を達成する上で、今の財務省に何が欠けているか、何がいったい一番大きな問題なのかを議論し、それを解決する処方箋が求められている。 財務省の問題に焦点を当てて議論してきたが、問題は大なり小なり霞が関全般に共通する。財務省には、霞が関の先頭に立って自己改革し、そのパフォーマンスを上げることにより、国民からの信頼を取り戻せるかが問われている』、中間報告は極めて不十分なようだが、筆者らの批判も踏まえて、最終報告書では大いにブラッシュ・アップしてほしいものだ。

次に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が2月14日付け同氏のブログに掲載した「”市職員の政治的中立性”を蔑ろにする菅今治市長の責任」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/02/14/%e5%b8%82%e8%81%b7%e5%93%a1%e3%81%ae%e6%94%bf%e6%b2%bb%e7%9a%84%e4%b8%ad%e7%ab%8b%e6%80%a7%e3%82%92%e8%94%91%e3%82%8d%e3%81%ab%e3%81%99%e3%82%8b%e8%8f%85%e4%bb%8a%e6%b2%bb%e5%b8%82/
・『今週木曜日発売の週刊文春(2019年2月21日号)の記事【加計誘致の今治市が大臣就任祝賀会で地方公務員法違反の疑い】 に、「本来公務員は政治的中立性が求められ、職務として祝賀会の事務を担った市職員は、政治的行為を制限した地方公務員法に違反する」「命令に逆らえず政治的活動に従事したとすれば、市長のパワハラにも当たる」との私コメントが掲載されている。 同記事で問題にされている市長は、加計学園問題に関して批判を受けてきた菅良二今治市長だったということで、今治市での加計学園の獣医学部設置問題を厳しく批判してきた私が、その批判の延長上で、今治市長を批判しているように思った人も多いかもしれない。 しかし、この大臣祝賀会を開催した「市長」が「今治市長」であることは、文春記者の取材を受けてコメントした時点では知らされていなかった。私は、事案の内容を聞き、地方公務員法に違反する行為を市役所職員に職務として行わせた市長の責任についてコメントしたものだ』、記者の取材は、ごく一部の事実だけを示して、それに対する「コメント」を求めるケースが多いので、大いにあり得る話だ。
・『「あっせん利得処罰法違反」についての週刊誌コメント  週刊文春からは、これまでにも法律の解釈・適用の問題についてコメントを求められることが多かったが、私としては、不正確なコメントをすると、自分の法律・コンプライアンスの専門家としての信用にも関わるので、慎重に検討し、必要に応じて文献・資料等も調査した上でコメントするようにしている。 私のコメントが大きな意味をもったのは、2016年2月の、甘利明氏(当時、経済財政担当大臣)のURの用地買収問題に関する「口利き・金銭授受疑惑」について週刊文春からコメントを求められ、「あっせん利得処罰法違反に該当する疑いがある」と指摘したことだった。この時は、あっせん利得処罰法の条文解釈のみならず、立法経緯や、甘利氏の政治家としての「影響力」に関わる政治経歴等も調べ、自信をもって「あっせん利得処罰法違反の疑い」を指摘した。この問題については、その後国会でも、衆議院予算委員会公聴会で公述人として、特殊法人のコンプライアンスについて意見を述べたが、その際にも、あっせん利得処罰法の適用に関して法律見解を述べた(【独法URのコンプライアンスの視点から見た甘利問題】)。 しかし、週刊文春に限らず、週刊誌からコメントを求められても、「法律違反の疑いがあるとは言えない」と述べ、コメントが掲載されなかったことも多い。最近では、週刊文春から、片山さつき大臣の問題について、「口利き疑惑があっせん利得処罰法違反に当たるのではないか」とコメントを求められたが、「権限に基づく影響力」に基づいて「口利き」をした事案とは考えられないので「あっせん利得処罰法違反の疑いはない」と答え、私のコメントは掲載されなかった。 今回は、先週土曜日に週刊文春の記者から電話があり、「現職市長が発起人となって国務大臣の就任祝賀パーティーを主催し、会費1万円で飲食を提供するパーティーを開き、その事務局事務を市職員が行った。パーティー収入の中から、10万円が国務大臣に『就任祝い金』として渡された」という事案について、法律に違反するかどうかの見解を求めてきた』、「法律違反の疑いがあるとは言えない」とのコメントであれば、「掲載されなかったことも多い」のはやむを得ないだろう。
・『「政治資金パーティー」への該当性  まず考えたのは、政治資金パーティーに関する政治資金規正法の規定に違反する可能性であった。もし、この祝賀パーティーが政治資金パーティーに該当するとすれば、政治資金規正法22条の9で、「地方自治体の職員が、その地位を利用して、政治資金パーティーに対価を支払つて参加することを求め、若しくは政治資金パーティーの対価の支払を受け、若しくは自己以外の者がするこれらの行為に関与すること」が禁止されており、この「地方自治体の職員」には、特別職・一般職であっても該当するので、市長の地位を利用して市役所職員に開催の事務を行わせたことは違法となる。 しかし、「政治資金パーティー」については、政治資金規正法8条の2で「対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動に関し支出することとされているもの」と定義されており、この「市長」が主催したパーティーについては、収入のうち10万円が国務大臣に対して「就任祝い金」として渡った事実があっても、収入から経費を差し引いた残額が、「政治活動に関し支出することとされている」と言えるか否かは微妙である。この祝賀会が政治資金パーティーに該当し、市長の行為が地位利用による政治資金パーティーへの参加を求める行為として「政治資金規正法違反の疑い」を指摘することは難しいと判断した。 ただ、政治資金規正法上の「政治資金パーティー」に該当するというためには、パーティーの目的や開催の経緯・会の収支・差額の使途などを、もう少し詳しく調べる必要があり、該当することを前提に政治資金収支報告書への記載義務や罰則適用を議論することはできない、ということであり、大臣就任祝賀として、大臣たる政治家を支持する「政治資金パーティー」に近いものであることに変わりはない』、なるほど。
・『市職員の祝賀会への関与と地方公務員法の「政治的行為の制限」  政治資金パーティーに形式上該当しないとした場合に、次に問題となるのは、国務大臣就任祝賀パーティーを市長が主催し、その事務や会費の募集に市職員が関わることと、地方公務員法の「政治的行為の制限」との関係だ。 「特別職地方公務員」に当たる市長には、政治的行為の制限はないが、「一般職地方公務員」である市職員には政治的中立性が求められる。その市職員が職務として政治家の大臣就任祝賀会の事務を行い、会費の募集に関わり、その会費収入の一部が、大臣たる政治家にわたったということは、常識的に考えても、地方公務員の政治的中立に関するコンプラインス違反だと言える。 市民にとっては、政治的に中立な立場で市の業務に従事しているはずの市職員が、特定の政治家を支持するパーティーの開催のために動員され、会費集めをさせられていること自体が許しがたい行為であることは明らかだ』、「「特別職地方公務員」に当たる市長には、政治的行為の制限はないが、「一般職地方公務員」である市職員には政治的中立性が求められる」、というのはよく理解できた。
・『地方公務員法36条2項は「政治的行為の制限」について  職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる政治的行為をしてはならない。 と規定しており、この「次に掲げる政治的行為」の「三」が「寄附金その他の金品の募集に関与すること」とされている。 国務大臣の就任祝賀パーティーを行うことは、内閣の一員として任命された国務大臣を支持することを通して、「特定の内閣」を支持する目的と解することができるし、パーティーの会費の募集に関与することは、政治資金パーティー券の募集と同様に、「金品の募集」に当たると考えられる。 週刊文春の記事によれば、パーティーの〈お問合せ先〉は、「今治市総務調整課」、領収書には参加費1万円を領収した事務取扱者として、課長名の判子が押されている。とのことであり、パーティーの事務局を市の総務調整課職員が全面的に担い、会費の徴収まで行ったということになる』、今治市のやり方は、組織的で悪質だ。
・『祝賀会開催に関する市長の市職員への命令は「パワハラ的」  もっとも、特別職たる市長には、この「政治的行為の制限」は適用されないし、市職員が、上記の規定に反した場合も、罰則がなく、懲戒処分の対象になるだけなので、市長が市職員にそれをやらせたとしても、それ自体が、犯罪の共謀になるわけではない。 しかし、逆に言えば、このような「政治的行為の制限」に反する市職員の行為は、罰則の対象とはならないので、違反が認められた場合も、市当局として採り得る措置は、当該市職員に対して懲戒処分を行うことしかない。しかし、その「懲戒権者」は、市のトップである「市長」なのである。市長が主催した政治的活動としてのパーティーに、市長から指示されて事務を行ったり、会費を集めたりした市職員が、市長によって懲戒処分される、というのは全く本末転倒の話である。地方公務員法は、そもそも、「政治的行為の制限」に違反する行為が、首長の指示や命令によって行われることを予定していないのである。 それだけに、この問題は深刻である。市職員は、政治的中立を求められていることは十分に認識しているはずであり、本来、市長から、政治家の就任祝賀会の事務を行うよう命令を受けても、それを拒否するのが当然である。しかし、市職員にとっては、市長は市役所の組織のトップである。その命令に逆らえるはずがない。このような状況に追い込まれ、政治的活動に従事させられた市職員にとって、市長の命令はパワハラと評価することもできる』、なるほど、説得的だ。
・『菅市長の責任の重大性  週刊文春の記事によって、就任祝賀パーティーの発起人となった市長が、「菅良二今治市長」であることを知った(就任を祝賀されたのが国家公安委員会委員長である「山本内閣府特命担当大臣」であることは、コメントの確認をする際に知った。)。 記事によれば、菅市長は、「政治活動ではなく、大臣の祝賀会」と説明し、市側も「祝賀会は政治活動ではなく、儀礼的なもの」と回答しているようだが、大臣就任を祝うということ自体が、「大臣たる政治家への支持」という性格を持つのであり、「祝賀会」であることも、「儀礼的」であることも、政治活動であることを否定する根拠にはならない。 過去の同様の事例として、2013年11月に、自民党の武田良太衆院議員の防衛副大臣就任祝賀会を、田川市郡の全市町村の首長や地元県議らが発起人となって1人5千円の会費制で立食パーティー形式で開くに際して、自治体の首長らが呼びかけ、田川市職員が区長会などに参加を要請していたことが、公務員の政治的中立性が損なわれるなどとして、批判されたケースがある。 この事例では、市職員は、祝賀会への参加を要請しただけで、会費の徴収等の事務局事務を行ったとはされていないが、それでも「政治的中立性」に反することが問題となっている。 前記のとおり、今回の山本大臣の就任祝賀会は、今治市長が発起人となり、市職員が事務局を務め会費の徴収まで行ったのであり、地方公務員法が禁止する「政治的活動」の性格が一層顕著だということだ。 自治体職員の懲戒権者である首長自らが、公務員の政治的中立性に関するコンプライアンス違反を命令し、本来、納税者たる市民のために、政治的に中立的立場で職務を行うべき市職員が、「特定の政治家の政治活動の成果を祝うパーティー」を全面的にサポートすることは、到底許されることではない。 菅市長は違法行為の責任を直接問われるものではないが、政治的責任は極めて重大である』、「菅市長は違法行為の責任を直接問われるものではないが、政治的責任は極めて重大である」、との判断は説得的だ。

第三に、4月13日付け日刊ゲンダイ「元駐イラン大使が強制わいせつで刑事告訴 公邸でセクハラ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/251873
・『元駐イラン大使の駒野欽一氏(72)が同大使を務めていた時に、テヘランの大使公邸で部下の女性職員にセクハラ行為を行っていたことが分かった。13日の毎日新聞が報じた。 同紙は、昨年8月に外務省人事課が作成した内部文書を入手。 それによると、駒野氏は、大使離任前日の2012年10月14日、女性にキスをするなどのセクハラ行為をし、その後も女性にメールを送り続けるなどしていた。翌年2月、同省官房長は駒野氏に対し「女性に一切コンタクトしないでほしい」などと注意したという。一方、女性はセクハラ行為で「急性ストレス反応」との診断を受け、一時休職。先月、強制わいせつ容疑で駒野氏を警視庁に刑事告訴した。告訴状で女性は「胸を触られスカートの下から手を入れられ、太ももをなでられた」などと、内部文書に記された行為より、はるかに悪質な被害を主張している』、よく考えてみれば、7年前の事件が今頃になって発覚した理由、セクハラ行為が「離任前日」になった理由、被害女性が「刑事告訴した」のが先月と大幅に遅れた理由、外務省として駒野氏への注意以外に処分はなかったのか、など疑問山積だ。お粗末極まる事件だが、警視庁はどうするのだろう。
タグ:日刊ゲンダイ 公務員制度 郷原信郎 ダイヤモンド・オンライン 田中秀明 同氏のブログ (その3)(財務省は生まれ変われるか?再生プロジェクトの中身を元財務官僚が検証、”市職員の政治的中立性”を蔑ろにする菅今治市長の責任、元駐イラン大使が強制わいせつで刑事告訴 公邸でセクハラ) 「財務省は生まれ変われるか?再生プロジェクトの中身を元財務官僚が検証」 自己改革案をまとめた中間報告書として、「財務省再生プロジェクト進捗報告」を発表 360度評価と内部通報制度は改革の柱となるか アンケート調査及びヒアリングで抽出された問題 コンプライアンスだけでは不十分 専門性の低下こそ問題の根元 不祥事の根本的な問題は専門性が疎かになっていること 人を入省年次別に順番に処遇 多くの管理職が1年で交代する 役所にはそもそも「内部統制」の概念がない 財務省再生のための2つの解決策 管理職は最低3年務めるべき 長時間労働を常態化させる霞が関の「残業」の原因とは 現状はOBにとって耐え難い思い 財務省は霞が関の先頭を走れるか 「”市職員の政治的中立性”を蔑ろにする菅今治市長の責任」 菅良二今治市長 「あっせん利得処罰法違反」についての週刊誌コメント 甘利明氏 URの用地買収問題に関する「口利き・金銭授受疑惑」 「政治資金パーティー」への該当性 市職員の祝賀会への関与と地方公務員法の「政治的行為の制限」 「特別職地方公務員」に当たる市長には、政治的行為の制限はないが、「一般職地方公務員」である市職員には政治的中立性が求められる 地方公務員法36条2項は「政治的行為の制限」について 祝賀会開催に関する市長の市職員への命令は「パワハラ的」 菅市長の責任の重大性 菅市長は違法行為の責任を直接問われるものではないが、政治的責任は極めて重大である 「元駐イラン大使が強制わいせつで刑事告訴 公邸でセクハラ」 元駐イラン大使の駒野欽一氏 大使離任前日の2012年10月14日、女性にキスをするなどのセクハラ行為をし、その後も女性にメールを送り続けるなどしていた 同省官房長は駒野氏に対し「女性に一切コンタクトしないでほしい」などと注意 女性はセクハラ行為で「急性ストレス反応」との診断を受け、一時休職。先月、強制わいせつ容疑で駒野氏を警視庁に刑事告訴 7年前の事件が今頃になって発覚した理由 セクハラ行為が「離任前日」になった理由 被害女性が「刑事告訴した」のが先月と大幅に遅れた理由 外務省として駒野氏への注意以外に処分はなかったのか 疑問山積
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