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小売業(コンビニ)(その5)(入山章栄・安田洋祐氏らの対談:コンビニ「現場疲弊」の主犯?ドミナント戦略って何?(第1回)、業界キーマンに直撃「FC契約、加盟店に不利では?」(第2回)、競争激化するコンビニ、未来は明るいの?(第4回)) [産業動向]

小売業(コンビニ)については、8月29日に取上げた。今日は、(その5)(入山章栄・安田洋祐氏らの対談:コンビニ「現場疲弊」の主犯?ドミナント戦略って何?(第1回)、業界キーマンに直撃「FC契約、加盟店に不利では?」(第2回)、競争激化するコンビニ、未来は明るいの?(第4回))である。

先ずは、8月27日付け日経ビジネスオンラインが掲載した早稲田大学ビジネススクール教授の入山 章栄 氏、大阪大学経済学部准教授の安田洋祐氏らの対談「[議論]コンビニ「現場疲弊」の主犯?ドミナント戦略って何?File4「コンビニ業界」(第1回)」を紹介しよう。なお、文中の略歴は省略
https://business.nikkei.com/atcl/forum/19/00012/082300020/?P=1
・『「あの業界、今、どうなの?」「競争環境が厳しくなるけれど、今後は大丈夫なの?」──。就活中の大学生やビジネスパーソン、経営者にとって、未知の業界の内情は大きな関心事だ。そこで、日経ビジネスが動画・ウェブ・本誌多面展開で立ち上げたのが「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」だ。 経営学者の入山章栄氏と経済学者の安田洋祐氏が、それぞれの業界の関係者や業界をよく知るゲストを招き、都合のいい話も都合の悪い話も、ざっくばらんに議論し尽くす。読者からのコメントも積極的に取り入れ、業界を深掘りしていく。 第4回シリーズ(File 4)で取り上げるのはコンビニエンスストア業界。便利さを徹底的に追求して急成長を遂げてきたコンビニ業界だが、今、その現場では、過酷な長時間労働や経営難で疲弊する加盟店が続出し、大きな社会問題となっている。現場の疲弊の「主犯」と目されるのは本部が推進する「ドミナント戦略」。「ドミナント戦略って本当に有効ですか?」──。入山氏と安田氏がコンビニ業界の“中の人”に迫った。 入山:「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」、今回は連載開始から第4回のシリーズです。 安田:もう4回になりますか。早いですね。 入山:おかげさまで読者の方からもたくさんコメントをいただき、非常に評判の良い連載になっていると聞いています。第4回シリーズで取り上げるのはどの業界かというと……。 安田:見てください。テーブルの上にいろいろ商品も並んでいます。大ヒットしている「悪魔のおにぎり」もありますね。今回はコンビニエンスストア業界を取り上げます。本日、我々は大手コンビニのローソン本社にお邪魔しています。 入山:きましたね、いよいよコンビニ業界。読者の方からも非常に関心の高い業界ですよね。ちなみに安田さん、ローソンの商品で「これが好き」っていうのはあります? 安田:いや、実はこんな企画に関わっておいて言うのもなんですが、僕、普段はコンビニの違いをあまり意識していない、ダメなタイプの消費者なんです。だから、あとで差別化の戦略なども聞いてみたいですね。 では早速本日のゲストをご紹介します。ローソン専務執行役員の宮﨑純さん、中食商品本部で商品戦略部長を務める荒井淳司さん、そしてコンビニ業界にお詳しい小売り・流通業界アナリストのnakaja lab代表の中井彰人さんです。 入山:僕、知り合いにローソンの元社員がいるんですけれど、宮﨑さんにお会いすると伝えたら、「それはすごい」と言われました。大変な大物で、普段はメディアには出て来ないそうですよ。今回、この「業界未来図鑑」だから出ていただけるということで。 安田:本当に“中の中の人”ですから、現状から未来までいろいろお聞きしたいですね。では、お三方にご登場いただきましょう。よろしくお願いします。 中井・宮﨑・荒井:おはようございます。よろしくお願いします』、何かと話題のコンビニ業界を深掘りするとは、大変、興味深そうだ。
・『安田:早速ですが、まずコンビニ業界の現状を押さえるということで、現在の市場規模や店舗数などの概略を確認させていただきたいのですが。では、普段なかなか出ていただけない大物の宮﨑さんにお願いしてもいいですか(笑)。 宮﨑:大物ではないですよ(笑)。コンビニエンスストアは日本全国に現在約5万8000店舗あります。売り上げは2018年度で約11兆円。そのうちローソンは1万4600店舗あり、売り上げ2兆円強です。だいたい5分の1のシェアを持っているという形になります。 入山:なるほど。コンビニって主要3社とよく言いますね。ローソン、セブンイレブン、ファミリーマート。そのほかには……。 宮﨑:大きいところではミニストップさんとデイリーヤマザキさんがあります。この大手5社でシェア9割となります。 安田:今回、「業界未来図鑑」でコンビニ業界を取り上げるということで、事前に読者の方から質問を募集しました。多くの質問をいただいたのですが、24時間営業やドミナント戦略の是非を問うものなど、結構厳しい質問が多いんです』、「事前に読者の方から質問を募集しました」、とはいい試みだ。
・『全国に5万6000店舗、11兆円産業となったコンビニ業界  入山:この半年から1年ぐらい、コンビニの話題というと、やや暗い、厳しいことが多かったですからね。そこに一番関心があるのは間違いないので。いきなりで申し訳ないですが、そこから踏み込んでいきたいと。 安田:例えば、「読者の端くれ」さんからは「一番の問題は、ドミナント戦略ではないでしょうか? 過剰出店が24時間営業を脅かしていると感じます。同一企業グループの出店は距離××m以上離すことといった制限が必要ではないでしょうか?」という質問をいただいています。 入山:まず、そもそもドミナント戦略とは何かを説明いただきましょう。中井さん、お願いします。 中井:ドミナント戦略というのは、ある一定のエリアに集中的に店舗を配置することによって、小売店のブランドを浸透させ、消費者の方たちに親近感を持ってもらうことでチェーン店の力を伸ばしていこうとする戦略です。 ドミナント戦略をとることによって、物流面でのメリットも得られます。同じエリアにたくさん店舗を出店すれば、効率的に配送できて物流コストを下げられますので。基本的に生活に密着した小売業は、ドミナント戦略をとることが多いですね。 入山:特定エリアの中に、例えばローソンならローソンをワーッと出店させていくということですよね。私は早稲田大学で働いているんですけれど、大学の周りにファミリーマートが目立ちます。私が仕事をしている早稲田大学の11号館の1階もファミリーマート。 大学の外に出ても、あっちにもこっちにもファミリーマートがある。まさにドミナント戦略ですよね。今のお話でいうと、1つの理由はブランドの浸透、もう1つは配送コストの抑制と。 安田:ただ、ブランドの浸透ということでいうと、先ほど名前が挙がった3大コンビニチェーン、もう知らない人はいないですよね。今の段階でも、ブランドへの影響を考えたドミナント戦略というのは引き続き有効なんですか。 中井:特にコンビニに関しては、普通の小売店舗とちょっと違う部分があります。普通の小売業、例えば食品スーパーやドラッグストアというのは、お客様に来ていただくために店を構えて、安売りなど、お客様を呼び込むための仕掛けをします。コンビニの場合は逆で、お客様の利便性を高めるために、自分の方から近くに寄って行くという方針なんですね』、「普通の小売業、例えば食品スーパーやドラッグストアというのは、お客様に来ていただくために店を構えて、安売りなど、お客様を呼び込むための仕掛けをします。コンビニの場合は逆で、お客様の利便性を高めるために、自分の方から近くに寄って行くという方針なんですね」、言われてみれば、その通りなのかも知れない。
・『「お客に近づく」狙いで網の目のように出店  入山:お客を引っ張ってくるのがスーパーとかドラッグストア、お客に近づいていくのがコンビニの基本戦略と。 中井:そうです。それで網の目のように店舗を出店していくことが、お客様に近づくために必須のやり方になっているということだと私は思っています。 入山:なるほど。宮﨑さんも同じご意見ですか。 宮﨑:何度も同じチェーンをご利用いただく「ロイヤルカスタマー」の獲得が、店舗の売り上げを左右します。各社ともポイントを付けるなど、様々な施策を展開しています。中井さんが言われたように、ドミナント戦略はこの点でも非常に効果があると思っています』、「お客を引っ張ってくるのがスーパーとかドラッグストア、お客に近づいていくのがコンビニの基本戦略」、とは分かり易い対比だ。
・『「コンビニ本部に厳しめのメッセージの嵐です」  入山:さっき安田さんは、コンビニの違いにあまりこだわりがないと言っていましたけれど、消費者全体を見たときに、ローソンファンはローソンの店舗に行く、セブンファンはセブンの店舗に行くという傾向はあるんですか。 宮﨑:私たちの調査では、3社とも利用されてはいる方が多くいらっしゃいますが、「一番多く利用するコンビニ」を聞くと、お客様によって違います。 入山:やっぱり、それぞれのチェーンに固定ファンがいるということですね。 安田:大手3社がガチンコで競争を繰り広げる中で利益を出そうとするなら、「このエリアはローソン」「ここはセブン」という具合にある程度、すみ分けるやり方は理にかなっているのかもしれません。 ただ一方で、そうやって固定ファンをつくっていったとしても、1つのコンビニチェーンが近いエリア内で複数店舗を出店すれば、需要を食い合うことになりますよね。A店が売り上げを増やせば、近くのB店の売り上げは減ってしまう……。 入山:まさに、それが先ほどの「読者の端くれ」さんの質問の本質ですよね。ドミナント戦略をとるから、特定の地域に過剰出店することになって現場が苦しむのではないかと。同じような意見を「アーチャー」さんからもいただいています。「ドミナント戦略とオーバーストア。限られたパイの奪い合いを同じチェーンで争う毎日です。ひどい場合は、集中出店で売り上げ激減そして閉店に追い込まれます」。「かず」さんも、「ドミナント戦略&24時間営業による地域需要の独占化」がコンビニチェーンの課題だと指摘され続けていると書いていらっしゃいます。厳しめのメッセージの嵐ですが、この辺りはどう考えればよろしいですか。 宮﨑:ご指摘の通り、24時間営業の問題と、ドミナント戦略によって既存店1店当たりの収益が減ってしまう問題とが、今のコンビニ業界で主に論争となっているテーマです。 少しコンビニの歴史をご説明しますと、大手3社が誕生したのは1970年代で、ほぼ同じ時期です。名前の通り、セブンさんは当初、朝7時から夜11時までの営業でした。24時間営業ではなかった。高度成長期で24時間働くような方が増えてきたのに伴い、要望が高まって、それに対応して24時間営業にしてきたという形です』、「ドミナント戦略とオーバーストア。限られたパイの奪い合いを同じチェーンで争う毎日です。ひどい場合は、集中出店で売り上げ激減そして閉店に追い込まれます」、というのは単一店舗で営業しているオーナーにとっては深刻な問題だ。
・『多店舗経営でオーナーの利益は増える  ドミナント戦略に関しても、最初のうちは店舗数が少ないですから、どこに出店する場合でも、自社はもちろん、他社の店舗もあまりなかったのです。その後店舗数が増えるドミナント戦略に効果があるということが実績として分かってきました。 そうした歴史があったのですが、今は先ほど申し上げたようにコンビニは全国に約5万8000店舗もありますから、新規出店する際、近くにほかのコンビニがあるという状況がザラになってきました。中には、別のローソン店があるケースもあります。当然、近くに新しいローソン店が出店すれば、既存のローソン店の売り上げは落ちてしまいます。しかし、他チェーンの出店を阻止しないと影響が出ます。 ローソンは2009年ごろからこの問題への対処が必要と考え、フランチャイズ加盟店のオーナーさんたちに多店舗経営を奨励してきました。1人のオーナーさんに複数店舗を経営してもらうという形です。現在では基本的には、新しい店舗ができることで一番影響を受ける店舗のオーナーに新規出店の権利があります。 入山:なるほど。 宮﨑:今、全店舗の72%が複数店経営です。オーナーさんの人数でいうと半数ぐらい。 入山:その数字はセブンやファミマと比べるとやはり多いんですか。 宮﨑:そうですね。うちは2009年ぐらいから始めたので先行しています。今はファミマさんもセブンさんも多店舗経営に舵(かじ)を切っていると聞いています。 多店舗経営にするとどうなるか。もともと日販が60万円の店舗があったとします。近くに別のローソンが出店した場合、60万円を分け合って日販30万円、30万円とはならないんですね。イメージ的には40万円、40万円ぐらいになる。合計した売り上げはざっと言ってもとの1.2~1.3倍程度になります。 1店舗経営だと確かに減ってしまうのですが、2店舗経営していればオーナーさんの利益は2倍まではいかないけれど1.5倍ぐらいにはなる。1店舗だけを営業しているところに他のコンビニチェーンやドラッグストアが進出してくれば収益は減りますから、その進出を防ぐというようなやり方をしています。 安田:本部からすれば、ドミナント戦略で60万円の日販が40万円、40万円になるという動きが進めば進むほど、トータルの利潤は増えますね。単店舗経営のオーナーさんは60万円から40万円に減ってしまうけれど、複数店経営にすれば、よそにお客さんを取られてしまうリスクを内部化し、かつ店舗側も疲弊しないで済む仕組みになる。 宮崎:と言いつつも、すべての加盟店を一律に考えることはできないんです。ローソンは地域に密着して多店舗経営を展開し、本部とともに成長を目指すオーナーを「マネジメントオーナー(MO)」と呼んでいます。MOは180人ぐらいいて、平均10店舗以上経営しています。40店舗経営し1000人もの従業員を雇っているオーナーさんや、恐らくローソンの社長より年収が多いようなオーナーさんもいらっしゃるのではないでしょうか。その一方で、1店舗を夫婦で経営し、年収が最低保証の400万円ぐらいの方もいらっしゃいます。複数店舗経営を推進していきますが、地域に根差して単店で頑張っているオーナーさんの経営を守っていくのも本部の役目です。 入山:中には全く野心がないオーナーもいるんですね。 宮崎:単店経営が安定していても、日販が60万円、70万円あれば近くに競合店が出店します。コンビニに限らず、ドラッグストアとか外食とか……。こうなると経営がきつくなります。本部の全額負担により、店舗をより条件の良い場所に置き換える対策をしていますが、長年商売された土地を離れるのを躊躇されるオーナーさんもいらっしゃいます。 安田:そうなると、多店舗経営のオーナーを目指す仕組みやインセンティブづくりがカギになりそうです。コンビニ本部と加盟店の問題については、フランチャイズ契約のあり方も議論の的となっています。その辺りも含め、次回、さらに深くお話をお聞きしたいと思います。(出席者の略歴の紹介があるが省略)』、ローソンでは、「全店舗の72%が複数店経営です。オーナーさんの人数でいうと半数ぐらい」、「うちは2009年ぐらいから始めたので先行しています。今はファミマさんもセブンさんも多店舗経営に舵(かじ)を切っている」、「多店舗経営を展開し、本部とともに成長を目指すオーナーを「マネジメントオーナー(MO)」と呼んでいます。MOは180人ぐらいいて、平均10店舗以上経営しています。40店舗経営し1000人もの従業員を雇っているオーナーさんや、恐らくローソンの社長より年収が多いようなオーナーさんもいらっしゃる」、多店舗経営がここまで進んでいるとは、驚かされた。

次に、この続き、9月10日付け「[議論]業界キーマンに直撃「FC契約、加盟店に不利では?」File4「コンビニ業界」(第2回)」を紹介しよう。なお、文中の略歴は省略
・『各業界をよく知る第一線のゲストに話を聞きながら、今後、その業界がどう変わっていくかを探っていく連載「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」。第4回シリーズ(File 4)ではコンビニエンスストア業界を取り上げている。ローソン専務執行役員の宮﨑純氏と同社前・中食商品本部商品戦略部長の荒井淳司氏(現人事本部人事管理部長)、小売・流通業界に詳しいnakaja lab代表で中小企業診断士の中井彰人氏をゲストに招き、昨今、社会問題にもなっているコンビニ業界について、本音の議論を展開している。 今回はコンビニ本部とフランチャイズ加盟店の契約のあり方にさらに斬り込む。ロイヤルティーの仕組み、廃棄ロスの負担、見切り(値引き)販売の制限など、「コンビニの契約は加盟店に不利」という指摘が出ている。加盟店の裁量を増やすのか、本部の指示を徹底するのか――。コンビニチェーンによる違いも浮き彫りになる中、現場の疲弊を和らげる方策を探り合った。 安田:「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」、第4回シリーズは今、何かと話題の多いコンビニエンスストア業界について、ゲストの方を交えて議論を進めています。 コンビニは本部とフランチャイズ契約を結んだ加盟店による出店が中心です。今回は、そのフランチャイズ契約について話を深掘りしたいと思います。読者の方からは、24時間営業に代表されるようなコンビニの社会問題も、契約を変えることによって、ある程度軽減できるのではないかという意見が寄せられています。 入山:商品の仕入れに関しても、加盟店は契約に縛られている部分がありますからね。加盟店オーナーは、本部からの指示も受けて仕入れをしますが、売れ残りが生じると全部加盟店側の責任になります。つまり、廃棄ロスは加盟店が負担しなくてはなりません。一方で見切り販売、つまり値引きなどは自由にはできない。そういうことも加盟店の経営の圧迫要因になっているのではないかという見方があります。 安田:加盟店が本部に支払うロイヤルティーのあり方にも厳しい意見が寄せられています。コンビニチェーンでは粗利からロイヤルティーを支払うのが一般的ですが、その粗利の計算方法が本部に都合が良すぎるという指摘です(※1)。業界の外の人間からすると、人件費など営業経費が含まれない粗利にロイヤルティーがかかること自体、少し不思議な気がします。 入山:コンビニのフランチャイズ契約、加盟店には不利じゃないですか? 中井さん、いかがでしょうか。 (編集部注※1)通常の会計では、売上高から原価を引いたものが粗利となるが、コンビニの会計は原価に商品の廃棄分を含めない仕組み。たとえば、仕入値350円、販売価格500円の弁当を10個仕入れ、8個が売れ、2個は売れ残り廃棄したとする。通常の会計では売上高が500円×8個=4000円、原価は350円×10個=3500円で粗利は4000円マイナス3500円=500円になる。しかし、コンビニ会計では原価に廃棄分を含めないので、この場合の原価は350円×8個=2800円。粗利は4000円マイナス2800円=1200円となる。粗利がかさ上げされ、加盟店から本部へのロイヤルティー支払いが膨らむ』、「コンビニの会計は原価に商品の廃棄分を含めない」、というのは、不合理な気がするが、以下の部分で本部側の言い分の説明があるようだ。
・『加盟店は自助努力で収益を向上できるという理屈  中井:もともとフランチャイズ契約というのは、労務のリスクを加盟店が負うことをもって成り立っています。加盟店は、そのリスクを負担することによってリターンを得る形になっています。それでフランチャイズ契約は成り立っているわけです。 小売業の売り上げはいろいろな事情、状況で変動しますが、加盟店オーナーは労務のリスクを負う一方で、売り上げを増やせば増やすだけ、自分の手元の利益、つまりリターンを得ることができます。そのリスクを外してしまったら、直営店と同じになってしまいます。自己責任で収益を稼ぐわけですから、本部からすると、その契約の中で、加盟店がリターンだけ得て、ロスは負担しないというのでは割に合わないと……。 入山:えーと、すみません、ちょっと待ってください。お店の売り上げは変動が激しい。当然そうですよね。いろいろな状況で売り上げは変わります。労務のリスクは店舗オーナー側が持っています。その中で、本部が割に合わないというのはどういうことでしょうか。 中井:本部側からすると、インフラを提供し、商品を供給しています。お店側は仕入れや人員配置など、現場の管理のリスクを背負うことによって収益を得ます。たくさん売れれば売れただけ自分の利益になります。 直営店ではないフランチャイズの強みというのは、このように加盟店が自助努力によって収益をいくらでも上げられる点にあります。または複数店舗を経営することによって、どんどん大きくなることができる。そういうメリットがあるからフランチャイズ契約を結ぶわけです。 そこの部分をガチガチに、「上がった収益は加盟店のもの」「ロスは本部のもの」という形にしてしまうと、それは加盟店に都合が良すぎるわけですね。 入山:本部側からすると、「君たちは頑張って売り上げを伸ばせば、その分だけ利益が上がるんだから、在庫とか廃棄ロスのリスクを本部に負わせるのは勝手が良すぎるじゃないか」と。 中井:一般的な小売店、街の八百屋さんや魚屋さんを考えてみても、仕入れたけれど売れずに残った商品は誰が責任を取るかといえば、当然自分で責任を取るわけです。 入山:今回、読者の方から寄せられた意見の中では、コンビニ加盟店の経営難についての指摘も多かったのですが、それは本部と加盟店の契約の問題というよりも、前回話が出た単店舗経営か複数店舗経営かという問題が大きいのでしょうか。つまり、複数店舗のオーナーであれば、経営の問題はある程度解消されているはずだと。 中井:複数店経営が解決策の1つというのはその通りだと思います。もともと、本部のドミナント戦略などに関係なく、どうしようもない事情で店の状況が悪くなるということはあり得ますので。小売店は立地が重要ですが、周辺の道路状況が変わるなど、周囲の環境が変化することによってスクラップ・アンド・ビルドが必要になるケースもあります。そういう面からも複数店を運営すれば経営が安定します。 安田:要は、加盟店オーナーが全くリスクを負わない形では、努力を引き出すことは難しいということだと思うんですが…。ただ、今のシステムだと、あまりにもそのリスクが店舗側に寄り過ぎているんじゃないかという意見はあります。僕自身、この種のインセンティブ設計を専門にしているので気になるところがあります』、「本部側からすると、「君たちは頑張って売り上げを伸ばせば、その分だけ利益が上がるんだから、在庫とか廃棄ロスのリスクを本部に負わせるのは勝手が良すぎるじゃないか」と」、ただ廃棄を減らすための値引きには本部が強く抵抗した記憶がある。結局、強者である「本部」側の理屈のようだ。
・『現場に戦略決定の裁量はあるか  たとえば粗利益ではなく営業利益に対するマージンにするとか、粗利と営業利益の間の中間的な指標を使うとか、廃棄ロスを本部と加盟店で折半するとか、何か、今の仕組みとオーナーさんのリスクが低くなり過ぎる仕組みとの間で、もう少し設計の自由度があるような気がします。 それから24時間営業も含め、基本的な営業スタイルを自分たちでは決められず、本部の意向に沿うしかないという点も課題ではないでしょうか。もしかしたら、むしろ時短営業した方がもうかる店舗があるかもしれないけれど変えられない。そういう戦略を決定する裁量が少ない……。 入山:そうね。自助努力と言いつつ、現場に裁量が少ないですね。 安田:今、一番深刻なのは、労働市場が劇的に変化しつつある中で人が雇えないことだと思います。24時間営業のためになんとかして人を雇おうと思えば時給を上げなくてはいけない。そういう事情をあまり本部側が考慮していないように見えるんだと思うんですね。この辺りを考慮して、何か改善策があればぜひ聞かせていただきたいです。 宮﨑:24時間営業問題に関しては、やはり人手不足が大きくかかわっていますね。 コンビニ本部はフランチャイズ加盟する各店舗の粗利益にチャージ率というものをかけて利益を本部と加盟店で分け合っているのですが……。 入山:ど素人ですみません。チャージ率というのは何ですか。 宮﨑:フランチャイズ加盟店から本部に支払うロイヤルティーを計算する数字です。たとえば100円の商品があって、原価60円だとすると、オーナーさんには40円の粗利益が生じます。この40円に決まったチャージ率をかけた分がロイヤルティーとして本部に入ります。 入山:なるほど。粗利の中から本部が取る割合ということですね。 宮﨑:このチャージ率の数字はコンビニ各社により多少異なります。各社とも売り上げ金額ごとに率が変動する計算なので、分かりづらいかもしれません。たとえば土地・建物そして店内の設備などを本部負担としている契約。こちらのパターンが現在大半となっています。ローソンは昨年実績で平均日販が53万1000円。この金額ですとチャージ率はだいたい54%です。セブンさんは日販65万6000円で約61%。ファミマさんが約60%です。 入山:ローソンのチャージ率は比較的低めで54%、あとの2社は60%ちょっとですね。 宮﨑:一概にチャージ率だけでは比較できない部分もあります。それはチャージ率を高くした分、宣伝を多くしたり、光熱費の本部負担を増やしたり、ファミマさんの場合は奨励金を出したり……。いろいろなやり方があり、ここは各本部の考え方が反映されています。 入山:なるほど』、「コンビニ本部はフランチャイズ加盟する各店舗の粗利益にチャージ率というものをかけて利益を本部と加盟店で分け合っている」、「このチャージ率の数字はコンビニ各社により多少異なります」、「チャージ率を高くした分、宣伝を多くしたり、光熱費の本部負担を増やしたり、ファミマさんの場合は奨励金を出したり……。いろいろなやり方があり、ここは各本部の考え方が反映されています」、なるほど。
・『ローソンはオーナーの意向で時短店舗もOK  宮﨑:加盟店の売り上げは全部一度本部に行きます。そこから本部のロイヤルティー収入を除いた加盟店の取り分を送金する形です。加盟店側は人件費、光熱費の一部負担、廃棄というのが3大コスト。その中で、人件費が非常に高くなってきた。また、店員の募集が困難となり、24時間営業の維持が難しくなってきたわけです。 歴史的なことをいうと、前にご説明したように、もともと24時間営業ではなく社会の状況に対応して24時間にしてきました。その際、24時間営業の手当てを払ったり、チャージ率を低くしたりという対応をとって今に至っています。 ローソンで言うと、24時間営業にする前の契約も残っていて、現在24時間営業を基本としていますが、以前よりオーナーさんが希望すれば時短営業を選べる形になっています。オーナーさんの意向による時短店が71店舗あります。 入山:少なくとも、ローソンの場合は24時間営業か時短営業かはオーナーさんが選べると。 宮﨑:はい。ただ、チャージ率は3%高くなります。先ほど中井さんがおっしゃったように、本部が土地を借りて店舗をつくって什器(じゅうき)などを準備しています。簡単にご説明すると、その投資コストを営業時間単位で計算すると割高となり、その分をチャージ率に反映しています。 安田:チャージ率が少し上がるので加盟店側の取り分は減るけれども、それをのめる場合は時短営業もオーケーなんですね。 宮﨑:はい。そうなります。 入山:先ほど安田さんから指摘があったように、自助努力で売り上げを伸ばすということならば、加盟店の裁量があっていいはずですが、商品戦略、店舗戦略などの縛りがキツく、その中でフランチャイズ加盟店として結果を出さなくてはいけないというのは、やや矛盾があるのではないかという点についてはどうお考えですか。これって、結構本質的なポイントだと思うんですけれど。) 宮﨑:そこはチェーン店によっても違いますね。見切り販売、いわゆる値引き販売に関しても、ローソンは設立時から加盟店さん意志による見切り販売のシステムがあります。 入山:ローソンは値引きのシステムがあるんですか? 宮﨑:はい。オーナーさんの自由度を高くするか、本部が「こうすればもうかるよ」と売り方の指示を徹底するか。そのバランスはチェーンによって差があります。そこは今、問われているかもしれませんね。 入山:問われている。逆にいうと、各社ともその辺のさじ加減に関しては結構悩んでいると。 宮﨑:そうですね。この徹底力が武器と言われているチェーンもあります。 入山:つまり、はっきり言うと、本部が強いということですね。 宮﨑:それで日販も伸ばしてきたというビジネススタイルです。ローソンは結構オーナーさんの自由度が高い。代わり徹底度が低いと指摘されることがあります』、最後の部分は微笑んでしまった。コンビニによる違いはかなり大きいようだ。
・『本部が強いセブンで問題が集中的に出てきた  入山:弱い? 宮﨑:時にエコノミストの方々からの指摘が多いですね。 入山:だから日販は正直、現状でかなり差がありますよね。セブンは今まで本部が強かったからコントロールできていた。一方、ファミマやローソンは比較的オーナーさんの自主性が残っていたということですね。今回、24時間営業問題もセブンの加盟店から集中的に出てきた印象がありますけど、そういうことか。言ってみればセブン問題なんだな。 宮﨑:ただ、お店のロスには廃棄ロスと機会ロスがありまして。機会ロスはお客様が来店したときに品物がないこと。廃棄ロスは売れ残った商品を負担するお店の直接的なコスト要因ですが、機会ロスもオーナーさんの利益に響きます。双方のロスをいかにミニマムにするかというのが商売のあやで、各社それぞれの考え方や方法で苦労しているところです。 4~5年前からローソンはAI(人工知能)を使ったセミオート発注システムというのを導入しています。店ごとの売り上げ動向や客層などさまざまな情報を分析し、最適な品ぞろえと商品別の発注数を自動的に推奨するシステムです。オーナーさんもアレンジできます。こうしたシステムも活用し、廃棄ロス、機会ロスとも減らそうとしています。 安田:今後、データをよりきめ細かく集めて予測精度を高めることができれば、賞味期限に応じて値引き販売をするとか、廃棄ロス、機会ロスとも減らすことが可能になりそうです。今の契約内容を抜本的に変えなくても、オーナーさんの疲弊を和らげることができるかもしれませんね。 宮﨑:おっしゃる通りです。今はオーナーさんたちに疲弊が出てきています。これまでも社会の変化とともに契約内容を変更していますが、今まさに私たちがどう変わるべきか、どのように解決していくかを問われています。 インフラになっているとまで言っていただいているコンビニの商売を、これからもお客様の支持を得て続けていくこと、そしてオーナーさんの利益をきちんと確保すること。この2つをデジタル技術やさまざまな知見を組み込みながらいかに達成するか。各社の知恵比べになっているところです』、「4~5年前からローソンはAIを使ったセミオート発注システムというのを導入」、他社でも似たようなAI活用をしているのだろうが、AIの学習が進んでかなり進化したのかどうかを知りたいところだ。

第三に、この続き、10月8日付け「[議論]競争激化するコンビニ、未来は明るいの? File4「コンビニ業界」(第4回)」を紹介しよう。なお、文中の略歴は省略
https://business.nikkei.com/atcl/forum/19/00012/100100023/?P=1
・『・・・最終回の議題はコンビニの未来。コンビニチェーン同士だけでなく、EC(電子商取引)やドラッグストアとの競合も激化する中、全国に既に約5万6000店舗あるコンビニ店はどう価値を提供していくのか。10年後のコンビニのあるべき姿を語り合った。 入山:「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」、今回はコンビニエンスストア業界についてローソン専務執行役員の宮﨑純さん、中食商品本部商品戦略部長の荒井淳司さん、小売り・流通業界に詳しいnakaja lab代表で中小企業診断士の中井彰人さんをゲストにお迎えして議論しています。……で、早速、続きを始めようと思ってるのですが、ちょっと安田さん、何モグモグしてるの? 安田:これ、第3回の最後に荒井さんが紹介してくださった「ブランパン」のドーナツです。ドーナツをいただきながら引き続き議論を進めていきましょう。ここまで3回にわたってコンビニ業界についてお話を伺ってきましたが、最終回は未来の話をお聞きします。まず、10年後のコンビニ業界ってどうなっているのか。「こんな風に変わるんじゃないか」とか、「このキーワードが重要になるんじゃないか」とか、ボードがありますので自由に書いていただけますか。 じゃあ、早速、入山さんからいきましょうか。気鋭の経営学者はコンビニの未来をどう見ているか。どうぞ。 入山:僕はこれがポイントだと思っているんですよ。 安田:「レジ越しのコミュニケーション」ですか。なるほど』、「モグモグ」も、カーリング女子や女子プロゴルファー渋野日向子などでポピュラーになったようだ。
・『コミュニケーション自体が新たなサービスになる  入山:レジ越しのコミュニケーションをこれからの10年間、どう発展させていくかがコンビニのカギになると思っています。 僕、早稲田大学のキャンパスの11号館というビルに研究室があるんです。その1階にはファミリーマートが入っているのですが、店員は早稲田大学の国際教養学部に通う留学生ばかりでほぼ全員外国人。日本に来てまだ間がないのでみんな日本語がたどたどしい。人の入れ替わりが激しいせいもあって、ついに店員たち、日本語を使うことを放棄し始めて、「Do you need a receipt?」って言ったりしてます。 一部の日本人は戸惑うのかもしれないけれど、これって一種のグローバル化だなと思って。つまり、そういう国際交流みたいなものが、コンビニのレジのこっち側とあっち側で生まれつつあるわけです。 地方のコンビニの場合も、地元のおじいちゃん、おばあちゃんが来て、店員の方とお話しして帰るという、コミュニケーションの場になっています。ある種、病院と似た機能を持っているんですね。 コンビニって、最先端のテクノロジーを使ってマーケティングしたり在庫管理したりしていますが、一方で最後まで人間らしさが必要というところもある。レジ越しのコミュニケーションをどう上手に活用していくかがポイントになるのではないかと思っています。ぜひこの視点を考えていきたいと。 安田:モノを売る場としてだけでなく、コミュニケーション自体が新たなサービスとして付加価値を生み出すと。そういうポテンシャルは大きそうですね。では次に中井さん、お願いします。 中井:私は「フードデザートソリューション」と書きました。フードデザート、食の砂漠ですね。 人口が減少した地方やお年寄りばかりの団地には「買い物難民」と呼ばれる人たちが今もいます。歩いて行ける範囲にスーパーもドラッグストアもなくて非常に不便に感じている人たちですね。そういうところにコンビニが出て行って問題を解決することができると思っています。 利益を追求しない人たちがコンビニのフランチャイジーとして運営主体になったっていいわけです。たとえば団地の中であれば、住民の皆さんが受け皿となって共同でお店を運営することもできます。店舗の運営ノウハウは本部が全部持っているのですから、それを持ってきて団地のためのコンビニをつくっていくという形です。 入山:実は都心の高層ビルもフードデザートですよね。30階とか40階で働いていると、お昼時にはエレベーターが激混みするので降りられない。高層ビルの上の方にも難民はいっぱいいます。ローソンはそういうオフィスに無人店舗を入れていますけれど。そういうことを団地でもできるのではないかと。 中井:そうです。無人もあり得るでしょう。フードデザートで困っている人たちのところで店を運営すると。今まで、コンビニの店舗はいかに日販を増やすかということばかり考えてきましたけれど、そういう店は最低日販だって構わない。団地の住民からボランティアを募って運営したっていいんです。ぜひ社会問題となったフードデザートを新たなコンビニが解決してほしいと思います。 安田:なるほど。では荒井さん、お願いします』、「コミュニケーション自体が新たなサービスになる」、「フードデザートを新たなコンビニが解決」、さすが面白い視点だ。
・『リアル店舗でお客の医療・健康をサポート  荒井:私は「近」というキーワードを書きました。コンビニエンスストアというのは、どうお客様に近づいていくかを考えてきたビジネスです。これからも近づくことをずっと追求し続けていくだろうと思っています。 近づき方もいろいろあります。1つは、今お話があったように、距離をいかに縮めるか。今まではリアル店舗で近づこうとコンビニエンスストアを展開してきました。さらに近づくことを考えるなら、弊社が今やっている移動販売という方法があります。クルマの中に商品を積んで高齢者施設や中山間地域に行くというサービスを積極的に進めていく。先ほどお話が出たように、オフィスの中で買い物が難しいお客様向けにサービスを提供する。そういう近づき方もあります。 もう1つの近づき方は、お客様の心理状態に寄り添って買い物の距離感を縮めることです。私は商品本部にいますので、データを分析することで、時間帯によって何を食べたいか、何を買いたいかをとらえた商品開発をさらに進め、お客様に寄って行くことを考えていきたいと思っています。 もう1つ、今、ローソンには1万5000店舗のうち、イートイン店舗が5000店舗ぐらいあります。10年を待たずに、そこが憩いの場に変わったり、高齢者の方のコミュニケーションの場に変わったりと、モノを売るだけではない付加価値を提供するようになると思っています。 最後がオーナーさんとの距離感です。加盟店オーナーさんとのコミュニケーションを密にして、その距離感を10年後にはさらに近いものに発展させていきたいと考えています。 安田:モノを売るだけでなく、付加価値を提供するという話は、入山さんが挙げたものと共通しますね。 入山:そうね。僕はレジ越しと言いましたけれど、店舗そのものがコミュニケーションの場になるということですよね。 安田:商品戦略部長の荒井さんはこうおっしゃっていますけれど、重鎮の宮﨑さん、いかがでしょう。 宮﨑:今、コンビニは電気・ガス・水道に次ぐ「第4のインフラ」といわれていますが、これからもお客様の支持を得られるかはまだわかりません。これまでもいろいろな社会の変化に対応しながら、やっと生き抜いてきたというのが実情です。これから高齢化が進み、女性がさらに社会進出し、人口減少で市場が縮小し、ECが成長するといった変化がさらに加速する中で、全国にある5万6000のリアル店舗をどう生かし、お客様の支持を得ていくかを考えなくてはなりません。 まず、AI(人工知能)などデジタル技術を活用してお店の負荷を減らし、店員さんたちには、近くに住む高齢のお客様などが来店したときに、コミュニケーションをとりながらやすらぎの場とする方向に力を入れてもらわなくてはなりません。 もうひとつ進んで、これから高齢化は一層進みますから、医療・健康のお役に立てるリアル店舗にしていきたいです。医療はまだまだ規制が厳しいのですが、たとえば将来、大学病院などになかなか行かれないお客様が、コンビニに置いてある無人の機器を使えば、画面を通して遠隔診察が受けられるサービスなどをイメージしています。 入山:ちょっとした診療所みたいなものをコンビニの中に取り込んでしまうと。 宮﨑:はい。今、東京・文京区のローソン千駄木不忍通店には介護や栄養の相談窓口を設置しています。周辺には高齢者の方が多いので、お客様を集めた体操イベントを実験したりしています。さらにレベルアップし、このようなお店を全国に増やしていきたいと思います。 最終的には店舗おペレーショにデジタルの力を活用し、1~2人の人員で対応できるようにしたいですね。店員さんはレジから出て接客に専念するような形スタイルが理想です』、「イートイン店舗」が「10年を待たずに、そこが憩いの場に変わったり、高齢者の方のコミュニケーションの場に変わったりと、モノを売るだけではない付加価値を提供するようになる」、面白い見方だ。ただ、「介護や栄養の相談窓口を設置」については、ドラッグストアが本気を出したら、なわないのではなかろうか。
・『「ローソンは無人店舗はやりません」  安田:コンビニのサービスの幅が広がり、ある意味では「何でも屋」になっていくという形ですね。そのためにテクノロジーの活用も抜本的に進めていくと。その1つの形が無人化だと思います。読者の「mino」さんから、「無人コンビニの問題点は何ですか。実証店舗などは存在しないのですか」という質問をいただいています。無人化、省人化に向けた取り組みについてお話しいただけますか。 宮﨑:今の小売業には効率化が求められていて、その行き着く先の1つに無人化があると思うんですが、結論から申し上げると、うちは無人店舗はやりません。 入山:あ、やらないんですね。 宮﨑:それは先ほど申し上げたコミュニケーションの問題からです。ローソンは中国に2300店舗出店しています。ローソンの周りには中国国内のIT企業が手がけるいろいろな無人店舗がありました。しかし、大きな自動販売機や、冷蔵庫みたいなものですが、お客様から支持を得られず、現在では結構閉店しています。 入山:無人店舗にはお客さんが来ないんですか。 宮﨑:経験してみるとわかりますが、無人店舗って楽しみがないんです。買い物にはやはり楽しさがなくちゃいけないということでしょう。ちょっと無機質すぎるんです。 ただし、今の人手不足に早急に対応するため、ローソンは8月より、深夜0時から早朝5時までの5時間、店員がいない深夜省人化店舗を実験しています。お客様に支持されるのか、深夜の無人のお店にお客様は来ていただけるのかといった懸念はあります。安全面から防犯カメラを29台に増設していますが……。 このように深夜帯や先ほど話の出たオフィス向けの無人店舗は考えていますが、すべての店舗を無人化するということは基本的には考えていません。やはりお客様とのコミュニケーションを大切にしたいと思っています』、「ローソンは無人店舗はやりません」、「ローソンの周りには中国国内のIT企業が手がけるいろいろな無人店舗がありました。しかし、大きな自動販売機や、冷蔵庫みたいなものですが、お客様から支持を得られず、現在では結構閉店しています」、なるほど。
・『小売りには人間のぬくもりが必要  入山:必要最低限なインフラとしての機能を果たすことに関しては無人店舗で工夫するけれども、それ以外のところは、コミュニケーションの場とすることが大事だと。お2人とも強調されていますが、小売りには人間のぬくもりみたいなものが必要ということですね。 宮﨑:それがないと便利さだけではEコマースに負けてしまいますからね。 荒井:僕の家の近くにローソンがあるんですが、行くのが楽しみになっています。ごく普通のローソン店舗なんですが、「今週のお薦め」と書いた商品が幾つか山盛りになっていたりして、行くたびにオーナーさんと対話しているような感覚になります。 コンビニというのは、「いつ行っても必ず決まったものがある」安心感と、プラス、驚きがなくちゃいけない。その驚きはオーナーさんの個性や地域性によっても異なります。そういう店の特色を打ち出すことが大事だと思っています。それにはデジタル技術を活用し、今、非常に忙しい店舗オペレーションを簡素化すること、そして一丁目一番地としては良い商品をつくること。これが重要だと思います。 入山:デジタルで面倒くさいところは全部取っ払ってあげる。その代わりにオーナーさんの創意工夫をもっと引き出すような仕組みを目指す。少なくとも、ローソンはそれを志向しているということですね。 人のぬくもりでECと差別化を図っていくというのはよくわかったんですけど、一方で、リアル店舗でいうとドラッグストアも脅威になってきたという気がします。ドラッグストアとコンビニって、ちょっと機能がかぶってきているという印象があって。どういうふうにすみ分けていこうと考えていますか。 宮﨑:ドラッグストアは非常に脅威ですね。ローソンでも220店舗ほどで薬を販売しています。お客様には大変好評ですが、やはりいろいろと規制があるので簡単に増やすことはできません。先ほど申し上げた医薬品や健康関連グッズの販売に関してドラッグストアは一歩も二歩もリードしている存在です。 我々は病院などとコラボレーションしながら、いかにお客様のニーズにきめ細かく対応していくかがカギです。その辺りはドラッグストアとの知恵比べになっていくのだろうと思います。最近はドラッグストアも多くの食品を売り始めていますし、お客様の支持を獲得するには良い商品をつくることが一番ですが、その点、コンビニの45年の歴史で培ったノウハウは大きな武器だと思います』、「小売りには人間のぬくもりが必要」とはいっても、殆どの店員が日本語がたどたどしい外国人では、望むべくもないのではなかろうか。「ドラッグストアとの知恵比べになっていくのだろう」、やはりその通りなのだろう。
・『ドラッグストア、Amazonフレッシュも競合に  入山:そう考えるとコンビニのライバルって多いですね。ECもあれば、ドラッグストアもあれば……。 宮﨑:都会では「Amazonフレッシュ」なども競合してきますね。 入山:「Amazonフレッシュ」もライバルになるのか。これから大変ですね、コンビニ……。 宮﨑:これまでもコンビニは自由競争下で切磋琢磨しながら、新商品・新サービスの開発や品質向上を図ってきました。これからもお客様の生活に合わせた価値を出していくことが必要です。 安田:そうやって競争が激しくなる中では、顧客データの活用というのが大事になっていくと思います。ローソンはどんなことを考えていますか。 宮﨑:ローソンは共通ポイントサービス「Ponta」を導入しています。1カ月の間にローソンでお買い物をされるお客様は延べ4億人いらっしゃいます。約半数のお客様がPontaカードをご提示されるので、たくさんのデータが蓄積されます。今までは商品開発や店舗の品揃えなどに生かしてきましたが、これからワン・トゥ・ワンマーケティングで「その人だけにお薦め」という商品のご提供や、健康管理への活用なども考えています。 グループにローソン銀行があります。銀行ならではの廉価で新しい決済システムの可能性もあります。例えば地方に離れて住む親御さんとつながり、日々のお買い物情報が届き、かつこちらから決済できたり、安全の見守りと決済システムと連動することも可能かもしれません。 安田:これからデータ活用が進むと、商品開発も販売も進化し、結果的に加盟店へのフィードバックも良い方向に変わっていきそうですね。 入山:そうですね。働き方もこれからどんどん改善されていくでしょうし。今年、いろいろと騒動のあったコンビニですが、これを糧により良い発展が期待できそうです。 安田:アメリカ発祥のコンビニですが、日本に持ち込み、日本風のアレンジでかなり違うビジネスに生まれ変わりました。ローソンが中国に2300店舗出店しているように、海外にその日本風のコンビニビジネスが進出しています。 外から取り入れて中身をガラッと改良して外に持って行くっていうのは日本の得意パターンです。未来のコンビニで医療・健康というキーワードも出てきました。さらに日本ならではのコンビニサービスをどんどん拡充させていって、日本でも、さらには世界でも、暮らしを良くしていってほしい。そんな希望を感じられる未来予想図になった気がします。 入山:前半、厳しい議論もありましたけれど、後半は明るい未来が描けました。荒井さんには、これからもぜひブランパンのドーナツみたいなおいしい商品をさらにガンガンつくっていただければと。 安田:長い議論の後でのどもかわいたところですし、「グリーンスムージー」をいただきながら終わりにするということで……。 入山:どうありがとうございました』、「ローソンが中国に2300店舗出店」、広い国ゆえドミナント戦略を展開するためには、これでも少ないのかも知れないが、政治的リスクを考えれば、大きな冒険なのかも知れない。総じてみれば、コンビニの今後の進化が楽しみだ。
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