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自動車(一般)(その3)(赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?、トヨタ前代未聞の労使交渉 「変われない社員」への警告) [産業動向]

自動車(一般)については、5月6日に取上げた。今日は、(その3)(赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?、トヨタ前代未聞の労使交渉 「変われない社員」への警告)である。

先ずは、ジャーナリストの井上 久男氏が6月20日付け現代ビジネスに掲載した「赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65230
・『高い技術力とブランドイメージで世界に名を馳せたこの企業が、振るわない。商品・技術戦略の失敗だけが理由ではないようだ。社内の対立によって溜まってきた膿のほうが、どうやら根深いのだ』、かつての優良企業に何が起きたのだろう。
・『二輪部門vs.四輪部門  ホンダの経営中枢にいた元役員はこう指摘する。 「今の経営体制ではホンダはいずれ経営危機を迎えます。トップの八郷隆弘社長にせよ、ナンバー2の倉石誠司副社長にせよ、経営をかじ取りする力量がない。 経営陣を総入れ替えする荒療治が必要だ。昨年の株主総会ではOBの一部株主が結託して解任動議を出そうとしていたくらいです」 ホンダが5月8日に発表した2019年3月期決算の売上高は前期比3.4%増加の15兆8886億円、本業のもうけを示す営業利益は12.9%減少の7263億円だった。 営業利益率は4.6%と、トヨタ自動車(8.2%)や、安価な軽自動車中心のスズキ(8.4%)の足元にも及ばない。 その要因は不振の四輪事業にある。ホンダの事業は、四輪、二輪、汎用エンジンや草刈り機などのパワープロダクツの3部門で構成されるが、売上高の最も多い主力の四輪が、'19年1~3月期決算で売上高2兆9128億円に対し、営業損益は530億円の赤字に陥ってしまったのだ。今後も収益性が大きく回復する見込みがない。 ホンダの四輪が赤字に陥ったのは、過剰設備と開発コストの高さによるものだ。国内で最も売れている「N-BOX」シリーズを抱える軽自動車部門でさえも赤字だというから驚く。 ホンダ低迷の構図はかつての日産自動車と全く同じだ。日産は過剰設備と高コスト体質に苦しみ、赤字体質から脱却できずに有利子負債を膨らませて経営危機に陥り、仏ルノーの傘下に落ちた。 この惨状にもかかわらず、ホンダはあちこちで内部対立を抱えている。 まずは稼ぎ頭の二輪事業と、赤字の四輪事業の対立だ。 いまホンダは、本田技術研究所内にある二輪の研究開発部門を切り離して、本社の二輪事業本部と一体化させることで意思決定の迅速化を図ろうとしている。追い上げてくるインド・中国メーカーに対抗するためだ。 ところが二輪部門の幹部は、「意思決定の迅速化を狙うならば、二輪事業部門をホンダ本体から切り離して分社化する手もあったはずだ」と語る。 稼ぎ頭の自分たちだけを分社化すればいい。この幹部は、「赤字転落した四輪とは一緒にされたくない。モチベーションが落ちる」とまで言うのだ』、「主力の四輪が・・・営業・・・赤字に陥ってしまった」、「この惨状にもかかわらず、ホンダはあちこちで内部対立を抱えている」、ということでは、「「今の経営体制ではホンダはいずれ経営危機を迎えます。トップの八郷隆弘社長にせよ、ナンバー2の倉石誠司副社長にせよ、経営をかじ取りする力量がない。 経営陣を総入れ替えする荒療治が必要だ」、との「経営中枢にいた元役員」の指摘も頷ける。
・『中国派の専横  二輪と四輪の対立だけではない。四輪事業の不振の元凶の一つとされた北米事業の出身者「米国派」の幹部たちは、中国事業を長く手がけてきた八郷氏や倉石氏ら「中国派」が人事を専横していると不満を募らせる。 さらにはその「中国派」のなかでも、八郷氏と倉石氏の関係に軋みが生じ始めているというのだから、ただ事ではない。 今、ホンダ社内で何が起こっているのか。 「八郷体制」の力量不足は否めない。前任者の伊東孝紳氏(現取締役相談役)が無謀な拡大路線を敷いたことで、品質管理力が追い付かず、主力車「フィット」の大規模リコールの責任をとって退任。後任として'15年6月に八郷氏が選ばれた。 当時、八郷氏は全く無名の存在で、社長就任が決まり、社内からも「八郷WHO?」といった声が出たくらいだった。その経緯について前出・元役員がこう解説する。 「伊東君は辞めるつもりはなかったが、伊東君を引き上げてきた川本さん(信彦元社長)に『お前、責任取れ』と一喝されて退任が決まった。 伊東君が『後任は誰にしましょうか』と川本さんにお伺いを立てると、『そこまでは関与しない』と言われて、同じ車体開発畑で自分の言うことを素直に聞く八郷君を選んだ」 40代の頃から将来の社長と言われてきた伊東氏は「暴君タイプ」だったのに対し、八郷氏は「聞く耳を持つ」ボトムアップ型の社長で、経営トップになっても自分が前面に出ることはなかった。 「伊東前社長が現場をすぐにどなりつけて社内が萎縮していたので、八郷さんはそれを反省して社員の自主性を促すことを重視していた。 役員同士もぎくしゃくした関係だったのが、八郷さんは役員同士でお弁当を食べたり、飲み会に行ったりして社内融和に徹していた」とホンダの中堅幹部は語る。 しかし、八郷氏の尻に火がついてきたのは昨年夏ごろからだった。温厚な八郷氏の眉間にしわが寄るようになり、いら立って語気を強めて部下に説明を求める場面が増えたという。 「俺が納得する新しい案を持ってこい」昨年6月のある日、八郷氏が珍しく声を荒らげた。八郷氏が求めた案とは、コストを下げて商品力も落とさない自動車の新たな開発手法の導入計画のことだった。 自動車会社では、開発の上流段階から設計・部品の共通化を進めるコストダウン戦略がはやっている。 トヨタの「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」やマツダの「一括企画」と呼ばれる設計手法が有名で、こうした新たな設計手法の導入によって、開発部門の組織や仕事の進め方を見直し、車種によっては製造原価を30%下げたと言われる。 これに対し、ホンダは何も取り組んでこなかった。今年5月の決算発表の際、ようやく八郷氏が「ホンダ アーキテクチャー」を導入して開発効率を上げると発表した。他社より10年遅れて設計改革に取り組むことになった』、「他社より10年遅れて設計改革に取り組むことに」、驚きの事実だが、以前の経営陣にも重い責任がありそうだ。
・『「出る杭」を打つ管理職  八郷氏がいら立っていたのは、開発部門から正しい情報が自分に上がってこなかったからだ。ホンダの役員が言う。 「他社に比べてあまりにも収益性が低いので、八郷社長が現状を調べ直したところ、主力車種『アコード』と『CR-V』では部品の共通化率が金額ベースでわずか0.3%。 設計改革をしていると開発部門は言いながら、全くできていなかったことに怒ったのでしょう」 こうした設計改革だけに限らず、昨年4月から八郷氏は全社的な改革運動「SED2.0プロジェクト」を開始した。Sはセールス(販売)、Eはエンジニアリング(生産)、Dはディベロップメント(開発)を意味する。 100年に一度の変革期を迎えている自動車産業の中で生き残っていくために、発想や仕事の進め方を全社的に見直そうというものだ。 その活動ではトヨタに対しても今のホンダについての意見を求めている。改革運動を紹介する冊子で、原価管理についてトヨタOBが「ホンダにはトヨタがコンプレックスを持つ対象であって欲しい。トヨタは何するものぞという気概でクルマづくりをして欲しい」とエールを送っている。 これでは、もはやホンダはライバルではないと言われているに等しく、屈辱とも受け取れるが、社内に危機感を煽るために敢えて載せているのだろう。 しかし、これがホンダ社内では頗る評判が悪い。若手社員は「現場から改革案をたくさん出しているのに、潰しているのはむしろ経営上層部。特に倉石副社長だ。こんな冊子を作ること自体無意味だ」と指摘する。 別の中堅幹部によると、実際、設計の共通化を推進しようとしたら、「業務が効率化されるとポストが減って困る」と言って、改革案を潰しにきた管理職も多かったという。 ホンダの開発部門には、行き場のない技術者崩れの管理職があふれ、こうした管理職は、何の専門性もなく、上司の意向を探ることと無駄な会議が大好きで、自己保身のためだけにリスクをとにかく嫌い、「出る杭」を打つ傾向にあるという。 「こんな組織でヒット車が出るはずがない」(同前) 社員の平均年齢を見てもホンダは45歳。意外にも39歳のトヨタよりも高齢化が進む。 八郷氏自身が「ホンダは今までと同じような生き方をしていたら老衰してしまうかもしれない。いまこそ、生まれ変わるくらいの気持ちで生活を変えることが必要だ」と訴えているが、それもむなしく響く。 現場には倉石副社長への批判が渦巻く。ホンダでは創業者の本田宗一郎氏が夢を語り、それを後ろから支えたのが副社長の藤沢武夫氏だった時代の名残が今でも残っており、管理部門は副社長が束ねる。現在は倉石氏がその任にある。ところが、倉石氏は八郷氏が社長になる直前の上司だ。 「2人は同期入社で仲良しだった。伊東君から社長就任の内示を受けた時は八郷君が中国統括会社の副総経理で、倉石君が総経理だった。 社長になるとは思っていなかった八郷君が、倉石君に相談したら『俺が支えるからお前、受けろ』と言ったそうです。そうした関係から倉石君のほうが力を持っており、陰の社長は倉石君です」と、ホンダOBは解説する。人事権は倉石氏が掌握している。 八郷氏、倉石氏ともに中国の経験が長いので、中国事業の出身者が出世する傾向が強まり、主流派だった「米国派」との対立が深まったという。 「これまでホンダを支えてきた北米事業出身者がポストを寄こせと言って社内で抗議しているようです。 4月1日付で倉石君が会長になる案もあったが、これでは益々米国派の不満が募るので、その折衷案として米国と中国の両方を経験した神子柴寿昭君が会長に選ばれたのではないか」(同前) もともと八郷体制はワンポイントつなぎの「短命政権」との見方があり、ポスト八郷には三部敏宏常務が有力視される。三部氏は現在、本体社長への登竜門である開発部門で子会社の本田技術研究所社長の地位にある。 三部氏は開発部門の中でも改革派として知られた。しかし、「三部氏があまりにも早急に改革を進めるので、倉石氏が『あまり改革をやり過ぎると次の社長の目はないぞ』と言って改革をつぶした」(前出OB)。 ところがここにきて、「改革が全く進まないのは倉石君のせいではないかと八郷君が気付き始め、仲良しだった2人の関係にひびが入りそうな状況」(同前)だそうだ』、「主力車種『アコード』と『CR-V』では部品の共通化率が金額ベースでわずか0.3%」、「設計の共通化を推進しようとしたら、「業務が効率化されるとポストが減って困る」と言って、改革案を潰しにきた管理職も多かった」、こんな現場の専横を許していた経営陣は失格だ。「社員の平均年齢を見てもホンダは45歳。意外にも39歳のトヨタよりも高齢化が進む」というのは初めて知った。中国経験者で同期を社長・副社長にするとは、余りにもバランスが悪い。今年になって米中経験者を会長にしたようだが、バランスが多少改善した程度だ。「「改革が全く進まないのは倉石君のせいではないかと八郷君が気付き始め、仲良しだった2人の関係にひびが入りそうな状況」」、気付くのが遅すぎる。
・『銀行も経営介入を意識  ホンダの決算発表はこれまで副社長が行うのが慣例だったが、今年は5月8日の決算発表に八郷氏が顔を出した。 決算発表の前に、八郷氏が自ら異例の「事業方針説明」を行った。その内容は主に四輪事業の強化策の発表で、売れない派生車種の削減と、過剰な生産能力の削減を展開していくことが強調された。 しかし、今年2月19日に発表した組織の見直しの際に説明したものとほとんど同じで新鮮味に欠けた。同時にホンダは、英国南部のスウィンドン工場やトルコ工場での生産終了も発表。一昨年には狭山工場の閉鎖も決めている。 だが社内には「英国やトルコの生産拠点を閉鎖しても、まだまだホンダの生産過剰問題は解決しない。内製している変速機の生産能力も過剰、いずれ人員整理に手を付けないといけないだろう」との見方がある。 こうした事態にメーンバンクである三菱UFJ銀行も経営介入を準備しているとされる。 「三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行会長は以前、三菱自動車の担当を務め、現在はトヨタの社外監査役を務めるなど自動車産業に詳しい。平野会長がホンダの行く末を心配している」(ホンダ関係者) 三菱UFJ銀行はホンダ系下請け企業に資金を貸し込んでおり、四輪事業がさらに苦境に落ち込めば、下請けが疲弊するとの危機感も強い。 現役社員が語る。「ホンダは『末期癌患者』のようなものと言っていい。将来に期待していませんし、30代、40代の若い社員も将来がないと絶望して自発的に転職しています」 内紛だらけの社内では、不満が渦巻き、空中分解寸前と言っても過言ではない。本田宗一郎が築き上げた「技術のホンダ」に危機が忍び寄っている』、頼りない経営陣を前にすれば、「三菱UFJ銀行も経営介入」は当然だろう。株価は、2018年初の4000円強から本日は2895円と大幅に下落している。

次に、10月19日付け日経ビジネスオンライン「トヨタ前代未聞の労使交渉、「変われない社員」への警告」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/101000041/?P=1
・『トヨタ自動車は10月9日、秋季労使交渉を開催した。「春季」の労使交渉で決着が付かず、延長戦を実施するという異例の事態だ。結果は、労働組合側が要求したボーナス(一時金)は満額回答となったが、その背景にはトヨタの大きな危機感がある。これまでトヨタは、年功序列や終身雇用といった「日本型雇用」の象徴的存在と見られていたが、その同社ですら今、雇用の在り方を大きく見直そうとしている。 日経ビジネスは10月14日号の特集「トヨタも悩む 新50代問題 もうリストラでは解決できない」で、抜本的な修正を迫られている日本型雇用の実態と、新たな雇用モデルをつくろうという日本企業の挑戦を取材している。あわせてお読みいただきたい。 10月9日、トヨタ自動車で「秋季」労使交渉が開かれた。1969年に年間ボーナス(一時金)の労使交渉を導入してからこれまで、延長戦に突入したことは一度もない。 異常事態である。 ふたを開ければ満額回答で、冬季の一時金を、基準内賃金の3.5カ月、2018年冬季比16%増の128万円にすると決めた。日経ビジネスは半年間にわたる延長戦の内実を取材。満額回答に至る裏側で、トヨタの人事制度がガラガラと音を立てて変わろうとしていた。 春の交渉では、労使のかみ合わなさがあらわになった。13年ぶりに3月13日の集中回答日まで決着がずれ込み、結局、一時金について年間協定が結べなかった。「夏季分のみ」という会社提案を組合がのみ、結論を先延ばしにした格好だ。 きっかけは、その1週間前だった──。 3月6日に開かれた第3回の労使協議会は、異様な雰囲気に包まれていた。「今回ほどものすごく距離感を感じたことはない。こんなにかみ合っていないのか。組合、会社ともに生きるか死ぬかの状況が分かっていないのではないか?」。緊迫感のなさに対して、豊田章男社長がこう一喝したからだ。 組合側からの「モチベーションが低い」などの意見を聞いての発言だが、重要なのはそのメッセージが、非組合員である会社側の幹部社員にも向けられた点にある。 労使交渉関係者は次のように証言する。「社長は、若手が多い組合側よりも、ベテランを含むマネジメント層に危機感を持っていたようだ」 豊田社長の発言を受けて急きょ、部長などの幹部側が集まった。危機感の不足を議論し共有するのに1週間を要した。これが、会社回答が集中日までずれ込んだ理由の一つだった。 10月9日、労使交渉を終えた後の説明会で、河合満副社長はこう述べた。「労使が『共通の基盤』に立てていなかった。春のみの回答というのは異例だったが、労使が共通の基盤に立つための苦渋の決断だった。今回の(労使での)やり取りの中で、労使それぞれが変わりつつあるのかを丁寧に確認した」 豊田章男社長や河合副社長が実際に現場をアポイントなしで訪れ、現場の実態を確認。そのうえで、トヨタの原点である「カイゼン」や「創意くふう」に改めて取り組んだ。5月には60%だった社員の参加率は9月には90%まで上昇したという。「全員が変われるという期待が持てた。労使で100年に1度の大変革期を必ず越えられる点を確認し、回答は満額とした」(河合副社長) 豊田社長が危機感をあらわにし、トヨタが頭を悩ませているのは、「変わろうとしない」社員の存在だった』、「豊田社長が危機感」を浸透させるための一芝居という感もあるが、「「社長は、若手が多い組合側よりも、ベテランを含むマネジメント層に危機感を持っていたようだ」、足元の業績は好調ななかで、「危機感」を持たせるというのは、さすがオーナー社長ならではだ。前の記事でみたホンダとは大違いだ
・『トヨタ労組「機能していない人がたくさんいるのでは」  事実、河合副社長も「取り組みはまだまだ道半ば。マネジメントも含め、変わりきれていない人も少なくとも存在する」と報道陣に述べ、トヨタ自動車労働組合の西野勝義執行委員長も労使交渉の場で「職場の中には、まだまだ意識が変わりきれていなかったり、行動に移せていないメンバーがいる」と会社側に伝えた。 この問題に対応するため、トヨタ労使は、春季交渉からの延長戦の中で、現場の意識の確認とは別に、評価制度の見直しに着手していた。 労使交渉の関係者などへの取材によると、トヨタにはいまだ、年次による昇格枠が設定されている。総合職に当たる「事技職」では、40歳手前で課長、40代後半で部長というのが出世コースで、このコースから外れると挽回はほぼ不可能とされる。労使交渉では、組合側から「機能していない人がたくさんいるのではないか」「組織に対して貢献が足りない人もいるのではないか」という率直な意見が出た。 関係者は語る。「リーマン・ショックまでは拡大路線が続き、働いていなくても職場の中で隠れていられた。最近はそうはいかず、中高年の『働かない層』が目立ち始めた」 秋の労使交渉後に報道陣の取材に応じたトヨタ自動車総務・人事本部の桑田正規副本部長は、日経ビジネスの「年功序列をどう変えていくのか」との質問に対して「これまでは『何歳でこの資格に上がれる』という仕組みがあった」と認め、こう続けた。 「その仕組みが、現状を反映していない場合もあった。例えば、業務職では、ある程度の年齢にならないと上がれなかったが、その期間が長すぎた。明らかに時代に合っていないものは見直していきたい。それ以外(の職種)でも、できるだけ早めにいろんな経験をさせたい。大きく(年功序列の仕組みを)撤廃するということではなく、多少、幅を広げていきたいと思っている」 トヨタは今年1月、管理職制度を大幅に変更した。55人いた役員を23人に半減し、常務役員、役員待遇だった常務理事、部長級の基幹職1級、次長級の基幹職2級を「幹部職」として統合。「事実上の降格」を可能にした。 ただし、幹部職の創設は人事制度改革の入り口にすぎない』、「人事制度改革」の全貌はどんなものなのだろう。
・『動き始めた評価制度見直し「年次による昇格枠を廃止」  トヨタはさらに、評価制度の見直しを労使で議論し始めた。協議の場は月に1回で、これまでに計5回。会社側は人事本部長、組合側は副委員長をトップとし、ひざ詰めの議論が続く。 8月21日の5回目の労使専門委員会で、トヨタは初めて総合職の評価制度見直しの具体案を組合に提示した。目玉は、桑田副本部長が「見直していきたい」と発言した、年次による昇格枠の廃止にある。 曖昧だった評価基準を、トヨタの価値観の理解・実践による「人間力」と、能力をいかに発揮したかという「実行力」に照らし、昇格は是々非々で判断するとした。「ぶら下がっていただけの50代は評価されない。これから降格も視野に入るだろう」(先の関係者) 組合執行部は「勤続年数や年齢ではなく、それぞれの意欲や能力発揮の状況をより重視する方向だ」と好意的に受け止め、運用の詳細について引き続き議論していくとしている。 評価制度だけでなく、一時金の成果反映分を変更する加点額の見直しや、中途採用の強化などを労使は議論している。トヨタは総合職に占める中途採用の割合を中長期的に5割に引き上げるとも報じられている。桑田副本部長は人事制度の見直し全般について「試行錯誤しながらやっていきたい。長く議論しても意味がないので、よく考えながら進めたい」とした。 前代未聞の労使交渉延長戦から見えてきたのは、変われない社員に対する警告ともいえる人事制度の再点検だった。幹部職の創設から中途採用強化まで、トヨタは100年に1度の大変革を乗り越えるべく、従来の雇用モデルを見直そうとしている』、「勤続年数や年齢ではなく、それぞれの意欲や能力発揮の状況をより重視する方向だ」、「トヨタは総合職に占める中途採用の割合を中長期的に5割に引き上げる」、意欲的な目標だ。人事制度改革は従業員の納得性がカギを握る。円滑に運用できるか、否かが注目される。既に変わりつつある日本型雇用は、さらに変化していくようだ。
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